馬毛島

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馬毛島
131027 Mage Island Nishinoomote Kagoshima pref Japan01ss.jpg
座標 北緯30度44分29.9秒
東経130度51分16.9秒
面積 8.20 km²
海岸線長 16.5 km
最高標高 71.7 m
最高峰 岳之越
所在海域 東シナ海
所属諸島 大隅諸島
所属国・地域 日本の旗 日本 鹿児島県西之表市
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東側の海上から望んだ馬毛島
馬毛島の東側に建つ建物群
(2010年2月19日)

馬毛島(まげしま)は、大隅諸島の一つ。

なお地名(行政区画)としての「馬毛島」は、鹿児島県西之表市の大字である。郵便番号は891-3118。

地理[編集]

種子島の西方12kmの東シナ海上に位置している島で、面積は8.20km²[1]、周囲16.5km[2]。最高地点は島中央部の岳之越の71.7m、地勢は低くて平らである[3]。島には河川がなく地質は農業に適さない。

島内には、ニホンジカの1亜種であるマゲシカが棲息している。島の周辺は好漁場となっている。

歴史[編集]

前史[編集]

鎌倉時代から種子島氏の領地となっていたが、漁師がトビウオ漁の時期に1~2カ月ほど小屋に泊り込み、漁業基地としていたほかはほとんど住民はいなかった。

明治以降は牧場としての利用が試みられる。太平洋戦争末期の1944年に海軍の防空監視所が設置されたことに伴って無人島となった。

無人島化[編集]

1951年からは緊急開拓事業による農業開拓団が入植を開始。ピーク時の1959年(昭和34年)には113世帯528人が島に住み、サトウキビ栽培や酪農を営んでいた。しかし、農業に適さない土地であることに加え、害虫や鹿の農作物被害が増加し生活が困窮したため、島民は徐々に島を離れていった。1980年(昭和55年)3月に最後の島民が島外に移住し、西之表市立馬毛島小・中学校も最後の卒業生を送り出して閉校[注釈 1]、島は無人島となった。

1974年、平和相互銀行により馬毛島開発株式会社が設立される。当初はレジャー施設の建設を計画していたが挫折。馬毛島が国の石油備蓄基地の候補地になったことから土地買収が進んだ。しかし石油備蓄基地は鹿児島県志布志湾に決定し、以後島は放置される。

このあと馬毛島は、日本の無人島の中では北海道渡島大島に次いで2番目に面積が大きい島とされていた。

1983年、右翼活動家の豊田一夫は、平和相互銀行に馬毛島の土地を自衛隊の超水平線レーダー用地として防衛庁に売却するという話を持ちかけ、不正経理によって用意させた巨額の資金を政界にばら撒いたとされている。これは1986年に発覚、経営が悪化していた平和相互銀行は住友銀行に救済合併された(馬毛島事件)。

1986年には前年に起こった山火事等の影響で集団化したトノサマバッタが大発生(蝗害)したが、翌年には収束した[4]

1995年、立石建設が馬毛島開発を買収して子会社とする。馬毛島開発は島の土地の買収を進め、西之表市の公有地である市道と旧学校地を除く大半を所有地とした。馬毛島開発では、日本版スペースシャトル(HOPE)の着陸場、使用済み核燃料中間貯蔵施設などを誘致するとの構想を持っていたが、実際の開発は進まず、わずかに採石事業などが行われている。

2005年(平成17年)の国勢調査では、同社の従業員15人が住民として登録されており、再び有人島扱いとなっている。

滑走路建設問題[編集]

2007年(平成19年)に硫黄島に代わるアメリカ海軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)に利用する可能性が報道された。これに対し周辺自治体議会は反対決議を可決した。2009年(平成21年)12月には、沖縄県宜野湾市にある普天間飛行場の移設候補地として検討された[5]。馬毛島開発は島で土木工事を進めており、4,000m級の滑走路を建設するとしていた[6]

2011年5月には、北沢俊美防衛相が陸上空母離着陸訓練施設の候補として検討を指示していることが報道された。馬毛島は過去に汚職の舞台となり、また立石建設およびその子会社である馬毛島開発の社長を務めていた実質的なオーナー立石勲および法人としての立石建設が、法人税3億2000万円を脱税したとして在宅起訴され、2011年6月に有罪判決を受けている[7]、などの事情から、防衛省では島の敷地の買い取りを前提としているが[8]、立石勲はリースによる利用を主張している。2011年6月になり土地の99.6%を所有するタストン・エアポート(馬毛島開発から商号変更)と防衛省の間で、用地交渉開始の合意書が締結された[9]。また日米安全保障協議委員会(2プラス2)において、FCLPの移転先として馬毛島を検討対象とすることが共同文書に明記された。

報道等では、馬毛島開発が島を十字に横切る「滑走路」を建設してるとしているが、実際には測量名目で樹木を伐採し表面を整地している。この開発は、鹿児島県への森林伐採届および林地開発の許可を得ていたが、届出よりも大規模な伐採・整地・盛り土をおこなっているとされている[10][注釈 2]

2011年7月には、開発工事によりマゲシカが2000年以降半減しているとの研究者による調査結果が報道され[11] 、これを受けて実態調査を鹿児島県に要望する動きも出ている[12][注釈 3]

2011年9月には、タストン・エアポート社による乱開発により土砂が流出して漁場が破壊されたとして、地元種子島の漁師らが工事の差し止めや漁獲量の減少に対する慰謝料を求める訴訟を起こした[13][注釈 4]。またこの他に、地元住民が行政(鹿児島県・国)を相手に開発の違法性を放置した責任を問う行政訴訟[14]、および馬毛島の港周辺の入会地の一部を入会権を有する漁民の一部が旧馬毛島開発社に切り売りしたことの無効性を問う入会権裁判も起こしている[15]

なお、地元西之表市は、タストン・エアポート社による馬毛島の森林開発等の現状を確認するための立ち入り調査を再三申し入れているが同社は一貫して拒否しており[16]、2011年9月15日には鹿児島県が同社の大規模造成に対して違法伐採の疑いや課税上の問題があるとして現地調査の受け入れを要請している[17]

注釈[編集]

  1. ^ 正式に廃校となったのは1995年(平成7年)12月である。
  2. ^ 森林法では、許可を得た立木伐採後は一定期間内での自然生長または植林による森林復元が義務づけられており、測量目的の場合伐採は可能だが抜根や整地等は許されない(森林法
  3. ^ この要望によれば、馬毛島にはマゲシカを含め13種類の絶滅危惧種が生息するという。
  4. ^ この訴訟は、馬毛島で生息が確認されでいるマゲシカなど875種の野生動植物が原告に加わる、いわゆる自然の権利訴訟でもある。

脚注[編集]

  1. ^ 国土地理院 九州の島面積
  2. ^ 鹿児島県離島振興協議会
  3. ^ 西之表市「市の位置等
  4. ^ 中村和郎・氏家宏・池原貞雄・田川日出夫・堀信行編集 『日本の自然 地域編 8 南の島々』 岩波書店、1996年、159頁 - 160頁
  5. ^ “普天間代替、鹿児島の島が浮上 防衛相、地権者と接触”. 共同通信社 (47NEWS). (2009年12月5日). http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120401000997.html 2009年12月5日閲覧。 
  6. ^ 日刊ゲンダイ、2009年12月7日
  7. ^ “馬毛島所有の元社長、脱税で有罪判決 東京地裁”. MSN産経ニュース. (2011年6月3日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110603/trl11060318170006-n1.htm 
  8. ^ “鹿児島・馬毛島に米軍訓練移転を検討 防衛相指示”. asahi.com. (2011年5月16日). http://www.asahi.com/politics/update/0516/TKY201105160483.html 
  9. ^ “米軍機訓練場候補 馬毛島所有者交渉へ”. 東京新聞. (2011年6月27日). http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011062790071014.html 
  10. ^ “基地誘致へ大開発、森林激減 鹿児島・馬毛島、行政黙認”. 朝日新聞. (2011年8月11日). http://www.asahi.com/national/update/0810/SEB201108100071.html 
  11. ^ “馬毛島のシカ10年で半減 大規模開発で森林減少”.朝日新聞. (2011年7月7日西部本社版)
  12. ^ “マゲシカ「希少動植物」指定申し入れ”. KKBニュース. (2011年8月12日). http://www.kkb.co.jp/news_move/jchan_mobile_news.php?senddate=20110812&sendtime=164640&linenumber=2 “マゲシカ:「希少動植物に指定を」県民連合が申し入れ”. 毎日新聞. (2011年8月13日). http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20110813ddlk46040520000c.html 
  13. ^ “馬毛島滑走路:動植物も原告 工事差し止め求め提訴”. 毎日新聞. (2011年9月2日). http://mainichi.jp/select/science/news/20110902k0000e040014000c.html 
  14. ^ “馬毛島造成 違法と提訴 米軍訓練移転反対の住民ら”. 西日本新聞. (2011年9月2日). http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/261303 “在日米軍再編:馬毛島滑走路差し止め提訴 原告団「違法性放置」行政批判”. 毎日新聞. (2011年9月2日). http://mainichi.jp/area/kagoshima/news/20110902ddlk46010665000c.html 
  15. ^ “馬毛島入会権めぐり提訴 漁業者ら、鹿児島地裁”. 産経新聞. (2011年8月26日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110826/trl11082618060005-n1.htm 
  16. ^ “鹿児島・馬毛島「所有」の開発会社、市の立ち入り調査を拒否”. 産経新聞. (2011年6月21日). http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110621/plc11062119000019-n1.htm 
  17. ^ “鹿児島県、馬毛島の調査申し入れ 違法伐採の疑いも”. 西日本新聞. (2011年9月21日). http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/264374 

関連項目[編集]