石垣島

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石垣島
川平湾(2019年9月11日撮影)
所在地 日本の旗 日本沖縄県石垣市
所在海域 太平洋東シナ海フィリピン海
所属諸島 八重山列島
座標 北緯24度20分04秒 東経124度09分22秒 / 北緯24.33444度 東経124.15611度 / 24.33444; 124.15611 (石垣島)座標: 北緯24度20分04秒 東経124度09分22秒 / 北緯24.33444度 東経124.15611度 / 24.33444; 124.15611 (石垣島)
面積 222.54 km²
海岸線長 162.2 km
最高標高 525.5 m
最高峰 於茂登岳
石垣島の位置(沖縄県内)
石垣島
石垣島 (沖縄県)
石垣島の位置(日本内)
石垣島
石垣島 (日本)
プロジェクト 地形
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衛星画像
石垣島の位置

石垣島(いしがきじま)は、沖縄県石垣市に属する八重山列島である。

沖縄県内では沖縄本島西表島に次いで3番目、日本全体(北海道本州四国及び九州の4島と沖縄本島を含む)では21番目の面積を持つ[1]人口は約4万9千人(2019年2月時点)[2]

概要

石垣島は八重山列島の政治経済教育交通などの中心地である。県庁所在地那覇市からは南西に410km離れている[3]。一方、台湾とは概ね270kmしか離れておらず、地理的には日本の大半の地域よりも台湾に近い。

歴史

白保竿根田原洞穴遺跡から日本最古と見られる約2万年前の人骨が見つかっている。

1771年八重山地震(明和の大津波)を含めて、巨大津波が過去2000年間に4度押し寄せたことが地層調査で明らかになっている[4]

地理

平久保半島

地勢

面積は222.25km2[5]。島の主要部は概ね五角形で、その北東端から北東方向に細長く野底半島及び平久保半島が突き出ている[6]。島の中央やや北にある標高 525.5 m於茂登岳は沖縄県の最高峰であり、この山以北は山がちである。於茂登岳の山腹からは、石垣島最大の宮良川が南流する[7]とともに、名蔵川が西流して河口に名蔵アンパルを形成する。南部は、隆起サンゴ礁の平地が多く、人口が集中する。

気候

石垣島
雨温図説明
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気温(°C
総降水量(mm)
出典:気象庁(1981年 - 2010年の平均値)
インペリアル換算
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73
64
気温(°F
総降水量(in)

亜熱帯海洋性気候に属する[8][9]。また、気象庁平年値(1981-2010年)に基づくと、ケッペンの気候区分上は熱帯雨林気候 (Af) に相当する。

  • 石垣市登野城
    • 最寒月平均気温 18.6 (1月)
    • 最暖月平均気温 29.5℃(7月)
    • 年間平均気温 24.3℃
    • 最少雨月降水量 126.3 mm(12月)
    • 最多雨月降水量 261.6 mm (8月)
    • 乾燥限界 626 mm < 年平均降水量 2106.8 mm
  • 石垣市 伊原間
    • 最寒月平均気温 18.3 ℃(1月)
    • 最暖断月平均気温 28.8℃ (7月)
    • 年間平均気温 23.8℃
    • 最少雨月降水量 122.3 mm(7月)
    • 最多雨月降水量 250.6 mm (9月)
    • 乾燥限界 616 mm < 年平均降水量 2168.8 mm

自然

白保サンゴ礁
米原のヤエヤマヤシ群落

隣接する西表島と共通する貴重なが多数生息している。若干の差が見られるものもあり、たとえばヤエヤマスミレ(Viola tashiroi Makino)はこの両島のみに分布する固有種であるが、石垣島にはその変種のイシガキスミレ(Viola tashiroi Makino var. tairae K.Nakaj.)が分布する[10]

一方、未だに大半を森林に覆われている西表島に対して、古くから開発が進んだ石垣島では、森林の面積は広くなく、数を減らしている生物も多い。例えば、日本では石垣島と西表島に分布するベニボシカミキリは、石垣個体群のみが、沖縄県のレッドデータブックで絶滅のおそれのある地域個体群に指定されている[11]

東部の宮良川河口のマングローブや、北部の米原のヤエヤマヤシ群落は天然記念物に指定されている[12]。西部の名蔵アンパルは、2005年ラムサール条約に基づいて保護すべき貴重な湿地に登録された[13]

海岸ではサンゴ礁がよく発達し、南西側には西表島との間に石西礁湖が広がる。東南側の白保サンゴ礁には、約120種以上のサンゴが分布しており、1987年国際自然保護連合(IUCN)の調査により北半球最大規模とされたアオサンゴの大群落をはじめ、ハマサンゴの巨大な群落やマイクロアトール、ユビエダハマサンゴの群落が見られる[14]。北西部の川平湾も、流れが急で多様なサンゴがみられ、グラスボートによる遊覧が盛んである。 [15]

2007年8月1日、石垣島の面積の約3割にあたる約 7,000 ha が西表国立公園へ編入されるとともに、名称が西表石垣国立公園に変更された。これは、国立公園としては、1964年富士箱根伊豆国立公園以来43年ぶりの大規模な拡張である。また、この変更によりかつて新空港問題を契機に広く知られるようになった白保地区等が海中公園地区とされ、海中公園の面積は国内最大となった[16][17]

生物

この地域に固有の動植物(固有種)は多い。その多くは西表島と共通である。それらのうち、「石垣」の名を冠する代表的な生物としては以下のものがある。

なお、イシガキダイイシガキフグは、「石垣」を名に含むが石垣島とは無関係である。

放送

観光

ダイビング・シュノーケリング

島の周辺は、日本の代表的なダイビングポイントの一つとして知られ、1年を通して多くのダイバーが訪れる場所となっている。スクーバダイビング専門誌『マリンダイビング』による読者投票では、2020年まで20年連続で国内ダイビングエリア部門で1位に選出されている[18]

北西部の川平石崎沖には世界有数のナンヨウマンタのクリーニングポイントがあり、8月から10月を最盛期に、年間を通じて遭遇率が高い[19][20]

島内には八重山ダイビング協会に加盟しているダイビングショップだけでも約70店舗がある[21]。また、シュノーケリングについても島の業者による観光客向けのツアーが催行されている。

名所・旧跡・観光スポット・施設

文化財

史跡

名勝

天然記念物

重要文化財

  • 宮良殿内(みやらどんち) - 建物(旧宮良殿内)が重要文化財、庭園(宮良殿内庭園)が名勝に指定されている。
  • 旧和宇慶家墓
  • 桃林寺権現堂 - 桃林寺は八重山列島最古の仏教寺院[12]

その他

島外との交通

空路

2013年に新石垣空港(南ぬ島石垣空港)が開港した。旧空港時代から就航している日本トランスオーシャン航空琉球エアーコミューターおよびANAに加えて、LCCを含む格安航空会社スカイマークPeach Aviationが新たに就航したほか、国際線も新たに就航した。

航路

石垣港から八重山列島各島への高速船やフェリーによる定期旅客航路がある。八重山列島外へは、かつては琉球海運有村産業那覇台湾香港などへの定期旅客航路を運航していたが、いずれも運航を休止するか旅客営業を停止している。

防衛

先島諸島では、宮古島陸上自衛隊宮古島駐屯地(2019年開設)及び航空自衛隊宮古島分屯基地与那国島に陸上自衛隊与那国駐屯地(2016年開設)が存在するものの、八重山列島の主島である石垣島には防衛省自衛隊の管轄にある施設は存在しない。防衛省では、宮古島駐屯地開設前に、南西地域の自衛隊配置は空白状況にあるとしていた[24]。なお、海上については、海上保安庁が管轄する石垣海上保安部宮古島海上保安部が所在し、尖閣領海警備を中心にある程度の対処能力をすでに有している。

中国海軍の軍備強化を受けて、防衛省は「26中期防及び31中期防に基づく離島防衛強化」のため、石垣島への陸上自衛隊の部隊(離島警備部隊及び地対空・地対艦ミサイル部隊)配備を決定[25]しており、2019年3月には造成工事が開始されている[26]

石垣島を舞台とする作品

小説
映画
テレビドラマ

脚注

  1. ^ 国立天文台(編) 平成19年 理科年表 p.565 ISBN 4621077635
  2. ^ 石垣市の人口”. 石垣市. 2019年4月12日閲覧。
  3. ^ 加藤庸二『原色 日本島図鑑』(改訂第2版)新星出版社、2013年、359頁。ISBN 978-4-405-07166-7 
  4. ^ “巨大津波、石垣島へ過去4回襲来 600年間隔で発生か 地層に痕跡”. 沖縄タイムス. (2017年5月31日). http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/99957 2018年3月10日閲覧。 
  5. ^ 平成27年全国都道府県市区町村別面積調 島面積” (PDF). 国土地理院. p. 111 (2015年10月1日). 2016年2月29日閲覧。
  6. ^ 金子慶之『地域地質研究報告 5万分の1 地質図幅 宮古島(19)第6号 NG-51-12・18-1 石垣島東北部地域の地質』(PDF)独立行政法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2003年https://www.gsj.jp/data/50KGM/PDF/GSJ_MAP_G050_19006_2003_D.pdf2018年9月13日閲覧 
  7. ^ 角川日本地名大辞典編纂委員会 (8 July 1986). "宮良川". 角川日本地名大辞典 47 沖縄県. 角川書店. p. 676.
  8. ^ 小林真、寺内方克、中野寛、江川宜伸「石垣島におけるパイナップル圃場の土壌保全を目的とした芝草類の畦間被覆作物としての利用技術」(PDF)『芝草研究』第26巻第2号、石垣島地方気象台、1998年3月、157-169頁、2018年12月29日閲覧 
  9. ^ 八重山地方の気候の特徴”. 石垣島地方気象台. 2016年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月29日閲覧。
  10. ^ イシガキスミレ Viola tashiroi Makino var. tairae K.Nakaj.”. 琉球の植物「データベース」. 国立科学博物館. 2020年12月5日閲覧。
  11. ^ 松村雅史『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版 動物編 3.9 昆虫類』(レポート)沖縄県、2017年3月、396頁。 オリジナルの2017年6月24日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20170624165628/https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/hogo/documents/konnchuurui.pdf 
  12. ^ a b c d e 石垣市内にある指定・登録文化財”. 石垣市 (2020年3月31日). 2020年12月5日閲覧。
  13. ^ “名蔵アンパル正式にラムサール登録”. 八重山毎日新聞. (2005年11月9日). https://www.y-mainichi.co.jp/news/2698/ 
  14. ^ サンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」”. WWFジャパン. 2019年4月12日閲覧。
  15. ^ 長谷川均、山野博哉 著「6 日本各地のサンゴ礁の現状 6-1-7 八重山群島」、環境省・日本サンゴ礁学会 編『日本のサンゴ礁』(PDF)環境省、2004年3月、220-237頁https://www.env.go.jp/nature/biodic/coralreefs/reference/mokuji/060107j.pdf 
  16. ^ "報道発表資料【開催予定】石垣島の国立公園編入に関する説明会の開催" (Press release). 那覇自然環境事務所. 6 February 2007. 2019年4月12日閲覧
  17. ^ “西表島国立公園大規模拡張へ 石垣島の陸域7022ヘクタールと周辺海域編入”. 八重山毎日新聞. (2007年2月8日). http://www.y-mainichi.co.jp/news/7170/ 2018年3月10日閲覧。 
  18. ^ 読者の投票による海の人気ランキング 第20回 マリンダイビング大賞2020最終結果発表!”. Marine Diving web. 株式会社水中造形センター. 2020年12月5日閲覧。
  19. ^ マンタについて”. 八重山ダイビング協会. 2018年3月10日閲覧。
  20. ^ 川平石崎”. やえやまなび. 南山舎. 2020年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。
  21. ^ 加盟ショップ”. 八重山ダイビング協会. 2018年3月10日閲覧。
  22. ^ 請福酒造蔵元売店:工場見学”. おきなわ物語. 沖縄観光コンベンションビューロー. 2020年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。
  23. ^ 当館について”. 八重山平和祈念館. 2020年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。
  24. ^ 防衛省・自衛隊:防衛大臣記者会見概要|平成30年7月20日(09時30分~09時53分)(於:防衛省記者会見室)”. 防衛省 (2018年7月20日). 2018年8月21日閲覧。
  25. ^ “石垣島の陸自配備、2年前倒し 宮古・奄美と同時進行 尖閣への中国脅威にらみ”. 産経ニュース. (2016年5月30日). オリジナルの2016年5月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160530181433/https://www.sankei.com/politics/news/160530/plt1605300006-n3.html 2018年6月10日閲覧。 
  26. ^ “造成工事着手から1年 陸自配備攻防ヤマ場へ”. 八重山毎日新聞. (2020年3月2日). https://www.y-mainichi.co.jp/news/36195/ 

関連項目

外部リンク