イタドリ

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イタドリ
Fallopia-japonica(Staude).jpg
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: タデ目 Polygonales
: タデ科 Polygonaceae
: ソバカズラ属 Fallopia
: イタドリ F. japonica
学名
Fallopia japonica
(Houtt.) Ronse Decr. (1988)
シノニム

F. j. var. compacta
Reynoutria japonica
R. j. var. compacta
R. j. f. compacta
Polygonum compactum
P. cuspidatum
P. c. var. compactum
P. c. f. compactum

英名
Japanese knotweed

イタドリ(虎杖、痛取、Fallopia japonica)とは、タデ科多年生植物。別名は、スカンポ、イタンポ、ドングイ、ゴンパチ、エッタン。ただし、スイバをスカンポと呼ぶ地方もある(茎を折るとポコッと音が鳴り、食べると酸味があることから)。

特徴[編集]

茎は中空で多数の節があり、その構造はややに似ている。三角状の葉を交互につけ、特に若いうちは葉に赤い斑紋が出る。

雌雄異株で、雄花おしべ花弁の間から飛び出すように長く発達しており、雌花はめしべよりも花弁の方が大きい。夏には、白か赤みを帯びた小さな花を多数着けた花序を出す。花の色が特に赤みを帯びたものは、ベニイタドリ(メイゲツソウ)と呼ばれ、本種の亜種として扱われる。

秋に熟す種子には3枚の翼があり、風によって散布される。そして春に芽吹いた種子は地下茎を伸ばし、群落を形成して一気に生長する。路傍や荒地までさまざまな場所に生育でき、肥沃な土地では高さ2メートルほどまでになる。やや湿ったところを好み、また、攪乱(かくらん)を受けた場所によく出現する先駆植物である。谷間の崖崩れ跡などはよく集まって繁茂している。これは太く強靭で、生長の早い地下茎によるところが大きい。

北海道西部以南の日本台湾朝鮮半島中国に分布する東アジア原産種。世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。19世紀に観賞用としてイギリスに輸出され、旺盛な繁殖力から在来種の植生を脅かす外来種となり、コンクリートやアスファルトを突き破るなどの被害が出ている。2010年3月、イギリス政府はイタドリの駆除のために、天敵の「イタドリマダラキジラミ」を輸入することを決める[1]

昔の子供の遊びとして、イタドリ水車がある。切り取った茎の両端に切り込みを入れてしばらく水に晒しておくとたこさんウィンナーのように外側に反る。中空の茎に木の枝や割り箸を入れて流水に置くと、水車のようにくるくる回る。

一面に花が咲いていると、多くの昆虫が集まる。秋に昆虫が集まる花の代表的なものである。また、冬には枯れた茎の中の空洞をアリなどが冬眠用の部屋として利用しているのが見られる。イタドリハムシは、成虫も幼虫もイタドリの葉を食べる。

利用[編集]

山菜[編集]

若い茎は柔らかく、山菜として食べられる。茎や葉が分かれる前の、タケノコのような姿のものを折って採取し、皮をむいて使用する。生でも食べられ、かつては子供が道草途中に囓っていた。有機酸を多く含むため酸味があるが、その中にはシュウ酸も含まれるため、多少のえぐみもあり、そのまま大量摂取すると健康への悪影響も考えられる[2]。そのため、山菜として本格的に利用するときには茹でて水にさらし、あく抜きするが、そうするとさわやかな酸味も失われてしまう。高知県では、苦汁や苦汁成分を含んだあら塩でもみ、こうすると、苦汁に含まれるマグネシウムイオンとシュウ酸イオンが結合し、不溶性のシュウ酸マグネシウムとなる。その結果、シュウ酸以外の有機酸は残したままシュウ酸だけ除去することができる。

春頃の新芽は食用になる。皮を剥ぎ、塩もみをして炒め、砂糖、醤油、酒、みりん、ごま油等で味付けし、鰹節を振りかける。主に食用にしているのは高知県であるが、和歌山県「ゴンパチ」兵庫県南但では「だんじ」と称して食用する。新芽を湯がいて冷水に晒し、麺つゆと一味唐辛子の出汁に半日ほど漬ける。ジュンサイのようなツルツルとした食感がある。 秋田県では「さしぼ」と呼び水煮にして味噌汁の具に使ったりする。 岡山県では「さいじんこ」、「しゃじなっぽ」などと呼ぶ。

民間薬[編集]

冬になって地上部が枯れた頃に根茎を採取し、天日乾燥させたものを虎杖根(こじょうこん)といい、緩下作用、利尿作用があるとして民間薬に使われる。また、若葉を揉んで擦り傷などで出血した個所に当てると多少ながら止血作用があり、痛みも和らぐとされる。これが「イタドリ」という和名の由来でもある[3]

その他[編集]

戦時中、タバコの葉が不足した時に、イタドリなどを代用葉としてタバコに混ぜた。インドや東南アジアではイタドリの葉を巻いたものを葉巻の代用とする。

近縁種[編集]

オオイタドリ Reynoutria sachalinensisシノニム Polygonum sachalinense
イタドリに似るが、葉の裏側がやや白っぽいことで区別される。名の通り大型で、その高さは3mに達する場合もある。葉も倍ほど大きい。イタドリ同様、若い茎は食用になる。しかしその生育地域での食用例はない。

文化[編集]

タデ科のイタドリやスイバは別名を「スカンボ(酸模)」と呼称し、北原白秋童謡に「酸模の咲く頃」がある。

脚注[編集]

  1. ^ 英、タデ食う虫を日本から輸入 天然除草剤に 2010/03/09 10:38 共同通信
  2. ^ 飲食物中の蓚酸含有量について 2007/03/21 医薬品情報21
  3. ^ 平成20年3月16日(日) 熊野古道講座 逢川の源流とシダを訪ねて を開催しました”. 三重県立熊野古道センター (2008年3月16日). 2013年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月15日閲覧。