ゴッサム・シティ

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ゴッサム・シティ (Gotham City) は、DCコミックの『バットマン』などに登場する架空の都市の名称である。アメリカの東海岸沿いにあるという設定。イギリスに実在するゴッサムの語源にちなみ「衆愚の町」の意味。“Gothum”と表記しているものもあるが、“Gotham”が正しい。

概要[編集]

原作コミック、アニメーション作品、実写映画、ジャンルは問わずバットマンが活躍する架空の都市である。

例外はあるものの、ほぼ全てのジャンルにおいてバットマンの活躍はゴッサムシティ内に限定されていると言える。原作コミックスではバットマンの活躍する時間帯が夜ということもあり、夜景が栄えるイメージとなっている事が多いが、同時に汚れた裏路地や雑居ビルが乱立する描写も多くあり、複雑かつ陰鬱な世界観を表現している。

実写映画シリーズにおいては、設定は原作と共通しているが街の描写は作品によって異なり、ティム・バートン監督作品では古き良き時代のアメリカを意識したイメージで、ジョエル・シュマッカー監督作品ではネオンと巨大石造が乱立する近未来的なゴシックパンクのイメージで統一されている。クリストファー・ノーラン監督『バットマン ビギンズ』では、巨大高架鉄道やイメージカラーによる演出はあるものの、前作までのややファンタスティックなイメージを廃し、実際の街により近くなっている。続編の『ダークナイト』では、イメージカラーはもとより、セットやCGによる演出等をも極力控え、ほぼ全シーンをシカゴでのロケで表現しており、概観は実際のアメリカ合衆国にある都市とほぼ同じ物となっている。『ダークナイトライジング』では、世界規模の証券取引所を抱え、橋とトンネルでつながれた中洲上の都市のような描写がなされ、ニューヨークマンハッタン島のイメージに近い街になっている(撮影は主にペンシルベニア州ピッツバーグで行われ、スタジアム爆破シーンではピッツバーグ・スティラーズ・スタジアムが実際に爆破された)。

治安[編集]

様々な犯罪組織が暗躍し、主人公であるバットマン自体が自警団的な活動をしている事からも伺えるが、シリーズほぼ全てにおいて治安状況は凄惨を極め、格差社会が激しくなっており、まさに犯罪都市と化している。治安維持を担っているのはゴッサム市警であるが、多発する犯罪に対し効果は薄く、同時に腐敗も多く起こっており正常に機能しているとは言い難い。原作『バットマン: イヤーワン』、同作品の実写映画化作品である『バットマン・ビギンズ』および続編の『ダークナイト』において、多くの警察官が賄賂で生計を立てる汚職警官であり、行政機関の上層部までもマフィアとの癒着で成り立っていると言う描写があり、治安は極めて深刻な状況にあると言える。登場人物の一人であるジェームズ・ゴードンはゴッサム市警所属であり、数少ない潔白の警察官である。さらに、ザ・バットマンではガーゴイルズエリサ・マーザを元にしたキャラクターである刑事のエレン・インが登場しており、インもまたゴードンと同様にかつてエリサがそうであったように潔白で正義感溢れる刑事であり、後にゴードンの後継者となり本部長の跡を継いでいる。

尚、アニメーション作品『バットマン・ザ・フューチャー』は、基本設定の舞台より40年後を描いた作品だが、未来世界においてもやはり治安は芳しくないようである。しかし、同じくアニメーション作品『ザ・バットマン』ではスタッフが『ガーゴイルズ』とほぼ同様であるためかガーゴイルズの舞台であったマンハッタンに近い町となっており治安も他作に比べると安定している。 アニメーション作品バットマン:ブレイブ&ボールド』では、25世紀から来たヒーロー、ブースター・ゴールドの語るところによると、25世紀ではゴッサムシティはアメリカ一の観光都市となり、バットケイブはレジャー施設の一部となっている。

経済[編集]

バットマンの正体であるブルース・ウェインがオーナーの複合大企業ウェイン・エンタープライズ本社があり、街の中の多くの会社や設備はその配下にある。多くのビルや商店が立ち並び、一見して経済活動は盛んに見られるが、市民の経済格差も深刻であり、『バットマン・ビギンズ』においては、セレブリティが集まる会合等が多く行われている高級レストランの描写と同時に、低所得者が多く住むスラム街も描写されており、原作コミックスにおいても、裏路地やホームレス等の描写もある事から、そのような経済状況も治安の悪化の一因となっている事も匂わせている。尚、街の描写において煙突や工場が数多く見られる事から、製造業等の第二次産業が盛んであるとも伺えるが、ウェイン・エンタープライズ以外の産業が描写された事は皆無であり、詳細は不明である。

地理[編集]

アメリカ東海岸沿いにあるという設定もあり、地理自体はニューヨークを意識していると思われる(なお「ゴッサム」はイングランドに実在する他、ニューヨークの愛称でもある)。『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』のコンピューターで表示されていた地図におけるゴッサム・シティの位置もニューヨークとほぼ同じ地点であった。

よって市警察紋章も、“市章を中央に配した逆三角形で周囲に「Police Department City of Gotham」の文字”とニューヨーク市警察そっくりである。ゴッサム・シティ以外の街が登場することは少ない。アニメ版のバットマンでは、「ゴッサム・シティー」と、スーパーマンが住む、「メトロポリスシティー」が、都市の治安・経済で協定を結び、「姉妹都市」となる。『バットマン・フォーエバー』においてヘリコプターでの短時間の飛行後に自由の女神へ衝突した描写があることから、距離的にも近いとされている(しかし、あくまで同作品中のみでの描写であり、他シリーズ作品においてはこの限りではない。また、この自由の女神の冠には『ゴッサム』の文字もあり、レプリカの可能性もある)。

運河などでアメリカ本土とは隔てられており、一時期大地震で孤島となってしまった。

隣接する都市として、バットマンの元サイドキックであったナイトウィングの活躍する工業都市のブルードヘイブンがある。こちらもゴッサム同様に警察の腐敗と犯罪が多発しており、街をブロックバスターが支配していた。 その後、デスストローク=ザ・ターミネーターによって壊滅させられている。

由来[編集]

バットマンの共同創作者であるライターのビル・フィンガー(Bill Finger)は、バットマンの舞台をニューヨーク市から架空の都市へ移した経緯をこう述べている。「もともとはゴッサム・シティのことを『シビック・シティ』(Civic City)と呼ぶつもりで、その後『キャピタル・シティ』、『コースト・シティ』などを候補に考えた。その後ニューヨーク市の電話帳をめくっているうちに『ゴッサム・ジュエラーズ』という店を発見して、これだ、ゴッサム・シティだ、と思った。我々は、どの町に住む誰が読んでも自分の町のことだと思ってもらえるように、ニューヨークという名は使いたくなかったんだ。」[1] もっとも、ニューヨークを「ゴッサム」と呼んだのは1807年ワシントン・アーヴィングが風刺新聞に書いた記事が最初であり、それ以来の伝統をもつあだ名である。

脚注[編集]

  1. ^ Steranko, Jim (1970). The Steranko History of Comics. Reading, Pa.: Supergraphics. p. 44. ISBN 0-517-50188-0. 

外部リンク[編集]