ブラックパンサー (映画)
ブラックパンサー | |
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Black Panther | |
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監督 | ライアン・クーグラー |
脚本 |
ライアン・クーグラー ジョー・ロバート・コール |
原作 |
スタン・リー ジャック・カービー |
製作 | ケヴィン・ファイギ |
出演者 |
チャドウィック・ボーズマン マイケル・B・ジョーダン ルピタ・ニョンゴ ダナイ・グリラ マーティン・フリーマン ダニエル・カルーヤ レティーシャ・ライト ウィンストン・デューク アンジェラ・バセット フォレスト・ウィテカー アンディ・サーキス |
音楽 | ルドウィグ・ゴランソン |
撮影 | レイチェル・モリソン |
編集 |
クラウディア・カスティージョ マイケル・P・シャウバー |
製作会社 | マーベル・スタジオ |
配給 | ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ |
公開 |
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上映時間 | 134分 |
製作国 |
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言語 |
英語 コサ語 イボ語 |
製作費 | $200,000,000 |
興行収入 |
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前作 | マイティ・ソー バトルロイヤル(マーベル・シネマティック・ユニバース前作) |
次作 | アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(マーベル・シネマティック・ユニバース次作) |
『ブラックパンサー』(原題: Black Panther)は、2018年のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画。製作はマーベル・スタジオ、配給はウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ。監督はライアン・クーグラー、出演はチャドウィック・ボーズマン、マイケル・B・ジョーダン、ルピタ・ニョンゴなど。
「マーベル・コミック」のアメリカン・コミック『ブラックパンサー』の実写映画化作品で、様々な「マーベル・コミック」の実写映画を、同一の世界観のクロスオーバー作品として扱う『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズとしては、第18作品目の映画となる。
目次
概要[編集]
この映画は黒人の監督による黒人を主人公にした映画として注目された。キャストや制作スタッフも大半が黒人であり、ヨーロッパやアフリカをはじめ世界中からアフリカ系のプロフェッショナルが集結していた[3]。
2018年3月24日に『アベンジャーズ』を超え、北米で史上最高の興行成績を獲得したスーパーヒーロー映画になった[4]。
サウジアラビアに2018年4月、映画館が約35年ぶりにオープンして初上映作品になる[5]。
ストーリー[編集]
遥か昔、地球にヴィブラニウムと呼ばれる鉱石で出来た隕石が落ちてきた。やがてその地アフリカで5つの部族が戦争を始める。一人の戦士がヴィブラニウムの影響を受けたハート型のハーブを摂取し、超人的な力を持つ「ブラックパンサー」となった。彼の下に4つの部族が集まり、ワカンダ国となった。だがジャバリ族だけは参加せず、姿を隠した。
それから何世紀もたち、ワカンダは世界から隔絶された、高度な科学技術を持つ超文明となった。1992年、当時のティ・チャカ国王は、カリフォルニア州オークランドに潜入していた弟のウンジョブを訪ねる。 ティ・チャカは、密偵ズリを通じ弟がワカンダから得た武器を武器商人ユリシーズ・クロウに渡していたことを知り、彼を問い詰め、そして亡き者にした。
それから24年後の2016年、ヘルムート・ジモが起こした爆破テロによってチャカの死とそれに伴うアベンジャーズの内乱の後、チャカの息子ティ・チャラが新国王に即位する運びとなった。その戴冠の儀式で、彼はジャバリ族の挑戦者エムバクを打ち負かし、晴れてワカンダは新たな国王を迎える。
それからしばらくして、エリック・スティーブンズという男がクロウと結託してロンドンの博物館を襲撃した。ティ・チャラは友人ウカビに彼と因縁のあるクロウの逮捕を約束し、親衛隊長オコエ、幼なじみの恋人ナキアを連れ、裏取引が行われている韓国・釜山へと向かう。同じく潜入していたCIAのエヴェレット・ロス捜査官と手を組んでクロウを捕らえるが、取り調べ中にエリックの襲撃を受け奪還されてしまう。ナキアをかばい重傷を負ったロスを救うため、ティ・チャカはロスを連れてワカンダへの帰国を余儀なくされる。
シュリがロスの治療に当たっている間に、ウカビのもとにエリックが現れる。彼は手土産としてクロウの亡骸を引き渡し、国王との謁見を求める。エリックの本名はウンジャダカといい、亡きウンジョブの息子にして王位継承権を持っていた。ティ・チャラの問いにズリはかつて起きた事を話す。エリックは父を失った後、「キルモンガー」とあだ名される兵士に育ち、祖国ワカンダの技術と武器をもって世界中のアフリカ系民族を迫害から救うために帰還し、王位を求めて現れたのである。再び儀式が行われ、エリック・キルモンガーは仲裁に入ったズリを殺害すると、ティ・チャラを谷底に突き落とし、ついに王位を得る。そしてハート型のハーブを摂取してブラックパンサーの力とスーツを得ると、残るハーブを全て焼き払い、ワカンダの武器を全世界の同胞へ輸送するよう命じる。
ナキア、シュリ、ラモンダ、そして一命をとりとめたロスは密かに得ていたハーブを一つ持って脱出し、ジャバリ族に援助を求める。ティ・チャラはエムバクによって仮死状態で保護されており、最後のハーブによって息を吹き返す。そしてキルモンガーを倒すべく、再びスーツを着用する。
シュリとナキア、キルモンガーに反旗を翻したドーラ・ミラージュはウカビと彼の軍隊に挑み、ロスはシュリのサポートを受けてジェットを遠隔操縦して兵器を搭載した輸送機を撃墜していく。エムバクとジャバリ族がティ・チャラの援護に加わり、ヴィブラニウム採掘場ではティ・チャラとキルモンガー、二人のブラックパンサーが中断された王位継承の儀式を再開させる。ティ・チャラの一撃がキルモンガーを貫き、ついに戦いに終止符が打たれる。キルモンガーは治療を拒み、投獄よりも自由ある死を選択する。ティ・チャラの計らいで祖国ワカンダの美しい景色を眺めながら、ついにエリック・キルモンガーはこの世を去る。
全てが終わり、ティ・チャラは再びオークランドを訪れ、ウンジョブとエリックが住んでいたアパートを買い取り、支援センターを作ることをシュリに語る。ミッド・クレジット・シーンでは、ティ・チャラがついにワカンダの全てを明らかにすることを国連で演説する。そしてポスト・クレジット・シーンでは、治療を終えたホワイトウルフことバッキー・バーンズにシュリが語り掛ける。
登場人物・キャスト[編集]
- ティ・チャラ / ブラックパンサー
- 演 - チャドウィック・ボーズマン / アシュトン・タイラー(幼年期)、日本語吹替 - 田村真[6][7]
- 本作の主人公である、“一国の主”と“ブラックパンサー”という2つの使命を持つワカンダの若き国王[注釈 1]。温厚で辛抱強さと冷静沈着さ、そして自身の周りの人々を深く大切にする思いやりや元恋人のナキアとの再会に緊張する純情さを持ち合わせ、同時にかつてのバッキー/ウィンター・ソルジャーや本作で致命傷を負ったエヴェレットを救うためにワカンダへ連れたり、母国の平和を取り戻すためにジャバリ族に協力を頼むなどの臨機応変さや、儀式の決闘の申し込みとして飛び入りしてきたエムバク及びキルモンガーに応える大胆さ、愛する者・親しき者が危機に陥ったり手にかけられると激しい怒りを露わにする熱い心まで秘めているなど、多面性と大きな器を有する人物。
- “神秘のハーブ”を摂取したことでブラックパンサーとしての超人的な身体能力を得ており、水面下で母国をはじめ、難民を中心とした世界の人々を守っている。
- アベンジャーズの内乱でヘルムート・ジモが引き起こしたウィーンでの爆破テロによって、父である先代国王ティ・チャカが死亡したため、王位継承権を手にし、儀式を経てワカンダの新国王となるものの、偉大な国王だった父に頼れなくなった上でその後を継ぐことにプレッシャーを感じて、自分を未熟と謙遜する思いを引きずったまま、一国の主としての務めを果たせるかどうか不安を抱く。
- その最中に、国外で起きたヴィブラニウムの盗難事件の主犯であるクロウに対して自ら捕縛に出国するが、キルモンガーの出現により父が隠していた真実を目の当たりにし、ワカンダに対する疑念が芽生えかけた挙句、キルモンガーに王位を奪われてしまう。それでも家族やナキアたちの支えを受けて立ち上がり、キルモンガーとの決戦に臨む。
- エリック・“キルモンガー”・スティーヴンス / ウンジャダカ
- 演 - マイケル・B・ジョーダン、日本語吹替 - 津田健次郎[6][7]
- 元アメリカの秘密工作員にして、アフリカ系アメリカ人の傭兵である本作のメインヴィラン。ニューオリンズの最底辺層で育ち、海軍兵学校を19歳で卒業してMITに通った高学歴の持ち主で、そこから独力で米軍のシールズに入隊後、アフガニスタンをはじめ各地の戦場を転々と渡り歩き、傭兵として暗殺・選挙や王の死など権力の移行時を狙って、外国政府を正規軍ごと支配し、資源を奪って大勢の人間を殺してきた戦歴を畏怖され、“死の商人”を意味する“キルモンガー”の異名を得た。
- その正体はティ・チャカの弟のウンジョブがアメリカ人女性との間に儲けた一人息子の“ウンジャダカ”で、ティ・チャラやシュリの従兄弟[注釈 2]。父を殺害し、自分をオークランドに置き去りにした伯父一家への復讐と、父の悲願である黒人の社会的立場向上のため、ワカンダの王位を狙って、同国のテクノロジーによる世界征服を企み、クロウと手を組んだ。
- ゲーム感覚で敵だけでなく、盾にされた味方までを殺し、自らの屈強な肉体に殺した人数分の傷をつける残忍にして過激なテロリストである一方で、一対の角が付いたアフリカの民族仮面を気に入って活動時に被ったり、夕日が美しい母国を一目拝みたいとワカンダへ憧れに似た執着を抱くなど、人間味を帯びた風情も持つ男である。
- ティ・チャラが国王に即位した頃と同時期に、クロウらと共にグレートブリテン博物館からヴィブラニウム製の利器を奪い[注釈 3]、一度捕らわれたクロウを救った際にティ・チャラたちが出向いていたことを確認すると、機が熟したとしてクロウを射殺。彼の遺体を手土産に携えてワカンダに直接出向き、ウカビを懐柔して評議会に顔を出し、自らの素性を明かすと、ティ・チャラと決闘して彼を倒し、王位とその力を手にした。
- そこから世界中の黒人たちへ本国製の武器を輸送する準備を始めるものの、復活したティ・チャラに阻まれ、ドーラ・ミラージュやナキア&シュリと連戦した後にティ・チャラと雌雄を決しようと激突するが、奪い取られた槍を身体に突き立てられて致命傷を負う。最後はティ・チャラの思いやりで、念願のワカンダの夕日を拝み、彼からの助命の勧めを「先祖は船から海に身を投げた」という理由で断って、身体から槍を引き抜き絶命する。
- ナキア
- 演 - ルピタ・ニョンゴ、日本語吹替 - 皆川純子[6][7]
- ワカンダのスパイ“ウォー・ドッグ”の一員として世界各国で活動している、ワカンダの“リバー族”の女性で、ティ・チャラの幼馴染み。かつてはドーラ・ミラージュに属し、ティ・チャラと恋人同士だったが、世界で虐げられる弱者を見過ごせず、彼らを救うため国外でスパイ活動に励むようになり、母国には戻らなくなった。そのためティ・チャラとは別れたものの、彼からは今もなお恋心を寄せられ、自身もティ・チャラへの未練を断ち切れないでいる。
- 明朗快活な性格で、ティ・チャラにはワカンダの文明を世界に広めるべきだと勧めても受け入れられずに不満を募らせることもあるが、父を亡くした喪失感や国王としての責務に苦悩する彼を支えようと向き合う優しさを見せる。スパイとしての使命感も強く、母国語だけでなく韓国語を披露したり、自ら溶接で仕上げた愛用の武器であるチャクラムでの戦闘は勿論、銃器の取り扱いや自動車の運転まで、非常に優れた実力や、エムバクにハーブを託して、倒されたティ・チャラの代わりにキルモンガーと戦って貰おうと提案する奇抜な発想力を持つ。
- アフリカの奴隷商人らの動向を探り、誘拐・拉致されて移送中の黒人女性たちを解放するための内偵中に、ティ・チャカの葬儀と王位継承の儀式への参加を希望するティ・チャラの願いを了承し、内偵を完了させてワカンダに戻る。その後はティ・チャラたちと行動を共にしていき、韓国でのクロウを追う任務から、ワカンダを掌握したキルモンガーとの戦いまで奔走し、後者ではドーラ・ミラージュ時代の赤い防護服に身を包んで参戦する。
- オコエ
- 演 - ダナイ・グリラ、日本語吹替 - 斎賀みつき[6][7]
- ワカンダの国王親衛隊“ドーラ・ミラージュ”の隊長を務める、ティ・チャラのボディガード。彼女もティ・チャラやナキアの幼馴染みでもあり、皆からの信頼は厚く、自らもワカンダ王族に絶対の忠実を誓い、自ら戦線に赴いてブラックパンサーとしてのティ・チャラをサポートしつつ、彼の成長を見守っている。
- 凛々しく威厳ある振る舞いを崩さない生粋の女性戦士で、男顔負けの戦闘能力を持ち、ハイテク武器やツールの操作まで数多くの技能をマスターしている。だが、海外の人間や他の現代文明の武器に対して毒づいたり、潜入先で怪しまれたら先制攻撃を仕掛けるなど、若干横暴な性質も持ち、ティ・チャラから注意されることも稀にある。
- サンビサ森林や韓国では、ティ・チャラやナキアと共闘して活躍するが、キルモンガーが王位を乗っ取った際には、王族に忠実な立場ゆえに従わざるを得なくなってしまった。しかし、ティ・チャラが復活して現れると、部下たちと共にキルモンガーへ反旗を翻して戦いを挑み、後に恋人であるウカビたちボーダー族を降参させる[注釈 4]。
- エヴェレット・ロス
- 演 - マーティン・フリーマン、日本語吹替 - 森川智之[6][7]
- かつて対テロ共同対策本部の副司令官を務めていたCIA捜査官。本作ではジモの逮捕に際して、ティ・チャラの介入を秘匿して彼に貸しを作っていたことや、元アメリカ空軍パイロットであったことも明かされる。
- 権力を傘に着たような言動が目立つものの、国際治安と世界中の人々を守ろうとする想いは確かで、例え任務や自身とは何の関わりもない事態に対してもその解決の為に尽力するなど、公的機関のエージェントとして相応しい正義感を持っている。その為、本作では嫌味な印象は薄く、また左手薬指に指輪をはめている。
- ヴィブラニウムの囮取引を結んでクロウを誘き出すべく釜山に赴いたところで図らずもティ・チャラと再会を果たすことになり、取引が始まると戦闘に巻き込まれ、ブラックパンサーの秘密を漏らさないことを交換条件にCIAの施設にクロウを拘留・尋問する。
- しかし、クロウを脱走させようとしたキルモンガーの攻撃からナキアを庇って脊髄を負傷。ティ・チャラの厚意で治療のためにワカンダへ赴くことになった。回復後はワカンダと世界の命運をかけた戦いに身を投じ、パイロット時代に培った航空機操縦の腕も振るう。
- ウカビ
- 演 - ダニエル・カルーヤ、日本語吹替 - 中井和哉[6][7]
- ワカンダの“ボーダー族”のリーダーにしてティ・チャラの親友であり、オコエの恋人。国を脅かし、両親を殺したクロウに憎悪同然の激しい怒りを抱いて自らの手で処刑することを願ったり、ワカンダの世界に対する閉鎖的な姿勢を一貫し続けてきたティ・チャカにも不満を抱くなど、強硬派的な立場の男である。
- 儀式では親友としてティ・チャラを応援して彼が勝利すると喜び、後にティ・チャラからクロウの連行を約束されたが、取り逃してしまったと知らされると失望し、ティ・チャラに従うことに抵抗を覚え始める。そして、国境に現れたキルモンガーの手土産を見て、ワカンダの変革を目的に彼と結託し、王位を奪われたティ・チャラに見切りを付けてしまった。
- クライマックスでは、キルモンガーの命令で先陣を切り、ボーダー族を率いてティ・チャラやドーラ・ミラージュと大乱戦を繰り広げるが、エムバクらジャバリ族の加勢によって追い詰められてしまい、最後の足掻きとしてエムバクを葬ろうとしたものの、立ちはだかったオコエとは戦えずに降伏する。
- シュリ
- 演 - レティーシャ・ライト、日本語吹替 - 百田夏菜子[8][7]
- ティ・チャラの妹でワカンダ王国の王女。16歳にしてワカンダの世界最先端の技術開発チーム“ワカンダ・デザイン・グループ”を率いて、ブラックパンサー・スーツや様々なツールを創り出すヴィブラニウム工学の天才科学者・発明家でもある。
- ティ・チャラを揶揄ったり、発明品を試させて楽しむなどの生意気な一面や、儀式と言った古い慣習に飽き飽きし、海外に出られない分、外の世界に興味を持ち、他国の衣服を着用していることも多い文字通りの現代っ子だが、深い絆で結ばれた兄や母を大切に思い、ワカンダや国の人々への愛国心も強く、ラボでの研究開発に余念がないほど仕事熱心で、兄から現場のサポートなどを頼まれると喜んで引き受けるなど、根は真面目な少女である。また、行動力も高く、有事の際には、戦士でなくても武器を手にして、兄や皆と共に戦いの矢面に立つ。
- 自らもティ・チャラと同様に父を失って間もない身でありながら、ワカンダの新たな国王に就任した兄を、ナキアやオコエたちと同様にその前向きな心で支えていく。
- エムバク
- 演 - ウィンストン・デューク、日本語吹替 - 木村昴[7]
- ワカンダの山奥に棲み、長い間ワカンダ王家とは距離を置いてきたジャバリ族のリーダーで、古来より他部族から不当に扱われたことから王家を嫌悪している。
- 一見頑迷な硬骨漢だが、決闘で自分の負けを認める潔さと借りはきちんとした形で返す義理堅さも併せ持つ。また他者の話の傍らで退屈そうに欠伸をしながら待つやや呑気な顔も見せ、菜食主義者で子供もいるらしい。木製の杖を武器として愛用し、ハーブの力を失った状態のティ・チャラを苦しめるほどの戦闘能力も持つ。
- ティ・チャラの王位継承に反対の意向を示して、即位の儀式での決闘で彼と打ち合って善戦するが敗北し、ティ・チャラの温情で命は失わずに済んだ。
- その後、キルモンガーとの決闘で意識不明となったティ・チャラを、決闘で命を奪わなかった借りから介抱し、回復した彼らから援護を求められるも一度は拒否した。しかし、クライマックスでは部族総出で戦場に現れてナキアやシュリたちの窮地を救い加勢する。
- ウンジョブ
- 演 - スターリング・K・ブラウン、日本語吹替 - 遠藤大智[7]
- ティ・チャカの弟で、ウンジャダカの父親[注釈 5][注釈 6]。
- 本編開始から30年前、アメリカでウォー・ドッグとしてスパイ活動にあたり、現地の特殊部隊に加入するが、そこで同じアフリカを故郷に持ち移民や浮浪者となった黒人たちが白人社会から不当に虐げられていることに憤って過激派組織に組みし、支配者や有力者への反逆のためにクロウと結託してヴィブラニウムを母国から盗み出していた。
- そして1992年に、滞在先のオークランドに駆けつけた兄にその行いを咎められ、母国への連行を言い渡されるが、ズリに銃口を向けたことで彼を庇ったティ・チャカの行動により、事故的な形で死亡した。
- アヨ
- 演 - フローレンス・カサンバ、日本語吹替 - 織部ゆかり[7]
- ドーラ・ミラージュの隊員の一人。かつてティ・チャラがアベンジャーズの内乱にスカウトされた時に彼と共に先行登場していた。
- 本作のクライマックスでは、オコエの指示を受けてティ・チャラの援護へ多数の隊員と向かう。
- ティ・チャカ
- 演 - ジョン・カニ / アタンドワ・カニ(青年期)、日本語吹替 - 佐々木敏 / 滝知史(青年期)[7]
- ティ・チャラとシュリの父親。ワカンダ王国の先代王にして先代ブラックパンサー。思慮深く、国民や家族から愛され、ティ・チャラにとって憧れの存在でもあったが、1992年のオークランド訪問で起こしてしまったウンジョブとの一件を、ワカンダのために隠蔽していた過去があった。そして、ウィーンでのソコヴィア協定署名式で、ジモが引き起こした爆破テロで命を落とした。
- 本作では回想シーンと、ティ・チャラがハーブを飲用して不可思議な空間に送られたシーンに登場し、後者では黒豹の姿から変化しながらティ・チャラの前に現れ、1度目は国王としての責務を全うできるかどうか不安になっている息子に激励の言葉を贈り、2度目は自身の過ちの真相を告げる。
- コリスワ
- 演 - サイデル・ノエル
- ドーラ・ミラージュの隊員の一人。クライマックスでは、オコエたちと共にキルモンガーに白兵戦を仕掛ける。
- リムバニ
- 演 - デヴィッド・S・リー
- クロウやキルモンガーの仲間のテロリストの男性。グレートブリテン博物館ではクロウと共に救急隊員に変装し、韓国のCIAの施設ではクロウを救出するが、結局、キルモンガーに射殺される。
- リンダ
- 演 - ナビャー・ビー
- リムバニと同様、クロウやキルモンガーの仲間のテロリストの女性で、キルモンガーとは懇意の関係であり、彼のためなら命を投げ出せる覚悟を持つ。博物館ではパン屋に変装して館内の監視カメラの映像を差し替え、クロウらのヴィブラニウム奪取を補助し、韓国のCIAの施設でもクロウを救出するが、キルモンガーがリムバニを射殺した直後に、クロウに盾代わりにされてしまった。しかしキルモンガーに自らを撃たせて死亡する。
- ギャンブラー
- 演 - スタン・リー、日本語吹替 - 高桑満[7]
- 韓国の釜山にあるカジノで遊んでいた老人。ティ・チャラとの再会を済ませたエヴェレットに話しかける。
- トーマス
- 演 - フランシスカ・ファリダニー
- グレートブリテン博物館の支配人の女性で、工芸品の専門家でもある。客に扮して博物館に来訪したキルモンガーに展示物の解説をしながらも彼の態度に困り果てるが、飲み物に入っていた毒で体調を崩して倒れ、現れたクロウに射殺されてしまう。
- ソフィア
- 演 - アレクシス・リー
- 釜山にあるチャガルチ市場で露店を営む、現地の中年女性。ナキアと顔馴染みであり、ティ・チャラとオコエを伴ってやって来た彼女を拒絶するような言動をとりつつも、カジノの玄関を開ける。また、その後に現れたクロウの一味は快くカジノに入場させている。
- グリオ
- 声の出演 - トレバー・ノア
- グリオの項を参照。
- ラモンダ
- 演 - アンジェラ・バセット、日本語吹替 - 幸田直子[7]
- ティ・チャラとシュリの母親でワカンダ王国の女王。先代国王で夫のティ・チャカを亡くした悲しみにくれながらも、持ち前の慈悲深さでティ・チャラやシュリを優しく支え、リーダーシップと穏やかさで評議会の人々もまとめると同時に、危機的状況から避難するよう促されても、逃げる訳にはいかないと拒否して自身も最後まで立ち向かおうとする確固たる意志を持つ女性である。
- 儀式ではシュリと共に、前座で軽快に踊ったり、エムバクに苦戦するティ・チャラを激励しながら応援した。また、キルモンガーにティ・チャラが一度敗れた際には、ナキアやシュリ、エヴェレットと共にジャバリ族の下へ赴いてエムバクに協力を頼み、彼らに救われたティ・チャラを復活させ、息子の決戦への出発を見送る。
- ズリ
- 演 - フォレスト・ウィテカー / デンゼル・ウィテカー(青年期)、日本語吹替 - 玄田哲章 / 後藤光祐(青年期)[7]
- ワカンダの王位継承の儀式を取り仕切る高僧で、ティ・チャカの側近でもあった長老的存在。ティ・チャラの良き教育係にして相談相手でもあり、豊富な人生経験からくる知恵を以ってして、彼に王の心得など数多くのことを教えてきた人格者である。父親の名は“バドゥ”。共同墓地で神秘のハーブの管理も担当している。若い頃はウォー・ドッグの一人で、ティ・チャカの命令で“ジェームズ”と名乗り、ウンジョブの動向を報告していた。そのため、ティ・チャカのウンジョブに対する秘密を共有し、現在に至る。
- 儀式の際にはティ・チャラにハーブの力の抹消と授与も行い、彼の王位継承を祝福した。しかし後にティ・チャラに彼の父の秘密を打ち明け、ワカンダに現れたキルモンガーが申し込んできた儀式の決闘も取り仕切るものの、ティ・チャラが殺されそうになると規則違反を覚悟で止めに入り、怒ったキルモンガーの一撃を受けて絶命する。
- ユリシーズ・クロウ
- 演 - アンディ・サーキス、日本語吹替 - 広田みのる[7]
- ヴィブラニウムの密輸を企て、南アフリカのブラックマーケットを仕切っている武器商人。南アフリカでウルトロンに切断された左腕には、強力な衝撃波を放つアームキャノンが内蔵された義手を装着している。
- 左腕を失ってからも、話し相手をおちょくって大袈裟に嘲笑ったりする太々しい気質は以前と変わらず、金儲けだけでなく活動時に犯行現場を細工しながら人を撃ち殺すなど、殺戮までを愉しみ、世界中で悪名を轟かせてきた根っからの悪漢。キルモンガーとは協力関係にある。
- 本作の30年前にワカンダに侵入し、囚われの身となりつつも、ヴィブラニウムが保存されたボトルを250本も強奪した上でワカンダの国境を爆破して逃走。この一件で、ウカビの両親を含めた多数のワカンダ人が死傷し、ワカンダの評議会から大罪人として認知される。以降はヴィブラニウムの密売に執着するようになり、入手したヴィブラニウムはウルトロンによって全て買収・奪取され、ヴィジョンのボディやソコヴィアを浮上させる装置の開発に利用されてしまった。
- 物語前半において、救急隊員に扮してグレートブリテン博物館に侵入し、居合わせた博物館の職員や警備員を射殺して、ヴィブラニウム製の利器を盗んで撤退すると、後日に釜山のカジノへ多数の手下を率いて、囮取引相手であるエヴェレットと接触するものの、ティ・チャラたちの潜入に勘付いて逃走しながら彼らに応戦。熾烈なカーチェイスの末に、ティ・チャラに取り抑えられ、CIAの施設に身柄を拘束された。
- エヴェレットからの尋問でワカンダの秘密を暴露するが、奇襲を仕掛けてきたキルモンガーに救われてその場から脱走。飛行場に逃げ延びたのも束の間、キルモンガーの裏切りに遭い、彼がワカンダ人と知って射殺される。
- ノンクレジット・カメオ出演
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- バッキー・バーンズ / ウィンター・ソルジャー / ホワイトウルフ
- 演 - セバスチャン・スタン、日本語吹替 - 白石充[7]
- 第二次世界大戦中に谷底に転落して左腕を失う重傷を負いながら行方不明になり、ヒドラによって同組織の暗殺者“ウィンター・ソルジャー”へと仕立て上げられた、“スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ”の幼馴染みにして親友。アベンジャーズの内乱の末に、ティ・チャラの手引きでワカンダへと亡命し、ヒドラの洗脳を解く術が見つかるまで冷凍睡眠装置に入って眠りにつき、ティ・チャラから“ホワイトウルフ”の称号を授かっていた。
- ポスト・クレジット・シーンにてワカンダのとある小さな村の小屋で目覚め、民族衣装姿で登場。未だに隻腕状態ではあるが、ヒドラの洗脳が解けたことを示唆させる様子や、村を訪れたシュリにニックネームで呼ぶように頼みながら柔和な表情も見せ、「話すことが山ほどある」と声をかけられて、彼女に同行する。
設定・用語[編集]
ヴィブラニウム[編集]
遥か太古の昔に、宇宙からの隕石によって地球にもたらされ、ワカンダの鉱床で採掘される頑強で不可思議な性質を秘める鉱石。
テクノロジー[編集]
本作に登場する装備やビークルなどの多くは、シュリたち“ワカンダ・デザイン・グループ”によって改良・研究開発されたものであり、加工されたヴィブラニウムが取り込まれている。
ヒーロー・ヴィランの装備[編集]
- ブラックパンサー・スーツ
- ワカンダの王位を持つ者へ、国王の座と“ブラックパンサー”の称号と共に継承される、黒豹をモチーフにデザインされた戦闘用スーツ。本作では旧型と、アップグレードされた2種の新型が登場するが[注釈 7]、ヴィブラニウムが編み込まれており、軽量でしなやかでありながら機銃掃射や手榴弾の爆風を浴びても傷一つ付かないほどの非常に高い対衝撃性を発揮する点と、両手部分の指先から伸縮するヴィブラニウム製の銀色の爪を武器とし、その切れ味は、同じヴィブラニウム製の物体にも傷跡を残し、コンクリート製の壁面にも指先を食い込ませられるほど鋭い点は共通である。
- 旧スーツ
- かつてのアベンジャーズの内乱時と、本作の物語の前半でティ・チャラが着用したブラックパンサー・スーツ。現在でも充分な性能を有しているが、シュリは「機能しているだけで古過ぎ」と評し、後にエヴェレットも「防弾キャットスーツ」と揶揄する。
- 詳細は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ#ブラックパンサー・スーツ」を参照
- 新スーツ
- シュリによって2着分新開発された、アップグレード版ブラックパンサー・スーツ。旧型と共通の性能に加え[注釈 8]、2つの新機能が追加された。
- 1つ目は、ナノマシンによるスーツの形成機能で、未使用時は豹の牙の形をした首飾りだけの状態であり、使用者が頭の中で起動の意思表示をすると、首飾りに内蔵されたナノマシンが放出されて、使用者の身体に一瞬でスーツを形成・装着させる。これによりスーツの携帯性が向上し、スーツの一部を破損してもその箇所にナノマシンを再放出させて瞬時に修復できるなど利便性が高まった。ヘルメットもナノマシンと使用者の意思で形成・解除が可能。両目部分は展開機能が付与され、ヘルメット実体化中は使用者の声が拡声器を通した音声となる。
- 2つ目は、エネルギーの吸収・蓄積・放出機能で、衝撃を受けるとその動的エネルギーをスーツ内に吸収・蓄積し、敵に対して任意のタイミングで蓄積したエネルギーを全て放出することで、周囲へ一斉に攻撃する。エネルギーが蓄積されると、スーツの衝撃を受けた部分が光る。
- しかし、スーツの形成・装着機能は、起動させると使用者が装着時に着ていた衣服が分解するため、装着を全て解除すると全裸になってしまい、エネルギー放出機能については、エネルギーの蓄積量に限界があるようで、スーツに一定量のエネルギーが蓄積された状態で別の強烈な衝撃を受けると、使用者の意思に関係なくエネルギーを自動的に放ってしまうなど、新機能については改良の必要があるように見受けられる。
- 2着の新型は、銀の首飾りを媒介とする旧型と似た意匠のスーツと、金の首飾りを媒介とする、凶猛さを感じさせるデザインのスーツとして完成し、スーツの光や放出されるエネルギーの色は、銀の首飾りのスーツが紫、金の首飾りのスーツが黄色である。
- ティ・チャラは金の首飾りのスーツを「惹かれる」と評しながらも、「潜入任務の際に目立つ」という理由で使うことはなく、銀の首飾りのスーツを選択し、韓国やワカンダでの戦闘で装着する。後にワカンダの王位を奪ったキルモンガーが金の首飾りのスーツを入手し、クライマックスではティ・チャラとキルモンガーが互いにスーツ姿で決闘を展開する。
- EMPビーズ
- ティ・チャラが物語の前半で使用した小型EMP爆弾。普段は球状だが、投げこむことでディスク状に変化して対象に張り付き、発生する電磁波により電子機器を破壊する。1個で自動車1台を故障させられるほどの威力だが、シュリによると「まだまだ改善の余地がある」とのこと。
- ソニック・アーム・キャノン
- ユリシーズ・クロウのプラスチック製左義手に内蔵されている銃砲。もともとはワカンダのヴィブラニウム採鉱用の工具だったものをクロウが奪って加工し、自身の左義手に内蔵させた。
- 発砲の際には左義手が左右に展開して銃砲本体がせり上がり、発射される衝撃波は一発でヴィブラニウム製の自動車をも破壊するほどの威力を持つ。ほかにも普段の形状でも、掌から振動波を放ち、GPS機能も搭載されている。だがもともと戦闘用ではなかったことから、極めて強力な武器というわけではない様子である。
- 釜山のカジノに現れたティ・チャラたちに対抗するために使用されるが、クロウがCIAに一時捕らわれたことで押収された。しかし、GPS機能によってキルモンガーらを呼び寄せ、クロウの脱出に一役買う。
その他のアイテム・武器[編集]
- ハーブ
- 紫色に光るハート形をした神秘のハーブで、太古の昔にアフリカ大陸に落着したヴィブラニウム隕石のエネルギーを受けて変異した特殊な植物。ワカンダでは黒豹の女神“バースト”に与えられたと伝わり、ワカンダ国王/ブラックパンサーだけがこれを摂取することを許されているため[注釈 9]、ズリが共同墓地で管理している。液体状にすり潰して飲用すると、全身に数秒間神経状の模様が浮かびつつ若干の苦しみを負い、皮膚の一部が一瞬紫色に光るという過程を経て、超人的な筋力や俊敏さなどの身体能力と、研ぎ澄まされた認知能力を得ることができ、飲用した者の弱った生命力を強化させる作用もある。飲用した直後に砂や雪に全身を埋めて眠ることで、意識が不可思議な空間に送られ[注釈 10]、そこで自身の先祖たちとの邂逅・対話が可能となる[注釈 11]。また、これによって得た力を抹消する別の薬草も存在し、ワカンダの国王が即位する際の儀式で、現国王は王座に挑戦する者と公平に対決するためにこれを飲用して力を抹消しなければならない[注釈 12]。
- 劇中ではティ・チャラやキルモンガーが飲用したが、キルモンガーが儀式を終えた直後に、彼の指示で共同墓地にあるこの植物は全て焼き払われてしまった。しかしその直前に、ナキアが一欠片分だけ採取し、後に意識不明状態のティ・チャラを助命する。
- キモヨ・ビーズ
- ワカンダの国民がブレスレットとして片腕にはめているヴィブラニウム製の数珠玉。一見何の変哲も無い数珠玉だが、通話相手の立体映像を投影できる[注釈 13]高性能の通信機であるほか、ビーズ1個を重傷者の傷口に埋め込んで一時的に容体を安定させる応急処置用の医療器具としての機能や、航空機の操作までに使用できる万能ツールである。但し、独自の文化を築いたジャバリ族のみは使用していない。
- リモート・アクセス・キモヨ・ビーズ
- 派生改良型のディスク型キモヨ・ビーズ。ワカンダで造られたビークルに投げて張り付るとシュリのラボ内に、貼り付けた対象と同型の単色の立体映像が出現する。立体映像のコクピットは対象のビークルと同等のもの若しくは別のものいずれかを選択して出現させることができ、これを操縦することでビーズが貼り付けられた対象を遠隔操作できる。
- 韓国ではティ・チャラがレクサス・LC500の1輌に貼り付けてシュリが遠隔操作しティ・チャラをサポートした。クライマックスでは輸送機撃墜のために、シュリがロイヤル・タロン・ファイターに貼り付けて、出現した通常の戦闘機と同等のコクピットの立体映像をエヴェレットが遠隔操作する。
- リング・ブレード
- 中央部にエネルギーが走っている、近接攻撃と投擲に使用される一対の大型チャクラム。シュリのラボのサンド・テーブルに、彼女がドーラ・ミラージュ時代に着用していた赤い防護服と共に収納されていたが、クライマックスでキルモンガーらに立ち向かうためにナキアが使用する。
- ヴィブラニウム・スピア
- オコエたちドーラ・ミラージュの隊員の主武装である長槍。伸縮機能と放電機能も有している。
- ヴィブラニウム・ガントレット
- 豹の頭部を模した一対のガントレット。先端から衝撃波や、浴びせた相手に脳震盪を起こさせる超音波を発する。シュリによって開発される場面が登場したほか、彼女のラボのサンド・テーブルに、リング・ブレードやナキアの防護服と共に収納されていたが、クライマックスでキルモンガーに対抗するためにシュリが両手に装備する。
- ソニック・スピア
- クライマックスで登場する長槍。穂先に「一発で戦車も吹き飛ぶ」と言われるブラストを放つ“ソニック・キャノン”が内蔵されており、探知機にも発見されない武器であるらしい。
- ワカンダの王位を奪ったキルモンガーが、数千本量産したこの武器を最初に世界中の黒人たちに配ろうとして輸送させたが、エヴェレットが輸送機を撃墜したことで失敗。ボーダー族にも配備され、ティ・チャラやシュリもクライマックスで使用し、後者ではティ・チャラがドラゴン・フライヤーへ豪快に投擲して一発で撃ち落とす。
- シールド・バリア
- ボーダー族が使用する防壁のバリア。青を基調色とし、多数の象形文字がプリントされたマントを前面に張ることで、マントに織り込まれたヴィブラニウムの作用で高さ数メートルのバリアを張る。
- また、バリア機能は使用していないものの、クライマックスでナキアたちがシュリのラボに潜入する際にもバリア機能を持つものと同デザインのマントを羽織っている。
- バシェンガの槍
- ワカンダの歴史の中で最初の王にしてブラックパンサーとなった男“バシェンガ”が振るっていた長槍。現代ではズリが王位継承の儀式の際に携える。ティ・チャラとキルモンガーの最初の決闘でズリは、ティ・チャラが危機に瀕すると、これを用いてキルモンガーを一度制止したが、逆にキルモンガーに奪われて、自身が刺し殺されてしまう。
- スニーカー
- ティ・チャカが観賞していた古いアメリカ映画をヒントにシュリが作った特殊な靴。普段は靴底の形状だが、その上に足を乗せると全自動で靴型となり履くことができる。これを履いて歩いても足音を吸収して響かせない特殊機能も有しており、その機能からシュリは“スニーカー(=sneaker=忍び足)”と名付けた。
- 通信装置
- シュリが新開発した小さな通信用チップ。通信範囲は無制限であると共に、吸着機能や盗聴機能まで搭載されている。
- 韓国ではカジノでティ・チャラ、ナキア、オコエの通話と、ティ・チャラがエヴェレットによる一度身柄確保されたクロウへの尋問の盗聴に、クライマックスではシュリからエヴェレットへのアドバイスまでと、多くの場面で使われる。
その他のテクノロジー・ビークル[編集]
- サンドテーブル
- シュリのラボや、ロイヤル・タロン・ファイターに置かれている特殊なテーブル型装置。内包されている砂で、リンクしているカメラに捉えた対象を立体化したり[注釈 14]、怪我人用のベッドを形作ったり、アイテムを沈めて収納することまでできる。
- ソニック・スタビライザー
- ヴィブラニウムの鉱床“グランド・マウンド”に構えられるハイパーループ内に多数備わった光るパネル。ヴィブラニウムの力を不活性化させる機能を有し、これを起動させることにより、後述のマグレヴ・トレインにヴィブラニウムを安全に高速輸送させる。
- クライマックスでは、ティ・チャラがキルモンガーとの決戦で、戦いを有利に進めるためにこのパネルの機能を利用することを思いつき、ハイパーループ内に戦いの場を移してシュリにパネルを起動させ、互いのブラックパンサー・スーツの機能を無効にし、トレインが度々通過する中で最後の決戦を展開。このことがキルモンガーに致命傷を与える結果となる。
- グリオ
- シュリによって造られ、彼女のラボで起動する人工知能。クライマックスでロイヤル・タロン・ファイターの遠隔操作を頼まれたエヴェレットを音声サポートする。
- レクサス・LC500
- 韓国での活動のために、ティ・チャラの指示で現地に2輌分配備されたレクサス社の自動車。一見すると市販のレクサス車だが、外装はヴィブラニウム製であるため、普通の銃弾なら受けても傷一つ付かない。
- 劇中でこの車両をナキアは現地で直接運転し、シュリはラボから遠隔操作して、カジノから逃走したクロウを追跡するが、激しいカーチェイスの最中、クロウの反撃で2輌とも破壊される。
- マグレヴ・トレイン
- ワカンダ製の磁気浮上式電車。他国のリニアモーターカーを上回るほどの規模と高速走行速度を誇る。ワカンダの首都“ゴールデン・シティ”や、グランド・マウンドに備わったハイパーループを走り、それそれ乗客やヴィブラニウムの運搬を主に行っている。シュリのキモヨ・ビーズで発進させることも可能。
- その他の交通機関として、街中には磁気浮上式バスも運行している。
- ロイヤル・タロン・ファイター
- ワカンダの王家専属航空機。“タロン”は“爪”を意味し、上下から見る外観はアフリカの民族仮面がモチーフである。機体の外装はヴィブラニウム製であるため、体当たりしても大破しないほど頑強。乗降は後部から下がる階段で行い、コクピットの操縦席は単座式で操縦桿と背もたれが無いが、ほかのモニター用の座席には背もたれがある。コクピット中央にはサンドテーブルが設置され、ステンドグラスの床はカーゴハッチとなっている。機体後部に1基、底部に3基備わった磁気浮上式エンジンで、高速飛行し、VTOLやホバリング、クローキング機能を有し、ワカンダ国民以外にその姿を見せることなく飛行・活動する。機首に備わった2門の砲口から発射するブラストを主武装とし、さらに操縦士が両腕をクロスしてほどく“ワカンダ・フォーエバー”と同様の動作を行うことで機体周囲の敵へ衝撃波を放つ“ソニック・オーバーロード”という機能まで発動できる。
- 基本的に国王たちの移動や戦闘といった活動に運用されるが、クライマックスでは、エヴェレットが遠隔操作により操縦し、ラストではティ・チャラがオークランドの子どもたちに披露する。
- ドラゴン・フライヤー
- ワカンダに複数配備されている、トンボのような外観をした戦闘機。2人乗りのコクピットの操縦席は左右の複座式で、操縦士はキモヨ・ビーズをはめた腕で操縦する。機首は前方に曲がり込み、トンボの羽のような主翼を折り畳んで直立姿勢のままロイヤル・タロン・ファイターと同様にVTOLやホバリングが可能。武装は機首に備わった2門の砲口から発射するブラストと、機体下部から射出する電磁パルスケーブル。
- キルモンガーの指示で発進した輸送機の護衛として3機が、妨害に現れたティ・チャラやエヴェレットへの攻撃にも1機ずつ出撃するが、エヴェレットに直接攻撃を仕掛けた機体以外は全て撃墜される。
- 輸送機
- クライマックスでキルモンガーが、ソニック・スピアの輸送に世界中の主要都市に派遣しようとした小型輸送機。コクピットは前後の複座式2人乗りで、座席は縦横並列式。本機も操縦士がキモヨ・ビーズをはめた腕で操縦する。
- キルモンガーの指示で3機が発進するが、最初の1機はティ・チャラに、残りの2機はロイヤル・タロン・ファイターを遠隔操作するエヴェレットにそれぞれ撃墜される。
国家・地域・施設[編集]
- ワカンダ
- 中央アフリカの小国。これまでのMCU作品の中で何度かその存在を示唆されてきたが、本作において主な舞台となり、遂にそのベールが明かされる。
- 詳細は「ワカンダ#他のメディア」を参照
- サンビサ森林
- ナイジェリア北東部のボルノ州に位置する広大な森林地帯。物語の前半で、ティ・チャラとオコエが任務中のナキアを連れ出すために、彼女が潜入していたテロリスト集団と交戦・撃退し、捕らわれていた奴隷たちを解放する。
- グレートブリテン博物館
- イギリスのロンドンに構えられた博物館。西アフリカ展示室に盗品であるヴィブラニウム製の利器を展示していたが[注釈 15]、観客になりすましたキルモンガーや救急隊員に変装したクロウらによって首尾良く強奪されてしまう。
- カジノ
- 韓国の釜山にあるチャガルチ市場に構えられた地下式の遊興施設。玄関はソフィアが営む商店の一角に隠されており、金属探知機を通過してドアから入店する。
- ここでクロウは、14人もの部下を引き連れて博物館から奪ったヴィブラニウムをアメリカ人の買い手と取引しようとするが、そのことを嗅ぎつけて潜入したティ・チャラたちやエヴェレットと交戦となり、店内は騒然となる。
- 国際連合ウィーン事務局
- オーストリアのウィーンにある国連の事務所。かつてここは、ソコヴィア協定の署名式が開催されたと同時に、ジモによる爆破テロも発生し、ティ・チャカが犠牲者の一人として亡くなった場でもある。
- エンドクレジット後に、ティ・チャラたちが来訪し、エヴェレットも傍聴席から見守る中で、ワカンダの開国を演説する。
他マーベル作品とのクロスオーバー[編集]
- 本作は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の出来事の1週間後としてストーリーが展開され、先行登場したキャラクターも登場する。
- 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でも本作のキャラクターが登場し、ワカンダ国が重要なシーンで登場する。
トリビア[編集]
本作では、日本の高級車ブランド「レクサス」が販売する「LC500」が登場し、ブラックパンサー専用の車両となっている[9]。車体は「ヴィブラニウム鉱石」で作られており、銃弾を寄せ付けないといった機能を持っている[9]。ナキア、オコエが乗る車両としてLC500と同じく「ヴィブラニウム鉱石」で作られているレクサスの「GS F」が登場する。ユリシーズ・クロウが釜山で使用する車両としては5代目トヨタ・フォーランナーのカスタムモデルが登場する。
日本での公開[編集]
日本では「国王とヒーロー…2つの顔をもつ男。」「国王として守るか? ヒーローとして戦うか?」というキャッチコピーで2018年3月1日に公開された。同年2月18日には吹き替え版完成披露試写会が開催され、シュリ役の百田夏菜子、サプライズゲストとして藤岡弘、が登壇して舞台挨拶が行われた[10]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 本作開始から儀式を終える前までは王子だった。
- ^ さらにティ・チャカとラモンダの甥でもある。
- ^ 近くに展示されていた前述の民族仮面も、この時に奪取した。
- ^ 降参の直前に、ウカビが騎乗していたサイに、敬愛の意思表示のように頰を舐められた。
- ^ ティ・チャラやシュリの叔父でもある。
- ^ 自分やティ・チャカの父親は“アズーリ”という名である。
- ^ 前国王であるティ・チャカが1992年時に着用していたものを含めれば、計4種のスーツが本作に登場することになる。当時のティ・チャカのスーツは、ヘルメットのラインが現代の旧型と異なり、首飾りも金色だった。
- ^ 但し、クロウが発砲したエネルギー波を受けてスーツが破れたり、キルモンガーが近距離から放ったグレネードの爆風でティ・チャラが吹き飛ぶなど、耐衝撃性については武器と攻撃の受け方によってスーツ本体が破損したり、装着者に負荷がかかることがあった。
- ^ 但し飲用する際には、自分自身で直接飲用するのではなく、他者に飲用させてもらわなければならない様子である。
- ^ ティ・チャラは1本の樹木が立った草原へ、キルモンガーは幼少期に父と住んでいたマンションの一室を再現した空間へそれぞれ送られたが、いずれも紫色の空に覆われていた。
- ^ 邂逅・対話を終えて目を覚ますと、数秒間だけパニック状態のように自我が不安定になる。
- ^ 力を抹消させる薬草を飲用する際も他者に飲用させてもらわなければいけない様子で、これも飲用すると全身に数秒間神経状の模様が浮かび、若干の苦しみを伴う。
- ^ 通信時には、通話相手の前面のみを着色した上半身を、砂によるホログラムで身体のサイズを除いて鮮明に再現し、数人のビーズを合わせて同一の通話相手を投影させることも可能。
- ^ 立体化した砂は、手にとった者の手元で崩れることなく保持することも可能。
- ^ この利器は、7世紀のベニン王国に住むフラニ族が使用していたものだと伝えられていた。
参考[編集]
- ^ a b “Black Panther”. 2018年10月19日閲覧。
- ^ 2018年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟 2019年2月11日閲覧。
- ^ “映画『ブラックパンサー』は、「アフロ・フューチャリズム」を人類の希望に転じた:池田純一レヴュー” (2018年3月18日). 2018年4月2日閲覧。
- ^ “【北米興行成績】「ブラックパンサー」が史上最高の興収を獲得したスーパーヒーロー映画に” (2018年3月26日). 2018年4月2日閲覧。
- ^ “「映画館が禁止された国」サウジアラビアで35年ぶりに映画館オープン、初上映作品は『ブラックパンサー』 ─ 男女同席も可能に”. THE RIVER (2018年4月7日). 2018年4月15日閲覧。
- ^ a b c d e f “マーベル「ブラックパンサー」吹替に田村真、津田健次郎、中井和哉、森川智之ら参加”. 映画ナタリー. (2018年1月17日) 2018年1月17日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “話題のふきカエ ブラックパンサー”. ふきカエル大作戦!!. (2018年3月1日) 2018年3月1日閲覧。
- ^ “ももクロ百田夏菜子、マーベル新キャラ声優に決定!ブラックパンサーの妹役”. シネマトゥデイ. (2018年1月25日) 2018年1月25日閲覧。
- ^ a b “マーベル・スタジオ最新作『ブラックパンサー』にLC500が登場”. レクサス 2018年2月23日閲覧。
- ^ “ももクロ百田&藤岡弘、「ブラックパンサー」のリーダー像に共鳴”. 映画.com. (2018年2月20日) 2018年4月26日閲覧。
外部リンク[編集]
- 公式ウェブサイト(日本語)
- ブラックパンサー - allcinema
- ブラックパンサー - KINENOTE
- Black Panther - インターネット・ムービー・データベース(英語)
- Black Panther - Box Office Mojo(英語)
- Black Panther - Rotten Tomatoes(英語)
- Black Panther - Metacritic(英語)
- Black Panther (blackpanther) - Instagram
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