中間貯蔵施設

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中間貯蔵施設(ちゅうかんちょぞうしせつ)とは、放射性廃棄物使用済み核燃料などを最終処分場または核燃料再処理工場へ運ぶ前に一時的に保管する施設。一時的といえども移管先等が決まっていない段階から保管することもあり、保管期間は不特定かつ長期にわたることがある。

日本[編集]

日本の中間貯蔵施設の所在地と目的[編集]

福島県大熊町で建設中の中間貯蔵施設(土壌貯蔵施設)

今後予定される中間貯蔵施設の設置[編集]

2017年、関西電力福井県に対し、大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に向け、2018年中に福井県外で中間貯蔵施設の建設候補先を示すことを表明[3]。しかしながら関西電力による建設候補地の選出は難航し、2018年中に発表するに至らなかった。


2023年8月2日現在、中国電力関西電力と共同で山口県上関町に中間貯蔵施設を建設するとしていく方針を示している。町は、提案を受け入れるか検討している。上関町では、中国電力が原発2基の建設計画を表明しているが、東京電力福島第一原発の事故を受け、現在工事を中断している。

アメリカ合衆国[編集]

米国では使用済燃料は再処理せずに直接処分する方針を取っているが、ユッカマウンテン放射性廃棄物処分場の計画が中止されたことにより、2011年時点では大部分の使用済燃料が発電所サイト内に貯蔵された状態となっており、敷地内に独立使用済燃料貯蔵施設が建設された発電所もある[4]ニューメキシコ州南部およびアンドリューズ郡 (テキサス州)で集中中間貯蔵施設の建設が計画されている[5]

ドイツ[編集]

ドイツでは以下の中間貯蔵施設が設置されている。

スイス[編集]

スイスではアールガウ州ヴュレンリンゲンに以下の中間貯蔵施設が設置されている[9]

  • ヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設 - 2001年から操業。
  • ベツナウ中間貯蔵施設 - 1994年から操業。ベツナウ原子力発電所サイト内に設置されている。同発電所で発生した使用済み燃料の他、2008年以降は仏・英国から返還された高レベル放射性廃棄物も受け入れている。
  • 連邦中間貯蔵施設 - 1992年からパウル・シェラー研究所によって操業されている。医療、産業、研究施設で発生するα廃棄物や低中レベル放射性廃棄物を受け入れている。

スウェーデン[編集]

スウェーデンではオスカーシャム原子力発電所サイト内に集中中間貯蔵施設が設置され、1985年から操業している[10][11][12]

脚注[編集]

  1. ^ 原子燃料サイクル リサイクル燃料備蓄センター”. 日本原子力発電株式会社. 2018年12月27日閲覧。
  2. ^ 中間貯蔵施設について”. 環境省除染情報サイト. 2018年12月27日閲覧。
  3. ^ 関西電力 中間貯蔵施設、候補地選定が難航 決定越年も”. 毎日新聞 (2018年11月6日). 2018年12月27日閲覧。
  4. ^ a b c 海外諸国の使用済燃料貯蔵の現状 (04-07-03-17)”. ATOMICA (2012年1月). 2020年10月17日閲覧。
  5. ^ 米規制委、ホルテック社の集中中間貯蔵施設の建設計画審査で「環境影響面の問題なし」と報告”. 原子力産業新聞 (2020年3月16日). 2020年10月17日閲覧。
  6. ^ 資源エネルギー庁 2016, p. 35.
  7. ^ 資源エネルギー庁 2016, p. 34.
  8. ^ a b c 資源エネルギー庁 2016, p. 39.
  9. ^ 資源エネルギー庁 2016, pp. 19–20.
  10. ^ 資源エネルギー庁 2016, p. 27.
  11. ^ [スウェーデン] 規制当局、使用済燃料中間貯蔵施設と低中レベル廃棄物処分場の安全な操業継続を保証”. 電気事業連合会 (2020年10月13日). 2020年10月17日閲覧。
  12. ^ [スウェーデン] 規制機関、SKBの使用済燃料中間貯蔵施設等の操業を承認”. 電気事業連合会 (2020年10月14日). 2020年10月17日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]