ゴジラ (1984年の映画)

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ゴジラシリーズ > ゴジラ (1984年の映画)
ゴジラ
The Return of Godzilla[1][2]
監督 橋本幸治
脚本 永原秀一
原案 田中友幸
製作 田中友幸
出演者 小林桂樹
田中健
沢口靖子
宅麻伸
小沢栄太郎
内藤武敏
石坂浩二
武田鉄矢
夏木陽介
音楽 小六禮次郎
主題歌 「GODZILLA」
ザ・スター・シスターズ
撮影 原一民(本編)
山本武(特撮)
大根田俊光(特撮)
編集 黒岩義民
製作会社 東宝映画[2]
配給 東宝[2]
公開 日本の旗1984年12月15日
上映時間 103分[2]
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 17億円[3]
前作 メカゴジラの逆襲
次作 ゴジラvsビオランテ
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ゴジラ』(英語名:THE RETURN OF GODZILLA )は、1984年(昭和59年)12月15日に公開された日本映画で、ゴジラシリーズの第16作である[4]。カラー、ビスタビジョンサイズ[2]。上映時間は103分[2]。観客動員数は320万人。配給収入は17億円(1985年邦画第2位)[3]。ゴジラ誕生30周年記念映画でもある。

キャッチコピーは「いま 壮大なロマンの目覚め!」「30年間の沈黙を破って全世界待望の「ゴジラ」最新作!」「日本を呑むか、地球を壊すか!」「80メートル、5万トン、列島をひき裂く巨大怪獣」「もう誰も…ヤツを止められない!」「やっぱり奴は生きていた!

概要

本作は1975年公開の『メカゴジラの逆襲』以来9年ぶりに製作され[5]、1995年公開の『ゴジラvsデストロイア』まで続く新しいゴジラシリーズのスタート作品ともなった。

劇中では、「1954年のゴジラ出現から30年ぶりにゴジラが現れた」という設定であり、俗に昭和ゴジラシリーズと呼ばれるシリーズ第2作から第15作とはストーリーがつながっていない。そのため、本作以降のゴジラは再び人類の敵として描かれている。

次作『ゴジラvsビオランテ』以降は平成期の作品であるため、本作は昭和期に公開された最後のゴジラ映画である。

ビスタサイズ、ドルビーステレオ音響がゴジラ映画としては初めて使用されている。

ストーリー

伊豆諸島の大黒島噴火から3か月後、付近をヨットで航行していた新聞記者の牧吾郎は、行方不明となっていた漁船「第五八幡丸」を発見し、船内でミイラ化した船員の死体と、体長1メートルほどもある巨大なフナムシに遭遇する。牧に救出された船の唯一の生存者である奥村宏は、遭難の際に怪光を発して崩壊する大黒島の中から咆哮と共に現れた巨大生物を見たと証言する。奥村の恩師である林田信は、巨大生物が大黒島噴火で目覚めたゴジラであることを確信した。

謎の巨大生物の特ダネをものにしようとしていた牧はパニックを恐れた政府の報道管制によって出鼻をくじかれるが、代わりに林田との独占的な接触が許された。林田の研究室で手伝いをしていた奥村の妹・尚子に好意を感じた牧は、奥村がすでに救助されていながらゴジラの情報隠蔽のために軟禁されている事実を流すが、病院での兄妹の再会を「取材」してしまったため、尚子の反感を買う。

その頃、日本近海を航行していたソ連原子力潜水艦が撃沈されるという事件が発生する。アメリカは関与を否定したが、ソ連はアメリカの攻撃と断定し、両国軍は臨戦態勢に突入する。東西関係に緊張が走る中、自衛隊P-3C哨戒機が捉えていたソ連原潜の撃沈された際の海面写真を分析した結果、原潜の撃沈はゴジラの襲撃によることが判明する。このことを受けた日本政府は東西陣営の衝突を防ぐため、ついにゴジラ報道の全面解禁に踏み切る。

その直後、静岡県の井浜原子力発電所にゴジラが出現する。ゴジラはヘリコプターで現地へ赴いていた林田の目の前で原発施設を破壊し、原子炉炉心を取り出して放射線をすべて吸収すると、頭上を飛んでいた渡り鳥に吸い寄せられるように海へ去っていく。林田は渡り鳥の発する超音波にゴジラの体内の磁性体が反応して帰巣本能を刺激されたと考え、合成した超音波によってゴジラを三原山へ誘導した後に人工的に噴火させた火口へ落とすという作戦を日本政府に提案する。

一方、アメリカとソ連は日本政府に対し、ゴジラへの戦術核兵器の使用を強く要請する。特にソ連は原潜撃沈の報復を主張し、アメリカもソ連に同調していたものの、三田村首相は非核三原則の立場からそれをかたくなに拒み続ける。首相の尽力で米ソによる対ゴジラ戦術核攻撃の危機は回避されるが、日増しにゴジラ東京上陸の可能性が強まる中、政府も新兵器の首都防衛艦スーパーXをはじめとする対ゴジラ兵器や、林田の提案したゴジラ誘導作戦の準備にかかっていた。

やがて自衛隊の厳重な警戒下、ついにゴジラが東京港へ出現する。その戦闘の最中、東京湾に停泊していたソ連の貨物船に搭載されていた地上攻撃用衛星の核ミサイル指令機器がゴジラの攻撃によって誤作動し、核ミサイル発射のカウントダウンが始まっていた。

30年前の悪夢をたどるかのごとく、ゴジラは街を破壊していく。新宿の研究所でゴジラを誘導する超音波発生装置をようやく完成させ、伊豆大島へ向かおうとした林田らは、ゴジラと自衛隊の戦闘の巻き添えによってビル内に閉じ込められてしまう。

そして、ついに出撃してゴジラの放射熱線に耐えたスーパーXは、核反応を抑制するカドミウム弾を使用してゴジラを新宿で昏倒させる。林田もこの隙に伊豆大島へたどり着ければと安堵するが、前述の指令機器の誤作動によってカウントダウンの進んでいたソ連の衛星が、ゴジラに向けて核ミサイルを発射してしまう。ソ連から自国の能力では対処不可能との連絡を受けた日本政府は、アメリカに核ミサイルの緊急迎撃を要請する。

新宿では奥村が自衛隊のヘリコプターで林田らを迎えに来るが、不安定な新宿の高層ビル街の乱気流により、林田と超音波発信装置を引き上げるのがやっとだった。残された牧と尚子は目の前で眠るゴジラと、迫り来る核ミサイルの恐怖に戦慄する。

その頃、アメリカ軍の迎撃ミサイルがソ連の核ミサイルの撃墜に成功する。新宿都心での核爆発という最悪のシナリオは回避されたが、核爆発自体は回避できず、成層圏での高高度核爆発による電磁パルスは東京に大規模な停電を引き起こす。ようやく停電の混乱から復旧しようかと思われたそのとき、高濃度の電磁雲によって発生した落雷のショックでゴジラが覚醒する。再びスーパーXが応戦するが、もはや通常兵器でしか攻撃の手段がないことから太刀打ちできず、撃墜されてしまう。辺りが炎の海と化す中、戦いの最中に破壊されたビルからの脱出を図っていた牧と尚子にゴジラが迫ったところで三原山の超音波発生装置が起動する。ゴジラは東京を後にして三原山へ向かい、人工的に噴火させられた火口へ咆哮を上げながら落下する。林田が噴煙を上げる三原山を沈黙したまま見つめる中、物語は幕を下ろす。

登場怪獣

ゴジラ

ショッキラス

諸元
ショッキラス
GIANT SEA LOUSE[6]
別名 巨大フナムシ[6][7]
寄生獣[8]
身長 1m[8][6][9][7]
体重 45kg[8][9][7]
出身地 伊豆諸島・大黒島[7]
出現地 第御八幡丸船室[9]

ゴジラに寄生していたフナムシがゴジラの放射性物質を浴び続けたことにより、巨大化した怪獣[8][6][9][7]

背面はフナムシのそれ以上に盛り上がって硬化しているうえ、モリマキリで突かれた程度では死なない強靭な生命力に、尾部を地面に打ち付けた反動で人間の肩の高さ程度まで跳躍できる体力を併せ持つ[6]。また、前面の歩脚もフナムシのそれ以上に大型化しており、牙状となっている。這いずり回る際に粘液を垂れ流すことから、作中では漁船「第五八幡丸」内を探索していた牧吾郎が粘液に偶然触れ、あわててその場にあったタオルで拭うシーンがある。

劇中やパンフレットでも怪獣名は登場せず、単に「フナムシの化け物」か「巨大なフナムシ」としか呼称されず、後付けで命名された[要出典]

大黒島近海を航行中の第五八幡丸の乗組員たちを襲い、彼らのモリによる反撃をものともせず、体液を吸い尽くしてミイラ化させていた[注釈 1]。その脅威から船長によって唯一逃がされてロッカーに潜伏していた奥村宏を発見した牧に襲いかかり、体勢を崩した彼に噛みつこうと迫るが、奥村の鉈による一撃を背面に受けて死亡する。

  • デザインは仁科秀昭、造形は鈴木利幸。
  • 映画本編では1匹しか登場していないが、脚本では複数(4匹 - 5匹)現れたことが奥村によって語られている[10]。アメリカ公開版の新撮シーンでは、日本の海岸へショッキラスの死体が漂着したことがペンタゴンの軍人によって語られている。また、初期稿とノベライズには群れで井浜原発付近の漁村を襲撃するシーンがあった。
  • 準備稿まではゴジラに寄生する巨大なダニであった[9]。ゴジラの寄生生物という案は、1955年に海上日出男によって書かれたシナリオ『ゴジラの花嫁?』に「ゴジラやアンギラスに寄生する巨大なノミ」として登場した[11]以降、1970年代後半に検討された企画『ゴジラの復活』から登場し続けている[9]

登場人物

三田村 清輝
内閣総理大臣。決断力に優れ、思慮深い人物。総理の任期を終えようとしていた矢先に突如ゴジラが出現し、パニックを避けるためにゴジラの存在を隠そうとする。しかし、ゴジラによるソ連原子力潜水艦の襲撃を知ると戦争を避けるために公表し、その存在が認められたゴジラに対して非常緊急対策本部を立ち上げ、最高責任者となる。アメリカとソ連がゴジラ抹殺のために核兵器の使用を要求した際、非核三原則を根拠に日本に二度と核は落とさせないと断固拒否する。
三原山の火口へ落下するゴジラを見届けた際には涙を流している。
牧 吾郎
東都日報の新聞記者。大島通信局に左遷中の身であったが、ゴジラ取材のため本社に復帰する。休暇中、ヨットに乗っていたところで遭難した第五八幡丸を発見し、唯一人の生存者である奥村を救ったことから今回の一件に関わる。
得た情報は何でも記事にしたがる強引な姿勢を持ち(これが原因で左遷される)、奥村の救出を記事にしようとしてデスク(上層部)に停められた時には激しく抗議し(新聞社上層部と政府の取引で取材の続行が可能になったが、そこまで考えが至らなかった)、さらにゴジラ出現の記事と共に奥村兄妹再会の写真まで載せたことで奥村兄妹から反感を買ってしまう(小説版では、同業者のある行動を自分とダブらせ、この件を深く反省する)。その一方で林田達の研究にも協力し、その後はゴジラの猛威に脅える尚子を守る。
奥村 尚子
大学生。林田のゼミを受けている関係から、彼の研究所で資料整理等のアルバイトをしている。
宏が唯一の親族であるため、行方不明と報道されていた兄が生きていると知らされると、居場所の病院へ乱入して再会を喜び合う。その際の姿を撮影されて後日記事にされたことで一度は牧に失望するが、最終的には彼に救われる。
奥村 宏
尚子の兄。ショッキラスに襲われた第五八幡丸唯一の生存者(船長がロッカーに押し込んでくれたため難を逃れた)。明法大学理学部3年生で、自分達兄妹の生活費や学費のために留年覚悟で漁船のアルバイトを続けるなど、妹想いな青年。その一方、自分達をひどい目に合わせたゴジラに対しては記者会見で「絶対に許せない」と発言し、井浜原発襲撃時には「化物」と呼ぶなど怒りをあらわにする。
ゴジラとの遭遇後に日本政府の手で関東第二警察病院に軟禁させられていたが、退院後には林田に協力して南教授の三原山調査に同行する。その後も三原山での超音波発信機の建設に携わり、最後は自らゴジラを火口へ落とすための人工爆破スイッチを押す。
神崎
大蔵大臣。三田村の側近の中では長老のような存在だが、性格はいい加減。
林田のゴジラ三原山誘導作戦には反対のような立場を示したうえ、米ソとの会談の事前に行われた会議でも「核兵器使用は止むを得ないのでは」と軽率に発言してしまう(ただし、「ゴジラ東京上陸に伴う経済被害に比べれば核使用のほうがまし」という理に適った考えに基づく発言でもある)。
武上 弘隆
内閣官房長官。三田村の側近のような人物で、「武上くん」と呼ばれている。ゴジラ存在の確認やゴジラ東京湾出現の発表会見を行っている。
磯村
自治大臣。閣僚にもかかわらずスーパーXの存在を知らなかった。
米ソの核攻撃に反対する笠岡に対し、「やってみなきゃわからん」と無責任な発言をしている。ソ連の核ミサイルが誤ってゴジラに発射されてしまった際にも「すべての東京都民を避難させるのは不可能」などと発言し、三田村に叱責される。
この役は当初、田崎潤が演じる予定であった[要出典]
笠岡
通産大臣。対ゴジラ攻撃のための核兵器使用に反対し、神崎と軽くもめる。
江守 誠一
外務大臣。ソ連原潜の沈没や、ソ連の衛星から核ミサイルが誤射されてしまったことをいち早く三田村に報告する。また、米ソの核兵器使用提案を拒否した場合に日本が外交的に孤立する危険性を指摘する。
毛利
防衛庁長官。首都防衛戦闘機・スーパーXの開発を極秘に進めていた。
加倉井
自衛隊統合幕僚会議議長。自衛隊によるゴジラ迎撃作戦を立案した他、米ソ特使が強硬に戦術核兵器の使用を要求する本当の理由を指摘する。
この役は当初、三橋達也が演じる予定であった[要出典]
大河内
国土庁長官。自衛隊の現在の戦力でゴジラに太刀打ちできるのか加倉井に疑問を呈する。
日高
環境庁長官。三原山爆破時の住民への影響を危惧する。
梶田
科学技術庁長官。戦術核兵器の威力や、ソ連の核ミサイル爆発後に発生した電磁パルスについて三田村に解説する。
地質学者。林田の昔からの友人で、三原山の調査に赴き、後に林田と共に三原山を人工的に爆発させてゴジラを封印する作戦を、政府に提案する。
辺見 昇
内閣情報調査室室長。林田と奥村の面会に立ち会った後、林田から大黒島からゴジラが出現したという仮説を聞く。
秋山
航空幕僚監部スーパーX司令官。
自ら複数のパイロットと共にスーパーXに搭乗し、対ゴジラ戦の指揮を執る。最初はカドミウム弾でゴジラを眠らせることに成功するが、電磁パルスで目覚めたゴジラに通常兵器は歯が立たずスーパーXは撃破され墜落、ゴジラが倒した新宿住友ビルディングの下敷きにされてしまう。その際、秋山以下搭乗員は墜落前に全員死亡している。
ローゼンバーグ
アメリカ特使。三田村にゴジラ対策のための核兵器使用を主張する。原則論が通る状況ではないと三田村を説得するが、持論を曲げない彼に頭を抱える。
チェフスキー
ソ連特使。日本の次にゴジラが襲撃するのはウラジオストクだと、ゴジラに対する戦術核兵器の使用を三田村に強く主張する。非核三原則を日本のエゴイズムだと批判する。
カシリン
ソ連政治工作員の大佐。核兵器使用中止の命令に従い、車(三菱・デボネア)で東京湾内に停泊中のソ連貨物船「バラシェーボ号」に向かい、発射装置を停止する。しかし、その数日、貨物船内でゴジラの襲撃に遭い、そのショックで再起動した装置を止めようとするも計器の爆発に巻き込まれて死亡する。小説版では、子供が生まれたばかりであった。
伍堂
東都日報編集長。牧に第五八幡丸遭難を公表できない理由がゴジラ出現にあることを伝える。一方で、政府と取引をして取材続行の許可を取り、牧にそれを命じる強かさもある。
当初、林田役を演じる予定だった平田昭彦が体調不良を理由に林田役を降板した際、「せめてワンカットでも」と出演を熱望して演じる予定であったが、平田は撮影前に死去した。
上条
東都日報のカメラマン。牧の同僚で、軽い感じの性格の男性。
奥村兄妹との再会シーンを撮った張本人であり、ゴジラによるソ連原子力潜水艦の襲撃を公表する場にも登場している。
森本毅郎
本人役。テレビ番組のニュースキャスター。ソ連とアメリカの衝突の際と避難情報の時に登場。
出演した森本は、東宝特撮では数少ない実名での出演者である。
浮浪者
新宿を根城にしていたホームレス。ほぼ無人となった超高層ビルのレストランで食事を楽しもうとしていたところでゴジラに遭遇し、腰を抜かす。「でっかい顔して歩くんじゃねぇ、この田舎もんが!」と捨て台詞を吐いた後、同ビルを脱出しようとする牧と尚子を救う。その後は1人で逃げるが、追い詰められて転んで頭を打ち、ゴジラに毒づきつつ失神する。
無人のレストランに侵入してごちそうにありつくシーンの台詞「酒はカミュでないと」には、「カミュ=神(=God=Godzilla)」という暗喩が込められている。中野昭慶はDVDのオーディオコメンタリーで「どこかに『神』という台詞を入れたかった」と語っている。このシーンの直後にゴジラと遭遇し、驚きながらも毒づく浮浪者の台詞は、福岡出身の武田が上京した際、都会人に罵られたという経験に基づく完全なアドリブである(シナリオではこのシーンの台詞は「!」としか書かれていない)。
林田 信
生物物理学者。奥村兄妹の大学の恩師であり、「林田生物物理研究所」を運営している。ゴジラ研究の第一人者であり、その発言や見解で政府を動かすほどの立場である。
初代ゴジラの襲撃によって両親を失った憎悪からゴジラ研究を始めたが、その過程の末、ゴジラに対しては愛着に近い複雑な感情を抱いている。「ゴジラは人類滅亡の警告者である」という思想を持ち、今回出現したゴジラに対しても、偶然発見した帰巣本能を利用した超音波で三原山へ誘導し、マグマの中へ封印する(林田曰く「生まれ故郷に帰す」)という計画を政府に提案すると、牧達の協力を得て成功させる。
監督の橋本幸治は当初、林田教授こそこのドラマの真の主役と考え、ゴジラシリーズにゆかりのある平田昭彦を起用する予定だったが、平田の体調が思わしくなかったために起用を断念した。

登場兵器

架空

スーパーX
83式600mm地対地ミサイル車
諸元
ハイパワーレーザービーム車
形式番号 N1-00[9]
全高 5.34m[12]
全長 20m[12][9](装置車、牽引車含)
全幅 3.2m[12]
重量 120t
最高速度 時速48km[9]
ハイパワーレーザービーム車
所属は陸上自衛隊第1師団第1普通科連隊特車88部隊(練馬特科[9]
元々はクレーン車をベースにした航空機ミサイル迎撃用対空兵器であり、ゴジラに有効とは言えなかったが、2両が二手に分かれ、ゴジラを新宿高層ビル群へ誘き出す囮としての役割を十分に果たした。構成はレーザー砲、エネルギーパックを搭載した装置車と、三菱重工製クレーン車用シャーシを改造し、管制レーダーおよびサーチライトを搭載した牽引車によって構成される。また、牽引車にはパトライトが装備されており、後の92式メーサー戦車に受け継がれている。
  • 東宝特撮映画のレーザー、メーサー光線には珍しく鮮やかな深紅の光線である。次作『ゴジラvsビオランテ』の冒頭での映像流用部分では発射音が全く違う。
  • 3と2尺ほどのミニチュアが作られた。アームの動作はピアノ線による操演。
  • 武装
  • 超純度(高純度の誤植?)ヘリウムネオンガス・レーザー(射程50キロ)
  • 照準装置:リバースカセグレン系光学式(このため照準の有効範囲が射程になる)
  • 冷却装置:ヘリウムガス/ジェットパック空冷併用
F-1CCV
航空自衛隊支援戦闘機。主翼前方と胴体下部にカナード翼が装備されている。晴海埠頭に現れたゴジラにミサイルおよびロケット弾による攻撃を行うが、効果がなく次々と撃墜される。
  • 架空機だが、実在するF-1支援戦闘機の発展型という設定で、実際に研究として作られたT-2CCVの特徴をF-1に採り入れたデザインとなっている。ミサイルの発射機能のあるものや吊り用のミニチュアに加え、操縦席の実物大セットも作られた。
移動指揮車[9]
緊急対策本部と末端の部隊の中継を担う。荷台内部に指揮通信設備を有しており、少なくとも5名のオペレーターが搭乗している。また、荷台側面には「MC-310」という番号が書かれており、運転席上部にはパトランプを有している。劇中では晴海埠頭や新宿に展開した部隊の前線指揮を行う。
超音波発信機[9]
帰巣本能を持つゴジラの磁性体を利用し、三原山火口に誘導するため自衛隊によって三原山山頂に設置された無人の超短波発信用パラボラアンテナ[9]。コントロールは三原山外輪山基地に設置された臨時基地からリモコン操作される。林田が完成させた発信機のコアを搭載して起動させたあと、ゴジラを新宿から三原山に誘導する。
諸元
ソ連ミサイル原子力潜水艦
全長 183m[13]
全幅 22.9m[13]
排水量 3万t[13]
ソ連ミサイル原子力潜水艦
ソ連海軍の最新鋭原子力潜水艦で、デルタIII型原子力潜水艦艦首を延長したような艦型を持つ。武装として、艦首に魚雷発射管を4門、艦橋前部にVLSを18セル装備。青ヶ島の北西50キロメートル・深度300メートルの海中を航行中にゴジラと遭遇し、1番・2番魚雷による攻撃と急速潜航によってゴジラを回避しようとしたが、魚雷も急速潜航もゴジラに対しては効果がなく、撃沈される。
アメリカ地上攻撃用核衛星
衛星軌道上に静止しているアメリカ核ミサイル衛星。「HYOUE-01」という名称らしきマーキングが施されている。4発の部分軌道戦略核ミサイルを搭載しているが、ワンシーンのみの登場で、本衛星から核ミサイルは発射されなかった。
  • 核ミサイルを搭載した軍事衛星というものは実在せず、架空の存在である。デザインベースとなったのは『AKIRA』に登場したレーザー衛星「SOL」[15]
ソ連地上攻撃用核衛星
衛星軌道上に静止しているソ連の大型人工衛星。大型の核ミサイルを1発のみ搭載しており、バラシェーボ号船内に備えてあるコントロール装置で誘導管制される。バラシェーボ号内で発生した事故のためにコントロール装置が誤作動を起こしてしまい、核ミサイルはゴジラめがけて発射されてしまう。
バラシェーボ号
ソ連海軍が保有している特務貨物船。船体は通常の貨物船と同様だが、船内に地上攻撃用核衛星のコントロール装置を、ブリッジ上部に衛星の管制に用いると思われる大型のパラボラアンテナを有している。船名のロシア語表記は「БАЛАШЕВО」。ゴジラへの核攻撃を行うために東京湾内に停泊しており、一度はコントロール装置を停止したが、ゴジラの襲来によって転覆し、コントロール装置が誤作動してしまう。
アメリカ迎撃ミサイル
日本国政府の要請を受け、アメリカが発射した弾道弾迎撃ミサイル沖縄在日米軍嘉手納基地から打ち上げられ、5分後に東京上空2万メートルの成層圏でソ連の核ミサイルに命中した。
  • 「弾道弾迎撃ミサイル」という兵器自体は実在するが、現実の嘉手納基地にはミサイルおよびそれを運用する部隊も、ミサイルを発射する設備も存在しない。発射シーンは映画『ノストラダムスの大予言』からの流用である。アメリカ版では、ペンタゴンからの発射指示シーンが追加されている。

実在

設定

大黒島
伊豆諸島南端に存在する架空の島。火山噴火から3か月後、激しい地殻変動によって島の地層に眠っていたゴジラが目覚め、島の岩肌が盛り上がった。島の規模や有人島か無人島かなど、具体的な全容は不明。
東都日報
東京都内に本社を持つ新聞社で、牧が勤めている。新橋駅前ビル1号館がロケ利用されている。物語後半にはこの新聞社所有の取材ヘリが登場し、牧を林田生物物理研究所の入居しているビルへ送り届けた後、首相官邸の真上を通過する前のゴジラに遭遇するも襲われることはなく、ラストでは牧と尚子を乗せて三原山上空を飛行している。規模や従業員数、資本金など具体的な全容は不明。
大島通信所
物語序盤に登場する大島における牧の左遷先。
林田生物物理研究所
林田が運営する、新宿副都心のとある超高層ビルの20階に入居している研究所。林田以外にも、複数の研究員やアルバイトの尚子が勤めている。牧が初めて訪問した際には、林田がショウジョウバエによる遺伝子の組み換え実験を行っていた。ここで、超音波発生装置の開発・テストが行われる。
ゴジラ非常緊急対策本部
首相官邸地下に設置されている核戦争や災害対策のための設備を、三田村が中心となってゴジラ対策に応用した総司令部。日本政府の各大臣や防衛庁長官、統合幕僚会議議長(いずれも当時の名称)らが参加し、ゴジラ対策のための会議や指揮を執り行う。
ゴジラは永田町を進行する際にここの真上を通過したが、その際には振動によって照明が一瞬消えかけただけで、直接的な被害は出ずに済んでいる。

キャスト

※クレジット順。役名表記は『東宝SF特撮映画シリーズVOL.1 ゴジラ』に基づく[17]

以下ノンクレジット出演者

スタッフ

音楽

主題歌
複数の表記があり、正式名称は不明。
ゴジラシリーズで唯一の英詞によるエンディングテーマ。内容は「My old friend(ゴジラ)」との別れを悲しみながらも、いつか帰ってくることを信じて待ち続けるというものである。
ザ・スター・シスターズはオランダ出身の女性歌手3人組で、劇場パンフレットによればゴジラファンだという。
キングレコードより発売された映画のサウンドトラック(LP:発売日不明、CD:1989年12月21日販売)には、「新倉芳美ジャッキー」によるカバーバージョンが収録されている(時間は3分53秒)。
なお、これとは別に小六が作曲したアウトテイク版エンディングテーマがサウンドトラックに収録されている。
挿入歌
牧が第五八幡丸を発見する場面でラジオから流れている。

本編BGMはすべて小六禮次郎が作曲。予告編では伊福部昭の曲が使われている。

作品解説

1978年2月4日に田中友幸主宰の「ゴジラ復活会議」で石上三登志白井佳夫外山朗西沢正史角田健一郎坂野義光らによって検討された結果、作品担当は所健二中河原哲治に受け継がれ、関沢新一眉村卓光瀬龍らによっていくつもの脚本案が発注されたが、目処は立たなかった。1978年6月から1980年秋にかけては中西隆三村尾昭によって脚本が書かれたが、採用には至っていない。

1983年8月に新宿ミラノ座で行なわれた「ゴジラ復活祭1983」[注釈 2]が好成績を挙げたことで、東宝社内にくすぶっていた再製作気運が盛り上がった後、同年12月26日に「ゴジラ復活準備委員会(G委員会)」が東宝社内に発足したことで、新作製作への第一歩を踏み出した。G委員会のメンバーには、委員長・堀内實三取締役映画営業担当兼映画調整部長(1984年6月から映画調整部長兼宣伝部長)、副委員長・田中友幸、筆頭幹事・石田敏彦取締役映画興行担当ら当時の東宝の首脳陣が揃い、東宝全社をあげての大プロジェクトに発展していった。

原点回帰を目指した「怖いゴジラ[5]」や「ゴジラは核エネルギーを吸収する」という設定のもと、ゴジラが静岡県内に存在する架空の「井浜原子力発電所」[注釈 3]を襲うシーンが描かれる。ゴジラの造形は高層化の著しい新宿のビル群に合わせ、体長も50メートルから80メートルへ巨大化された[2]。顔も凶悪な初代をイメージしたものになり、鳴き声も前シリーズで甲高くなっていたものを、初代の低く重厚なものに、さらに猛獣のようなうなり声を追加している。

永原秀一は1983年2月17日に『ゴジラの復活』のタイトルで検討稿を完成させ[9]、それには村尾昭の最終稿にあった吸血ダニやトライデント型潜水艦ジャイアントバスがそれぞれ登場している。しかし、同年4月2日に完成した準備稿では吸血ダニは吸血フナムシに変更され、ジャイアントバスは取り消された。その後、同年5月30日に決定稿が完成し、7月16日に改討稿が完成した。

本作では怪獣映画という路線から一線を画し、1973年の映画『日本沈没』や1980年の『地震列島』の流れをくむ災害パニック映画として描かれている[4][7]。「現実にゴジラが現れた場合の対応」をリアルに表現するため、政府や自然災害など、各方面の専門家を特別スタッフとして招いている。また、ストーリーには冷戦末期である当時の国際情勢を反映し、日本近海におけるソ連原子力潜水艦の脅威やアメリカの戦略防衛構想などの影響、相互確証破壊の概念への言及、さらには全面核戦争への懸念および市民レベルでの核攻撃時の対処法などが散見される。

特撮面では井浜原子力発電所(浜岡原発をモデルとした架空の建物)や東京上陸後にゴジラが通過する晴海通り(有楽町の数寄屋橋交差点周辺一帯)、そして新宿副都心のビル群が精巧に再現されるなど、それまでのお正月映画では不可能な潤沢な予算と期間ならではの豪華なセットが組まれた。そのセット費用は井浜原子力発電所が8000万円、製作期間に2か月をかけた新宿副都心の高層ビルやその他のビル数130本、電球数200個の合計で1億5000万円[14]。有楽町セットは2つのセットより精巧に再現されており、特技監督の中野昭慶は効果的に壊れるミニチュアの素材選びにもこだわっていた[14]

予告編やテレビCMなどの映像は川北紘一が担当している。

1985年の正月映画として1984年末に公開されたため、制作年や公開年の表示は1985年とされることもある。

スタッフ

脚本には田中文雄の推薦で『蘇える金狼』や『惑星大戦争』の永原秀一が、監督には『さよならジュピター』の橋本幸治が起用された[4]。また、本編スタッフも『さよならジュピター』の面々に1954年版『ゴジラ』と黒澤組の面々で固められ、特撮スタッフも中野昭慶をはじめとするスタッフで固められた。

音楽には伊福部昭の起用も考慮されたが、伊福部の体調が悪かったため、オーディションで選ばれた小六禮次郎に決定した。歴代シリーズでも数少ない、伊福部の音楽がまったく使われない作品となった。

配役

キャスティングには田中健沢口靖子宅麻伸ら当時の若手を中心に、『三大怪獣 地球最大の決戦』以来20年ぶりに夏木陽介が東宝特撮映画に出演し、3人の脇を固める。ゴジラ出現に苦悩する首相には、監督の橋本と親交がある小林桂樹が起用された。

その他、東宝特撮映画の常連の小泉博田島義文をはじめ、『白い巨塔』や市川崑監督作品の常連である小沢栄太郎金子信雄加藤武佐藤慶石坂浩二、『ナショナル劇場』の常連である内藤武敏鈴木瑞穂織本順吉御木本伸介森幹太山本清村井国夫橋本功潮哲也江幡高志らが閣僚や学者役などで特別出演している。

カメオ出演

石坂浩二は、井浜原発で最初にゴジラを目撃する男性職員を演じている。当初は出演する予定ではなかったが、石坂が監督の橋本に「金(ギャラ)なんかいらない、ワンカットでも出ることに意義があるんだ」と直談判し、端役での出演が決まった。

ゴジラに持ち上げられる新幹線の乗客の1人を演じたかまやつひろしは、当時放映されていたテレビドラマ『ビートたけしの学問ノススメ』の釜田先生の衣装とアクションで登場し、他の乗客が悲鳴をあげるなか、唯一微笑んでいる。当時10代だったなべやかんも乗客の1人として出演している。

ゴジラから逃げ惑うエキストラとして、鳥山明さくまあきら堀井雄二が参加している。しかし、撮影の際にさくまが大笑いしながら走ったため、大写しにならなかった。写真ポスターにおける群衆の最前列の中央には、鳥山が写っている[19]

演出

劇中にはゴジラが有楽町を通過する際に有楽町マリオン新幹線を破壊するシーンが存在するが、これはシリーズ第1作『ゴジラ』でゴジラが日本劇場[注釈 4]を破壊するシーンや列車を襲うシーンとの対比となっている[14]。また、ゴジラが住友ビルを倒す展開は撮影中にスタッフの間から出たアイデアによるもので、本当に倒せるかを工学博士の大崎順彦に検討してもらってOKが出たため、実現した[注釈 5]

首相役の小林桂樹が三原山火口に落下していくゴジラを見ながら涙を流すシーンがあるが、これは脚本に無く小林自身のアドリブである。涙を流さないカットも撮影されたが、監督の橋本はのちに情感に負けて涙を流すテイクを採用したことを反省したという。後年に出版された著作でこのシーンについて尋ねられた特技監督の中野は、「涙を流さない方が強かったと思う」とコメントしている[22]

映像ソフト化

  • DVDは2002年4月25日発売[23]。オーディオコメンタリーは特技監督の中野昭慶[23]
    • 2008年4月25日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIV」に収録されており、単品版も同時発売。
    • 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
    • 2014年5月14日には「ゴジラ60周年記念版」として期間限定の廉価版が発売。
    • 2016年6月15日、東宝DVD名作セレクション版発売。
  • Blu-ray Discは2009年11月20日発売。

受賞歴

コミカライズ

  • 別冊コロコロコミックスペシャル 1985年2(2月)号掲載
脚本:永原秀一、作画:岩田和久『ゴジラ』小学館てんとう虫コミックス、1985年。ISBN 4-09-149011-5 

ノベライズ

大まかなストーリーは映画に準じているが、前述のショッキラスによる漁村襲撃シーンなど、原案や脚本段階のみに存在したシーンが取り入れられている。映画を補完する描写も存在しており、牧の左遷の理由やゴジラ上陸時に新幹線が運行していた理由[注釈 6]などが語られている。

海外版

ゴジラ1985
GODZILLA 1985
監督 R・J・カイザー
脚本 リサ・トメイ
製作 トニー・ランデル
出演者 レイモンド・バー
ウォーレン・J・ケマーリング
ジェームズ・ヘス
トラヴィス・スウォーズ
音楽 クリストファー・ヤング
撮影 スティーブ・ドゥビン
編集 スペンス・マイケル
配給 ニューワールド・ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗1985年8月23日
上映時間 88分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
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ゴジラ1985』(英語名:GODZILLA 1985)は、1985年(昭和60年)8月23日アメリカ合衆国で公開された「ゴジラ」(1984年版)の編集版。

解説

アメリカで撮影された10分程度のシーンを加えて公開された[1][24]。本作は、かつて『怪獣王ゴジラ』に登場していた新聞記者スティーブ・マーティン(演:レイモンド・バー)が再登場する[1][24][注釈 7]。30年前にゴジラと遭遇した経緯から、スティーブがアメリカ国防総省へ招かれて再びゴジラの東京襲撃を目撃する場面が追加撮影・再編集され、いくつかの場面や効果音が短縮変更された[24]。その後、日本でも字幕付きのビデオが発売された。

原典ではソ連軍人が誤作動した核ミサイル制御装置を止めようとして殉職するが、海外版では傷つきながらも最後の力を振り絞って核ミサイルの発射ボタンを押すという正反対の行動へ改変されている。また、エンディングは「ゴジラ・愛のテーマ」ではなく、劇中音楽3曲(スーパーXのテーマ)と、アメリカで作曲されたと思われる音楽が組み合わされたものとなっている。

ドクター・ペッパーがスポンサーとなっており、当時アメリカではゴジラが登場するテレビCMが放送され、翌年に本作品がテレビ放送された際にもCMが制作され放送された[24]。興行的に成功するも、批評家の反応は低かった[24]

アメリカ以外では、『The Return of Godzilla』のタイトルでオリジナルの吹替版が公開された[1]

登場人物

スティーブ・マーチン

キャスト

スタッフ

  • 製作:トニー・ランデル
  • 脚本:リサ・トメイ、トニー・ランデル(ノンクレジット)[25]
  • 音楽:クリストファー・ヤング
  • 撮影:スティーブ・ドゥビン
  • 編集:スペンス・マイケル
  • チーフ助監督:リー・バーガー
  • 合成作画:ブレット・ミクソン
  • 監督:R・J・カイザー[24]
  • 配給:ニューワールド・ピクチャーズ[24]

ノミネート歴

その他

ザ・ゴジラ・スペシャル
ジャンル バラエティ番組/特別番組
出演者 武田鉄矢
沢口靖子
小林佳樹
田中健
夏木陽介
島田紳助
片岡鶴太郎
糸井重里
小倉智昭
製作
制作 TBS
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1984年12月14日
放送時間金曜日19:20 - 20:54
放送分94分

特記事項:
19:20の『野生の王国』(MBS制作)と20:00のドラマ東中学3年5組』は休止(『東中学』は翌週12月21日に最終回を放送)。
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公開前日の1984年12月14日には、TBSテレビで公開記念特別番組『ザ・ゴジラ・スペシャル』が放送された。映画に出演した武田鉄矢沢口靖子が司会を務め、同じく映画に出演した小林桂樹夏木陽介、制作スタッフがゲスト出演した。内容は映画制作の舞台裏密着に加え、ゴジラに関するクイズに当時放送中だったTBS番組の出演者が挑戦したり、ゴジラによるドッキリや、タレントがゴジラに関するコントを行なうなど、バラエティ色豊かな2時間のものであった。

2008年日本映画専門チャンネルで放送された特別番組『ゴジラが来る!』では、本作で昭和シリーズ(第2作『ゴジラの逆襲』から第15作『メカゴジラの逆襲』まで)の存在が否定されたことを(ジョークの一種として)ジョージ・オーウェルの小説『1984年』(小説の舞台でもあり、本作公開の年でもある)になぞらえ、「管理社会が情報を抹消した」などと紹介している。

公開から2年後の1986年に、三原山が噴火した。本作のラストシーンは、「ゴジラが三原山の火口に誘導されて落とされ、消息不明になる」というものだったため、「噴火はゴジラのたたりなのでは?」とささやかれた。また、噴火と共に「ゴジラ岩」[28]が形成され、三原山の名物スポットになった。なお、本作の地質学者の南による台詞に「マグマが外輪山を越えてふもとへ流れ出ることは無い」というものがあるが、現実の噴火では溶岩流出は外輪山の外側でも発生した。

脚注

注釈

  1. ^ 現実のフナムシは獲物の身体を喰らう雑食性であり、体液を吸う習性はない。
  2. ^ 『ゴジラ1983 復活フェスティバル』1983年8月6日 - 8月26日、名画座ミラノ(後のシネマミラノ→新宿ミラノ3)
  3. ^ モデルは同県内に存在する浜岡原子力発電所
  4. ^ 1981年に解体された跡地へ建設されたのが、有楽町マリオンである。
  5. ^ 特技監督の中野昭慶は、スタッフからは反対意見も多かったが、エンターテイメント性を持たせるためには必要であったと述べている[21]
  6. ^ 線路が破壊される前にできる限りの都民を避難させるべきという運転士の主張が認められたため。
  7. ^ ただし、同名の俳優がいるため、作中では一貫して「ミスター・マーティン」と呼ばれている。

出典

  1. ^ a b c d ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 207, 「海外バージョン大研究」
  2. ^ a b c d e f g 東宝特撮映画大全集 2012, p. 208, 「『ゴジラ』(1984年版)」
  3. ^ a b 1985年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  4. ^ a b c d 東宝特撮映画大全集 2012, p. 209, 「『ゴジラ』(1984年版)作品解説/俳優名鑑」
  5. ^ a b ゴジラ1954-1999超全集 2000, pp. 16–17, 「メイキング オブ ゴジラ('84)」
  6. ^ a b c d e ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 11, 「ゴジラ('84)」
  7. ^ a b c d e f 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, pp. 76–77, 「ゴジラ」
  8. ^ a b c d 怪獣大全集 1991, p. 79, 「東宝モンスター名鑑」
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n 東宝特撮映画大全集 2012, p. 210, 「『ゴジラ』(1984年版)怪獣図鑑/兵器図録/資料館」
  10. ^ 東宝SF特撮映画シリーズ 1985, p. 45.
  11. ^ 木原浩勝、清水俊文、中村哲 編 編『「ゴジラ」東宝特撮未発表資料アーカイヴ プロデューサー・田中友幸とその時代』角川書店、2010年、141頁。ISBN 978-4-04-854465-8 
  12. ^ a b c ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 192, 「ゴジラを迎え撃つスーパーメカニクス」
  13. ^ a b c ゴジラ大百科 1990, p. 136
  14. ^ a b c d 東宝特撮映画大全集 2012, p. 211, 「『ゴジラ』(1984年版)撮影秘話/川北監督に訊く」
  15. ^ 川北紘一 2003, p. 189.
  16. ^ Балашево: Russia”. Geographic Names. 2015年1月1日閲覧。
  17. ^ 東宝SF特撮映画シリーズ 1985, pp. 40–41.
  18. ^ ゴジラ”. なべやかんだ!!(なべやかん公式ブログ) (2014年6月1日). 2014年6月7日閲覧。
  19. ^ a b c d 仕事人裏日記”. さくまあきらホームページ (1999年12月16日). 2015年10月4日閲覧。
  20. ^ a b c d e 中野昭慶 & 染谷勝樹 2014, p. 489.
  21. ^ ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 18, 「中野昭慶特技監督インタビュー」
  22. ^ 中野昭慶 & 染谷勝樹 2014, pp. 345–346.
  23. ^ a b 「DVD & VIDEO Selection」『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ、2002年5月1日、102頁、雑誌コード:01843-05。 
  24. ^ a b c d e f g パトリック・マシアス 著、町山智浩 訳「『ゴジラ1985』の好物はドクターペッパー!」『オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史』太田出版、2006年、124 - 127頁。ISBN 978-4778310028 
  25. ^ 宇宙船』Vol.132、ホビージャパン、2011年4月、117頁、ISBN 978-4798602134 
  26. ^ 1985 Archive” (英語). ゴールデンラズベリー賞公式サイト. 2014年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月28日閲覧。
  27. ^ 1985 8th Hastings Bad Cinema Society Stinkers Awards” (英語). ロサンゼルス・タイムズ. 2006年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月28日閲覧。
  28. ^ ゴジラ岩”. 伊豆大島ジオパーク・データミュージアム. 2015年9月18日閲覧。

参考文献

外部リンク