キリアン・マーフィー
キリアン・マーフィー Cillian Murphy | |
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![]() ベルリン国際映画祭にて(2017年) | |
生年月日 | 1976年5月25日(47歳) |
出生地 |
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身長 | 175cm |
活動期間 | 1996年 - |
配偶者 | イボンヌ・マクギネス(2004年 - ) |
主な作品 | |
映画 『28日後...』 『真珠の耳飾りの少女』 『ダークナイト トリロジー』 『パニック・フライト』 『プルートで朝食を』 『麦の穂をゆらす風』 『サンシャイン 2057』 『インセプション』 『TIME/タイム』 『トランセンデンス』 『ダンケルク』 『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』 『Oppenheimer』 テレビドラマ 『ピーキー・ブラインダーズ』 |
キリアン・マーフィー(Cillian Murphy, 1976年5月25日 - )は、アイルランド出身の俳優。キリアン・マーフィと表記されることもある。独特な青い瞳の持ち主として知られている[1][2]。2001年からロンドン在住[3]。
生い立ち[編集]
文部省で働く父(ブレンダン・マーフィー)とフランス語教師の母[4]の間にコーク郊外で生まれる。叔父、叔母、祖父も教師。4人兄弟の長男で弟が1人、妹が2人いる[5]。音楽好きの家系[6]で、自身も10歳から演奏や作曲をするようになった。弟と共にいくつかのバンドでギターを弾いていたが、中でもフランク・ザッパに影響され、弟と結成したロックバンドThe Sons of Mr.Green genesはマーフィーがボーカルとギターを務め、レコード会社から契約のオファーが来るほどだった。しかし、当時弟がまだ中等教育にあったことや、契約条件が悪かったことなどから両親が反対、契約に至らなかった[6][7][8]。1996年にユニバーシティ・カレッジ・コークで法律を学び始めるが、演劇活動が忙しくなり1年で中退。
英語、アイルランド語、ゲール語を操る。フランス語に関しては、2014年のインタヴューで「嘗ては話す事が出来たが、今は違う。(中略)ヴォキャブラリーを忘れてしまった」と語っている[9]。
15年ほどベジタリアンであり続けてきたが、『ピーキー・ブラインダーズ』の役作りのため、肉食を再開した[10]。本人曰く、ベジタリアンを志向したのは道徳的観念からではなく、狂牛病に感染するのが怖かったからとのこと[11]。
キャリア[編集]
1996年からコークを拠点とした劇団に参加。エンダ・ウォルシュ作の舞台『Disco Pigs』で主役を演じ注目を集める。当初コークのみで3週間の上演予定だったが、好評を得て最終的にヨーロッパ、カナダ、オーストラリアを股にかけた2年間に及ぶロングランとなった。このツアーのために大学を中退、バンド活動からも離れていった[12]。(しかし大学については「入学してすぐに法律は肌に合わないと感じ、勉強する意欲を失っていた[12]」と語っている)。 1990年代後半~2000年代前半にかけてアイルランドやイギリスの映画、舞台などで活動。
2001年に映画『DiscoPigs』で舞台版と同じ役で出演。これを観たダニー・ボイル監督が『28日後…』の主演にマーフィーを抜擢。この作品がヒットし、国際的に名前が知られるようになった。また、この演技によりエンパイア賞やMTVムービー・アワードにノミネートされた。2003年公開の『コールド マウンテン』でハリウッド作品に初出演。
2005年には主演のスリラー映画『パニック・フライト』、ジョナサン・クレイン / スケアクロウ役で出演した『バットマン ビギンズ』がヒット。また、ニール・ジョーダン監督の『プルートで朝食を』では、性同一性障害を抱えた青年をコミカルに演じゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされた。翌年公開の『麦の穂をゆらす風』(ケン・ローチ監督、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作)では、アイルランド独立戦争・アイルランド内戦によって運命を狂わされてゆく青年を演じ、高い評価を得た。
2013年からBBCのドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』にて主人公のトーマス・シェルビーを演じており、同作は2022年現在シーズン6 まで制作されている。
エピソード[編集]
- 『バットマン ビギンズ』では、当初バットマン役のオーディションを受けていた。落選したもののクリストファー・ノーラン監督に気に入られ、スケアクロウ役に抜擢された。ノーランは「彼はとても魅力的で稀有な眼を持っていて、僕はジョナサン・クレインが眼鏡を外しクローズアップするシーンを入れようと必死だった」と語っている[14]。
- 演技イメージが定着されるタイプキャストを望んでおらず、こと2005年には悪役で出演した『バットマン ビギンズ』『パニックフライト』の2作品が大ヒットしたことなどから、今後悪役を演じるのは遠慮したいと語っている[15]。
私生活[編集]
2004年の夏にフランス・プロヴァンスにて、1996年にバンド活動をしていた頃に知り合った[17]アーティストのイボンヌ・マクギネス(Yvonne McGuinness)と結婚。2005年に長男のMalachy、2007年に次男のCarrickが誕生[18]。
俳優になった今でも、音楽は未だに人生の一部として欠かせない存在で、現在も趣味で曲作りをしたり、友人らと共に演奏したりしている[19]。俳優業とミュージシャンの仕事を両立する著名人もいるが、マーフィーは新たにバンド活動を始める予定はないとしている[8]。
以前はカトリック教徒だったが、現在は無神論者であると言われている[20]。
交友関係[編集]
同じアイルランド出身のコリン・ファレル[21]やリーアム・ニーソン[22]と親しく、マーフィーが有名になる以前から親交がある[19]。
出演作品[編集]
映画[編集]
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 | 吹き替え |
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1997 | Quando | パット | 短編 | |
1998 | 女性大使の闘い The Tale of Sweety Barrett |
パット・ザ・バーマン | テレビ映画 | |
1999 | Sunburn | ダヴィン | ||
At Death's Door | グリム・リーパー・ジュニア | 短編 | ||
ザ・トレンチ(塹壕) The Trench |
ラグ・ロックウッド | |||
2001 | オン・エッジ 19歳のカルテ On the Edge |
ジョナサン・ブリーチ | 日本劇場未公開 | 竹若拓磨[23] |
How Harry Became a Tree | ガス | |||
Disco Pigs | ダーレン / ピッグ | |||
2002 | 28日後... 28 Days Later... |
ジム | 三木眞一郎 | |
2003 | Zonad | ガイ・ヘンドリクソン | クレジットなし | (吹き替え版なし) |
ダブリン上等! Intermission |
ジョン | |||
真珠の耳飾りの少女 Girl with a Pearl Earring |
ピーター | 中國卓郎 | ||
コールド マウンテン Cold Mountain |
バードルフ | |||
2005 | バットマン ビギンズ Batman Begins |
ジョナサン・クレイン / スケアクロウ | 遊佐浩二(劇場公開版) 関俊彦(日本テレビ版) 内田夕夜(フジテレビ版) | |
パニック・フライト Red Eye |
ジャクソン・リップナー | 日本劇場未公開 | 遊佐浩二 | |
プルートで朝食を Breakfast on Pluto |
パトリック・“キトゥン”・ブレイデン | 内田夕夜 | ||
2006 | 麦の穂をゆらす風 The Wind That Shakes the Barley |
デミアン・オドノヴァン | ||
2007 | サンシャイン 2057 Sunshine |
ロバート・キャパ | 田中実 | |
Watching the Detectives | ネル | |||
2008 | ダークナイト The Dark Knight |
ジョナサン・クレイン / スケアクロウ | 遊佐浩二(ソフト版) 諏訪部順一(テレビ朝日版) | |
ザ・エッジ・オブ・ウォー 戦火の愛 The Edge of Love |
ウィリアム・キリック | 日本劇場未公開 | (吹き替え版なし) | |
Wave Riders | ナレーター | 声の出演 | ||
2009 | Perrier's Bounty | マイケル・マクリー | ||
2010 | サイコ リバース Peacock |
ジョン・スキルパ / エマ | 日本劇場未公開 | (吹き替え版なし) |
Hippie Hippie Shake | リチャード・ネヴィル | |||
インセプション Inception |
ロバート・フィッシャー | 三木眞一郎(劇場公開版) 小山力也(テレビ朝日版) | ||
トロン: レガシー Tron: Legacy |
エドワード・デリンジャー | カメオ出演 | 土田大 | |
2011 | リトリート・アイランド Retreat |
マーティン | 日本劇場未公開 | (吹き替え版なし) |
TIME/タイム In Time |
タイムキーパー・レオン | 内田夕夜[24] | ||
2012 | レッド・ライト Red Lights |
トム・バックリー | 桐本琢也 | |
ブロークン Broken |
マイク・キールナン | 日本劇場未公開 | (吹き替え版なし) | |
ダークナイト ライジング The Dark Knight Rises |
ジョナサン・クレイン | 遊佐浩二[25] | ||
2014 | Aloft | アイヴァン | ||
トランセンデンス Transcendence |
ドナルド・ブキャナン捜査官 | 鈴木正和[26] | ||
2015 | 白鯨との闘い In the Heart of the Sea |
マシュー・ジョイ | 高橋広樹 | |
2016 | ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 Anthropoid |
ヨゼフ・ガプチーク曹長 | 内田夕夜 | |
フリー・ファイヤー Free Fire |
クリス | |||
2017 | サリー・ポッターのパーティー The Party |
トム | 日本劇場未公開 | (吹き替え版なし) |
ダンケルク Dunkirk |
謎の英国兵 | 内田夕夜 | ||
2018 | The Delinquent Season | ジム | ||
2019 | ANNA/アナ Anna |
レナード・ミラー | 津田健次郎 | |
2020 | クワイエット・プレイス 破られた沈黙 A Quiet Place Part II |
エメット | 内田夕夜 | |
2023 | Kensuke's Kingdom | Dad | 声の出演 | |
オッペンハイマー(原題) Oppenheimer |
J・ロバート・オッペンハイマー | |||
TBA | Small Things Like These | ビル・ファーロング | 兼製作 ポストプロダクション |
テレビ[編集]
放映年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 | 吹き替え |
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2001 | The Way We Live Now | Paul Montague | 計4話出演 | N/A |
2013-2022 | ピーキー・ブラインダーズ Peaky Blinders |
トーマス・シェルビー | 主演、計36話出演 兼製作総指揮 |
内田夕夜 |
2015 | Atlantic: The Wildest Ocean on Earth | ナレーター | 計3話出演 | N/A |
舞台[編集]
- 『Disco Pigs』 (1996年-1999年)
- 『空騒ぎ』 Much Ado About Nothing (1998年)
- 『The Country Boy』 (1999年)
- 『Juno and the Paycock』 (1999年)
- 『The Shape of Things』 (2002年)
- 『かもめ』 The Seagull (2003年)
- 『The Playboy of the Western World』 (2004年)
- 『Love Song』 (2006年-2007年)
- 『From Galway to Broadway and back again.』 (2010年)
- 『Misterman』 (2011)
日本語吹き替え[編集]
『プルートで朝食を』以降、内田夕夜が大半の作品を担当している。
脚注[編集]
- ^ Denby, David. "Taking Sides", The New Yorker, 19 March 2007. Accessed 18 July 2007.
- ^ Dudek, Duane. "Actor sets sight on role variety", Milwaukee Journal Sentinel, 11 September 2005. Accessed 24 September 2007.
- ^ Cillian Murphy - Filmography, IMDb.com. Accessed 22 May 2008.
- ^ Walsh, John. "Murphy's lore: Meet the action hero who looks on the verge of tears", The Independent, 31 March 2007. Accessed 18 July 2007.
- ^ a b c Wolf, Matt. "Acting Up", Strut, March 2004. Accessed 18 July 2007.
- ^ a b O'Donoghue, Donal. "Western Hero", RTÉ Guide, 6 February 2004.
- ^ Kaufman, Anthony. "Blue Streak", Time Out New York, 10 November 2005. Accessed 19 July 2007.
- ^ a b O'Hagan, Sean. "'I just want to challenge myself with each role'", The Observer, 11 June 2006. Accessed 8 August 2007.
- ^ “AROUND THE WORLD WITH CILLIAN MURPHY”. 2017年10月25日閲覧。
- ^ “CILLIAN MURPHY DITCHED VEGETARIAN DIET TO BULK UP”. 2017年7月4日閲覧。
- ^ “CILLIAN MURPHY DITCHED VEGETARIAN DIET TO BULK UP”. 2017年7月4日閲覧。
- ^ a b Jackson, Joe. "From Cork to Gotham", Sunday Independent Life Magazine, 8 February 2004.
- ^ Brady, Tara. "Here Comes the Sun", Hot Press, 19 April 2007. Accessed 18 July 2007.
- ^ Itzkoff, Dave. "Cillian's Irish Dread", Spin, June 2005.
- ^ Naughton, John. "Actor of the Year – Cillian Murphy", GQ UK, October 2006.
- ^ O'Sullivan, Michael. "For Cillian Murphy, A Transformative Year", The Washington Post, 23 December 2005. Accessed 18 October 2007.
- ^ McLean, Craig. "A Close Shave", Telegraph Magazine, 24 December 2005.
- ^ Maher, Kevin. "Cillian Murphy:"I'm not ambitious", The Times, 19 March 2010. Accessed 19 March 2010.
- ^ a b Cashin, Declan. "Reluctant Hero", Irish Independent, 6 April 2007. Accessed 15 May 2012.
- ^ Fulton, Rick. "Danny's New Golden Boy", The Daily Record, 30 March 2007. Accessed 18 July 2007.
- ^ Didcock, Barry. "The Man Behind the Mask: The Scarecrow Speaks", The Sunday Herald, 12 June 2005. Archived on FindArticles.com, accessed 21 July 2007.
- ^ Halper, Jenny. "Interview: Cillian Murphy on Breakfast on Pluto", Cinema Confidential, 15 November 2005. Accessed 20 July 2007.
- ^ “オン・エッジ 19歳のカルテ”. スター・チャンネル. 2021年3月8日閲覧。
- ^ “TIME/タイム”. ふきカエル大作戦!!. 2021年3月8日閲覧。
- ^ “ダークナイト ライジング”. ふきカエル大作戦!!. 2021年3月8日閲覧。
- ^ “トランセンデンス”. ふきカエル大作戦!! (2014年6月3日). 2021年3月8日閲覧。
外部リンク[編集]
- キリアン・マーフィ - allcinema
- キリアン・マーフィー - KINENOTE
- Cillian Murphy - IMDb(英語)