ジーン・ハックマン

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ジーン・ハックマン
Gene Hackman
Gene Hackman
1972年撮影
本名 Eugene Allen Hackman
生年月日 (1930-01-30) 1930年1月30日(94歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 サン・バーナディノ
身長 188cm
職業 俳優小説家
ジャンル 映画
活動期間 1956年 - 2004年
2016年 - 2017年
配偶者 Fay Maltese (1956 – 1986)
Betsy Arakawa (1991 - )
主な作品
俺たちに明日はない』(1967年)
フレンチ・コネクション』シリーズ
ポセイドン・アドベンチャー』(1972年)
スケアクロウ』(1973年)
カンバセーション…盗聴…』(1974年)
スーパーマン』シリーズ
ミシシッピー・バーニング』(1988年)
許されざる者』(1992年)
エネミー・オブ・アメリカ』(1998年)
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001年)
 
受賞
アカデミー賞
主演男優賞
1971年フレンチ・コネクション
助演男優賞
1992年許されざる者
ベルリン国際映画祭
銀熊賞(男優賞)
1989年ミシシッピー・バーニング
全米映画批評家協会賞
主演男優賞
2001年『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
助演男優賞
1967年『俺たちに明日はない
1992年『許されざる者
ニューヨーク映画批評家協会賞
主演男優賞
1971年フレンチ・コネクション
助演男優賞
1992年許されざる者
ロサンゼルス映画批評家協会賞
助演男優賞
1992年許されざる者
AFI賞
助演男優賞
2001年ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100(ヒーロー部門第44位)
2003年『フレンチ・コネクション
英国アカデミー賞
主演男優賞
1972年『フレンチ・コネクション』『ポセイドン・アドベンチャー
助演男優賞
1992年『許されざる者
ゴールデングローブ賞
主演男優賞(ドラマ部門)
1971年『フレンチ・コネクション
男優賞(ミュージカル・コメディ部門)
2001年ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
助演男優賞
1992年『許されざる者
セシル・B・デミル賞
2002年
全米映画俳優組合賞
キャスト賞
1996年バードケージ
その他の賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞
主演男優賞
1971年『フレンチ・コネクション』
1974年カンバセーション…盗聴…
1988年『ミシシッピー・バーニング』
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ジーン・ハックマンGene Hackman, 1930年1月30日 - )は、アメリカ合衆国映画俳優。1971年に主演した『フレンチ・コネクション』で知られる。

来歴[編集]

カリフォルニア州サン・バーナディノ生まれ。本名はユージーン・アレン・ハックマン (Eugene Allen Hackman)。イングランド系の血を引く[1]。16歳のとき、年齢を詐称して海兵隊に入隊。中国駐屯地ラジオ放送DJを務めた[2]ことから演技に興味を持つようになる。除隊後様々な職を経験。その後イリノイ大学でジャーナリズムなどを学んだ。

30歳を過ぎてから俳優を志すようになり、パサディナ・プレイハウス[2]リー・ストラスバーグ主催のアクターズ・スタジオダスティン・ホフマンとともに演技を学んだ[2]のち、ニューヨークへ渡る。ホフマンが多数の映画に出演しスターダムへ上り詰める一方、ハックマンは舞台テレビドラマで端役しか与えられず、鳴かず飛ばずの状態が続いた。

ブロードウェイでの公演を観たロバート・ロッセン監督に見出され『リリス』で映画デビュー。1967年アーサー・ペン監督の『俺たちに明日はない』に主人公クライドの兄バック役で出演。映画出演3作目で第2回全米批評家協会賞の助演男優賞を受賞。第40回アカデミー助演男優賞にもノミネートされ、37歳にしてようやく脚光を浴びた。

1970年に『父の肖像』で再度アカデミー助演男優賞にノミネートされると、翌1971年に出演したウィリアム・フリードキン監督の『フレンチ・コネクション』での演技が認められ、第44回アカデミー主演男優賞を獲得。一躍世界中の知るところとなった。同作品で演じた粗暴なコワモテ刑事ドイルの愛称ポパイは、現在に至るまで彼の愛称として親しまれている。

その後も『ポセイドン・アドベンチャー』、『スケアクロウ』、『カンバセーション…盗聴…』、『ミシシッピー・バーニング』といった大作・名作に立て続けに出演。主演から脇役まで、また悪役から三枚目まで幅広い役柄をこなす俳優としてアメリカを代表するトップスターに上り詰めた。中でも『スーパーマン』で演じた悪役・レックス・ルーサーは、2006年に公開されたリメイク版の『スーパーマン リターンズ』でケヴィン・スペイシーがハックマンと見まがうほど役に入り込んで演じたことで、話題が再燃した[要出典]

1990年には心臓発作を起こして引退も考えたが、その後も映画に出演。病を克服して自分でも忘れるほど多くの映画に出演したことでタフガイの名をほしいままにした(しかし2004年のインタビューで俳優業の引退を公言[3])。1992年に出演したクリント・イーストウッド監督の映画『許されざる者』で第65回アカデミー助演男優賞を獲得。2002年にはゴールデン・グローブ賞の功労賞にあたるセシル・B・デミル賞を受賞した。

2008年、出版本にサイン中

また、考古学者のDaniel Lenihanと共にこれまで3冊の小説を出版している。また、2010年には単独で小説Payback at Morning Peakを出版した。

『ポセイドン・アドベンチャー』日本公開時に来日しており、淀川長治と対談した(淀川著『映画と共に歩んだわが半世紀』)。

2012年1月13日、自転車に乗っていたところをトラックにはねられる事故に遭うが軽い打撲で済むなど命に別状はなかった[4]

2019年5月18日、国際天文学連合は彼を記念して小惑星番号55397の小惑星に対して「ハックマン (Hackman)」と命名した[5]

私生活[編集]

プライベートでは1986年に30年連れ添った最初の妻と離婚。1991年に日系人女性と再婚している。子供は3人。

主な出演作品[編集]

映画[編集]

公開年 邦題
原題
役名 備考 吹き替え
1964年 リリス
Lilith
ノーマン (吹き替え版なし)
1966年 ハワイ
Hawaii
ジョン・ウィップル博士 岸野一彦TBS版)
1967年 体当り決死隊
First to Fight
ツイード
俺たちに明日はない
Bonnie and Clyde
バック・バロウ アカデミー助演男優賞 ノミネート 大平透NETテレビ版)
福田信昭(WOWOW追加録音版)
1968年 汚れた七人
The Split
ウォルター・ブリル
戦慄の第四帝国
Shadow on the Land
トーマス・デヴィス テレビ映画
1969年 暴動
Riot
レッド
さすらいの大空
The Gypsy Moths
ジョー
白銀のレーサー
Downhill Racer
ユジーン 木村幌
宇宙からの脱出
Marooned
バズ・ロイド 穂積隆信(NETテレビ版、テレビ朝日版)
光枝明彦東京12ch版)
1970年 父の肖像
I Never Sang for My Father
ジーン・ギャリソン アカデミー助演男優賞 ノミネート
1971年 さらば荒野
The Hunting Party
ブランド
フレンチ・コネクション
The French Connection
ジミー・ドイル英語版(ポパイ) アカデミー主演男優賞 受賞
英国アカデミー賞 主演男優賞 受賞
ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門) 受賞
小池朝雄フジテレビ版)
内海賢二LD版)
1972年 ブラック・エース
Prime Cut
メリー・アン
ポセイドン・アドベンチャー
The Poseidon Adventure
フランク・スコット牧師 小林昭二(TBS版)
小林勝彦(テレビ朝日版)
磯部勉(テレビ朝日版、吹替補完版)
内海賢二(LD版)
石塚運昇BS-TBS版)
Cisco Pike レオ・ホーランド N/A
1973年 スケアクロウ
Scarecrow
マックス・ミラン 小池朝雄(NETテレビ版)
大塚明夫テレビ東京版)
1974年 カンバセーション…盗聴…
The Conversation
ハリー・コール 若山弦蔵(日本テレビ版)
石田太郎(テレビ朝日版)
西部に来た花嫁
Zandy's Bride
ザンディ・アレン 森川公也(TBS版)
ヤング・フランケンシュタイン
Young Frankenstein
盲目の男 木村幌(テレビ朝日版)
千葉順二(LD版)
1975年 フレンチ・コネクション2
French Connection II
ジミー・ドイル (ポパイ) 小池朝雄(フジテレビ版)
ナイトムーブス
Night Moves
ハリー・モーズビー 森川公也(TBS版)
弾丸を噛め
Bite the Bullet
サム・クレイトン 小池朝雄(テレビ朝日版)
ラッキー・レディ
Lucky Lady
キビー 小池朝雄(フジテレビ版)
穂積隆信(東京12ch版)
1977年 ドミノ・ターゲット
The Domino Principle
ロイ・タッカー 石田太郎(テレビ朝日版)
遠すぎた橋
A Bridge Too Far
スタニスラウ・ソサボフスキー准将 上田敏也(日本テレビ版)
三木敏彦(ソフト版)
外人部隊フォスター少佐の栄光
March or Die
フォスター少佐 (吹き替え版なし)
1978年 スーパーマン
Superman
レックス・ルーサー 小池朝雄(テレビ朝日旧版)
菅生隆之(吹替補完版)
銀河万丈(テレビ朝日新版)
TBA(JAL機内版)
1981年 スーパーマンII 冒険篇
Superman II
レックス・ルーサー 小池朝雄(テレビ朝日旧版)
菅生隆之(吹替補完版)
藤本譲(TBS版)
銀河万丈(テレビ朝日新版)
恋のドラッグストア・ナイト
All Night Long
ジョージ
レッズ
Reds
ピート ふくまつ進紗U-NEXT版)
錆びた黄金
Eureka
ジャック (吹き替え版なし)
1983年 アンダー・ファイア
Under Fire
アレックス・グレイザー 石田太郎(テレビ朝日版)
地獄の7人
Uncommon Valor
ジェイソン・ローズ大佐 富田耕生(日本テレビ版)
1984年 ウィンター・ローズ
Misunderstood
ネッド (吹き替え版なし)
1985年 燃えてふたたび
Twice in a Lifetime
ハリー・マッケンジー
ターゲット
Target
ウォルター・ロイド / ダンカン・ポッター 小林修(フジテレビ版)
1986年 キングの報酬
Power
ウィルフレッド・バックリー 仁内建之(フジテレビ版)
勝利への旅立ち
Hoosiers
ノーマン・デイル 池田勝(テレビ朝日版)
1987年 スーパーマン4 最強の敵
Superman IV: The Quest For Peace
レックス・ルーサー 藤本譲(テレビ朝日版)
追いつめられて
No Way Out
デヴィッド・ブライス 筈見純(ソフト版)
小林修(テレビ東京版)
石田太郎(テレビ東京版)
1988年 バット★21
Bat 21
アイシール・ハンブルトン中佐 黒沢良(VHS版、TBS版)
私の中のもうひとりの私
Another Woman
ラリー・ルイス (吹き替え版なし)
傷だらけの青春
Split Decisions
ダン
ブルーウォーターで乾杯
Full Moon in Blue Water
フロイド
ミシシッピー・バーニング
Mississippi Burning
ルパート・アンダーソン アカデミー主演男優賞 ノミネート
ベルリン国際映画祭 銀熊賞 (男優賞) 受賞
内海賢二(ソフト版)
石田太郎(テレビ朝日版)
1989年 ザ・パッケージ/暴かれた陰謀
The Package
ジョニー・ギャラガー 石田太郎(TBS版)
1990年 キャノンズ
Loose Cannons
マック・スターン刑事 石田太郎
ハリウッドにくちづけ
Postcards from the Edge
ローウェル・コルチェク 石田太郎(VHS版)
カナディアン・エクスプレス
Narrow Margin
ロバート・コールフィールド 石田太郎(ソフト版、テレビ朝日版)
小林修(フジテレビ版)
1991年 訴訟
Class Action
ジェデダイア・タッカー・ウォード 石田太郎
ロシアン・ルーレット
Company Business
サム・ボイド (吹き替え版なし)
1992年 許されざる者
Unforgiven
リトル・ビル・ダゲット アカデミー助演男優賞 受賞
英国アカデミー賞 助演男優賞 受賞
ゴールデングローブ賞 助演男優賞 受賞
石田太郎(ソフト版、テレビ朝日版)
ザ・ファーム 法律事務所
The Firm
エイヴァリー・トラー 池田勝(ソフト版、フジテレビ版)
1993年 ジェロニモ
Geronimo: An American Legend
ジョージ・クルーク 石田太郎
1994年 ワイアット・アープ
Wyatt Earp
ニコラス・アープ 大宮悌二(ソフト版)
石田太郎(テレビ東京版)
1995年 クイック&デッド
The Quick and the Dead
ジョン・ヘロッド 石田太郎(ソフト版、テレビ朝日版)
クリムゾン・タイド
Crimson Tide
フランク・ラムゼイ 石田太郎(ソフト版、テレビ朝日版)
穂積隆信(フジテレビ版)
ゲット・ショーティ
Get Shorty
ハリー・ジム 坂口芳貞
1996年 バードケージ
The Birdcage
ケヴィン・キーリー上院議員 石森達幸(ソフト版)
石田太郎(テレビ朝日版)
ボディ・バンク
Extreme Measures
ローレンス・マイリック医師 石田太郎
チェンバー/凍った絆
The Chamber
サム・ケイホール
1997年 目撃
Absolute Power
アレン・リッチモンド大統領 石田太郎(ソフト版、テレビ朝日版)
1998年 トワイライト 葬られた過去
Twilight
ジャック・エイムズ 池田勝
アンツ
Antz
マンディブル将軍 アニメ映画、声の出演 有本欽隆
エネミー・オブ・アメリカ
Enemy of the State
ブリル / エドワード・ライル 勝部演之(ソフト版)
石田太郎(テレビ東京版)
2000年 アンダー・サスピション
Under Suspicion
ハリー・ハースト 石田太郎(ソフト版、テレビ東京版)
リプレイスメント
The Replacements
ジミー・マクギンティー 池田勝
2001年 ザ・メキシカン
The Mexican
アーノルド・マルゴリース クレジットなし 佐々木勝彦(ソフト版)
小林修(テレビ朝日版)
TBA(機内上映版)
ハートブレイカー
Heartbreaker
ウィリアム・B・テンシー 中村正
ザ・プロフェッショナル
Heist
ジョー・ムーア 石田太郎
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
The Royal Tenenbaums
ロイヤル・テネンバウム ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門) 受賞
エネミー・ライン
Behind Enemy Lines
レスリー・マクマホン・レイガート司令官 石田太郎(ソフト版、フジテレビ版)
2003年 ニューオーリンズ・トライアル
Runaway Jury
ランキン・フィッチ 石田太郎(ソフト版)
麦人(機内上映版)
2004年 ムースポート
Welcome to Mooseport
モンロー・コール 池田勝(ソフト版、機内上映版)

広告・CM[編集]

日本語吹き替え[編集]

主に担当していたのは、以下の二人である。

石田太郎
カンバセーション…盗聴…』(テレビ朝日版)で初担当。『スーパーマンII』(テレビ朝日旧版)で前作で小池朝雄(後述)が演じていたレックス・ルーサー役を引き継いでからは大半の作品で担当するようになり、ハックマンのフィックス(専属)として定着した。
小池朝雄
フレンチ・コネクション』(フジテレビ版)で初担当。ハックマンの当初のフィックスとして知られた。先述の石田太郎は劇団の後輩にあたり、小池のものまねを得意としていた。

このほかにも、小林修内海賢二穂積隆信池田勝なども複数回、声を当てている。

受賞歴[編集]

参照[編集]

  1. ^ Profiles - Gene Hackman - hellomagazine.com
  2. ^ a b c Stated on Inside the Actors Studio, 2001
  3. ^ Blair, Iain (2008年6月5日). “Just a Minute With: Gene Hackman on his retirement”. Reuters. 2008年7月19日閲覧。
  4. ^ ジーン・ハックマンがトラックにはねられ - 芸能ニュース : nikkansports.com
  5. ^ NEW NAMES OF MINOR PLANETS”. The MINOR PLANET CIRCULARS/MINOR PLANETS AND COMETS. 小惑星センター (2019年5月18日). 2019年5月25日閲覧。

外部リンク[編集]