007/カジノ・ロワイヤル (2006年の映画)
| 007/カジノ・ロワイヤル | |
|---|---|
| Casino Royale | |
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公式ロゴ | |
| 監督 | マーティン・キャンベル |
| 脚本 |
ニール・パーヴィス ロバート・ウェイド ポール・ハギス |
| 原作 | イアン・フレミング『カジノ・ロワイヤル』 |
| 製作 |
バーバラ・ブロッコリ マイケル・G・ウィルソン |
| 製作総指揮 |
アンソニー・ウェイ カラム・マクドゥガル |
| 出演者 |
ダニエル・クレイグ エヴァ・グリーン マッツ・ミケルセン ジャンカルロ・ジャンニーニ カテリーナ・ムリーノ シモン・アブカリアン イザック・ド・バンコレ イェスパー・クリステンセン イワナ・ミルセヴィッチ トビアス・メンジーズ クラウディオ・サンタマリア セバスチャン・フォーカン ジェフリー・ライト ジュディ・デンチ |
| 音楽 | デヴィッド・アーノルド |
| 主題歌 |
「You Know My Name」 クリス・コーネル |
| 撮影 | フィル・メヒュー |
| 編集 | スチュアート・ベアード |
| 製作会社 |
イーオン・プロダクションズ ダンジャック メトロ・ゴールドウィン・メイヤー ユナイテッド・アーティスツ コロンビア ピクチャーズ スティルキング・フィルムズ バーベルスバーグ・フィルムズ |
| 配給 |
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| 公開 |
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| 上映時間 | 144分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $150,000,000 |
| 興行収入 |
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| 前作 | 007/ダイ・アナザー・デイ |
| 次作 | 007/慰めの報酬 |
『007/カジノ・ロワイヤル』(原題: Casino Royale)は、2006年のスパイアクション映画。イーオン・プロダクションズの「ジェームズ・ボンド」シリーズの第21作目で、イアン・フレミングが1953年に発表した同名の小説の3度目の映画化作品。監督はマーティン・キャンベル、脚本はニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ポール・ハギスで、ダニエル・クレイグが架空のMI6諜報員ジェームズ・ボンドを演じる最初の作品であり、イーオン・プロダクションズがメトロ・ゴールドウィン・メイヤー、コロンビア ピクチャーズと共同製作した。
ストーリー
[編集]2006年、中央ヨーロッパにあるチェコの首都、プラハ。イギリスの対外情報機関であるMI6(秘密情報部)所属のエージェント、ジェームズ・ボンド(演:ダニエル・クレイグ)は、機密書類を売っていたプラハ支局長ドライデン(演:マルコム・シンクレア)と連絡役のフィッシャー(演:ダーウィン・ショウ)の二人を暗殺、殺しのライセンスである「00(ダブルオー)」の称号を獲得し、00部門の一員となる。
その後、テロ組織の情報を摑むため南部アフリカのマダガスカルへと飛んだボンドは、新人エージェントと共に爆弾を密造するテロリスト、モロカ(演:セバスチャン・フォーカン)を監視していたものの、新人のミスでモロカに気づかれてしまい、建設現場での逃走劇の末ナムブツ大使館へと逃げられてしまう。ボンドも後を追い大使館へ侵入、モロカを捕まえたが、ナムブツ兵らに包囲される。すかさずモロカとガスボンベを撃ち抜きボンドは逃走に成功、モロカの携帯電話に「エリプシス」というメッセージがあるのを発見する。
ロンドンへと戻ったボンドは、「エリプシス」の送信主を調べるため、MI6長官M(演:ジュディ・デンチ)のアカウントを使って英国軍情報部データベースへとアクセス、バハマの首都ナッソーからだと突き止めた。
ナッソーのリゾートホテル「オーシャン・クラブ」に着いたボンドは警備室に侵入、メッセージの送信日時と監視カメラ映像を照らし合わせた結果、ギリシャの武器商人アレックス・ディミトリオス(演:シモン・アブカリアン)が送信主だと判明する。ボンドはアレックスとポーカーで勝負し勝利を収め、彼の愛車である1964年型アストンマーティン・DB5型を手に入れる。その後、アレックスの妻であるソランジュ(演:カテリーナ・ムリーノ)を誘惑、彼がアメリカ南海岸のマイアミに飛ぶことを知ったボンドは急いで後を追う。
マイアミの「人体の世界展」が開催中の博物館へアレックスを尾行したボンドだったが、それに気づいたアレックスにナイフを突き立てられる。ボンドはすぐに刺しかえしアレックスを殺す。だがボンドは、アレックスがクロークスタッフに預けた荷物が回収されていることに気づき、回収したカルロス(演:クラウディオ・サンタマリア)を追う。
着いた先は、マイアミ国際空港であった。ちょうど今日、世界最大級の新型旅客機「スカイフリート S570」のお披露目会が開催されるのである。ボンドはMに空港に対しテロ攻撃への警告を請うがその瞬間、火災用スプリンクラーが作動する。空港は大パニックに陥り、カルロスは計画を進める。Mはボンドに、「カルロスの狙いはスカイフリート社の新型機だ」と伝え、ボンドはカルロスを阻止するため動き出す。
燃料を積んだタンカーをジャックしたカルロスはまっすぐ新型機へ突進、その途中運転席へ飛び込んだボンドはなんとかカルロスを押し出し、間一髪のところでタンカーを停止させる。ボンドはアメリカ警察に捕らえられ、高みの見物となったカルロスは起爆スイッチを押すものの、爆弾はタンカーから自分のズボンへと移動していた。
ナッソーに戻りMと合流したボンドはテロ計画の全容を知る。様々なテロ組織の資金繰り担当であるル・シッフル(演:マッツ・ミケルセン)は、9.11(アメリカ同時多発テロ事件)直後、被害を受けた航空会社株に対し大量の空売りをして、9月12日の株価大暴落で大儲けをしていた。今回、東アフリカのウガンダのテロ組織「神の抵抗軍(IRA)」の指導者スティーブン・オバンノ(演:イザック・ド・バンコレ)将軍から得た1億ドルを元手にスカイフリート社の株を100万株分空売りし、また大儲けをしようとしていた。だがボンドが阻止したことによりル・シッフルの計画は総崩れ、破格の赤字で終わる。今、ル・シッフルはなんとかこの状況から挽回するため、南ヨーロッパのモンテネグロにある「カジノ・ロワイヤル」でのポーカーでIRAへの返金分を得ようとしているのである。
これに参加するには1000万ドル、ゲーム復帰には500万ドルがかかるものの、勝利すれば1億5000万ドルもの大金が手に入るという。ソランジュは溺死させられハンモックに包まれた死体となっており、これはル・シッフルからの口封じだということは自明であった。
左腕にGPS発信機を埋め込まれたボンドは列車で一路モンテネグロへ向かう。その列車で、金庫番として英国財務省の金融活動作業部会(FATF)の一員ヴェスパー・リンド(演:エヴァ・グリーン)と出会い、行動を共にする。二人は「カジノ・ロワイヤル」のある「ホテル・スプレンティド」に到着。その後、味方のルネ・マティス(演:ジャンカルロ・ジャンニーニ)と合流し、現地警察はル・シッフルに買収されていることを伝えられる。
この日の夜。ついにボンド一行は「カジノ・ロワイヤル」へ向かう。ボンドはそこでル・シッフルと会うが、相手はボンドの読み通りすでに自分の素性を知っていた。スイス銀行行員メンデル(演:ルドガー・ピストール)から一連の説明を受けた後、ついにゲームがスタートする。そこでボンドは、ル・シッフルがブラフのときに出すクセを読み取った。
開始から4時間が経った後、小一時間休憩が取られる。隙をみてボンドはル・シッフルの吸引器に盗聴器を仕掛けた。そんなことはつゆ知らずル・シッフルは部屋に戻る。するとオバンノ将軍とその一味が襲撃し、ル・シッフルの妻ヴァレンカ(演:イワナ・ミルセヴィッチ)を人質に取る。ル・シッフルはポーカーで稼ぐため何日かないと返済できないと伝えると、オバンノは一日だけを与えてその場を去る。ボンドとヴェスパーもこの状況に気づきル・シッフルの部屋の前の廊下で盗聴していると、オバンノの部下の一人に耳のイヤホンが原因でバレてしまう。階段での血みどろの大激闘の末、何とかオバンノ達を殺したボンドは、死体処理をマティスに任せ、再びゲームに戻る。
ボンドは、ル・シッフルのクセを見抜き、フルハウスで勝負するもル・シッフルの方がより強いフォー・オブ・ア・カインドを持っていたため、ボンド1000万ドルすべてを失ってしまう。ボンドはヴェスパーに追加の500万ドルを頼むが、ボンドの強気なプレイを見たヴェスパーはそれを拒否する。ボンドはル・シッフルを殺してしまおうとナイフを持つが、それを止めたのがアメリカの対外情報機関、CIA(中央情報局)エージェントのフェリックス・ライター(演:ジェフリー・ライト)だった。ライターは自分の残金全てをボンドに託す代わりに、ル・シッフルの身柄をCIAに引き渡すことで合意したボンドは、ゲームへ復帰することができた。
だがそのゲームで、ボンドが頼んだヴェスパー・マティーニにヴァレンカがジギタリスの毒を盛る。ジゴキシン中毒となって幻覚や重篤な不整脈に襲われたボンドは、アストンマーティン・DBS V12へと戻りMI6本部と連絡、解毒剤を注射した後AEDを作動させようとするも心停止してしまう。そこに駆け付けたヴェスパーがすぐにAEDを作動させたおかげで何とかボンドは一命を取り留めた。そして、ボンドはル・シッフルとの最終決戦に臨む。このゲームで、ル・シッフルが1200万ドルをレイズした応酬としてボンドは残り全てを投入、ル・シッフルはAのフルハウスだったがボンドが持っていた手はストレートフラッシュだった。ボンドは、ここに大勝利を収めたのである。
ル・シッフルは我慢ならず、ヴェスパーを拉致、ボンドに後を追わせる。道路の上に手足を縛られおかれたヴェスパーを見つけたボンドは急ハンドルを切り横転、大破した。ボンドのGPSを抜いたル・シッフルは、「連絡役はマティスだ」とウソをつき、廃船へと二人を連行する。座面の無いイスに全裸で座らされたボンドは、ル・シッフルにより結び目を作った太いロープを強く睾丸に打ち付けられる。暗証番号を引き出すための拷問だった。だがそこに、国際的犯罪組織「スペクター(英語版)」、またそれの下部組織「クォンタム」の幹部ミスター・ホワイト(演:イェスパー・クリステンセン)が乱入、組織の信用を失墜させたとしてル・シッフル、またその部下を銃殺する。
北イタリア、アルプスのコモ湖。ここにある診療所でボンドは意識を取り戻し、献身的に看病にあたるヴェスパーとその愛を確かめ合う。ボンドは暗証番号を「VESPER」に設定していた。ボンドはマティスをMI6に引き渡し、彼もまた拷問を受けることになる。だがこれはル・シッフルが残した最後の罠であった。ボンドはMに退職届を出し、ヴェスパーと共にイタリアの水の都ヴェネツィアへと向かい、甘美な日々を過ごす。だが、MからFATFに勝った分の金を送金せよと言われる。不審に思ったボンドはメンデルに預金を確認させると、今まさに引き出されているという。
ヴェスパーに裏切られたことに気づいたボンドはヴェスパーを尾行、そこでクォンタムのアドルフ・ゲットラー(演:リチャード・サメル)とその部下たちにカネを手渡しているところを目撃する。そして、それに気づいたゲットラーたちと修復中の家の中で銃撃戦が繰り広げられる。ボンドはその家の浮袋を撃ち、家を沈めさせる。クォンタムの男たちを次々と打ち破る中、エレベーターに閉じ込められたヴェスパーを助けようとするも彼女が内側から鍵をかけ、ボンドの手に最後のキスをして水中に沈んでいってしまった。何とかヴェスパーを引き上げるも万事休す、どれだけ心肺蘇生をしても息を吹き返すことはなかった。ミスター・ホワイトは、これを後目にカネの入ったブリーフケースを持って行った。
Mは、ヴェスパーの置かれていた状況を伝える。彼女にはフランス系アルジェリア人の恋人ユセフ・カビラがおり、クォンタムはこの恋人を誘拐して協力を迫っていたという。そんなヴェスパーの携帯のアドレス帳には、ミスター・ホワイトの電話番号があった。
コモ湖にあるミスター・ホワイトの邸宅。車から降りたホワイトに携帯がなる。「誰だ?」と応答したその瞬間、左足をサブマシンガンのH&K UMP-9で遠距離から撃ち抜かれた。のたうち回るホワイトに狙撃者はこう言い放つ。
「ボンドだ。ジェームズ・ボンド。」
キャスト
[編集]
| 役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
|---|---|---|---|
| ソフト版 | テレビ朝日版[3] | ||
| ジェームズ・ボンド | ダニエル・クレイグ | 小杉十郎太 | 藤真秀 |
| ヴェスパー・リンド | エヴァ・グリーン | 岡寛恵 | 冬馬由美 |
| ル・シッフル | マッツ・ミケルセン | 中多和宏 | 藤原啓治 |
| M | ジュディ・デンチ | 此島愛子 | 沢田敏子 |
| フィリックス・ライター | ジェフリー・ライト | 辻親八 | 石田圭祐 |
| ルネ・マティス | ジャンカルロ・ジャンニーニ | 菅生隆之 | 西村知道 |
| ソランジュ・ディミトリオス | カテリーナ・ムリーノ | 北西純子 | 山像かおり |
| アレックス・ディミトリオス | シモン・アブカリアン | いずみ尚 | 横島亘 |
| スティーブン・オバンノ | イザック・ド・バンコレ | 江川央生 | 大友龍三郎 |
| ミスター・ホワイト | イェスパー・クリステンセン | 伴藤武 | 大塚芳忠 |
| ヴァレンカ | イワナ・ミルセヴィッチ | 東條加那子 | 北西純子 |
| ヴィリアーズ | トビアス・メンジーズ | 川本克彦 | |
| カルロス | クラウディオ・サンタマリア | 吹替なし | |
| モロカ | セバスチャン・フォーカン | セリフなし | |
| ドライデン | マルコム・シンクレア | 浦山迅 | 中博史 |
| アドルフ・ゲットラー | リチャード・サメル | 勝沼紀義 | |
| メンデル | ルドガー・ピストール | 塾一久 | 仲野裕 |
| カーター | ジョセフ・ミルソン | ||
| 株式仲買人 | トム・シャドボン | をはり万造 | |
| インファンテ | エイド | 朝倉栄介 | 乃村健次 |
| マダム・ウー | ツァイ・チン | セリフなし | |
| ディーラー | ダニエル・アンドレアス | 風間秀郎 | 宗矢樹頼 |
| トーナメント責任者 | カーロス・リール | 金子達 | 堀川仁 |
| オーシャンクラブの受付嬢 | クリスティーナ・コール | 一木美名子 | 武田華 |
| シュルツ | ユルゲン・タラッハ | 大西健晴 | かぬか光明 |
| 女性ディーラー | ジェシカ・ミラー | 川庄美雪 | 橘凜 |
| 医師 | ポール・バッターチャージー | 近藤広務 | 岡哲也 |
| クリスピン・ボナム=カーター | 中村浩太郎 | 小松史法 | |
| 技術スタッフ | サイモン・コックス | 丸山壮史 | 林和良 |
| レベッカ・ゲッシングス | 永吉ユカ | 亀岡真美 | |
| ホテル・スプレンディドの受付嬢 | レジーナ・ガバジョーヴァ | 田中晶子 | |
| その他 | かつまゆう 小松史法 | ||
| 日本語版制作スタッフ | |||
| 演出 | 三好慶一郎 | 鍛治谷功 | |
| 翻訳 | 松崎広幸 | 前田美由紀 | |
| 調整 | オムニバス・ジャパン | 長井利親 | |
| プロデューサー | 上田めぐみ 小久保聡 水谷圭 吉川大祐 山田兼司 | ||
| 制作 | 東北新社 | ブロードメディア | |
| 初回放送 | 2012年11月28日 『水曜プレミアシネマ』 21:00-23:24 | 2009年10月11日 『日曜洋画劇場』 21:00-23:39 | |
- ソフト版:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンから発売のDVD/BDに収録
- テレビ朝日版:キングレコードから発売の特別版DVDにカット部分を追加収録した『吹替完声版』を収録
※2019年12月18日発売の「007/ダニエル・クレイグ 4K ULTRA HD BOX〈8枚組〉 Blu-ray」の4K ULTRA HDディスクには2種類の吹き替え版を全て収録。
スタッフ
[編集]- 監督 - マーティン・キャンベル
- 製作総指揮 - アンソニー・ウェイ、カラム・マクドゥガル
- 製作 - マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
- 原作 - イアン・フレミング
- 脚本 - ニール・パーヴィス 、ロバート・ウェイド、ポール・ハギス
- 音楽 - デヴィッド・アーノルド
- 主題歌 - クリス・コーネル
- 撮影 - フィル・メヒュー
- 編集 - スチュアート・ベアード
- プロダクション・デザイン - ピーター・ラモント
解説
[編集]ティモシー・ダルトン主演第15作『007/リビング・デイライツ』以来のイアン・フレミングの小説が原作となっている。また、今作品のラストシーン(イタリアでボンドがホワイトを襲撃するシーン)と、次作『007/慰めの報酬』の冒頭シーン(ボンドがホワイトをカーチェイスの上、イタリアのMI6の拠点まで搬送するシーン)がシンクロしており、次作『007/慰めの報酬』は本作の続編かつオリジナル脚本による作品となった[4]。本作は正確にはリメイクとなるが、1967年の旧作は原作を大幅に逸脱したパロディ作品だった。今回のリメイク作は原作(フレミングによる一連のボンド作品の第1作目)に比較的忠実になっている。ピアース・ブロスナンは4本のボンド映画に出演する契約を結んでいたが、途中で降板してしまい[5]、後任には「200人の候補名」があがったという[6]。結局、ボンド役はダニエル・クレイグに決定した。
それまでのボンド映画とは別の、新しいボンド映画の1作目である。そのため、ボンドは1968年4月13日生まれに設定され、冷戦時代にボンドはスパイとして活躍していないなど、それまでの設定とは異なっている(それまでは、ショーン・コネリー(初代)~ロジャー・ムーア(3代目)が演じたボンドは1920年代生まれで、ティモシー・ダルトン(4代目)、ピアース・ブロスナン(5代目)、ダニエル・クレイグ(6代目)のボンドはそれぞれの俳優が誕生した年がボンドの産まれた年となった)。そのため、ジュディ・デンチ演じるMも性格の異なった新しいMとなっている。
1967年に公開された第1作目の『カジノ・ロワイヤル』はコロムビア映画作品(現・ソニー)。1990年代に入りソニーは『ネバーセイ・ネバーアゲイン』のプロデューサーと組んで別の007シリーズを開始しようとしたため、製作会社であるメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)とイーオン・プロダクションズ、及びその親会社であるダンジャックとの法廷闘争に発展した[7]。しかし、その後にソニーがMGMを買収した[8][9]ことから、シリーズ続編製作の権利を得た。

前作までの配役で変わっていないのはM役のジュディ・デンチのみ。シリーズ従来のレギュラーキャストであるマネーペニーとQは今作には登場しない。フィリックス・ライターはシリーズ初の黒人となった[10]。ボンドガールの候補者は、アンジェリーナ・ジョリー、シャーリーズ・セロンや、オドレイ・トトゥ(フランス)らが候補にあがったが、2006年2月にエヴァ・グリーン(フランス)に決定した[11]。
ボンド候補者になった俳優は、アレックス・オロックリン、ゴラン・ヴィシュニック、ヘンリー・カヴィル、ユアン・スチュワート、ジュリアン・マクマホン、ダグレイ・スコット、ジェームズ・ピュアフォイ、ヒュー・ジャックマン[12][13][14]、クライヴ・オーウェン[15]、ヨアン・グリフィズ、クリスチャン・ベール、エリック・バナ[16]、コリン・ファレル[17][18]、ジュード・ロウ[19]、オーランド・ブルーム、ジョシュ・ブローリン、ベン・アフレックなど。三代目ボンドを演じたロジャー・ムーアの長男ジョフリーも有力な候補者の一人だった[20]。当初、ユアン・マクレガーがボンド役にオファーされたが、タイプキャスト(同じような役柄を繰り返し演じることでイメージが固定されること)を恐れて断ったため、ダニエル・クレイグにオファーがされた。前作まで主役を演じたピアース・ブロスナンも意欲を示していた[21][22][23][24]が、作品中のジェームズ・ボンドの年齢設定が若く起用が見送られた[25][26]。
他のキャストではジェシカ・アルバがボンド・ガールに立候補し、ベン・キングスレー[27]、ジョン・トラボルタ、アラン・リックマンらが悪役を熱望した。
ファッション・センスあふれるボンドが着用したのは、スーツ・タキシードはイタリアのブリオーニ、サングラスはイタリアのアイウェアメーカーのペルソール、靴は英国のジョン・ロブである。
香水はサンタ・マリア・ノヴェッラの柘榴の香りが登場した。
爆弾密造人モロカを演じたセバスチャン・フォーカンは、作中の追跡シーンでパルクールの技を披露しており、ダニエル・クレイグも彼から技術を学んでいる[28]。
製作協力しているヴァージン・アトランティック航空のリチャード・ブランソン会長が、マイアミ国際空港のシーンにカメオ出演している。しかし2007年4月21日、ブリティッシュ・エアウェイズが、同社の機内上映版でブランソン会長の出演部分と、ヴァージン機の尾翼の写ったシーンをカットすると発表し、物議をかもした[29]。

撮影地はカルロヴィ・ヴァリ(チェコの温泉)、プラハ、バハマ、イタリア、イギリス。
2006年7月30日にカジノ・ロワイヤルの撮影が行われているロンドン郊外のパインウッド撮影所で火災が発生し、撮影に使われているセットなどが灰になってしまった。しかし、撮影はすでに終了し、セットは解体の最中だったので、作品には殆ど影響がない[30][31][32][33]。
『ワールド・イズ・ノット・イナフ』、『ダイ・アナザー・デイ』と2作続けてドルビーデジタル・サラウンドEXで音響製作されていたが、本作以降は通常のドルビーデジタルに戻っている。
主題歌
[編集]サウンドガーデン、オーディオスレイヴのヴォーカリスト、クリス・コーネルが起用され、映画とは別タイトルの"You Know My Name"を歌った[34]。イギリスのチャートでは、最高位7位と健闘したが、アメリカの「ビルボード」誌では、チャート入りを果たしたものの最高位81位だった。同サウンドトラック・アルバムは、チャート入りを果たせなかった。主題歌“You Know My Name”は、本作のサウンドトラック盤には収められていない[35]。これはシリーズ開始以来、初めてのことである[36]。
興行収入
[編集]興行収入は全世界で5億9420万ドルに達し、2002年の『007/ダイ・アナザー・デイ』の記録を破り、シリーズ最高記録を樹立。2012年に『007 スカイフォール』がその記録を更新した[37]。
映画評論サイトRotten Tomatoesで高い評価を受け支持率は95%となった[38]。『シカゴ・サンタイムズ』のロジャー・イーバートは星4つの満点を付け、「私の45年間のボンド映画に関する批評に対して、私自身考えもしなかった答えを導き出した」と語っている[39]。
本作はシリーズで初めて中華人民共和国で上映許可が下り[40]、北京でプレミア上映も行われ、その後全国1000館以上において無修正で上映されることになった[41][42]。
Blu-ray/DVD
[編集]ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントよりBlu-ray DiscとDVDが発売。
- Blu-ray
- DVD
- 007 カジノ・ロワイヤル デラックス・コレクターズ・エディション 品番:SDL-43508 発売日:2007年5月23日(2枚組)
- 007 カジノ・ロワイヤル 品番:TSDD-43508 発売日:2007年5月23日
- 007 カジノ・ロワイヤル スペシャル・エディション 品番:TSAT-43508 発売日:2008年12月19日(3枚組)
- 007 カジノ・ロワイヤル デラックス・コレクターズ・エディション 品番:TSAD-43508 発売日:2009年6月26日
- 007 カジノ・ロワイヤル デラックス・コレクターズ・エディション 品番:TSAW-43508 発売日:2009年12月2日
- 007 カジノ・ロワイヤル デラックス・コレクターズ・エディション 品番:TSAY-43508 発売日:2010年4月28日
- 007 カジノ・ロワイヤル 品番:OPL-43508 発売日:2011年2月23日
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンよりBlu-ray DiscとDVDが発売。
キングレコードよりTV放送吹替初収録特別版DVDが発売。
- DVD
- 007/カジノ・ロワイヤル【TV放送吹替初収録特別版】 品番:KIBF-1121 発売日:2013年5月8日
- 007/カジノ・ロワイヤル【TV放送吹替初収録特別版】 品番:KIBF-4191 発売日:2015年7月8日
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントよりBlu-ray DiscとDVDが発売。NBCユニバーサルが販売。
その他
[編集]この節に雑多な内容が羅列されています。 |
- 本作でカースタントを担当したベン・コリンズは、『007/慰めの報酬』と『007 スカイフォール』でも起用されている[44]。
- 劇中でボンドが着用する腕時計は、オメガの「シーマスター ダイバー 300M」と「シーマスター プラネット・オーシャン」である[45]。撮影でダニエル・クレイグが実際に使った時計「シーマスター・プラネット・オーシャン」は、2007年4月にジュネーブ市内のホテルで行われたオークションで、15万6千ユーロで落札された[46]。
- 劇中に登場する新型の超大型旅客機「スカイフリートS570」は完全な架空機であり、撮影には模型とCGの他、ボーイング747-200Bが改造の上使用された。使用された747-200Bはブリティッシュ・エアウェイズなどで運航された後、2005年よりサリー州のダンスフォールド飛行場で保存されているG-BDXJ機で、4基のエンジンを換装[47]の上使用された。撮影に使用されたG-BDXJ機は現在もこの形態のままダンスフォールド飛行場で保存されている。
脚注
[編集]- 1 2 3 “Casino Royale (2006)”. Box Office Mojo. 2022年8月13日閲覧。
- ↑ 2007年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
- ↑ “007 カジノ・ロワイヤル”. ふきカエル大作戦!!. 2022年7月29日閲覧。
- ↑ 次回作はフレミングの短編「Risico」を原作とする、との報道がイギリスの一部であったが、脚本担当のロバート・ウェイドが否定した。
- ↑ 2012年のドキュメンタリー"Everything or Nothing: The Untold Story of 007"では「契約を更新しない」という形で製作陣による退職勧奨があったと、ブロスナン自身が語った。ブロスナン演じるボンドのイメージが2001年911テロ以降の暗い世相と複雑で厳しい世界情勢に馴染まないと判断されたという。
- ↑ “Daniel Craig takes on 007 mantle”. 2020年6月1日閲覧。
- ↑ “Sony Pictures, in an accord with MGM, drops its plan to produce new James Bond movies” (英語). ニューヨーク・タイムズ. 1999年3月30日. 2009年7月4日閲覧.
{{cite news}}:|first=を指定する場合、|last=も指定してください。 (説明) - ↑ “ソニーがハリウッドの映画会社大手のMGMを買収”. 日経BPnet. 2004年9月15日. 2009年8月25日閲覧.
- ↑ “メトロ・ゴールドウィン・メイヤー買収が完了”. ソニー (2005年4月11日). 2009年8月25日閲覧。
- ↑ 番外編『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を除く。
- ↑ “New Bond Girl Will Be 'Very Much an Equal to Bond'”. Internet Movie Database. 2007年9月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年3月23日閲覧。
- ↑ “H・ジャックマン、有力ボンド候補”. シネマトゥデイ. 2003年10月30日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “ヒュー・ジャックマン、ボンド役に興味”. シネマトゥデイ. 2004年11月8日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “ヒュー・ジャックマン、ボンド役を断る”. シネマトゥデイ. 2005年8月23日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “ピアース・ブロスナン、ボンド役にはクライヴ・オーウェンを推選”. シネマトゥデイ. 2005年6月17日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “エリック・バナ、ボンド役へ?”. シネマトゥデイ. 2004年8月4日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “ピアース・ブロスナン、コリン・ファレルへ熱い視線”. シネマトゥデイ. 2004年11月5日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “コリン・ファレル、『007』には興味なし”. シネマトゥデイ. 2004年11月11日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “次のジェームズ・ボンドはJ・ロウ?”. 2003年1月29日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “Moore Junior up for Bond” (英語). ザ・サン. 2004年7月13日. 2009年8月3日閲覧.
- ↑ “ピアース・ブロスナン、「007」の思い出と、ボンドを離れる心境を語る”. シネマトゥデイ. 2005年4月26日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “ピアース・ブロスナン、電話1本でボンド役を降ろされる”. シネマ・トゥデイ. 2005年8月19日. 2009年8月5日閲覧.
- ↑ “Brosnan: 'licensed for the sack'” (英語). Mail Online. 2004年3月26日. 2009年8月5日閲覧.
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- ↑ “James Bond film set in ruins after massive blaze” (英語). ガーディアン. 2006年7月31日. 2009年6月15日閲覧.
- ↑ “Chris Cornell Has Written and Will Perform the Main Title Song for Casino Royale”. 2020年4月17日閲覧。[リンク切れ]
- ↑ これはクリス・コーネル本人の意向によるものとされる。なお、彼自身のアルバム“Carry On”、および2008年にリリースされたシリーズ主題歌集“Best of Bond...James Bond”には収録。
- ↑ 主題歌のなかった『007 ドクター・ノオ』『女王陛下の007』を除く。
- ↑ James Bond Moviesat the Box Office - Box Office Mojo
- ↑ “Casino Royale - Rotten Tomatoes”. AFPBB News. 2012年12月29日閲覧.
- ↑ “Casino Royale :: rogerebert.com :: Reviews”. シカゴ・サンタイムズ. 2007年8月17日. 2012年12月29日閲覧.
- ↑ “007、中国政府から初の「上映のライセンス」獲得”. AFPBB News. 2006年11月17日. 2009年8月3日閲覧.
- ↑ “中国初公開のボンド映画「007/カジノ・ロワイヤル」 記録を塗り替えるか?”. AFPBB News. 2007年1月23日. 2009年8月3日閲覧.
- ↑ “映画「007/カジノ・ロワイヤル」がプレミアを迎える”. AFPBB News. 2007年1月30日. 2009年8月3日閲覧.
- ↑ CASINO ROYALE IN CONCERT(2018年4月14日閲覧)
- ↑ 『トップギア』の元覆面ドライバーが、映画『007』最新作のスタントドライバーに! - autoblog日本版・2012年5月15日
- ↑ “ジェームズ・ボンド・ウォッチとはどのシーマスター・ウォッチなのでしょうか?”. オメガ. 2009年8月16日閲覧。
- ↑ “ジェームズ・ボンド使用の「オメガ」、約2500万円で落札”. AFPBB News. 2007年4月17日. 2009年7月16日閲覧.
- ↑ 内側のエンジンはB-47やB-52の様に2基を搭載するものに、外側のエンジンは外部燃料タンクに換装された。
外部リンク
[編集]- マーティン・キャンベルの監督映画
- 007シリーズの映画
- イギリスの小説
- 2006年の映画
- 2000年代の特撮作品
- カジノ
- アメリカ合衆国の犯罪映画
- アメリカ合衆国の冒険映画
- イギリスの犯罪映画
- イギリスの冒険映画
- リブート映画
- 賭博を題材とした映画作品
- ポーカーを題材とした作品
- デヴィッド・アーノルドの作曲映画
- コロンビア映画の作品
- メトロ・ゴールドウィン・メイヤーの作品
- マイアミを舞台とした映画作品
- バハマを舞台とした映画作品
- ヴェネツィアを舞台とした映画作品
- プラハを舞台とした映画作品
- ウガンダを舞台とした映画作品
- チェコで製作された映画作品
- バハマで製作された映画作品
- ヴェネツィアで製作された映画作品
- ロンバルディア州で製作された映画作品
- ロンドンで製作された映画作品
- パルクールを題材にした映画
- サターン賞受賞作品