ジョーカー (映画)

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ジョーカー
Joker
監督 トッド・フィリップス
脚本 トッド・フィリップス
スコット・シルヴァー
原作 ボブ・ケイン
(キャラクター創作)
ビル・フィンガー
(キャラクター創作)
ジェリー・ロビンソン
(キャラクター創作)
製作 トッド・フィリップス
ブラッドリー・クーパー
エマ・ティリンガー・コスコフ
製作総指揮 マイケル・E・ウスラン
ウォルター・ハマダ
アーロン・L・ギルバート
ジョセフ・ガーナー
リチャード・バラッタ
ブルース・バーマン
出演者 ホアキン・フェニックス
ロバート・デ・ニーロ
ザジー・ビーツ
フランセス・コンロイ
音楽 ヒドゥル・グドナドッティル[1]
撮影 ローレンス・シャー
編集 ジェフ・グロス
製作会社 ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
配給 アメリカ合衆国の旗日本の旗 ワーナー・ブラザース
公開 アメリカ合衆国の旗日本の旗 2019年10月4日[2][3][4]
上映時間 122分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $55,000,000[5]
興行収入 世界の旗 $306,928,787[6]
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ジョーカー』(Joker)は、2019年アメリカ合衆国スリラー映画。 監督はトッド・フィリップス、出演はホアキン・フェニックスロバート・デ・ニーロなど。

DCコミックスバットマン』に登場する最強の悪役(スーパーヴィランジョーカーが誕生する経緯を描く。ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じる。第76回ヴェネツィア国際映画祭で最優秀作品賞にあたる金獅子賞を受賞した[7][8][9]R15+指定。

ストーリー[編集]

1980年代、財政難に陥り、人心の荒むゴッサムシティ。大道芸人のアーサー・フレックは、母ペニーの介護をしながら、自身もまた福祉センターでカウンセリングを受けながら毎日を過ごしていた。彼は、発作的に笑い出すという病気を患っていた。アーサーはコメディアンを目指していたが、なかなか機会に恵まれず、それどころか不良少年に仕事を邪魔されたことの責任を押し付けられるなど、報われない人生だった。

ある日アーサーは、大道芸人の派遣会社での同僚・ランドルから、護身用にと拳銃を借り受ける。だが、小児病棟での仕事中にそれを落としてしまったことが原因で、会社を解雇される。その帰り、アーサーは女性に絡んでいたウェイン産業の証券マンたちに暴行され、彼らを拳銃で射殺してしまう。現場から逃走したアーサーは、言い知れぬ高揚感に満たされる。しばらくすると、この事件は貧困層から富裕層への復讐として社会的に認知され、ゴッサムの街では、犯行当時のアーサーのメイクにインスパイアされた、ピエロの格好でのデモ活動が活発化していくことになる。一方で市の財政難により社会福祉プログラムが削減されてしまい、アーサーはカウンセリングを受けることができなくなってしまう。

ふとしたことから知り合った隣室の未亡人ソフィーと仲良くなったアーサーは、彼女を、コメディアンが夜毎ショーを行うバーへ案内し、初めてコメディアンとして人前に出る。発作で笑いだしながらも、アーサーはショーをやり遂げる。その晩、自宅へ戻ったアーサーは、母が、かつて家政婦として雇われていた実業家トーマス・ウェインへ宛てた手紙を読み、自分がトーマスの隠し子であることを知る。

真実を確かめにウェイン邸へ赴いたアーサーだが、トーマスの息子・ブルースと執事のアルフレッドには会うことができたものの、トーマスには会えなかった。失意のまま自宅へ戻ると、証券マンたちの殺人事件で調査に来た警察の訪問に驚いたペニーが脳卒中を起こし、救急車で運ばれるところだった。アーサーは、刑事たちの詰問を躱し、ペニーに付き添うようになる。そのとき、病室のテレビでマレー・フランクリンの番組が流れ、アーサーがバーで行なったショーの映像が流された。番組の中で「ジョーカー」と紹介されたアーサーは、自らの意図しないところで、一気に有名人となる。

アーサーはデモ活動が門前で起こるウェイン・ホールに侵入し、トーマスと対面する。トーマスは、ペニーの手紙はすべて出鱈目だと言い切り、アーサーはペニーの実子ではなく養子だと告げる。失意に暮れるアーサーはソフィーの家を訪ねるが、アーサーのことを見たソフィーは恐怖に怯える。今までのソフィーとの思い出は全てアーサーの妄想であったことが明かされる。アーサーは州立病院へ行き、ペニーの診断書を閲覧した。そこには確かに、ペニーが精神障害を患っていること、アーサーが養子であること、自身の障害はペニーの恋人による虐待によるものなどを示す書類が挟まれていた。最後に信じていた母親からも裏切られたことを知ったアーサーは、病室のペニーを窒息死させた。

ペニーの死は病死とされ、アーサーが自宅へ戻ると、マレーの番組担当者から、次のゲストとしての出演を依頼される。快諾したアーサーは、当日の流れを入念に練習し始める。そして収録当日、自宅に訪れたランドルを殺害したアーサーは、ピエロのメイクをし、テレビ局へ向かう。途中、アーサーを見張っていた刑事たちに追われるものの、デモ活動のピエロたちに紛れ、追跡を撒く。

劇場に到着し、楽屋で化粧を直すアーサーのところにマレーとディレクターがやってくる。番組の流れを説明する二人に「自分を本名ではなく、ジョーカーと紹介してほしい」とアーサーは頼む。そしてフランクリン・ショーの生放送が始まり、ジョーカーとしてアーサーが登壇する。始めはコメディアンとして振る舞っていたアーサーだが、話の流れの中、証券マンたちを殺したのは自分だと告白する。さらに、マレーが自分をテレビに出したのは笑いものにするためだと主張し、隠し持っていた拳銃でマレーを射殺。パニック状態になり逃げ出す観客らをよそに、テレビカメラの前でステップを踏むアーサー。カメラに向かいジョークのオチを言おうとしたところで番組が終了し、駆け付けた警察に逮捕された。

アーサーの凶行が生放送されたゴッサムシティはデモが暴動と化し、街のあちこちで火の手が上がっていた。一家で映画「ゾロ」を鑑賞していたトーマスは、暴動を避けるために犯罪横丁とよばれる裏道へ家族を伴って逃げるが、それを観ていた暴徒により妻のマーサと共々射殺され、息子のブルースだけが生き残った。

逮捕されたアーサーだが、護送していたパトカーに救急車がつっこみ、暴徒によって救出される。意識を取り戻すと、パトカーのボンネットの上に立ち上がり、口から出た血で裂けた口のようなメイクをして踊るように暴徒たちを見下ろすのだった。

場面は変わり、病院で精神分析を受けるアーサーの姿が映される。精神分析医は「ジョークを思いついた」というアーサーに、それを言うように頼んだ。だが、アーサーは精神分析医に「あなたには理解できない」と言い放ち、断った。そして、アーサーが診察から抜け出し、血の付いた足跡を残しながら病院から脱走しようと試みるところで映画は終わる。

キャスト[編集]

アーサー・フレック / ジョーカー
演 - ホアキン・フェニックス
精神的な問題や貧困に苦しみながらも、スタンダップコメディアンを目指している道化師。認知症気味の母の面倒を見る心優しい男だったが、自身の辛い境遇から精神のバランスを崩し、次第に常軌を逸した行動を取っていく。感情が高ぶると、自分の意思に関係なく突然笑いだしてしまう病気を患っており、また妄想と現実の区別もつかなくなってきている。
マレー・フランクリン
演 - ロバート・デ・ニーロ
人気トーク番組「マレー・フランクリン・ショー」の司会者。アーサーが憧れている。
ソフィー・デュモンド
演 - ザジー・ビーツ
アーサーと同じアパートに住むシングルマザーの女性。
ペニー・フレック
演 - フランセス・コンロイ
アーサーの母親。認知症気味で体が不自由。若い頃はゴッサム随一の大富豪のウェイン家にメイドとして仕えていた。
トーマス・ウェイン英語版
演 - ブレット・カレン
ゴッサムシティの名士。政界に進出し市議会議員となるが、医療制度の解体を推し進めたことで負担が増えた貧困層からバッシングを受けている。
ギャリティ刑事
演 - ビル・キャンプ
ゴッサム市警の刑事。
バーク刑事
演 - シェー・ウィガム
ゴッサム市警の刑事。
ランドル
演 - グレン・フレシュラー英語版
アーサーの同僚の道化師。
ゲイリー
演 - リー・ギル
アーサーの同僚の道化師。小人症で他の同僚に身長をネタにからかわれる。アーサーに優しくしていたことから、ランドル殺害後のアーサーに解放される。
ジーン・アフランド
演 - マーク・マロン英語版
「マレー・フランクリン・ショー」のプロデューサー。
アルフレッド・ペニーワース
演 - ダグラス・ホッジ英語版
トーマス・ウェインの執事。
ブルース・ウェイン
演 - ダンテ・ペレイラ=オルソン
トーマス・ウェインの息子。この映画の原典である『バットマン』における主人公。両親を目の前で失った悲しみから、成長後、蝙蝠のコスチュームを纏って犯罪者に立ち向かうクライムファイターとなり、ジョーカーと何度も対峙する。

製作[編集]

脚本は『タクシードライバー』や『キング・オブ・コメディ』などマーティン・スコセッシの作品群に影響を受けて書かれ、80年代初頭のゴッサムシティを舞台とした作品となった[10]。両作に主演したロバート・デ・ニーロが本作に出演している。

ジョーカー役は当初レオナルド・ディカプリオに打診されていたが[11]、ホアキン・フェニックスに決定した。

撮影[編集]

2018年9月より、ニューヨーク市内で撮影がスタートした[12]。ロケ地となったのはブロンクスチャーチ・アベニュー駅ベッドフォード・パーク・ブールバード駅ブルックリン9番街駅クイーンズのアストリアにあるファースト・セントラル・セービングス・バンクなどである。

ニュージャージー州ジャージーシティでも撮影が行われ、ニューアーク・アベニューが一時閉鎖されてのロケが行われた。10月にはニューアーク、11月には郡道501号での撮影が行われた[13][14]

公開[編集]

当初、日本での公開は11月の予定だったが、後に10月4日に日米同時公開に変更となった[3]

評価[編集]

興行収入[編集]

10月4日に公開され、アメリカでは公開初日からの3日間で9,620万2,337ドルを記録[15]。日本でも10月8日までの5日間で10億2,241万3,800円を記録した[16]

出典[編集]

  1. ^ Hildur Gudnadottir to Score Todd Phillips’ ‘Joker’ Origin Movie”. Film Music Reporter. 2018年9月20日閲覧。
  2. ^ McClintock, Pamela; Kit, Borys (2018年6月18日). “'Joker' Origin Movie Lands Fall 2019 Release Date”. The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/joker-origin-pic-lands-fall-2019-release-date-1128203 2018年7月18日閲覧。 
  3. ^ a b “俺の人生は悲劇? いや、喜劇だ「ジョーカー」日米同時公開! ポスター&特報も披露”. 映画.com. (2019年5月10日). https://eiga.com/news/20190510/3/ 2019年5月10日閲覧。 
  4. ^ “DC新作『ジョーカー』10.4日米同時公開!”. シネマトゥデイ. (2019年5月10日). https://www.cinematoday.jp/news/N0108541 2019年5月10日閲覧。 
  5. ^ Kit, Borys (2018年6月13日). “Warner Bros. Shifts DC Strategy Amid Executive Change-Up” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/joker-batman-suicide-squad-movie-plans-making-sense-dcs-moves-1119489 2018年6月15日閲覧。 
  6. ^ Joker (2019)” (英語). Box Office Mojo. 2019年10月13日閲覧。
  7. ^ Biennale Cinema 2019 - Official Awards of the 76th Venice Film Festival
  8. ^ “‘Joker’ wins top Venice International Film Festival prize”. USA Today. (2019年9月8日). https://www.usatoday.com/story/entertainment/movies/2019/09/07/joker-wins-top-venice-international-film-festival-prize/2249198001/ 2019年9月8日閲覧。 
  9. ^ “金獅子賞は『ジョーカー』!ベネチア映画祭:第76回ベネチア国際映画祭”. シネマトゥデイ. (2019年9月8日). https://www.cinematoday.jp/news/N0111063 2019年9月8日閲覧。 
  10. ^ Jr, Mike Fleming (2017年8月22日). “The Joker Origin Story On Deck: Todd Phillips, Scott Silver, Martin Scorsese Aboard WB/DC Film”. http://deadline.com/2017/08/the-joker-origin-movie-todd-phillips-martin-scorsese-scott-silver-batman-dc-universe-1202154053/ 2017年8月23日閲覧。 
  11. ^ Masters, Kim; Kit, Borys (2017年9月1日). “The Joker Movie: Warner Bros. Wants Class, Cachet and Maybe Leonardo DiCaprio” (英語). http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/leonardo-dicaprio-joker-movie-warner-bros-wants-actor-role-1034392 2017年9月5日閲覧。 
  12. ^ D'Alessandro, Anthony (2018年8月27日). “Alec Baldwin Joins Todd Phillips’ ‘Joker’”. https://deadline.com/2018/08/joker-movie-todd-phillips-alec-baldwin-thomas-wayne-batman-father-1202452962/ 2018年8月28日閲覧。 
  13. ^ McNary, Dave (2018年10月10日). “'Joker' Movie Extras Reportedly Denied Break, Locked in Subway Cars”. Variety. 2018年10月23日閲覧。
  14. ^ MacDonald, Terrence T. (2018年9月21日). “'Joker,' Joaquin Phoenix film about Batman nemesis, to film in N.J. locations”. NJ.com. 2018年9月21日閲覧。
  15. ^ Weekend Box Office Results for October 4-6, 2019” (英語). Box Office Mojo. 2019年10月13日閲覧。
  16. ^ 『ジョーカー』快進撃、国内興収10億円を5日間で突破 ─ 米国でも連日記録更新中、監督も感謝のコメント、THE RIVER (2019年10月10日) 2019年10月13日閲覧。

外部リンク[編集]