トヨタ・パッソセッテ

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トヨタ・パッソセッテ
M502E/M512E型
フロント
リア
車内
概要
販売期間 2008年12月 - 2012年2月
ボディ
乗車定員 7人
ボディタイプ 5ドアコンパクトミニバン
駆動方式 FF/4WD
パワートレイン
エンジン 3SZ-VE型 1.5L 直4 DOHC
最高出力 80kW (109PS)/6,000rpm
最大トルク 141N・m (14.4kgfm)/4,400rpm
変速機 4AT
前:ストラット
後 (FF):トーションビーム
後 (4WD):トレーリングリンク
前:ストラット
後 (FF):トーションビーム
後 (4WD):トレーリングリンク
車両寸法
ホイールベース 2,750mm
全長 4,180 - 4,195mm
全幅 1,695mm
全高 1,620mm
車両重量 1,170 - 1,240kg
その他
姉妹車 ダイハツ・ブーンルミナス
製造事業(委託)者 ダイハツ工業
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パッソ セッテ (PASSO Sette) は、ダイハツ工業が製造し、トヨタ自動車日本で販売していた小型ミニバンブーンルミナス(以下「ルミナス」)の姉妹 (OEM) 車種であった。

5人乗りパッソは両社の共同開発でブーンのOEMでなかったのに対し、セッテはトヨタと車両企画力を結集した上でダイハツが開発生産を担当したため、ルミナスとはOEM関係になっていた(型式が共通であったことと製造事業者がダイハツとなっていたのはこのため)。

概要

「広くて、使いやすい、7シーター スタイリッシュ コンパクト」をコンセプトに扱いやすいサイズのボディに5人がゆったり乗れ、たまに7人が乗る様な顧客をターゲットに開発された。メインターゲットを女性としているため、運転のしやすさも徹底的に追求しているのが特徴であった。

2003年平成15年)発売の初代シエンタに代わる車として期待され、同じトヨタカローラ店扱いとされたが[1]、当面の間併売の措置がとられていた。排気量1.5 L、3列シート・7人乗りミニバンという点では初代シエンタと同じではあるが、シエンタは初代ヴィッツのメカニズム[2]、そしてリア両側にスライドドアを採用するという大きな違いがある。

外観は背の低いワンモーションフォルムになっており、スペース効率を大幅に向上させ、大人7人がゆったりと座れるようにすべく、パッソ比で全長+580 mm×全幅+20 mm×全高+85 mm拡大[3]され、ホイールベースも2,440 mmから2,750 mmへと大幅に延長された。この結果既存のダイハツ軽自動車用プラットフォームから発展したミラムーヴタントなど)車種の中では体積と車両総重量が最も大きかった。

エアログレードは前後エアロバンパーとリアスポイラー・ドアミラーウインカーフォグランプを装備していた。ボディカラーは全9色の展開。

一方インテリアは広々とした印象を演出するために左右にを描くデザインになっていた。シート表皮はグレードによって異なり、廉価版はグレージュ(ベージュ)のジャージ生地、中間グレードはグレージュのトリコット、エアロ仕様車はダークブラウン(こげ茶)のジャージ生地を採用していた。シート形状は、フロントはグレードによってベンチタイプとセパレートタイプの2種類、それ以外は全グレード共通となっていた。2列目は3人掛けであるが5:5の分割型で、シートスライドと背もたれ角の調整が個別に行なえ、3列目は短時間の定員確保用で、小ぶりで平板なベンチシートとなっていた。2・3列目の背もたれは前倒した際にほぼ同じ高さで平らになり、荷室としての使い勝手を向上させていた。そのため背もたれは低く、ヘッドレストのステーを長くして衝突安全性を確保していた。ヘッドレストは定員分備わるが、シートベルトは2列目中央のみが2点式となっていた。

女性がメインターゲットとされるも、老若男女を問わず誰もが扱いやすいよう、各部の操作や収納場所にはさまざまな工夫が凝らされていた。

安全面においては、GOAボディ・EBD付ABS&2段ブレーキアシストやデュアルSRSエアバッグに加え、サイド&カーテンシールドエアバッグ(Xグレードを除き全車標準装備)・VSC&TRC(全車メーカーオプション)を用意することで、安全装備の充実を図っていた。

エンジンは5人乗りパッソから大幅に増加した車重に対応すべく、3SZ-VE型直列4気筒DOHC16バルブ1,500 ccVVT-iエンジン(bB/クーラッシュ/ビーゴタウンエース/ライトエース〈両者共にグランマックスの日本仕様〉などと同じ)を搭載していた。

トランスミッションは全てインパネシフトの電子制御4速ATであり、マニュアル感覚の変速操作が楽しめるシーケンシャルシフトマチックを採用していた。また、登坂制御により、上り坂では変速のくり返しを抑え、長い下り坂では状況に応じてシフトダウンすることで、なめらかな坂道走行が可能であった。

販売上でライバルと目されるホンダ・フリードとの比較では、パラレルハイブリッド機構(一部のみ)、スライドドア、2・3列目席の大きさと居住空間[4]、2列目ダブルフォールディング[5]、3列目跳ね上げの完全収納、全席3点式シートベルトなどで劣勢となるが、セッテとルミナスではそれらを見切る代わりに、販売価格を149万円から(ルミナスは153万5000円から)と低めに設定していた。しかし当車種の登場からおよそ6か月後に始まったエコカー減税に同車は販売終了まで対象外であったことや、シエンタとは異なり、リアドアがスライドドアではなくヒンジドアである点が影響し、販売的には大苦戦を強いられた。

年表

  • 2008年(平成20年)12月25日 - 販売開始。パッソ(ブーン)をベースに7人が乗れるミニバンとして開発された。月間目標販売台数は3000台と発表されている。
  • 2012年(平成24年)2月29日 - 販売終了。カタログへの掲載も終了した。
    ルミナス同様、一部改良、およびマイナーチェンジが未実施のほか、同社のこの種のミニバンとしては特別仕様車も全く投入されない車種となった。なお販売期間は3年2か月であり、同社製7人乗りの小型ミニバンとしては、かつて同社が販売していたダイハツOEMのスパーキーに次ぐ短命な車種となった。

車名の由来

イタリア語で7を意味する「Sette」が語源。

脚注

  1. ^ シエンタは2010年(平成22年)8月に生産を終了したが、セッテの売り上げが不振なことから計画を変更し、改良を施した上で2011年(平成23年)5月に生産を、6月13日に販売を、それぞれ再開し、その後、2015年(平成27年)7月9日に2代目にフルモデルチェンジされた。
  2. ^ ただしリアサスペンションの部分のみ9代目カローラシリーズから流用している。
  3. ^ ただし、高さ寸法の最高点はBピラー付近であり、天井屋根はそれ以降緩やかに下っているため、頭上空間は1列目が最も大きい。
  4. ^ 2011年(平成23年)10月の改良で3列目の定員を3→2名とした。
  5. ^ 背もたれを前倒した後、さらに座面ごと前倒させて荷室の床にシートを残さない収納方法。前席のシートスライド量やリクライニング角などに制約は出るが、使い勝手は非常に良いため、荷室の容積に対する要求の厳しい商用車欧州車に多く見られる方式である。

関連項目