トヨタ・ウィッシュ

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ウィッシュWISH)は、トヨタ自動車生産しているミニバン。全幅が1.7m以下の「5ナンバーサイズ」を基本とする3列6-7人乗りのミニバンである。取り扱いは新旧ネッツ店(旧トヨタビスタ店含む)。

概要

販売面においては、イプサムが2代目へのフルモデルチェンジで大型化したことによりその後継を担う目的も与えられているが、初代イプサムとはエンジンの排気量が異なるほか、初代イプサムが「ファミリー」を重視したのに対し、ウィッシュは「スポーティ」を多く取り入れた内外装やグレード構成にするなど、両車種の違いは少なくない。そのため、トヨタではイプサムの後継車種ではないと説明している。

2000年から発売され人気の高かったホンダ・ストリームと車体寸法が同一でよく似たデザインとコンセプトであったことから、その対抗車種として開発されたものと一般的には見られている。

生産は初代が堤工場で、2代目が田原工場(第2ライン)。当初は日本専用車であったが、のちにタイ王国台湾でも現地生産されるようになった(ただし、台湾仕様はバンパーが大型化されて車名エンブレムの書体が異なったり(初代)、 パーキングブレーキがサイドレバー式であったり(初代・2代目)、パワーシートが備わる(2代目)など一部に違いあり) 。

台湾市場においてはタクシーとしての需要が大きく、初代・2代目とも頻繁に見かける。また、日本とは違って7人乗りでもタクシー登録が可能となっている(タクシー専用グレードは5人乗りのみ)。 2代目は自衛隊で業務車1号として導入されている。これはステーションワゴンの車種が減少していて使用できる車種が少なくなったためである。

また、2003年末ごろより日本仕様車を中心に、香港シンガポールマレーシアといった国々へも並行で輸出されている。

初代(2003年-2009年)

トヨタ・ウィッシュ(初代)
ZNE1#G/ANE10G/ANE11W型
前期型(2003年1月-2005年9月)
後期型(2005年9月-2009年4月)
ボディ
乗車定員 6/7人
ボディタイプ 5ドアミニバン
駆動方式 FF/4WD
(4WDは1.8L車のみ設定)
プラットフォーム トヨタ・MCプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 1ZZ-FE型 1.8L 直4 DOHC
1AZ-FSE型 2.0L 直4 DOHC D-4
変速機 4AT(1.8L車)/CVT(2.0L車)
前:ストラット式
後(2WD車(除く2.0Z)):トーションビーム式
後(4WD車、2.0Z):ダブルウィッシュボーン式
前:ストラット式
後(2WD車(除く2.0Z)):トーションビーム式
後(4WD車、2.0Z):ダブルウィッシュボーン式
車両寸法
ホイールベース 2,750mm
全長 4,560mm
全幅 1,695/1,745mm
全高 1,590/1,600mm
車両重量 1,300-1,400kg
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プラットフォームプレミオ/アリオンのものをベースに、ホイールベースを延長するなどの改良がされた。エンジンは当初、1ZZ-FE型1,800cc(132PS)のみだったが、2003年4月には1AZ-FSE型 2,000cc D-4(155PS)が搭載された。トランスミッションオートマチックトランスミッションのみで2,000ccのFFモデルにCVTを、1,800ccのFFモデルおよび、4WDモデルには4ATを組み合わせている。4WDシステムは、前輪駆動と四輪駆動オートモードの切り替えが行えるアクティブトルクコントロール4WDを採用している。4WD車と2.0Zのリヤ サスペンション には ダブルウィッシュボーン式サスペンションを、それ以外のグレードにはトーションビーム式サスペンション を採用している。

スタイリングを重視した結果、スライドレールによりデザインに制限が出るスライドドアは採用せず、後席ドアも前席ドアと同じ前ヒンジドアになっている。

グレード構成

グレード構成はベーシックな"X"、上級の"G"を基本に、トップモデルとして、2.0Lモデルにオーバーフェンダーと17インチタイヤ、シーケンシャルCVTを与えた、スポーティな「2.0Z」を据える。「2.0Z」はオーバーフェンダーによって幅が1,700mmを超えるため、その他のグレードが5ナンバーなのに対して、3ナンバーとなっている。また1.8Lモデルにはスポーティグレードの「Sパッケージ」(2005年9月のマイナーチェンジで「Aero sportsパッケージ」に名称変更)、廉価グレードの「Eパッケージ」が設定されている。「2.0Z」では2列目シートにキャプテンシートを採用しているため6人乗り仕様となり、他のグレードでは2列目シートにベンチシートを採用するため7人乗りとなる。

年表

  • 2002年 - 東京モーターショーでウィッシュを参考出品。
  • 2003年
    • 1月20日 - 販売開始。月間目標販売台数は7,000台。生産は堤工場。当初はネッツ店とビスタ店での取り扱い。
    • 4月25日 - 2.0Lエンジン+CVT搭載の「2.0G」と「2.0Z」を追加。
  • 2004年5月1日 - 新生ネッツ店(=旧ネッツ店+旧ビスタ店)の誕生を記念し、特別仕様車「NEO Edition」を発売。
    「1.8X」と「2.0G」をベースに、ディスチャージヘッドランプやフロントフォグランプなどを特別装備し、専用のドットパターンで統一された内装を採用した。
  • 2005年9月5日 - マイナーチェンジ
    ヘッドランプのプロジェクター化、リアコンビネーションランプのウィンカー、バックランブが下部に、リフレクターがバンパーに移動し、テールランプがLED4灯×4列式に変更。フロントのエンブレムをネッツ店専売車種向けの「N」をかたどったものに変更するなど内外装のリフレッシュ、メカニズム関連の見直しともにカーナビG-BOOKALPHAやBluetoothハンズフリー機能、ヘルプネットなどに対応したHDDタイプに変更するなどの大幅な改良を行う。また、1800ccのFFモデルにはシーケンシャルシフトを装備。2.0Zのシーケンシャルモードが6速から7速になった。
  • 2006年4月17日 - 特別仕様車「X Limited」を発売。
    「X」をベースに、ディスチャージヘッドランプ、スエード調シート表皮、黒木目調パネル、本革巻き3本スポークステアリングホイール・シフトノブを装備した。
  • 2007年6月18日 - 「X Aero Sports パッケージ・L Edition」を発売。
    「X」をベースに、グレーを基調とした内装に、上級グレードに採用されているスマートドアロックリモートコントロール、赤外線カット機能付ウインドシールドガラス、撥水機能付フロントドアガラスなどを装備した「X L Edition」並びに「X L Edition」の装備に加え、運転席・助手席アームレスト、スエード調ドアトリムオーナメント&シート表皮を追加した。
  • 2008年6月24日 - 2006年に発売された「X Limited」の仕様を一部変更し再発売。新たに赤外線カット機能付ウインドシールドガラスなどの快適装備をプラス。また、「X Aero Sports パッケージ・Limited」も同時発売。

2代目(2009年-)

トヨタ・ウィッシュ (2代目)
ZGE2#G/ZGE2#W型
1.8S フロント(後期型)
1.8S リア(後期型)
ボディ
乗車定員 6/7人
ボディタイプ 5ドアミニバン
駆動方式 FF/4WD
プラットフォーム トヨタ・MCプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 2ZR-FAE型 1.8L 直4 DOHC VALVE MATIC(日本・香港・マカオ仕様)
3ZR-FAE型 2.0L 直4 DOHC VALVE MATIC(日本・香港・マカオ仕様)
3ZR-FE型 2.0L 直4 DOHC(台湾仕様)
変速機 Super CVT-i
4AT(台湾仕様 前期のみ)
前:ストラット式
後(2WD車(除く2.0Z)):トーションビーム式
後(4WD車、2.0Z):ダブルウィッシュボーン式
前:ストラット式
後(2WD車(除く2.0Z)):トーションビーム式
後(4WD車、2.0Z):ダブルウィッシュボーン式
車両寸法
ホイールベース 2,750mm
全長 前期:4,590mm、後期:4,600mm(台湾仕様:4,635mm)
全幅 1,695-1,745mm
全高 1,590-1,600mm
車両重量 1,340-1,440kg
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2009年4月2日に2代目へフルモデルチェンジ。月間販売目標は6000台と発表されていた。開発主査はのちに86の開発主査も手掛けた多田哲哉である。

今回は「Smart Multi Player WISH(スマート マルチ プレイヤー ウィッシュ)」をテーマに、スポーティ感と快適性をより一層向上させた。

優れた環境性能と高い動力性能を両立する動弁機構「バルブマチック」を搭載したエンジンを全車に搭載。Super CVT-i(SとZは、7速パドルシフト付き)と組み合わさることで初代モデルに比べ、燃費が最大約15%向上された。

フロントマスクはフロントバンパーに厚みを持たせ、シャープなヘッドランプと相まって精悍さを高めたほか、ルーミーさとスポーティーさを兼ね備えたスタイリッシュなエクステリアとした。インパネを飛行機の翼をイメージした水平方向に広がるデザインにし、内装色には新たにグレージュを設定した。

また、10スピーカーを配置した「WISH・パノラミックライブサウンドシステム」(サイドミラーカメラの同時取り付け不可)を設定したほか、抗ダニアレルゲン加工シート、プラズマクラスター搭載の花粉除去モード付オートエアコン、S-VSC、SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ(サンルーフオプション設定あり)、アクティブヘッドレスト(運転席・助手席)自動エンジンブレーキ、全席オートパワーウィンドウを全車に標準装備し、安全性と快適性も向上された。

この世代から、香港とマカオでも正規販売がされている。

グレード構成

2代目は、ベーシックグレードの「1.8X」、快適性能を高めた上級グレードの「2.0G」(以上5ナンバー)、初代の「X・Aero Sports パッケージ」から単独グレード化したスポーティモデルの「1.8S」、低燃費ときびきびとした走りを両立した「ダイナミックスポーツモード」を搭載したフラッグシップモデルの「2.0Z」(以上3ナンバー)の4グレードとした。初代モデルと同様オーバーフェンダーと2列目をキャプテンシートとした「2.0Z」は6人乗り、2列目をベンチシートとしたその他のグレードは7人乗りである。リアゲートなどにグレードや4WD等の表記はなく区別がしにくい。

2012年4月のマイナーチェンジでは「G」が1.8L車に移行した。また「1.8S」の装備を一部削り低価格にしたスポーティーモデルのエントリーグレードとして「1.8A」を追加した。これにより、2.0L車は「2.0Z」のみとなった。

年表

  • 2009年
    • 4月2日 - フルモデルチェンジ
    • 12月2日 - 一部改良。
      1.8L・4WD車、および「1.8X」の2WD車において充電制御やオルタネーターの改良を行い、燃費を向上。これにより、1.8L・4WD車が「平成22年度燃費基準+15%」、「1.8X」の2WD車は「平成22年度燃費基準+25%」をそれぞれ達成した。
  • 2010年4月19日 - 一部改良および特別仕様車「1.8X HIDセレクション」を発売。
    • 「1.8S」の2WD車において、バッテリーやオルタネーターの制御等の改良を行い、燃費を向上。これにより、「平成22年度燃費基準+25%」を達成した。
    • 特別仕様車「1.8X HIDセレクション」は「1.8X」をベースに、ディスチャージヘッドランプ(プロジェクター式ロービーム・オートレベリング機構付)、コンライト(ライト自動点灯・消灯システム)、助手席アームレスト(運転席アームレストはベース車に標準装備)、本革巻き(シルバーステッチ)のステアリングホイール、シフトノブを装備した。
  • 2011年9月28日 - 特別仕様車「1.8S MONOTONE」を発表(10月3日販売開始)。
    「1.8S」をベースに、ブラックメタリック塗装のディスチャージヘッドランプ(プロジェクター式ロービーム・オートレベリング機能付)、ダークメタリック塗装のアルミホイール、スモークメッキのフロントグリル&バックドアガーニッシュ、クロムメッキを組み合わせたカラードアウトサイドドアハンドルを特別装備するとともに、専用ファブリックと合成皮革をブラックとオフホワイトで組み合わせた専用シート表皮、ブラックの専用ファブリックを施したドアトリム、ボディカラーに合わせたセンタークラスターやパワーウィンドゥスイッチベースを採用するなどモノトーンで構成されたインテリアを採用した。ボディカラーはブラックとオプションカラーのホワイトパールクリスタルシャインの2色のみを設定する。
  • 2012年
    • 4月9日 - 日本仕様をマイナーチェンジ[1](香港・マカオ仕様は5月18日より)。
      ラジエーターグリルやバックドアガーニッシュのデザインを変更するとともに、リアコンビネーションランプのブレーキ部分をLED化し、上下を入れ替えたことで台湾仕様(前期)に似た配列となった。ドアミラーも台湾仕様同様にサイドターンランプを内蔵し、スポーティ系グレードには新デザインのエアロバンパーも採用。ボディカラーについては全グレードにおいてiQオーリスに設定されている「オレンジメタリック」が選択可能となった。内装はシート表皮とメーター色をグレード毎に個別設定するなど個性を際立たせた。今回のマイナーチェンジを機に、2Lグレードは「2.0Z」のみとなり、従来の「2.0G」は「1.8G」へと変更されるとともに、「1.8S」の廉価版として「1.8A」を追加した(なお、「1.8A」は「1.8S」同様、3ナンバー登録となる)。また、「1.8S」と「2.0Z」には車両のGセンサーから減速度や旋回力を判断し、コーナリング中の不要なシフトアップを抑制するG AI-SHIFT制御付CVTスポーツモードを採用。さらに、エンジンなどの改良を行ったことで燃費を向上し、全車で「平成27年度燃費基準」を達成した。
    • 12月 - 台湾仕様をマイナーチェンジ。
      全グレードとも日本仕様の「1.8S」や「1.8A」とほぼ同等のエクステリアとなった。但し、前期型同様、リヤバンパーは日本仕様のリフレクターの位置に大型のリヤフォグランプが内蔵されるため、若干形状が異なる。3ZR-FEエンジンに変更はないが、トランスミッションが4ATから7速シーケンシャルモード付「SUPER CVT-i」に変更され、燃費が向上した。
  • 2013年(平成25年)
    • 9月19日 - 2011年10月に発売した特別仕様車「1.8S MONOTONE」を再発売。今回は内装のヘッドレストに合成皮革を採用したほか、フロント周りはスモークメッキバー付のフロントグリルに加え、フロントエアロバンパーのセンターカラーをブラックに変更し、フロントフォグランプにスモークメッキガーニッシュを施した。さらに、スマートエントリー(運転席・助手席・バックドア/アンサーバック機能付・スマートキー2本)&スタートシステム、盗難防止システム(エンジンイモビライザーシステム)なども装備しより魅力的な仕様となった。
  • 2015年(平成27年)
    • 5月7日 - 一部改良[2]。CVTの改良により、1.8L・2WD車で燃費が16.0km/L(JC08モード)に向上。また、フロントドアガラスには新たにスーパーUVカットガラスを採用し、「1.8G」と「2.0Z」に標準装備、特別仕様車の「1.8S MONOTONE」に特別装備した。

車名の由来

英語で「願い」を指す「WISH」からきている。

関連項目

出典

  1. ^ トヨタ、ミニバン「ウイッシュ」をマイナーチェンジ - Car Watch(2012年4月9日)
  2. ^ TOYOTA、ウィッシュを一部改良 - トヨタ自動車株式会社 ニュースリリース 2015年5月7日(2015年5月8日閲覧)

外部リンク