CHILDHOOD'S END

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
CHILDHOOD'S END
TM NETWORKスタジオ・アルバム
リリース
録音 1984年12月10日 -
1985年4月11日
一口坂スタジオ
CBSソニー六本木スタジオ
スタジオ・テイクワン
セディックスタジオ
CBSソニー信濃町スタジオ
ジャンル ロック
時間
レーベル エピックソニーレコード
プロデュース 小室哲哉
チャート最高順位
TM NETWORK アルバム 年表
RAINBOW RAINBOW
1984年
CHILDHOOD'S END
1985年
TWINKLE NIGHT
(1985年)
EANコード
『CHILDHOOD'S END』収録のシングル
  1. アクシデント (ACCIDENT)
    リリース: 1985年5月22日
  2. DRAGON THE FESTIVAL (Zoo Mix)
    リリース: 1985年7月21日
テンプレートを表示

CHILDHOOD'S END』(チャイルドフッズ・エンド)は、日本の音楽ユニットであるTM NETWORKの2枚目のスタジオ・アルバム、およびアルバムの1曲目に収録されている楽曲である。

1985年6月21日エピックソニーレコードからリリースされた。前作『RAINBOW RAINBOW』(1984年)より1年2ヶ月振りにリリースされた作品であり、作詞は松井五郎小室哲哉SEYMOUR三浦徳子西門加里、TM NETWORKがそれぞれ担当し、作曲は小室および木根尚登、プロデューサーは小室が担当している。

レコーディングは1984年12月10日から1985年4月11日まで一口坂スタジオCBSソニー六本木スタジオ、スタジオ・テイクワン、セディックスタジオ、CBSソニー信濃町スタジオにて行われた。アルバムタイトルはアーサー・C・クラークの小説『幼年期の終り』を引用し、都会的な恋愛にSF要素が加えられた歌詞と、前作に比べてエレクトリックな要素は薄まりバンドサウンドが全面に出た曲とで構成されている。また、前作で見られたファンタジー性のある歌詞は、「DRAGON THE FESTIVAL」と「FANTASTIC VISION」に見られるが、他の曲においては現実的な歌詞となっている。

先行シングルとしてリリースされた「アクシデント (ACCIDENT)」を収録している他、後にリカットシングルとして「DRAGON THE FESTIVAL (Zoo Mix)」がリリースされた。

オリコンチャートでは最高位40位となった。

背景[編集]

前作『RAINBOW RAINBOW』リリース後、1984年6月18日から7月17日まで初のライブツアーとなる「DEBUT CONCERT」を2都市全3公演敢行。7月21日には前作からのリカットシングル「1974 (16光年の訪問者)」をリリース、北海道地区にてヒット曲となる[1]9月1日にはオフィシャルファンクラブ『TIMEMACHINE cafe』を発足。12月5日には渋谷PARCO・PARTⅢにて「ELECTRIC PROPHET」と題したライブコンサートを敢行、12月27日には追加公演として前述のシングルがヒットしていた北海道の札幌教育文化会館にて同公演が敢行された。動員は2日間で約1600人となった。

1985年に入り、5月22日には先行シングルとなる「アクシデント (ACCIDENT)」をリリース、オリコンチャートでは最高位35位となった。

録音[編集]

レコーディングは1984年12月10日から1985年4月11日まで一口坂スタジオCBSソニー六本木スタジオ、スタジオ・テイクワン、セディックスタジオ、CBSソニー信濃町スタジオと多岐に亘り行われた。

プロデューサーは前作に引き続き小室が担当している。レコーディングメンバーとしては後にFENCE OF DEFENSEを結成する事となるドラムスの山田亘赤い鳥に所属していた村上 “ポンタ” 秀一などが参加している他、後に小室の一番弟子と名乗る事となる久保こーじが小室関連作品としては初参加している。

サウンドは前作よりも大幅に変化し、生ドラム、生ギター、エレキギターを多用し、レコーディングもライン録音ではなく、いったんPAを通し、空気に触れた音をマイクで拾う方式をとった為、打ち込み色が薄れている。

作曲もリズムから制作する手法ではなく、小室が他の仕事の作業中に出来たフレーズの断片を記録しておいて、それをアルバムとしてまとめる作曲方法が中心になった[2]

音楽性[編集]

今までのアマチュアっぽい色を消して、完全に音楽的なプロのグループとして、幼少期をきっぱり終われるようなアルバムにしようと思ってました。
小室哲哉,
ぴあMOOK TM NETWORK 30th Anniversary Special Issue 小室哲哉ぴあ TM編[3]

小室はこの作品に関してはタイトルに示す通り「稚拙なところをこの作品でやりきっちゃいたいという気持ち」で製作していたと語り、本作でアマチュアらしさを打ち消し、プロの音楽グループとして幼少期を終わらせるという思いをこめてこのアルバムタイトルに決定した[3]。2曲目の「アクシデント (ACCIDENT)」に関しては当時ルックのシングル「シャイニン・オン 君が哀しい」がヒットしていた事に影響され、自身もヒット曲を作るために作詞を歌謡曲中心に行っていた松井五郎に依頼する事となった[3]。3曲目の「FAIRE LA VISE」に関してはスクリッティ・ポリッティの音色を目指した実験的な曲であるが、全く似ても似つかない出来上がりになったという[3]。4曲目の「永遠のパスポート」はJ・G・バラードの小説『永遠へのパスポート』から引用しており、歌詞はSFからインスパイアされている[3]。5曲目の「8月の長い夜」に関して小室は「歌謡曲というか芸能音楽」、「良質なポップソング」と表現しており、ヒット曲が欲しいという願望から製作された経緯故に「TMっぽくない」と述べている[3]。6曲目の「TIME」は前身となるバンドSPEEDWAYの頃に製作された曲であり、宇都宮の前にボーカル候補であったマイクというオーストラリア人が歌唱したデモテープが存在したという[3]。また、同曲はロキシー・ミュージックの影響を受けている[3]。7曲目の「DRAGON THE FESTIVAL」はセルジオ・メンデスの影響を受けている他、デュラン・デュランナイル・ロジャースペット・ショップ・ボーイズなどが念頭にあり、グローバルスタンダードな音の構築を目指したという[3]。8曲目の「さよならの準備」はプログレッシブ・ロックに影響された曲であり、特にイエスなどのポップなメロディラインに強い影響を受けている[3]。10曲目の「FANTASTIC VISION」はSFをテーマに小室が自ら作詞をしたが「作詞家としての能力として稚拙」と自身で述べている[3]。11曲目の「愛をそのままに」はSPEEDWAYの頃に製作された曲であり、小室によると木根は当時エリック・カルメンエルトン・ジョンなどの影響を受けていたという[3]

音楽誌『別冊宝島1532 音楽誌が書かないJポップ批評53 TMN&小室哲哉[ポップス神話創世]』にてライターのガモウユウイチは、随所にSF的なイメージが見受けられる事やセンス・オブ・ワンダーの雰囲気が感じられる事を指摘している[4]

リリース[編集]

1985年6月21日EPIC・ソニーより、LPCTの2形態でリリースされた。同年7月1日にはCDとしてもリリースされた。

その後も1991年9月5日1996年6月17日2000年3月23日とCD盤のみ再リリースされ、2004年3月31日には完全限定生産盤のCD-BOXWORLD HERITAGE DOUBLE-DECADE COMPLETE BOX』に紙ジャケット、24bitデジタルリマスタリング仕様で収録された。

2007年3月21日には単独で紙ジャケット、デジタルリマスタリング仕様でリリースされ[5]2013年2月20日にはデジタルリマスタリング仕様でBlu-spec CD2にてリリースされた。

アートワーク[編集]

CD版は初期版と再発版では背面ジャケットの絵が異なっており、初期版は左から小室、宇都宮、木根の3人の白黒写真に曲順が掲載、2013年に発売されたBlu-spec CD2も含めた再発版は歌詞カードの裏面と同じイラストに曲順が掲載されている。

ツアー[編集]

本作リリース後の6月22日から11月3日までファンイベント「PARTY OF TM VISION」を11都市全13会場にて敢行。その後9月27日から11月27日にかけてライブツアー「DRAGON THE FESTIVAL featuring TM NETWORK」を8都市全8公演敢行した。

批評[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル否定的[6][7]
音楽誌が書かないJポップ批評53
TMN&小室哲哉[ポップス神話創世]
肯定的[4]
  • 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、生演奏の割り合いが増し打ち込みの要素が減少している事や歌詞がファンタジー性のあるものから現実的なものになっている事を指摘した[7]他、「テクノ・ポップの彼方から登場した世代らしく上手」と演奏面に関しては肯定的に評価しているが、「そつのないサウンド・メイク」と過不足のなさを否定的に評価した[6]
  • 音楽誌『音楽誌が書かないJポップ批評53 TMN&小室哲哉[ポップス神話創世]』においてライターのガモウユウイチは、本作を「過渡期の作品でありながらもっともカラフルな作品」と位置付けており、吉川忠英のアコースティック・ギターの音色が加わっている事で「彼らの作品の中でも最も音ヌケの良い空気感たっぷりのサウンドになっている」と音作りに関して肯定的に評価した[4]。また、「アクシデント (ACCIDENT)」に関してデジタルとアナログがバランス良く融合しているとした上で「後の小室サウンドを想像できないほどフォーキーでポップ」と絶賛した[4]

チャート成績[編集]

オリコンチャートではLP盤が最高位40位、登場回数5回、売り上げ枚数0.9万枚となり、CT版は最高位67位、登場回数3回、売り上げ枚数は0.4万枚となり、累計では1.3万枚となった。

収録曲[編集]

A面
全編曲: 小室哲哉。
#タイトル作詞作曲時間
1.CHILDHOOD'S END 小室哲哉
2.アクシデント (ACCIDENT)松井五郎小室哲哉
3.FAIRE LA VISE小室哲哉小室哲哉
4.永遠のパスポートSEYMOUR[8]小室哲哉、木根尚登
5.8月の長い夜三浦徳子小室哲哉
6.TIME三浦徳子小室哲哉
B面
#タイトル作詞作曲時間
7.DRAGON THE FESTIVAL小室哲哉小室哲哉
8.さよならの準備三浦徳子小室哲哉
9.INNOCENT BOYTM NETWORK木根尚登
10.FANTASTIC VISION小室哲哉小室哲哉
11.愛をそのままに西門加里木根尚登
合計時間:

曲解説[編集]

  1. CHILDHOOD'S END
    アルバム冒頭を飾るインストゥルメンタル曲。エンディングで次の曲「アクシデント (ACCIDENT)」のイントロがフェードインする。
    小室の「いつかこの様なミュジーク・コンクレートを作りたい」という気持ちから実験的に制作した[9]
  2. アクシデント (ACCIDENT)
    3rdシングル。シングル版とはリフレインの前の間奏、アウトロが長いなどアルバムバージョンとなっている。
    アルバムの中で一番最後にレコーディングされた[10]
    宇都宮はヘタウマを意識して歌入れした[10]
  3. FAIRE LA VISE
    アウトロでのコーラスの構成は宇都宮のアイディアが元になった[9]
  4. 永遠のパスポート
    小室哲哉と木根尚登による作曲の共作。小室哲哉が作詞した原詞は明日で地球が終わるという意味合いであったが、大幅に書き換えられた。
    木根の自宅で、木根がアコースティック・ギターを弾き、小室がピアノに向かう形でデモテープが制作された[9]
  5. 8月の長い夜
  6. TIME
    宇都宮は「この曲は特に歌う時に感情を出しやすいメロディを持ったバラード」と評している[9]
  7. DRAGON THE FESTIVAL
    ライブでの反応を意識して、「皆で同じ言葉を言って盛り上がれる曲があれば…」という思いを持って制作した[9]
    後に4thシングルにリミックスバージョンとしてシングルカットされている。
  8. さよならの準備
    ライブの度に宇都宮がセットリストの候補に入れるが、スタッフ間で歌詞が問題となりいつも却下される[9]
  9. INNOCENT BOY
    この曲で初めて小室によってアレンジまで予め済まされたバックトラックの上に、木根がボーカルのメロディを乗せる事に挑戦した[9]
  10. FANTASTIC VISION
    小室が始めてプロとしてファンの反応を意識した上で「明るくてポップな曲調」を一貫させた[9]
    3rdシングル「アクシデント (ACCIDENT)」のカップリング曲。TNC(テレビ西日本)のキャンペーンソングとして使われた(同局の天気予報のBGMとして2017年8月現在も長期に渡り使用されている)。
  11. 愛をそのままに

スタッフ・クレジット[編集]

TM NETWORK[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • 小室哲哉 - プロデューサー
  • 小坂洋二 - エグゼクティブ・プロデューサー
  • 松村慶子 - スーパーバイザー
  • 山口 "three months" 三平 - コ・ディレクション
  • 中山大輔 - エンジニア
  • 家守 "Cat Temple" 久雄 - アシスタント・エンジニア
  • 松尾順二 - アシスタント・エンジニア
  • 伊藤康宏 - アシスタント・エンジニア
  • 畠山克史 - アシスタント・エンジニア
  • 中林慶一 - アシスタント・エンジニア
  • 宮田信吾 - アシスタント・エンジニア
  • 田中三一 - デジタル・エディティング
  • 笠井“鉄平”満 - マスタリング・エンジニア

リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1985年6月21日 EPIC・ソニー LP
CT
28・3H-166
28・6H-138
40位
2 1985年7月1日 EPIC・ソニー CD 32・8H-41 -
3 1991年9月5日 EPIC・ソニー CD ESCB-1204 -
4 1996年6月17日 EPIC・ソニー CD ESCB-1752 -
5 2000年3月23日 エピックレコード CD ESCB-2114 -
6 2004年3月31日 エピックレコード CD ESCL-2522 - CD-BOXWORLD HERITAGE DOUBLE-DECADE COMPLETE BOX』(完全生産限定盤)収録
紙ジャケット、24bitデジタルリマスタリング仕様
7 2007年3月21日 ソニー・ミュージックダイレクト CD MHCL-1035 - 紙ジャケット、デジタルリマスタリング仕様(完全生産限定盤)
8 2013年2月20日 ソニー・ミュージックダイレクト Blu-spec CD2 MHCL-30008 224位 デジタルリマスタリング仕様

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ TM NETWORK / SPEEDWAY[廃盤]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2019年8月13日閲覧。
  2. ^ 角川書店刊『月刊カドカワ』1991年10月号34Pより。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 「TM NETWORK'S WORKS HISTORY 小室哲哉によるアルバム全曲解説!」『ぴあMOOK TM NETWORK 30th Anniversary Special Issue 小室哲哉ぴあ TM編』ぴあ、2014年5月30日、32 - 59頁。ISBN 9784835623269
  4. ^ a b c d ガモウユウイチ「PART 2 TM NETWORK/TMN ヒストリー&レビュー TM NETWORK / TMN オリジナルアルバム "WILD" レビュー #2」『音楽誌が書かないJポップ批評53 TMN&小室哲哉[ポップス神話創世]』別冊宝島 1532号、宝島社、2008年6月19日、 45頁、 ISBN 9784796662697
  5. ^ TM NETWORK、80年代の8タイトルをリマスター&紙ジャケで再発”. CDジャーナル. 音楽出版 (2007年1月9日). 2019年8月13日閲覧。
  6. ^ a b TMN / CHILDHOOD'S END[再発]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2019年8月13日閲覧。
  7. ^ a b TM NETWORK / CHILDHOOD'S END[Blu-spec CD2]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2019年8月13日閲覧。
  8. ^ 作詞家である麻生香太郎のペンネームである。
  9. ^ a b c d e f g h ソニー・マガジンズ刊『WHAT's IN?』1992年3月号52P-55Pより。
  10. ^ a b 自由国民社刊「シンプジャーナル」1985年7月号100P-101Pより。

外部リンク[編集]