低カリウム血症

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低カリウム血症
分類及び外部参照情報
ICD-10 E87.6
ICD-9 276.8
DiseasesDB 6445
MedlinePlus 000479
eMedicine emerg/273
MeSH D007008
プロジェクト:病気Portal:医学と医療
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低カリウム血症(ていカリウムけっしょう)は、血清中のカリウム濃度が低い状態である。

原因[編集]

カリウムの摂取不足や、細胞内カリウムとの平衡が細胞側へ傾いたり、腎臓からのカリウム排泄が亢進する事によって起こる。

症状[編集]

低カリウム血症の症状としては、高血圧、疲労、筋力低下、神経機能の低下、不安、イライラ、抑うつ、睡眠障害、虚弱、便秘、乾燥肌などがある。

軽度の低カリウム血症では、若干血圧の上昇[1],や不整脈を引き起こすことがあるが、特に症状がみられないことがしばしばある。 中程度の低カリウム血症では筋力の低下、筋肉痛、痙攣、便秘などの症状を引き起こす。さらに重症な低カリウム血症では、麻痺、自律神経失調、強度の筋肉痙攣などが起こる。深刻な低カリウム血症を伴う横紋筋融解症の報告がある。 骨格筋機能の重度の障害からくる呼吸不全は稀なことではない。

代表疾患[編集]

原発性アルドステロン症
鉱質コルチコイドの異常な分泌によって、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
腎血管性高血圧
腎臓血管に障害が起こって腎血流が低下し、これを体全体の血圧の低下と勘違いした腎臓が血圧を上げるホルモン : レニンを分泌して、鉱質コルチコイドが駆動されて、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
クッシング症候群
糖質コルチコイド鉱質コルチコイド作用によって、血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。
バーター症候群
腎臓でのNa+-K+-2Cl-共輸送体の機能不全によってカリウム排泄が亢進する。
ギテルマン症候群
腎臓の遠位尿細管におけるサイアザイド感受性NaCl共輸送体の遺伝子異常による。
リドル症候群
腎臓でのアミロライド感受性ナトリウムチャンネルの抑制不全によってカリウム排泄が亢進する。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
抗利尿ホルモンの異常な分泌によってカリウムに比べて相対的に水の排泄が弱まり、血清カリウム濃度が低下する。
バセドウ病
甲状腺ホルモンの影響で、血液から細胞内へカリウムの移動がおこるため。周期性四肢麻痺を来たす。
褐色細胞腫
カテコールアミンの異常な分泌によって末梢血管収縮が起こり循環血液量が減るため腎臓よりレニンを分泌して鉱質コルチコイドが駆動され血清ナトリウム濃度が上昇する代わりに腎臓からのカリウム排泄が亢進する。

カリウム欠乏量[編集]

基本的に高カリウム血症とアシドーシス、低カリウム血症とアルカローシスが連動するという経験則がある。数値的なことを言うと、pHが0.1下がると血清カリウムは0.5上がるといわれている。そのためカリウム欠乏量を計算する時は酸塩基平衡も一緒に考えなければならない。

pHが7.4の場合のカリウム欠乏量は以下のようにまとめられる。

血清カリウム(mEq/l) カリウム欠乏量(mEq)
3.5 100
3 200
2.5 400

もしpHが7.3でKが3.5mEq/lであれば、アシドーシスを補正するとKが200mEq不足ということになる。大体電解質の補正は3日くらいで行うことが多く、カリウムの補正につかうKCl製剤は1キットで20mEqのものが多い.

カリウムの人体内のふるまい[編集]

維持輸液で必要なカリウムは一日あたり20~40mEqであるが、経口摂取では一日50~100mEq必要であるといわれている。正常人ではカリウムは摂取量と同じだけ尿中に排出されることが知られている。即ち、腎障害がなければ尿中カリウム量からカリウム摂取量を予測することができる。尿中のカリウム排出の調節はCCT(皮質部集合管)で行われる。ここはカリウムの尿中への分泌を行う器官であり、体内のカリウムが過剰なときはカリウム分泌を促進させホメオスタシスの維持を行う。CCTでのカリウム分泌量調節因子としては以下のものが知られている。

CCTへ到達する尿量
CCTへ到達するナトリウム量
アルドステロン
pH
カリウム摂取量

低カリウム血症の場合はそれが腎からの排出亢進によるものか、摂取不足によるものかを区別する。これは部分排泄率を用いることで簡単に区別することができる。カリウム部分排泄率(FEK)は通常12.5~25%である。血清カリウムが低下しており、部分排泄率が増加していれば腎からの排出亢進、部分排出低下をしていれば摂取不足であると判断できる。

腎性尿崩症の原因としての低カリウム血症[編集]

しばしば、教科書では高カルシウム血症と低カリウム血症を同時に扱うことがある。両者とも集合管のADH感受性を低下させ腎性尿崩症を起こすことが知られている。悪性腫瘍患者の高カルシウム血症と糖尿病患者の低カリウム血症に伴う腎性尿崩症は患者を死に至らせることもあるため注意が必要である。糖尿病性昏睡での治療失敗の原因の多くはカリウムの補正が足らず、極度の脱水の患者が腎性尿崩症にいたり、さらに脱水が助長されるという悪循環によるものである。しかし高カリウム血症も不整脈により死にいたる病態であるため、このさじ加減は非常に難しい。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Krishna GG et al. (1989) Increased blood pressure during potassium depletion in normotensive men. NEJM., 320(18):1177-82; PMID 2624617.