アジュバント

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アジュバント (Adjuvant) とは、薬物の作用を修飾(増強)するために加えられる試薬のこと。ラテン語の adjuvare(助ける)に由来する。


[編集] 免疫学におけるアジュバント

アジュバントは、抗原性補強剤とも呼ばれ、抗原と一緒に注射され、その抗原性を増強するために用いる試薬である。

作用機構は様々で不明なものも多いが、

  1. 抗原を不溶化することで組織に長くとどめ、抗原を徐々に長期間遊離させること。
  2. 投与局所に炎症を起こし、マクロファージが集まり抗原が貪食(食作用)されやすくなり、抗原提示が効果的に行われる。
  3. 投与局所や所属するリンパ節の、T細胞やB細胞の活性化を強める。

と考えられている。

  • 沈降性アジュバント(抗原が吸着する無機物の懸濁剤)
    • 水酸化ナトリウム、水酸化アルミニウム(アラム、Alum)、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、ミョウバン、ペペス、カルボキシビニルポリマーなど。
    • 病原体やある抗原を吸着し、接種局所病原体を固定する利点もあるが、その性質の為、接種部位が硬結しやすい。
  • 油性アジュバント(抗原水溶液を鉱油で包みミセルをつくり乳化する油乳剤)
    • 流動パラフィン、ラノリン、フロイントなど。
    • 乳濁液にするため粘性の高い液体になり、接種時に疼痛が起きる。体内に散りにくく、そのまま接種部位に残る性質も持ち合わせ、硬結する事がある。
    • 不完全フロイントアジュバント(Incomplete Freund’s adjuvant, IFA。パラフィンとアラセルの混合物)、完全フロイントアジュバント(Complete Freund’s adjuvant,CFA。IFAに死滅したミコバクテリアまたは結核菌の死菌を加え、抗原性をさらに増強させたもの)がある[1]
  • 新型インフルエンザワクチンの輸入ワクチンには、アジュバントが添加されている。

臨床的には花粉症などのアレルギー疾患において、アレルゲンによる抗体産生能を高める物質もアジュバントと呼ぶ。例としてディーゼル排気ガス中の微粒子の関与などが考えられているが、メカニズムはよくわかっておらず、実験的にはともかく、実際の症状においてはその影響を疑問視するむきもないではない。

[編集] 腫瘍学におけるアジュバント

アジュバントは、がん患者に対して追加的に行われる補助治療のことである。一般的に、手術や放射線療法を行った後に行われる化学療法のことを指す。初めの手術で検出可能ながん組織を全て取り除き、がんの所見がなくなった場合でも、残存している可能性のある微小ながん組織を根絶し、再発を防ぐ目的で行われる。 なお、アジュバント療法が、時に手術や放射線療法の前に行われることがあり、これをネオアジュバント療法と呼ぶ。

[編集] 脚注

  1. ^ ステッドマン医学大辞典(Medical View)
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