仮面ライダーJ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。210.143.245.101 (会話) による 2012年5月28日 (月) 12:10個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎仮面ライダーJ)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

仮面ライダーシリーズ > 仮面ライダーJ
仮面ライダーJ
映画
監督 雨宮慶太
制作 東映
封切日 1994年4月16日
上映時間 46分
テンプレート - ノート

仮面ライダーJ』(かめんライダージェイ)は東映スーパーヒーローフェアの一作として、1994年4月16日に公開された劇場映画のタイトル。および、それに登場するヒーローの名。

石ノ森章太郎が製作に関わった仮面ライダーとしてはシリーズ最後の作品。

同時上映は『忍者戦隊カクレンジャー』『ブルースワット』。

概要

東映スーパーヒーローフェアの一策として公開された『仮面ライダーZO』に続き、劇場用オリジナル作品として製作された。全編フィルム撮影で制作された最後のライダー作品である。

この作品の一番の特徴としては、主人公・仮面ライダーJが巨大化するということである。ライダーの巨大化には前例として1993年に制作された『ウルトラマンVS仮面ライダー』があり[1]、この作品が好評だったことも、仮面ライダーJの巨大化企画の後押しとなった。

『仮面ライダー 悪(ショッカー)の系譜』(樹想社、ISBN 4877770496)に収録されているプロデューサーの久保聡へのインタビューによると、当初は原作者の石ノ森章太郎も仮面ライダーの巨大化案には反対であり、そのためにJの巨大化シーンは決定稿ギリギリまで入っていなかった。最終的に「Jの巨大化は地球に未曽有の危機が訪れた時にのみ、大地の精霊たちがJに全ての力を注ぐことで初めて可能となる奇跡の形態であり、Jの基本的な能力ではない」という設定を出したことで石ノ森もJの巨大化に合意し、現在の形になったという。また監督の雨宮慶太も、巨大化には反対だったが「映画興行におけるセールスポイントとしてこれに対抗しうる代案がなかった」とコメントしている。

主人公・瀬川耕司役には『恐竜戦隊ジュウレンジャー』で主演を務めた望月祐多が起用された。この他に『鳥人戦隊ジェットマン』で結城凱 / ブラックコンドルを演じた若松俊秀が候補として挙がっていたが、変身前の姿でのアクションも多い関係から当時JAC所属だった望月が選ばれる形になったという[2]。また、仮面ライダーJのスーツアクターは、前作『仮面ライダーZO』に引き続き岡元次郎が務めた。

脚本は上原正三が執筆した。上原は『仮面ライダーBLACK』を初期で降板して以降、東映とは疎遠になっていたが、プロデューサーの吉川進より自宅に数年ぶりに電話が掛かってきて、「今度やるライダーの映画を書かないか?」と誘われたとのことである。映画公開前後に発売された雑誌『宇宙船』インタビューにて、上原は同作品を執筆するにあたり前年度作品で杉村升脚本の『仮面ライダーZO』を強烈に意識したそうで、「特撮マニアが見たら『ZO』が面白いという意見が多いかもしれませんけど、子供が見たら『J』のほうが絶対に面白いと思ってくれる。自信はありますよ」と語っていた。

名前の「J」は、原作者の石ノ森章太郎は「ジャッジ(Judge)」の意味だと語っている。また、後に上原正三が著した小説版(ISBN 4094401024)においては「ユピテルJupiter、ジュピターとも)」の頭文字だとされている。作中における「ユピテル」とは仮面ライダーJおよび地空人のパワーの源である「精霊の力(ユピテル・パワー)」の名称であり、映画の劇中では「Jパワー」と略されている。

作風としては、当時ブームであったエコロジーを反映していることが特徴で、主人公は環境破壊を調査するカメラマン、彼が変身するJは大自然のエネルギーで戦う戦士 = 大自然の使者、その使命は人類のみならず大自然の全生物を守ること、そして敵の目的はいわゆる世界征服ではなく、地球上の全生物を死滅させることである。また、ヒロインの少女・加那が公害で死んだ動物の墓を作るシーンや、山林が開発作業で切り崩されるシーンなども、この演出に一役買っている。

本作は、企画当初ではZOがパワーアップした姿を描くことが予定されていたが、諸事情により別作品として製作された[3]。その経緯から、Jやバイクの外観は、前作の『ZO』と酷似している[4]

仮面ライダー1号から始まった「改造人間」というモチーフは本作が最後となった。次作である『仮面ライダークウガ』以降、テレビ作品に登場するライダーは諸事情により改造人間という設定が省かれ、唯一テレビスペシャルに登場した『仮面ライダーG』のみが改造人間とされている。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


あらすじ

世界中を異常気象が襲う最中、かつて恐竜を絶滅させた集団・フォッグが再び地球に来襲。無数の怪人を孵化させ、地球の全生命を滅ぼそうとする。

一方、環境破壊を独自に調査し、その現状を多くの人々に訴えようとするカメラマン・瀬川耕司はバイクで野営しながら取材活動を続けていた。フォッグ・マザーは耕司が出会った心優しき少女・加那を生贄として選び、連れ去るよう幹部たちに命令する。それを阻止しようとする耕司だったが、返り討ちにあい谷底へ落とされてしまった。

地空人と呼ばれる人々によって耕司は改造手術(劇中では蘇生手術と呼ばれる)を受け、仮面ライダーJに変身する力を得て、加那を救うためにフォッグに立ち向かう。

登場人物

瀬川 耕司(せがわ こうじ) / 仮面ライダーJ
26歳のフリーカメラマン。環境破壊の現状を世間に伝えるため、オートバイで野営しつつ取材の旅を続けている。ある夜の野営中に、加那を誘拐したフォッグの攻撃により絶命するが、地空人により蘇生・改造手術を受け、Jパワー(精霊の力)の戦士・仮面ライダーJとして蘇り、フォッグから地球を守る使命を受けた。
木村 加那(きむら かな)
耕司がとある湖の汚染の調査に立ち入った際、知り合った少女。9歳。心優しい性格で、公害で死んだ動物たちの墓を作り続けている。耕司を慕い、野営中の彼にコーヒーを差し入れに来たが、そこをフォッグに大孵化の生け贄として誘拐されてしまう。
地空人(ちくうじん)
地中の奥深くで大地の精霊のエネルギーを糧として生きる者たち。強大な力を持つにも関らず、地上の光に弱い上、下半身が木の根のように大地に根付いているため、フォッグと戦う者として、大自然と心を通わせることのできる人間を捜し求めていた。耕司の大自然を愛する心を認め、彼にを蘇生・改造手術を施し、フォッグ打倒の使命と仮面ライダーJの名を与えた。
ベリー
地空人の下僕である、言葉を話すミュータントバッタ。地中から出られない彼らに代わって地上を飛び回り、耕司に助言を与える。

フォッグ

女帝にして母艦でもあるフォッグ・マザーと、彼女が生み出した怪人から成る集団。7000万年の昔、地球の恐竜を滅ぼしたのも彼らである。

設定名称では「フォッグ」だが、劇中では「フォグ」と発音されている。

機械獣母艦フォッグ・マザー
  • 全高:70m / 体重:12000t
フォッグの首領。体内には無数の怪人の卵が安置してあり、千年に一度の大孵化を行うための生贄を求めて地球に降り立った。母性の感情があり自ら生み出す怪人には慈悲深いが、それ以外の生物には無慈悲。コブラか蛇の様なマザーの本体は深奥に存在している。
母艦は地上に降りた状態でも、車輪での移動が可能。多数の砲門や鍵爪、破壊光線(描写から反重力光線とも解釈できる)などを駆使して破壊の限りを尽くす。前作「ZO」のレッドドラス同様、公開まで登場は公表されていなかった。
コブラ男ガライ
  • 身長:207cm / 体重:125kg / ジャンプ力:120m
3幹部のリーダー格でフォッグの第1王子。コブラ男に変身。高い戦闘力を持ち、人間を催眠状態にして操る能力も持つ。鞭にも変化する光の剣を武器とし、手から巨大な三つ又の爪を発射する。
ハチ女ズー
  • 身長:189cm / 体重:79kg / 最高飛行速度:時速870km / 最高高度:5000m
3幹部の一人でフォッグの女性神官。戦闘力はあまり高くないが、飛行能力を活かした奇襲戦法を得意とする。手の平から鋭い針を発射する。
トカゲ男アギト
  • 体長:350 - 490cm(尻尾が伸縮する) / 体重:105kg
3幹部の一人の老紳士。トカゲ男に変身。怪力と突進力を兼ね備えた猛者。伸縮自在な尻尾や鋭い牙を使った攻撃を得意とする。

本編で登場した三大怪人の他にも竜人、トカゲ男アギトの強化体などがデザイン画(DVD映像特典)に存在する。

仮面ライダーJ

瀬川耕司が腹部のJスピリットにより変身する仮面ライダー。

聖霊の力・Jパワーを力の源とし、指をJの字型に構えるJサインには、Jパワーを高める効果があり、変身時や必殺技の発動時などにたびたび使用する。必殺技は「Jキック」(発声はライダーキック)、「Jパンチ」、「Jチョップ」、「Jエルボー」。

  • 身長:194cm / 体重:84kg / ジャンプ力:一跳び150m
ジャンボフォーメーション
フォッグ・マザーとの決戦においてJが巨大化した形態。大地に宿る全ての精霊たちがJに力を注ぐことで初めて可能となった「奇跡の形態」。この形態における身長は40m[5][6]
重量12000tのフォッグ・マザーを吹き飛ばす打撃力、雲の上まで達する跳躍力など、全ての面で驚異的なパワーアップを遂げている。必殺技は「ジャンボライダーキック」。
ジェイクロッサー
  • 全長:2100mm
  • 全幅:900mm
  • 全高:1310mm
  • 重量:135kg
  • ジャンプ力:90m
  • 最高時速:1330km
Jパワーを動力源とするJ専用のスーパーバイク。瀬川耕司の愛車である市販バイク(スズキTS200R)がJパワーを受けてこの形態に変形する。1000℃の高温にも耐えるボディを持ち、天候や路面状況を問わずに常に最高性能を保つことができる。空中からの体当たり技「ジェイストライク」などでJと共に戦う。
ベースマシンはスズキ・DR250S
他作品への登場
仮面ライダーZOと共演。後半では、同じく巨大化したシャドームーンに対抗するために巨大化。
キングダークが現れた時に仮面ライダーディエンドにジャンボフォーメーションの状態で召喚[7]され、キングダークと戦うも敵わず、直後にディケイドがファイナルフォームライドすることで変形したジャンボディケイドライバーと合体、仮面ライダーディケイド コンプリートフォーム ジャンボフォーメーションとなった。
ディケイドを倒すためジャンボフォーメーションの状態で倒そうとするも激情態の「アタックライド・ギガント」と「アタックライド・サイドバッシャー」の猛攻を前にして、カードに封印されてしまう。
ダブルライダー、磔にされた映司、アンク、幸太郎を救うためにショッカーの怪人連合を倒すべく、人々の思いを受けて他のライダーと共に登場。本作でも戦ったコブラ男ガライと交戦する。また平成ライダーシリーズでは初めての等身大で登場した他、今回はライダーが集合したスチール写真にも掲載されている。
ゴーカイレッドに他のライダー共々亜空間に消されていたが終盤で他のライダー、スーパー戦隊と共に復活し大ショッカー、大ザンギャックと戦った。

キャスト

スーツアクター

スタッフ

音楽

主題歌・挿入歌および劇中BGMは、前作『ZO』と同じく川村栄二が手掛けた。なお、本作のBGMは『重甲ビーファイター』に流用されている。

主題歌

「心つなぐ愛」
  • 作詞:大津あきら / 作曲:川村栄二 / 歌:BYUE(バイユー)

挿入歌

「Just One Love」
  • 作詞:大津あきら / 作曲:川村栄二 / 歌:BYUE

コミカライズ

映像ソフト化

  • VHS(セル、レンタル共通)、LD(セルのみ)がリリースされている。
  • DVDは2003年12月21日発売。

脚注

  1. ^ ただし、これはあくまで一回限りの「お祭り企画」的な要素が強い演出であった
  2. ^ バンダイ刊エンターテイメントバイブル『仮面ライダー大図鑑 J・ZO・真編』の記述から。
  3. ^ 仮面ライダーJ超全集より。
  4. ^ これを逆手に取り、後のオリジナルストーリーHERO SAGAにおいてZOとJを結び付ける物語が描かれ、ZOを助けた巨木やミュータントバッタの正体がJを作った地空人であり、彼らはZOを元にしてJを作ったという設定が創られた。
  5. ^ 竹書房『仮面ライダー画報』
  6. ^ この身長は『ウルトラマン』と同じ背丈である。
  7. ^ Jのみオールライダーのスチールに写っていない。
  8. ^ 「LIST OF WORKS 岡元次郎」『JAE NAKED HERO』太田出版、2010年3月8日、34頁頁。ISBN 978-7783-1210-7{{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効なISBNです。 

関連項目