コンテンツにスキップ

クリス・クリストファーソン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クリス・クリストファーソン
Kris Kristofferson
Kris Kristofferson
1978年
生年月日 (1936-06-22) 1936年6月22日
没年月日 (2024-09-28) 2024年9月28日(88歳没)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
テキサス州ブラウンズビル
死没地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ハワイ州マウイ島
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
職業 歌手、作曲家、俳優
活動期間 1959年 - 2020年
配偶者 フランセス・ベアー (1960年-1969年)
リタ・クーリッジ (1973年-1980年)
リサ・メイヤーズ (1983年-)
主な作品
ビリー・ザ・キッド/21才の生涯
アリスの恋
スター誕生
コンボイ
天国の門
ブレイド』シリーズ
PLANET OF THE APES/猿の惑星
 
受賞
ゴールデングローブ賞
男優賞(ミュージカル・コメディ部門)
1976年スター誕生
その他の賞
テンプレートを表示
Kris Kristofferson. テント音楽祭2017フライブルクドイツ

クリス・クリストファーソン[1]英語: Kris Kristofferson1936年6月22日 - 2024年9月28日)は、アメリカ合衆国テキサス州ブラウンズビル出身のカントリー音楽のシンガーソングライター。映画やTVなどでの俳優としての活躍も知られる。

来歴

[編集]

父は空軍の元将軍[2]。父方の祖父母はスウェーデン出身、母方はスコットランド系アイルランドの血を引く[3]。大学時代は作曲の腕を磨き、カリフォルニアの名門私立ポモナ大学卒業後はローズ奨学生としてオックスフォード大学に留学。卒業後は米国陸軍に入隊してヘリコプターパイロットになり西ドイツに赴任。ベトナム戦争に従軍を志願するも士官学校のウェストポイント陸軍士官学校の教官に任命されて教鞭を執ることになる。しかし、その頃すでに妻子もあったクリストファーソンは幼い頃からのカントリー歌手になる夢を捨てきれず、大尉の階級で陸軍を辞め全てを賭けてナッシュビルに向かう。コロムビア・レコードの清掃夫として働きながら音楽活動を始めたものの母親に勘当され妻には離婚されるなど道のりは険しかった。清掃夫時代にジョニー・キャッシュの妻でシンガーのジューン・カーターにデモテープを渡すも聴いてもらえず、当時同じく勤務していたヘリコプター会社のヘリコプターをジョニー・キャッシュの自宅の庭に着陸させてテープを渡したエピソードは有名。

1960年代後半から数多くのヒット曲を作り出し、1970年代には大御所ウィリー・ネルソンやジョニー・キャッシュらと並び称されるまでになった。アメリカではスタンダードとなっている楽曲も複数生み出した作曲能力に加えて、ストーリー性のある詞も評価されている。彼自身のデビュー・アルバムに収録された「ミー・アンド・ボビー・マギー」は、ジャニス・ジョプリンが『パール』で取り上げて、全米1位のヒットとなっている。

一方、ニューシネマの到来の波に乗って映画界にも進出。1971年の『ラスト・ムービー』を皮切りに、サム・ペキンパー監督に見出されて数多くの作品に出演。なかでも1973年の『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』では、素朴ながらも荒削りな役作りで、特に酒を実際に飲みながら台詞を話すというリアリティを追求した。

1976年の『スター誕生』でゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞した。日本でもヒットした1978年の『コンボイ 』でも主役を務めたが、1980年代以降は作品に恵まれなかった。それでも俳優活動は継続して行い、TVドラマなどで渋味のある役を演じ、大作映画では存在感を示し、悪役や個性的なキャラクターを多く演じている。

1980年代半ば、いずれもカントリー界の重鎮であるジョニー・キャッシュ、ウェイロン・ジェニングスウィリー・ネルソンとともにスーパーバンド「ハイウェイマン (The Highwaymen)」を結成してレコーディングおよびコンサート・ツアーを行ない、1985年『四人の男達 (Highwaymen)』、1990年『Highwaymen 2』、1995年『The Road Goes on Forever』を発表した。アルバム、シングルともにチャート1位を独占するなど人気を博した。

その後もミュージシャンと俳優の二足の草鞋を履き、晩年は記憶障害に悩まされたものの2020年まで現役を続けた[4][5]

私生活では、これまでに3度結婚しており8児の父親である[6]。1960年に高校時代の同級生と結婚して2児をもうけるが1969年に離婚。1973年に再婚した2人目の妻である歌手リタ・クーリッジとの間に1児をもうけるが彼のアルコール使用障害のため1980年に離婚。1983年に再々婚した3人目の妻との間にもうけた5児のうちジェシー[7]は日本人女優の春名愛海(Ami Haruna[8]と2010年に婚約した(※2024年現在この情報の裏付けは見当たらない)。同じく息子のジョディはギャレット・ディラン[9]などのリングネームで活動した元WWE所属のプロレスラーであった。

1974年には、当時の妻であるリタ・クーリッジとともに来日してコンサートツアーを行った。その一環で福島県郡山市にて開催された大規模な音楽イベント「ワンステップフェスティバル」にも出演した[10]

2024年9月28日、ハワイ州マウイ島の自宅で死去。88歳没[11]

個性、特徴

[編集]
  • ヒゲと長髪がトレードマークとして定着している。またヒゲの形を変えたり時には全て剃り落としたりして個性やキャラクターを演じ分けている。
  • 日本では、エイブラハム・リンカーン大統領の肖像に似ていると指摘されたことがある。
  • 政治的な言動が目立ち、1970年代以降は左翼的な発言によってナッシュビルでもバッシングを浴びることがあった。

主な楽曲

[編集]

ディスコグラフィ

[編集]

スタジオ・アルバム

[編集]
  • 『クリストファーソン』 - Kristofferson (1970年、Monument) ※旧邦題『クリストファーソンの魂』
  • 『クリス・アゲイン〜詩と真実の世界』 - The Silver Tongued Devil and I (1971年、Monument)
  • 『クリストファーソンの歌/ボーダー・ロード』 - Border Lord (1972年、Monument)
  • 『山羊座のジーザス』 - Jesus Was a Capricorn (1972年、Monument)
  • 『フル・ムーン』 - Full Moon (1973年、A&M) ※with リタ・クーリッジ
  • 『スプーキー・レイディーズ・サイドショウ』 - Spooky Lady's Sideshow (1974年、Monument)
  • 『ブレイクアウェイ (解放)』 - Breakaway (1974年、Monument) ※with リタ・クーリッジ
  • 『愛と怒り』 - Who's to Bless and Who's to Blame (1975年、Monument)
  • 『シュールリアルなもの』 - Surreal Thing (1976年、Monument)
  • 『スター誕生』 - A Star Is Born (1976年、Columbia) ※映画『スター誕生』サウンドトラック with バーブラ・ストライサンド
  • 『イースター島』 - Easter Island (1978年、Monument)
  • 『ナチュラル・アクト』 - Natural Act (1978年、A&M) ※with リタ・クーリッジ
  • 『男たちの唄』 - Shake Hands with the Devil (1979年、Monument)
  • To the Bone (1981年、Monument)
  • The Winning Hand (1982年、Monument) ※with ドリー・パートンウィリー・ネルソンブレンダ・リー
  • 『ソングライター』 - Music from Songwriter (1984年、Columbia) ※with ウィリー・ネルソン
  • 『リポゼスト』 - Repossessed (1986年、Mercury)
  • Third World Warrior (1990年、Mercury)
  • A Moment of Forever (1995年、Justice)
  • The Austin Sessions (1999年、Atlantic)
  • This Old Road (2006年、New West)
  • Closer to the Bone (2009年、New West)
  • Feeling Mortal (2013年、KK)
  • The Cedar Creek Sessions (2016年、KK)

ライブ・アルバム

[編集]
  • Live at the Philharmonic (1992年、Monument)
  • Broken Freedom Song: Live from San Francisco (2003年、Oh Boy)
  • An Evening with Kris Kristofferson: The Pilgrim: Ch 77 – Union Chapel, London (2014年、Virgin)

コンピレーション・アルバム

[編集]
  • 『ミー・アンド・ボビー・マギー』 - Me and Bobby McGee (1971年、Monument)
  • Songs of Kristofferson (1977年、Monument)
  • 『エッセンシャル・クリス・クリストファーソン』 - The Essential Kris Kristofferson (2004年、Monument)
  • Please Don't Tell Me How the Story Ends : The Publishing Demos (2010年、Light in the Attic)
  • Playlist: The Very Best of Kris Kristofferson (2011年、Columbia)
  • The Complete Monument & Columbia Album Collection (2016年、Legacy Recordings)

ハイウェイマン

[編集]
  • 『四人の男達』 - Highwayman (1985年、Columbia)
  • Highwayman 2 (1990年、Columbia)
  • The Road Goes on Forever (1995年、Liberty)

フィルモグラフィ

[編集]
公開年
放映年
邦題
原題
役名 備考
1971 ラスト・ムービー英語版
The Last Movie
出演・音楽
1972 Cisco Pike シスコ・パイク
1973 ビリー・ザ・キッド/21才の生涯
Pat Garrett & Billy the Kid
ビリー・ザ・キッド
1974 ガルシアの首
Bring Me the Head of Alfredo Garcia
バイカー
アリスの恋
Alice Doesn't Live Here Anymore
デヴィッド
1976 午後の曳航
The Sailor Who Fell from Grace with the Sea
ジム・キャメロン
恐怖の暴力自警団英語版
Vigilante Force
アーロン・アーノルド
スター誕生
A Star Is Born
ジョン・ノーマン・ハワード ゴールデングローブ賞受賞
1977 タッチダウン
Semi-Tough
マーヴィン・ティラー(シェイク)
1978 コンボイ
Convoy
マーティン・ペンウォルド(ラバーダック)
1979 フリーダム・ロード英語版
Freedom Road
アブナー テレビ映画
1980 天国の門
Heaven's Gate
ジェームズ・エイブリル
1981 華麗なる陰謀英語版
Rollover
ハッベル・スミス
1984 フラッシュポイント英語版
Flashpoint
ボビー・ローガン
ソング・ライター英語版
Songwriter
ブラッキー・バック 出演・音楽
1985 トラブル・イン・マインド英語版
Trouble in Mind
ホーク
1986 荒野のアウトロー英語版
The Last Days of Frank and Jesse James
ジェシー・ジェームズ テレビ映画
駅馬車英語版
Stagecoach
リンゴ・キッド テレビ映画
1987 デッド・オア・アライブ英語版
The Tracker
ノーブル・アダムス テレビ映画
アメリカ
Amerika
デヴィン・ミルフォード テレビ・ミニシリーズ
1988 ピーウィ・ハーマンの空飛ぶサーカス英語版
Big Top Pee-wee
メイス・モンタナ
1989 ミレニアム/1000年紀
Millennium
ビル・スミス
1992 キッチン・ウォーズ/彼女の恋は5ツ星英語版
Christmas in Connecticut
ジェファーソン・ジョーンズ テレビ映画
1993 ノー・プレイス・トゥ・ハイド英語版
No Place to Hide
ジョー
パニック・イン・ザ・ビルディング
Trouble Shooters: Trapped Beneath the Earth
スタン テレビ映画
サイボーグ・キラー英語版
Knights
ガブリエル
1996 ワイト島1970/輝かしきロックの残像英語版
Message to Love: The Isle of Wight Festival
- ドキュメンタリー
真実の囁き英語版
Lone Star
チャーリー・ウェイド
ブルー・ロデオ/心に届く歌英語版
Blue Rodeo
オーウェン・ウィスター テレビ映画
1997 沈黙の断崖
Fire Down Below
オーリン
1998 ガールズ・ナイト英語版
Girls' Night
コディ
ブレイド
Blade
ウィスラー
ダンスウィズ・ミー英語版
Dance with Me
ジョン・バーネット
シャンヌのパリ、そしてアメリカ
A Soldier's Daughter Never Cries
ビル・ウィリズ
1999 ネット・フォース英語版
NetForce
スティーヴ・デイ テレビ映画
ペイバック
Payback
ブロンソン
最果ての地英語版
Limbo
ジャック・ヨハンソン
2000 パーフェクト・マーダー英語版
Perfect Murder, Perfect Town: JonBenét and the City of Boulder
テレビ映画
2001 PLANET OF THE APES/猿の惑星
Planet of the Apes
カルービ
チェルシーホテル
Chelsea Walls
バド
2002 D-TOX
D-Tox
ドック
ブレイド2
Blade II
ウィスラー
2003 イージー・ライダー☆レイジング・ブル英語版
Easy Riders, Raging Bulls: How the Sex, Drugs and Rock 'N' Roll Generation Saved Hollywood
- ドキュメンタリー
2004 ブレイド3
Blade: Trinity
ウィスラー
2005 ジャケット
The Jacket
トーマス・ベッカー医師
巨大ストーム襲来!パニック病棟14時間英語版
14 Hours
チャック テレビ映画
夢駆ける馬ドリーマー
Dreamer: Inspired by a True Story
ポップ・クレーン
2006 ファーストフード・ネイション
Fast Food Nation
ルーディ・マーティン
2008 スナイパー&ヒットマン英語版
Jump Out Boys
レイモンド
2009 そんな彼なら捨てちゃえば?
He's Just Not That into You
ケン・マーフィー
2010 トゥルー・リベンジ英語版
The Last Rites of Ransom Pride
シェパード・グレイヴス
2011 イルカと少年
Dolphin Tale
リード・ハスケット
2012 ジョイフル♪ノイズ英語版
Joyful Noise
バーニー・スパロウ

参照

[編集]
  1. ^ クリス・クリストファスン」の表記もある。
  2. ^ Kris Kristofferson Biography (1936–)”. 2013年2月2日閲覧。
  3. ^ Kris Kristofferson at Tesco” (23 March 2008). 2013年2月2日閲覧。
  4. ^ Willman, Chris (2021年1月28日). “Kris Kristofferson Camp Confirms He Has Retired: ‘It Just Felt Very Organic’” (英語). Variety. 2024年10月5日閲覧。
  5. ^ Kris Kristofferson 'Officially Retired' from Music in 2020: He's What 'Every Artist Strives to Be'” (英語). People.com. 2024年10月5日閲覧。
  6. ^ Kris Kristofferson's 8 Children: All About the Late Country Singer's Sons and Daughters” (英語). People.com. 2024年10月2日閲覧。
  7. ^ Jesse Kristofferson | Actor, Additional Crew” (英語). IMDb. 2024年10月2日閲覧。
  8. ^ Ami Haruna | Actress” (英語). IMDb. 2024年10月2日閲覧。
  9. ^ Garrett Dylan” (英語). Pro Wrestling. 2024年10月2日閲覧。
  10. ^ “[http://www.rokkets.com/Disc/1974OneStep/one-stop1974.html MAKOTO AYUKAWA - �����X�e�b�v�t�F�X�e�B�o��1974]”. www.rokkets.com. 2024年10月2日閲覧。
  11. ^ Morris, Chris (2024年9月29日). “Kris Kristofferson, Country Music Legend and ‘A Star Is Born’ Leading Man, Dies at 88” (英語). Variety. 2024年9月30日閲覧。

外部リンク

[編集]