イタドリハムシ

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イタドリハムシ
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イタドリハムシ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目(鞘翅目) Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目(多食亜目) Polyphaga
下目 : Cucujiformia
上科 : ハムシ上科 Chrysomeloidea
: ハムシ科 Chrysomelidae
: Gallerucida
: イタドリハムシ G. bifasciata
学名
Gallerucida bifasciata
(Motschulsky, 1860)
和名
イタドリハムシ
カメノコウムシ

イタドリハムシ(虎杖葉虫、Gallerucida bifasciata)は、鮮やかな斑紋の甲虫ハムシとしては大柄で、テントウムシの仲間のようにも見える。別名としてカメノコウムシ(亀の甲虫)がある。

特徴[編集]

体長は7.5-9.5mmで、日本のハムシ科では大きい方である。全体の形は滑らかな楕円形で、背面はやや丸く盛り上がり、腹面はほぼ平ら。黒い体に、前翅の黄色い横斑が目立つ。頭部は黒く、前胸に半ば隠れる。触角は長くて体長の半分以上、各節の先端が前に突き出して鋸状になる。

前胸は黒く、その背面には一対のくぼみがあるが、全体としては滑らかでつやがある。前翅は黒くてつやがあり、多数のはっきりした点刻が列をなしている。斑紋には個体変異が大きいが、その前端から少し離れたところと、後端に近いところ、それに後端部に三列の横斑がある。それぞれの斑紋はその縁が波打ち、互いに前後につながることもある。腹面と歩脚は黒い。

幼虫はテントウムシの幼虫などに似た、やや平らな細長いもので、胸部の付属肢だけがよく発達している。体は黄色っぽい緑で、頭部などあちこちが黒い。

習性[編集]

成虫は春から秋に主としてイタドリの上に見られ、その葉を食べる。ほかにオオイタドリスイバなども食草とする。人が近づくと手足を縮めてころりと落ちる擬死の習性をもつ。幼虫もイタドリの葉を食べる。

成虫越冬であり、春に越冬した成虫が食草を来訪、産卵する。孵化した幼虫はそれを食べて夏ころに新成虫が出現する。

分布[編集]

北海道から九州までに見られ、国外では朝鮮半島、シベリア東部、中国、台湾から知られる。北海道のものはかつては別種とされたこともある。

利害[編集]

イタドリやスイバは利用しないでもないが、特に栽培されることもないから害虫扱いはされない。

分類[編集]

同属には日本に他に数種あり、見かけも似ているが、本種が最も普通である。また食草も異なる。

参考文献[編集]

  • 林匡夫・森本桂・木元新作編著、『原色日本甲虫図鑑 III』、(1984)、保育社
  • 石井悌他編、『日本昆蟲圖鑑』、(1950)、北隆館