マイケル・ダグラス
マイケル・ダグラス(Michael Douglas, 1944年9月25日 - )は、アメリカ合衆国の俳優・プロデューサー。俳優のカーク・ダグラスの息子。
1975年に『カッコーの巣の上で』を製作し、アカデミー作品賞を含む5部門に輝きプロデューサーとして脚光を浴びる。その後1987年に、『ウォール街』でアカデミー主演男優賞を受賞した[2]。
来歴[編集]
ニュージャージー州出身。父方の祖父母はベラルーシ(当時はロシア帝国)からの移民でユダヤ系[3]。母親はバミューダ諸島出身の女優Diana Dill。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で学ぶ傍ら演劇の訓練も受け、父のもとで映画製作を学び助監督として映画界に入ったが、俳優に転向。1972年から放映されたテレビシリーズ『サンフランシスコ捜査線』ではエミー賞の候補になる等注目を集め監督業にも進出し評価されるようになる。1975年には『カッコーの巣の上で』を製作しアカデミー賞作品賞を含む5部門に輝きプロデューサーとして脚光を浴びる。1987年、『ウォール街』でアカデミー主演男優賞を受賞。2004年のゴールデングローブ賞では、功労賞であるセシル・B・デミル賞を受賞するが、この賞は父カーク・ダグラスも受賞しており、史上初の親子2代での受賞となった[4]。
『危険な情事』、『ローズ家の戦争』、『氷の微笑』、『ディスクロージャー』等に主演しており、女性に翻弄される中高年男性を演じる役柄が人気を集めた。
俳優以外では政治活動、特に反原発活動家として知られている。原子力事故を描いた映画『チャイナ・シンドローム』を製作、出演した。また、国連平和大使にも任命されている[5]。2008年アメリカ合衆国大統領選挙の前年には、ヒラリー・クリントン支持を表明していた[6]。
2014年1月14日、ユニセフは彼の長年の核兵器廃絶運動への取り組みを評価して、「ダニー・ケイ人道平和賞」を贈呈した[7]。
私生活[編集]
1977年に結婚し息子キャメロン(俳優)[9]をもうけるが後に離婚。
2000年11月18日に『トラフィック』で共演したキャサリン・ゼタ=ジョーンズと結婚し[10][11]、1男1女の子供がいる[12][13][14]。
2009年8月、過去にもドラッグ購入やコカイン所持で逮捕歴のあった息子キャメロンが、メタンフェタミンを販売目的で所持していた容疑で逮捕された[15][16]。これについて、「非常に動揺している」、「非常に残念だ」などとコメントした[17][18]。
2010年8月、ステージ4の末期の喉頭癌を患っていることを公表[19]。抗癌剤治療と放射線治療を受けていたが、翌年1月16日の第68回ゴールデングローブ賞授賞式に夫婦揃って久しぶりに公の場に姿を現した。その際に受けたインタビューにて咽頭癌を克服した旨を明らかにした(但し、月1回の検査は引き続き受けているとのこと)。また、自分がガンを発症した原因は「クンニリングスのし過ぎ(HPV感染)だった」と語った。生命を失う恐怖から、飲酒、喫煙に加え、妻へのクンニリングスなどオーラルセックスが一切できなくなったと語った[20]。
作品[編集]
出演作品(映画)[編集]
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 | 吹き替え |
---|---|---|---|---|
1966 | 巨大なる戦場 Cast a Giant Shadow |
ジープ運転手 | クレジットなし | |
1969 | マイケル・ダグラス/ヒーロー Hail, Hero! |
カール・ディクソン | 日本劇場未公開 | |
1970 | マイケル・ダグラス/アダム Adam at 6 A.M. |
アダム | 日本劇場未公開 | |
1972 | Summertree | ジェリー | N/A | |
1972 | ジョディ・フォスターのライオン物語 Napoleon and Samantha |
ダニー | 日本劇場未公開 | |
1977 | コーマ Coma |
マーク・ベローズ | 津嘉山正種 | |
1979 | チャイナ・シンドローム The China Syndrome |
リチャード・アダムス | 兼製作 | 有川博 |
ランニング Running |
マイケル・アンドロポリス | |||
1983 | 密殺集団 The Star Chamber |
スティーヴン・R・ハーディン判事 | 田中秀幸 | |
1984 | ロマンシング・ストーン 秘宝の谷 Romancing the Stone |
ジャック・コルトン | 兼製作 | 佐古正人(日本テレビ版) 津嘉山正種(テレビ朝日版) |
1985 | ナイルの宝石 The Jewel of the Nile |
ジャック・コルトン | 兼製作 | 樋浦勉(フジテレビ版) 津嘉山正種(テレビ朝日版) |
コーラスライン A Chorus Line |
ザック | 堀勝之祐 | ||
1987 | 危険な情事 Fatal Attraction |
ダン・ギャラガー | 小川真司 関智一(吹替補完版) | |
ウォール街 Wall Street |
ゴードン・ゲッコー | アカデミー主演男優賞 受賞 ゴールデングローブ賞 主演男優賞(ドラマ部門)受賞 |
小川真司(フジテレビ版、機内上映版) 津嘉山正種(テレビ朝日版) | |
1989 | ブラック・レイン Black Rain |
ニック・コンクリン | 小川真司(フジテレビ版) 内田直哉(ソフト版) | |
ローズ家の戦争 The War of the Roses |
オリヴァー・ローズ | 小川真司 | ||
1992 | 嵐の中で輝いて Shining Through |
エド・リーランド | ||
氷の微笑 Basic Instinct |
ニック・カラン刑事 | 小川真司(ソフト版2、フジテレビ版、日本テレビ版) 磯部勉(ソフト版1) 津嘉山正種(機内上映版) | ||
1993 | フォーリング・ダウン Falling Down |
ウィリアム・“D-フェンス”・フォスター | 樋浦勉(ソフト版)[21] 小川真司(テレビ朝日版) | |
1994 | ディスクロージャー Disclosure |
トム・サンダース | 小川真司[22] | |
1995 | アメリカン・プレジデント The American President |
アンドリュー・シェパード大統領 | ||
1996 | ゴースト&ダークネス The Ghost and the Darkness |
チャールズ・レミントン | 兼製作総指揮 | |
1997 | ゲーム The Game |
ニコラス・ヴァン・オートン | 小川真司(ソフト版、テレビ朝日版) てらそままさき(Netflix版) | |
1998 | ダイヤルM A Perfect Murder |
スティーヴン・タイラー | 小川真司(ソフト版、テレビ朝日版) 船越英一郎(日本テレビ版) | |
2000 | ワンダー・ボーイズ Wonder Boys |
グレイディ・トリップ | 小川真司[23] | |
トラフィック Traffic |
ロバート・ウェイクフィールド | |||
2001 | ジュエルに気をつけろ! One Night at McCool's |
バーマイスター氏 | 兼製作 | |
サウンド・オブ・サイレンス Don't Say a Word |
ネイサン・コンラッド医師 | |||
2003 | グロムバーグ家の人々 It Runs in the Family |
アレックス・グロムバーグ | 兼製作 日本劇場未公開 |
TBA |
セイブ・ザ・ワールド The In-Laws |
スティーヴ・トバイアス | 山路和弘(通常版) 小川直也(ハッスル版) | ||
2004 | マイ・シネマトグラファー Tell Them Who You Are |
本人 | ドキュメンタリー | |
2006 | ザ・センチネル/陰謀の星条旗 The Sentinel |
ピート・ギャリソン | 兼製作 | 小川真司 |
トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合 You, Me and Dupree |
トンプソン氏 | 日本劇場未公開 | 水内清光 | |
2007 | カリフォルニア・トレジャー King of California |
チャーリー | 日本劇場未公開 | 小川真司 |
2009 | ゴースト・オブ・ガールフレンズ・パスト Ghosts of Girlfriends Past |
ウェイン叔父さん | 日本劇場未公開 | (吹き替え版なし) |
ダウト 〜偽りの代償〜 Beyond a Reasonable Doubt |
マーク・ハンター | 日本劇場未公開 | ||
ソリタリー・マン Solitary Man |
ベン・カルメン | 石原辰己 | ||
2010 | ウォール・ストリート Wall Street: Money Never Sleeps |
ゴードン・ゲッコー | ゴールデングローブ賞 助演男優賞ノミネート | 津嘉山正種 |
2012 | エージェント・マロリー Haywire |
オリヴァー | 小川真司 | |
2013 | 恋するリベラーチェ Behind the Candelabra |
リベラーチェ | プライムタイム・エミー賞主演男優賞(テレビ映画・ミニシリーズ部門)受賞 ゴールデングローブ賞主演男優賞(テレビ映画・ミニシリーズ部門)受賞 全米映画俳優組合賞男優賞(テレビ映画・ミニシリーズ部門)受賞 放送映画批評家協会賞主演男優賞(テレビ映画・ミニシリーズ部門)受賞 テレビ批評家協会賞主演男優賞(テレビ映画・ミニシリーズ部門)受賞 |
(吹き替え版なし) |
ラストベガス Last Vegas |
ビリー・ゲルソン | 小川真司 | ||
2014 | 最高の人生のつくり方 And So It Goes |
オーレン・リトル | 別題『最高の人生の描き方』 日本劇場未公開 |
中村浩太郎 |
追撃者 Beyond the Reach |
ジョン・マデック | 兼製作 | (吹き替え版なし) | |
2015 | アントマン Ant-Man |
ハンク・ピム博士 | 御友公喜[24] | |
2017 | アンロック/陰謀のコード Unlocked |
エリック・ラッシュ | 井上和彦[25] | |
2018 | アントマン&ワスプ Ant-Man and the Wasp |
ハンク・ピム博士 | 御友公喜[26] | |
カイジ 動物世界 動物世界 |
アンダーソン | 中国映画 | さかき孝輔 | |
2019 | アベンジャーズ/エンドゲーム Avengers: Endgame |
ハンク・ピム博士 | 御友公喜[27] | |
2023 | アントマン&ワスプ:クアントマニア Ant-Man and The Wasp: Quantumania |
出演作品(テレビ)[編集]
放映年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 | 吹き替え |
---|---|---|---|---|
1971 | FBIアメリカ連邦警察 The F.B.I. |
ジェリー | 第6シーズン第23話 | |
1972–1976 | サンフランシスコ捜査線 The Streets of San Francisco |
スティーブ・ケラー | 監督:第4シーズン第13話 | 納谷六朗 |
2002 | ふたりは友達? ウィル&グレイス Will & Grace |
ギャヴィン・ハッチ刑事 | 第4シーズン第23話 | |
2018-2021 | コミンスキー・メソッド The Kominsky Method |
サンディ・コミンスキー | ゴールデングローブ賞主演男優賞(テレビドラマ(ミュージカル・コメディ部門))受賞 批評家選出テレビ賞主演男優賞(コメディ部門)ノミネート 全米映画俳優組合賞男優賞 (コメディシリーズ)ノミネート プライムタイム・エミー賞主演男優賞(コメディ部門)ノミネート ゴールド・ダービー賞コメディ男優賞ノミネート |
山路和弘 |
2019-2022 | 緑のたまごとハム 〜サムとガイの大冒険〜 Green Eggs and Ham |
ガイ | 声の出演 | 御友公喜 |
2021 | ホワット・イフ...? What If...? |
ハンク・ピム | 声の出演 Disney+オリジナルシリーズ | |
TBA | Franklin | ベンジャミン・フランクリン | ミニシリーズ |
製作[編集]
公開年 | 邦題 原題 |
担当 | 備考 |
---|---|---|---|
1975 | カッコーの巣の上で One Flew Over the Cuckoo's Nest |
製作 | アカデミー作品賞受賞 |
1984 | スターマン/愛・宇宙はるかに Starman |
製作総指揮 | |
1990 | myベスト・フレンズ Eyes of an Angel |
製作 | |
1991 | フラットライナーズ Flatliners |
製作 | |
1992 | ラジオ・フライヤー Radio Flyer |
製作総指揮 | |
1993 | メイド・イン・アメリカ Made in America |
製作 | |
1997 | フェイス/オフ Face/Off |
製作総指揮 | |
レインメーカー The Rainmaker |
製作 | ||
2017 | フラットライナーズ Flatliners |
製作 | |
2020 | ラチェッド Ratched |
製作総指揮 |
日本語吹き替え[編集]
『ウォール街』(機内上映版)以降、小川真司が亡くなるまでに大半の作品を務め、ダグラスの専属(フィックス)声優となっていた[28][29]。
長年担当したダグラスに関して小川は「才能のある方なので、一瞬で感情を変えることができる。しかも愛嬌があるので、声を演じていて楽しいですし、感心する」と絶賛しており、長く親しんだこともあり、息遣いやタイミングなど演技をする際にはつかみやすいと語っている[29]。2013年の『ラストベガス』が最後の担当となった。
小川が専属になるまでは、津嘉山正種や樋浦勉、納谷六朗、堀勝之祐などが担当することもあった。
なお、小川没後のマーベル・シネマティック・ユニバースでは御友公喜が務めている[30]。
脚注[編集]
- ^ “Film in 1977”. 2021年2月3日閲覧。
- ^ NY金融マンのあこがれ マイケル・ダグラス再び強欲投資家ゲッコーに : 映画ニュース - 映画.com
- ^ Tugend, Tom (2006年12月12日). “Lucky number 90”. The Jerusalem Post. オリジナルの2011年7月13日時点におけるアーカイブ。 2006年12月12日閲覧。
- ^ “M・ダグラス、功労賞を受賞”. シネマトゥデイ. (2003年11月20日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “ジョージ・クルーニーさん国連平和大使に、ダルフール紛争取り組みで”. AFPBB News. (2008年1月19日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “マイケル・ダグラス、クリントン上院議員を支持”. AFPBB News. (2007年8月31日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “国連平和大使のM・ダグラス、ユニセフが人道平和賞を授与”. 2014年1月18日閲覧。
- ^ “マイケル・ダグラスがセザール賞の名誉賞を受賞!”. シネマトゥデイ (2016年1月31日). 2016年2月1日閲覧。
- ^ Cameron Douglas - IMDb(英語)
- ^ “マイケル・ダグラスとゼタ=ジョーンズ、やっと結婚”. 映画.com. (2000年11月21日) 2022年6月6日閲覧。
- ^ “Cheesy chat up line that snagged Catherine Zeta-Jones”. The Sydney Morning Herald. (2007年7月12日)
- ^ “キャサリン・ゼタ・ジョーンズ出産”. シネマトゥデイ. (2000年8月10日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “C・ゼタ=ジョーンズ、2人目は女の子”. シネマトゥデイ. (2003年4月23日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “Carys — a name rooted in love”. BBC News. (2003年4月22日) 2006年9月25日閲覧。
- ^ “M・ダグラスの息子、「大量」の覚せい剤所持で逮捕”. asahi.com. (2009年8月4日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “マイケル・ダグラスの息子、麻薬強制捜査で逮捕”. シネマトゥデイ. (2009年8月5日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “M・ダグラス、息子の逮捕に「非常に動揺している」”. asahi.com. (2009年8月13日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “マイケル・ダグラス、息子の逮捕に「残念」”. シネマトゥデイ. (2009年8月17日) 2009年8月20日閲覧。
- ^ “Michael Douglas to Undergo Throat Cancer Treatment”. ABC News 2010年8月16日閲覧。
- ^ “木原洋美:医療ジャーナリスト オーラルセックスで咽頭がん!?米国有名俳優の話に脅威”. DIAMOND online (2016年11月25日). 2021年8月9日閲覧。
- ^ “フォーリング・ダウン”. ワーナー公式. 2021年7月4日閲覧。
- ^ “ディスクロージャー”. ワーナー公式. 2021年7月4日閲覧。
- ^ “ジュエルに気をつけろ!”. ディズニー公式. 2021年7月4日閲覧。
- ^ “アントマン”. ふきカエル大作戦!! (2015年10月15日). 2021年7月4日閲覧。
- ^ “アンロック/陰謀のコード”. ふきカエル大作戦!! (2018年8月17日). 2021年7月4日閲覧。
- ^ “アントマン&ワスプ”. ふきカエル大作戦!! (2018年9月3日). 2021年7月4日閲覧。
- ^ “アントマン&ワスプ:クアントマニア -日本語吹き替え版”. ふきカエル大作戦!! (2023年2月20日). 2023年2月20日閲覧。
- ^ “吹替の帝王 -日本語吹替版専門映画サイト-| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント”. 吹替の帝王. 2016年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月23日閲覧。
- ^ a b 小川真司(インタビュアー:とり・みき)「TV放送吹替版のダルトン=ボンドの声 〜小川真司 スペシャル・インタビュー〜」『声優・吹替制作スタッフ・インタビュー, 007 TV吹替初収録 特別版DVDシリーズ』 。2018年1月14日閲覧。
- ^ 逢坂千里 (2018年8月31日). “「アントマン」シリーズ吹き替え声優一覧【実力派が集結】”. ciatr[シアター] (株式会社viviane) 2023年8月17日閲覧。
外部リンク[編集]
- Michael Douglas (@michaelkirkdouglas) - Instagram
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- マイケル・ダグラス - allcinema
- マイケル・ダグラス - KINENOTE
- Michael Douglas - IMDb(英語)