クラスナホルカイ・ラースロー
Krasznahorkai László クラスナホルカイ・ラースロー | |
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クラスナホルカイ・ラースロー | |
| 生誕 |
1954年1月5日(72歳) |
| 職業 | 小説家 |
| 国籍 |
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| 主な受賞歴 |
ブッカー国際賞(2015) 全米図書賞(2019) オーストリア国家賞(2021) ノーベル文学賞(2025) |
| 署名 |
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クラスナホルカイ・ラースロー(ハンガリー語: Krasznahorkai László [ˈkrɒsnɒhorkaiˌlɑ̈ːsloː]、1954年1月5日 - )は、ハンガリーの小説家。2025年にノーベル文学賞を受賞した[1][注釈 1]。
経歴
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ベーケーシュ県ジュラ生まれ[3]。中流階級のユダヤ人家庭に育った[4]。エトヴェシュ・ロラーンド大学卒業。編集者を経て、1985年に小説『サタンタンゴ』でデビュー[5]。共産主義下での生活経験や、初の外国旅行として1986年に当時の西ベルリンを訪れて以降、ヨーロッパ各地の他、日本や中国、モンゴルなど様々な旅から、作品の着想を得た[4]。
人物
[編集]「短い文は人工的」との信念を持ち、特徴のある語彙の使い方と物事の特異な描写が非常に長い文章で書き綴られた文体を用いる[1][5]。この形式は、登場人物の思考や世界の崩壊的な状況を「途切れない意識の流れ」として表現する意図に基づくものである[6]。また、ハンガリーの辺境を舞台に、貧困、抑圧、暴力など人間を取り巻く絶望的で不条理な状況を描く。実際、彼の作風は、「an uneasy sense of impending apocalypse(差し迫る終末への不安な感覚)」という言葉を用いて評される[7]。
ノーベル文学賞受賞決定後、公式の電話インタビューで現在の感情を「なんたる大惨事か」との表現で語った。これは1969年にサミュエル・ベケットが文学賞を受賞した際、妻が発した言葉とされる。冗談を交えつつも「とてもうれしく、誇りに多う。全くの驚きだし、いまだに信じられない」と述べた[3]。
自らを執筆へと駆り立てる最大のインスピレーションは「苦しさだ」としている。また、現代について「生き延びるために、これまでよりもずっと大きな力を必要としている」と指摘し、現実に対して感じる「苦しさ」は、次世代の文学界にとってもインスピレーションになりうるものだと説いた[3]。
日本との関係
[編集]1997年に初来日。2000年と2005年には国際交流基金のフェローとしてそれぞれ半年間、京都に滞在した。知人の紹介で観世流シテ方の能楽師の井上和幸と知り合い[8]、能楽師のもとに通いながら、寺社建築や日本庭園など日本の伝統文化を研究。この時の体験をきっかけに書いた京都を舞台にした小説『北は山、南は湖、西は道、東は川』(2003年)(早稲田みか訳)のほか、世阿弥や能楽師にまつわる短編集がある[3]。
受賞歴
[編集]作品
[編集]小説
[編集]- Sátántangó(サタンタンゴ) - 1985年
- Kegyelmi viszonyok - 1986年
- Az ellenállás melankóliája(抵抗の憂鬱)‐ 1989年
- Az urgai fogoly - 1992年
- Háború és háború - 1999年
- Északról hegy, Délről tó, Nyugatról utak, Keletről folyó - 2003年
- 『北は山、南は湖、西は道、東は川』早稲田みか訳、松籟社、2006年。ISBN 4879842389
- Rombolás és bánat az Ég alatt - 2004年
- Seiobo járt odalent - 2008年
- Az utolsó farkas - 2009年
- Állatvanbent - 2010年
- Számla: Palma Vecchiónak, Velencébe - 2010年
- Megy a világ - 2013年
- Báró Wenckheim hazatér - 2016年
- Mindig Homérosznak - 2019年
- Herscht 07769 - 2021年
- Zsömle odavan(ジェムレはそこにいる[4]) - 2024年
エッセイ
[編集]- A Théseus-általános - 1993年
- Este hat; néhány szabad megnyitás - 2001年
- 「楽園の狂 - 日本の美に捧げる厳粛な賛歌」
- 『日本の美学』第33号所収 2001年、燈影舎
- Krasznahorkai Beszélgetések - 2003年
- Nem kérdez, nem válaszol. Huszonöt beszélgetés ugyanarról - 2012年
- Music & Literature - 2013年
- the Manhattan Project - 2017年
映画
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- 1 2 3 “ノーベル文学賞にハンガリーのクラスナホルカイ・ラースローさん”. 日本経済新聞 (2025年10月9日). 2025年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年10月9日閲覧。
- ↑ Johnson, Simon、Pollard, Niklas「ノーベル文学賞、ハンガリーのクラスナホルカイ・ラースロー氏に」『Reuters』2025年10月9日。オリジナルの2025年10月12日時点におけるアーカイブ。2025年10月12日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 藤原学思 (2025年10月9日). “ノーベル文学賞にクラスナホルカイ・ラースロー氏 京都ゆかり作品も”. 朝日新聞. 2025年10月9日閲覧。
- 1 2 3 4 エマ・ソーンダース (2025年10月10日). “ノーベル文学賞にクラスナホルカイ・ラースローさん、ハンガリー人作家では2人目”. BBCニュース. 2025年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年10月11日閲覧。
- 1 2 広瀬登 (2025年10月9日). “ノーベル文学賞にクラスナホルカイ・ラースロー氏 ハンガリーの作家”. 毎日新聞. 2025年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年10月9日閲覧。
- ↑ Richard Lea, “László Krasznahorkai interview: ‘This society is the result of 10,000 years?’”, The Guardian, 2012年8月24日. Guardian.com
- ↑ James Wood, “László Krasznahorkai and Contemporary Europe’s Perilous Reality”, The New Yorker, October 9 2025. TheNewYorker.com
- ↑ 山崎聡 (2025年10月10日). “ノーベル文学賞のクラスナホルカイさん、経歴に書いた「井上和幸」”. 朝日新聞. 2025年10月11日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “László Krasznahorkai” (英語). IMDb. 2025年10月9日閲覧。
参考文献
[編集]- 「現代外国人名録 2024」日外アソシエーツ 2023年
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- László Krasznahorkai Facts the Nobel Foundation