ダークナイト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ダークナイト
The Dark Knight
監督 クリストファー・ノーラン
脚本 クリストファー・ノーラン
ジョナサン・ノーラン
原案 デヴィッド・S・ゴイヤー
クリストファー・ノーラン
原作 ボブ・ケイン
ビル・フィンガー
バットマン
製作 クリストファー・ノーラン
チャールズ・ローヴェン
エマ・トーマス
製作総指揮 ベンジャミン・メルニカー
マイケル・E・ウスラン
ケビン・デ・ラ・ノイ
トーマス・タル
出演者 クリスチャン・ベール
マイケル・ケイン
ヒース・レジャー
ゲイリー・オールドマン
アーロン・エッカート
マギー・ギレンホール
モーガン・フリーマン
音楽 ハンス・ジマー
ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影 ウォーリー・フィスター
編集 リー・スミス
製作会社 レジェンダリー・ピクチャーズ
シンコピー・フィルムズ
配給 ワーナー・ブラザース
公開 アメリカ合衆国の旗 2008年7月18日
日本の旗 2008年8月9日
上映時間 152分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 $185,000,000[1]
興行収入 $1,001,921,825[1] 世界の旗
$533,345,358[1] アメリカ合衆国の旗カナダの旗
16億円[2]日本の旗
前作 バットマン ビギンズ
次作 ダークナイト ライジング
テンプレートを表示

ダークナイト』(原題: The Dark Knight)は、2008年アメリカイギリス共作映画。監督はクリストファー・ノーラン、主演はクリスチャン・ベール

DCコミックスの出版するアメリカン・コミックバットマン』を原作とした実写映画作品。「ダークナイト・トリロジー(Dark Knight Trilogy)」の第2作目。

第81回アカデミー賞助演男優賞、撮影賞、美術賞、メイクアップ賞、視覚効果賞、音響編集賞、編集賞ノミネート。助演男優賞、音響編集賞受賞。

概要[編集]

DCコミックスの出版するアメリカン・コミックバットマン』を原作とした実写映画作品。『バットマン ビギンズ』に続く「ダークナイト・トリロジー」の第2作目。バットマンの実写映画作品としては累計で第6作品目となる。

監督はクリストファー・ノーラン、主演はクリスチャン・ベール。「ジョーカー」役のヒース・レジャーは公開前に死去した。親交のある俳優のジョニー・デップコリン・ファレルジュード・ロウが代役で出演して完成させたテリー・ギリアム監督作『Dr.パルナサスの鏡』を除けば、ヒース・レジャーの遺作となった。

世界的に成功を収め、第81回アカデミー賞助演男優賞、撮影賞、美術賞、メイクアップ賞、視覚効果賞、音響編集賞、編集賞ノミネート。助演男優賞、音響編集賞受賞。後に「ダークナイト・トリロジー」の完結編として『ダークナイト ライジング』が制作された。

あらすじ[編集]

ジョーカーと呼ばれる犯罪者に雇われた道化師のマスクを被った犯罪者の一団がゴッサム・シティ銀行を襲うも、一団は互いに裏切りあって最後の一人になるまで殺しあいを行い、最後に一人だけ生き残った男はマスクを外す。その男こそがジョーカーであり、銀行に預けられていたマフィアの資金を独り占めにする形で奪ったジョーカーは逃走するのだった。

ブルース・ウェインことバットマン、地方検事のハービー・デント、ゴッサム市警のジム・ゴードンの三人は、ゴッサムから組織犯罪をなくすため活動していた。ブルースはハービーの理想に感銘を受け、彼のキャリアをサポートする一方、堂々と悪と戦うハービーこそがゴッサムの求める真のヒーローであると考え、バットマンの引退を考えていた。そんなブルースはレイチェル・ドーズに想いを寄せていたが、レイチェルの気持ちは既にハービーの方へと傾き、ブルースとの距離はどんどん離れていく一方となっていた。

マフィアたちが集まり、サルバトーレ・マローニ、ギャンボル、チェチェン人ボス、会計士のラウが会議を始める。テレビ通話で参加したラウは、自身に危険が及ぶのを察知して香港に逃亡するも、そこにジョーカーが割り込み、バットマンは法律によって妨げられないことを警告。ジョーカーはマフィアの資金の半分と引き換えにバットマンを殺す事を提案する。ギャンボルはジョーカーの態度に腹を立て、懸賞金をかけるが、逆にジョーカーによってあっけなく殺されてしまい、ジョーカーが彼の組織を引き継いだ結果、最終的にマフィアは提案を受け入れる決定を選ぶ。

バットマンはラウを香港で見つけ、マフィアに不利な証言をさせるために彼をゴッサムに連れ帰り、警察はラウの証言から多くのマフィアを逮捕する。しかしそこへ、ジョーカーはバットマンが正体を明らかにしない限り、人々を殺し続けると脅迫。バットマンに成りすましていた男の死体を晒し者にし、更には警察本部長のジリアン・ローブ、市長のアンソニー・ガルシア、裁判長を殺害することを示唆する。ローブ、裁判長の二人が殺され、そしてジョーカーはガルシアも殺そうとするが、ゴードンは暗殺を止めるために犠牲になる。この結果、人々の多くはジョーカーよりもバットマンへ憎しみを向けるようになり、最初はバットマンを指示していた人間でさえ、自己保身の為に掌を返す形で、バットマンに正体を明かせと叫び出す事になる。

追い詰められたブルースは、これ以上無関係な犠牲者を出さない為にハービーの会見で正体を明らかにする事を決めるが、ハービーは自分がバットマンだと発表。警察に連行される事になり、これが決定的となってレイチェルはバットマン=ブルースとの絶縁を決意し、アルフレッドにはブルースへの別れの手紙を手渡す。その後、ジョーカーが現れてハービーを護送する輸送隊を攻撃。ハービーの救出するためにバットマンが駆けつけ、そして死を装っていたゴードンによりジョーカーは逮捕され、作戦の立役者としてゴードンは本部長に昇進する。レイチェルとハービーはマイケル・ワーツ刑事とアンナ・ラミレス刑事に付き添われる。

バットマンはジョーカーを尋問するが、彼からレイチェルとハービーの二人を誘拐し、ガソリンのタンクと爆弾で詰められた別々の場所で窮地に陥っている事を聞かされる。ゴードンがハービーを救いに行き、バットマンはレイチェルを救うために急いで建物に到着するのだが、そこに捕らわれていたのはハービーの方で、ジョーカーはわざと逆の監禁場所を教えたと理解。それでも何とかハービーを倉庫から連れ出そうとするが、両方の建物は爆発してレイチェルは死に、間一髪で脱出したハービーも顔の半分を火傷で損なう。仲間の一人に爆弾を詰め込んで警察署から脱走していたジョーカーは、刑務所のラウを連れて逃亡するも、ジョーカーは約束通りの資金とラウを燃やしてチェチェン人ボスを殺し、次の計画を進めようとする。

一方、ウェイン産業の会計士であるコーマン・リースは、ブルースがバットマンだと推測し、ルーシャス・フォックスを脅迫して金をせしめようと目論むが、彼の言葉で恐れをなした結果、失敗。逆恨みしたリースは、今度はメディアを通じて正体を公開しようと考えるが、バットマンが自身を楽しませてくれると感じていたジョーカーは、急遽バットマンの正体の公開を取り止め、計画の邪魔になるリースを殺さない限り、病院を爆破すると脅迫する。ゴードンはゴッサムのすべての病院の避難を命じてリースを確保するも、ジョーカーへの恐怖の高まった市民の一部が、本気でリースを殺害しようと襲い掛かる事態に発展。更に妻が病院で入院している警察官が銃を突きつけ、衝突事故を起こす形でリースを殺害しようとした者もいたが、警察官はゴードンに抑えられ、事故は間一髪でスポーツカーに載ったブルースが防いだ。その頃、ジョーカーは入院しているハービーの元に現れ、言葉巧みにハービーに憎悪を植え付けると、病院を爆破して人質のバス一台分と逃亡する。

爆破から生きていたハービーは、コインフリップに基づき、レイチェルの死に対して責任があるとみなす人々を対象にした大量殺を開始。コインフリップにより自身を誘拐したワーツは死に、レイチェルを誘拐したラミレスは助かる。そしてマローニは殺さなかったものの、代わりに車の中でドライバーを撃ち殺す事で、結局は彼も殺す。ジョーカーは人質にしたテレビスタッフに中継を強要してゴッサムの市民に向けてゲームの参加を呼びかけ、参加したくなければ街を出ていくよう主張する。警察は橋に爆弾を仕掛けたというジョーカーの言葉からフェリーを用意する。ジョーカーは2隻のフェリーに爆薬を積み込む。一般人が乗る船と囚人が乗る船にジョーカーから連絡が入り、12時に両方のフェリーを吹き飛ばすが、お互いにスイッチを持たせたため、どちらかを爆破させれば助かると言う。バットマンは都市をスパイするソナー装置でジョーカーを見つける。一般人と囚人は互いを殺すことを拒否する。そして、戦いの後にバットマンはジョーカーを逮捕する。ジョーカーは警察に捕らえる前に、ゴッサムを絶望させる切り札はハービーであることを明かす。

ゴードンとバットマンはレイチェルが死んだ建物に到着する。そこで、ハービーはコインフリップによって自身、ゴードン、バットマンの運命を試そうとする。彼はバットマンを撃ち、ゴードンの息子を殺そうとするも、コインを弾く隙を突いたバットマンがハービーに組み付き、ゴードンの息子は助かるも、バットマンと高所から共に落下したハービーは死亡する。バットマンはハービーの行動が公になればゴッサムの市民が希望を失うため、その罪を被る。それによって、警察はバットマンの本格的な捜査を開始し、ゴードンはバットマンとの決別の為、バット・シグナルを破壊する。

ゴードンはバットマンが何も悪い事をしていないと主張する息子に、「彼はヒーローじゃない。沈黙の守護者。我々の監視者。闇の騎士(ダークナイト)だ」と告げて映画は幕を閉じる。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ソフト版 テレビ朝日
ブルース・ウェイン / バットマン クリスチャン・ベール 檀臣幸 藤真秀
ジョーカー ヒース・レジャー 藤原啓治 大塚芳忠
ハービー・デント / トゥーフェイス アーロン・エッカート 木下浩之 井上和彦
レイチェル・ドーズ マギー・ギレンホール 本田貴子 岡寛恵
アルフレッド・ペニーワース マイケル・ケイン 小川真司 糸博
ジェームズ・"ジム"・ゴードン ゲイリー・オールドマン 納谷六朗 立木文彦
ルーシャス・フォックス モーガン・フリーマン 池田勝 坂口芳貞
バーバラ・ゴードン メリンダ・マックグロウ 鵜飼るみ子 山像かおり
ジェームズ・"ジミー"・ゴードン・Jr ネイサン・ギャンブル 武田華 小林由美子
アンソニー・ガルシア市長 ネスター・カーボネル 上田燿司 江原正士
ギリアン・B・ローブ市警本部長 コリン・マクファーレン 石住昭彦 楠見尚己
サリロ判事 ニディア・ロドリゲス・テラチナ 新田万紀子 桜井ひとみ
アンナ・ラミレス刑事 モニーク・ガブリエラ・カーネン 朴璐美 東條加那子
ジェラルド・スティーブンズ刑事 キース・ザラバッカ 大林隆介 金尾哲夫
マイケル・ワーツ刑事 ロン・ディーン 遠藤純一 楠見尚己
コールマン・リース ジョシュア・ハート 遊佐浩二 村治学
マイク・エンゲル アンソニー・マイケル・ホール 樫井笙人 内田直哉
サルバトーレ・マローニ エリック・ロバーツ 山野井仁 佐々木勝彦
ラウ チン・ハン 伊丸岡篤 横堀悦夫
ギャンボル マイケル・ジェイ・ホワイト 楠大典 大友龍三郎
チェチェン人ボス リッチー・コスター 土田大 斎藤志郎
ジョナサン・クレイン / スケアクロウ キリアン・マーフィー 遊佐浩二 諏訪部順一
銀行支店長 ウィリアム・フィクナー 伊丸岡篤 横島亘
ドーピー マイケル・ストヤノフ 遠藤大輔 青山穣
グランピー ダニー・ゴールドリング 石住昭彦 志村知幸
ハッピー ウィリアム・スマイリー 間宮康弘 加藤拓二
チャクルズ マシュー・オニール 原田晃 竹田雅則
ロッシ マイケル・ヴィオー 樫井笙人 間宮康弘
ナターシャ ベアトリス・ローゼン 不明 たなか久美
フリール裁判長 パトリック・クリア 石住昭彦 長克巳

テクノロジー[編集]

本作より初登場した兵器を挙げる。

バットスーツ
チタンを編み込んだケブラーのトライウィーブとケブラー版で出来た新しいバットスーツ。
防刃・防弾効果は以前に比べ低下しているが、軽量化により敏捷性が高まった。頭部のマスクは首が回せるようになり、携帯電話から発信される信号を高周波ジェネレーター経由でリアルタイムで映像に変換して映すレンズが内蔵されている。
前腕部防具の籠手に備えられた刃は、三枚刃から六枚刃に増設され、手裏剣のように回転させながら射出できる。
スティッキーボム・ガン
粘着する小型爆弾スティッキーボムを撃ち出す。スティッキーボム・ガンはベルトの背部に分割して装着出来る。
ニューマチックマングラー
腕力補助強化装置。銃の銃身を片手で捻じ曲げた。
バットポッド
タンブラーの車輪部分をベースに分離変形した脱出用ユニット。エンジンをタイヤに内蔵しており、車軸ごと回転して真横へスライドするなど通常のオートバイには不可能な機動を行える。
前輪部分には80mmブラスト砲、マシンガン、ワイヤー付きロケットアンカーなどを備える。

作品解説[編集]

監督のノーランはマイケル・マン監督作『ヒート』を参考にしたと語っている。また、『ヒート』で重要な役を演じたウィリアム・フィクナーがカメオ出演している。ウィリアム・フィクナーは当初ハービー・デント / トゥーフェイスを演じることになっていた。

特殊効果(フィジカル・エフェクト)を指揮したのはクリス・コーボールド。80年代から007シリーズでも知られる特技監督。

IMAX[編集]

152分の映画のうち、約30分のシーンがIMAXカメラで撮影された。これは劇映画では初の使用となる[3]。そのためIMAXシアターで公開されたバージョンではシーンによって画面アスペクト比が異なり、通常のシネマスコープサイズに加えて正方形に近いIMAXフォーマットの映像が混在する形で上映された。

Blu-ray Discソフトではシネマスコープサイズと16:9の映像が混在して収録されており、IMAX撮影のシーンは16:9に切り替わる[4]DVD版では通常の劇場公開版と同様となり、全編シネマスコープサイズに統一されている(IMAX撮影シーンは上下がマスクされ、アスペクト比は変化しない)。

興行収入[編集]

アメリカでは2008年7月18日に4366館で公開された。『スパイダーマン3』のオープニング興収を越え、1億5830万ドル(約169億円)で初登場1位を記録[5]。また、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』の公開16日目で3億ドル突破の記録を公開10日間で破り[6]、『シュレック2』の公開43日で4億ドル突破を18日目で更新した[7]

その後も興行収入ランキング上位を保ち、6週間で5億ドルを突破[8]。最終的に、全米での興行収入は5億3334万ドルを記録し、公開時は『タイタニック』に次ぐ、全米興行収入歴代2位を記録した[1]

日本では2008年8月2日、3日に先行上映を行った後、8月9日から本公開された。週末動員数ランキングでは『崖の上のポニョ』に次いで初登場2位[9]。最終的な興行収入は16億円を記録した[10]

世界興行収入は最終的に10億192万ドルとなり、公開当時は『タイタニック』、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』に次ぐ歴代4位を記録した。

評価[編集]

本作は批評家からも絶賛されている。映画批評サイトのRotten Tomatoesは、324件のレビューに基づいて94%の高い支持率を示し、評価の平均点は10点満点中8.6点である。また批評家の総意を「ダークで複雑で忘れられないダークナイトは、エンターテインメントのコミック映画というだけでなく、スリリングなクライムサーガ(犯罪物語)として成功した」としている[11]

Metacriticには39件のレビューがあり、加重平均値は82/100となっている[12]

著名な批評家のロジャー・イーバートは、4つ星満点中最高の4つ星をつけた[13]。イーバートは「"バットマン"はもはや漫画本ではない。クリストファー・ノーランの"ダーク・ナイト"は、その起源を越えて飛躍し、夢中になれる悲惨な内容の映画です」としている。またジョーカーについて「"ダークナイト"は、善悪の単純な物語ではありません。ジョーカーは悪役以上の人物で、彼は敵対者の道徳的ジレンマを引き起こす魔法のように設計されたメフィストフェレス[注 1]です」としている。また、ヒース・レジャーについて「映画のキーパーソンは、亡きヒース・レジャー演じるジョーカーです。彼はピーター・フィンチ以来の最初の死後のオスカーの勝者になるだろうか? 」と語っている[13][注 2]

受賞[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
注釈
  1. ^ ドイツの古典文学作品に登場する悪魔。
  2. ^ ヒース・レジャーは第81回アカデミー賞助演男優賞を受賞、死後の受賞はピーター・フィンチ以来2人目であり、助演男優賞としては初の受賞となった。
出典

関連項目[編集]

外部リンク[編集]