領事館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

領事館(りょうじかん、英語: Consulate)とは、領事の活動の拠点として設置される在外公館である。大使館が通常接受国の首都におかれるのに対し、在外邦人の保護や外交事務、情報収集や国際交流・広報などの拠点として首都とは別の主要都市(例えば日本なら大阪など)に設置される。領事および領事館は主として地勢的な便益のために設置されるものであり、その設置は派遣国の任意である。たとえばアメリカ合衆国には現在15の日本総領事館が設置されている。

目次

[編集] 種類

[編集] 館長の階級による区分

国際法上、総領事が館長である在外公館総領事館(そうりょうじかん)、領事が館長であるものを領事館、副領事が館長であるものを副領事館、代理領事が館長であるものを代理領事事務所と呼ぶ。総領事、領事、副領事、代理領事は領事官の階級であり、その設定方法や設置の有無、定員の決定などは派遣国の任意である。

[編集] 本務領事と名誉領事

本務領事(派遣国国籍を持つ正式の公務員である者)のみで構成される通常の領事館の他に、名誉領事(接受国国籍を持ち、派遣国より領事としての権限を委託された者)がある。名誉領事は文字通り名誉的な地位であり、現地でのネットワーク形成等の役割のみを持つ。

[編集] 業務

領事サービス上は大使館とほぼ同様のもので、領事が接受国において職務を行うが、派遣国を政治的に代表して接受国政府と交渉する権限は無い。自国民の保護、査証の発行、証明書の発行、他国の情報収集、友好親善、国際会議の準備等を行う。かつては領事裁判権を設定したことによる裁判所警察署が併設されていたこともあったが、現在では歴史的な領事裁判権の撤廃に伴ってなくなっている。

[編集] 名前と法律

領事館には通常、派遣先の都市の名前がつけられる。例えば、シアトルの場合は「在シアトル日本国総領事館」となる。

設置したい都市に実館を置けない場合は、その都市の隣接地に実館を開設し、名前と実館の所在地が一致しないケースがあり、原則首都の区域内に置く大使館(在バチカン(全てイタリアローマ市にある)を除く)とは異なる事例がある。

[編集] 特権免除

大使館同様、領事官および領事館は領事関係に関するウィーン条約に基づき一定の範囲で特権免除を享受する(領事特権)が、領事特権は大使館外交官の享有する外交特権よりも相当程度制限されている。個別の外交関係における領事の地位については領事協定が締結されることがある。日中間では日中領事協定を2010年1月17日に締結しており、領事機関の公館の不可侵や領事通報の義務化、派遣国国民が逮捕などされたさいの通信および接触等の領事に関する事項をとくに確認している[1]

[編集] 駐日外国総領事館・領事館

在日総領事館・領事館は以下の通りである。(領事館)としたもの以外は総領事館である。ただし、名誉総領事館・名誉領事館は除く。アジア、欧州の国は総領事館を大阪または大阪・神戸に置いている場合が多く、その場合、管轄地域は主に近畿地方西日本全域となる。一方、中南米では東京におく場合が多い。都心のオフィスビルに入っているところが多く、アメリカ合衆国、中華人民共和国、大韓民国、ロシア連邦の在大阪総領事館は、ビル1つを占有している[2]

[編集] アジア

インド
大阪
インドネシア共和国
大阪
シンガポール共和国
大阪
タイ王国
大阪
大韓民国
大阪、福岡札幌仙台横浜名古屋新潟広島神戸京都
中華人民共和国
大阪、名古屋、札幌、福岡、長崎、新潟
パキスタン・イスラム共和国
大阪(領事館)
フィリピン共和国
大阪・神戸
ベトナム社会主義共和国
大阪、福岡

[編集] 北米

アメリカ合衆国
大阪・神戸、那覇(所在地は浦添市)、福岡(領事館)、札幌、名古屋(領事館)
カナダ
名古屋(領事館)

[編集] 中南米

チリ共和国
東京
ドミニカ共和国
東京
ハイチ共和国
東京
パナマ共和国
東京、神戸
ブラジル
東京、浜松、名古屋
ペルー
東京、名古屋
メキシコ
東京、京都

[編集] 欧州

アイスランド
京都
英国
大阪
イタリア
大阪
オランダ
大阪・神戸
ドイツ連邦共和国
大阪・神戸
フランス
京都
ベルギー
東京
ロシア
大阪、札幌、新潟

[編集] 大洋州

オーストラリア
大阪、福岡、名古屋、札幌
ニュージーランド
東京

[編集] 在外日本国総領事館

日本は、法令上は外務省の所管する在外公館として総領事館又は領事館を置くものとしている。ただし領事館は全て総領事館に格上げされたため未設置である。そのほか、在外公館の支部として出張駐在官事務所を開設している。

在外日本国総領事館の所在都市は以下の通りである。大使館、出張駐在官事務所は除く。(大使館)は、総領事館が大使館と同じ事務所であることを表す。なお、アフリカには総領事館は設置されていない[3]

[編集] アジア

インド
コルカタチェンナイムンバイ
インドネシア
ジャカルタ(大使館)、スラバヤデンパサールマカッサルメダン
タイ
チェンマイ
韓国
済州釜山
中国
重慶広州上海瀋陽青島香港
パキスタン
カラチ
フィリピン
マニラ(大使館)
ベトナム
ホーチミン
マレーシア
コタキナバルペナン

[編集] 北米

アメリカ合衆国
アトランタサンフランシスコシアトルシカゴデトロイトデンバーナッシュビルニューヨークハガッニャグアム)、ヒューストンポートランドボストンホノルルマイアミロサンゼルス(全15館)
カナダ
バンクーバーカルガリー(2005年1月1日にエドモントンより移転)、トロントモントリオール

[編集] 中南米

ブラジル
クリチバサンパウロベレン (パラー州)マナウスリオデジャネイロレシフェ
ペルー
リマ(大使館)

[編集] 欧州

在サンクトペテルブルク日本国総領事館
イタリア
ミラノ
英国
ロンドン(大使館)、エディンバラ
スイス
ジュネーヴ
スペイン
バルセロナ
ドイツ
デュッセルドルフハンブルクフランクフルトミュンヘン
フランス
ストラスブールマルセイユ
ロシア
ウラジオストクサンクトペテルブルクハバロフスクユジノサハリンスク

[編集] 大洋州

オーストラリア
シドニーパースブリスベンメルボルン
ニュージーランド
オークランドクライストチャーチ
パプアニューギニア
ポートモレスビー(大使館)

[編集] 中近東

アラブ首長国連邦
ドバイ
サウジアラビア
ジッダ
トルコ
イスタンブル

[編集] 参考文献

  • 木下郁夫『大使館国際関係史 在外公館の分布で読み解く世界情勢』社会評論社 ISBN 4784509739 在外公館の分布遍歴を元に、国際政治の世界史的転換期を分析している。

[編集] 脚注

  1. ^ 外務省プレスリリース「日中領事協定の批准書交換」[1]
  2. ^ 日本国外務省「駐日外国公館リスト
  3. ^ 日本国外務省「在外公館リスト

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語