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'''坂元 裕二'''(さかもと ゆうじ、[[1967年]][[5月12日]] - )は、[[日本]]の[[脚本家]]・[[作詞家]]・[[戯曲家]]。
'''坂元 裕二'''(さかもと ゆうじ、[[1967年]][[5月12日]] - )は、[[日本]]の[[脚本家]]・[[作詞家]]・[[戯曲家]]。


[[大阪府]]出身。妻は[[森口瑤子]]<ref>{{Cite web|url=https://hochi.news/articles/20210609-OHT1T51053.html|title=奇跡の54歳!森口瑤子、超可愛い私服ロングワンピ姿でタクシー待ちする様子に絶賛の嵐|publisher=スポーツ報知|date=2021-06-09|accessdate=2021-06-09}}</ref>([[1998年]]結婚)。[[2016年]]から[[2023]]にかけて[[東京芸術大学]][[大学院]]映像研究科の教授を務めた。
[[大阪府]]出身。妻は[[森口瑤子]]<ref>{{Cite web|url=https://hochi.news/articles/20210609-OHT1T51053.html|title=奇跡の54歳!森口瑤子、超可愛い私服ロングワンピ姿でタクシー待ちする様子に絶賛の嵐|publisher=スポーツ報知|date=2021-06-09|accessdate=2021-06-09}}</ref>([[1998年]]結婚)。[[2016年]]から[[2023]]にかけて[[東京芸術大学]][[大学院]]映像研究科の教授を務めた<ref>{{Cite web |author= |date= |url=https://www.instagram.com/p/CqDQgX6Pic6/?igshid=YmMyMTA2M2Y= |title=坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)のInstagramアカウント |publisher=Instagram |accessdate=2023-03-25}}</ref>


== 経歴・概要 ==
== 経歴・概要 ==
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[[自動車整備工場]]を営む両親のもと、3人兄弟の長男として育つ。[[奈良育英中学校・高等学校|奈良育英高等学校]]卒業。高校時代、映画では[[相米慎二]]監督作品、小説では[[中上健次]]作品を軸に色々な監督や作家の作品を見たり読んだりしていた<ref name="yahoo1809">{{Cite news|url=https://news.yahoo.co.jp/feature/1093/ |title=「テレビからこぼれているものを書きたい」――人気脚本家・坂元裕二が語る連ドラの役割 |newspaper=Yahoo!ニュース |date=2018-09-23 |accessdate=2020-11-10 }}</ref>。
[[自動車整備工場]]を営む両親のもと、3人兄弟の長男として育つ。[[奈良育英中学校・高等学校|奈良育英高等学校]]卒業。高校時代、映画では[[相米慎二]]監督作品、小説では[[中上健次]]作品を軸に色々な監督や作家の作品を見たり読んだりしていた<ref name="yahoo1809">{{Cite news|url=https://news.yahoo.co.jp/feature/1093/ |title=「テレビからこぼれているものを書きたい」――人気脚本家・坂元裕二が語る連ドラの役割 |newspaper=Yahoo!ニュース |date=2018-09-23 |accessdate=2020-11-10 }}</ref>。


高校卒業後、[[フリーター]]をしながら脚本を学ぶ。[[1987年]]、「第1回[[フジテレビヤングシナリオ大賞]]」を19歳で受賞しデビュー<ref name="yahoo1809" />。同時期に[[ディレクターズ・カンパニー]]が行っていた脚本募集にも応募していたが、そちらでは採用されなかったためすぐに上京できるテレビの道んだ<ref name="yahoo1809" />。上京後はテレビ局のアシスタントをしながら脚本の腕を磨いた<ref name="yahoo1809" />。
高校卒業後、[[フリーター]]をしながら脚本を学ぶ。[[1987年]]、「第1回[[フジテレビヤングシナリオ大賞]]」を19歳で受賞しデビュー<ref name="yahoo1809" />。同時期に[[ディレクターズ・カンパニー]]が行っていた脚本募集にも応募し、そちらでは採用されなかったためすぐに自立して生活ができるテレビの道むために上京した<ref name="yahoo1809" />。上京後はテレビ局のアシスタントをしながら脚本の腕を磨いた<ref name="yahoo1809" />。


[[1991年]]、23歳の時に脚本を担当した『[[東京ラブストーリー#テレビドラマ|東京ラブストーリー]]』([[フジテレビジョン|フジテレビ]])が大ヒットし、最高視聴率は32%。「[[フジテレビ月曜9時枠の連続ドラマ|月曜日の夜9時]]は街から女性(もしくはOL)たちが消えた」と言われるほどの社会現象となる。[[ラブストーリー]]の脚本の依頼が次々舞い込むようになり、[[トレンディドラマ]]の旗手として脚光を浴びた<ref name="Professional20181123"/>。
[[1991年]]、23歳の時に脚本を担当した『[[東京ラブストーリー#テレビドラマ|東京ラブストーリー]]』([[フジテレビジョン|フジテレビ]])が大ヒットし、最高視聴率は32%。「[[フジテレビ月曜9時枠の連続ドラマ|月曜日の夜9時]]は街から女性(もしくはOL)たちが消えた」と言われるほどの社会現象となる。[[ラブストーリー]]の脚本の依頼が次々舞い込むようになり、[[トレンディドラマ]]の旗手として脚光を浴びた<ref name="Professional20181123"/>。
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また、[[織田裕二]]、[[松たか子]]、[[小室哲哉]]などの楽曲の作詞も手掛けた。([[#主な作詞提供アーティスト|主な作詞提供アーティスト]]参照)
また、[[織田裕二]]、[[松たか子]]、[[小室哲哉]]などの楽曲の作詞も手掛けた。([[#主な作詞提供アーティスト|主な作詞提供アーティスト]]参照)


[[1996年]]、「明らかにテレビ(業界)が嫌で逃亡した」という理由で脚本家業を休養し、一テレビ業界から離れる<ref name="yahoo1809" /><ref name="Professional20181123"/>。当初は[[飯野賢治]]率いる株式会社ワープに所属してゲーム関連の仕事に携わり、『[[リアルサウンド 〜風のリグレット〜]]』などの[[シナリオ]]を手掛け、[[1998年]]に同社を退社。付き合いのあった[[文芸誌]]の[[編集長]]から勧められ[[小説]]転向を試みるが、3年間一つの小説をずっと書き続け原稿用紙2000枚ほどの分量になるも終わらせ方がわからず未完成のまま発表には至っていない<ref name="yahoo1809" />。『[[きらきらひかる (漫画)#テレビドラマ|きらきらひかる]]』(フジテレビ)のドラマ版(脚本は[[井上由美子 (脚本家)|井上由美子]])を見たことでそのドラマに刺激を受け、それがテレビ脚本の世界に戻るきっかけの1つになった<ref name="yahoo1809" />。この休養期間中に森口との結婚や[[長女]]の誕生を経験した。森口は役者業を続けていたため、坂元は家で脚本執筆をしながら育児を担当する[[主夫]]生活を送るようになった<ref name="yahoo1809" />。
[[1996年]]、「明らかにテレビ(業界)が嫌で逃亡した」という理由で脚本家業を休養し、一時的にテレビ業界から離れる<ref name="yahoo1809" /><ref name="Professional20181123"/>。当初は[[飯野賢治]]率いる株式会社ワープに所属してゲーム関連の仕事に携わり、『[[リアルサウンド 〜風のリグレット〜]]』などの[[シナリオ]]を手掛け、[[1998年]]に同社を退社。映画やゲームシナリオ執筆や脚本構成の仕事をしながら、知人であった[[文芸誌]]の[[編集長]]から勧められ[[小説]]の執筆も並行して行っていたが、3年間一つの小説を書き続け原稿用紙2000枚ほどの分量になるも終わらせ方がわからず未完成のまま発表には至らなか<ref name="yahoo1809" />。『[[きらきらひかる (漫画)#テレビドラマ|きらきらひかる]]』(フジテレビ)のドラマ版(脚本は[[井上由美子 (脚本家)|井上由美子]])を見たことでそのドラマに刺激を受け、それがテレビ脚本の世界に戻るきっかけの1つになった<ref name="yahoo1809" />。また、この休養期間中に森口との結婚や[[長女]]の誕生を経験した<ref name="yahoo1809" />。


ドラマ脚本業を再開し『[[リモート]]』、『[[西遊記 (2006年のテレビドラマ)|西遊記]]』、『[[チェイス〜国税査察官〜]]』、『[[太陽と海の教室]]』、『[[あなたの隣に誰かいる]]』、『[[トップキャスター]]』、『[[愛し君へ (テレビドラマ)|愛し君へ]]』など様々なジャンルの脚本執筆・構成を担当した<ref name="GINZA201908"/><ref>{{Cite journal |和書 |title=テレビ・トラベラー 昭和・平成テレビドラマ批評大全 |journal=国書刊行会|issue=2012年06月11日}}</ref>。
ドラマ脚本業を再開し『[[リモート]]』、『[[チェイス〜国税査察官〜]]』、『[[西遊記 (2006年のテレビドラマ)|西遊記]]』、『[[太陽と海の教室]]』、『[[あなたの隣に誰かいる]]』、『[[トップキャスター]]』、『[[愛し君へ (テレビドラマ)|愛し君へ]]』など様々なジャンルの脚本執筆・構成を担当した<ref name="GINZA201908"/><ref>{{Cite journal |和書 |title=テレビ・トラベラー 昭和・平成テレビドラマ批評大全 |journal=国書刊行会|issue=2012年06月11日}}</ref>。


[[2004年]]、[[伊藤ちひろ]]と共に[[行定勲]]監督の映画『[[世界の中心で、愛をさけぶ#映画『世界の中心で、愛をさけぶ』|世界の中心で、愛をさけぶ]]』の脚本制作を担当し、大ヒットを記録した。
[[2004年]]、[[伊藤ちひろ]]と共に[[行定勲]]監督の映画『[[世界の中心で、愛をさけぶ#映画『世界の中心で、愛をさけぶ』|世界の中心で、愛をさけぶ]]』の脚本制作を担当し、大ヒットを記録した。


また、ドラマ脚本業の再開後はフジテレビ以外でも連続・単発ドラマのオリジナル脚本を書き下ろすようになり<ref name="yahoo1809" />、テレビ局の[[贈収賄]]事件を扱うキャスターを主人公とした『[[トップキャスター]]』、[[いじめ]]隠蔽をテーマに置いた『[[わたしたちの教科書]]』、[[ネグレクト]]や母性神話による抑圧を扱った『[[Mother (テレビドラマ)|Mother]]』、犯罪被害者家族と加害者家族の交流を描いた『[[それでも、生きてゆく]]』、[[シングルマザー]]や[[生活保護]]を扱った『[[Woman (テレビドラマ)|Woman]]』、結婚や家族の在り方をテーマに置いたラブコメディ調の『[[最高の離婚]]』、職場における性加害や[[パワハラ]]の告発とコメディ調で飲食経営の発展を描いた『[[問題のあるレストラン]]』など、かつてのトレンディドラマのイメージを大きく転換させた書き下ろしのオリジナルドラマを次々と発表し、最初期の作風とはまた違った側面において高い評価・注目を集める<ref name="GINZA201908">「あの脚本家の、心に残るテレビドラマ 社会派編」『GINZA』(2019年8月号、32P、マガジンハウス)</ref>。
また、ドラマ脚本業の再開後はフジテレビ以外でも連続・単発ドラマのオリジナル脚本を書き下ろすようになり<ref name="yahoo1809" />、テレビ局の[[贈収賄]]事件を扱うキャスターを主人公とした『[[トップキャスター]]』、[[いじめ]]や問題を隠蔽する[[組織]]や[[構造]]」をテーマに置いた『[[わたしたちの教科書]]』、[[脱税]]コンサルタントと[[査察部|国税査察官]]の攻防を描いた『[[チェイス〜国税査察官〜]]』、[[ネグレクト]]や母性神話による抑圧を扱った『[[Mother (テレビドラマ)|Mother]]』、犯罪被害者家族と加害者家族の交流を描いた『[[それでも、生きてゆく]]』、[[シングルマザー]]や[[生活保護]]を扱った『[[Woman (テレビドラマ)|Woman]]』、結婚や家族の在り方をテーマに置いたコメディ調の『[[最高の離婚]]』、職場における性加害や[[パワハラ]]の告発とコメディ調で飲食経営の発展を描いた『[[問題のあるレストラン]]』など、かつてのトレンディドラマのイメージを大きく転換させた書き下ろしのオリジナルドラマを次々と発表し、最初期の作風とはまた違った側面において高い評価・注目を集める<ref name="GINZA201908">「あの脚本家の、心に残るテレビドラマ 社会派編」『GINZA』(2019年8月号、32P、マガジンハウス)</ref>。


脚本を書き下ろしたオリジナルドラマは海外からの評価も高く、『[[Mother (テレビドラマ)|Mother]]』は[[韓国]]、[[トルコ]]でそれぞれリメイク版が制作、放送される。加えて、[[フランス]]、[[中華人民共和国]]、[[ウクライナ]]、[[タイランド]]、[[スペイン]]などでもそれぞれの国でリメイク作品の制作<ref name="news.mynavi.jp">[https://news.mynavi.jp/article/20190424-sakamoto_yuji/ 「日本のドラマはどこに向かっているのか」脚本家・坂元裕二氏、海外展開に希望] マイナビニュース 2019年4月24日、2019年11月4日閲覧</ref><ref>{{Cite Web|url= https://hana-koi.jp/ |title=映画『花束みたいな恋をした』公式サイト staff profile坂元裕二|publisher=映画『花束みたいな恋をした』製作委員会|accessdate=2021-02-05}}</ref><ref>{{Cite Web|url=http://j.people.com.cn/n3/2020/0402/c206603-9675383.html|title=女性をめぐる社会問題に注目!日本のドラマ「Mother」中国語版リメイク|publisher=人民網日本版|date=2020-04-02|accessdate=2020-8-21}}</ref>・放送が行われている。さらにそのリメイクされたドラマも重ねてヒットし、高視聴率及び多数のドラマ賞を受賞するなどの高評価を受け、2019年時点でアジア10カ国、世界35カ国以上で展開されるなど日本国外で異例の広がりを見せている<ref name="news.mynavi.jp"/><ref>{{Cite web|url= https://mi-mollet.com/articles/-/15802 |title= あの芦田愛菜の出世作『Mother』が海外でも天才子役を輩出 |work= エンタメ番長 揃い踏み 「それ、気になってた!」|author= 長谷川朋子 |website=mi-mollet |date=2019-02-12 |accessdate=2020-11-10 }}</ref>。『Mother』に続き『[[Woman (テレビドラマ)|Woman]]』はトルコ、フランス、韓国でリメイク版が制作・放送され、世界25カ国以上に展開されている<ref>[https://n.news.naver.com/article/018/0004956797 쇼박스, 백신 접종률 상승·웹툰 드라마화…성장성 가시화 -하이] 이데일리 2021年6月14日、2021年6月15日閲覧</ref>。また、『[[いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう]]』はトルコ、『[[問題のあるレストラン]]』は中華人民共和国、『[[最高の離婚]]』は韓国においてそれぞれリメイク版の制作・放送が行われている。
脚本を書き下ろしたオリジナルドラマは海外からの評価も高く、『[[Mother (テレビドラマ)|Mother]]』は[[韓国]]、[[トルコ]]でそれぞれリメイク版が制作、放送される。加えて、[[フランス]]、[[中華人民共和国]]、[[ウクライナ]]、[[タイランド]]、[[スペイン]]などでもそれぞれの国でリメイク作品の制作<ref name="news.mynavi.jp">[https://news.mynavi.jp/article/20190424-sakamoto_yuji/ 「日本のドラマはどこに向かっているのか」脚本家・坂元裕二氏、海外展開に希望] マイナビニュース 2019年4月24日、2019年11月4日閲覧</ref><ref>{{Cite Web|url= https://hana-koi.jp/ |title=映画『花束みたいな恋をした』公式サイト staff profile坂元裕二|publisher=映画『花束みたいな恋をした』製作委員会|accessdate=2021-02-05}}</ref><ref>{{Cite Web|url=http://j.people.com.cn/n3/2020/0402/c206603-9675383.html|title=女性をめぐる社会問題に注目!日本のドラマ「Mother」中国語版リメイク|publisher=人民網日本版|date=2020-04-02|accessdate=2020-8-21}}</ref>・放送が行われている。さらにそのリメイクされたドラマも重ねてヒットし、高視聴率及び多数のドラマ賞を受賞するなどの高評価を受け、2019年時点でアジア10カ国、世界35カ国以上で展開されるなど日本国外で異例の広がりを見せている<ref name="news.mynavi.jp"/><ref>{{Cite web|url= https://mi-mollet.com/articles/-/15802 |title= あの芦田愛菜の出世作『Mother』が海外でも天才子役を輩出 |work= エンタメ番長 揃い踏み 「それ、気になってた!」|author= 長谷川朋子 |website=mi-mollet |date=2019-02-12 |accessdate=2020-11-10 }}</ref>。『Mother』に続き『[[Woman (テレビドラマ)|Woman]]』はトルコ、フランス、韓国でリメイク版が制作・放送され、世界25カ国以上に展開されている<ref>[https://n.news.naver.com/article/018/0004956797 쇼박스, 백신 접종률 상승·웹툰 드라마화…성장성 가시화 -하이] 이데일리 2021年6月14日、2021年6月15日閲覧</ref>。また、『[[いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう]]』はトルコ、『[[問題のあるレストラン]]』は中華人民共和国、『[[最高の離婚]]』は韓国においてそれぞれリメイク版の制作・放送が行われている。


初期の群像ラブストーリーを執筆していた時代は「自分が書きたいこううものじゃという気持ちがずっと常にあった」と明かすが<ref name="Professional20181123">『[[プロフェッショナル 仕事の流儀]]』([[NHK総合テレビジョン|NHK G]])2018年11月13日放送分。</ref>、加えて「これまでに脚本を書いたドラマは全部が全部心を込めたものばかりで、昔のも今のも同じだけ大事に思っている」と発言している<ref>{{Cite web |author= |date= |url= https://www.instagram.com/p/BqMFvImFJ7l/?igshid=1k2u28wguewjx |title=坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)のInstagramアカウント |publisher=Instagram |accessdate=2018-11-22}}</ref>。
初期の群像ラブストーリーを執筆していた時代は「自分が書きたいテーマや作品でいなという気持ちが正直あった」と明かすが<ref name="Professional20181123">『[[プロフェッショナル 仕事の流儀]]』([[NHK総合テレビジョン|NHK G]])2018年11月13日放送分。</ref>、加えて「それでも、これまでに脚本を書いた作品は全部が全部心を込めたものばかりで、昔のも今のも同じだけ大事に思っている」と発言している<ref>{{Cite web |author= |date= |url= https://www.instagram.com/p/BqMFvImFJ7l/?igshid=1k2u28wguewjx |title=坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)のInstagramアカウント |publisher=Instagram |accessdate=2018-11-22}}</ref>。


また、作風に変化があったとしても「テレビという器からちょっとこぼれているもを書きたい」という根本的な部分については今も昔も変わらないと話しており<ref name="yahoo1809" />、復帰以降に坂元が脚本を書き下ろした社会派と紹介されるいくつかの作品においても坂元が最初期に執筆した群像劇ドラマのような役者同士の軽快なやりとりによるシーンなどが変わらず存在、特定のジャンルに該当する作品は少ない<ref>{{Cite web|url=https://lp.p.pia.jp/shared/cnt-s/cnt-s-11-02_2_4bd6529d-9945-4541-b64d-8acfd5a6eafd.html |title=坂元裕二、ドラマで開花した作家性は映画にどう引き継がれる? 『花束みたいな恋をした』への期待 |publisher= |accessdate=2019-11-09 |archiveurl= }}</ref>。
また、作風に変化があったとしても「テレビという大きい器からちょっとこぼれている声やテーマが宿っている作品、見た人に新鮮な気持ちになってらえる作品を書きたい」という根本的な部分については今も昔も変わらないと話しており<ref name="yahoo1809" />、復帰以降に坂元が脚本を書き下ろした社会派と紹介されるいくつかの作品においても坂元が最初期に執筆した群像劇ドラマのような役者同士の軽快なやりとりと芝居のあるシーンなどが存在する作品も多くある特定のジャンルに該当する作品は少ない<ref>{{Cite web|url=https://lp.p.pia.jp/shared/cnt-s/cnt-s-11-02_2_4bd6529d-9945-4541-b64d-8acfd5a6eafd.html |title=坂元裕二、ドラマで開花した作家性は映画にどう引き継がれる? 『花束みたいな恋をした』への期待 |publisher= |accessdate=2019-11-09 |archiveurl= }}</ref>。


[[2012年]][[9月22日]]、朗読劇『[[往復書簡 初恋と不倫|不帰の初恋、海老名SA]]』を公演。以降定期的に坂元が役者に出演を依頼し、役者と共に朗読劇の公演を行っている。([[#作品|関わった作品]]参照)
[[2012年]][[9月22日]]、朗読劇『[[往復書簡 初恋と不倫|不帰の初恋、海老名SA]]』を公演。以降定期的に坂元が直接役者に出演を依頼し、役者と共に朗読劇の公演を行っている。([[#作品|関わった作品]]参照)


[[2016年]]4月、[[東京芸術大学]][[大学院]]映像研究科教授に就任し、脚本業の多忙化に伴い[[2023年]]4月に任期を終えた<ref>{{Cite web |author= |date= |url=https://www.instagram.com/p/CqDQgX6Pic6/?igshid=YmMyMTA2M2Y= |title=坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)のInstagramアカウント |publisher=Instagram |accessdate=2023-03-25}}</ref>。
[[2016年]]4月、[[東京芸術大学]][[大学院]]映像研究科教授に就任し、脚本業の多忙化に伴い[[2023年]]4月に任期を終えた<ref>{{Cite web |author= |date= |url=https://www.instagram.com/p/CqDQgX6Pic6/?igshid=YmMyMTA2M2Y= |title=坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)のInstagramアカウント |publisher=Instagram |accessdate=2023-03-25}}</ref>。


[[2017年]]6月、朗読劇のシナリオの一部を書籍としてまとめた『[[往復書簡 初恋と不倫]]』が[[リトルモア]]から出版された<ref name="oufuku">{{Cite web|title=『往復書簡 初恋と不倫』 坂元裕二 |url=http://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=966 |website=リトルモア ブックス |accessdate=2021-12-11 |language=ja |publisher=リトルモア|date=2017-06-26}}</ref>。本書は[[簡体字]]版、[[繁体字]]版<ref>{{Cite Web|url=https://twitter.com/littlemoreweb/status/1346291940854153217 |title=リトルモアWEB Twitter |publisher=リトルモアWEB |date=2021-01-05 |accessdate=2021-12-12}}</ref>でも[[書簡集|往復書簡集]]という形で書籍化され、中国最大の書評サイト「豆瓣読書」<ref>{{Cite web|title=BookLive、会員数7,000万人の中国の大手SNSサービス「豆瓣(ドウバン)」において、日本の電子書籍サービスとして初のコミック配信を開始 |url=https://www.booklive.co.jp/archives/336 |website=BookLive|accessdate=2021-12-11 |language= |publisher=BookLive |date=2014-01-23 }}</ref> [[2020年]]度外国語文学のランキングにおいて三位に選出された<ref>{{Cite web|title=豆瓣 BOOKS OF THE YEAR
[[2017年]]6月、朗読劇のシナリオの一部を書籍としてまとめた『[[往復書簡 初恋と不倫]]』が[[リトルモア]]から出版された<ref name="oufuku">{{Cite web|title=『往復書簡 初恋と不倫』 坂元裕二 |url=http://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=966 |website=リトルモア ブックス |accessdate=2021-12-11 |language=ja |publisher=リトルモア|date=2017-06-26}}</ref>。本書は[[簡体字]]版、[[繁体字]]版<ref>{{Cite Web|url=https://twitter.com/littlemoreweb/status/1346291940854153217 |title=リトルモアWEB Twitter |publisher=リトルモアWEB |date=2021-01-05 |accessdate=2021-12-12}}</ref>でも[[書簡集|往復書簡集]]という形で書籍化され、往復書簡集でありシナリオ本という形式でありながら中国最大の書評サイト「豆瓣読書」<ref>{{Cite web|title=BookLive、会員数7,000万人の中国の大手SNSサービス「豆瓣(ドウバン)」において、日本の電子書籍サービスとして初のコミック配信を開始 |url=https://www.booklive.co.jp/archives/336 |website=BookLive|accessdate=2021-12-11 |language= |publisher=BookLive |date=2014-01-23 }}</ref> [[2020年]]度外国語文学のランキングにおいて三位に選出された<ref>{{Cite web|title=豆瓣 BOOKS OF THE YEAR
|url=https://book.douban.com/annual/2020 |website=豆瓣読書 |accessdate=2021-12-11 |language= |publisher=豆瓣読書 |date=2021-01-05 }}</ref>。
|url=https://book.douban.com/annual/2020 |website=豆瓣読書 |accessdate=2021-12-11 |language= |publisher=豆瓣読書 |date=2021-01-05 }}</ref>。


[[2018年]]3月、連続ドラマ『[[anone]]』最終回後に、自の[[Instagram]]で同作品を最後に数年の間は単発・連続ドラマの脚本執筆をお休みし、舞台や映画、大学院の授業など他の形態での活動のみに絞りますと報告した。この件については4年前から決めており、周囲のお世話になっている人たちや仕事仲間に説明した上で4年間、1月期に各1本の連続ドラマ執筆を手掛けていた。テレビ脚本の休業発表後、オリジナル脚本ドラマ『anone』は10月16日に[[フランス]]の[[カンヌ]]で開催された「MIPCOM2018」において日本のドラマの中で「ぜひ買いたい作品」「自国で放送したい作品」として『Woman』以来2度目である「MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama」のグランプリを受賞した<ref>この段落の出典。{{Cite web |author= |date= |url=https://www.instagram.com/p/BglonKnHLaB/?hl=ja&taken-by=skmtyj |title=坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)のInstagramアカウント |publisher=Instagram |accessdate=2018-03-22}}</ref><ref>この段落の出典。{{Cite web |date=2018-03-22 |url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2018/03/22/kiji/20180322s00041000141000c.html |title=「これにてちょっと連ドラはお休みします」脚本家・坂元裕二氏「anone」でひと区切り |work=[[スポニチアネックス]] |publisher=スポーツニッポン新聞社 |accessdate=2018-03-22}}</ref>。また、連ドラの仕事をこれから一切やらないという意味ではなく「テレビの世界では、仮に、もしいま仕事が決まったとしても、それは早くて2年後の放送分。いま何も決めていないということは、しばらく休むことになるんです」として、あくまでスケジュールの関係で連ドラを休むことになったと説明している<ref name="yahoo1809" />。
[[2018年]]3月、連続ドラマ『[[anone]]』最終回後に、自の[[Instagram]]で同作品を最後に数年の間は単発・連続ドラマの脚本執筆をお休みし、舞台や映画、大学院の授業など他の形態での活動のみに絞りますと報告した。この件については4年前から決めており、周囲のお世話になっている人たちや仕事仲間に説明した上で4年間、1月期に各1本の連続ドラマ執筆を手掛けていた。テレビ脚本の休業発表後、オリジナル脚本ドラマ『anone』は10月16日に[[フランス]]の[[カンヌ]]で開催された「MIPCOM2018」において日本のドラマの中で「ぜひ買いたい作品」「自国で放送したい作品」として『Woman』以来2度目である「MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama」のグランプリを受賞した<ref>この段落の出典。{{Cite web |author= |date= |url=https://www.instagram.com/p/BglonKnHLaB/?hl=ja&taken-by=skmtyj |title=坂元裕二 / SAKAMOTO YUJIさん(@skmtyj)のInstagramアカウント |publisher=Instagram |accessdate=2018-03-22}}</ref><ref>この段落の出典。{{Cite web |date=2018-03-22 |url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2018/03/22/kiji/20180322s00041000141000c.html |title=「これにてちょっと連ドラはお休みします」脚本家・坂元裕二氏「anone」でひと区切り |work=[[スポニチアネックス]] |publisher=スポーツニッポン新聞社 |accessdate=2018-03-22}}</ref>。また、連ドラの仕事をこれから一切やらないという意味ではなく「テレビの世界では、仮に、もしいま仕事が決まったとしても、それは早くて2年後の放送分。いま何も決めていないということは、しばらく休むことになるんです」として、あくまでスケジュールの関係で連ドラを休むことになったと説明している<ref name="yahoo1809" />。


2018年9月、[[小泉今日子]]が代表を務める制作事務所[[明後日 (芸能プロダクション)|株式会社明後日]]による企画・制作で、自身初の[[戯曲]]である『またここか』([[豊原功補]]演出)を書き下ろし、「第63回[[岸田國士戯曲賞]]」の最終候補にあがる。
2018年9月、[[小泉今日子]]が代表を務める制作事務所[[明後日 (芸能プロダクション)|株式会社明後日]]による企画・制作で、自身初の[[戯曲]]である『またここか』([[豊原功補]]演出)を書き下ろし、「第63回[[岸田國士戯曲賞]]」の最終候補にあがる。
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== 人物・エピソード ==
== 人物・エピソード ==
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*フジテレビの月9ドラマである『[[ラブジェネレーション]]』のために[[大瀧詠一]]が書き下ろした「[[幸せな結末]]」の歌い出しである〝髪をほどいた 君のしぐさが 泣いているようで胸が騒ぐよ〟というワンフレーズの[[作詞]]に関して、当時この曲のレコーディングをしている時に坂元が演出の[[永山耕三]]に呼び出され、その歌い出しのフレーズだけ手伝ったというエピソードがある<ref>ニッポン放送『大滝詠一 Happy Endingの世界』2020年3月22日放送分</ref>。
*フジテレビの月9ドラマである『[[ラブジェネレーション]]』のために[[大瀧詠一]]が書き下ろした「[[幸せな結末]]」の歌い出しである〝髪をほどいた 君のしぐさが 泣いているようで胸が騒ぐよ〟というワンフレーズの[[作詞]]に関して、当時この曲のレコーディングをしている時に坂元が演出の[[永山耕三]]に呼び出され、その歌い出しのフレーズだけ手伝ったというエピソードがある<ref>ニッポン放送『大滝詠一 Happy Endingの世界』2020年3月22日放送分</ref>。
*高校時代は[[とんねるず]]のファンで、18歳の頃深夜ラジオ『[[とんねるずのオールナイトニッポン]]』をよく聴いていた。[[ディレクターズ・カンパニー]]の脚本募集以外の候補として『[[フジテレビヤングシナリオ大賞]]』を選んで応募したのも、「入賞すればフジテレビでとんねるずに会えるのでは?」という期待から始まったものだった。また、妻の森口瑤子も坂元と同じく高校時代とんねるずのファンであった<ref>{{Cite web|url=https://www.fujitv-view.jp/article/post-144626/ |title=「とんねるずにお礼が言いたくて」脚本家・坂元裕二がゲスト出演! 石橋貴明との意外な接点とは? |website=フジテレビュー!! |publisher=フジテレビ |date=2020-08-04 |accessdate=2020-11-10 }}</ref>。
*高校時代は[[とんねるず]]のファンで、18歳の頃深夜ラジオ『[[とんねるずのオールナイトニッポン]]』をよく聴いていた。[[ディレクターズ・カンパニー]]の脚本募集以外の候補として『[[フジテレビヤングシナリオ大賞]]』を選んで応募したのも、「入賞すればフジテレビでとんねるずに会えるのでは?」という期待から始まったものだった。また、妻の森口瑤子も坂元と同じく高校時代とんねるずのファンであった<ref>{{Cite web|url=https://www.fujitv-view.jp/article/post-144626/ |title=「とんねるずにお礼が言いたくて」脚本家・坂元裕二がゲスト出演! 石橋貴明との意外な接点とは? |website=フジテレビュー!! |publisher=フジテレビ |date=2020-08-04 |accessdate=2020-11-10 }}</ref>。
*フジテレビ制作の深夜単発ドラマ『[[男湯]]』及びその続編である『[[男湯2]]』の脚本を担当した大野大福とは坂元裕二の別名義である<ref>{{Cite news|url=https://www.nihon-eiga.com/osusume/sakamotoyuji/ |title=脚本家 坂元裕二劇場 |newspaper=日本映画専門チャンネル |date=2021-04-01 |accessdate=2020-04-01 }}</ref>。
*フジテレビ制作の深夜単発ドラマ『[[男湯]]』及びその続編である『[[男湯2]]』の脚本を担当した大野大福とは坂元裕二の別名義である<ref>{{Cite news|url=https://www.nihon-eiga.com/osusume/sakamotoyuji/ |title=脚本家 坂元裕二劇場 |newspaper=日本映画専門チャンネル |date=2021-04-01 |accessdate=2020-04-01 }}</ref>。
*海外や国内の[[ヒップホップ・ミュージック|ヒップホップ]]やその文化に関心があり、執筆中の息抜きによく聴いている<ref name="Professional20181123"/>。
*海外や国内の[[ヒップホップ・ミュージック|ヒップホップ]]やその文化に関心があり、執筆中の息抜きによく聴いている<ref name="Professional20181123"/>。
*2014年から約5年間、小さな[[飲食店]]の立ち上げ・経営に関わった経験がある{{R|eure202102mitusima}}。坂元は2021年のインタビューの中で「『[[問題のあるレストラン]]』というドラマを作るときに、それが飲食店の話だったから(取材も兼ねて)このタイミングで自分の念願も果たしちゃと思って、ドラマ制作と同時に始めてみたんです」と答えている<ref name="eure202102mitusima">「リモートインタビュー 満島ひかりが聞く 坂元裕二」、『ユリイカ 詩と批評』2021年2月号・第53巻第2号(通巻770号)「特集・坂元裕二」、青土社、pp. 38-51。</ref>。
*2014年から約5年間、小さな[[飲食店]]の立ち上げ・経営に関わっていた経験がある{{R|eure202102mitusima}}。坂元は2021年のインタビューの中で「『[[問題のあるレストラン]]』というドラマを作るときに、それが飲食店の話だったから(取材も兼ねて)このタイミングで自分の念願も果たしちゃおうと思って、ドラマ制作と同時に始めてみたんです」と答えている<ref name="eure202102mitusima">「リモートインタビュー 満島ひかりが聞く 坂元裕二」、『ユリイカ 詩と批評』2021年2月号・第53巻第2号(通巻770号)「特集・坂元裕二」、青土社、pp. 38-51。</ref>。


<!--[[特別:差分/92825079]]を参照のこと、COの状態で復帰しますが虚偽出典や不正確な引用などの疑いあり-->
<!--[[特別:差分/92825079]]を参照のこと、COの状態で復帰しますが虚偽出典や不正確な引用などの疑いあり-->
=== 作風 ===
=== 作風 ===
*[[スタジオジブリ]]出版部発行の冊子『熱風』におけるロングインタビューの中で坂元は自分が描く登場人物に関して、「正しい、正しくない」「共感できる、できない」「頑張った、頑張ってない」という視点ではなく、「面白さ」「優しさ」「滑稽さ」「怖さ」といった、人が無意識に人に見せる細やかな瞬間に[[フォーカス]]を当てた「どこか子供じみた観点」から登場人物の人物像を描くようにしていると答えている<ref name="neppu">{{Cite journal |和書 |title=特集/坂元裕二 ロング・インタビュー テレビドラマ「カルテット」で描きたかったこと |journal=熱風 |volume=15 |issue=6 |date=2017-06-09 |publisher=スタジオジブリ出版部 |pages=3-23 }}</ref>。加えて、主人公と対立したり、邪魔をする登場人物に関しては「本当はいい人なのか、結局悪い人なのか」ではなく「主人公と[[コミュニケーション]]が取れない人」という認識で描いていると話している<ref name="neppu"/>。また、物語が終わった後も登場人物が今もどこかで生きていると感じてもらうために、説明的な描写の有無がどうこうというより、語りすぎない[[余白]]の部分を大事にしていると答えている<ref name="neppu"/>。
*[[スタジオジブリ]]出版部発行の冊子『熱風』におけるロングインタビューの中で坂元は自分が描く登場人物に関して、「正しい、正しくない」「共感できる、できない」「頑張った、頑張ってない」という視点ではなく、「面白さ」「優しさ」「滑稽さ」「怖さ」といった、人が無意識に人に見せる細やかな瞬間に[[フォーカス]]を当てた「どこか子供じみた観点」から登場人物の人物像を描くようにしていると答えている<ref name="neppu">{{Cite journal |和書 |title=特集/坂元裕二 ロング・インタビュー テレビドラマ「カルテット」で描きたかったこと |journal=熱風 |volume=15 |issue=6 |date=2017-06-09 |publisher=スタジオジブリ出版部 |pages=3-23 }}</ref>。加えて、主人公と対立したり、邪魔をする登場人物に関しては「本当はいい人なのか、結局悪い人なのか」ではなく「主人公と[[コミュニケーション]]が取れない人」という認識で描いていると話している<ref name="neppu"/>。また、物語が終わった後も登場人物が今もどこかで生きていると感じてもらうために、説明的な描写の有無がどうこうというより、語りすぎない[[余白]]の部分を大事にしていると答えている<ref name="neppu"/>。
*脚本を書き始めた当初から現在まで「テレビからちょっとこぼれそうなもの」を書いていたいという意識はあったが、特に『[[Mother (テレビドラマ)|Mother]]』以降殆どのドラマは各局のプロデューサーと一緒に視聴率をなるべく気にしない形で無理矢理でも自由に作らせてもらっている感覚があるとインタビューにおいて答えている<ref name="yahoo1809" /><ref name="neppu"/>。また、前提としてテレビは[[公共]]のものなんだということを意識したうえで、それでも放送する自分たちが「面白い」「新しい」「見たことがない」と思えるものを作りたいと考えている各局にいる何人かのプロデューサーが自分へ「一緒に仕事をしないか?」と連絡をくれるおかげで、自分が興味のあるテーマや[[プロダクション]]を深く共有したり自由に脚本を書かせてもらえてるので、少なくともそういう声をかけてくれる人たちがいてくれてる間はドラマの脚本を書き続けていきたいと話している<ref name="yahoo1809" /><ref name="neppu"/>。
*脚本を書き始めた当初から現在まで「テレビからちょっとこぼれそうな声やテーマ」を書いていたいという意識はあったが、特に『[[Mother (テレビドラマ)|Mother]]』以降殆どのドラマは各局のプロデューサーと一緒に視聴率をなるべく気にしない形で無理矢理でも自由に作らせてもらっている感覚があるとインタビューにおいて答えている<ref name="yahoo1809" /><ref name="neppu"/>。また、前提としてテレビは[[公共]]のものなんだということを意識したうえで、それでも放送する自分たちが「面白い」「新しい」「見たことがない」と思えるものを作りたいと考えている各局にいる何人かのプロデューサーが自分へ「一緒に仕事をしないか?」と連絡をくれるおかげで、自分が興味のあるテーマや[[プロダクション]]を深く共有したり自由に脚本を書かせてもらえてるので、少なくともそういう声をかけてくれる人たちがいてくれてる間はドラマの脚本を書き続けていきたいと話している<ref name="yahoo1809" /><ref name="neppu"/>。
*作品に出演している役者の演技の魅力や役者そのものの凄みが発揮されることを最優先事項に[[キャラクター]]や[[シチュエーション]]、[[シークエンス]]を作り上げていく作風のため、メインキャストに限らずなるべく“当て書き”で脚本を書き下ろしている<ref name="crea.bunshun.jp/articles"/><ref name="neppu"/>。また、「ある特定の[[個人]](手紙をくれた視聴者や知り合いの子供、友人)」の存在から物語における大枠のテーマを決定するケースもあり、その場合、物語を展開させていく中でどうしても迷った際はその特定個人を思い浮かべながら書き進めるようにしている<ref name="crea.bunshun.jp/articles">{{Cite web|url=https://crea.bunshun.jp/articles/-/20996 |title= 脚本家・坂元裕二が語る創作の秘密 脚本家・坂元裕二インタビュー (1)「10代の人たちに観てもらいたい」 |date=2018-10-19 |publisher=crea |accessdate=2022-11-09 }}</ref><ref name="neppu"/>。<!--COの理由については上述-->
*作品に出演している役者の芝居の魅力や役者としての凄みが発揮されることを最優先事項に[[キャラクター]]や[[シチュエーション]]、[[シークエンス]]を作り上げていく作風のため、メインキャストに限らずなるべく“当て書き”で脚本を書き下ろしている<ref name="crea.bunshun.jp/articles"/><ref name="neppu"/>。また、「ある特定の[[個人]](手紙をくれた視聴者や知り合いの子供、友人)」の存在から物語における大枠のテーマを決定するケースもあり、その場合、物語を展開させていく中でどうしても迷った際はその特定個人を思い浮かべながら書き進めるようにしている<ref name="crea.bunshun.jp/articles">{{Cite web|url=https://crea.bunshun.jp/articles/-/20996 |title= 脚本家・坂元裕二が語る創作の秘密 脚本家・坂元裕二インタビュー (1)「10代の人たちに観てもらいたい」 |date=2018-10-19 |publisher=crea |accessdate=2022-11-09 }}</ref><ref name="neppu"/>。<!--COの理由については上述-->
*映像作品の脚本執筆に関して、物語内の言葉によって物語の芯や核となる複雑で重要な部分の外側を埋めていくことで、登場人物が喋らなかったことや安易な形では言語化しづらい複雑で大事な感情を複雑なまま伝えられるように意識して脚本の執筆を行うことが多い。そのため、物語の中で誰か1人の人物が喋っている言葉の意味そのものがなにか作品のテーマに対して決定的なことを結論づけたりすることはなく、言葉の量が増えたり、リズムが変わったり、あえて強い言葉が発せられているような場面においても、複雑で大事な感情を安易な形では言語化してしまわないように登場人物が無意識に複雑な感情や核心部分を役の内面に抱え込んだり隠したり守ったり逆説的に浮き彫りにする行為としてそういった場面が描かれていることがあると述べている<ref name="tvbros201812"/>。また、クランクイン直後の撮影の現場から監督が映像で送ってくれる役者の演技に影響を受ける形で送稿前の脚本、場合によってはその先の物語の展開そのものを変えることがある<ref name="eure202102mitusima"/><ref name="tvbros201812">「脚本家・坂元裕二 ロングインタビュー」、「TV Bros.」2018年12月号 東京ニュース通信社。</ref>。
*映像作品の脚本執筆に関して、物語上に存在する言葉によって物語の芯や核となる複雑な部分のを埋めていくことで、登場人物が喋らなかったことや安易な形では言語化しづらい複雑な感情を複雑なまま伝えられるように意識して脚本の執筆を行うことが多い。そのため、物語の中で誰か特定の人物、1人の人物が喋っている言葉の意味そのものが作品のテーマに対してなにか決定的な1つの答えを結論づけたりすることはなく、言葉の量が増えたり、[[リズム]]が変わったり、あえて強い言葉が発せられているような場面においても、その役の複雑で大事な感情を安易な形で[[ラベリング]]してしまわないように登場人物が無意識に複雑な感情や核心部分を役の内面に抱え込んだり隠したり守ったり逆説的に浮き彫りにする行為としてそういった場面が描かれていることがあると述べている<ref name="tvbros201812"/>。また、クランクイン直後の撮影の現場から監督が映像で送ってくれる役者の芝居に影響を受ける形で送稿前の脚本、場合によってはその先の物語の展開そのものを変えることがある<ref name="eure202102mitusima"/><ref name="tvbros201812">「脚本家・坂元裕二 ロングインタビュー」、「TV Bros.」2018年12月号 東京ニュース通信社。</ref>。


== 受賞 ==
== 受賞 ==
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=== イベント ===
=== イベント ===
* 坂元裕二の残業(2018年)
* 坂元裕二の残業(2018年)
*[[東京藝術大学]][[大学院]]映像研究科オープンセミナー [[奥寺佐渡子]]さんとトークショー(2019)<ref name="オープンセミナー">{{Cite web|title= OPEN THEATER 2019 脚本オープンセミナー < 7/19開催!> |url=https://geidai-film.jp/2019/06/3200/|website=東京芸術大学|publisher=東京芸術大学大学院映像研究科 | accessdate=2022-11-09}}</ref>。
* [[株式会社明後日]]主催「全国へゆこうか!朗読ジャーニー 『詠む読む』」という2019年3月から始まった〝坂元裕二が書き上げたシナリオや小説を、俳優の[[満島ひかり]]と地域ごとに招待したゲストに朗読してもらう〟といった内容の企画を、全ての都道府県制覇という目標の元、不定期に開催している<ref name="全国へゆこうか!朗読ジャーニー「詠む読むの記」in広島">{{Cite web|url= https://asatte.tokyo/yomuyomunoki/ |title= 全国へゆこうか!朗読ジャーニー「詠む読むの記」in広島 |publisher= 株式会社明後日 |accessdate= 2020-11-10 |archiveurl= https://web.archive.org/web/20200710031957/https://asatte.tokyo/yomuyomunoki/ |archivedate= 2020-07-10 }}</ref>。現時点で満島ひかりとペアを組んだ朗読ゲストは[[森岡龍]]、[[のん (女優)|のん]]、[[毎熊克哉]]、[[森七菜]]、[[佐久本宝]]、[[駿河太郎]]、[[YO-KING]]<ref name="全国へゆこうか!朗読ジャーニー「詠む読むの記」in広島"/>。
* [[株式会社明後日]]主催「全国へゆこうか!朗読ジャーニー 『詠む読む』」という2019年3月から始まった〝坂元裕二が書き上げたシナリオや小説を、俳優の[[満島ひかり]]と地域ごとに招待したゲストに朗読してもらう〟といった内容の企画を、全ての都道府県制覇という目標の元、不定期に開催している<ref name="全国へゆこうか!朗読ジャーニー「詠む読むの記」in広島">{{Cite web|url= https://asatte.tokyo/yomuyomunoki/ |title= 全国へゆこうか!朗読ジャーニー「詠む読むの記」in広島 |publisher= 株式会社明後日 |accessdate= 2020-11-10 |archiveurl= https://web.archive.org/web/20200710031957/https://asatte.tokyo/yomuyomunoki/ |archivedate= 2020-07-10 }}</ref>。現時点で満島ひかりとペアを組んだ朗読ゲストは[[森岡龍]]、[[のん (女優)|のん]]、[[毎熊克哉]]、[[森七菜]]、[[佐久本宝]]、[[駿河太郎]]、[[YO-KING]]<ref name="全国へゆこうか!朗読ジャーニー「詠む読むの記」in広島"/>。



2023年5月8日 (月) 09:14時点における版

坂元さかもと 裕二ゆうじ
プロフィール
別名 大野おおの 大福だいふく
誕生日 (1967-05-12) 1967年5月12日(57歳)
出身地 日本の旗 日本大阪府
主な作品
テレビドラマ東京ラブストーリー
二十歳の約束
ラストクリスマス
西遊記
わたしたちの教科書
Mother
それでも、生きてゆく
最高の離婚
Woman
問題のあるレストラン
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
カルテット
anone
大豆田とわ子と三人の元夫
初恋の悪魔
映画世界の中心で、愛をさけぶ
西遊記
花束みたいな恋をした
ゲームリアルサウンド 〜風のリグレット〜
受賞
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坂元 裕二(さかもと ゆうじ、1967年5月12日 - )は、日本脚本家作詞家戯曲家

大阪府出身。妻は森口瑤子[1]1998年結婚)。2016年から2023年にかけて東京芸術大学大学院映像研究科の教授を務めた[2]

経歴・概要

自動車整備工場を営む両親のもと、3人兄弟の長男として育つ。奈良育英高等学校卒業。高校時代、映画では相米慎二監督作品、小説では中上健次作品を軸に色々な監督や作家の作品を見たり読んだりしていた[3]

高校卒業後、フリーターをしながら脚本を学ぶ。1987年、「第1回フジテレビヤングシナリオ大賞」を19歳で受賞しデビュー[3]。同時期にディレクターズ・カンパニーが行っていた脚本募集にも応募し、そちらでは採用されなかったためすぐに自立して生活ができるテレビの道へ進むために上京した[3]。上京後はテレビ局のアシスタントをしながら脚本の腕を磨いた[3]

1991年、23歳の時に脚本を担当した『東京ラブストーリー』(フジテレビ)が大ヒットし、最高視聴率は32%。「月曜日の夜9時は街から女性(もしくはOL)たちが消えた」と言われるほどの社会現象となる。ラブストーリーの脚本の依頼が次々舞い込むようになり、トレンディドラマの旗手として脚光を浴びた[4]

また、織田裕二松たか子小室哲哉などの楽曲の作詞も手掛けた。(主な作詞提供アーティスト参照)

1996年、「明らかにテレビ(業界)が嫌で逃亡した」という理由で脚本家業を休養し、一時的にテレビ業界から離れる[3][4]。当初は飯野賢治率いる株式会社ワープに所属してゲーム関連の仕事に携わり、『リアルサウンド 〜風のリグレット〜』などのシナリオを手掛け、1998年に同社を退社。映画やゲームのシナリオ執筆や脚本構成の仕事をしながら、知人であった文芸誌編集長から勧められ小説の執筆も並行して行っていたが、3年間一つの小説を書き続け原稿用紙2000枚ほどの分量になるも終わらせ方がわからず未完成のまま発表には至らなかった[3]。『きらきらひかる』(フジテレビ)のドラマ版(脚本は井上由美子)を見たことでそのドラマに刺激を受け、それがテレビ脚本の世界に戻るきっかけの1つになった[3]。また、この休養期間中に森口との結婚や長女の誕生を経験した[3]

ドラマ脚本業を再開し『リモート』、『チェイス〜国税査察官〜』、『西遊記』、『太陽と海の教室』、『あなたの隣に誰かいる』、『トップキャスター』、『愛し君へ』など様々なジャンルの脚本執筆・構成を担当した[5][6]

2004年伊藤ちひろと共に行定勲監督の映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の脚本制作を担当し、大ヒットを記録した。

また、ドラマ脚本業の再開後はフジテレビ以外でも連続・単発ドラマのオリジナル脚本を書き下ろすようになり[3]、テレビ局の贈収賄事件を扱うキャスターを主人公とした『トップキャスター』、「いじめや問題を隠蔽する組織構造」をテーマに置いた『わたしたちの教科書』、脱税コンサルタントと国税査察官の攻防を描いた『チェイス〜国税査察官〜』、ネグレクトや母性神話による抑圧を扱った『Mother』、犯罪被害者家族と加害者家族の交流を描いた『それでも、生きてゆく』、シングルマザー生活保護を扱った『Woman』、結婚や家族の在り方をテーマに置いたコメディ調の『最高の離婚』、職場における性加害やパワハラの告発とコメディ調で飲食経営の発展を描いた『問題のあるレストラン』など、かつてのトレンディドラマのイメージを大きく転換させた書き下ろしのオリジナルドラマを次々と発表し、最初期の作風とはまた違った側面において高い評価・注目を集める[5]

脚本を書き下ろしたオリジナルドラマは海外からの評価も高く、『Mother』は韓国トルコでそれぞれリメイク版が制作、放送される。加えて、フランス中華人民共和国ウクライナタイランドスペインなどでもそれぞれの国でリメイク作品の制作[7][8][9]・放送が行われている。さらにそのリメイクされたドラマも重ねてヒットし、高視聴率及び多数のドラマ賞を受賞するなどの高評価を受け、2019年時点でアジア10カ国、世界35カ国以上で展開されるなど日本国外で異例の広がりを見せている[7][10]。『Mother』に続き『Woman』はトルコ、フランス、韓国でリメイク版が制作・放送され、世界25カ国以上に展開されている[11]。また、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』はトルコ、『問題のあるレストラン』は中華人民共和国、『最高の離婚』は韓国においてそれぞれリメイク版の制作・放送が行われている。

初期の群像ラブストーリーを執筆していた時代は「自分が書きたいテーマや作品ではないなという気持ちが正直あった」と明かすが[4]、加えて「それでも、これまでに脚本を書いた作品は全部が全部心を込めたものばかりで、昔のも今のも同じだけ大事に思っている」と発言している[12]

また、作風に変化があったとしても「テレビという大きい器からちょっとこぼれている声やテーマが宿っている作品、見た人に新鮮な気持ちになってもらえる作品を書きたい」という根本的な部分については今も昔も変わらないと話しており[3]、復帰以降に坂元が脚本を書き下ろした社会派と紹介されるいくつかの作品においても坂元が最初期に執筆した群像劇ドラマのような役者同士の軽快なやりとりと芝居のあるシーンなどが存在する作品も多く、ある特定のジャンルに該当する作品は少ない[13]

2012年9月22日、朗読劇『不帰の初恋、海老名SA』を公演。以降定期的に坂元が直接役者に出演を依頼し、役者と共に朗読劇の公演を行っている。(関わった作品参照)

2016年4月、東京芸術大学大学院映像研究科教授に就任し、脚本業の多忙化に伴い2023年4月に任期を終えた[14]

2017年6月、朗読劇のシナリオの一部を書籍としてまとめた『往復書簡 初恋と不倫』がリトルモアから出版された[15]。本書は簡体字版、繁体字[16]でも往復書簡集という形で書籍化され、往復書簡集でありシナリオ本という形式でありながら中国最大の書評サイト「豆瓣読書」[17] 2020年度外国語文学のランキングにおいて三位に選出された[18]

2018年3月、連続ドラマ『anone』最終回後に、自身のInstagramで同作品を最後に数年の間は単発・連続ドラマの脚本執筆をお休みし、舞台や映画、大学院の授業など他の形態での活動のみに絞りますと報告した。この件については4年前から決めており、周囲のお世話になっている人たちや仕事仲間に説明した上で4年間、1月期に各1本の連続ドラマ執筆を手掛けていた。テレビ脚本の休業発表後、オリジナル脚本ドラマ『anone』は10月16日にフランスカンヌで開催された「MIPCOM2018」において日本のドラマの中で「ぜひ買いたい作品」「自国で放送したい作品」として『Woman』以来2度目である「MIPCOM BUYERS' AWARD for Japanese Drama」のグランプリを受賞した[19][20]。また、連ドラの仕事をこれから一切やらないという意味ではなく「テレビの世界では、仮に、もしいま仕事が決まったとしても、それは早くて2年後の放送分。いま何も決めていないということは、しばらく休むことになるんです」として、あくまでスケジュールの関係で連ドラを休むことになったと説明している[3]

2018年9月、小泉今日子が代表を務める制作事務所株式会社明後日による企画・制作で、自身初の戯曲である『またここか』(豊原功補演出)を書き下ろし、「第63回岸田國士戯曲賞」の最終候補にあがる。

2021年1月29日公開された映画『花束みたいな恋をした』において脚本を担当した。監督は土井裕泰、主演は菅田将暉有村架純 [21]

人物・エピソード 

  • フジテレビの月9ドラマである『ラブジェネレーション』のために大瀧詠一が書き下ろした「幸せな結末」の歌い出しである〝髪をほどいた 君のしぐさが 泣いているようで胸が騒ぐよ〟というワンフレーズの作詞に関して、当時この曲のレコーディングをしている時に坂元が演出の永山耕三に呼び出され、その歌い出しのフレーズだけ手伝ったというエピソードがある[22]
  • 高校時代はとんねるずのファンで、18歳の頃深夜ラジオ『とんねるずのオールナイトニッポン』をよく聴いていた。ディレクターズ・カンパニーの脚本募集以外の候補として『フジテレビヤングシナリオ大賞』を選んで応募したのも、「入賞すればフジテレビでとんねるずに会えるのでは?」という期待から始まったものだった。また、妻の森口瑤子も坂元と同じく高校時代とんねるずのファンであった[23]
  • フジテレビ制作の深夜単発ドラマ『男湯』及びその続編である『男湯2』の脚本を担当した大野大福とは坂元裕二の別名義である[24]
  • 海外や国内のヒップホップやその文化に関心があり、執筆中の息抜きによく聴いている[4]
  • 2014年から約5年間、小さな飲食店の立ち上げ・経営に関わっていた経験がある[25]。坂元は2021年のインタビューの中で「『問題のあるレストラン』というドラマを作るときに、それが飲食店の話だったから(取材も兼ねて)このタイミングで自分の念願も果たしちゃおうと思って、ドラマ制作と同時に始めてみたんです」と答えている[25]

作風

  • スタジオジブリ出版部発行の冊子『熱風』におけるロングインタビューの中で坂元は自分が描く登場人物に関して、「正しい、正しくない」「共感できる、できない」「頑張った、頑張ってない」という視点ではなく、「面白さ」「優しさ」「滑稽さ」「怖さ」といった、人が無意識に人に見せる細やかな瞬間にフォーカスを当てた「どこか子供じみた観点」から登場人物の人物像を描くようにしていると答えている[26]。加えて、主人公と対立したり、邪魔をする登場人物に関しては「本当はいい人なのか、結局悪い人なのか」ではなく「主人公とコミュニケーションが取れない人」という認識で描いていると話している[26]。また、物語が終わった後も登場人物が今もどこかで生きていると感じてもらうために、説明的な描写の有無がどうこうというより、語りすぎない余白の部分を大事にしていると答えている[26]
  • 脚本を書き始めた当初から現在まで「テレビからちょっとこぼれそうな声やテーマ」を書いていたいという意識はあったが、特に『Mother』以降殆どのドラマは各局のプロデューサーと一緒に視聴率をなるべく気にしない形で無理矢理でも自由に作らせてもらっている感覚があるとインタビューにおいて答えている[3][26]。また、前提としてテレビは公共のものなんだということを意識したうえで、それでも放送する自分たちが「面白い」「新しい」「見たことがない」と思えるものを作りたいと考えている各局にいる何人かのプロデューサーが自分へ「一緒に仕事をしないか?」と連絡をくれるおかげで、自分が興味のあるテーマやプロダクションを深く共有したり自由に脚本を書かせてもらえてるので、少なくともそういう声をかけてくれる人たちがいてくれてる間はドラマの脚本を書き続けていきたいと話している[3][26]
  • 作品に出演している役者の芝居の魅力や役者としての凄みが発揮されることを最優先事項にキャラクターシチュエーションシークエンスを作り上げていく作風のため、メインキャストに限らずなるべく“当て書き”で脚本を書き下ろしている[27][26]。また、「ある特定の個人(手紙をくれた視聴者や知り合いの子供、友人)」の存在から物語における大枠のテーマを決定するケースもあり、その場合、物語を展開させていく中でどうしても迷った際はその特定個人を思い浮かべながら書き進めるようにしている[27][26]
  • 映像作品の脚本執筆に関して、物語上に存在する言葉によって物語の芯や核となる複雑な部分の縁を埋めていくことで、登場人物が喋らなかったことや安易な形では言語化しづらい複雑な感情を複雑なまま伝えられるように意識して脚本の執筆を行うことが多い。そのため、物語の中で誰か特定の人物、1人の人物が喋っている言葉の意味そのものが作品のテーマに対してなにか決定的な1つの答えを結論づけたりすることはなく、言葉の量が増えたり、リズムが変わったり、あえて強い言葉が発せられているような場面においても、その役の複雑で大事な感情を安易な形でラベリングしてしまわないように登場人物が無意識に複雑な感情や核心部分を役の内面に抱え込んだり隠したり守ったり逆説的に浮き彫りにする行為としてそういった場面が描かれていることがあると述べている[28]。また、クランクイン直後の撮影の現場から監督が映像で送ってくれる役者の芝居に影響を受ける形で送稿前の脚本、場合によってはその先の物語の展開そのものを変えることがある[25][28]

受賞 

作品

テレビドラマ

映画

短編作品

舞台

演劇
朗読劇

イベント

ゲーム

テレビアニメ

漫画

書籍

※その他、脚本を手がけた各テレビドラマ・映画が書籍化されている。

主な作詞提供アーティスト

脚注

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  4. ^ a b c d プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK G)2018年11月13日放送分。
  5. ^ a b 「あの脚本家の、心に残るテレビドラマ 社会派編」『GINZA』(2019年8月号、32P、マガジンハウス)
  6. ^ 「テレビ・トラベラー 昭和・平成テレビドラマ批評大全」『国書刊行会』2012年06月11日。 
  7. ^ a b 「日本のドラマはどこに向かっているのか」脚本家・坂元裕二氏、海外展開に希望 マイナビニュース 2019年4月24日、2019年11月4日閲覧
  8. ^ 映画『花束みたいな恋をした』公式サイト staff profile坂元裕二”. 映画『花束みたいな恋をした』製作委員会. 2021年2月5日閲覧。
  9. ^ 女性をめぐる社会問題に注目!日本のドラマ「Mother」中国語版リメイク”. 人民網日本版 (2020年4月2日). 2020年8月21日閲覧。
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  23. ^ 「とんねるずにお礼が言いたくて」脚本家・坂元裕二がゲスト出演! 石橋貴明との意外な接点とは?”. フジテレビュー!!. フジテレビ (2020年8月4日). 2020年11月10日閲覧。
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  26. ^ a b c d e f g 「特集/坂元裕二 ロング・インタビュー テレビドラマ「カルテット」で描きたかったこと」『熱風』第15巻第6号、スタジオジブリ出版部、2017年6月9日、3-23頁。 
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  28. ^ a b 「脚本家・坂元裕二 ロングインタビュー」、「TV Bros.」2018年12月号 東京ニュース通信社。
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  30. ^ “17年1月期“最も質の高いドラマ”は『カルテット』〜「第7回コンフィデンスドラマ賞」で最多5部門受賞”. ORICON NEWS (oricon ME). (2017年4月28日). https://www.oricon.co.jp/news/2089901/full/ 2020年11月10日閲覧。 
  31. ^ “【2017年間ドラマ賞】脚本賞は『カルテット』坂元裕二氏「そろそろ出所した巻さんが、みんなと再会を果たす頃でしょうか”. ORICON NEWS (oricon ME). (2018年2月26日). https://www.oricon.co.jp/news/2106373/full/ 2018年2月26日閲覧。 
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  48. ^ “阿部サダヲと松たか子が元恋人同士に、脚本・坂元裕二×監督・月川翔のSPドラマ放送”. 映画ナタリー (株式会社ナターシャ). (2020年6月8日). https://natalie.mu/eiga/news/382232 2020年6月8日閲覧。 
  49. ^ “有村架純&菅田将暉、坂元裕二ワールドへ! 映画「花束みたいな恋をした」製作決定”. 映画.com. (2019年10月30日). https://eiga.com/news/20191030/3/ 2019年10月30日閲覧。 
  50. ^ “吉沢亮×宮崎あおい×坂元裕二、Netflix映画「クレイジークルーズ」製作決定”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2020年7月4日). https://natalie.mu/eiga/news/484020 2020年7月4日閲覧。 
  51. ^ 坂元裕二率いる脚本領域制作による短編会話劇『雑談会議』!! 坂元裕二の書き下ろし脚本1本を含む計6作品をWEBで大公開!!”. 東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻 (2017年2月3日). 2021年1月22日閲覧。
  52. ^ OPEN THEATER 2019 脚本オープンセミナー < 7/19開催!>”. 東京芸術大学. 東京芸術大学大学院映像研究科. 2022年11月9日閲覧。
  53. ^ a b 全国へゆこうか!朗読ジャーニー「詠む読むの記」in広島”. 株式会社明後日. 2020年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月10日閲覧。
  54. ^ 開発者インタビュー「Creators Note」 #12 ササキトモコ

外部リンク