モルモット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| ?テンジクネズミ属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
モルモット |
||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||
| 学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Cavia porcellus (Erxleben, 1777) | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| テンジクネズミ | ||||||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| Guinea pig |
モルモット(学名:Cavia porcellus)は、テンジクネズミ属の一種。パンパステンジクネズミ、アマゾンテンジクネズミ、ペルーテンジクネズミなどと近縁の野生種から紀元前5000年頃アンデス地方で食肉用に家畜化されたと考えられている。16世紀にスペイン人が南米に到達したときには、すでにインカ帝国で『クイ』という名で食肉用として家畜化されていた。現在では愛玩用や実験動物用とされることが多い。
目次 |
[編集] 品種一覧
野生の他種のテンジクネズミの体色は褐色または灰色だが、モルモットには白、黒、黄褐色、縞や斑点など、様々な体色のものがいる。1200年頃からインカ帝国の征服までに様々な系統が作り出され、今日の品種群の元となった。
- イングリッシュ(直毛短毛種・最も一般的な品種)
- アビシニアン(中毛種・全身にロゼットと呼ばれるつむじを持つ)
- シェルティ(直毛長毛種・頭部と脇が長くなる)
- ペルビアン(直毛長毛種・頭部と背の毛が長くなる)
- テディ(ティディとも。縮れ毛の短毛種)
- レックス(縮れ毛の短毛種だが、ティディとは違う遺伝子で生じる)
- テッセル(縮れ毛長毛種)
- クレスト(クレステッド、梵天とも・頭部につむじを持つ短毛種)
- スキニー(ギニアピッグとも・無毛か、頭部や手足に少量の縮れ毛を持つ)
[編集] 食性
モルモットは草食動物なので、基本的に主食は牧草や野草である。その他、野菜や果物なども食べる。 また、体内でビタミンCを合成することができない(後述)ため、飼養する場合にはこの点も考慮し、新鮮な野菜や果物を十分与える必要がある。
[編集] 名称の由来
頭が大きくずんぐりとした、ブタのような体つきをしているため、英語では西アフリカにある「ギニアのブタ」を意味する「ギニーピッグ」(Guinea pig)と呼ばれている。学名の種小名porcellusも「小さなブタ」を意味する。この名前の由来については、テンジクネズミの肉の味が豚肉に似ているためという説、鳴き声がブタに似ているという説、ブタのように長い時間を摂食に費やし、ブタのように狭い小屋で飼えるからという説もある。ドイツ語の名称「メールシュヴァインヒェン」(Meerschweinchen)は「海の小さなブタ」を意味し、新大陸を経由する航海中に新鮮な肉を食べられるように、モルモットが船に積み込まれていたことに由来する。なお、テンジクネズミ属の動物はギニアには分布しない。ギニアという言葉の由来として、イギリスに初めてこの動物が持ち込まれたとき、持ち込んだ船がアフリカ経由の船であり、当時のヨーロッパ人にとってギニアとは漠然とアフリカ、転じて遠方の地を表す言葉であったためにこの名が付けられた、とする説がある。別の説では、テンジクネズミの原産地である南米のギアナ(“Guyana”)の転訛として、この語の由来を説明する。フランス語の名称「コション・ダンド」(cochon d’Inde)やポルトガル語の名称「ポルキーニョ・ダ・インディア」(porquinho da Índia)は共に「インドの小さなブタ」を意味し、日本語の「天竺」の用法と同じである。日本では戦前まで医学関係者の一部によってドイツ語の名称の直訳である海猽(かいめい、かいべい、猽は子豚の意)と呼ばれていたこともあるが、戦後はわずかな論文の中に見られる程度となり、現在は死語となっている。モルモットという名の由来は、ヨーロッパ人によって発見された当初、ヨーロッパに生息するリス科のマーモットの一種アルプスマーモット(Marmota marmota)と誤認されたことによるとされる。日本でのモルモットという言葉の由来は、1843年長崎にモルモットが伝来したとき、オランダ語の「マルモット」 (Marmot) が訛ってモルモットとなったことである。
英語圏では属名から「ケィビィ」 (Cavy) とも呼ばれている。最近は日本でもケィビィと呼ばれる事が増えつつある。
[編集] 食用として
ウシやブタに比べて場所をとらず、都会の住宅でも飼育が容易で、繁殖力が強く成長が速いモルモットは、南アメリカのアンデス地方ではクイ(cuy)、クイェ(cuye)またはクリ(curí)と呼ばれ、現在でも食肉用として、野菜くずなどを与えて台所の周りなどで飼育されている。味はウサギや鶏のもも肉に似ているといわれる。かつてはアンデス高地の先住民によって祝い事の際のみに供されるご馳走だったが、1960年代から日常的にも食べられるようになった。ペルーでは、年間6500万匹のモルモットが消費される。
調理法は主に揚げ物、焼き物、ローストなどで、都会のレストランではキャセロールやフリカセにもする。エクアドルではロクロ・デ・クイ(locro de cuy)というスープにする。野菜と一緒に地中に埋めて焼き石を使って蒸し焼きにする(パチャマンカ)こともある。
[編集] 実験動物として
かつてモルモットは病理学の実験動物としてよく用いられており、ジフテリアの病原体はモルモットを用いた研究によって解明された。また病理学以外の分野でも使われる事があり、例えば日本海軍の戦艦・武蔵が、爆風の影響を調べるために、モルモットの入った篭を甲板上に置いて主砲射撃実験を行ったという逸話もある。
その後、実験動物の主役はマウスやラットなどより小型の齧歯類に取って代わられたものの,その生理学的な特性によってアレルギーに関する実験などには欠くことのできない動物種として存在している。モルモットが特に実験動物として優れている点として、ヒトと同様にL-グロノラクトンオキシダーゼと呼ばれるブドウ糖をビタミンCに変換する酵素を持っていないため、ビタミンCを体内で生成できないこと、薬物に対する感度が高いことが挙げられる。
以上の理由から、肉体的・心理的に試される(実験される)人間を表す比喩として、「モルモット(にする/される)」という表現が使われる。

