ラバ

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ラバ
Mule Brasil.jpg
ラバ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 奇蹄目 Perissodactyla
: ウマ科 Equidae
: ウマ属 Equus
: ラバ E. asinus × E. caballus.
学名
E. asinus × E. caballus.

ラバ騾馬英語: Muleラテン語: Mulus)は、雄のロバと雌のウマ交雑種の家畜のことである。北米、アジア(特に中国)、メキシコに多く、スペインアルゼンチンでも飼育されている。

逆の組み合わせ(雄のウマと雌のロバの配合)で生まれる家畜をケッテイ(駃騠、英語: Hinny)と呼ぶが、ケッテイと比べると、ラバは育てるのが容易であり、体格も大きいため、より広く飼育されてきた。

家畜として両親のどちらよりも優れた特徴があり、雑種強勢の代表例である。

特徴[編集]

大きさや体の色はさまざまである。耳はロバほど長くない。頸が短く、たてがみは粗い。

体が丈夫で粗食に耐え、病気害虫にも強く、足腰が強く脚力もあり、蹄は硬く悪路に適してる。睡眠もあまり長く必要とせず、親の馬より学習能力が高く調教を行いやすい。とても経済的な家畜である。

気性は大人しく臆病である。ロバのように従順だが、同様に「stubborn as a mule(ラバのように頑固)」という慣用句があるように気が向かないと全く動かなくなる頑固で強情な性格も遺伝している。 馬のように勇気があるという意見も英語版wikiに書かれるが、出典は不明。

鳴き声は馬ともロバとも異なるが、ややロバに似る。

ラバとケッテイは不妊である。不妊の理由として、ウマとロバの染色体数が異なるからだと考えられている。

歴史[編集]

ラバは紀元前3000年から2100と1500年との間頃には、エジプトで知られていた思われる。ファラオシナイに鉱山労働者を送る際、ラクダではなくラバで送ったという岩の彫刻が残っている。エジプトのモニュメントには、ラバに戦車を引かせる絵が残っており、当時から輸送に関わっていた事がわかる。

黒海沿岸の(現代のトルコの北部と北西部の部分)パフラゴニアニカイアの住民が、ラバの繁殖を最初に行ったと言われている。 古代における重要性は高く、ヒッタイトが隆盛を誇っていた頃は戦車用の馬の3倍の価値。紀元前3千年紀のシュメールの文書によれば、ロバの7倍の20~30シェケルエブラでは平均60シュケルの高値で取引されていた。古代のエチオピアでは至上の動物として扱われ、聖書に登場するダビデ王はソロモンの乗る動物として「ロイヤルビースト」としてラバを薦め、自らも愛用した。それらを含め旧約聖書の中でラバの記述は17回登場する。[1]


山岳が多く道路の整備が進んでない国では、今でも現役で働いている。先進国では農耕はトラクター、輸送はトラックに置き換わったが、趣味の世界である高級な馬のショーでは、どの分野でも活躍している。また、軍事の分野でも活躍しており、山岳が多いアフガニスタンでの紛争で多くの物資を輸送している[2][3]

文学[編集]

  • 「司馬遼太郎:坂の上の雲より引用」

ナポレオン一世は騎兵の運用について天才的な戦史をいくつも残した人物だが、当人は乗馬がへたなのか騾馬に乗っていたという。 ナポレオンの頃は、騾馬を砲兵隊で大砲を曳く馬として大量につかっていたという。ナポレオンは、砲兵の出身であったから、騾馬のほうが乗りやすく親しみやすかったのだろう。

  • 外国語のことわざ

He who wants a mule without fault, must walk on foot.(欠点の無いラバが欲しければ、歩くしかない。) どんなに優秀なラバでも、欠点はある。欠点の無い奴なんて居ないよという意味。


関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ History of the Mule
  2. ^ Bearden, Milt (2003) The Main Enemy, The Inside story of the CIA's Final showdown with the KGB. Presidio Press. ISBN 0345472500
  3. ^ ホース・ソルジャー―米特殊騎馬隊、アフガンの死闘