「新型コロナウイルス感染症 (2019年)」の版間の差分
公衆衛生施策の見出しをレベル2に上げた、一部入れ替え |
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どうしても触らざるをえない時は、触ったあと、すぐによく手を洗う<ref name=BYLee/><ref name=":152"/>。また、触る前にも手を洗う<ref name=":152">{{Cite web|title=新型肺炎予防 「手洗い」「せきエチケット」が大切|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200128/k10012262721000.html|website=NHKニュース|accessdate=2020-02-05|last=日本放送協会}}</ref>。 |
どうしても触らざるをえない時は、触ったあと、すぐによく手を洗う<ref name=BYLee/><ref name=":152"/>。また、触る前にも手を洗う<ref name=":152">{{Cite web|title=新型肺炎予防 「手洗い」「せきエチケット」が大切|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200128/k10012262721000.html|website=NHKニュース|accessdate=2020-02-05|last=日本放送協会}}</ref>。 |
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[[ドイツ]]・[[ルール大学ボーフム]]と{{仮リンク|グライフスヴァルト大学病院|en|Greifswald University Hospital|label=}}衛生研究所の研究グループによれば、病室内で患者が使用した道具に付着した[[SARSコロナウイルス]]・[[MERSコロナウイルス]]は、消毒しないと平均4~5日生存を続ける可能性があるとし、「この特徴が新型コロナウイルスにもあてはまる可能性が高い」と発表された<ref name=":2">{{Cite web|title=コロナウイルスの寿命「ドアノブや机で最長9日間」独研究 {{!}} ハザードラボ|url=https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/3/3/33078.html|website=www.hazardlab.jp|date=2020-02-11|accessdate=2020-02-18|language=ja}}</ref>。 |
[[ドイツ]]・[[ルール大学ボーフム]]と{{仮リンク|グライフスヴァルト大学病院|en|Greifswald University Hospital|label=}}衛生研究所の研究グループによれば、病室内で患者が使用した道具に付着した[[SARSコロナウイルス]]・[[MERSコロナウイルス]]は、消毒しないと平均4~5日生存を続ける可能性があるとし、「この特徴が新型コロナウイルスにもあてはまる可能性が高い」と発表された<ref name=":2">{{Cite web|title=コロナウイルスの寿命「ドアノブや机で最長9日間」独研究 {{!}} ハザードラボ|url=https://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/3/3/33078.html|website=www.hazardlab.jp|date=2020-02-11|accessdate=2020-02-18|language=ja}}</ref>。 |
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2020年3月報告の、米国の研究者が実験室環境でSARS-CoV-2を試験したところ、SARS-CoV-1([[SARSコロナウイルス]]の[[レトロニム]])と同様に、プラスチックやステンレスの表面上では比較的安定し、72時間後(3日後)も活性のあるウイルスが検出されたと言う。段ボールの表面上では、SARS-CoV-1の8時間に対し、SARS-CoV-2では24時間であった<ref name="NEJMc2004973">{{Citation|title=Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1|last3=Morris|date=2020-03-17|accessdate=2020-03-24|doi=10.1056/nejmc2004973|language=en|first=Neeltje van|last=Doremalen|first2=Trenton|last2=Bushmaker|first3=Dylan H.|url=https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2004973|last4=Holbrook|first4=Myndi G.|first5=Amandine|last5=Gamble|first6=Brandi N.|last6=Williamson|first7=Azaibi|last7=Tamin|first8=Jennifer L.|last8=Harcourt|first9=Natalie J.|last9=Thornburg}}</ref>。 |
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==== 消毒 ==== |
==== 消毒 ==== |
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日本の一般的環境においては、法令上[[労働安全衛生法]]ではオフィスにおける室温17度以上28度以下、相対湿度40%以上70%以下の努力義務があるものの、2014年時点において相対湿度の法令に対する不適合率は高いものとなっている<ref>[https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2014/75-column-2.html 冬季のオフィス環境における低湿度の実態と対策について - 安衛研ニュースNo. 75] [[労働安全衛生総合研究所]] 2014年12月5日</ref>。 |
日本の一般的環境においては、法令上[[労働安全衛生法]]ではオフィスにおける室温17度以上28度以下、相対湿度40%以上70%以下の努力義務があるものの、2014年時点において相対湿度の法令に対する不適合率は高いものとなっている<ref>[https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2014/75-column-2.html 冬季のオフィス環境における低湿度の実態と対策について - 安衛研ニュースNo. 75] [[労働安全衛生総合研究所]] 2014年12月5日</ref>。 |
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=== 社会・集団における公衆衛生 === |
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== 医療機関の対応方法 == |
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==== 社会的距離戦略 ==== |
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('''注意''':以下のガイドライン、対応策は随時改訂されるので、最新情報の確認が必要) |
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2020年2月4日、[https://www.jsdt.or.jp/ 日本透析医学会]は透析例への対応策<ref>{{Cite web|date=2020-02-04|url=http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/03_info/doc/20200204_corona_virus_1.pdf|title=新型コロナウイルス関連肺炎に対する透析施設での対応について(第1報)|publisher=[[日本透析医学会]]|accessdate=2020-02-19}}</ref>を発表した。 |
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2月6日、[[日本産科婦人科学会]]が妊産婦への対応策<ref>{{Cite web|date=2020-02-06|url=http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20200206_coronavirus.pdf|title=妊婦・産褥婦の新型コロナウイルスの感染予防対策について|publisher=[[日本産科婦人科学会]]|accessdate=2020-02-19}}</ref>を発表した。 |
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2月12日、[[日本環境感染学会]]は、「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」を公開した<ref>{{Cite web|date=2020-02-12|url=http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=332|title=「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」の公開について|publisher=[[日本環境感染学会]]|accessdate=2020-02-13}}</ref>。 |
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2月16日、[[日本臨床腫瘍学会]]は、がん患者への対応を発表した。「明らかなエビデンスはないものの、[[アメリカ疾病予防管理センター|米国CDC]] のガイダンス(2020年1月30日付)では、がんの罹患は重症化リスクの一つであるとされて」いる、また、「免疫抑制状態もリスク因子とされている」と記載されている<ref>{{Cite web|date=2020-02-17|url=https://www.jsmo.or.jp/file/dl/newsj/2550.pdf|title=新型コロナウイルス感染におけるがん患者への対応 Q&A|format=PDF|publisher=[[日本臨床腫瘍学会]]|accessdate=2020-02-19}}</ref>。 |
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2月17日、[[日本医師会]]は、[[COVID-19]]への医療機関が講じるべき対応策の見直しを<ref>{{Cite web|date=2020-02-17|url=http://dl.med.or.jp/dl-med/kansen/novel_corona/2019ken2_271.pdf|title=新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策の見直しについて(R02.2.17)|publisher=[[日本医師会]]|accessdate=2020-02-19}}</ref>配下の各医師会に通知し[http://www.med.or.jp/doctor/kansen/novel_corona/009135.html 特設サイト] にも掲載した<ref>{{Cite web|date=2020-02-18|url=https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0218524297/|title=日本医師会が新型コロナ対策を周知|publisher=[https://medical-tribune.co.jp/ Medical Tribune]|accessdate=2020-02-19}}</ref>。要点は以下のとおり。 |
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{{Quotation| |
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# 「新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画作りの手引き」(2013年8月31日) <ref>{{Cite web|date=2013-08-31 | url=https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/guide_tebiki-01.pdf | title=新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画作りの手引き | publisher=[[労働科学研究所]] | author= 吉川 徹 | accessdate=2020-02-19}}</ref>も参照し[[院内感染]]を防ぎ診療継続計画を見直すこと<ref>{{Cite web|date=2020-02-14 | url=http://dl.med.or.jp/dl-med/kansen/novel_corona/2019ken2_269.pdf | title=新型コロナウイルス感染症に関する医療機関の対策について | publisher=[[日本医師会]] | accessdate=2020-02-19}}</ref>。 |
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# 今後、[[ポリメラーゼ連鎖反応|PCR検査]]は原因不明の肺炎で重症化が疑われる事例が主体となる。 |
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# 特に、高齢者/糖尿病・心不全・透析・呼吸器疾患(COPD等)などの基礎疾患のある人/免疫抑制薬、抗がん薬等の使用者/妊婦 など高リスク例への対応に注意し、速やかに[[帰国者・接触者相談センター]]([https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html 外部リンク直・厚労省案内サイト])に相談すること。 |
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|[[日本医師会]]|[http://dl.med.or.jp/dl-med/kansen/novel_corona/2019ken2_271.pdf 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策の見直しについて(R02.2.17)」(PDF) - 新型コロナウイルス関連感染症 都道府県医師会宛て通知]}} |
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2月26日、[[日本感染症学会]]は「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を公表した。要点は以下のとおり<ref name='kansensho_20200226' />。 |
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{{Quotation| <!--■ここで文頭の「*」と「#」を使い分けています。「#」は原文でも番号付き箇条書きだったので同じ番号にしたい。すみませんが、みだりにいじって壊さないでください。--> |
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* 日本で行える治療は、現在、承認済薬剤の[[適応外使用]]である(手続要)。 |
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* 抗ウイルス薬を開始すべき時期は、患者が[[血液ガス分析#低酸素血症|低酸素血症]]を発症し、酸素投与が必要であることを[[必要条件]]とする。そのうえで、 |
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# 概ね50歳未満の患者では[[肺炎]]を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい。 |
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# 概ね50歳以上の患者では重篤な[[呼吸不全]]を起こす可能性が高く、死亡率も高いため、低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった段階で抗ウイルス薬の投与を検討する。 |
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# [[糖尿病]]・[[心血管疾患]]・慢性肺疾患、喫煙による[[慢性閉塞性肺疾患]]、[[免疫抑制]]状態等のある患者においても上記2<!--■この2が重要-->に準じる。 |
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# 年齢にかかわらず、酸素投与と[[対症療法]]だけでは[[呼吸不全]]が悪化傾向にある例では抗ウイルス薬の投与を検討する。 |
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* 抗ウイルス薬の選択としては、現時点で日本での入手可能性や[[有害事象]]等の観点より、[[ロピナビル]]・[[リトナビル]]([[カレトラ]]®配合錠)、[[ファビピラビル]]([[アビガン]]錠)を提示する。 |
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* 他に使用できる可能性のある抗ウイルス薬には、 [[レムデシビル]]、[[インターフェロン]]、[[クロロキン]] などがあるが、それらの効果や併用効果に関しては今後の知見が待たれる。 |
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| [[日本感染症学会]]|[http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_antiviral_drug_200227.pdf 「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」(PDF)]}} |
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=== 院内感染ほか === |
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2月7日、[[武漢大学|武漢大学病院]]で検出された感染者のうち4割は、同大学病院で[[院内感染]]したと発表された<ref>{{Cite web|title=新型ウイルス 武漢の大学病院 患者の約4割が院内感染か|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200209/k10012278741000.html|website=NHKニュース|accessdate=2020-03-01|last=日本放送協会}}</ref>。患者138人のうち41%(57人)が院内感染で、17人が入院患者、40人が医療スタッフだった<ref name="sjoi">[https://s.japanese.joins.com/JArticle/262845?sectcode=400&servcode=400 MERSの時のように…韓国で院内感染始まった、看護師5人の集団感染]中央日報日本語版2020.02.21 08:55 </ref>。 |
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[[韓国]]でも[[慶尚北道]]の病院で院内感染が発生した<ref>[https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202002/CK2020022502000126.html 新型肺炎 韓国感染231人増、833人 国会中止、サッカー開幕延期]東京新聞2020年2月25日 朝刊</ref><ref name="sjoi" />。 |
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日本の病院でも、牧田総合病院(東京都大田区)<ref name=innai1/>、[[相模原中央病院]]<ref name=SAn/>、[[相模原協同病院]]<ref name=innai2/>、[[済生会有田病院]]([[和歌山県]][[湯浅町]])<ref name=innai3/>、 [[国立循環器病研究センター]]([[大阪府]][[吹田市]]<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200309-21100000-cbn-soci 国立循環器病研究センターが外来休診、13日まで - 新型肺炎の陽性職員発生で]3/9(月) 21:10配信CBNEWS</ref>)などで[[院内感染]]が発生し、一時的に休診となった。 |
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=== オンライン診療 === |
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病院での感染([[院内感染]])のおそれがあるため、[[厚生労働省]]は2月28日、オンライン診療の手続きを簡略化した<ref name="nhk3-10">[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200310/k10012323351000.html オンライン診療に注目 手続き簡略化 新型ウイルス感染拡大で]NHK2020年3月10日 16時26分</ref>。 |
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オンライン診療が認められるのは複数回受診しているかかりつけ医で同じ薬を処方してもらう場合などに限られる<ref name=nhk3-10/>。 |
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オンライン診療の手順としては、[[スマートフォン]]の[[テレビ電話]]を通じて、かかりつけの医師の診察を受け、[[問診]]を受けると薬の処方箋が[[薬局]]に送られる<ref name=nhk3-10/>。薬局での服薬指導もスマートフォンで受けることができ、その後、薬が自宅に配送される<ref name=nhk3-10/>。 |
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{{Anchors|公衆衛生}} |
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== 公衆衛生施策上の対応 == |
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=== 社会的距離戦略 === |
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[[File:Covid-19-Transmission-graphic-01.gif|thumb|upright=1.6|何も対策しないと[[ねずみ算]]式に感染が増殖していく。<br>あるいは、<BR>[[BBQ]]をしにいかない、テレワーク・自宅待機など外出を自粛することによって感染の伝播が途切れ、感染の流行が抑えられる([[社会距離拡大戦略]])。]] |
[[File:Covid-19-Transmission-graphic-01.gif|thumb|upright=1.6|何も対策しないと[[ねずみ算]]式に感染が増殖していく。<br>あるいは、<BR>[[BBQ]]をしにいかない、テレワーク・自宅待機など外出を自粛することによって感染の伝播が途切れ、感染の流行が抑えられる([[社会距離拡大戦略]])。]] |
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[[File:Covid-19-curves-graphic-social-v3.gif|thumb|upright=1.6|流行曲線を平坦化することで感染の急激な激化を防ぎ、医療崩壊を防ぐ。パニックにならず、石けんでの手洗い、顔を手指で触らない、体調不良のときは外出せず自宅にいる。このことによって感染の拡大が抑えられる。]] |
[[File:Covid-19-curves-graphic-social-v3.gif|thumb|upright=1.6|流行曲線を平坦化することで感染の急激な激化を防ぎ、医療崩壊を防ぐ。パニックにならず、石けんでの手洗い、顔を手指で触らない、体調不良のときは外出せず自宅にいる。このことによって感染の拡大が抑えられる。]] |
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[[File:Covid-19-curves-graphic2-stopthespread-v3.gif|thumb|upright=1.6|何も対策をしないと爆発的に感染が拡大する。イベントや旅行の中止、自宅で仕事をする(テレワーク)、石けんでの手洗いなどで感染の拡大が抑えられる。([[社会距離拡大戦略]])]] |
[[File:Covid-19-curves-graphic2-stopthespread-v3.gif|thumb|upright=1.6|何も対策をしないと爆発的に感染が拡大する。イベントや旅行の中止、自宅で仕事をする(テレワーク)、石けんでの手洗いなどで感染の拡大が抑えられる。([[社会距離拡大戦略]])]] |
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{{Main|社会距離拡大戦略}} |
{{Main|社会距離拡大戦略}} |
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[[ジョンズ・ホプキンズ大学]]ブルームバーグ公衆衛生学部のBruce Y. Leeは感染拡大を抑えるための[[社会的距離戦略]]として以下を列挙する<ref name= |
[[ジョンズ・ホプキンズ大学]]ブルームバーグ公衆衛生学部のBruce Y. Leeは感染拡大を抑えるための[[社会的距離戦略]]として以下を列挙する<ref name=BYLee>[[ジョンズ・ホプキンズ大学]]ブルームバーグ公衆衛生学部Bruce Y. Lee、[https://forbesjapan.com/articles/detail/33080/2/1/1 ウイルス感染の拡大抑制に役立つ「社会的距離」戦略とは何か?]Forbes Japan 2020/03/17 17:00</ref>。(上記と重複するものもある) |
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#できるだけ家から出ない |
#できるだけ家から出ない |
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#2m以内に近づかない |
#2m以内に近づかない |
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#会議、集会、[[ハッピーアワー]]の[[バー]]を避ける。感染していないという確証が得られる人とだけ、少人数で集まる。 |
#会議、集会、[[ハッピーアワー]]の[[バー]]を避ける。感染していないという確証が得られる人とだけ、少人数で集まる。 |
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=== トイレおよび飲食品の管理 === |
==== トイレおよび飲食品の管理 ==== |
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[[中国疾病預防控制中心|中国疾病予防管理センター]]は2020年2月15日、新型コロナウイルスには感染経路が複数あり、(例えば[[ノロウイルス]]のように)糞口・経口感染することが「急速な感染の一因だと考えることができる」と論文で発表している<ref>[https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-20/Q5ZHU8DWX2Q101 新型コロナウイルス、排せつ物介して感染の可能性-急拡大の一因か] ブルームバーグ 2020年2月20日</ref>。 |
[[中国疾病預防控制中心|中国疾病予防管理センター]]は2020年2月15日、新型コロナウイルスには感染経路が複数あり、(例えば[[ノロウイルス]]のように)糞口・経口感染することが「急速な感染の一因だと考えることができる」と論文で発表している<ref>[https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-20/Q5ZHU8DWX2Q101 新型コロナウイルス、排せつ物介して感染の可能性-急拡大の一因か] ブルームバーグ 2020年2月20日</ref>。 |
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=== 非接触サービス、リモートワーク === |
==== 非接触サービス、リモートワーク ==== |
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中国の外食産業は新型コロナウイルスへの対策として非接触化を進めており、非接触配達サービスや非接触レストランが登場している<ref>[http://j.people.com.cn/n3/2020/0225/c94476-9661742.html 外食産業が「非接触レストラン」で飲食の安全を保障] [[人民網]]日本語版 2020年2月25日</ref>。 |
中国の外食産業は新型コロナウイルスへの対策として非接触化を進めており、非接触配達サービスや非接触レストランが登場している<ref>[http://j.people.com.cn/n3/2020/0225/c94476-9661742.html 外食産業が「非接触レストラン」で飲食の安全を保障] [[人民網]]日本語版 2020年2月25日</ref>。 |
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会社業務などではリモートワーク ([[テレワーク]]・在宅勤務) の推進が行われている<ref>[https://www.fnn.jp/posts/00432713CX/202002250024_CX_CX 専門家会議「今後1~2週間が瀬戸際」 新型コロナウイルス] FNN 2020年2月25日</ref><ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200225/k10012300241000.html 新型コロナウイルス 政府 対策基本方針を決定] NHK 2020年2月25日</ref>。仕事や学業を効率化し、会議なども最小化してメールでできること(特に連絡事項)はすべてメールやチャットを使用し、自宅でできる仕事は自宅で行う対策が取られる<ref name="iw">神戸大学病院感染症内科[[岩田健太郎]][https://georgebest1969.typepad.jp/blog/2020/02/covidと対峙するために日本社会が変わるべきこと.html COVIDと対峙するために日本社会が変わるべきこと]2020/02/16</ref>。 |
会社業務などではリモートワーク ([[テレワーク]]・在宅勤務) の推進が行われている<ref>[https://www.fnn.jp/posts/00432713CX/202002250024_CX_CX 専門家会議「今後1~2週間が瀬戸際」 新型コロナウイルス] FNN 2020年2月25日</ref><ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200225/k10012300241000.html 新型コロナウイルス 政府 対策基本方針を決定] NHK 2020年2月25日</ref>。仕事や学業を効率化し、会議なども最小化してメールでできること(特に連絡事項)はすべてメールやチャットを使用し、自宅でできる仕事は自宅で行う対策が取られる<ref name="iw">神戸大学病院感染症内科[[岩田健太郎]][https://georgebest1969.typepad.jp/blog/2020/02/covidと対峙するために日本社会が変わるべきこと.html COVIDと対峙するために日本社会が変わるべきこと]2020/02/16</ref>。 |
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また遠隔接客ロボットも登場している<ref>[https://newswitch.jp/p/21254 “対面”に遠隔ロボット、感染対策で脚光] 日刊工業新聞社 2020年2月24日</ref>。<!--TODO: 遠隔医療--> |
また遠隔接客ロボットも登場している<ref>[https://newswitch.jp/p/21254 “対面”に遠隔ロボット、感染対策で脚光] 日刊工業新聞社 2020年2月24日</ref>。<!--TODO: 遠隔医療--> |
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=== 集団感染・スーパー・スプレッダー === |
==== 集団感染・スーパー・スプレッダー ==== |
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{{Main2|日本の事例・状況|日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況}} |
{{Main2|日本の事例・状況|日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況}} |
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{{See also|スーパー・スプレッダー}} |
{{See also|スーパー・スプレッダー}} |
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[[厚生労働省]]は2020年3月1日、これまでの日本の集団感染([[クラスター (疫学)|クラスター]])事例に[[スポーツジム]]、[[屋形船]]、[[ビュッフェ]]スタイルの[[会食]]、[[雀荘]]、[[スキー]]の[[ゲストハウス]]、密閉された仮設テントなどがあったとし、'''[[換気]]が悪く、人が密集して過ごす空間、不特定多数の人が接触する場所に行くことを避ける'''よう勧告した<ref name= |
[[厚生労働省]]は2020年3月1日、これまでの日本の集団感染([[クラスター (疫学)|クラスター]])事例に[[スポーツジム]]、[[屋形船]]、[[ビュッフェ]]スタイルの[[会食]]、[[雀荘]]、[[スキー]]の[[ゲストハウス]]、密閉された仮設テントなどがあったとし、'''[[換気]]が悪く、人が密集して過ごす空間、不特定多数の人が接触する場所に行くことを避ける'''よう勧告した<ref name=kosei>厚生労働省[https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601720.pdf 新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために]令和2年3月1日</ref>。 |
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集団感染の事例としては、[[さっぽろ雪まつり]]での[[屋台]]<ref name= |
集団感染の事例としては、[[さっぽろ雪まつり]]での[[屋台]]<ref name=nikei>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56243210Z20C20A2CZ8000/ 雪まつり後に発症者急増 北海道、新型コロナ拡大]日本経済新聞2020/2/29 20:02</ref>、住宅設備展示会(北海道[[北見市]])<ref name=hukui/>、病院(東京<ref name=innai1>[https://www.asahi.com/articles/ASN2L3GTSN2KUTIL021.html 感染した医師らが勤務 都内の総合病院が2週間休診]朝日新聞2020年2月18日 12時00分</ref>、相模原市<ref name=SAn>[https://www.sankei.com/life/news/200227/lif2002270088-n3.html 新型肺炎で広がる差別 不当な扱い、ネット中傷…相模原中央病院関係者ら困惑]産経新聞2020.2.27 20:07</ref><ref name=innai2>[https://www.asahi.com/articles/ASN3652GQN36ULOB00M.html 研修医が新型コロナに感染 相模原の病院で勤務] |
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朝日新聞2020年3月6日 15時21分</ref>、和歌山県湯浅町での[[院内感染]]<ref name= |
朝日新聞2020年3月6日 15時21分</ref>、和歌山県湯浅町での[[院内感染]]<ref name=innai3>[https://mainichi.jp/articles/20200304/k00/00m/040/061000c 済生会有田病院が受診再開 直近2週間に新型コロナ感染なし]毎日新聞2020年3月4日 10時47分(最終更新 3月4日 10時50分)</ref>、大阪の[[ライブハウス|ライブハウス]]<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200305/k10012314281000.html 大阪 別のライブハウスでも新たな集団感染か 新型ウイルス]、NHK NEWS WEB.2020年3月5日閲覧。</ref> |
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<ref>[https://www.mbs.jp/news/kansainews/20200303/GE00031869.shtml “高知県の女性”が感染に気付かず『大阪のライブハウス』訪問か…感染の連鎖続く]MBS2020/03/03 17:24</ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56410710V00C20A3AC1000/ 密室での感染警戒 大阪ライブハウス、クラスター連鎖か]、日本経済新聞.2020年3月5日閲覧。</ref>、ライブバー(北海道)<ref>[https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200307/7000018819.html 北海道 NEWS WEB札幌放送局 新たに8人感染確認 バーの客も]NHK、3月7日19時00分</ref>、名古屋市ではスポーツクラブ(感染36人)と福祉施設(感染45人)でクラスターが発生した<ref name= |
<ref>[https://www.mbs.jp/news/kansainews/20200303/GE00031869.shtml “高知県の女性”が感染に気付かず『大阪のライブハウス』訪問か…感染の連鎖続く]MBS2020/03/03 17:24</ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56410710V00C20A3AC1000/ 密室での感染警戒 大阪ライブハウス、クラスター連鎖か]、日本経済新聞.2020年3月5日閲覧。</ref>、ライブバー(北海道)<ref>[https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200307/7000018819.html 北海道 NEWS WEB札幌放送局 新たに8人感染確認 バーの客も]NHK、3月7日19時00分</ref>、名古屋市ではスポーツクラブ(感染36人)と福祉施設(感染45人)でクラスターが発生した<ref name=2-cluster>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200311/k10012325281000.html “感染 名古屋中心の2つの「クラスター」で81人” 愛知県知事]NHK2020年3月11日 14時54分</ref>。 |
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3月3日には、日本の集団感染9件では、そこからつながりのある感染者数が80人以上になることがわかった<ref name= |
3月3日には、日本の集団感染9件では、そこからつながりのある感染者数が80人以上になることがわかった<ref name=hukui/>。これは調査対象となった感染者260人のうち約30%を占める<ref name=hukui>[https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1040735 新型コロナウイルス、3割が集団感染 スポーツジムや屋形船、展示会]福井新聞2020年3月4日 午前5時00分</ref>。 |
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韓国での感染者の行動履歴の事例では、はじめに[[キリスト教会]]で集団感染が発生し、うち一人が老人福祉施設の食堂で食事をして5人が感染。さらにその福祉施設会員の感染が病院で確認され、さらにその病院で院内感染が発生した<ref>[https://www.nishinippon.co.jp/item/n/589340/ ソウル市、感染当初から「クラスター」 情報公開で判明]西日本新聞2020/3/5 </ref>。 |
韓国での感染者の行動履歴の事例では、はじめに[[キリスト教会]]で集団感染が発生し、うち一人が老人福祉施設の食堂で食事をして5人が感染。さらにその福祉施設会員の感染が病院で確認され、さらにその病院で院内感染が発生した<ref>[https://www.nishinippon.co.jp/item/n/589340/ ソウル市、感染当初から「クラスター」 情報公開で判明]西日本新聞2020/3/5 </ref>。 |
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10人以上への感染拡大の感染源となった患者を'''[[スーパー・スプレッダー]]'''という<ref>[http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/sars/sars/spreader/ スーパー・スプレッダー(Super Spreader)]東京都感染症情報センター</ref>。韓国の[[MERS]]流行では特定の数名がスーパースプレッダーで、1人から86人に感染させた患者もいた<ref name= |
10人以上への感染拡大の感染源となった患者を'''[[スーパー・スプレッダー]]'''という<ref>[http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/sars/sars/spreader/ スーパー・スプレッダー(Super Spreader)]東京都感染症情報センター</ref>。韓国の[[MERS]]流行では特定の数名がスーパースプレッダーで、1人から86人に感染させた患者もいた<ref name=kotsun/>。 |
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日本での新型コロナウイルス感染者の8割は他人に感染させていないが、残りの2割が1人以上の人に感染させており、1人から9人へ感染させた事例(屋形船)や、1人から12人へ感染させた事例(スポーツジム)もある<ref name= |
日本での新型コロナウイルス感染者の8割は他人に感染させていないが、残りの2割が1人以上の人に感染させており、1人から9人へ感染させた事例(屋形船)や、1人から12人へ感染させた事例(スポーツジム)もある<ref name=kosei2>厚生労働省「[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q14 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)]問14 集団感染を防ぐためにはどうすればよいでしょうか?」令和2年3月7日時点版</ref>。[[新興感染症|感染症]]専門医[[忽那賢志]]もスーパースプレッダーにならないためには密集空間を避けるべきだとしている<ref name=kotsun>忽那賢志 [https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200303-00165593/ 新型コロナのスーパースプレッダーにならないために]</ref>。 |
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[[新型コロナウイルス感染症対策専門家会議]]は[[3月9日]]、これまで集団感染が確認された場所は、1.換気の悪い密閉空間、2.多くの人が密集、3.近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での[[会話]]や[[発声]]という3つが重なった場であり、このような場所を避けるよう勧告した<ref name= |
[[新型コロナウイルス感染症対策専門家会議]]は[[3月9日]]、これまで集団感染が確認された場所は、1.換気の悪い密閉空間、2.多くの人が密集、3.近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での[[会話]]や[[発声]]という3つが重なった場であり、このような場所を避けるよう勧告した<ref name=nhk-3cond>[https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/view/ 「3つの条件の重なりを避けて」 専門家会議が見解【全文】]NHK2020年3月9日</ref>。同会議は集団感染を防ぐために以下を強く推奨した<ref name=nhk-3cond/>。 |
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#'''換気のために窓を開ける''' |
#'''換気のために窓を開ける''' |
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:こまめな手指衛生、咳エチケットの徹底、共用品を使わない、使う場合は十分に[[消毒]]<ref name=nhk-3cond/>}} |
:こまめな手指衛生、咳エチケットの徹底、共用品を使わない、使う場合は十分に[[消毒]]<ref name=nhk-3cond/>}} |
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[[3月12日]]、[[第一種感染症指定医療機関]]である[[都立駒込病院]]の今村顕史感染症科長は、現在の日本の状況では流行を抑えるために一番重要なのはクラスター(感染集団)対策であるとする<ref name= |
[[3月12日]]、[[第一種感染症指定医療機関]]である[[都立駒込病院]]の今村顕史感染症科長は、現在の日本の状況では流行を抑えるために一番重要なのはクラスター(感染集団)対策であるとする<ref name=buzz3-12/>。クラスターの中で複数の人に感染を広げている人が見つかったら、徹底的に接触者(濃厚接触者)を調べるとする<ref name=buzz3-12/>。ジムに通っていた陽性者で、濃厚接触者数が約1400人となった例があった<ref name=buzz3-12/>。 |
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[[3月19日]]に専門家会議は、'''現状は持ちこたえているが、あるとき突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート)して、医療が提供できなくなれば、強硬な[[ロックダウン (封鎖)|ロックダウン措置(都市封鎖・店舗閉鎖・外出自粛など)]]を取らざるをえなくなる'''と懸念した<ref name= |
[[3月19日]]に専門家会議は、'''現状は持ちこたえているが、あるとき突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート)して、医療が提供できなくなれば、強硬な[[ロックダウン (封鎖)|ロックダウン措置(都市封鎖・店舗閉鎖・外出自粛など)]]を取らざるをえなくなる'''と懸念した<ref name=teigen3-19>「{{PDF|[https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610566.pdf 新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言]}}」(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 2020年3月19日)</ref>。その上で引き続き、集団感染 (クラスター)の早期発見、重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保を維持し、また各地域は感染状況に応じて、密閉空間でのイベントや集会(3つの条件の重なる場所)など感染リスクの高いものは徹底的に回避しながら、感染が拡大していない地域においては感染リスクの低い活動から徐々に解除することもありえるとした<ref name=teigen3-19/>。 |
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=== 集団免疫 === |
==== 集団免疫 ==== |
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[[ファイル:Herd_immunity.svg|サムネイル|400px|[[集団免疫]](Herd immunity)のモデル。{{legend|#FF0000|(赤):感染者}}{{legend| |
[[ファイル:Herd_immunity.svg|サムネイル|400px|[[集団免疫]](Herd immunity)のモデル。{{legend|#FF0000|(赤):感染者}}{{legend| |
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{{Main|集団免疫}} |
{{Main|集団免疫}} |
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日本の[[新型コロナウイルス感染症対策専門家会議]]は3月2日に「感染症のなかには、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染していない人を保護する仕組みが機能できる」として'''[[集団免疫]]'''の考えに言及した<ref name= |
日本の[[新型コロナウイルス感染症対策専門家会議]]は3月2日に「感染症のなかには、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染していない人を保護する仕組みが機能できる」として'''[[集団免疫]]'''の考えに言及した<ref name=ronza3-15/>。 |
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集団免疫は、市中感染が拡大する以前の隔離政策、またワクチンがない場合の対策として見なされている<ref name= |
集団免疫は、市中感染が拡大する以前の隔離政策、またワクチンがない場合の対策として見なされている<ref name=ronza3-15/>。 |
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[[東京大学]][[名誉教授]]で[[獣医師]]の[[唐木英明]]は「新型コロナ騒動は、集団免疫を得るまでは終わらない。そうであれば、厳しい対策により感染者をゼロに近づけようと努力するのではなく、ドイツや英国に倣つて、医療崩壊を起こさないように注意しながら、ある程度の感染を容認して、集団免疫を得ることを考えるべきではないだろうか。そんなことをしたら死亡者が増える、という反対がある。しかし、感染の速度に関わらず、感染者が国民の最低60%にならないと新型コロナ問題は終わらないのだ。重症者の治療法を早期に確立して、死亡率を低下させることが最重要の課題である。」と指摘している<ref name= |
[[東京大学]][[名誉教授]]で[[獣医師]]の[[唐木英明]]は「新型コロナ騒動は、集団免疫を得るまでは終わらない。そうであれば、厳しい対策により感染者をゼロに近づけようと努力するのではなく、ドイツや英国に倣つて、医療崩壊を起こさないように注意しながら、ある程度の感染を容認して、集団免疫を得ることを考えるべきではないだろうか。そんなことをしたら死亡者が増える、という反対がある。しかし、感染の速度に関わらず、感染者が国民の最低60%にならないと新型コロナ問題は終わらないのだ。重症者の治療法を早期に確立して、死亡率を低下させることが最重要の課題である。」と指摘している<ref name=ronza3-15/>。 |
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==== イギリスでの集団免疫についての議論 ==== |
===== イギリスでの集団免疫についての議論 ===== |
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3月12日に英国政府は集団免疫で対策すると表明した<ref name= |
3月12日に英国政府は集団免疫で対策すると表明した<ref name=ronza3-15>[https://webronza.asahi.com/science/articles/2020031400002.html?page=2 新型コロナ「収束のカギ」にぎる集団免疫とはなにか][[唐木英明]]論座RONZA2020年03月15日</ref>。 |
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3月14日、イギリスの科学者は「社会距離戦略の即時実施提言」を発表し、政府の対応は不十分で、もっと厳しい「社会距離戦略」を速やかに実施すれば、国内の感染拡大を劇的に遅らせ、数万人の命を救うと主張した(3月16日迄に501人署名)<ref>[http://maths.qmul.ac.uk/~vnicosia/UK_scientists_statement_on_coronavirus_measures.pdf Public request to take stronger measures of social distancing across the UK with immediate effect]14th March 2020,(last update: 16th March 2020, 15:00)</ref><ref name= |
3月14日、イギリスの科学者は「社会距離戦略の即時実施提言」を発表し、政府の対応は不十分で、もっと厳しい「社会距離戦略」を速やかに実施すれば、国内の感染拡大を劇的に遅らせ、数万人の命を救うと主張した(3月16日迄に501人署名)<ref>[http://maths.qmul.ac.uk/~vnicosia/UK_scientists_statement_on_coronavirus_measures.pdf Public request to take stronger measures of social distancing across the UK with immediate effect]14th March 2020,(last update: 16th March 2020, 15:00)</ref><ref name=bbc3-15/>。また現時点で『[[集団免疫]]』を追求するのは有効ではないとした<ref name=bbc3-15>[https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-51894727 イギリス独自のウイルス対策、「国民の命を危険に」と多数の科学者反対]BBC2020年03月15</ref>。[[バーミンガム大学]]のウィレム・ファン・シャイク教授(微生物学)は、集団免疫の効果を目指すには、国内だけで3600万人が感染し回復しなくてはならないが、その人的コストの予測は不可能で、数万人から数十万人が死亡するとし、「NHSがパンクしてしまわないよう、数百万人の感染が長期間にわたり散発的に起きるように流行期間を引き伸ばすしかない」と述べた<ref name=bbc3-15/>。 |
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[[イギリス保健省]]は「集団感染は、我々の行動計画の一部ではなく、感染症流行の自然な副産物だ。人命を救い、最も弱い立場の人たちを守り、NHSの負担を軽減することが、私たちの目標だ」とし、「感染対策はすでに封じ込めフェーズを過ぎて、感染拡大を遅らせる段階にきている」「今後数カ月の間に国内の免疫力がどういうレベルになるか、予測できている」と反論した<ref name= |
[[イギリス保健省]]は「集団感染は、我々の行動計画の一部ではなく、感染症流行の自然な副産物だ。人命を救い、最も弱い立場の人たちを守り、NHSの負担を軽減することが、私たちの目標だ」とし、「感染対策はすでに封じ込めフェーズを過ぎて、感染拡大を遅らせる段階にきている」「今後数カ月の間に国内の免疫力がどういうレベルになるか、予測できている」と反論した<ref name=bbc3-15/>。 |
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=== 都市封鎖 (ロックダウン) === |
==== 都市封鎖 (ロックダウン) ==== |
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{{See|ロックダウン (封鎖)}} |
{{See|ロックダウン (封鎖)}} |
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<!---発表・実施日順--> |
<!---発表・実施日順--> |
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*'''中国''':[[1月23日]]、[[武漢市]]で[[中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況#都市封鎖|都市封鎖]]を宣言<!--<ref name=asa/>-->(3月18日現在継続<ref>[https://www.bbc.com/japanese/video-51885797 泣き叫ぶ妻、ネットで助け求める人も……新型ウイルスで封鎖続く中国・武漢 50日間の記録] BBC News (2020年3月18日)</ref>)。[[ドイツの連邦行政機関|ドイツ連邦保健省]]、シュパーン保健大臣、[[ロベルト・コッホ研究所]]は3月11日に、武漢の強制隔離は感染者の急増を防ぎ緩やかにする効果は期待できるが、新規感染の数を減らすものではなく、ウイルスの消滅を意味しないとし、隔離の効果への過度の期待はできないと述べた<ref>[https://www.bundesgesundheitsministerium.de/coronavirus.html Bundesministerium für Gesundheit]ドイツ連邦保健省</ref><ref name=epo3-16>[https://www.epochtimes.jp/p/2020/03/53171.html 独SARS専門家「中国側のデータ信頼できない、再流行は起きる」]大紀元2020年03月16日 20時12分</ref>。[[シャリテー|シャリテ医科大学]]のクリスチャン・ドロステン (Christian Drosten) は、中国当局のデータは意図的に操作されており信頼に値しないとし、また中国の社会活動が元通りになれば再流行が起こると予測した<ref name=epo3-16/>。 |
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*'''日本''':[[2月20日]]、イベント主催者に必要性の検討を要請<ref name=ibentkaisai>[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00002.html イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ]</ref>。2月26日、スポーツやイベントなどの集会の2週間の中止・延期・規模縮小を要請し<ref name=ibentkaisai/>、3月2日からの一斉休校を要請した<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200227-OYT1T50272/ 小中高への休校要請、首相「課題には政府が責任もつ」…休業補償案も]2020/02/28 07:20</ref>。3月19日に専門家会議は、感染が爆発的に急増(オーバーシュート)すれば、強硬なロックダウン措置(都市封鎖・店舗閉鎖・外出自粛など)を取る必要があると提言した<ref name=teigen3-19/>。 |
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*'''中国''':[[1月23日]]、[[武漢市]]で[[中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況#都市封鎖|都市封鎖]]を宣言<!--<ref name=asa/>-->(3月18日現在継続<ref>[https://www.bbc.com/japanese/video-51885797 泣き叫ぶ妻、ネットで助け求める人も……新型ウイルスで封鎖続く中国・武漢 50日間の記録] BBC News (2020年3月18日)</ref>)。[[ドイツの連邦行政機関|ドイツ連邦保健省]]、シュパーン保健大臣、[[ロベルト・コッホ研究所]]は3月11日に、武漢の強制隔離は感染者の急増を防ぎ緩やかにする効果は期待できるが、新規感染の数を減らすものではなく、ウイルスの消滅を意味しないとし、隔離の効果への過度の期待はできないと述べた<ref>[https://www.bundesgesundheitsministerium.de/coronavirus.html Bundesministerium für Gesundheit]ドイツ連邦保健省</ref><ref name="epo3-16">[https://www.epochtimes.jp/p/2020/03/53171.html 独SARS専門家「中国側のデータ信頼できない、再流行は起きる」]大紀元2020年03月16日 20時12分</ref>。[[シャリテー|シャリテ医科大学]]のクリスチャン・ドロステン (Christian Drosten) は、中国当局のデータは意図的に操作されており信頼に値しないとし、また中国の社会活動が元通りになれば再流行が起こると予測した<ref name="epo3-16" />。 |
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*'''日本''':[[2月20日]]、イベント主催者に必要性の検討を要請<ref name="ibentkaisai">[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00002.html イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ]</ref>。2月26日、スポーツやイベントなどの集会の2週間の中止・延期・規模縮小を要請し<ref name="ibentkaisai" />、3月2日からの一斉休校を要請した<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200227-OYT1T50272/ 小中高への休校要請、首相「課題には政府が責任もつ」…休業補償案も]2020/02/28 07:20</ref>。3月19日に専門家会議は、感染が爆発的に急増(オーバーシュート)すれば、強硬なロックダウン措置(都市封鎖・店舗閉鎖・外出自粛など)を取る必要があると提言した<ref name="teigen3-19" />。 |
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**北海道:2月28日、緊急事態を宣言、週末の外出自粛を要請<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56188700Y0A220C2L41000/?n_cid=DSREA001 北海道知事が「緊急事態宣言」、週末の外出自粛を要請]日本経済新聞2020/2/28 17:42 (2020/2/28 18:14更新)</ref>、3月1日に「人が大勢集まり、風通しが悪い場所」に行かないことを要請、緊急事態宣言は19日で終了、外出自粛は4週連続で呼びかける<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56967990Y0A310C2L41000/ 北海道の「緊急事態」19日で終了、外出自粛は4週連続へ]日本経済新聞2020/3/18 21:45</ref>。 |
**北海道:2月28日、緊急事態を宣言、週末の外出自粛を要請<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56188700Y0A220C2L41000/?n_cid=DSREA001 北海道知事が「緊急事態宣言」、週末の外出自粛を要請]日本経済新聞2020/2/28 17:42 (2020/2/28 18:14更新)</ref>、3月1日に「人が大勢集まり、風通しが悪い場所」に行かないことを要請、緊急事態宣言は19日で終了、外出自粛は4週連続で呼びかける<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56967990Y0A310C2L41000/ 北海道の「緊急事態」19日で終了、外出自粛は4週連続へ]日本経済新聞2020/3/18 21:45</ref>。 |
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**名古屋市:3月9日、感染の疑われる市民に不要の外出禁止を条例で求めた<ref>[https://mainichi.jp/articles/20200309/k00/00m/040/244000c 名古屋市議会、感染拡大防止条例可決 全国初 「疑い」で市民に外出禁止要請 罰則なし]毎日新聞2020年3月9日 20時08分</ref>。 |
**名古屋市:3月9日、感染の疑われる市民に不要の外出禁止を条例で求めた<ref>[https://mainichi.jp/articles/20200309/k00/00m/040/244000c 名古屋市議会、感染拡大防止条例可決 全国初 「疑い」で市民に外出禁止要請 罰則なし]毎日新聞2020年3月9日 20時08分</ref>。 |
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*'''イタリア''':[[2月22日]]、[[ロンバルディア州]][[ローディ県]]10自治体や[[ヴェネト州]]の[[ヴォー (イタリア)|ヴォー]]を[[封鎖]]<ref>“Coronavirus, in Veneto la prima vittima, Adriano Trevisan, 78 anni. Venti contagiati in Italia. Conte: "Nuove misure"” la Repubblica (2020年2月22日).</ref>。3月7日、ロンバルディア州全州、[[エミリア=ロマーニャ州]]、[[マルケ州]]、[[ピエモンテ州]]、ヴェネト州に拡大、[[ミラノ]]や[[ヴェネツィア]]も含まれ、4月3日まで学校・[[スキー]][[リゾート]]の閉鎖、[[スポーツ]]・[[冠婚葬祭]]など[[イベント]]の中止、[[バー (酒場)|バー]]・[[レストラン]]の営業制限が命令された<ref>{{Cite web|title=Coronavirus, ecco il decreto. Conte: "Inaccettabile confusione provocata da diffusione bozza"|url=https://www.repubblica.it/cronaca/2020/03/07/news/coronavirus_chiusa_la_lombardia_e_11_province_-250570150/|website=la Repubblica|date=2020-03-07|accessdate=2020-03-08|language=it}}</ref><ref>[https://www.sankei.com/smp/world/news/200308/wor2003080014-s1.html ミラノ、ベネチアなどイタリア北部の州を封鎖 1600万人対象] 産経新聞、2020年3月8日、2020年3月9日閲覧</ref>。3月10日、北部に限定されていた[[イタリアにおける2019年コロナウイルス感染症の流行状況#移動制限措置|移動制限]]と休校、レストランや喫茶店の夜間営業停止が全土に適用<ref>[https://www.bbc.com/japanese/51811548 イタリア、移動制限を全土に拡大 新型ウイルス対策で] BBC News (2020年3月10日)</ref><ref name= |
*'''イタリア''':[[2月22日]]、[[ロンバルディア州]][[ローディ県]]10自治体や[[ヴェネト州]]の[[ヴォー (イタリア)|ヴォー]]を[[封鎖]]<ref>“Coronavirus, in Veneto la prima vittima, Adriano Trevisan, 78 anni. Venti contagiati in Italia. Conte: "Nuove misure"” la Repubblica (2020年2月22日).</ref>。3月7日、ロンバルディア州全州、[[エミリア=ロマーニャ州]]、[[マルケ州]]、[[ピエモンテ州]]、ヴェネト州に拡大、[[ミラノ]]や[[ヴェネツィア]]も含まれ、4月3日まで学校・[[スキー]][[リゾート]]の閉鎖、[[スポーツ]]・[[冠婚葬祭]]など[[イベント]]の中止、[[バー (酒場)|バー]]・[[レストラン]]の営業制限が命令された<ref>{{Cite web|title=Coronavirus, ecco il decreto. Conte: "Inaccettabile confusione provocata da diffusione bozza"|url=https://www.repubblica.it/cronaca/2020/03/07/news/coronavirus_chiusa_la_lombardia_e_11_province_-250570150/|website=la Repubblica|date=2020-03-07|accessdate=2020-03-08|language=it}}</ref><ref>[https://www.sankei.com/smp/world/news/200308/wor2003080014-s1.html ミラノ、ベネチアなどイタリア北部の州を封鎖 1600万人対象] 産経新聞、2020年3月8日、2020年3月9日閲覧</ref>。3月10日、北部に限定されていた[[イタリアにおける2019年コロナウイルス感染症の流行状況#移動制限措置|移動制限]]と休校、レストランや喫茶店の夜間営業停止が全土に適用<ref>[https://www.bbc.com/japanese/51811548 イタリア、移動制限を全土に拡大 新型ウイルス対策で] BBC News (2020年3月10日)</ref><ref name=webcg/>。また3月12日-25日まで、生活必需品販売店や薬局などを除く全商業活動休止<ref>[https://www.bbc.com/japanese/51847230 イタリア全土の店舗閉鎖、食料品店と薬局は除外 新型ウイルス] BBC News (2020年3月12日)</ref><ref name=webcg>[https://www.webcg.net/articles/-/42523 大封鎖でカーライフも激変 新型ウイルスが広がるイタリアはいま]WebCG,2020.03.18 </ref>。しかし、住民の外出は止まず、8日間で5万1000人の違反者が出たため、3月17日に政府は、感染を隠して外出した場合、虚偽の申告で[[公衆]]を[[危険]]にさらしたとして、[[懲役]]最長12年を科すと厳罰化した<ref name=itGPS>[https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202003/CK2020032102000131.html <新型コロナ>イタリア外出禁止守られず GPSで把握、厳罰化]東京新聞2020年3月21日 朝刊</ref>。またロンバルディア州は[[携帯電話]]の[[GPS]]によって市民の行動を監視していると明らかにした<ref name=itGPS/>。3月19日ロンバルディア州知事は「[[ジョギング]]も[[自転車]]に乗るのもやめてほしい」「訴えを聞いてもらえなければ[[軍隊]]を出動する」と言った<ref>[https://bunshun.jp/articles/-/36747?page=5 コロナ世界最悪のイタリア「53000人が違反外出」 “感染街”ミラノ近郊の日本人はどう暮らしてる?]文春オンライン</ref>。 |
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*'''韓国''':[[大邱市]]は[[3月7日]]、新興宗教団体「[[新天地イエス教証しの幕屋聖殿|新天地イエス教会]]」の関係者が入居する建物で46人の集団感染が確認されたため、2棟を封鎖した<ref>[https://www.afpbb.com/articles/-/3272128 韓国・大邱市、複合住宅を封鎖 感染拡大招いた新興宗教信者が多数入居]AFPBB2020年3月7日 20:49</ref>。 |
*'''韓国''':[[大邱市]]は[[3月7日]]、新興宗教団体「[[新天地イエス教証しの幕屋聖殿|新天地イエス教会]]」の関係者が入居する建物で46人の集団感染が確認されたため、2棟を封鎖した<ref>[https://www.afpbb.com/articles/-/3272128 韓国・大邱市、複合住宅を封鎖 感染拡大招いた新興宗教信者が多数入居]AFPBB2020年3月7日 20:49</ref>。 |
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*'''スペイン''':[[3月14日]]に非常事態を宣言。買い物や出勤以外の外出を制限。国境も事実上封鎖<ref name= |
*'''スペイン''':[[3月14日]]に非常事態を宣言。買い物や出勤以外の外出を制限。国境も事実上封鎖<ref name=nkB3-18>[https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/031800006/ 欧州は全域封鎖で、新型コロナ対応の「失敗」を挽回できるか]日経ビジネス2020年3月18日</ref>。 |
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*'''フィリピン''':<!--[[3月12日]]、-->[[3月15日]]から4月14日までマニラ首都圏を封鎖<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/world/20200312-OYT1T50300/ マニラ首都圏、4月14日まで封鎖…陸路出入りや航空国内線を禁じる]読売新聞2020/03/12 23:50</ref>、3月17日にルソン島全域も封鎖<ref name= |
*'''フィリピン''':<!--[[3月12日]]、-->[[3月15日]]から4月14日までマニラ首都圏を封鎖<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/world/20200312-OYT1T50300/ マニラ首都圏、4月14日まで封鎖…陸路出入りや航空国内線を禁じる]読売新聞2020/03/12 23:50</ref>、3月17日にルソン島全域も封鎖<ref name=nnaasia/>。 |
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*'''レバノン''':3月15日、外出禁止措置を実施<ref name= |
*'''レバノン''':3月15日、外出禁止措置を実施<ref name=afp3-19>[https://www.afpbb.com/articles/-/3274232 世界で5億 「外出控える人」 新型コロナの封鎖や禁止令で]Afpbb2020年3月19日 16:33</ref>。 |
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*'''チェコ''':[[3月16日]]、都市封鎖を実施<ref name= |
*'''チェコ''':[[3月16日]]、都市封鎖を実施<ref name=afp3-19/>。 |
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*'''EU''':3月16日、[[EU]]域内への不要な渡航の30日間禁止を提案。入域制限地域はアイルランドを除くEU加盟26カ国と、[[シェンゲン協定]]に参加する非EU4カ国の計30カ国を想定し、状況によって延長も検討<ref name= |
*'''EU''':3月16日、[[EU]]域内への不要な渡航の30日間禁止を提案。入域制限地域はアイルランドを除くEU加盟26カ国と、[[シェンゲン協定]]に参加する非EU4カ国の計30カ国を想定し、状況によって延長も検討<ref name=m3-17-EU/>。[[ウルズラ・フォン・デア・ライエン|フォンデアライエン]][[欧州委員会委員長|欧州委員長]]は「移動が少ないほど、ウイルスを封じ込めることができる」と述べた<ref name=m3-17-EU>[https://mainichi.jp/articles/20200317/k00/00m/030/257000c EUの一体感むしばむ新型コロナ 相次ぐ加盟国の「封鎖」政策]毎日新聞2020年3月17日 22時00分(最終更新 3月17日 22時43分)</ref>。 |
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*'''ドイツ''':3月16日から学校を4月19日まで閉鎖し、17日から美術館、映画館、スポーツ施設、コンサートホール、バー、動物園などが営業停止、公園も各種イベントも禁止し、事実上の都市封鎖(ロックダウン)<ref name= |
*'''ドイツ''':3月16日から学校を4月19日まで閉鎖し、17日から美術館、映画館、スポーツ施設、コンサートホール、バー、動物園などが営業停止、公園も各種イベントも禁止し、事実上の都市封鎖(ロックダウン)<ref name=nwGLD>[https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92790_1.php ドイツ保健省、最悪の場合ロックダウン2年の可能性も]モーゲンスタン陽子,ニューズウィーク2020年3月18日18時00分</ref>。18日から飲食店の営業時間を午前6時から午後3時までに制限。テーブルの間隔は最低1.5メートル以上、入店は最大30人までという条件付きだ。3時以降は、テイクアウトもしくは配達のみ<ref name=nwGLD/>。スーパー、薬局、ガソリンスタンド、銀行などは営業可能で、ふだんは営業禁止の日曜も営業可能とした<ref name=nwGLD/>。さらに国境も閉鎖している<ref name=nwGLD/>。 |
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*'''フランス''':[[3月17日]]から15日間、買い物や通勤を除き、外出を制限し、違反者は処罰<ref name= |
*'''フランス''':[[3月17日]]から15日間、買い物や通勤を除き、外出を制限し、違反者は処罰<ref name=nkB3-18/>。 |
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*'''シンガポール''':3月17日、封鎖以外のあらゆる手段を尽くすとして封鎖措置はしないと表明<ref name= |
*'''シンガポール''':3月17日、封鎖以外のあらゆる手段を尽くすとして封鎖措置はしないと表明<ref name=nnaasia/>。 |
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*'''イスラエル''':3月17日、外出禁止措置を実施<ref name=afp3-19/>。 |
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*'''ベネズエラ''':3月17日、外出禁止措置を実施<ref name= |
*'''ベネズエラ''':3月17日、外出禁止措置を実施<ref name=afp3-19/>。 |
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*'''ベルギー''':[[3月18日]]、外出禁止措置を実施<ref name= |
*'''ベルギー''':[[3月18日]]、外出禁止措置を実施<ref name=afp3-19/>。 |
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*'''マレーシア''':3月18日から31日まで全国で都市封鎖<ref name= |
*'''マレーシア''':3月18日から31日まで全国で都市封鎖<ref name=nnaasia>[https://www.nna.jp/news/show/2021403 《安全》「都市封鎖はない」担当閣僚が強調]NNAASIA2020/03/18</ref><ref name=malay3-17>[https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00118/031700006/?yclid=YJAD.1584683098.5KIUQIGdcq2FLyWgokzRw70dIxzX4cFf7QxuEYiHeX.DDQeWlhUsaVmaM4wE6IssGvctH8M3I_bTyuE- マレーシアが全土封鎖、日系企業も打撃避けられず]飯山 辰之介日経ビジネス2020年3月17日</ref>。スーパーマーケットや薬局、水・電気・通信事業者、刑務所や防衛関連を除き、全ての政府と民間の事業所、学校が閉鎖される<ref name=malay3-17/>。イスラム教の行事を含む大規模集会は禁止、レストランは配達サービスのみ営業可能<ref name=malay3-17/>。日系工場の停止でサプライチェーンへの影響が懸念されている<ref name=malay3-17/>。 |
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*'''イギリス''':3月18日、20日から一斉休校を実施すると発表<ref name="bbc20200319">[https://www.bbc.com/japanese/51956275 イギリスも一斉休校へ、新型ウイルス対策] BBC News (2020年3月19日)</ref>。[[ロンドン市]]は3月19日から最大40カ所の地下鉄駅を閉鎖、[[サディク・カーン|カーン]]市長は必要でない限り公共交通機関を使わないよう要請<ref>[https://www.bbc.com/japanese/51970199 ジョンソン英首相、ウイルス危機は「逆転できる」]BBC</ref>。 |
*'''イギリス''':3月18日、20日から一斉休校を実施すると発表<ref name="bbc20200319">[https://www.bbc.com/japanese/51956275 イギリスも一斉休校へ、新型ウイルス対策] BBC News (2020年3月19日)</ref>。[[ロンドン市]]は3月19日から最大40カ所の地下鉄駅を閉鎖、[[サディク・カーン|カーン]]市長は必要でない限り公共交通機関を使わないよう要請<ref>[https://www.bbc.com/japanese/51970199 ジョンソン英首相、ウイルス危機は「逆転できる」]BBC</ref>。 |
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*'''アメリカ合衆国''':[[カリフォルニア州]]は[[3月19日]]、外出禁止令を発令した。食品店、薬局、銀行などは営業を継続する<ref>[https://www.cnn.co.jp/usa/35151140.html 米カリフォルニア州、住民4000万人に外出禁止令]CNN2020.3.20, 11:29 JST</ref>。 |
*'''アメリカ合衆国''':[[カリフォルニア州]]は[[3月19日]]、外出禁止令を発令した。食品店、薬局、銀行などは営業を継続する<ref>[https://www.cnn.co.jp/usa/35151140.html 米カリフォルニア州、住民4000万人に外出禁止令]CNN2020.3.20, 11:29 JST</ref>。 |
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*'''インド''':3月19日、[[デリー首都圏]]で全ての飲食店、スポーツジム、ショッピングモールを閉鎖し、22日から全土で外出を禁止<ref name= |
*'''インド''':3月19日、[[デリー首都圏]]で全ての飲食店、スポーツジム、ショッピングモールを閉鎖し、22日から全土で外出を禁止<ref name=nik-ind>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57050050Q0A320C2000000/ インド、22日に全土外出禁止 新型コロナでモディ首相 ]日本経済新聞2020/3/20 1:31</ref>。 |
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;その他 |
;その他 |
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*オーストリア、英国、ドイツ、イランは外出禁止までは至っていないが、移動を制限<ref name= |
*オーストリア、英国、ドイツ、イランは外出禁止までは至っていないが、移動を制限<ref name=afp3-19/>。 |
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*チュニジア、ボリビア、セルビア、米ニュージャージー州、米自治領プエルトリコ、フィリピンの首都マニラでは、[[夜間外出禁止]]<ref name= |
*チュニジア、ボリビア、セルビア、米ニュージャージー州、米自治領プエルトリコ、フィリピンの首都マニラでは、[[夜間外出禁止]]<ref name=afp3-19/>。 |
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{{Anchors|病理}} |
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== 医療機関の対応方法 == |
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=== 医療学会 === |
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('''注意''':以下のガイドライン、対応策は随時改訂されるので、最新情報の確認が必要) |
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2020年2月4日、[https://www.jsdt.or.jp/ 日本透析医学会]は透析例への対応策<ref>{{Cite web|date=2020-02-04 | url=http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/03_info/doc/20200204_corona_virus_1.pdf | title=新型コロナウイルス関連肺炎に対する透析施設での対応について(第1報) | publisher=[[日本透析医学会]] | accessdate=2020-02-19}}</ref>を発表した。 |
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2月6日、[[日本産科婦人科学会]]が妊産婦への対応策<ref>{{Cite web|date=2020-02-06 | url=http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20200206_coronavirus.pdf | title=妊婦・産褥婦の新型コロナウイルスの感染予防対策について | publisher=[[日本産科婦人科学会]] | accessdate=2020-02-19}}</ref>を発表した。 |
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2月12日、[[日本環境感染学会]]は、「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」を公開した<ref>{{Cite web|date=2020-02-12 | url=http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=332 | title=「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」の公開について | publisher=[[日本環境感染学会]] | accessdate=2020-02-13}}</ref>。 |
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2月16日、[[日本臨床腫瘍学会]]は、がん患者への対応を発表した。「明らかなエビデンスはないものの、[[アメリカ疾病予防管理センター|米国CDC]] のガイダンス(2020年1月30日付)では、がんの罹患は重症化リスクの一つであるとされて」いる、また、「免疫抑制状態もリスク因子とされている」と記載されている<ref>{{Cite web|date=2020-02-17|url=https://www.jsmo.or.jp/file/dl/newsj/2550.pdf|title=新型コロナウイルス感染におけるがん患者への対応 Q&A|format=PDF|publisher=[[日本臨床腫瘍学会]]|accessdate=2020-02-19}}</ref>。 |
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2月17日、[[日本医師会]]は、[[COVID-19]]への医療機関が講じるべき対応策の見直しを<ref>{{Cite web|date=2020-02-17 | url=http://dl.med.or.jp/dl-med/kansen/novel_corona/2019ken2_271.pdf | title=新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策の見直しについて(R02.2.17) | publisher=[[日本医師会]] | accessdate=2020-02-19}}</ref>配下の各医師会に通知し[http://www.med.or.jp/doctor/kansen/novel_corona/009135.html 特設サイト] にも掲載した<ref>{{Cite web|date=2020-02-18 | url=https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0218524297/ | title=日本医師会が新型コロナ対策を周知 | publisher=[https://medical-tribune.co.jp/ Medical Tribune] | accessdate=2020-02-19}}</ref>。要点は以下のとおり。 |
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{{Quotation| |
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# 「新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画作りの手引き」(2013年8月31日) <ref>{{Cite web|date=2013-08-31 | url=https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/guide_tebiki-01.pdf | title=新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画作りの手引き | publisher=[[労働科学研究所]] | author= 吉川 徹 | accessdate=2020-02-19}}</ref>も参照し[[院内感染]]を防ぎ診療継続計画を見直すこと<ref>{{Cite web|date=2020-02-14 | url=http://dl.med.or.jp/dl-med/kansen/novel_corona/2019ken2_269.pdf | title=新型コロナウイルス感染症に関する医療機関の対策について | publisher=[[日本医師会]] | accessdate=2020-02-19}}</ref>。 |
|||
# 今後、[[ポリメラーゼ連鎖反応|PCR検査]]は原因不明の肺炎で重症化が疑われる事例が主体となる。 |
|||
# 特に、高齢者/糖尿病・心不全・透析・呼吸器疾患(COPD等)などの基礎疾患のある人/免疫抑制薬、抗がん薬等の使用者/妊婦 など高リスク例への対応に注意し、速やかに[[帰国者・接触者相談センター]]([https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html 外部リンク直・厚労省案内サイト])に相談すること。 |
|||
|[[日本医師会]]|[http://dl.med.or.jp/dl-med/kansen/novel_corona/2019ken2_271.pdf 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策の見直しについて(R02.2.17)」(PDF) - 新型コロナウイルス関連感染症 都道府県医師会宛て通知]}} |
|||
2月26日、[[日本感染症学会]]は「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を公表した。要点は以下のとおり<ref name='kansensho_20200226' />。 |
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{{Quotation| <!--■ここで文頭の「*」と「#」を使い分けています。「#」は原文でも番号付き箇条書きだったので同じ番号にしたい。すみませんが、みだりにいじって壊さないでください。--> |
|||
* 日本で行える治療は、現在、承認済薬剤の[[適応外使用]]である(手続要)。 |
|||
* 抗ウイルス薬を開始すべき時期は、患者が[[血液ガス分析#低酸素血症|低酸素血症]]を発症し、酸素投与が必要であることを[[必要条件]]とする。そのうえで、 |
|||
# 概ね50歳未満の患者では[[肺炎]]を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい。 |
|||
# 概ね50歳以上の患者では重篤な[[呼吸不全]]を起こす可能性が高く、死亡率も高いため、低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった段階で抗ウイルス薬の投与を検討する。 |
|||
# [[糖尿病]]・[[心血管疾患]]・慢性肺疾患、喫煙による[[慢性閉塞性肺疾患]]、[[免疫抑制]]状態等のある患者においても上記2<!--■この2が重要-->に準じる。 |
|||
# 年齢にかかわらず、酸素投与と[[対症療法]]だけでは[[呼吸不全]]が悪化傾向にある例では抗ウイルス薬の投与を検討する。 |
|||
* 抗ウイルス薬の選択としては、現時点で日本での入手可能性や[[有害事象]]等の観点より、[[ロピナビル]]・[[リトナビル]]([[カレトラ]]®配合錠)、[[ファビピラビル]]([[アビガン]]錠)を提示する。 |
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* 他に使用できる可能性のある抗ウイルス薬には、 [[レムデシビル]]、[[インターフェロン]]、[[クロロキン]] などがあるが、それらの効果や併用効果に関しては今後の知見が待たれる。 |
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| [[日本感染症学会]]|[http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_antiviral_drug_200227.pdf 「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」(PDF)]}} |
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=== 院内感染ほか === |
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2月7日、[[武漢大学|武漢大学病院]]で検出された感染者のうち4割は、同大学病院で[[院内感染]]したと発表された<ref>{{Cite web|title=新型ウイルス 武漢の大学病院 患者の約4割が院内感染か|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200209/k10012278741000.html|website=NHKニュース|accessdate=2020-03-01|last=日本放送協会}}</ref>。患者138人のうち41%(57人)が院内感染で、17人が入院患者、40人が医療スタッフだった<ref name=sjoi/>。 |
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[[韓国]]でも[[慶尚北道]]の病院で院内感染が発生した<ref>[https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202002/CK2020022502000126.html 新型肺炎 韓国感染231人増、833人 国会中止、サッカー開幕延期]東京新聞2020年2月25日 朝刊</ref><ref name=sjoi>[https://s.japanese.joins.com/JArticle/262845?sectcode=400&servcode=400 MERSの時のように…韓国で院内感染始まった、看護師5人の集団感染]中央日報日本語版2020.02.21 08:55 </ref>。 |
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日本の病院でも、牧田総合病院(東京都大田区)<ref name=innai1/>、[[相模原中央病院]]<ref name=SAn/>、[[相模原協同病院]]<ref name=innai2/>、[[済生会有田病院]]([[和歌山県]][[湯浅町]])<ref name=innai3/>、 [[国立循環器病研究センター]]([[大阪府]][[吹田市]]<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200309-21100000-cbn-soci 国立循環器病研究センターが外来休診、13日まで - 新型肺炎の陽性職員発生で]3/9(月) 21:10配信CBNEWS</ref>)などで[[院内感染]]が発生し、一時的に休診となった。 |
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=== オンライン診療 === |
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病院での感染([[院内感染]])のおそれがあるため、[[厚生労働省]]は2月28日、オンライン診療の手続きを簡略化した<ref name=nhk3-10>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200310/k10012323351000.html オンライン診療に注目 手続き簡略化 新型ウイルス感染拡大で]NHK2020年3月10日 16時26分</ref>。 |
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オンライン診療が認められるのは複数回受診しているかかりつけ医で同じ薬を処方してもらう場合などに限られる<ref name=nhk3-10/>。 |
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オンライン診療の手順としては、[[スマートフォン]]の[[テレビ電話]]を通じて、かかりつけの医師の診察を受け、[[問診]]を受けると薬の処方箋が[[薬局]]に送られる<ref name=nhk3-10/>。薬局での服薬指導もスマートフォンで受けることができ、その後、薬が自宅に配送される<ref name=nhk3-10/>。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2020年3月24日 (火) 16:30時点における版
この記事は最新の出来事を扱っています。 |
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2019新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患 | |
---|---|
Symptoms of coronavirus disease 2019 (COVID-19) | |
概要 | |
症状 | 発熱、咳嗽、呼吸困難 |
原因 | 2019新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) |
診断法 | PCR法 |
分類および外部参照情報 |
2019新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患(2019しんがたコロナウイルスによるきゅうせいこきゅうきしっかん、英: Coronavirus disease 2019, COVID-19[1])は、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって発症するウイルス性呼吸器疾患である。「新型コロナウイルス感染症」や「新型肺炎」、「武漢肺炎」などとも呼ばれる。2019年11月、中国武漢市で初めて検出され新興感染症となり、以降世界各地で感染が拡大(パンデミック)している。
名称
疾患名は世界保健機関(WHO)が2020年2月11日にCOVID-19(コビッド・ナインティーン)[注 1]と命名した[3][4][5][6]。なお、元英語名の“2019-nCoV acute respiratory disease”は、WHOによって暫定的に命名されたものである。
日本の法令では同年1月28日時点で「新型コロナウイルス感染症[注 2]」と定められており[7]、同年2月1日より1年間の予定で、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づいて強制的な入院などの措置を取ることができる指定感染症に指定された[7]。
WHOのガイドラインと呼称に関する論争
名称について、WHOは地域の名称や地名と結びついた中東呼吸器症候群(MERS)やスペインかぜ、エボラ出血熱、ジカ熱などの呼称に批判的な見解を示しており、2015年に策定されたWHOの「名称決定についてのガイドライン」(Best Practices for the Naming of New Human Infectious Diseases) では、新たなヒト感染症・ウイルスの名称に地理的な位置、人名、動物や食品に関する名前、特定の文化や産業に関する名前を含むべきでないという立場をとっている[8][9][10]。
一方、中華民国(台湾)の衛生福利部疾病管制署では、COVID-19の簡称として「武漢肺炎」の呼称を公的文書で使用している[11]。また、台湾では新聞などでも「武漢肺炎」と表記している[12]。さらに、台湾だけでなく中国本土においても発生当初には「武漢肺炎」と呼ばれていた[要出典]。
この他、麻生太郎財務大臣[13]や米国のマイク・ポンペオ国務長官[14]らをはじめ、日米の政治家やジャーナリスト[15]の間では発生地の名前をとった「武漢肺炎」「武漢コロナウイルス」などと呼ぶべきと主張する意見もあり、中華人民共和国外交部はこれに反発している[16]。
病理
この節の加筆が望まれています。 |
病原体
SARS-CoV-2に感染することによって発症する[1]。
感染経路
飛沫感染、接触感染が中心とされている。空気感染は確認されていないが、エアロゾルを発生する医療処置がなされた際には感染に関与する可能性が指摘されている[17]。
宿主細胞受容体
SARS-CoV-2はSARSコロナウイルスと同じく宿主細胞のアンジオテンシン変換酵素II(ACE2)受容体に結合して感染するとみられている[18]。ACE2受容体は気管支、肺、心臓、腎臓、消化器等に発現している[19]。Human Protein AtlasによればACE2受容体は腸や腎臓に多く発現している[20]。
通常、ACE2受容体は刺激されるとアンジオテンシンIIを分解することで血圧上昇のためのレニン・アンジオテンシン系(RA系)を阻害するが、このRA系阻害作用は臓器の保護に重要な可能性がある[21][22][23]。SARSコロナウイルスではマウスでの動物実験においてACE2受容体の発現を減少させるとされ[24]、新型コロナウイルス感染症の患者の血漿においてもアンジオテンシンIIが高いレベルにあるという情報がある[25]。そのため、新型コロナウイルス感染症の治療においてRA系の阻害が提案されている[26][25]。
なお、高血圧患者は新型コロナウイルス感染症で重症化しやすいとされる[27]。
症状と徴候
症状は特異的ではなく、症状のないもの(無症候性)から重症の肺炎、死亡まで幅広い。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するWHO-中国合同ミッション報告書」によれば典型的な症状・徴候としては発熱(87.9%)、空咳(67.7%)、疲労(38.1%)、喀痰(33.4%)、息切れ (18.6%)、咽頭痛(13.9%)、頭痛(13.6%)、筋肉痛または関節痛(14.8%)、悪寒 (11.4%)、悪心または嘔吐(5.0%)、鼻詰まり(4.8%)、下痢(3.7%)、および喀血 (0.9%)、結膜充血(0.8%)がある[17]。くしゃみ、鼻水、のどの痛みなどの上気道症状は少ない[28]。潜伏期間については、世界保健機関(WHO)は2日間から10日間[29]、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2日間から14日間[30]とそれぞれ推定している。
初期症状は、風邪とそっくりであるために、発症早期の段階では区別が困難である[31]。感染から潜伏期間(暫定推定値1 - 12.5日間、平均5日程度。ただし極少数ながらそれ以上の潜伏期間例報告もあり)を経た後に、微熱発熱と風邪症状が約1週間続く。新華社通信は2020年1月25日、患者の当初の症状は、肺炎に特有の発熱や咳だけとは限らず、下痢や吐き気、頭痛や全身のだるさなど、消化器系や神経系の症状の場合もあり、早期の診断を難しくしているとして、病院の医師らが注意を呼びかけていると伝えた[32]。また特に発症早期の場合は発熱が必ずしも現れるわけではないため、発熱検知装置だけで検出できない可能性がある[33]。
約1週間の初期症状期に回復しない場合は、高熱、気管支炎、肺炎の初期症状などが併発してくる。重症例では、呼吸不全が起こる。また、血液に乗ってウイルスが体内に拡散され、肝不全、腎不全、心不全、脳炎もしくは中枢神経系感染、多臓器不全などを引き起こすことが確認されている[34][35][36]。髄膜炎の発症も報告されており、日本国内では2020年3月7日に山梨県で確認された。髄膜炎徴候患者の髄液を採取してPCR検査したところ陽性だったという。中国本土ではウイルス性脳炎や髄膜炎疑い症例が報告されているが、日本国内では初となる[37]。
2月14日の横浜での緊急シンポジウムで、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、以下のように述べた[38]。
軽微な呼吸器症状を見極め、感染者を早期に見つけることが重要な時期。
胸部レントゲンとCT検査の両方を実施した41歳日本人男性の症例では、CTのみで左肺の尖部と舌区に一部湿潤影を伴うすりガラス影を認めて肺炎と診断できた。レントゲンではとても見抜けない非常に小範囲な陰影だった。通常、こうした臨床像の患者にCTを撮ることは現実ではないが、背景に感染の流行という特殊な状況があったため実施してキャッチできた。
複数の軽微な症例を診察した結果、感冒症状が一週間続き、かつ倦怠感が強いという臨床上の経過は、感冒やインフルの経過と明らかに異なる。
— 国際感染症センター長・大曲貴夫 、 [38]
また、同シンポジウムでWHOの進藤奈邦子シニアアドバイザーは、次のように述べた[38]。
この病気は心配しないでもいいという意見もあるが、下気道に親和性が強い。排菌のピークは、発症日から3、4日後くらい。
— WHOシニアアドバイザー・進藤奈邦子 、 [38]
検査
血液検査
血液検査での確定診断は現時点で困難である。COVID-19患者において約8割にリンパ球減少がみられ、血小板減少、白血球減少がそれぞれ約3割にみられる。CRP上昇、AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、D-dimer上昇などもみられることがある。重症例ほど異常値が現れやすい傾向にある[39]。
SARS-CoV-2に対するIgM抗体やIgG抗体を血液から検出するキットが開発され、中国ではCOVID-19の標準診断法としてガイドラインに記載されている。日本でもクラボウより販売されているが[40]、2020年3月17日現在、保険適用外である。
画像診断
写真付きの論文[41]によれば、CT所見において一般的に両側性のすりガラス陰影と浸潤影を呈することが分かったという。また、他の早期診断に有用と思われる特徴として、結節性陰影、網状影、病変の辺縁性分布が挙げられた。一方、空洞、不連続な結節、胸水貯留、リンパ節腫脹は見られなかった。初回CT検査で異常所見がなくても(すなわち陰性でも)、COVID-19の可能性を除外できるとは限らないという[42]。
超音波診断
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超音波診断装置による肺エコーはCOVID-19の診断に使える可能性があり、また院内感染リスクを減らせる可能性が指摘されている[43][44]。
ウイルスの存在診断
概要
下気道由来検体(喀痰もしくは気管吸引液)または鼻咽頭ぬぐい液を用いてPCR検査を行うことでウイルスの存在を診断する。検体ごとに陽性率は異なっており、気管支肺胞洗浄液が93%、喀痰が72%、鼻ぬぐい液が63%、咽頭ぬぐい液が32%と報告されている[45]。下気道にウイルス量が多いため、なるべく下気道由来検体を採取する[46]。下気道由来検体を採取する際にはN95 マスク(または DS2 など、それに準ずるマスク)、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン、手袋を装着する[47]。鼻咽頭ぬぐい液を採取する際には、サージカルマスク、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン (不足の場合はエプロン可)、手袋を装着する[47]。検体は三重梱包を行い、公用車・社用車等の自動車または「カテゴリーB」を取り扱う輸送業者を利用して送付する[46]。
検査ツールの開発
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- ロシュ
2020年1月30日、スイスの製薬会社ロシュは、ウイルスの存在が浮上した時に分子診断医からなる緊急対応チームをスタートさせたと語った。提携先と協力し、スタッフがいれば数時間で診断できる検査ツールを開発した。中国では同ツールの使用に必要なハイテク装置が少なくとも150台必要なことが分かった。この検査ツールの利用に必要なハイテク装置「マグナピュア24」「ライトサイクラー480」などを増産している[48]。
- CDC
2020年2月6日、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、本ウイルスの検査キットを開発し、国内外の検査機関に配布をはじめたと発表した。検査キットは通常のインフルエンザの診断で使用する機器で利用でき、4時間で結果が出る。1キットで700~800の検体を診断できる。それまでは採取した検体を国内の検査機関から受け取ってCDCが診断していたが、各検査機関の中で診断できるようになり迅速化する[49]。
- リアルタイムPCR
DNAを増幅しながら量も測れるリアルタイムPCRで新型コロナウイルスが検出できるということが報告され、WHOから25000のキットが159カ国の検査所に送られた[50]。
- 島津製作所
2020年3月4日、島津製作所は従来のPCR検査薬に余分な成分の影響を受けないようにする薬品を加えることで前処理を省くことができる検査試薬を開発し、研究用としての供給を行うと発表した[51]。
ウイルス検出手順
国立感染症研究所が2020年2月5日に発表し、その後も改訂を続けている「病原体検出マニュアル 2019-nCoV」によれば、新型コロナウイルスの検出手順は以下のようになる[52]。
検体の取り扱いは、バイオセーフティーレベル(BSL)2+でおこなう[52]。PCR検査法は2019-nCoVの遺伝子領域からオープンリーディングフレーム(ORF)1aとスパイクタンパク質(S)を検出する2-step RT-PCR 法(2ステップ逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法)またはリアルタイム one-step RT-PCR 法(TaqMan プローブ法)が使用される[52]。
- RNAの抽出
キアゲン(QIAGEN)社のQIAamp Viral RNA Mini Kit (QIAGEN、Cat.No.52904)[53]、また、他のRNA抽出キットでもよい。
- 2-step RT-PCR 法
- SuperScript IV Reverse Transcriptase (Thermo:サーモフィッシャーサイエンティフィック)[54]
- Quick Taq HS Dymix (Toyobo:東洋紡)[55]
- PrimeScript RT reagent Kit, Takara RR037A(タカラバイオ) [56]
- PerfectShot Ex Taq, Takara RR005A (タカラバイオ) [57]
- Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System, Promega A9281(プロメガ)[58]
- リアルタイム one-step RT-PCR 法(TaqMan プローブ法)
各国の検査体制
中華人民共和国の検査体制
2月14日、中国国家衛生健康委員会副主任・曽益新は、国内の無症状病原体保有者について情報公開の対象外であるとし、保健当局の内部のみで報告すると説明した[62]。PCR検査で陽性であっても発熱や咳のような症状がなければ感染者として発表しないという基準に変更された[63][64][65]。2月末時点で中国の無症状感染者4万3000人が統計から除外されており、公式発表の8万人に無症状者を含めると感染者数は12万人を超える[66]。
3月15日に北京大学の姚洋国家発展研究院長は論文で「地方当局者は『新たな感染者を1人でも出せば処分する』という指令を受けている」と異例の指摘をした[63][64]。湖北省では3月18日-19日に新たな感染者が確認されていないが、中国は感染症鎮圧の目標達成を装うために統計が改ざんしていると指摘された[63][65][64]。
日本の検査体制
厚生労働省は2020年2月18日、1日に最大3,800人のPCR検査ができる体制を整備したと発表した[67]。しかし、2月18日から2月24日の間に実施された検査件数は約6,300件で、1日平均約900件だったため、各界から批判された[68]。
3月1日、国立感染症研究所は「PCR検査の拡大を感染研OBが妨害している」「検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている」「実態を見えなくするために、検査拡大を拒んでいる」といった主張は事実と異なり、職員や関係者を不当に扱うもので、対策へ悪影響を及ぼしていると反論した[69]。
3月7日、厚生労働省は、かかりつけ医が必要と考える場合は、すべての患者が検査を受けることができる十分な1日6,000件程度の検査能力を確保しているとし、3月末には8,000件を超えると発表した[70]。
また、PCR検査の医療保険適用によって、帰国者・接触者相談センター(24時間対応)から紹介された帰国者、接触者外来で検査が必要とされたときは、保健所を経由することなく、民間の検査機関に直接、検査依頼を行うことが可能となった[70]。かかりつけの医者が検査が必要と判断した場合には、帰国者・接触者外来を紹介受診し、検査を行う[70]。地域の検査能力に限界があるために断られるということがないようにするとし、同時に、検査時間を大幅に短縮できる新しい簡易検査機器の開発を進めていくと述べた[70]。
※厚生労働省は疑似症報告制度を採用している。疑似症とは「感染症を疑わせるような症状のうち、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断したもの」と定義される[71]。この疑似症報告制度によるPCR検査実施人数には、退院時の確認検査や、疑似症報告に該当しない検査、クルーズ船やチャーター便に関する検査等は含まれておらず、実際の実施総数より少ない[72]。
例えば2月18日から3月11日までのPCR検査実施件数の総数は25,456件であったが、退院時の確認検査などは含まない場合は10,024件となる(下記表参照)[73]。
PCR検査数
(累計) |
前日比 | 出典 | |
---|---|---|---|
3月1日(日) | 2,517件 | +178件 | 厚生労働省[74] |
3月2日(月) | 2,613件 | +96件 | 同上[75] |
3月3日(火) | 2,684件 | +71件 | 同上[76] |
3月4日(水) | 6,519件 | +3,835件 | 同上[77] |
3月5日(木) | 6,777件 | +258件 | 同上[78] |
3月6日(金) | 7,476件 | +699件 | 同上[79] |
3月7日(土) | 8,029件 | +553件 | 同上[72] |
3月8日(日) | 8,176件 | +147件 | 同上[80] |
3月9日(月) | 8,286件 | +110件 | 同上[81] |
3月10日(火) | 9,600件 | +1314件 | 同上[82] |
3月11日(水) | 10,024件 確認検査等を含む累計 : 25,456件 (2月18日〜3月11日分) |
+424件 | 同上[83] |
3月12日(木) | 10,205件 確認検査等を含む累計 : 26,950件 (2月18日〜3月11日分)[84] |
+181件 | 同上[85] |
3月13日(金) | 12,060件 確認検査等を含む累計 : 28,009件 (2月18日〜3月13日分)[86] |
+1,855件 | 同上[73] |
3月14日(土) | 12,919件 | +859件 | 同上[87] |
3月15日(日) | 13,026件 | +107件 | 同上[86] |
3月16日(月) | 13,068件 確認検査等を含む累計 : 29,122件 (2月18日〜3月14日分)[88] |
+43件 | 同上[88] |
3月17日(火) | 15,151件 確認検査等を含む累計 : 32,125件 (2月18日〜3月15日分)[89] |
+2083件 | 同上[89] |
3月18日(水) | 15,354件 確認検査等を含む累計 : 33,212件 (2月18日〜3月16日分)[90] |
+203件 | 同上[90] |
3月19日(木) | 14,901件 確認検査等を含む累計 : 34,922件 (2月18日〜3月16日分)[91] |
−453件[92] | 同上[91] |
3月20日(金) | 18,844件 確認検査等を含む累計 : 36,623件 (2月18日〜3月18日分)[93] |
+3,943件 | 同上[93] |
3月21日(土) | 18,963件 確認検査等を含む累計 : 37,726件 (2月18日〜3月19日分)[94] |
+119件 | 同上[94] |
3月22日(日) | 20,228件 確認検査等を含む累計 : 38,601件 (2月18日〜3月20日分)[95] |
+128件 | 同上[95] |
3月23日(月) | 20,340件 確認検査等を含む累計 : 38,954件 (2月18日〜3月21日分)[96] |
+112件 | 同上[96] |
韓国の検査体制
2020年3月までに韓国では21万人以上が検査を受け、現在も毎日約2万人を検査している[97]。
イギリスの検査体制
2020年3月までにイギリスでは2万9700人以上が検査を受け、1日の検査人数は1000人を超える[97]。
アメリカの検査体制
アメリカ合衆国では2020年1月以降、1万1079個の検体が調べられた(CDC発表)[97]。ただ、患者1人が少なくとも2つの検体を提出するのが一般的なため、検査を受けた人数は検体数より少ないとされる[97]。民間の病院での検査はCDCに報告されないケースもあり、当局は全体の把握が難しいとしている[97]。
アメリカは1月、WHOが承認した検査キットの使用を断り、CDCが独自に検査を開発したが、その製造過程において欠陥が見つかり、多くの検査結果が判定不能となった[97]。3月に感染が拡大してからは、検体を取るための綿棒や手袋も不足し、CDCは「十分な器具も人も内部能力もない」「公衆衛生の研究所に対する投資が少な過ぎた」と述べた[97]。
3月12日、アメリカ国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチは、現在の米国の検査体制は必要に即していない、「他の国のように、誰もが簡単に(検査を)受けられるという体制になっていない」と述べた[97]。
また、ワシントン大学病院のアレックス・アダミ博士は、今回の感染症の予防、検査、治療法について「誰も実際に訓練を受けた人はいなかった」と述べ、その結果、院内感染が発生したという[97]。病院は当初、新型ウイルスに対応するスタッフは少ない方が、感染のリスクを限定できると判断していた[97]。アダミ博士は、「他の病院は私たちの例を見て、『どうすれば、もっとうまくいく?』と考えてほしい。国民には私たちの例から、後手後手に回るのではなく早め早めの対応が必要だと学んでほしい」と述べた[97]。
治療法
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治療法の概要
現時点で対症療法が中心であり、重症例には酸素投与や人工呼吸器を含めた全身管理が必要となることもある。下記に示すように探索的な抗ウイルス療法も行われており、臨床試験も数多く行われている。
時系列
2020年1月末の時点で確立された治療法はなく[98]、主として対症療法のみが行われていた[98]。
2月に入り中国国家薬監局[注 3]はファビピラビル(アビガン錠)(→ #ファビピラビル (アビガン) (抗インフルエンザ薬))を承認した[99]。
日本では日本感染症学会が、2月26日、抗ウイルス薬の選択として、以下を呈示した。
(1) 現時点で日本での入手可能性や有害事象等の観点より、
- ロピナビル・リトナビル(カレトラ®配合錠)(→ #ロピナビル・リトナビル(抗HIV薬;プロテアーゼ阻害剤)の合剤)
- 上記 ファビピラビル(アビガン®錠)(→ #ファビピラビル (アビガン) (抗インフルエンザ薬))
(2) 他に有効な可能性のある薬剤例として、
(→ #医療機関の対応方法)。同学会はまた、3月2日、吸入ステロイド・喘息治療薬 シクレソニド の三例の著効例もサイトに掲載し、大きな反響を呼んだ(→ #シクレソニド (吸入ステロイド、喘息治療薬))。
3月17日に、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」が作成された[100]。
製薬会社は
- エボラ出血熱やエイズウイルス(HIV)など致死率の高い他のウイルスに対して既存の医薬品で効くものを探して転用する(以下に詳述)。
- 新技術を頼りに、かつてないスピードでワクチン(→ #ワクチンの開発)や抗体医薬(→ #抗体医薬の開発)その他の新薬を開発する。
中国の当初の処方
医学論文誌『ランセット』に掲載された、中国の2020年1月2日までに発症した41人の患者の研究報告によれば[103]、38人(93%)の患者に抗インフルエンザ薬のオセルタミビル(タミフル)を処方した。さらに、9人(22%)の患者に副腎皮質ホルモンが全身[注 4]投与された。
中華人民共和国国家衛生健康委員会(NHC)は1月23日公表の指針で、暫定的に抗HIV薬リトナビル(カレトラ)、その効果を補強する経口抗ウイルス薬サキナビル(インビラーゼ)およびアルファインターフェロンのネブライザーによる投与を推奨した[104][105]。
また、中華人民共和国国家衛生健康委員会(NHC)は「対新型コロナウイルス肺炎診療方案(第7版)」の中で、「十.治療 (二)一般治療 3.鼻カニューラ、酸素マスク、経鼻ハイフロー酸素療法など、効果的な酸素療法をタイムリーに実施。条件があえば、電気分解式水素ガス吸入器(H2/O2:66.6%/33.3%)を加えて治療をする(原文は中国語)」と水素ガス吸入療法いた治療方法の提案を発表している[106]。
既存薬探索
中国での探索研究
2020年1月25日、中国の20以上の機関からなる研究グループは、有効な可能性のある薬剤等のスクリーニング(探索)を行った結果、候補物質30種類を発見したと発表した[107]。そのリストには、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、カルフィルゾミブ、リトナビル、その他12の抗HIV薬、また、サンズコン(山豆根)などの漢方薬、イタドリ(虎杖)などの天然物も含まれている。
1月29日、中国科学院(CAS)の軍事医学科学院および武漢病毒研究所(WIV)の共同研究により、本ウイルス阻害効果がまずまずよい(fairly good)既存薬を3種類発見したと報道された[108]。
すなわち、RNAポリメラーゼ阻害剤レムデシビル[109][110][111][112]、クロロキン および リトナビル である。それらは臨床使用承認申請手続中と述べた。
そのレムデシビル、また、I型インターフェロン、ロシアの抗ウイルス剤トリアザビリン(Triazavirin)[113][114]の試験はその時期に始まった。
北欧での探索研究
Petter I. Andersen(ノルウェー科学技術大学(NTNU))らは、人体に対して安全で薬効範囲の広い120種類の抗ウイルス薬からなるデータベースを作成し、本ウイルス疾患の治療に有効な可能性のある31種類の薬剤をピックアップしている (2020年2月12日第6版)。
その中に以下の薬剤名が例示され「2019-nCoV(現名称 SARS-CoV-2)の処方に目的変更(repurposing[115])が可能かもしれない」とある(詳細は原文[116]参照):
— preprints.org、 DOI 10.20944/preprints201910.0144.v6
- 抗感染症薬の ダルババンシン[117](Dalbavancin)(米国商品名 DALVANCE[118]、欧州商品名 XYDALBA)(ラクオリア創薬 、アイルランドのアラガン社(旧社名:Actavis)、カナダ・米国などに拠点をもつCorrevio Pharma社(旧社名:Cardiome Pharma)[119])[120]、
- 抗生物質のテイコプラニン[121](Teicoplanin)(沢井製薬)、
- 抗生物質 モネンシン、
- 抗菌薬 オリタバンシン[122](Oritavancin)(Melinta Therapeutics の Orbactiv)、
- 催吐薬及び抗原虫薬 エメチン
- RNAポリメラーゼ阻害剤 レムデシビル(上記)、抗HIV薬 ロピナビル(上記)、抗HIV薬 リトナビル(上記)、
- 抗マラリア剤 クロロキン、抗マラリア剤かつ全身性・皮膚エリテマトーデス治療薬 ヒドロキシクロロキン
- 抗インフルエンザ薬 アルビドール(下記)。
韓国での探索研究
2020年3月2日、韓国パスツール研究所などのチームは、FDA承認薬と生物活性分子を含む5,406個の化合物の中から、MERSコロナウイルスの臨床分離株を用いスクリーニングを行ってCOVID-19を含む広範囲のコロナウイルスに効く薬の候補を絞れたとbioRxivで報告した(※ 未査読論文)[123][124](PDF)。その中で以下の、12個のFDA承認薬と6個の生理活性物質が示された。
- 抗HIV薬のネルフィナビルメシル酸塩 (Nelfinavir mesylate)
- 高血圧症・狭心症薬のベニジピン塩酸塩 (Benidipine hydrochloride)(協和キリンのコニール)
- 高血圧症のレルカニジピン塩酸塩 (Lercanidipine hydrochloride) (Zanidip)
- ニューモシスチス肺炎薬のアトバコン(Atovaquone または Atavaquone)(グラクソ・スミスクラインのサムチレール)
- 抗がん剤のレゴラフェニブ (Regorafenib)(バイエル薬品のスチバーガ)
- 生理活性物質6種類:Emetine dihydrochloride, Oxyclozanide, Cycloheximide, Lanatoside C, Calcimycin, Digitoxigenin
— bioRxiv、Screening of FDA-approved drugs using a MERS-CoV clinical isolate from South Korea identifies potential therapeutic options for COVID-19
この中に、同論文の表1にランクインし治癒指数T1が6.1以上と記載されたシクレソニドは、2020年2月、日本で3例で処方が試されて著効を上げたシクレソニド(→ #シクレソニド (吸入ステロイド、喘息治療薬))。シクレソニドは、実験の結果、ウイルスのライフサイクルの初期ステージ(原文では「early stage (pre-entry)」)で働いていることが分かった。シクレソニドのターゲットはグルココルチコイドリガンドと推定されている。
この論文では、治癒指数T1が非常に大きい強心配糖体類が特に有望としている。
ロピナビル・リトナビル(抗HIV薬;プロテアーゼ阻害剤)の合剤
概要
ロピナビル・リトナビル(商品はこれらの成分からなる合剤である。商品名:カレトラ®(Kaletra)配合錠またはアルビア🄬(Aluvia);略称 LPV/r)は、上記のように中国での初期の治療から広く用いられている(→ #中国での探索研究)。ロピナビルとリトナビルはどちらもHIV感染症に対するHAART療法に用いられ、プロテアーゼを阻害する作用を持つ。
2020年2月26日の日本感染症学会の文書でも、現時点で日本での入手可能性や有害事象等の観点を考慮した抗ウイルス薬の選択肢として、筆頭に名前が上がっている[126]。
症例報告レベルでは有効であったとする報告がみられる一方[127][128]、復旦大学のチームが2020年1月から2月に行ったロピナビル・リトナビル投与群52例を含む134例の比較臨床試験の結果、「症状緩和やウイルス除去促進の影響が見られなかった」と報告した[129]。また、同様の時期に行われた、中国 首都医科大学など多くの医療機関の共同研究でも、計199例で半数にロピナビル・リトナビルを投与する無作為化対照非盲検試験を行った結果、「重度の患者では標準治療を超える利益(benefit)は観察されなかった」と報告した。[130]。
時系列
米製薬会社アッヴィは2020年1月26日、中国保健当局からの要請でアルビアを試験的に使用していることを明らかにした[104]。アルビアは、冷蔵不要という特徴がある[131]。
2月2日、タイ保健省は本剤とオセルタミビルの併用によって治療効果を認めたと以下のように発表した。
2月4日、浙江大学教授李蘭娟研究チームはロピナビルとリトナビルは大きな効果はなく、しかも副作用があると述べた[135]。(→#アビドルとダルナビル)
2月10日、上海市公共卫生临床中心(中国語版)の 陈军凌云(Chen Jun LY)らは、「新型コロナウイルス肺炎の治療における、ロピナビル/リトナビルおよびアビドルの有効性」(直訳)という報告を行った[129]。134症例中52例が経口LPV/r治療、34例は経口 アビドール治療、残り48例は抗ウイルス薬を不使用(なお、全例でインターフェロン-α2b スプレーと対症療法は実施)。研究の結果、両方の薬剤とも、症状緩和の効果もウイルス除去促進の効果も見つからず、有効性についてさらなる調査が必要と結論づけている。
3月3日、杏林大学医学部付属病院のグループは、症例報告「COVID-19肺炎の2症例:クルーズ船内感染例および市中感染例」で、「症例2」の場合にLPV/rを投与しても呼吸状態が増悪したことを説明し、上記復旦大学チームの報告書[129]を引いて、「LPV/r は中国からの報告ではウイルス量の低下、症状の改善には影響を与えておらず、COVID-19肺炎への過度な期待は難しいと考えられる。」と考察した[136]。
3月3日、国際医療福祉大学熱海病院のチームは、症例報告「ロピナビル・リトナビルで治療した新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の症例報告」で、無症状から高熱と肺炎に増悪した患者に LPV/r を投与して治療を行ったところ、投与から2日後に解熱など好転し、入院後20日間でPCR検査が陰性化し退院したことを報告した[127]。「本例に限って言えばカレトラは好意的に評価できる。酸素化低下などの重症化の徴候を待たず、肺炎の診断を得た時点で早期に治療介入を行うことで、重症化の阻止、致命率の低下ができるかもしれない」と考察している。
3月10日、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院のグループは、症例報告「ロピナビル/リトナビル合剤が有効であったと考えられたCOVID-19関連肺炎の一例」で、入院4日目に低酸素血症と全身倦怠感の増悪があり急性肺傷害に移行する懸念があった患者にLPV/rを投与したところ、投与2日目には解熱鎮痛薬なしでも発熱しない状態になったと報告した[128]。これは、有効性の高い対象症例であった可能性と、投与時期が的確であった可能性があると考察している。
3月18日、中国で行われたCOVID-19を対象としてLPV/rを投与する臨床試験の結果が報告されたが、LPV/rの有効性を示すことができなかった[130]。
レムデシビル (抗エボラ出血熱薬)
2020年1月23日、米国の製薬大手ギリアド・サイエンシズは、エボラ出血熱治療の実験薬 レムデシビル(開発コード GS-5734)[137]がこの治療で有効かどうかを検証中であると表明した[138]。レムデシビルはコンゴのエボラ出血熱の治療法を緊急に見い出すために2019年に精力的に臨床試験が行われていた4種類の薬剤のうちのひとつで、試験の結果、エボラ出血熱の患者生存率改善効果を示した[139]。
1月31日の、米ワシントン州2019-nCoV症例調査チーム[140]の報告[141]「2019年の新規コロナウイルスの米国での最初の症例」(直訳)によれば、以下のように上記レムデシビルの効果があったという。
2月2日、中国当局にレムデシビルの臨床試験申請が受理された。さっそく2月3日には北京の中日友好医院により武漢で臨床試験が開始された[142]。軽・中等度の肺炎を発症した患者のうち最大270人が無作為に選ばれ、二重盲検とプラセボ対照の試験に参加[143]。同年4月に結果が出る予定[144]。
同社は進行中の臨床試験外の緊急治療(コンパッショネート使用)を目的にレムデシビルを提供している。日本国内でも2月22日、加藤勝信厚生労働大臣が、患者に対し2月中にもレムデシビルの投与を開始し、3月にもレムデシビルの承認を目指した臨床試験を始める考えを示した[145][146]。
中国を視察した世界保健機関(WHO)の担当者が24日、レムデシビルは「現時点で本当に治療効果があるとみられる唯一の薬」と発言した[147]。ある製薬会社担当者の意見では「緊急性を考えて特例扱いだとしても、最短でも2020年内の承認だろう」という。
2月26日、ギリアド・サイエンシズは、レムデシビルのふたつの第III相試験の治験届がFDAに受理されたと発表した[144][148]。この治験で、世界各国から重度約400人、中等度約600人の被験者で3月にも開始し、順調なら4月にも結果が出る[145]。3月11日、数百人のCOVID-19患者が本剤で治療を受けた[149][150]。米厚生省はその前週、日本の重症患者に未承認薬のコンパッショネート使用の一環としてレムデシビルを提供するため、同省公衆衛生局の士官部隊が、在日米国大使館、日本の厚生労働省、ギリアドと協力していると発表している。
ファビピラビル (アビガン) (抗インフルエンザ薬)
概要
ファビピラビル(アビガン)は富士フイルム富山化学が開発し、「浙江海正薬業股份有限公司(Zhejiang Hisun Pharmaceutical)」社に2016年に中国におけるライセンスを導出済[151]。アビガンは、神奈川県が特区で7年前(2013年)からフジフイルムの新型インフルエンザの特効薬として開発と国際展開に協力してきた薬剤である[152][153]。中国ではCOVID-19に対する治療選択肢の1つとして挙げられており、有効であることが証明された[154]。日本でもCOVID-19に対する治験が計画されている[155][156]。
時系列
2020年1月28日時点で、開発元の富士フイルム富山化学は本ウイルスに効果があるかどうかの検証に取り組んでいない[157]。
2020年2月18日の報道によれば、抗インフルエンザ薬ファビピラビル(商品名 アビガン錠; 中国語製品名 法維拉韋)[158]が中国の国家薬監局から販売許可を得た[159]。
中国の科学技術部の15日の発表によると、ファビピラビルは現在、COVID-19の治療の臨床試験で使われている[160]薬のうちのひとつである。比較的高い治療効果と副作用が少ないことを示しているとされる(治験番号 ChiCTR2000029548[161])。〈注意:本剤は動物実験において初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、使用にあたっては男性女性にかかわらず注意事項厳守が必要である。[158]〉
2月22日、加藤勝信厚生労働大臣は読売テレビの番組の中で、「アビガンが効くということになれば、全国に展開をして治療に使っていきたい」、「効果があると考えられている他の治療薬の使用も並行して考えていく」と述べた[162][163]。アビガンは新型インフルエンザ治療薬として日本国内で製造され、約200万人分が備蓄されている。政府関係者によると、中国で本ウイルスへの効果が確認されているという。アビガンの人道的使用と臨床試験の早期開始を国に提言したのは自身であると黒岩祐治神奈川県知事が2月23日に表明した[164][165]。
2月22日から日本国内のひとつの医療機関で、本疾患の患者にアビガンの投与が始まった[146]。
3月17日、中国政府はファビピラビルが有効であったと発表した[154]。ファビピラビルはロピナビル・リトナビルとの非盲検比較試験において、ウイルス排出期間を短縮し(4日 vs. 11日)、X線画像の改善率を高め(91.43% vs. 62.22%)、さらに安全性にも問題がなかった[166]。
シクレソニド (吸入ステロイド、喘息治療薬)
概要
シクレソニドは気管支喘息に用いられる吸入ステロイド薬であり、帝人の100%子会社である製薬会社帝人ファーマが2007年から販売している[167][168]。米国ではOmnaris, Alvesco および Zettona (いずれも、本社がオランダの Covis Pharma[125]社製)の商品名で販売されている。
同薬は、基礎実験においてSARS-CoV-2に対する抗ウイルス効果が示された。他の吸入ステロイドには同様の抗ウイルス効果が見られず、シクレソニド特有の作用と考えられた。本知見をもとに3例のCOVID-19患者に投与したところ改善効果がみられた。現在さらなる症例の集積が行われている[169][170]。
時系列
2020年2月19日、国立感染症研究所村山庁舎のコロナウイルス研究室は、「新型コロナウイルス感染症への対応に関する緊急拡大対策会議」で次のことを紹介した。
これを参考に神奈川県立足柄上病院のチームは、重症化のおそれがあり治療が難航していたCOVID-19患者3名への投与治療をすぐに行った。その結果、3例とも2日ほどで状態が好転、という著しい効果があった。
3月2日、その症例報告を日本感染症学会のサイトで以下内容で発表し[169][170]、多くのニュース番組等で紹介された。
- クルーズ船「ダイヤモンドプリセンセス号」に乗り合わせたCOVID-19陽性者で、肺炎が増悪中の患者3名にシクレソニドを投与したところ、良好な結果が得られた。うち2例は咽頭ぬぐいPCR検査でまだ陽性のため、吸入量を増量して継続中。
- COVID-19は(多くの報告のとおり)初期が軽症でも発症後7-10日で急速に悪化する印象。シクレソニドの投与時期は、重症化する前の、感染早期〜中期あるいは肺炎初期が望ましい。
- ウイルスの早期陰性化や重症肺炎への進展防止効果が期待される。
- 本ウイルスが肺胞上皮細胞で増殖し、肺障害を引き起こしながら、同時に肺胞マクロファージ等に感染し局所の炎症を起こすと推定され、それに対しシクレソニドの持つ抗ウイルス作用と抗炎症作用が、重症化しつつある肺傷害の治療に有効であることが期待されている。
- COVID-19に対し広く投与されているロピナビル/リトナビル(カレトラ錠)(略号 LPV/r)[173]対シクレソニドの比較
- in vitro(試験管レベルでの研究)でウイルス増殖防止効果は同等以上、
- 肺胞到達時の組織濃度は数十倍、
- 副作用は前者が「下痢,吐き気,嘔吐,腹痛等」で高齢者における薬物動態については十分な検討がなされていない[173]。後者は添付文書に副作用の記載はあるが、未熟児・新生児から高齢者まで広く用いられる安全な薬剤で、報告時点までで同院で有害事象はなかった。
- 価格は前者が 1,289.6円/日、後者は1キット2,169円(同院の1,200μg/日処方で)と安価。
— 日本感染症学会、COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例
- この3例のみの症例数で効果を論じることはできないので、今後症例の蓄積と検討が望まれる。
3月2日に韓国パスツール研究所などのチームが発表(→ #韓国での探索研究)したCOVID-19有効薬剤候補の中にも、本剤シクレソニドが含まれていた。候補はMERSコロナウイルス株を使ったスクリーニング研究で得られたもの。
3月6日、国立感染症研究所は、上記3症例について「シクレソニドが、ウイルスの遺伝情報を担うリボ核酸(RNA)の複製を阻害した」との見方を示した。また、MERSで抗ウイルス作用を示したとのデータがあったと述べた[174]。
3月9日に厚生労働省健康局結核感染症課より要請を受け、帝人ファーマと親会社の帝人は翌10日、COVID-19治療薬の検討に資するべく、同社が製造販売承認を有するオルベスコの供給体制を(本剤使用中の気管支喘息患者への安定供給を確保した上で)確保すると発表した[175][176]。同社が要請されたのはオルベスコ2万本分の確保。いつまでに出荷という期限は設けられていない。オルベスコは海外のメーカーから導入していて帝人の一存では増産できないが、メーカーと協議しながら数量を確保していく[177]。
3月10日、日本環境感染学会(会員数約1万名)は、「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版改訂版 ver.2.1)」を公開し[178]、治療に関する説明の中に、3月2日の前版にはなかった本剤に関する記載を追加した(下線部)[179]。
治療・予防(ワクチン) 新型コロナウイルス感染症(COVID- 19) に対して、現在、有効性が証明された治療法はありません。ただし、抗HIV薬のロピナビル/リトナビル、抗インフルエンザ薬のアビガン、エボラ出血熱の治療薬として開発されたレムデシビル、および吸入ステロイドの喘息治療薬であるシクレソニドなどが治療薬の候補として挙がっており、今後の検証によって効果が証明されれば治療薬として用いられる可能性があると思われます。
— 日本環境感染学会、 医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版改訂版 ver.2.1)
3月12日に掲載された国立感染症研究所松山州徳らの審査前論文によれば、シクレソニドはコロナウイルスのもつ非構造タンパク質であるNSP15に作用してウイルスのRNA複製を抑制する[180]。したがって、シクレソニドはコロナウイルスであるMERSまたはCOVID-19の患者の治療の候補薬となる。
3月22日に放送されたNHKのインタビューで、国立感染症研究所の松山州徳室長は次のことを明らかにした[181]。
- 同研究所では2年前から、MERSに効く薬を1,200種の薬剤ライブラリからスクリーニング研究を実施し、シクレソニドが有効である可能性を見つけていた。
- 今回新型コロナウイルスに感染させた細胞にシクレソニドを作用させる実験を行ったところ、ウイルス量は100分の1程度にまで減った。
- シクレソニドはウイルスの増殖を抑えると同時に、炎症を抑える効果もあると思われる。
アビドル(鎮痛剤)とダルナビル(抗HIV薬)
2020年2月4日、浙江大学教授李蘭娟の研究チームは、細胞実験で、アビドル(Abidol)とダルナビル(Darunavir)の2種類の薬剤がコロナウイルスを効果的に阻害するのに有効であると発表した[135]。この報道により欧米株が急上昇した[182]。
- 李教授によれば、前臨床試験(preliminary tests)の in vitro 細胞実験で、アビドル(Abidol)[183]とダルナビル(Darunavir)の2種類の薬剤がこのウイルスを阻害するのに有効であることが分かった。
- 李教授は、新たに感染した患者の緊急治療を強化しようという望みをかけて、中国東部の浙江省から中国中央の湖北省に医療従事者を連れてきた。
- 李教授は、現在使用されている 抗HIV薬ロピナビル・リトナビル錠(商品名 Kelizhi[184])(上記カレトラと同種類の薬剤)はあまり大きな効果はなく、しかも副作用(複数)があると述べた。
- 李教授は、2つの新薬を、コロナウイルスによる新型肺炎の国家衛生健康委員会の治療プログラムに含めることを推奨した。
- チームの別の研究者、陳作炳(Chen Zuobing)は、2つの薬は医学的指導なしに服用すべきではない、と釘をさした。
- 浙江大学医学院附属第一医院の副理事長 (deputy president ) でもある陳作炳は、この2つの薬は浙江省でこのウイルスに感染した患者たちの治療に使用されてきており、次の段階で、有効性で劣っているほかの薬に取って代わるだろうと述べた[135]。
上に記載されているアビドルとは、オピオイド系の鎮痛剤トラマドールの派生物と同じ成分である[185]。また、ダルナビルは抗HIV薬[186]。
リン酸クロロキン (抗マラリア薬)・アルビドール (抗インフルエンザ薬)・完治患者の血漿
2020年2月18日、中国政府の専門家チームは、本ウイルスの診療ガイドラインを新たに発表した[187]。これまで効果的な治療法はないとしていたが、今回、抗マラリア薬の「リン酸クロロキン」と抗インフルエンザ薬の「アルビドール」を治療薬として加えた。このうちリン酸クロロキンは「特効薬ではないが検討に値する」、また、「ウイルス検査で陰性になるのが早いほか、副作用も大きくない」という。北京市や広東省などの病院に入院する患者に対する臨床試験で症状の改善を確認した。15日に開いた国内の専門家会議で、臨床試験の対象を拡大することで一致したという[188][189]。
さらに同チームは、危険な状態や重症の患者に対して、完治した人の血漿(けっしょう)を治療に使うことを勧めた[187]。
漢方薬 (清肺排毒湯)
2020年1月27日、中国国家中医薬管理局は本疾患の予防と治療のための中医薬(漢方薬)の効果的処方を発見するための臨床研究を開始し[190]、山西省、河北省、黒竜江省、陝西省で漢方薬の清肺排毒湯(中国語 清肺排毒汤)での治療の臨床的観察とデータ分析を行った。臨床的に有効なデータ214件により、2月6日、国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局は共同で全国に、清肺排毒湯の使用を勧告する文書を発行した。発表されている効果は以下のとおり。
2月19日の中国国家中医薬管理局の発表[191]によると、10省57指定医療機関で701例を投与して観察した結果、130例(19%)が治癒して退院、51例(7%)が症状が消失し、268例(38%)で症状が改善し、212例(30%)は症状が安定し悪化しなかったという[191]。
そのうち351症例が詳しく分析され、うち112人の患者の体温が37.3°Cを超えていたところ、服薬1日後で51.8%、服薬6日後で94.6%の患者が平熱に戻り、また、咳症状214人のうち46.7%が服用して短期に改善した[192]。
また、だるさや吐き気、のどの痛みなどの症状にも顕著な治療効果が見られた。351例の中でひとりも、軽度の患者も普通の患者は重篤にはなっていないという[193]。
効果100%ではないものの約半数以上の改善がみられることから、中国国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局は2月6日、清肺排毒湯の使用を推奨するむね中国全土に通達した[194]。
2月19日付、国民健康衛生委員会発行の「新型コロナウイルス肺炎の診断と治療(試行6版)」[195]とその解説[196][197][198]によれば、以下のとおり。
一般的な処方“清肺排毒湯”は臨床治療期間中に推奨される。軽度、一般的、重度、重大、および回復期間の臨床症状がえられた。推奨される処方と投与量、および投与方法は、3つの側面から説明されている。
2月21日の中国国務院の記者会見で、全国6万例以上の症例で西洋医学に漢方薬を併用して結果良好と以下のように発表された。
漢方薬の併用により、臨床症状が消えるまでが2日間短縮、平熱への解熱が1.7日間短縮、入院日数は2.2日間短縮、CT画像は22%改善され、臨床治癒率はが33%改善、重症化率は27.4%減少、リンパ球は70%増加したという[199]。
清肺排毒湯を処方された患者たちのインタビューが2月23日に記事になり国家中医薬管理局のサイトに掲載された[200]。
なお、日本では、漢方薬と中医薬を同じものだと認識しているが、中国当局は、漢方薬と中医薬は厳密には別の物であると認識しているため留意が必要である。
ヒドロキシクロロキン(全身性エリテマトーデス治療薬)
ヒドロキシクロロキン(商品名 プラケニル)は全身性エリテマトーデス治療薬として承認されている。日本でCOVID-19患者2例に投与し、有効であったと報告されている[201]。
ヒドロキシクロロキンだけでも効果があるが、抗生物質のアジスロマイシン(商品名 ジスロマックまたはアジスロシン)と併用するとより効果があるという研究が3月20日にフランスの大学病院研究所(I.H.U.)[202]地中海感染症院などの研究チームから発表された[203][204]。
カモスタットおよびナファモスタット (セリンプロテアーゼ阻害剤)
ドイツの研究によればセリンプロテアーゼ阻害剤のカモスタットはin vitroにおいてSARS-CoV-2が細胞へと侵入する際に使われる宿主側酵素のTMPRSS2プロテアーゼを阻害するため、新型コロナウイルスに効果のある可能性がある[205][206]。SARSコロナウイルスでは動物実験においてカモスタット単独投与の効果が確認されており[207]、その用量をヒトに当てはめると日本で既に承認されている量でも効果のある可能性がある[208]。東京大学大学院医学系研究科は新型コロナウイルス感染症患者に対するカモスタット投与の臨床研究を計画している[209]。
また中国の研究によればセリンプロテアーゼ阻害剤のナファモスタットはVero E6細胞においてSARS-CoV-2の感染を防いだものの、その50%効果濃度 (EC50値) は高めの22.50μMとなっている[210]。東京大学医科学研究所は新型コロナウイルス患者に対しナファモスタットの試験投与を行う予定となっている[211]。
日本ではカモスタットは慢性膵炎や術後逆流性食道炎に、ナファモスタットは膵炎や播種性血管内凝固症候群などに対して保険適用されている[212][213]。
トシリズマブ (抗関節炎剤)
2020年3月4日、中華人民共和国国家衛生健康委員会は強力なIL-6阻害薬であるトシリズマブ(中外製薬のアクテムラ[214])のCOVID-19患者に対する投与を認可し[215]、医療規定の標準治療に組み込んだ[216]。
イタリアにおいても重度の新型コロナウイルス患者2人に対しトシリズマブの投与が行われ、これにより24時間で症状が改善した[217]。この投与は在コッリ病院会社及びIRCCS財団国立がん研究所の協力によってコトゥーニョ病院の患者に対し行われた[217]。
カリウムおよびナトリウム補充療法
審査前論文ではあるものの中国温州の病院の報告によれば、多くのCOVID-19患者が尿からのカリウムイオン (K+) 排出によって軽度〜重度の低カリウム血症を起こしており、カリウム補充療法は回復傾向の患者で良い反応を示したとされる[218]。
また日本感染症学会に報告された症例において低ナトリウム血症が報告されており、その場合に電解質輸液剤による補液が行われている[219]。
なおSARSにおいても低カリウム血症および低ナトリウム血症が報告されていた[220]。
酸水素混合吸入
酸水素混合吸入は中国においてCOVID-19の治療に使われている[221][222]。
2020年2月5日、上海潓美医療科技の酸水素吸入器 (水素66.66%/酸素33.33%) が武漢中央病院、武漢大学中南医院などの病院へと届けられ、使用されるようになった[221]。この酸水素吸入器は慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、喘息、気管支拡張症、気道狭窄などに向けて開発されていた[221]。
2月17日、中国非公立医療機構協会 (CNMIA)がこの酸水素吸入器を推奨し[221][223]、3月3日、中華人民共和国国家衛生健康委員会(NHC)はガイドライン第七版で酸水素吸入器を標準治療に組み込んだ[222][216]。ただし二重盲検比較試験は行われておらず論争も起きている[221][222]。
テルミサルタン、ロサルタンなど降圧剤併用
新型コロナウイルス感染症の患者の血漿では著しく高いレベルのアンジオテンシンIIが確認されており[224]、それによる障害を防ぐためにアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) を使うことがインドマハラシュトラ保健大学の Mrudula Phadke 教授から提案された[224][225](#宿主細胞受容体も参照)。ARBにはテルミサルタン、ロサルタンなどがある[225]。
欧州製薬団体連合会 (EFPIA)は、降圧剤であるアンジオテンシンII生成を阻害するアンジオテンシン変換酵素阻害薬 (ACE阻害剤) の効果の検証を含む治療法の特定を、会員企業に求めている[226]。
また、マウスでの動物実験においてアンジオテンシンIIの分解を行うリコンビナント(組み換え)ACE2の投与はSARSの重症化を防ぐことが見つかっている[227]。日本の医薬基盤・健康・栄養研究所は量産可能なバクテリア由来のACE2様酵素を発見し、それが新型コロナウイルス患者の重症化抑制に使える可能性のあることを発表した[228][229]。
新規治療薬、予防薬の開発
この節の加筆が望まれています。 |
本感染症の感染拡大を受けて、
などを緊急に開発しようという取り組みが複数はじまった。
ワクチンの開発
ノババックス社
2020年1月21日、米国の感染症薬メーカー、ノババックス (Novavax Inc.) は、本ウイルスの感染予防のためのワクチンの開発をはじめたと語った[230][231]。
CEPI、モデルナ社、イノビオ社、クインズランド大学、グラクソ・スミスクライン社
2020年1月23日、感染症流行対策イノベーション連合 (CEPI; Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)は23日、以下3研究チームがワクチン開発に向けた作業を開始し、少なくとも1種類のワクチンの臨床試験を6月までに開始する計画と発表した[232]。
- 米医薬品・ワクチン開発のモデルナ(Moderna, Inc.)(英語) (MRNA.O)とアメリカ国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID)の連携、
- 製薬会社イノビオ・ファーマシューティカルズ(Inovio Pharmaceuticals, Inc.) (INO.O)、
- 豪クイーンズランド大学のチーム。
1月23日のニュース[233]によれば、米Vir Biotechnology社もワクチン開発計画に加わり、SARSやMERSの生存者から同定されたモノクローナル抗体(mAbs)が本ウイルスに有効かどうか調べている。
1月24日、日本の厚生労働省は、同省が創設に関わり2017年より拠出を行っている相手であるCEPIが、上記3者とパートナーシップを締結した、ということを「新型コロナウイルスに対するワクチン開発を進めます 」という題名で発表した[234]。時事通信の記事によれば「承認は、早ければ年内」[235]。
CEPIはノルウェー政府、インド政府、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、および公益信託団体ウェルカム・トラストの出資によって2017年にダボス会議(スイス)にて発足した、公的機関、民間機関、慈善団体および市民団体の間でのグローバルな協働体である[236]。
イノビオは医薬品の研究開発会社で、MERSの最も先進的なワクチン候補 INO-4700をもっている[237]。CEPIの全額資金提供により2020年にINO-4700の中東・アフリカ現地での第II相臨床試験に入る予定[238]。イノビオは1月23日、CEPIから最大900万ドル(約9億8000万円)の助成金を受けたことを明らかにした[239]。
ウイルスのDNA塩基配列が公表されたことで、イノビオは3時間以内にウイルスをデザインできたという。新ワクチン INO-4800 の臨床試験は、2020年初夏にも始まる計画で、より大規模な臨床試験は年末までに、理想的には中国で、行いたいという[240]。
英グラクソ・スミスクライン(GSK)は2月3日、ワクチン開発を加速させるため、パンデミックワクチンで確立されたアジュバント(抗原性補強剤)の基盤技術を提供するためにCEPIの協働に参加すると発表した[241]。
2月25日、上記モデルナは開発中のCOVID-19のワクチンを、ヒトに投与する安全性試験(第I相試験)向けに米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)に出荷した。ヒトへの臨床試験は2カ月以内の開始を見込むが、一般に入手できるようになるには1年半かかる可能性があるという[242]。
中国・ロシア
中国CDC(疾病管理予防センター)の関係者は、ワクチンの開発を開始したと2020年1月26日に語った[243] 。
1月29日、広州のロシア領事館は新型コロナウイルスのゲノムが中国からロシアに提供され、中露がワクチンの共同開発に着手したと発表した[244]。
(上記と同じものかどうかは分からないが)開発したワクチンの治験開始が3月17日に承認され、同じ週から中国人民解放軍軍事科学院の研究者らが治験を開始[245]。
ジョンソン・エンド・ジョンソン社
2020年1月29日、米医薬品・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、COVID-19 ワクチンの開発に着手したと発表した。エボラ出血熱のワクチン開発に利用した技術を応用する。このワクチンは現在、コンゴ民主共和国とルワンダで投与されている[138]。「すでに多数の研究者をワクチン開発に投入しており、1ヶ月以内には何らかの成果が出せると確信している。世界市場に向けた量産体制はすでに整っているので、ワクチンが完成すれば、1年以内に億単位の出荷が可能」という[246]。
サノフィ社
2020年2月18日、フランスのサノフィは、米国保健福祉省(HHS)の生物医学先端研究開発局(BARDA)と協力して、COVID-19 のための遺伝子組換えワクチンの速やかな開発を目指すと発表した[247]。
アンジェス・大阪大学・タカラバイオ
2020年3月5日、大阪大学発の創薬企業アンジェスは、本ウイルスのワクチンを大阪大学と共同で開発し、タカラバイオが製造すると発表した[248][249]。 DNAプラスミド技術を活かしDNAワクチンという種類とするので、他の方法のワクチンよりも短期間に製造工程が作れるという。
抗体医薬の開発
リジェネロン社
2020年2月4日、米国厚生省(保健福祉省; HHS)は、米製薬大手リジェネロン・ファーマシューティカルズと提携し、本ウイルス感染症の治療のためのモノクローナル抗体の開発を行っていると発表した。HHSによると、リジェネロンはコンゴ民主共和国内で発生したエボラ出血熱の試験薬を開発する際に使用された技術と同様の技術を使用するという[250][251]。同社は2月6日、同治療法が数カ月以内には一部の患者に使える可能性が大きいと発表した。その治療法には、コンパッショネート使用(未承認薬の人道的使用)が適用されるかもしれないという[252]。
トランスクロモソミックス社
2020年2月27日、医薬品開発の「Trans Chromosomics(トランスクロモソミックス)」社[253](鳥取県米子市)は、独自の抗体作製技術などを活用し、本ウイルスの治療用の抗体医薬(ヒト型モノクローナル抗体)の作製に着手すると発表した[254]。同社は、鳥取大学発の創薬ベンチャーである「カイオム・バイオサイエンス」社[255]の共同研究先[256]。
その他治療薬の開発
ファイザー社
2020年3月2日に米国の製薬会社ファイザーが明らかにした情報によれば、本ウイルスを抑制する可能性のある抗ウイルス性化合物を同定し、第三者機関と検査を進めている。同年3月末までに検査終了、2020年末までに臨床試験開始を目指す[257]。
武田薬品工業
2020年3月4日、武田薬品工業は、本疾患に対して、2019年に買収したアイルランドの大手製薬会社シャイアーが持っていた血液由来の医薬品技術で治療薬を開発すると発表した[258]。免疫機能を高める治療薬「TAK-888」を作る。TAK-888は、回復した患者の血漿から採取した病原体特異的な抗体を濃縮したもので、これを投与すると患者の免疫系の活性が高まり、回復の可能性が高まることが期待できるという[259]。すでに米国やアジア、欧州の規制当局と調整を進めている。9カ月から18カ月程度で治験を終える計画としている。
当症状の禁忌薬
3月17日、世界保健機関(WHO)の報道官は、本ウイルス感染の疑いがある場合、医師の助言なしに抗炎症薬「イブプロフェン」を服用しないよう注意を促した。抗炎症作用の少ない「アセトアミノフェン」服用が望ましいという[260]。
医療機器
人工呼吸器
新型コロナウイルスは急性呼吸窮迫症候群や肺炎をもたらし、肺にダメージを与える[261]。治療法がまだない現状では、人工呼吸器が必要不可欠な医療機器となる[261]。
WHOは3月1日、各国に人工呼吸器の確保を求めた[262]。
イギリス
イギリスでは、NHSに成人用人工呼吸器が5000人分、子ども用900人分が備蓄されている[263]。
3月15日、イギリス政府は人工呼吸器またはそのコンポーネントの供給に関して企業に支援を要請した[263]。7つのF1チームはユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、イノベートUK、ハイ・バリュー・マニュファクチャリング・カタパルトと提携し取り組むとした[263]。ほか、ロールス・ロイス、ジャガーランドローバー、エアバスなども要請を受けた[263]。
アメリカ合衆国
米国には16万台の人工呼吸器があり、さらに国家戦略備品として1万2700台があるが、3月22日、トランプ大統領はフォード、ゼネラルモーターズ、テスラによる人工呼吸器製造を命じた[261]。GMはベンテック・ライフ・システムズと提携し、テスラはメドトロニックとの提携を発表した[261][264]。フォードは「危機を前に国を支えるために力を合わせることが不可欠だ。そうすることでこれまでにも増して強くなる」と述べた[261]。
オランダ(フィリップス)
オランダ電機大手フィリップスは3月22日、人工呼吸器の製造を今後約2カ月で倍増、9月までに4倍にすると発表した[265]。フィリップスは現在、週千台生産している[265]。ドイツのドレーゲルとも連携する[265]。
スイス(ハミルトン)
スイスの医療機器メーカー、ハミルトン・ボナドゥーツ株式会社は、感染拡大が最も深刻なイタリアに優先的に製品を届けており、2020年3月現在昨年1年分の販売台数1500~2000台が1カ月で売れるという[266]。クローズドループ制御換気機能のある最新世代の人工呼吸器の価格は約6万フラン(約670万円)[266]。
ハミルトンCEOヴィーランドは「スイスには現在、合計1000~1200台の人工呼吸器がある。もしイタリア同様に感染状況が深刻になれば、需要は絶対に満たせないだろう」と述べた[266]
予後
初期の報告では重症化率が32%、死亡率が15%と高いものであったが[28]、症例の集積に伴い、現在では重症化率、死亡率はそれより低いことが判明している。WHOからの報告では軽症~中等症例が約80%、重症例が13.8%、重篤例が6.1%とされている[17]。死者の多くは、高血圧、糖尿病、免疫系を損なう心血管疾患など、他の疾患を併せ持っていた[267]。また、免疫系の過剰反応であるサイトカインストームによる重篤化するケースもある[268]。死亡に至った初期症例によると、疾病の判明から死亡までの中央値は14日であり、6日から41日までの幅があった[269]。
致死率・罹患率
2020年現在の流行では致死率が時間とともに変化し、疾患が診断可能になるまで進行した感染者の割合が不明なため、感染による全体的な死亡率と罹患率も不明である[270][271]。致命率(致死率)は、感染者数に占める死者の割合で、2020年現在のように感染が流行している段階では、感染者数値が変動するのに応じて致死率も変動する(例えば2月6日時点で武漢の致死率4.1%、湖北省以外の地域0.17%[272]。2月17日時点で武漢の致死率3.2%[272]。2月18日時点で湖北省以外の地域の致死率は0.63%[272]など、これは治療中の重症患者が死亡するケースが増えているためとみられる[272])。
予備調査では2%から3%の致死率が得られている[273]。WHOの予備調査で致命率は3%程度と推定[274]。
3月6日、厚生労働省は「最悪の場合、発症者は人口の1割を超える」とする流行シナリオを公表した[275][276]。そのシナリオは次のピーク時の医療需要の目安 (1日あたり)の式によって表される[276]。
なお、各地によってピーク期が異なるため、全国の人口で計算することや単純に各自治体が算出するピークの数値を足し合わせることは、不適切な取扱いとなることに留意する必要がある[276]。また、この式は今後変更される可能性がある[276]。
- 外来患者数:(0-14歳人口)×0.18/100+(15-64歳人口) ×0.29/100+(65歳以上人口) ×0.51/100
- 入院患者数:(0-14歳人口)×0.05/100+(15-64歳人口)×0.02/ 100+(65歳以上人口) ×0.56/100
- 重症者数:(0-14歳人口)×0.002/100+(15-64歳人口) ×0.001/100+(65歳以上人口) ×0.018/100
ピーク時は、感染が拡大した時点から概ね3か月後に到来すると推計されている[276]。ただし、公衆衛生対策を行うことで、ピークが下がるとともに後ろ倒しされる[276]。
3月11日、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の長官ファウチ (Anthony S. Fauci) は中国を含めたデータから致死率は約3%だが、無症状患者もいるので実際の感染者はさらに多く、約1%と推定している[277]。
3月12日、イギリスは最悪シナリオの罹患率はドイツの70%を上回る80% (全国民における割合)に設定して計画すると発表した[278]。
他のウイルス感染症との比較
致死率 | 備考 | |
---|---|---|
スペインインフルエンザ (スペイン風邪) (H1N1型)[279] |
2-2.5%[280] またはそれ以上 (日本:2%)[注 6] |
1918-1919年流行。 患者数:世界人口の25-33%または5億人[281] 死亡数:4,000万~1億人(世界人口8億人)[281] (日本:患者2300万人、死亡者38万~45万人)[281] 第一波は感染性は高かったが致死性ではなかった。 第二波は10倍の致死率。15~35歳の若年者層において最多の致死となり死亡例の99%が65歳以下だった[281]。 |
アジアインフルエンザ (アジアかぜ) (H2N2亜型) |
0.5%[280] (日本:0.02%)[注 7] |
1956-1957年流行。 中華人民共和国の貴州省・雲南省で発生し、世界へ伝播した[282]。 死者:200万人(世界人口28.5億人)[280] (日本:罹患300万人、死者5,700人)[282] |
エボラ出血熱 (アフリカ) |
80-90% (ウイルスによって異なる)[283] |
アフリカで1976年〜現在[283]。 軍隊により封じ込め、住民を外出させないことで収束したこともある[280]。 2014年にギニア・リベリア・シエラレオネ・マリ・ナイジェリアで大流行[283]。 2018年以降はコンゴ民主共和国北キヴ州・イトゥリ州で大流行、2019年7月WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に指定した[283]。 予防:流行地域へ旅行しない。動物や患者に触れない。洞窟に入らない[283]。 モノネガウイルス目フィロウイルス科エボラウイルス属 (コウモリ由来のウイルス) |
高病原性鳥インフルエンザウイルス (H5N1型) |
30-80%[280] (または56%[284]-60%[279]) |
|
季節性インフルエンザ | 0.1% | [285][272] |
新型インフルエンザ (H1N1型) |
0.1%以下[280] (日本:0.001%、70歳以上は0.03%[285] |
2009年流行。死者2万人(世界人口68億人)[280] 「日本における2009年新型インフルエンザ」も参照。 |
季節性風邪の一種(従来のコロナウイルス感染症) | 不明(非常に低い) | 人類社会に普遍的に存在しており、ほぼ全人類が1度は感染している[要出典] ニドウイルス目コロナウイルス科(ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスOC43など) |
SARS (重症急性呼吸器症候群) |
9.6%[274][286]-11%[287] | 2002-2003年流行[274][286]。 ニドウイルス目コロナウイルス科(コウモリ由来のウイルス) |
MERS (中東呼吸器症候群) |
35% | 2012年流行-[288] ニドウイルス目コロナウイルス科(コウモリ由来ウイルス) |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) |
不明。 以下、推定致死率。 *0.1-1% (米保健省ブレット・ジロワー次官補[289][290]) *1%以下[291][290] *1% (NIAID[277]) *2-3% (予備調査[273]) |
2020年現在流行中。 ニドウイルス目コロナウイルス科(コウモリ由来ウイルス) |
また、CDCはインフルエンザ・パンデミック重度指数 (Pandemic severity index, PSI) を作成している。
カテゴリー | 致命率 | 例 |
---|---|---|
1 | 0.1% 以下 | 季節性インフルエンザ、豚インフルエンザ[293][294] |
2 | 0.1–0.5% | アジアかぜ、香港かぜ |
3 | 0.5–1% | |
4 | 1.0%–2.0% | |
5 | 2.0% 以上 | スペインかぜ |
患者回復後のウイルス陽転化現象
この節の加筆が望まれています。 |
中国武漢の病院でPCR検査により診断されたCOVID-19患者に対して、PCRと血液、血清の診断の詳細を調べる研究があった。39例中15例が治療後も腸管や血液にウイルスを有していた。また、同病院の16例の研究で、0日めに口腔サンプルが陰性でも5日めに肛門サンプルが陽性化したのが4例あり、また、血清検査では治療直後陰性が治療5日後に検査すると陽転化するものが多かったという[295]。この結果について神戸大学大学院岩田健太郎教授は以下の見解を執筆している[296]。
- 研究のポイント:口腔スワブ(スワブとは綿棒採取サンプル)が陰性でも肛門スワブ、血液で陽性、という例が存在する。
- 臨床現場での考え方として、「2回の口腔スワブPCR陰性」の退院基準は誤り。
- 強力な血清診断が利用可能になった(このような血清による抗体検査が実用化されたら強力な調査手段になるだろう。PCR検査は感度が低い)。
- 2回のPCRスワブ陰性は「ウイルスの非存在証明」にならない(PCR検査は感度が低いので、退院基準を「2回の検査陰性」にするのは間違い)。
- 大事なのは「疾患」であって、「ウイルス」ではない(臨床症状が改善、消失すれば、疾患は治癒でありそこで病院の仕事は終わる。ノロウイルスでは腸管で数カ月生きていることもあるが無症状なら手指消毒をしていれば職場復帰が可能であるがそれと同じ)。
本ウイルスについてある日本の医師が中国のある医師の話として「2回めに感染することがあってそのときは死亡してしまう」、「80年に1回の凶悪なウイルス」とのショッキングな主張の動画[297]を発信して数日で数万回の勢いで視聴された。この内容について前出の岩田教授は、「2回感染という確認事例はない。そうでなく、検査で見つけられず陰性判定されたウイルスが生き続けて再燃した可能性が高い」、「引用論文が明示されない話は信用しないで」と注意を呼びかけた[298]。
一方、PCR検査で陽性反応が出て入院し、その後の検査で陰性となり症状も落ち着いたため退院したが、最初の発症から2週間以上経過して再び検査で陽性となったケースも出てきており、ウイルスの再活性化か別の型などの再感染の可能性が指摘されている[299][300][301][302]。
感染対策・予防法
医薬品を使わない介入 (NPI)・集団感染緩和策
厚生労働省によれば、ウイルスなどによる感染対策の原則としては、
- (病原体を)持ち込まない
- (病原体を)持ち出さない
- (病原体を)拡げない
の3つがある[304]。
新型インフルエンザなどのウイルスによる感染対策には、医薬品による対策と、医薬品を使わない対策がある[305][306]。
- 医薬品による対策 (Pharmaceutical measures)とは、ワクチン、抗ウイルス薬など医薬品を用いた対策のことである。
- 医薬品を使わない対策・介入(Nonpharmaceutical Interventions, NPIs)は、集団感染緩和策(Community Mitigation)とも呼ばれ、以下の対策、予防が含まれる[307]。
- 学校、職場、イベント、集会など日頃集団が密集するような空間で、相互に間隔を置く。
- 閉鎖 (Closures)
- 学校、職場、イベント、スポーツ、宗教的な集会、フェスティバル、会議など人が集まる場所の閉鎖。
- 検疫の強化、水際対策
- 個人レベルでの予防対策
- (2020年日本での感染例から厚労省は、密集した空間などでクラスターが発生したため、換気を良くする、お互いの距離を1〜2mあける、近距離での会話や高唱を避けるよう勧告した)
新型ウイルスに対して人間は免疫を持っていないので感染が拡大するが、ワクチンが使用できない場合はNPIsは感染を制御する有効な方法とされる[307]。これまでの疫学解析で、最も有効な対策の組み合わせを最適なタイミングで実施することでかなりの程度被害が抑えられる[305]。
パンデミック発生リスクのフェーズが3から4(効率的なヒト-ヒト感染の発生)になった段階[308] で、サーベイランス(監視調査)中心の対策から、
- 早期封じ込め(rapid containment)
- 早期対応(early response)
- 被害の最小化(mitigation)
といった戦略が段階的に検討され、さまざまな対策が実施される[305]。
参考:Nonpharmaceutical Interventions (NPIs)、Community Mitigation Guidelines(CDC)
感染経路
感染経路としては、ウイルスが付着した手で鼻や目や口を触ることによる接触感染と、咳やくしゃみによる飛沫感染がある[310]。また、中国の衛生当局は飛沫感染、接触感染に加えて「閉鎖された環境で長時間、高濃度のウイルスの粒子を吸った場合」のエアロゾル感染も追加した[187]。
気道が主要のウイルス伝播経路になるとみられるが、SARSコロナウイルス感染と同様、消化管および粘膜組織(結膜など)もウイルスの体内侵入方法である可能性がある[311]。
個人でできる予防対策
下記方法で体内への侵入を防止すること。また、普段から睡眠や食事などの健康管理で免疫力を高めておくことも重要である[312]。
手洗い
エンベロープをもつRNAウイルスのため、こまめな石鹸による手洗い、アルコール消毒も有効とされる[313]。
流水と石鹸によりこまめに手洗いすることが推奨されている[314]。手首を回しながら爪先、指の間から手首の方まで時間をかけて洗う[315]。
米国CDCは、トイレの後、食事の前、およびくしゃみや咳などをした後には、最低20秒間の石鹸と水(湯)による手洗いを勧告している。手洗いが出来ない場合は濃度60%以上の消毒用エタノールを使用すること、手の汚れは常に石鹸と水(湯)で洗い落とすこと、としている[316][317][318]。
トイレや外出で汚れたあと洗わない手で鼻や目や口などの粘膜に触らないよう注意が必要となる[319]。
ウイルスが付いて感染源になりやすい場所・もの
多くの人が触れた可能性のあるものには触らないようにする[320]。例えば、トイレの便座の蓋、流水レバー、蛇口、ドアノブ、ハンドル、エレベータのボタン、電話機、窓の取っ手、照明スイッチ、テーブル、椅子、パソコンのキーボードなどにウイルスは付着しやすい[321]。銀行や郵便局にペンが置いてあるが、使わないようにし、ペンは携帯する[320]。ドアノブに触るときは、清潔なペーパータオルなどを使う[320]。
どうしても触らざるをえない時は、触ったあと、すぐによく手を洗う[320][314]。また、触る前にも手を洗う[314]。
ドイツ・ルール大学ボーフムとグライフスヴァルト大学病院衛生研究所の研究グループによれば、病室内で患者が使用した道具に付着したSARSコロナウイルス・MERSコロナウイルスは、消毒しないと平均4~5日生存を続ける可能性があるとし、「この特徴が新型コロナウイルスにもあてはまる可能性が高い」と発表された[322]。
2020年3月報告の、米国の研究者が実験室環境でSARS-CoV-2を試験したところ、SARS-CoV-1(SARSコロナウイルスのレトロニム)と同様に、プラスチックやステンレスの表面上では比較的安定し、72時間後(3日後)も活性のあるウイルスが検出されたと言う。段ボールの表面上では、SARS-CoV-1の8時間に対し、SARS-CoV-2では24時間であった[323]。
消毒
厚生労働省は、消毒では消毒用アルコール(70%)や次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効としている[324]。
ルール大学ボーフムとグライフスヴァルト大学病院衛生研究所の研究グループは、エタノール(約70%)のほか、オキシドール(0.5%)、次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)により、残存ウイルス数を1万分の1にできると発表した[322]。
また食品においては、新型コロナウイルスでは不明なものの、SARSコロナウイルスでは60度で30分以上の調理が必要とされている[325]。新型コロナウイルスでは不明だが、MERSコロナウイルスやインフルエンザウイルスでは特定の条件下で腸管からの感染が起こりうるという研究が存在する[326][327]。
咳・くしゃみのエチケットとマスク
感染症を予防するため、咳・くしゃみが直接人にかからないようにカバーすることが大切です。— 東京都感染症情報センター [328]、 咳エチケットについて - 新型コロナウイルス感染症に関する情報[329]
- 咳・くしゃみをするときはティシュなどで口と鼻を覆います。
- 使用したティシュには病原体が付着しているため、すぐゴミ箱に捨てましょう。
- 咳・くしゃみが続くときはマスクをつけましょう。
- マスクは鼻と口を覆うようにつけましょう。
- マスクをしていない時のとっさの咳・くしゃみは手ではなく、袖や上着の内側で覆います。
- 手で覆ったときは、すぐに手を洗いましょう。
一般的な流行疾患に対する情報であるが、マスクの捨て方について、警視庁は「マスクの外気に当たる面は、埃やウイルス等で汚れています。マスクを使い終わったらひも部分を持って外し、マスク本体には触らないようにビニール袋に入れ、口を縛って密閉してからゴミ箱に捨てましょう」と呼びかけた[330]。
気温・湿度のコントロール
加湿器などを使って50%-60%の湿度を保つことも方法の1つ[315]。
新型コロナウイルスでは不明なものの、他のコロナウイルスでは低温低湿で活性状態が続き、温度20度/湿度50%で不活性化が進みやすいという屋内環境での実験結果が存在する(ただし単純に湿度の高い方が良いというわけでは無い)[331]。
日本の一般的環境においては、法令上労働安全衛生法ではオフィスにおける室温17度以上28度以下、相対湿度40%以上70%以下の努力義務があるものの、2014年時点において相対湿度の法令に対する不適合率は高いものとなっている[332]。
社会・集団における公衆衛生
社会的距離戦略
ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生学部のBruce Y. Leeは感染拡大を抑えるための社会的距離戦略として以下を列挙する[320]。(上記と重複するものもある)
- できるだけ家から出ない
- 2m以内に近づかない
- 体を密着させない
- 部屋、エレベーターのなかでも距離を置く
- 握手、ハグ、キスをしない(日本人のようなお辞儀など代わりになる方法を探す)
- 職場、学校、映画館、スポーツイベントを避ける(在宅勤務、遠隔授業、インターネット視聴などに切り替える)
- 食料品店やコインランドリーは空いている時間に行く
- ラッシュアワーを避ける(満員電車を避ける)
- ペン、押しボタン、ドアノブなど、多くの人が触れたものには触らない。触った場合は、すぐによく手を洗う。ペンは携帯する。
- 会議、集会、ハッピーアワーのバーを避ける。感染していないという確証が得られる人とだけ、少人数で集まる。
トイレおよび飲食品の管理
中国疾病予防管理センターは2020年2月15日、新型コロナウイルスには感染経路が複数あり、(例えばノロウイルスのように)糞口・経口感染することが「急速な感染の一因だと考えることができる」と論文で発表している[333]。
非接触サービス、リモートワーク
中国の外食産業は新型コロナウイルスへの対策として非接触化を進めており、非接触配達サービスや非接触レストランが登場している[334]。
会社業務などではリモートワーク (テレワーク・在宅勤務) の推進が行われている[335][336]。仕事や学業を効率化し、会議なども最小化してメールでできること(特に連絡事項)はすべてメールやチャットを使用し、自宅でできる仕事は自宅で行う対策が取られる[337]。
また遠隔接客ロボットも登場している[338]。
集団感染・スーパー・スプレッダー
厚生労働省は2020年3月1日、これまでの日本の集団感染(クラスター)事例にスポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどがあったとし、換気が悪く、人が密集して過ごす空間、不特定多数の人が接触する場所に行くことを避けるよう勧告した[339]。
集団感染の事例としては、さっぽろ雪まつりでの屋台[340]、住宅設備展示会(北海道北見市)[341]、病院(東京[342]、相模原市[343][344]、和歌山県湯浅町での院内感染[345]、大阪のライブハウス[346] [347][348]、ライブバー(北海道)[349]、名古屋市ではスポーツクラブ(感染36人)と福祉施設(感染45人)でクラスターが発生した[350]。
3月3日には、日本の集団感染9件では、そこからつながりのある感染者数が80人以上になることがわかった[341]。これは調査対象となった感染者260人のうち約30%を占める[341]。
韓国での感染者の行動履歴の事例では、はじめにキリスト教会で集団感染が発生し、うち一人が老人福祉施設の食堂で食事をして5人が感染。さらにその福祉施設会員の感染が病院で確認され、さらにその病院で院内感染が発生した[351]。
10人以上への感染拡大の感染源となった患者をスーパー・スプレッダーという[352]。韓国のMERS流行では特定の数名がスーパースプレッダーで、1人から86人に感染させた患者もいた[353]。
日本での新型コロナウイルス感染者の8割は他人に感染させていないが、残りの2割が1人以上の人に感染させており、1人から9人へ感染させた事例(屋形船)や、1人から12人へ感染させた事例(スポーツジム)もある[354]。感染症専門医忽那賢志もスーパースプレッダーにならないためには密集空間を避けるべきだとしている[353]。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は3月9日、これまで集団感染が確認された場所は、1.換気の悪い密閉空間、2.多くの人が密集、3.近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声という3つが重なった場であり、このような場所を避けるよう勧告した[355]。同会議は集団感染を防ぐために以下を強く推奨した[355]。
3月12日、第一種感染症指定医療機関である都立駒込病院の今村顕史感染症科長は、現在の日本の状況では流行を抑えるために一番重要なのはクラスター(感染集団)対策であるとする[275]。クラスターの中で複数の人に感染を広げている人が見つかったら、徹底的に接触者(濃厚接触者)を調べるとする[275]。ジムに通っていた陽性者で、濃厚接触者数が約1400人となった例があった[275]。
3月19日に専門家会議は、現状は持ちこたえているが、あるとき突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート)して、医療が提供できなくなれば、強硬なロックダウン措置(都市封鎖・店舗閉鎖・外出自粛など)を取らざるをえなくなると懸念した[356]。その上で引き続き、集団感染 (クラスター)の早期発見、重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保を維持し、また各地域は感染状況に応じて、密閉空間でのイベントや集会(3つの条件の重なる場所)など感染リスクの高いものは徹底的に回避しながら、感染が拡大していない地域においては感染リスクの低い活動から徐々に解除することもありえるとした[356]。
集団免疫
日本の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は3月2日に「感染症のなかには、大多数の人々が感染することによって、感染の連鎖が断ち切られ、感染していない人を保護する仕組みが機能できる」として集団免疫の考えに言及した[357]。
集団免疫は、市中感染が拡大する以前の隔離政策、またワクチンがない場合の対策として見なされている[357]。
東京大学名誉教授で獣医師の唐木英明は「新型コロナ騒動は、集団免疫を得るまでは終わらない。そうであれば、厳しい対策により感染者をゼロに近づけようと努力するのではなく、ドイツや英国に倣つて、医療崩壊を起こさないように注意しながら、ある程度の感染を容認して、集団免疫を得ることを考えるべきではないだろうか。そんなことをしたら死亡者が増える、という反対がある。しかし、感染の速度に関わらず、感染者が国民の最低60%にならないと新型コロナ問題は終わらないのだ。重症者の治療法を早期に確立して、死亡率を低下させることが最重要の課題である。」と指摘している[357]。
イギリスでの集団免疫についての議論
3月12日に英国政府は集団免疫で対策すると表明した[357]。
3月14日、イギリスの科学者は「社会距離戦略の即時実施提言」を発表し、政府の対応は不十分で、もっと厳しい「社会距離戦略」を速やかに実施すれば、国内の感染拡大を劇的に遅らせ、数万人の命を救うと主張した(3月16日迄に501人署名)[358][359]。また現時点で『集団免疫』を追求するのは有効ではないとした[359]。バーミンガム大学のウィレム・ファン・シャイク教授(微生物学)は、集団免疫の効果を目指すには、国内だけで3600万人が感染し回復しなくてはならないが、その人的コストの予測は不可能で、数万人から数十万人が死亡するとし、「NHSがパンクしてしまわないよう、数百万人の感染が長期間にわたり散発的に起きるように流行期間を引き伸ばすしかない」と述べた[359]。
イギリス保健省は「集団感染は、我々の行動計画の一部ではなく、感染症流行の自然な副産物だ。人命を救い、最も弱い立場の人たちを守り、NHSの負担を軽減することが、私たちの目標だ」とし、「感染対策はすでに封じ込めフェーズを過ぎて、感染拡大を遅らせる段階にきている」「今後数カ月の間に国内の免疫力がどういうレベルになるか、予測できている」と反論した[359]。
都市封鎖 (ロックダウン)
- 中国:1月23日、武漢市で都市封鎖を宣言(3月18日現在継続[360])。ドイツ連邦保健省、シュパーン保健大臣、ロベルト・コッホ研究所は3月11日に、武漢の強制隔離は感染者の急増を防ぎ緩やかにする効果は期待できるが、新規感染の数を減らすものではなく、ウイルスの消滅を意味しないとし、隔離の効果への過度の期待はできないと述べた[361][362]。シャリテ医科大学のクリスチャン・ドロステン (Christian Drosten) は、中国当局のデータは意図的に操作されており信頼に値しないとし、また中国の社会活動が元通りになれば再流行が起こると予測した[362]。
- 日本:2月20日、イベント主催者に必要性の検討を要請[363]。2月26日、スポーツやイベントなどの集会の2週間の中止・延期・規模縮小を要請し[363]、3月2日からの一斉休校を要請した[364]。3月19日に専門家会議は、感染が爆発的に急増(オーバーシュート)すれば、強硬なロックダウン措置(都市封鎖・店舗閉鎖・外出自粛など)を取る必要があると提言した[356]。
- イタリア:2月22日、ロンバルディア州ローディ県10自治体やヴェネト州のヴォーを封鎖[368]。3月7日、ロンバルディア州全州、エミリア=ロマーニャ州、マルケ州、ピエモンテ州、ヴェネト州に拡大、ミラノやヴェネツィアも含まれ、4月3日まで学校・スキーリゾートの閉鎖、スポーツ・冠婚葬祭などイベントの中止、バー・レストランの営業制限が命令された[369][370]。3月10日、北部に限定されていた移動制限と休校、レストランや喫茶店の夜間営業停止が全土に適用[371][372]。また3月12日-25日まで、生活必需品販売店や薬局などを除く全商業活動休止[373][372]。しかし、住民の外出は止まず、8日間で5万1000人の違反者が出たため、3月17日に政府は、感染を隠して外出した場合、虚偽の申告で公衆を危険にさらしたとして、懲役最長12年を科すと厳罰化した[374]。またロンバルディア州は携帯電話のGPSによって市民の行動を監視していると明らかにした[374]。3月19日ロンバルディア州知事は「ジョギングも自転車に乗るのもやめてほしい」「訴えを聞いてもらえなければ軍隊を出動する」と言った[375]。
- 韓国:大邱市は3月7日、新興宗教団体「新天地イエス教会」の関係者が入居する建物で46人の集団感染が確認されたため、2棟を封鎖した[376]。
- スペイン:3月14日に非常事態を宣言。買い物や出勤以外の外出を制限。国境も事実上封鎖[377]。
- フィリピン:3月15日から4月14日までマニラ首都圏を封鎖[378]、3月17日にルソン島全域も封鎖[379]。
- レバノン:3月15日、外出禁止措置を実施[380]。
- チェコ:3月16日、都市封鎖を実施[380]。
- EU:3月16日、EU域内への不要な渡航の30日間禁止を提案。入域制限地域はアイルランドを除くEU加盟26カ国と、シェンゲン協定に参加する非EU4カ国の計30カ国を想定し、状況によって延長も検討[381]。フォンデアライエン欧州委員長は「移動が少ないほど、ウイルスを封じ込めることができる」と述べた[381]。
- ドイツ:3月16日から学校を4月19日まで閉鎖し、17日から美術館、映画館、スポーツ施設、コンサートホール、バー、動物園などが営業停止、公園も各種イベントも禁止し、事実上の都市封鎖(ロックダウン)[382]。18日から飲食店の営業時間を午前6時から午後3時までに制限。テーブルの間隔は最低1.5メートル以上、入店は最大30人までという条件付きだ。3時以降は、テイクアウトもしくは配達のみ[382]。スーパー、薬局、ガソリンスタンド、銀行などは営業可能で、ふだんは営業禁止の日曜も営業可能とした[382]。さらに国境も閉鎖している[382]。
- フランス:3月17日から15日間、買い物や通勤を除き、外出を制限し、違反者は処罰[377]。
- シンガポール:3月17日、封鎖以外のあらゆる手段を尽くすとして封鎖措置はしないと表明[379]。
- イスラエル:3月17日、外出禁止措置を実施[380]。
- ベネズエラ:3月17日、外出禁止措置を実施[380]。
- ベルギー:3月18日、外出禁止措置を実施[380]。
- マレーシア:3月18日から31日まで全国で都市封鎖[379][383]。スーパーマーケットや薬局、水・電気・通信事業者、刑務所や防衛関連を除き、全ての政府と民間の事業所、学校が閉鎖される[383]。イスラム教の行事を含む大規模集会は禁止、レストランは配達サービスのみ営業可能[383]。日系工場の停止でサプライチェーンへの影響が懸念されている[383]。
- イギリス:3月18日、20日から一斉休校を実施すると発表[384]。ロンドン市は3月19日から最大40カ所の地下鉄駅を閉鎖、カーン市長は必要でない限り公共交通機関を使わないよう要請[385]。
- アメリカ合衆国:カリフォルニア州は3月19日、外出禁止令を発令した。食品店、薬局、銀行などは営業を継続する[386]。
- インド:3月19日、デリー首都圏で全ての飲食店、スポーツジム、ショッピングモールを閉鎖し、22日から全土で外出を禁止[387]。
- その他
- オーストリア、英国、ドイツ、イランは外出禁止までは至っていないが、移動を制限[380]。
- チュニジア、ボリビア、セルビア、米ニュージャージー州、米自治領プエルトリコ、フィリピンの首都マニラでは、夜間外出禁止[380]。
医療機関の対応方法
医療学会
(注意:以下のガイドライン、対応策は随時改訂されるので、最新情報の確認が必要)
2020年2月4日、日本透析医学会は透析例への対応策[388]を発表した。
2月6日、日本産科婦人科学会が妊産婦への対応策[389]を発表した。
2月12日、日本環境感染学会は、「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第1版)」を公開した[390]。
2月16日、日本臨床腫瘍学会は、がん患者への対応を発表した。「明らかなエビデンスはないものの、米国CDC のガイダンス(2020年1月30日付)では、がんの罹患は重症化リスクの一つであるとされて」いる、また、「免疫抑制状態もリスク因子とされている」と記載されている[391]。
2月17日、日本医師会は、COVID-19への医療機関が講じるべき対応策の見直しを[392]配下の各医師会に通知し特設サイト にも掲載した[393]。要点は以下のとおり。
— 日本医師会、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策の見直しについて(R02.2.17)」(PDF) - 新型コロナウイルス関連感染症 都道府県医師会宛て通知
- 「新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画作りの手引き」(2013年8月31日) [394]も参照し院内感染を防ぎ診療継続計画を見直すこと[395]。
- 今後、PCR検査は原因不明の肺炎で重症化が疑われる事例が主体となる。
- 特に、高齢者/糖尿病・心不全・透析・呼吸器疾患(COPD等)などの基礎疾患のある人/免疫抑制薬、抗がん薬等の使用者/妊婦 など高リスク例への対応に注意し、速やかに帰国者・接触者相談センター(外部リンク直・厚労省案内サイト)に相談すること。
2月26日、日本感染症学会は「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」を公表した。要点は以下のとおり[126]。
- 概ね50歳未満の患者では肺炎を発症しても自然経過の中で治癒する例が多いため、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい。
- 概ね50歳以上の患者では重篤な呼吸不全を起こす可能性が高く、死亡率も高いため、低酸素血症を呈し酸素投与が必要となった段階で抗ウイルス薬の投与を検討する。
- 糖尿病・心血管疾患・慢性肺疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態等のある患者においても上記2に準じる。
- 年齢にかかわらず、酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある例では抗ウイルス薬の投与を検討する。
— 日本感染症学会、「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」(PDF)
- 抗ウイルス薬の選択としては、現時点で日本での入手可能性や有害事象等の観点より、ロピナビル・リトナビル(カレトラ®配合錠)、ファビピラビル(アビガン錠)を提示する。
- 他に使用できる可能性のある抗ウイルス薬には、 レムデシビル、インターフェロン、クロロキン などがあるが、それらの効果や併用効果に関しては今後の知見が待たれる。
院内感染ほか
2月7日、武漢大学病院で検出された感染者のうち4割は、同大学病院で院内感染したと発表された[396]。患者138人のうち41%(57人)が院内感染で、17人が入院患者、40人が医療スタッフだった[397]。
韓国でも慶尚北道の病院で院内感染が発生した[398][397]。
日本の病院でも、牧田総合病院(東京都大田区)[342]、相模原中央病院[343]、相模原協同病院[344]、済生会有田病院(和歌山県湯浅町)[345]、 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市[399])などで院内感染が発生し、一時的に休診となった。
オンライン診療
病院での感染(院内感染)のおそれがあるため、厚生労働省は2月28日、オンライン診療の手続きを簡略化した[400]。
オンライン診療が認められるのは複数回受診しているかかりつけ医で同じ薬を処方してもらう場合などに限られる[400]。
オンライン診療の手順としては、スマートフォンのテレビ電話を通じて、かかりつけの医師の診察を受け、問診を受けると薬の処方箋が薬局に送られる[400]。薬局での服薬指導もスマートフォンで受けることができ、その後、薬が自宅に配送される[400]。
脚注
注釈
- ^ COVID-19の“CO”は「Corona(コロナ)」、“VI”は「Virus(ウイルス)」、“D”は「Disease(疾患)」、“19”は最初に患者が報告された「2019年」をそれぞれ表す[2]。
- ^ 病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(2020年1月に中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたもの)であるものに限る。
- ^ 日本の厚生労働省医薬・生活衛生局に相当。
- ^ 原文のsystematicはsystemicの間違い。
- ^ ラッセル音のこと。気管や気管支に異常があると、胸部聴診の際に聴こえる異常な肺音。→UMIN:患者状態項目 > 呼吸器症状の「肺雑音」を参照。
- ^ 日本の死者45万人を患者2300万人で割ると、0.01956...となり四捨五入で0.02.[281]。
- ^ 日本の死者5,700人を感染者300万人で割ると、0.0019...となる[282]。
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- ^ 新型肺炎 韓国感染231人増、833人 国会中止、サッカー開幕延期東京新聞2020年2月25日 朝刊
- ^ 国立循環器病研究センターが外来休診、13日まで - 新型肺炎の陽性職員発生で3/9(月) 21:10配信CBNEWS
- ^ a b c d オンライン診療に注目 手続き簡略化 新型ウイルス感染拡大でNHK2020年3月10日 16時26分
関連項目
- 2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
- 新型コロナウイルス感染症の世界的流行
- 新型コロナウイルス感染症による社会・経済的影響
- 感染/感染症/伝染病
- 輸入感染症
- 感染経路
- 感染管理
外部リンク
- Coronavirus disease 2019(英語) - 世界保健機関(WHO)
- Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) - アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報について - 国立感染症研究所
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