ニーチェの馬

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ニーチェの馬
A torinói ló
監督 タル・ベーラ
アニエス・フラニツキ
脚本 タル・ベーラ
クラスナホルカイ・ラースロー
製作 テーニ・ガーボル
出演者 ボーク・エリカ
デルジ・ヤーノシュ
音楽 ヴィーグ・ミハーイ
撮影 フレッド・ケレメン
編集 アニエス・フラニツキ
配給 日本の旗 ビターズ・エンド
公開 ドイツの旗 2011年2月15日BIFF
ハンガリーの旗 2011年3月31日
日本の旗 2012年2月11日
上映時間 154分
製作国  ハンガリー
フランスの旗 フランス
スイスの旗 スイス
ドイツの旗 ドイツ
言語 ハンガリー語
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ニーチェの馬』(ハンガリー語: A torinói ló英語: The Turin Horse)は、2011年ハンガリー映画。

概要[編集]

トリノの広場で泣きながらの首をかき抱き、そのまま発狂したというニーチェの逸話にインスパイアされて生まれた。しかしニーチェが登場することはなく、全編ニーチェ的なニヒリズムの世界におけるとある親子の生活が描かれる。 タル・ベーラは本作を最後の監督作として公言している。

受賞[編集]

第61回ベルリン国際映画祭銀熊賞 (審査員グランプリ)、国際批評家連盟賞(コンペティション部門)を受賞。

2012年キネマ旬報ベスト・テン外国映画ベスト・テン第1位

ストーリー[編集]

1889年1月3日。哲学者ニーチェはトリノの広場で鞭打たれる馬に出会うと、駆け寄り、その首をかき抱いて涙した。そのまま精神は崩壊し、彼は最期の10年間を看取られて穏やかに過ごしたという。 馬のその後は誰も知らない。
  *  *  *  *  *

  • 一日目

農夫は馬車に乗り、風の中、人里離れたと思しき家に戻る。娘は彼を出迎え、農夫は馬と車を小屋に戻す。娘は農夫の服を着替えさせ、二人で茹でたジャガイモ1個の食事を貪る。寝る段になって、農夫は58年鳴き続けた木食い虫が鳴いていないことに気付く。外は暴風が吹き荒れている。

  • 二日目

娘は井戸に水を汲みに行く。パーリンカ(焼酎)を飲んだ後、農夫はいつもの通り、馬車に乗って外へ出ようとしたが、馬は動こうとしない。諦めた農夫は家に戻って薪を割り、娘は洗濯をする。ジャガイモを貪ったところで、男が現れ、パーリンカを分けてくれるように頼む。町は風で駄目になったという男は、世界についてのニヒリズム的持論を延々述べるが、農夫はくだらないと一蹴する。男はパーリンカを受け取って出て行く。

  • 三日目

娘は井戸で水を汲む。パーリンカを飲み、農夫と娘は馬小屋の掃除をする。新たな飼い葉を与えたが、馬は食べようとしない。ジャガイモを貪っていたところで彼らが何気なく外を見ると、馬車に乗った数人の流れ者が現れ、勝手に井戸を使い出した。二人は外へ飛び出して流れ者共を追い払い、流れ者は二人を罵って去っていく。食器を片付けた後で、娘は流れ者の一人が水の礼として渡した本-教会における悪徳について述べているらしい-に目を通す。未だ風は激しく吹き続けている。

  • 四日目

娘が水を汲みにでると、井戸が干上がっていた。馬は相変わらず飼い葉を食べず、水も飲もうとしない。農夫はここには最早住めないとして、家を引き払う事を決める。荷物をまとめ、馬を連れて-ただし、今度は自分で車を引いて-農夫と娘は家を出て進み出す。だが、丘を越えたところで、彼らは戻ってくる。娘は窓から外を何も言わず見続ける。

  • 五日目

娘は目覚めた農夫を着替えさせる。農夫は小屋に行って、馬の縄を外してやる。二人はジャガイモを貪るのも力なく、農夫は殆どを残してしまう。夜になったが、ランプに火が付かなくなり、火種も尽きてしまう。嵐は去っていた。

  • 六日目

農夫と娘が食卓についている。農夫はジャガイモを生のまま口にするが、すぐ諦めてしまう。二人を沈黙が支配する。
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キャスト[編集]

外部リンク[編集]