戦闘機

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上からP-47F-4F-15

戦闘機(せんとうき)とは、航空機を標的として攻撃を行うことを主な目的とする軍用機である。地上や海上の対象物を主な標的とする攻撃機爆撃機、複合的な目的のマルチロール機は、厳密には戦闘機とは区別されているが、これらも含めて軍用機全般を戦闘機と呼ぶ場合もある。

概要

戦闘機は敵航空機との空戦を想定して、高い機動性能と対空攻撃力を保有する。一般的に攻撃機や爆撃機と比較すると小型軽量であり、機体の大きさの割に強力なエンジンを搭載する。運動性や操縦性などの機動性能に優れ、俊敏軽快に飛行できる。乗員数は、大半の機は1-2名程度である。

戦闘機の性能として代表的なものには、次に挙げられるものがある。

速力
敵機の追撃や、戦闘空域への迅速な往復など、あらゆる場面で高速力が要求される。戦闘機の重要な性能の1つである。ただし「最高速度」が最重視されたのは1950年代にマッハ2以上に到達するまでであり、これ以降はそれ以上の速度はほとんど必要無いとしてそれほど重視されなくなっている。
加速力
必要な速度に短時間で到達できる能力である。最高速度とは異なり、今でも重視される。
上昇力
高い高度へ迅速に到達できる能力である。迎撃任務では、地上から緊急発進して短時間で敵機の高度まで上昇する必要があり、格闘戦でも求められる。
高高度能力
より高高度まで上昇できる能力、および高高度で飛行を維持できる能力である。敵機が高高度を飛行している時には、その敵機と同じ高度まで到達する能力が必要である。レシプロ機時代には高高度を飛行するには高い技術を要求されたため、特に重視された。戦闘機にミサイルを搭載している場合には、搭載ミサイルがその高度まで到達できれば良いため、現在ではそれほど重視されない。戦闘機搭載ミサイルは、人工衛星軌道まで到達できるものも存在する。
航続力
遠距離にある敵地への侵攻時や、哨戒任務などで長時間滞空する場合に重要となる。航続力を延伸するには、投下式或いは密着式の増槽(機体外部に取り付ける増設燃料タンク)や、空中給油などの方法がある。
運動性・安定性
空戦時に優位な位置を得るためには、高い運動性・操縦性が求められる。一時期、空対空ミサイルの能力が向上すると、空中での格闘戦(ドッグファイト)まで至らず目視外距離で決着が付くとミサイルの有用性が絶対視されて、航空機関砲と機体の運動性が軽視された事もあったが、空対空ミサイルでも実戦ではチャフやフレア、太陽光、高機動運動などによって回避される場合があり、21世紀現在では戦闘機に高い運動性は航空機関砲と共に必須となっている。ほとんどの航空機は多少の外的/内的擾乱によっても飛行方向がぶれないという空力上の安定性が最重要な要素の1つであるが、戦闘機の場合は少しの操縦舵面などの変化で機敏に飛行方向を変化させる運動性の向上のために、空力的な安定性は意図的にある程度低下させている。近年ではCCV技術の採用により、機体そのものの安定性は切り捨てて運動性を最優先し、低下した安定性はコンピューター制御で補うという傾向にある。
推力重量比
エンジン推力を機体重量で割った値。大きい程、加速性能・運動性能・上昇性能などが高くなり、戦闘時に有利である(ジェット機)。
パワーウェイトレシオ
機体重量をエンジン出力(仕事率)で割った値(プロペラ機)。上記と逆に計算しているため、小さいほど加速性能・運動性能・上昇性能が高くなる。
翼面荷重
機体重量を翼の面積で割った値。離着陸性能や上記の運動性にかかわる値である。
翼幅荷重
機体重量を主翼の幅で割った値。主に亜音速での航続性能に関わる。
攻撃能力
機関砲や搭載ミサイルなどの性能や搭載数と、照準装置や誘導装置、火器管制装置などの性能が関わる。
防御能力
チャフフレア、電波妨害装置といった自衛用の兵器によって攻撃がかわせる可能性がある。
探知能力
操縦席からの視界や、レーダーIRSTなどの探知装置の性能で決定される。
隠密性
ステルス性とも呼ばれ、被発見率の減少のため、機体の形状制御や電波吸収塗装、低視認性塗装、赤外線放射の抑制などが行われる。
生存性
生残性とも呼ばれ、空中で攻撃を受けもなお生き残って帰還できる能力である。戦闘機の構造が全金属製になった1930年代頃から、敵機や対空砲の銃砲弾や破片が当った場合でも、それに耐えて飛行が継続できるだけの防弾性が重視されるようになり、座席周囲を装甲化したり燃料タンクなどに耐弾性を与えることに注力した。軍用機の脅威が機銃弾や対空砲からミサイルへと変化したことや音速前後という対気速度の上昇によって、被弾時に受ける破壊の程度と影響が大きくなり、装甲などによる防護能力の向上では重量増に見合った効果が期待できなくなった。21世紀現在では、被弾や故障の場合でも被害を極限化して飛行継続を可能とする能力となっており、エンジンの多発化、電源と操縦系統の多元化、操縦操作における冗長性や統合画面表示など、防弾に頼らない多面的な生存性の向上が図られている。
離着陸能力
短い距離で離着陸が行える方が軍用航空機として優れている。艦上戦闘機には必須の能力である。短い滑走路で戦闘機が運用できれば作戦の自由度が増す。必要な離着陸距離が短くて済めば、安全のための余裕分が増すため安全性が向上し操縦者の負担も軽減される。悪条件の滑走路や自動車用の道路でも離着陸できる能力、垂直離着陸能力もこれに含まれる。
可用性
給油や武装の補充、乗員の交代などを除けば24時間365日万全の状態で飛行可能なことが望まれる。可用性を高めるには、まず低故障率であり、保守整備が短時間・簡単な装備で行え、故障/損傷時も出先での応急的な修理やブロック単位での交換が可能である方が良い。設計製造時の不良によって多くの機体が飛行禁止となると、可用性が大きく損なわれる。大規模な機能向上などでは製造工場まで送り返されたりすることもある。
操縦性
運動性といった機体そのものの物理的な性能ではなく、操作に対するレスポンス特性や無操作時の安定性など操縦者と機体が組み合わされた場合の操縦に関わる総合的な能力であり、操縦者が体感する操縦容易性である。戦闘機操縦者の教育訓練は高コストと長期間を要するので、戦闘機の世代交代検討時には操縦環境が似ていて運動性の良い機体が一般には有利となるが、HMDやサイドスティックの導入のような操縦環境の激変であっても、操縦がより容易になるのであれば受け入れられる。。
少ない乗員
機体の小型化と容易な運用のためには、乗員数は少ないほうが望ましく、多くが単座である。だがレーダーや対地攻撃用兵装の取り扱いなどの担当要員として、追加で1人以上が乗る場合もある。
拡張性
軍用機に限らず兵器は技術開発に伴って性能が向上するため、従来のものより新たに登場するものが常に総合的に優れている。すでに製造され運用されている戦闘機でもあらかじめ拡張性を考慮しておくことで、性能向上や新規技術が既存の機体に取り込み可能となる場合がある。特に電子機器類やエンジンは、重量や大きさが同じでも新規設計のものは性能が著しく向上する場合があり、これに換装することで機体の性能を向上できる。しかし、当初から拡張性を考慮したものよりは、結果として拡張が可能になったというケースが多い。また、F-14のように将来のエンジン換装を見越して設計されながら、それが果たせなかったケースもある。

種類

世界の戦闘機の図形式年表。

以下に、戦闘機の分類を列挙する。ただし、時代や注目する性能によって分類に差異がある。

制空戦闘機

古くは征空戦闘機とも呼称された。制空権航空優勢)の確保を主任務とし、空戦において敵航空機を撃墜する事を第一に設計される。そのため、敵戦闘機との巴戦で優位に立てるよう、格闘性が重視された。

現在の制空戦闘機の多くは、制空のみならず、要撃や対地攻撃なども一通り遂行可能である。代表的なものは、F-15Su-27など。米空軍F-22は、その優れた能力から「航空優勢(Air superiority)」より強い意味合いを持つ航空支配戦闘機 (Air dominance fighter) であるとして喧伝された。

要撃戦闘機

邀撃戦闘機、迎撃戦闘機、局地戦闘機、防空戦闘機などとも呼ばれる。友軍地上施設などの防空を主任務とし、味方の基地・艦隊へ来襲する敵攻撃機、都市等へ戦略爆撃を行う敵爆撃機、及び偵察機などを撃墜する事を第一に設計される。第二次大戦期の物は、戦闘機に比べ大型で耐久力のある爆撃機を攻撃するために強力な武装(大口径機銃ロケット弾など)を搭載していた。

敵機の存在の探知と同時に、直ちに基地から急発進する必要があるため、高い速力・上昇力が求められる。このため、機体の大きさに比べて強力なエンジンを搭載する。反面、敵戦闘機との交戦や長距離侵攻、対地攻撃などは必要性が低く、対地攻撃任務を想定していない機体も多い。レシプロ機時代では、戦略爆撃機の飛行高度で行動するために、高高度性能も重視された(空気の薄い高空ではレシプロエンジンの能力が低下するため、過給機などの装備が必要になった)。

代表的なものは、F-106MiG-25MiG-31トーネード ADVなど。

護衛戦闘機

爆撃機の護衛などを主任務とする。ただし、味方爆撃機の安全のために制空権を確保するという意味では、前述の制空戦闘機と任務的・分類的には重なるものであり、それに含める場合が多い。言葉の用法としても、戦闘機の種類名というより、戦闘機をその目的に用いる任務名と解釈したほうがよいケースが多い。現在は戦闘機の任務の多用途化により、戦闘機を含め軍用機全般の区別が曖昧になり、護衛戦闘機という分類は特にされなくなった。

戦略爆撃機の登場により、長距離侵攻型爆撃作戦が登場すると、長距離を飛行して戦略爆撃機を護衛可能な能力を持つ戦闘機が必要になった。しかし、航続力延伸のため燃料搭載量を増加させるには、機体の大型化が不可避となる。

初期に登場した護衛戦闘機には、P-38ライトニングメッサーシュミットBf110二式複座戦闘機「屠龍」月光などが挙げられるが、これらはいずれも大型の双発機であった。しかし実際に運用してみると、鈍重で格闘性に欠ける大型双発護衛戦闘機は敵の単発迎撃戦闘機に対抗不可能であり、これらの機体は大半が夜間戦闘機戦闘爆撃機に改造された。

双発護衛戦闘機の失敗により、以降は単発で大航続力を有する護衛戦闘機が開発された。零式艦上戦闘機一式戦闘機「隼」P-51ムスタングなどは、単発機でありながら長大な航続力を有しており、有力な護衛戦闘機として活躍した。

護衛戦闘機の一種に、味方爆撃機に搭載・曳航されて敵領空まで飛行する事で航続能力の向上を計った、パラサイト・ファイター(寄生戦闘機)と呼ばれるものも存在した。代表的なものに、XF-85がある。実用化されたものとしてはズヴェノーがあるが、これは爆撃機として用いられた。

戦闘攻撃機/戦闘爆撃機

戦闘機本来の役割である制空任務の他に、対地・対艦攻撃なども主任務とする。レシプロ機時代は専用に開発された機体は無く、通常の戦闘機の落下タンクハードポイントにそのまま、或いは小改良を施して爆装し、対地・対艦任務を行った。

ジェット機時代になり、対地・対艦攻撃の能力を重視し、当初よりその目的で開発された戦闘爆撃機が増えてきた。そういった戦闘爆撃機は、爆弾倉、地形マッピング用の合成開口レーダー、爆撃用火器管制装置などの本格的な攻撃機・爆撃機としての装備を搭載する。対地攻撃の際は乗員が1人だけでは負担が大きいので、操縦手の他に兵装操作官も搭乗させて、複座にしている場合もある。そういった機体は、純粋な戦闘機としての能力を妥協したケースもあった。代表例はF-105Su-24など。航空自衛隊の支援戦闘機も、このカテゴリーに含まれる。

ただし現在の戦闘爆撃機は、戦闘機・爆撃機としての能力を高い次元で両立させており、そういった機体は後述するマルチロール機にカテゴライズされる場合が多い。

多任務戦闘機

軍用航空機は高性能化に伴って開発コストが上昇し、また同時に用途別に分化したために、多様な機種を個別に設計する経済的負担が過大になった。また、多様な軍用機を製造/配備して訓練や保守運用し続けることも同様の問題があり、機種の統合/共用化が求められた。戦闘機においては、比較的早くから1機種で制空戦闘と対地攻撃といった2つの任務が行えるデュアルロール機が開発されていたが、やがてその動きは多様な任務遂行が可能な多任務戦闘機の開発へと発展した。このような多様な任務が行える戦闘機の登場に伴って、従来の戦闘機の区分は意味を失い、1機種で制空・防空・対地攻撃・偵察など多くの任務が遂行できる多任務戦闘機が設計・製造されるようになった。これがmultirole fighter(MRF)であり、「マルチロール戦闘機」「多任務戦闘機」「多用途戦闘機」「多目的戦闘機」などと訳される。

現代の戦闘機の多くが搭載兵装の交換により複数の任務に対応できるため、特に多任務戦闘機に分類されない戦闘機であっても、ある程度の多任務遂行能力を有しており、開発段階から明確に多任務戦闘機として作られた機種との差異は絶対的ではない。

代表的なものに、JAS39 グリペンF-35 ライトニングIIがある。F-15E ストライクイーグルも含める場合もあるが、制空戦闘機F-15 イーグルからの改造型である事から、多任務戦闘機にカテゴライズする事には異論もある。

戦術戦闘機

主に前線での制空任務、敵基地・艦船などへの攻撃・爆撃任務を行う戦闘機。旧ソ連においては前線戦闘機と称した。いわゆる敵国都市や工場への爆撃といった「戦略任務」には用いられない戦闘機という事である。

戦略爆撃に用いるには航続距離や搭載量が不足する戦闘爆撃機、戦略爆撃を行う爆撃機に随伴したり、敵国上空の制空権確保には航続距離が不足している制空戦闘機が、戦術戦闘機と称される(逆に戦略任務に用いる戦闘機であっても、戦術任務に用いる事は不可能ではないので、特に「戦略戦闘機」とは呼ばないのが普通である)。

代表的なものは、F-104MiG-21など。

昼間戦闘機

文字通り昼間のみ戦闘する戦闘機。戦闘機というものが登場して以来、空中戦闘は昼間のみで行われていたのであり、つまり全ての戦闘機が昼間戦闘機であった。後に夜間戦闘機が登場するに至って、従来の戦闘機を区別して昼間戦闘機と呼ぶようになった。

戦闘機にレーダー搭載が当たり前になると、あえてレーダーを搭載しない廉価な戦闘機を昼間戦闘機と呼ぶ事になるが、現代では廉価な戦闘機でもレーダーを搭載しており、昼間戦闘機は消滅した。つまり旧式戦闘機のみが昼間戦闘機となる。また、レーダーは搭載してもレーダー誘導のミサイル装備能力が無く、赤外線誘導ミサイルのみしか搭載できない戦闘機は、ミサイル戦闘に限っては昼間戦闘しか行えないため、これも昼間戦闘機と呼ばれたが、現代では赤外線誘導ミサイルの能力も向上しており、この意味での昼間戦闘機も消滅している。

夜間戦闘機

夜間戦闘を行う戦闘機の事である。従来昼間のみ行動した爆撃機が夜間爆撃を行うようになった時に、対抗上生まれた。よって当初は夜間の要撃機が夜間戦闘機であったが、対抗上夜間爆撃を行う爆撃機を護衛する戦闘機も登場する事となった。出現当初は操縦士以外に射手など1名または2名の搭乗員を載せる事で夜間戦闘を行ったが、やがてレーダーを搭載する事で夜間戦闘を行うようになった。

理論上は夜間戦闘を行える戦闘機なら昼間戦闘も行えるはずであるが、レーダーや操縦士以外の搭乗員を載せる夜間戦闘機は昼間戦闘機に比べて鈍重であり、昼間戦闘機を相手に戦闘を行う事は困難であるため事実上夜間戦闘専門となる(というより鈍重で使い物にならなかった双発・多座戦闘機が、夜間戦闘には向いているとしてその目的で使われるようになったのが、夜間戦闘機の発祥である)。

後述する全天候戦闘機へと発展する事によって消滅した。

全天候戦闘機

第二次大戦終結後、急速にレーダーが普及した。ドップラー・レーダーの開発などレーダーの性能も向上するにつれ、夜間戦闘機はドップラー・気象レーダーを主体としたシステムを搭載することで夜間のみならず雨天・雲中・荒天下においても戦闘が可能になった。また昼間戦闘機との比較において特に鈍重でも無くなり、昼間戦闘も問題無くこなせるようになった。このような戦闘機を、全天候戦闘機と呼ぶ。視覚外で目標捕捉および目標の追跡などは搭乗する人間ではなく、システムの性能に依存するようになったため、戦闘機にとってエレクトロニクスがより重要な技術になった。これは同時に高性能なエレクトロニクスの搭載が機体価格の高騰の一因にもなっている。

しかし、各国空軍の第一線で活躍する戦闘機のほぼ全てがレーダーを装備し、全天候戦闘能力を持つにいたった現在では、あえて「全天候」ということを強調する必要も意味もないため、「全天候戦闘機」は、過去の戦闘機を語る歴史上の用語となりつつある。

艦上戦闘機

空母に搭載する戦闘機が艦上戦闘機である。

狭い空母からの離着艦という制約があるため、艦上戦闘機に要求される性能は、極めて多岐にわたる。まず短距離離着陸能力は必須である(ただしカタパルトやスキージャンプ甲板の助けを借りても構わない)。そのほか着艦時の低速飛行における安定性、離着艦時の衝撃に耐える頑丈な構造、空母に搭載する上でのサイズと重量の制限などである。そのため、陸上戦闘機に比べてかなりのハンディ・キャップを持つ。それがために同時代の陸上戦闘機と同等以上の性能を持つ事は、極めて困難である。ただしそのハンディを乗り越えて高い性能を持つに至った艦上戦闘機は、陸上戦闘機としても広く使われる事になった。

陸上戦闘機

陸上基地で運用する戦闘機が陸上戦闘機である。大抵の戦闘機はこれに当たるが、前述の艦上戦闘機と水上戦闘機に対して、あえて区別する際に用いる言葉である。

水上戦闘機

水上を離着陸する戦闘機の事。水上機の戦闘機版である。厳密には陸上機と同等の機体をフロートによってその重量を支持するフロート水上機と艇体(機体)そのもので重量を支持する飛行艇(戦闘飛行艇)に分かれる。

第一次世界大戦時は高揚力装置が未発達だったため、滑走距離に制限がある陸上機と比較して滑走距離に制限のない水上機のメリットがあり、戦闘飛行艇が活躍した。しかし技術の発達によりむしろ水上を離着陸するためのフロートの重量と空気抵抗による性能劣化が著しく目立つようになり衰退した。

第二次世界大戦時においては日本海軍の二式水上戦闘機が、実戦で本格的に使用された数少ない例である。ジェット戦闘機としては、アメリカ海軍のXF2Y-1、イギリスのサンダース・ロー SR.A/1が試作されたが実用化はされなかった。

構造

他の軍用航空機の多くがセミモノコック構造で胴体部が構成され中央翼構造を備えているのに対して、ほとんどの戦闘機は剛性の高い削出/溶接フレーム構造で構成され、外板は内部保護と空力特性向上を担う要素が大きい。一般に1-4名程度の乗務員は狭い操縦室に着座したまま飛行する。 与圧の有無は任務によるが、ジェット戦闘機の場合はほとんど例外なく操縦室を与圧している。

素材

一般的な飛行機と同様に、黎明期の木製布張り構造から、1930年代頃から金属製モノコック構造に進化していった。過渡期には木製モノコックや鋼管布張り、あるいはそれら材料の混合も見られた。たとえば、ジェット戦闘機のデ・ハビランド バンパイアでは木製合板を一部使用している。しかしながら、1950年代には全てが全金属製構造になった(例外としてF-117はレーダー探知を避けるための素材として、一部木を採用)。

金属材料としては、軽量で強度に優れるアルミニウム合金ジュラルミン系など)が多用された。ただし耐熱性に劣るのが欠点であり、そのため超音速戦闘機では空力加熱対策として、一部あるいは全体にスチールを採用した例も存在する。ただし1950年代頃から同じく耐熱性に優れたチタニウム合金(チタン合金)が実用化された。スチールより軽量だが同時に高価で工作が難しく、高速飛行時の空力加熱によって特に高温になる機体部位などに使用されていた。

1970年代頃からは繊維強化プラスチック (FRP) に代表される複合材料に代替されつつある。FRPは軽量で強度が大きくステルス性などに優れ、たとえば空力弾性特性に方向性を持たせた前進翼のような、金属材料では不可能な特殊な構造を作り出すこともできる。

エンジン

戦闘機用ジェットエンジンJ58(アフターバーナー点火)
レシプロエンジン
レシプロエンジンの時代では、特に戦闘機専用とされた特殊な構造のエンジンは無かった。敢えて言えば小型軽量で大きさの割に大出力のものが戦闘機向けであった。だが大出力化につれ、必然的に大型化も避けられない傾向にあった。
この時代は武装・航続力を重視する要撃戦闘機や護衛戦闘機は、止むを得ず双発となる事が多かったが、必然的により小型軽量な単発機よりも鈍重化は避けられず、格闘戦突入時などでは圧倒的に不利であった。
ジェットエンジン
出現当初は軸流圧縮式と遠心圧縮式のターボジェットエンジンが存在したが、軸流式が主流になっていく。ジェットエンジンはレシプロエンジンよりスロットルの反応が悪く、戦闘機用エンジンとしては大きな欠点となった。そのため、それを補うためにアフターバーナーを付加するのが、戦闘機用エンジンとしては必須となった。初期のジェットエンジンは低速特性が悪く、そのためにターボプロップエンジンが試作されているが、戦闘機用エンジンとして実用化された例は第二次世界大戦後のジェットエンジン黎明期に開発されたイギリスの艦上戦闘機ウェストランド ワイバーンや、一部の試作機(アメリカのXP-81 等)を除き、ほとんど無い。
やがてターボファンエンジンが実用化され、亜音速旅客機や爆撃機などで採用されていくが、超音速戦闘機用のものの実用化は更に後の事となる。現代ではターボファンが主流だが、旅客機など亜音速機のターボファンエンジンは、ほとんどの推力をファンで稼ぐプロペラ機に近い物なのに対し、超音速性能が必要とされる戦闘機用エンジンは、バイパス比が低くターボジェットエンジンに近い。
だが、ターボジェットに比べより低速向きの特性のジェットエンジンであり、音速突破にはアフターバーナーの使用が必須になった。ただし最近の戦闘機用エンジンは、超音速巡航を可能にするためにさらにバイパス比が下げられ、また、機動性の向上を狙って推力可変ノズルを装備するものが現れている。
レシプロエンジン時代と異なり、運動性が重視される制空戦闘機などにも双発機が多く見られる。ジェットエンジンは、小型の方が出力効率が良く、逆に小型エンジン複数の方が大型エンジン単発よりも小型にまとまるためである(F-5戦闘機等はそうした成功例である)。また安全性に優れるのは多発機の方である(一部のエンジンが破損しても他のエンジンで飛行が継続できる方が安全性が高い)。だが、エンジンは機体の部品の中でも高額な部位であり、及び小型エンジン多数使用より大型エンジン少数使用の方が燃費効率も良いので、コスト面や整備性では単発機が有利である。
戦闘機でも大型機と小型機が存在する場合は、小型機を単発に、大型機を双発にしてエンジンの種類を統一すれば、量産効果でコストも下げられる(ちなみに前述F-5戦闘機の場合は、ミサイルや無人標的機と同じエンジンを使い、コストを下げている)。洋上での作戦が多いアメリカ海軍航空自衛隊などの機体は、安全のため双発機が好まれる傾向にある。
ロケットエンジン
第二次大戦末期や戦後にはMe163などのロケットエンジンを搭載した戦闘機も存在した。強力な推力が得やすいため強力な加速が得やすい、他のエンジンのように外気を取り込まないために空気抵抗の要因となるエアインテークを機体に設ける必要が無い上、空気が薄い・存在しない所(宇宙空間など)でも運用可能(理論上)という利点があるが、安全性や航続距離が極端に短いなどの欠点があるため実用機とは言い難く、現在では廃れている。
またロケットはエンジン出力が弱かった時代のジェット戦闘機の加速用に使用される場合もあった。また、戦闘機の武装の一つであるミサイルの推進機関はロケットエンジンが主流である。

主翼

戦闘機の主翼の形状は、直線翼・後退翼・デルタ翼・クリップトデルタ翼・可変翼・前進翼・菱形翼などがある。

直線翼
レシプロ機時代は、戦闘機を含めて航空機全般の大半は直線翼であった。直線翼は揚抗比が高く機動性の確保には有利であるが、空気抵抗が大きく、また遷音速域では音の壁にぶつかるなど超音速飛行には向かない形状である。初期のジェット戦闘機にはレシプロ機時代からの継続として当然のように採用されているが、次第に後述する後退翼やデルタ翼など、超音速飛行向きの主翼形状に取って代わられる事になる。ただしF-104のように翼の幅を縮め、厚さを非常に薄くすることによって、超音速向きの特性にした直線翼も存在する。
後退翼
レシプロ機時代は重心をより後方に持っていくための手法であった。最初の実用ジェット戦闘機であるMe262もその目的で後退翼を採用したのであるが、音速付近での翼の衝撃波の発生を遅らせる事ができる利点が発見され、その後の亜音速・超音速戦闘機に広く採用された。直線翼よりも安定性に優れるのが長所であるが、運動性を重視する戦闘機ではかえって弱点ともなるため、主翼に下反角をつけて安定性を下げる設計が行われる場合も多い。F-86MiG-15など、初期の亜音速ジェット戦闘機の多くがこの形式である。
デルタ翼(三角翼)
主翼の前後幅が大きいので主翼自体で安定を保つ設計に適しており、無尾翼形式と併用される事が多い。その場合空気抵抗がその分小さくなり、後退翼よりもさらに高速飛行に適するが、低速域では揚抗比が悪く、機動性の面では不利。また、離陸時の滑走距離が長くなり、着陸時には揚力確保のため大迎え角を取らなくてはならない(そのため、視界が悪くなる)などの欠点がある。初期では尾翼つき形式にする事、最近ではカナード翼を装備する事でこれらの欠点の改善を図っている(これをクロースカップルドデルタ(複合デルタ)或いはコウ・デルタと呼ぶ。ダブルデルタではない)が、空気抵抗に関するメリットは失われる。ただし同じ幅・後退角度の後退翼に比べれは、同等の空気抵抗でより翼面積を大きくできる。また構造上翼をより頑丈にでき、同等の強度であれば翼をより軽量化できるという利点はある。無尾翼形式としてはF-102ミラージュ IIIなど、尾翼つき形式としてはMiG-21など、カナードつきはグリペンタイフーンラファールなどに見られる。
ダブルデルタ翼(二重三角翼)
デルタ翼の欠点であった離着陸時の性能などの改善を図るため、翼の後退角に差を付けたもの。戦闘機としてはサーブ 35 ドラケンが唯一の採用例であるが、決して廃れた訳ではなく、後述するLEX (Leading edge extension) へと発展したと解釈される(ダブルデルタ翼の場合はデルタ翼の一種であるが、LEXは直線翼や後退翼とも組み合わせもでき、より範囲が広い用語と解釈できる)。
クリップトデルタ翼(切り落とし三角翼)
デルタ翼の翼端を切り落とした形状。後退角を浅くしながら翼面積を大きくとれるので、低速域での揚抗比が高く、亜音速域での機動性が高い。その代わり普通のデルタ翼ほど前後幅が取れないので無尾翼形式は無く、ほぼ尾翼つき形式が採用されている(ただし戦闘機でなく爆撃機であれば、アブロ バルカンという無尾翼クリップドデルタ翼採用の例がある)。F-15F-16など。
可変翼
低空での機動に有利な直線翼から、超音速飛行に有利な後退翼まで、翼の角度を自由に変えることができる。反面、システムが高価かつ複雑になる。MiG-23トーネードF-14等がこの形式。
前進翼
後退翼と同じく、衝撃波の発生時差を付けることができるが、後退翼と違って翼端失速になりにくい。反面翼がねじれやすく、また後退翼とは逆の効果により安定性も悪くなる。しかし、前者は軽くて強度のある新素材の開発により、後者は機体制御コンピュータの発達などによって解決されてきている。また、安定性が悪いという事は急激な機体機動が可能という事を意味するので、機動性を重視する戦闘機にとっては利点とも言える(この観点から生まれたのが運動能力向上機である)。ただし、ステルス性に難があるという新たな問題が生じたため、この形式の戦闘機は実戦配備されていない。X-29Su-47などがこの形式。
菱形翼
翼の前縁に後退角が、後縁に前進角がついているもの。空力特性よりも、ステルス性を優先した結果生まれた、新しい形式である。F-22YF-23F-35などがこの形式。
明確に分類できない形式
以上、主翼の分類を述べてきたが、上記の分類に当て嵌めるのが難しい場合もある。F-4Su-27の主翼のように、後退翼とクリップトデルタ翼の中間と言える形式のものは数多く存在する。ライトニングの主翼は、後退翼とも言えるし、翼端のみならず後縁内側をも三角形に切りぬいたクリップトデルタ翼とも解釈できる。どの程度以上後退させた場合後退翼であるという明確な定義は存在しないため、F-5F/A-18の主翼は、後退翼とも直線翼とも言いきれない。

ストレーキ

F/A-18のストレーキにより発生する渦流

デルタ翼は、低速域での揚抗比が低い、離着陸時に失速し易い、などの欠点があった。これを改善するため、翼の後退角に差を付けたダブルデルタ翼が開発された。ストレーキは、このダブルデルタ翼の内翼を発展させたフィンである。特に主翼の前縁部分を延長したものはLERX(leading edge root extension/主翼前縁延長)と呼ばれる。

ストレーキは空気の渦流を発生させ、それが主翼や水平尾翼へ流れる気流にエネルギーを与える事で、失速の利きの低下を防ぎ、機体の機動性を大きく向上させている。ストレーキを装備した機体は、F-16F/A-18Su-27など。

カナード

主翼の前部に取り付けられた小型の翼で、水平尾翼と同様に機体のピッチ制御を行う。水平尾翼と違って主翼と共に揚力を発生させる事により、主翼面積をその分節約する事ができる(水平尾翼の場合はマイナスの揚力を発生させるので、主翼はより揚力を発生させる事が求められる)。そもそも世界最初に飛行した機体であるライトフライヤー号がこの形式であったが、水平尾翼と比べて舵が過敏に反応するため安定性が悪いという事で、その後廃れてしまった。近年、デルタ翼との組み合わせにより、主翼前部の気流を制御する事で機体の機動性が向上するという利点が発見され(前述のLEX:主翼前縁延長と同等の効果である)、また機体制御の難しさはフライ・バイ・ワイヤによって補う事が可能となり、広く用いられる事となった。なおデルタ翼は無尾翼形式によって主翼のみで安定を保つ設計が可能なため、カナードは揚力を発生しない設計にする場合も多い。しかしごく近年では、ステルス性に難があるという欠点が発見されている。

ブレンデッドウィングボディ

主翼が滑らかに胴体と繋がっており、何処までが主翼で何処からが胴体なのか区別が付きにくい形状の事。特に大迎角を取った際に胴体も主翼の役割を果たし、実質上翼面荷重が小さくなる効果がある。又、ステルス性が向上する利点もある。他に胴体内容積が大きくなり、燃料等をより多く搭載できる利点もある。戦闘機ではF-16が代表的な例である。

これより更に発展した物として、リフティング・ボディ(主翼が存在せず、胴体そのものが揚力を発生し主翼の代わりをする)、全翼機(胴体が存在せず、主翼のみで構成された航空機)といった形式があるが、実用化された戦闘機での採用例は今の所存在しない。

兵装

99式空対空誘導弾
M61 バルカン

戦闘機誕生以来、対空戦闘のための兵装は機関銃・機関砲と相場が決まっていた。第一次世界大戦時には、対気球・飛行船用としてロケット弾を装備した例もある。第二次世界大戦時に再びロケット弾装備が復活し1960年代頃まで使われたが、誘導装置のついたロケット弾、すなわちミサイルに取って代わられる事になる。

現代戦闘機の空対空戦闘用兵装は、空対空ミサイル及び機関砲などである。遠距離戦闘時はアクティブ・レーダー・ホーミング (ARH) 及びセミ・アクティブ・レーダー・ホーミング (SARH) 式の長距離用ミサイルが、接近戦では赤外線誘導 (IRH) ミサイル及び機関砲が使われる。

機関砲は、空対空ミサイルの登場により、特に敵戦闘機と交戦する機会の少ない要撃機などには不要とされ装備されない機体も登場したが、ベトナム戦争などの教訓からミサイルの命中率がそれほど高くない事が判明したため、再び装備されるようになった。現代ではミサイルの命中率はかなり向上しているものの、それでも万が一近接格闘戦に突入した場合の保険として必須とされ、装備から外される趨勢にはない。 航空機関砲にはM61 バルカンなどに代表されるガトリング砲方式と、マウザー BK-27などのリヴォルヴァーカノン方式、GSh-301などのガスト式などが代表的である。それぞれ一長一短があり、どれが戦闘機に適しているかは一概には言えない。

航空兵装の運用等に付いては、航空作戦を参照。

電子機器

一般に電子機器類の中枢部は専用の空調機構と耐振動保持機構によって保護されており、配線類も光ファイバーケーブルのように難燃耐熱耐ノイズ性の高いものが用いられている。21世紀以降の戦闘機でのデジタル化された搭載電子機器類は、各種機能が共通の演算ハードウェアとその上で動く多様なソフトウェアによって実現されるようになっており、一部の演算部が機能を失っても残りの演算部が直ちに引き継ぎソフトウェアを実行する冗長構成になっている。

戦闘機のアビオニクス類は、一般的な航空機が備えるレーダーGPS航法装置、FMSFADECなどの他に、火器管制装置やレーダー警戒装置、IRST、ECM装置、戦術データ・リンク・システムなどが搭載されている[1]

敵機のレーダーに探知された時は、レーダー警戒装置などESM装置でいち早く敵のレーダー電波を探知・分析し、同時にECM装置でそれを妨害する必要がある。これらの戦闘は電子戦 (EW) と呼ばれる。ECM装置には、チャフフレアデコイなど敵レーダーを欺瞞するものや、敵レーダー能力を低下させるジャミング(電波妨害)装置などがある。

データリンク・システム

味方の支援を受けるためには、友軍機や早期警戒管制機 (AWACS) 、地上要撃管制 (GCI) 等との情報共有が不可欠である。このために、戦術データ・リンク・システムなどの情報共有系統が必要である。

AWACSなどとのデータリンクが重視される理由:

  • アクティブ・レーダーは自ら強力な電波を発射するため、敵側がESM装置を用いると発見される可能性が高くなる。そのため戦闘機、特にステルス機はレーダー波をできるだけ発射しないことが望ましい。友軍からデータリンクによって空域内/地上域内の必要な情報が得られれば、自ら電波を発する必要はない
  • AWACSのレーダーは大電力で送信し大きな受波面を備えているため、広大な覆域を持つ。遠距離にある敵を先に発見・識別できることで、その情報を元に自機や自軍に有利な位置に遷移して攻撃または退避といった戦術・戦略の判断が可能となる
  • 戦闘機のレーダーは後方に向けられないため、後ろの敵を発見できない。AWACSなどは全方位を監視できるので、データリンクを使用すれば地上の状況も含めてより高精細な情報を受信でき、後方からの不意打ちも防げる

AWACSなどからの支援の有無は航空戦では非常に重要な要素となる。21世紀に入ってからは、高価なAWACSと電子的な連係作戦が行える先進的/近代的な空軍による航空作戦が行われているが、こういった場面では高性能なAWACSとステルス性が考慮された機体、データリンクによる遠距離からの敵機識別能力、高性能な長・中距離空対空ミサイル、などの使用によって、一方的に航空優勢が確立されることが多く、敵味方が接近して格闘戦(ドッグファイト)が行われる状況は発生していない。このように先進国が保有し運用する空軍の優れた航空戦力が、より劣る能力の敵と対峙した場合には、戦闘機はただミサイルを運搬するための役割を演じることが多い。

ユニット構成

戦闘機用の主要な電子機器類の多くが、整備性向上のために電子回路が各機能単位で分割され、その各々がモジュール式の交換ユニットに収められている。米軍ではこれらを規格化して"Line-replaceable unit; LRU"と呼び、他の軍隊でも同様のユニットはこのように呼ばれることがあり、日本語では「列線交換ユニット」と訳される。またデジタル式が普及してからは自己診断機能も一般的となり、そういったものでは動作不良や異常箇所を飛行中でも適時レポートするので、連絡を受けた地上の整備担当者は予めLRUや交換用ユニットを準備しておき、直ちに交換することで短時間で修理が終えられる。ユニット単位での予備部品の管理は兵站を簡略化でき、取り外されたLRUなどはそのまま修理工場へ送れば済むので、航空基地等での整備員の教育訓練が簡単になる。

レシプロ戦闘機の歴史

複葉機の時代 (第一次世界大戦)

航空機は、第一次世界大戦で初めて戦闘に使われた。この時代の戦闘機の構造は木製帆布張りが主体。エンジンは水冷式とピストン自身が回転して冷却する(空冷の)回転式(ロータリー式)の2種類があり、出力は200馬力程度であった。主翼は単葉(主翼が1枚)から三葉(同じく3枚)まで種種とりどりであったが複葉(同じく2枚)が最も多かった。

戦争初期、航空機は戦闘力を持たず敵地偵察に使われただけであった。最初期は、お互いに攻撃手段を持たず、敵偵察機に対し、そのまますれ違ったり、お互い手を振って挨拶していることもあった[2]

しかし、航空偵察の効果が上がり始めると、敵偵察機の行動は妨害する必要性が出てきた。最初は持ち合わせていた工具を投げつけたのが始まりとされている。やがて煉瓦や石を投げ合い始め、拳銃や猟銃を使い始めた[2]空戦の始まりである。

しかし、本来戦闘用ではない偵察機同士で戦っても余り効果は期待できない。そこで、固定武装を持ち、機動性に優れた空戦専用機、戦闘機が誕生した。 初期の戦闘機は、機銃を主翼の上に載せただけであった。そのため、照準器と弾丸の発射位置が離れているので命中精度が悪く、弾倉の交換ができないので長時間戦えなかった。そのため、プロペラを後部につけて機銃を機首に取り付けたり、プロペラを補強して機首から強引に射撃すると言った様々な方法が考えられた。 やがて、プロペラ同調装置の発明により機首から機銃を射撃できるようになり、以降戦闘機は機首部に同調装置付きの機銃を装備するという形態が標準となった。

  • プロペラ同調装置:戦闘機の機銃は通常機首に装備され、プロペラが回転している面を通って発射される。自機の発射した弾丸がプロペラに当たらないように調整するのがプロペラ同調装置。ところが最初に機銃を装備した戦闘機はこの装置が無く、プロペラの弾丸が当たる可能性のある部分を補強したり、機銃を羽根の上の高いところに設置してプロペラに当たらないようにしていた。またエンジンを機体の後ろに装備した「推進式」の戦闘機もあった。最初にプロペラ同調装置を備えたのはドイツフォッカー E.I単葉機で、その後各国が追随した。

この時期、戦闘の形態は一対一でのドッグファイト(巴戦)が主流であった。ドッグファイトでは、敵機の背後を取ったものが有利になるので、戦闘機はより小回りが利くものが高性能とされ、性能面では専ら格闘性能が重視された。

第一次世界大戦期の代表機
ドイツの旗 ドイツ帝国
Dr.I三葉戦闘機
フォッカー E.III
フォッカー E.Iの改良型で、フォッカー単葉戦闘機シリーズ中最も多く作られた。
フォッカー Dr.I
撃墜王リヒトホーフェン男爵(レッドバロン)の乗機として有名。
フォッカー D.VII
第一次世界大戦で連合国側に最も恐れられた機体。
アルバトロス D.III
木製モノコックの胴体を採用。
フランスの旗 フランス
SPAD S.VII
スパッドVII
水冷エンジン搭載のフランスの重戦闘機。
ニューポール 11
複葉の下翼が短い一葉半方式を採用、格闘戦に強い。
イギリスの旗 イギリス
ソッピース キャメル
旋回性能が優れた格闘戦向きの機体。
S.E.5a
キャメルとは逆の重戦闘機。

戦間期(1919年 - 1938年)

この時期には、エンジン・機体構造が大きく進歩し、レシプロ戦闘機の形体が完成していった。機体構造は、次のように進化していった。

エンジン
空冷式は回転しなくても充分な冷却ができる星型エンジンに変わった。水冷式も改良が進み、両方とも1000馬力程度までパワーアップした。
主翼
しばらく複葉機の全盛時代が続いたが、第二次大戦の開戦前には、少数の複葉機(イタリアCR.42ソ連I-152など)を除き主翼は単葉になった。また同時期に主脚も固定式から引き込み式になり、飛行時には主翼内や胴体内に格納され、空気抵抗が低減された。
機体構造
木製帆布張りから、鉄骨帆布張りへと移行、更に金属モノコックへと変わっていった。

この時期には従来の巴戦に代わり、一撃離脱戦法が重視されるようになった。これは、敵機を発見したら敵に気付かれないようにその上空に回りこみ、そこから一気に急降下して敵を奇襲攻撃し、敵が反撃する前に高速で離脱すると言う戦法である。巴戦に比べて、

  • 格闘戦より技量を要求されない。
  • 敵への攻撃効率が高い
  • 味方の損害が少ない

などの利点がある。

従来、戦闘機は高い格闘能力を確保するため、より軽く、より大きな主翼を付けるのが常識だった。しかし、一撃離脱戦法では専ら高速と重武装が要求される。となると、格闘性能を確保するために巨大な翼を持っていては、空気抵抗が増加するので高速を出すのに障害となる。同時に、強力な武装を搭載したり、急降下に耐えられるよう機体強度を持たせると、必然的に重くなる。 そこで、それまでの格闘性重視の設計からコンセプトを改め、翼面積を小さくして高速・重武装を追求した一撃離脱向きの機体が登場した(日本においては、これは重戦闘機と呼ばれるようになり、同時に従来の格闘性を重視した機体は軽戦闘機と呼ばれるようになった)。 やがて一撃離脱戦法は巴戦に代わって広まって行き、各国でメッサーシュミットBf109(ドイツ)やP-38 ライトニング(アメリカ)などの高速・重武装重視の戦闘機が登場するようになった。しかし、まだ従来の格闘戦に拘る国も多く、日本、イタリア、フランスなどでは依然として、いわゆる軽戦闘機が多く設計されていた。

第二次世界大戦直前の代表機
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
P-26 ピーシューター
アメリカ陸軍初の全金属製単葉機。日中戦争では渡洋爆撃を行った九六式陸上攻撃機の邀撃に活躍。
P-36 ホーク
全金属性・単葉主翼・引込式主脚装備の、米陸軍初の近代レシプロ戦闘機。
イギリスの旗 イギリス
ブリストル ブルドッグ
1930年代のイギリス空軍の主力戦闘機。フィンランドにも輸出され、冬戦争で活躍した。
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
I-15bis
ポリカルポフ I-153
1,000馬力の大出力エンジンと、引込式主脚を採用し、「究極の複葉戦闘機」と呼ばれた。スペイン内戦、ノモンハン事件、冬戦争などで活躍。
ポリカルポフ I-16
世界初の全金属製・単葉・引込式主脚の戦闘機。胴体が短く、寸詰まった外見が特徴。
大日本帝国の旗 大日本帝国
九七式戦闘機
九六式艦上戦闘機
日本海軍日中戦争での主力戦闘機。
九七式戦闘機
日中戦争やノモンハン事件太平洋戦争初期に活躍した日本陸軍の戦闘機。格闘性能に優れていた。
ナチス・ドイツの旗 ドイツ国
He51
ハインケル He51
ドイツ再軍備と同時に制式採用され、ドイツ空軍の主力戦闘機となったが、スペイン内戦では、より近代的な設計のソ連戦闘機I-16に苦戦した。
ハインケル He112
全金属製で、楕円翼の外見が特徴。メッサーシュミット社のライバル機であるBf109より格闘性能に優れていたが、制式採用には到らず、輸出用として少数が生産されただけだった。

第二次世界大戦期(1939年 - 1945年)

第二次世界大戦は、航空機主体の戦いとなった。戦争参加各国とも国を挙げて戦闘機の改良と増産に励んだ。大半の戦闘機が全金属製・単葉・単座・単発(エンジンが1基)であったが、例外も多かった。 戦闘機はより高速を求め、開戦当初1,000馬力未満だったエンジン出力は大戦後半には2,000 - 2,500馬力にも達した。その急速な技術進歩の過程で、Me262などのジェット戦闘機が誕生した。

第二次大戦期の代表機
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
F4U コルセア
F4F ワイルドキャット
大戦初中期のアメリカ海軍の主力艦上戦闘機。
F4U コルセア
大戦中後期のアメリカ海軍の艦上戦闘機。戦闘攻撃機としても活躍した。
F6F ヘルキャット
大戦後期のアメリカ海軍の主力艦上戦闘機。最も多くの日本機を撃墜した戦闘機であり、戦時中の日本では「宿敵グラマン」として有名だった。
P-38 ライトニング
特異な外見から「双胴の悪魔」と呼ばれた。一撃離脱戦法に向いた重戦闘機で、多くのトップ・エースを輩出した。山本五十六が搭乗していた一式陸上攻撃機を撃墜した事で有名。
P-40 トマホーク/ウォーホーク
大戦初中期のアメリカ陸軍の主力戦闘機。平凡な性能ながら実用性や信頼性が高く、英空軍にも多数が供与された。
P-47 サンダーボルト
大戦中後期のアメリカ陸軍の主力戦闘機。重武装重防御を誇り、戦闘攻撃機としても活躍した。
P-51 マスタング
大戦後期のアメリカ陸軍の主力戦闘機。優れた性能と長大な航続力により、戦略爆撃機の護衛などに活躍。第二次大戦最優秀戦闘機と評価が高く、朝鮮戦争でも戦果を上げた。
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
ヤコブレフ Yak-1
大戦初期のソ連空軍の主力戦闘機。機体材料にデルタ合板を多用した。本機に限らずソ連機は大半が木製機である。
ヤコブレフ Yak-9
Yak-1の発展型。極めて小型軽量であり、大戦後期のソ連空軍の主力戦闘機として活躍。
ヤコブレフ Yak-3
Yak-9の発展型。Yak-9より更に小型であり、運動性能に優れていた。
ラボーチキン・ゴルブノフ・グドコフ LaGG-3
大戦初期のソ連空軍戦闘機。量産機は粗悪品が多く、LaGGの頭文字から「政府保障のニス塗り棺桶」などと揶揄された。
ラボーチキン La-5
LaGG-3に新型の空冷エンジンを搭載。性能が大きく向上し、優秀な低空用戦闘機に生まれ変わった。
ナチス・ドイツの旗 ドイツ国
メッサーシュミット Bf109
一撃離脱に適した重戦闘機。約30,000機が生産され、ドイツ空軍の主力戦闘機として活躍。
フォッケウルフ Fw190
Bf109に次ぐドイツ空軍の主力戦闘機であり、20,000機が生産された。
フォッケウルフ Ta152
ドイツの敗戦色が濃くなってきた時期に登場した。世界最強とも言われているレシプロ戦闘機だが、登場直後にドイツが降伏したため、極少数しか生産されなかった。
イギリスの旗 イギリス
スピットファイア Mk. V
スーパーマリン スピットファイア
Bf109のライバル的存在。大戦のイギリス空軍の主力戦闘機として活躍。
ホーカー ハリケーン
大戦初中期のイギリス空軍の主力戦闘機。旧式な構造ながら、イギリス本土防空戦などでは主力戦闘機として爆撃機迎撃に活躍した。
デ・ハビランド モスキート
この時代のイギリス機にしては珍しく木製機。高速・大航続力を生かし、戦略爆撃機護衛や爆撃任務で活躍。
大日本帝国の旗 大日本帝国
零式艦上戦闘機
零式艦上戦闘機
太平洋戦争の日本海軍の主力戦闘機。航続力と運動性能に優れていた。
局地戦闘機「紫電」
太平洋戦争後期の日本海軍の主力局地戦闘機。エンジンの信頼性に悩まされた。
局地戦闘機「紫電改」
紫電の派生型である日本海軍の局地戦闘機。運動性能に優れていたが、生産は少数機に終わった。
一式戦闘機「隼」
太平洋戦争の日本陸軍の主力戦闘機。航続力と運動性能に優れていた。
二式単座戦闘機「鍾馗」
運動性能よりも速度を第一とした日本初の本格的な重戦闘機。本土防空戦で活躍した。
三式戦闘機「飛燕」
太平洋戦争における日本軍唯一の液冷エンジン搭載機。優秀な機体だったが、エンジンの信頼性に悩まされた。
四式戦闘機「疾風」
太平洋戦争後期の日本陸軍の主力戦闘機。多数機が生産かつ実戦投入され、その高性能や戦歴から「日本最優秀戦闘機」とアメリカ軍調査団に評された。
イタリア王国の旗 イタリア王国
マッキ MC.202 サエッタ
大戦初期のイタリア空軍の主力戦闘機。
マッキ MC.202 フォルゴーレ
MC.200のエンジンを換装した大戦中後期のイタリア空軍の主力戦闘機。
マッキ MC.205 ヴェルトロ
MC.202のエンジンを換装したイタリア空軍最優秀戦闘機。
フィアット G.55 チェンタウロ
強力な武装を有した高性能機であったが、実戦投入の遅れにより戦局に寄与できなかった。
フランスの旗 フランス
ドボワチーヌ D.520
優秀な機体だったが、実戦投入の遅れから戦局に寄与できなかった。

ジェット戦闘機の歴史

プロペラは その先端速度が音速(時速1,200km/時:海面)に近づくと空気圧縮の発生により推進効率が悪くなる。その結果プロペラ機の最高速度は時速800km/時あたりで頭打ちとなってしまう。レシプロ戦闘機は第二次大戦終了からさほど経たないうちにその速度域に達し、主力戦闘機としての使命が終了した。以後ジェット戦闘機の時代に突入する。

黎明期 (第二次世界大戦)

1930年代頃から、レシプロエンジンに代わる新しい推進装置として、ドイツやイギリスなどでジェットエンジンの研究が進められていた。世界で初めて飛行したジェットエンジン機は、1939年に初飛行したハインケルHe178である。

その後、第二次大戦後期にかけて各国でP-80 シューティングスター(アメリカ)、Me 262(ドイツ)、ミーティア(イギリス)などのジェット戦闘機が登場した(本格的な実用化は、Me 262を例外として、戦後を待たねばならない)。

初期のジェット機はレシプロ戦闘機の設計の延長上にあるものが多く、エンジンの装備位置は、第二次大戦中のMe 262や直線翼機では主翼下に吊り下げたポッド式や主翼に埋め込んだ機体が多かった。

黎明期の代表機
ナチス・ドイツの旗 ドイツ国
メッサーシュミット Me262
メッサーシュミット Me262
史上初の実用ジェット戦闘機。後退翼、前輪式主脚など斬新な技術が目立つ。高速と強力な武装で連合国軍の戦略爆撃機の要撃に活躍した。しかし、エンジンの耐用時間が短いなど技術的に未成熟の面もあった。
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
P-59 エアラコメット
アメリカ初のジェット戦闘機だが、試作のみで終わった。
P-80 シューティングスター
アメリカ空軍初の実用ジェット戦闘機だが、朝鮮戦争時にはMiG-15相手に苦戦し、アメリカ空軍は後継としてF-86を投入した。
イギリスの旗 イギリス
グロスター ミーティア
グロスター ミーティア
第二次大戦中に登場した最初期のジェット機。遠心圧縮式のターボジェット・エンジンを装備していた。

第1世代 (1940年代後半 - 1950年代)

ジェット戦闘機が本格的に実戦投入されたのは、朝鮮戦争からである。その頃のアメリカ空軍ではF4Uコルセアなど第二次世界大戦末期に採用されたレシプロ機が多く存在したが、格闘性能ではMiG-15と同等に渡り合うなどジェット戦闘機とレシプロ機の差が交錯する時期でもあった。ソ連の支援を受けた中国・朝鮮軍はいち早く後退翼のMiG-15を投入した。その後、連合軍の主力となったF-80 シューティングスターグロスター ミーティアなどの直線翼戦闘機であり、設計思想ではMiG-15の方が先進的であった。その後、これに対抗してアメリカ軍を中心とする連合軍も後退翼のF-86 セイバーなどを投入した。

性能的にはMiG-15とF-86は一長一短であり、上昇力や格闘性能ではMiG-15が勝ったが、レーダーや照準器などの儀装面ではF-86の方が優秀であった。結果としては米空軍パイロットの技量の高さもあって、この後退翼戦闘機同士の戦いではアメリカの圧勝であった。

このころの戦闘機はエンジンがジェットエンジンに変わった以外は第二次大戦中と大差がなく、戦闘は目視によって敵を発見し機銃によって敵に攻撃を加えるという方法だった。後退翼機以外に、デルタ翼機も研究が続けられたが、この時期にはまだ実用化されなかった。

第1世代の代表機
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
F-86A セイバー
F9F パンサー
第二次大戦後に正式採用された、アメリカ海軍の艦載ジェット戦闘機。同世代のライバル機と比べると機体の設計思想が旧式で、空力的洗練度には劣っていた。
F-84 サンダージェット/サンダーストリーク
朝鮮戦争では主にアメリカ空軍の戦闘爆撃機として活躍。後に後退翼型も登場する。
F-86 セイバー
MiG-15に対抗するために、後退翼を装備した新鋭機として投入され、朝鮮戦争でアメリカ空軍の主力戦闘機として活躍した。
イギリスの旗 イギリス
ホーカー ハンター
登場時、世界は既に超音速機の時代へ移行しつつあったため、戦闘機としてはやや性能不足だったが、低空での機動性の高さや搭載量の多さを買われて印パ戦争中東戦争等で活躍した。
フォーランド ナット
最小の軽戦闘機として登場。小型すぎることで兵器搭載が少ない事などがネックとなり、イギリス空軍では不採用になったものの、インド・フィンランドでは戦闘機として採用。
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
ミコヤン・グレビッチ MiG-15
MiG-9 "ファーゴ"
ドイツから得た技術を下に開発された。軸流圧縮式ジェットエンジンを搭載。
MiG-15 "ファゴット"
朝鮮戦争でB-29要撃に活躍。この機体の活躍により、設計局ミグの名はソ連戦闘機の代名詞となる。
MiG-17 "フレスコ"
洗練度が不十分だったMiG-15の改良型。

第2世代 (1950年代 - 1960年代)

1940年代まで 有人飛行機で音速を超えて操縦することが可能かどうかは、全く未知の世界であった。第二次大戦の直後から、アメリカはこの問題を実験できる機体の研究を続けていた。この目的のために製作されたベルXS-1(ロケットエンジンを装備:後にX-1に名称変更)は1947年に有名なチャック・イェーガーの操縦で音速を突破し、超音速でも機体の操縦が可能であることを証明した。このときはB-29の腹下にぶら下げられて離陸し、高度6,100mで母機から切り離されて発進した。

一旦 有人機で音速を超えられることがわかれば、後はエンジンの推力と空気力学の問題である。ジェットエンジンは次々に改良され、推力が大きくなった。機体の形状ではエリアルール(面積法則)なる理論が提案され、F-102デルタダガーの音速突破に貢献した。これは、飛行機の断面積変化が少ないように設計すれば高速での抵抗が少ないという理論で、機体に応用した場合主翼取り付け部分の胴体がくびれて細くなる。一方主翼は、後退翼よりもより高速飛行に適したデルタ翼機が多数登場した。

こうして音の壁を突破し、超音速飛行が可能となった戦闘機は第2世代に分類される。また、この時期にはAIM-9サイドワインダーなどの空対空ミサイルが登場した。

第二世代の戦闘機は機動性より超音速飛行性能やミサイルの搭載能力を重視しているものが多かった。また、エンジンの推力向上により大量の爆弾を積み高速で飛べる機体が開発され、次第に戦闘機と爆撃機の境界が曖昧になってきた。

第2世代の代表機
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
F-100D
F-100 スーパーセイバー
世界初の実用超音速戦闘機。
F-102 デルタダガー
三角翼機、設計時音速突破に苦労しエリアルール採用により成功した機体。F-106 デルタダートは本機の発展型。
F-104 スターファイター
登場時『最後の有人飛行機』と呼ばれたスマートな機体。航空自衛隊でも採用された。
F-105 サンダーチーフ
戦闘爆撃機のパイオニアで、アメリカ空軍初の爆弾倉付き戦闘機。
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
MiG-21SM
MiG-19 "ファーマー"
ソ連初の超音速戦闘機。MiG-15、MiG-17の発展型の後退翼戦闘機で、格闘性能では最高レベルに達していたが、反面武装搭載量や航続距離、エンジン寿命などに弱点があった。
MiG-21 "フィッシュベット"
デルタ翼と水平尾翼を持つ、生産数10,000機をはるかに超える東側陣営のベストセラー機。近接戦能力には優れるが、武装搭載量と航続距離に不足があった。冷戦後、各国で改修案が出され海外で運用が続けられている。なお、初期量産型のMiG-21Fは第2世代に分類されるが、改良型のMiG-21SM以降は第3世代に分類される。
Su-9 "フィッシュポット"
1960年代のソ連防空軍の主力機の一つで、最初の本格的な迎撃戦闘機。MiG-21と同じく尾翼付きデルタ翼機であった。発展型にSu-11がある。
イギリスの旗 イギリス
グロスター ジャベリン
デルタ翼を採用した、英国初の超音速全天候型邀撃機。
イングリッシュ・エレクトリック ライトニング
胴体内に上下に2基のエンジンを積んだ超音速機。
フランスの旗 フランス
オーストラリア空軍で運用されるミラージュIIIO
ダッソー ミラージュ III
三角翼のベストセラー機、F-5と並び各国へ輸出された。
 スウェーデン
サーブ J35 ドラケン
ダブルデルタという特殊な三角翼を持った機体。

第3世代 (1960年代 - 1970年代)

ミサイルの発達により、空戦は遠距離からのミサイルの撃ち合いで終始するとの考えが広まり(ミサイル万能論)、高速でより多くのミサイルを搭載可能な戦闘機が最強の戦闘機とされ、近接格闘戦で必要な機動性は軽視されるようになった。そのため、要撃機等の一部には機関砲を装備しない物も出現した。

しかし、当時はまだ空対空ミサイルの性能・命中率が低かったためにベトナム戦争では度々格闘戦が発生し、その際に機動性の低いアメリカ空軍の最新鋭機F-4ファントムIIF-105サンダーチーフなどが、旧式なMiG-17やはるかに安価なMiG-21に容易く撃墜されるという事態が発生した。

第3世代の代表機
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
F-4 ファントムII
F-4 ファントムII
元はアメリカ海軍空母部隊の直掩機として開発されたが、高性能によりアメリカはもとより西側陣営を始め、中東諸国でも運用された。第四次中東戦争ベトナム戦争湾岸戦争などで活躍。
F-5 フリーダムファイター/タイガーII
途上国向けの廉価な機体として開発された。E型とF型の愛称は「タイガーII」。
F-111 アードバーク
重量過大のため戦闘機としては失敗作だったが、湾岸戦争では攻撃機として大戦果を上げた。
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
MiG-23
MiG-23 "フロッガー"
可変翼が大きな特徴。性能を向上させた後期型では、機体性能だけなら西側陣営のF-4を凌駕する性能と評価された。
MiG-25 "フォックスバット"
アメリカ空軍のXB-70SR-71等、超高速戦略機の迎撃用に開発された。現在でも世界最速の戦闘機である。
Su-15 "フラゴン"
ソ連防空軍の主力迎撃戦闘機として活躍。1982年大韓航空機撃墜事件で有名になった。
Yak-38 "フォージャー"
キエフ級航空母艦に搭載するVTOL機として開発された。
イギリスの旗 イギリス
ホーカー・シドレー ハリアー
西側陣営初の実用VTOL機として登場。フォークランド紛争などで活躍。
フランスの旗 フランス
ダッソー ミラージュ F1
STOL性向上のため、ダッソー社の機体にしては珍しく尾翼付き後退翼の形態である。世界中へ約500機余りが輸出されている。
 スウェーデン
サーブ 37 ビゲン
サーブ JA37 ビゲン
STOL性能や即席滑走路からの離陸等を考慮し、デルタ翼とカナードを組み合わせるする当時としては特異な形態(第4世代機では普遍的)を採用した。開発に当たっては米国の軍事技術協力の影響もあって、世界的な評価を得る高性能機となった。

第4世代 (1970年代 - 1990年代)

ベトナム戦争などの教訓から、未だに近接格闘戦が起こりうる事が分かった。また、ミサイルの回避には、急激な機動を行う必要がある事も判明し、戦闘機は再び機動性が重視されるようになった。 超音速戦術機に向いたアフターバーナー付きターボファンエンジンが実用化されたため、要求される機動性を実現できる飛行性能を実現できた。操縦席のグラスコックピット化やフライ・バイ・ワイヤの導入など、ハイテク化が進められる。また風防は、ドッグファイトに持ち込まれた場合結局一番役に立つのはパイロットの目であると考えられ、高速飛行には向かないが視界がよい涙滴型キャノピーが使用されるようになった。

戦闘機の開発費は年々高騰したため、国際共同開発やマルチロール化などの方法が取られるようになった。

第4世代の代表機
Su-27とF-16
MiG-29とF-14
F-15とF/A-18(NASA仕様)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
F-14 トムキャット
可変後退翼が特徴の大型複座艦上戦闘機。空母機動部隊防衛用の直掩機として開発され、強力なレーダーと、長距離空対空ミサイル・AIM-54フェニックスを搭載した。
F-15 イーグル
航空自衛隊も採用した制空戦闘機。機体性能とそれまでの実績から世界一の呼び声高い機体。
F-16 ファイティング・ファルコン
実用機として初めてフライ・バイ・ワイヤを採用するなど、当時の最新技術を盛り込んだ機体。軽量だが高度な戦闘力を有し、世界中でベストセラーとなった。
F/A-18 ホーネット
現在の米海軍米海兵隊の主力戦闘攻撃機。YF-17として設計された時は軽量小型だったが、その後の改良により機体がかなり大型化した。
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
MiG-29 "ファルクラム"
西側諸国ではソ連版F-16といわれたが、F-16と異なり双発機でありサイズ的にはF/A-18に近い。運動性に優れる。
MiG-31 "フォックスハウンド"
超音速での迎撃に特化していたMiG-25に再設計を施し、より幅広い任務遂行が可能なように改良した型。エンジンや電子機器、主翼などが改変されている。
Su-27 "フランカー"
西側諸国ではソ連版F-15といわれた大型の制空戦闘機。他の戦闘機を圧倒する驚異的な機動性を持つ。発展型として空母搭載の艦上戦闘機仕様のSu-33、推力偏向ノズルを搭載したSu-30MK、戦闘爆撃機仕様のSu-34などがある。
イギリスの旗 イギリス/ドイツの旗 ドイツ/イタリアの旗 イタリア
パナヴィア トーネード ADV
英独伊3カ国共同で開発した攻撃機のトーネード IDSを、イギリス空軍が戦闘機タイプに改修した機体。
フランスの旗 フランス
ダッソー ミラージュ 2000
F-16と並ぶ小型戦闘機。ミラージュシリーズ定番のデルタ翼機。
中華人民共和国の旗 中国
西安 殲轟7型
西側諸国からの技術導入を行い、ソ連機のコピーから脱却した、中国独自設計による初のジェット戦闘爆撃機。
中華人民共和国の旗 中国/パキスタンの旗 パキスタン
成都 JF-17 (FC-1)
パキスタンおよびロシアと共同開発した汎用機。
中華民国の旗 台湾
F-CK-1 経国/雄鷹
台湾の国営航空企業AIDC(Aerospace Industrial Development Corporation)がジェネラル・ダイナミックス(GD、現ロッキード・マーティン)他数社の技術協力のもとにF-16をベースに開発した戦闘機である。

第4.5世代 (1980年代 - 2000年代)

第4世代を凌駕する性能を持つが後述の第5世代には及ばない(主にステルス性の面で)という意味合いでこう呼ばれる。現代の戦闘機は、LERXカナード、推力偏向ノズル装備などにより、第4世代よりもさらに機動性が向上するよう図られている。中には機体の空力的安定性を意図的に下げ、それを高度なフライ・バイ・ワイヤで制御することにより、さらに機動性の向上を図っているものもある(運動能力向上機)。また、スーパークルーズが可能な機体も少なくない。

現代の戦闘機の最高速度はマッハ2程度で、マッハ3級の戦闘機が試作・実用化されていた60年代より速力が下がっているが、エンジン推力はむしろ上がっている。最高速度の低下には以下の理由がある。

超音速飛行の必要性
基本的に戦闘機の巡航速度は、音速以下であり、戦闘速度もマッハ0.7 - 0.9程度の亜音速である。そのため、超音速で飛翔する能力が必要な機会が実質的にほとんど無い。それにも係らず、70 - 90年代の戦闘機の多くがマッハ2以上の高速性能を持つのは、格闘戦時に急激な機動を行う余力がある大推力エンジンを要したのと、一撃離脱の高速性能を重視する思想が残っていたためである。
機体強度
運動エネルギーは速度の二乗に比例する。飛行中に機体に掛かるさまざまな負荷も概ね同様である。したがって、最高速度が高くなればなるほど、ほとんど使わない速度のために、機体を無駄に補強する必要がある。それは飛行機にとって重量の面で大変な無駄である。そもそも、パイロットが高速高機動時にかかるGに堪えられなければ無意味である。
機体の耐熱性
マッハ2を超えると大気との摩擦によって機体表面が高温になるため、高性能の耐熱材料を使用する必要がある。だが、チタン合金は加工性に難があるために高価であり、ニッケルやステンレスはコストの面は現実的だが重い。最近主流の複合素材は、重量比で見れば金属より強度の面で優れた特性であるが、基本的に複合素材は炭素繊維などを樹脂系の接着剤で固めたものであるため、耐熱性は金属よりむしろ劣る。
ステルス性
最高速度を上げるためには可変エア・インテーク等の装備が必要であるが、そのためにレーダー反射断面積 (RCS) が広がり、ステルス性が低下する。エンジンにも高速時の耐熱・冷却機構が必要になる。
燃費
高速度発揮のために必要なアフターバーナーは、燃料を大量消費する。
被発見率
アフターバーナーの使用中はエンジン後部から炎が視認できるので被発見率が高まり、高熱を発するために赤外線誘導ミサイルに追尾され易くなる。また、高速度域での特性が優れるエンジンは、現在の技術では、低速域で圧縮が掛からないスカスカのエンジンにしかなりえないため、実用性が非常に悪化する。
格闘戦
接近戦でドッグファイトに突入した場合、速度より旋回能力が重視される。超音速領域では、機体の構造強度の制約から、大きな機動を行うことができず、それは必然的に過大な旋回半径でしか飛行できない。すなわち、一般的に機体の運動性が極度に低下するため、高速を発揮することに意味がない。
武装発射時の制約
戦闘機に搭載する武装は、発射可能な機体の状態にかなり制約がある。特にパイロンから射出する兵装は、基本的に火薬カートリッジで弾き出すため、高速度域、高負荷状態では射出自体ができない。そもそも、機内装備式の機種は重量の面で、機外装備式の機種は、翼面荷重やパイロンの強度、あるいは単純に空気抵抗の問題から、高速域で大きな機動を行うことはできない。
空対空ミサイル
空対空ミサイルはマッハ3 - 4の初速で発射され、数秒から数十秒程度加速を続けた後に惰性で飛行する。一方、航空機はパイロットが耐えられないなどの理由により、短時間で超音速に達するような急加速は行えない。
地対空ミサイル
地対空ミサイルは重量や大きさに対して搭載性による制限がないため、いかなる航空機でも振り切れない程の加速度と速度を実現している。
ミサイル回避機動
空対空ミサイル回避にはECM装置・チャフ・フレアの使用や、パルス・ドップラー・レーダーを欺瞞するビーム機動が主流であり、わざわざ運動性の低下する超音速領域を飛行する利点は無い。

例えば、F-15戦闘機の場合は涙滴型キャノピーを装備しているが、樹脂一体成型であるため、高速飛行時の空気との抵抗はもちろん、摩擦や発熱に耐えられない。そのため、安全上の問題によりマッハ2.3以上を出すことが禁じられている。(エンジンパワーはその速度でもまだ余裕がある)。 F-16・F/A-18戦闘機の場合、エアインテークが可変式でなく固定式であるため、マッハ1.6以上の速度域では効率が大きく低下する。このため最高速度がマッハ1.8 - 2.0に留まっている。

第4.5世代の代表機
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
F-15E
F-15E ストライクイーグル
F-15に大幅な再設計を施し、強力な対地攻撃能力を持たせた戦闘爆撃機。21世紀現在、運用中のマルチロール機の中では最大の爆弾搭載量を誇る。第4.5世代戦闘機の中でも一番早く実用化された。
F/A-18E/F スーパーホーネット
F/A-18の全面的な改良型であり、大幅な性能向上が図られている。なお、機体面積はより大型となった。
ロシアの旗 ロシア
Su-34
Su-34 "フルバック"
Su-27の戦闘爆撃機型。並列複座式のコクピットが特徴。F-15Eと対比させて、俗にストライクフランカーと呼ばれる事もある。
Su-35
推力偏向ノズルの採用により高い機動性を有するSu-27の発展型。導入が予定されている現在のSu-35はSu-35Sとも呼称され、カナード翼のある初代Su-35に対して2代目となる。
MiG-35 "ファルクラムF"
現在開発中のMiG-29から発展したマルチロール機。AESAレーダーや推力偏向ノズル、スーパークルーズなど先進技術が多用されており、機動性はF-22ラプターに匹敵すると言われている。ロシアでは当機及びSu-35については第4.5世代(第4+世代)を更に上回る機体として第4++世代の名称を使用している。
イギリスの旗 イギリス/ドイツの旗 ドイツ/スペインの旗 スペイン/イタリアの旗 イタリア
ユーロファイター タイフーン
ユーロファイター タイフーン
イギリス・ドイツ・イタリア・スペイン4カ国共同開発の機体。後述のラファールに似た機体で少し大きい。当初共同研究に加わっていたフランスの脱退などの政治的な理由から運用開始時期が当初の1990年代前半から2003年に延期された。 トランシェ(Tranche)と呼ばれる段階的開発が行われている。
フランスの旗 フランス
ダッソー ラファール
ミラージュ2000後継の双発デルタ翼機。フランスの単独開発故に資金面での問題を抱え、各国へ売り込みを模索するも、各種兵装や後継機等で有利な米国製戦闘機に対し劣勢を強いられている。
 スウェーデン
サーブ 39 グリペン
サーブ JAS39 グリペン
JA37ビゲンと同等以上の戦闘力を持つ多任務戦闘機。重くなり過ぎたビゲンの反省から、軽量化が図られている。
日本の旗 日本
三菱 F-2
F-1の後継機としてF-16C/D block40をベースに改良を行った機体。F-15J近代化改修機相当の空対空戦闘能力への改修も行われる。130機の導入予定だったが、主に緊縮予算の影響により削減され、配備数は94機にとどまった。
中華人民共和国の旗 中国
成都 J-10
中国においてSu-27に並ぶ空軍の主力戦闘機。一部は二次元推力偏向ノズル搭載のエンジンを使用している。イスラエルの試作戦闘機「ラビ」をベースにしていると推測されている。

第5世代 (2000年代-)

現在、次世代を担う戦闘機として高度なステルス性能を有するステルス機の研究・開発が各国で進められている。これは、相手から探知されなければ生存性が大幅に上昇し、且つ敵に気付かれずに先制攻撃を加えることが可能だからである。推力偏向ノズルなどを搭載し機動性を向上させることが第5世代の条件と言われることもあるが、これは第4世代以降で既に実用化されている上、F-35のように基本的に推力偏向ノズルを搭載しないものもあるため一概にそうであるとは言えない。[独自研究?]

第5世代の代表機
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
F-22
F-22 ラプター
高度なステルス性と機動性を併せ持つ、現在運用されている唯一の第5世代機。F-15の後継として開発され、現時点で他国戦闘機に比べ圧倒的な性能を持つが、冷戦終結により過剰性能で高価過ぎるとの理由から調達数が減少。
FB-22 ストライクラプター
F-22に強力な対地能力をつけた戦闘爆撃機。F-15Eの後継として、開発がなされているが、採用される確率は低いとされる。
YF-23
YF-22に敗れ不採用となったが、多くの点でYF-22より優れており、第5世代機に含められる。
F-35 ライトニングII
米英などで予算を共同出資。統合打撃戦闘機(JSF:Joint Strike Fighter)として、アメリカ空軍海軍海兵隊、及びイギリス海軍空軍で採用される予定。F-16やF/A-18、ハリアー,A-10などの後継として、世界中への輸出も期待されているが現在開発が遅れている。
ロシアの旗 ロシア
T-50
1.42
MFI計画に参加したミコヤンが開発した機体。デモ機1.44初飛行後は計画が進展していない。
S-32
MFI計画に参加したスホーイが開発した機体。同じくデモ機Su-47初飛行後は計画が進展していない。
T-50
現在開発中の機体。Su-47と1.44の技術が導入されると言われている。
中華人民共和国の旗 中国
J-20
中国が現在開発中とされる第5世代戦闘機。J-XXで開発された機体の一つである。

第6世代(2020年代 - )

現時点(2012年現在)で第6世代ジェット戦闘機に分類される(と、開発元が主張している)機体は、計画段階にある物しか存在しない。

ボーイング社2010年に、アメリカ海軍のF/A-18E/Fを代替する第6世代ジェット戦闘機としてF/A-XXを計画している事を発表した。F/A-XXは第5世代機より高いステルス性を持つ無尾翼双発のマルチロール機で、任務により有人運用と無人運用が選択可能であるという。部隊配備は2025年を予定している。

防衛省航空自衛隊F-2を代替する第6世代ジェット戦闘機として、i3 FIGHTERを構想中である。i3 FIGHTERの初飛行は2022年以降を予定している。

また、アメリカのベンチャー企業STAVATTI社は、F-16C及びF/A-18Cを代替する第6世代ジェット戦闘機として、SM-36 STALMAという軽戦闘機を開発中と発表していたが、2007年以降とされていたプロトタイプのロールアウトも行われておらず、STAVATTI社の公式サイトからもSM-36関連のページは削除されており、現在の開発状況は不明となっている。

無人の戦闘機

アメリカのアフガニスタン侵攻時に、安価な無人航空機が使用され、たとえ撃ち落とされても人命は失われず費用対効果的にも有効性が認められた。

当初の偵察任務のみならず、空対地ミサイルを搭載し、限定的な攻撃任務が可能な機種も登場した。しかしながら、遠隔操縦には常に妨害や通信途絶の可能性があり、また空対空戦闘の自律化、自動化にはまだ多大な困難がある。

戦闘機の価格

  • 日本の旗 日本
    • 零式艦上戦闘機:約5万円 1943年
    • F-15J/DJ:約120億円
    • F-2:119億2,233万円 2003年
  • アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
    • F/A-18E/F:4,095万ドル 2003年
    • F-16:1,880万ドル 1998年
    • F-15:2,800万ドル 2006年
    • F-15E:4,300万ドル 2007年
    • F-117:4,500万ドル 2006年
    • F-35:8,300万ドル 2008年
    • F-22:1億2,000万ドル 2006年

脚注

  1. ^ レーダーが敵より高性能で長探知距離・高分解能であれば、敵を先に発見・捕捉して先制攻撃をかける事ができる。また、ミサイルや機関砲の命中率を高めるためには、高性能な火器管制装置が必要である。
  2. ^ a b 『徹底図解 戦闘機のしくみ』 新星出版社 2008年10月5日 p.42

関連項目