スーパーX

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スーパーX(スーパーエックス)は、東宝ゴジラ映画シリーズに登場する架空の兵器である。

1984年の『ゴジラ』、1989年の『ゴジラvsビオランテ』、1995年の『ゴジラvsデストロイア』に、それぞれ自衛隊ゴジラ対策(撃退)の切り札として登場する。人類史上初めてゴジラの放射熱線に対抗しうる防御力を有して開発され、正面から交戦した兵器である[注釈 1]。ただし、純粋な対ゴジラ兵器として開発されたのはスーパーX2(スーパーエックスツー)のみであり、スーパーXとスーパーXIII(スーパーエックススリー)は、いずれもその他の目的のために開発された特殊兵器であった。3機とも飛行性能を有しており、スーパーX2に至っては潜水性能すら有しているが、すべて陸上自衛隊所属となっている。

スーパーX[編集]

諸元
スーパーX
陸上自衛隊幕僚監部付実験航空隊首都防衛移動要塞T-1号
所属 陸上自衛隊[1]
全高 11.2m[出典 1]
全長 27.2m[出典 2]
全幅 20m[出典 3]
重量 150t[出典 3]
機関 原子エンジン(主機)[2]
推進機関
  • ターボジェット2基[2]
  • ジェットファン3基(揚力・姿勢制御)[2]
巡航速度 時速140km[出典 4][注釈 2]
最高速度 時速200km[出典 5]
乗員 4名[出典 6][注釈 3](最大12名[出典 7]

『ゴジラ』(1984年版)に登場。陸上自衛隊幕僚監部付実験航空隊首都防衛隊所属[注釈 4]。正式名称は陸上自衛隊幕僚監部付実験航空隊首都防衛移動要塞T-1号である[3][12]

元々は有事(核戦争)の際の首都防衛を目的に極秘に開発され、「首都防衛移動要塞」[注釈 5]とも呼ばれるVTOL機。機尾に2基の推進ノズル、下面に3機のVTOLノズルを有する。

装甲はチタン合金に加え[出典 8]スペースシャトルにも使用されているセラミック製耐熱タイルで構成されており、ゴジラの熱線にも耐える[12][13]。機体前部には開閉式の1800ミリ・ヨーソサーチライトを備えているほか、集積回路にはプラチナを多量に使用しており[5]、かなりの高熱に耐えられるようになっていたことから、1984年のゴジラの襲来に際してはカドミウムを弾頭に装備したカドミウム弾[2][13]を使い、ゴジラの核反応を抑制する作戦の実施に当たった。ゴジラを常に正面に置きながら一定の距離を保ったまま攻撃を行う戦闘スタイルは、メカゴジラまで継承される。

当初は要人用の移動核シェルターとして建造が進められていたが、戦闘中には高高度核爆発の影響で機能停止に陥るなど、電磁パルスへの対策は不十分だったことが描かれている。

武装[編集]

すべてを装甲の下に格納しており、歴代スーパーXシリーズ中最多の武装を有する。

各種カプセル弾臼砲
本機の主砲塔である上部隠蔽式砲台の中央部に設置され、さまざまな特殊カプセル弾を発射できる。対ゴジラ用としてカドミウム弾が3発分装填され、使用された。
300ミリロケット弾[2][13]
カプセル弾砲の左右に各3門、計6門が装備されているロケット弾砲で、68式改84タイプ30型ロケット榴弾砲が正式名。目を覚ました後のゴジラに対する主力兵器として使用されたが、ほとんどダメージを与えられなかった。
ハイパーレーザーCO2タイプ
1800ミリ・ヨーソサーチライトの左右に1門、計2門装備されているレーザー砲。120万キロワットの電力を熱エネルギーのレーザーに変換して照射する。300ミリロケット弾砲と共にゴジラに対して使用された。
ファルコン級AIMランチャー[2]
機体の左右側面に1門ずつ、計2門装備されたミサイルランチャーで、レーザーコントロールAIM-4D改大型ファルコンランチャーが正式名。ゴジラが目を覚ました後に最初に使用された兵器である。
照明弾ランチャー[2]
隠蔽式砲台の上部から照明弾を発射するランチャーで、ゴジラの口を開けさせて体内にカドミウム弾を撃ち込むために使用された。
300ミリ榴弾砲[2]
ファルコン級大型ミサイルランチャーの前部に装備されている。劇中未使用。
30ミリモーターキャノン[2](30ミリ砲身バルカン砲
コクピット下のスリット部に計4門装備されている。劇中未使用。
300ミリ加濃砲[2](300ミリ特殊弾加濃砲M29C)
機体下部の3機の砲台に計2門ずつ装備されている。劇中未使用。

劇中での活躍[編集]

航空幕僚監部の秋山司令官による指揮下でゴジラの東京上陸後に出動し、西新宿の高層ビル街にて事前にハイパワーレーザービーム車によって誘導されていたゴジラを迎撃する。高い防御力でゴジラの放射熱線を凌ぎ、安定性を活かして照明弾と全カドミウム弾を駆使した結果、一度は完全にゴジラを沈黙させる[1]

しかし、その後に人工衛星発射型核ミサイルの誤射が発生した結果、それによる高高度核爆発の影響でゴジラが復活するという、不測の事態が発生する。また、スーパーXも同様の影響による計器トラブルで不時着を余儀なくされ、飛行不能状態に陥ってしまう[12]。同様にハイパワーレーザービーム車も、この影響でビームが発射不能となってしまった。さらには、沈黙したゴジラを見物しようと多くの一般市民が周囲に集まっていたことにより、その避難の時間を稼ぐために秋山司令官は戦闘継続を決断する。

搭乗員による応急修理で戦線復帰するも、すでにカドミウム弾は残っていなかったため、ロケット砲やレーザー砲などの通常兵器のみで戦闘ヘリコプターのように高層ビルの影から砲撃するなど奮戦し、ゴジラを一般市民から遠ざけようとするが、大打撃を与えるには至らず、さらに想定以上の一般市民が新宿に留まっていたこともあり、戦闘の余波でかえって西新宿一帯の被害を悪化させてしまう。最後は、防御力の限界に達して放射熱線に耐え切れなくなり、コクピット内の爆発を経て再度不時着したうえ、そこにゴジラによって倒壊させられた新宿住友ビルディングの下敷きになってしまった[12]

なお、搭乗していた秋山司令官以下6名の乗組員は墜落前に先述の爆発で全員死亡している。

機体内部は耐えられなかったものの、放射熱線を幾度も受けながら外部装甲が原型を保っていた機体は、『ゴジラvsビオランテ』の冒頭でG細胞と並行して回収作業が行われている。また、スーパーXの存在とその回収については、日本国外でも普通に報道されていたようである。

備考[編集]

設定
劇場公開当時のパンフレットには(1984年当時の科学技術で)建造可能と書かれていた[要ページ番号]
当初は移動型核シェルターの機能を備えた通常兵器という設定で、兵装もロケット砲とカドミウム弾のみだったが、その後に演出上派手なレーザー砲が追加された。
デザインを担当した井上泰幸は、ゴジラとは無関係に国家の要人を守るための要塞として造られたという設定ゆえ、スピードを必要としなかったと想定している[14]。また、製作に参加していたににたかし(長沼孝)は自著において、台本段階では「首都防衛戦闘機α1号」という区分であったが、井上からの「戦闘機じゃないな、明らかに要塞」という意見から現在の「首都防衛移動要塞T-1号」という呼称に変更されたと言及している。なお、Tは井上のニックネームであった「たいこう」に由来しているという[15]
デザイン・造形
デザイン・造形は井上泰幸が手掛けた[3]。デザインのモデルはカブトガニ[16][6][注釈 6]。東宝プロデューサーの田中友幸から「釣鐘のイメージを入れて欲しい」との要望があり、井上によってドーム状のフォルムにまとめられた[17][14][注釈 7]。一方、特技監督の中野昭慶は「タコの足のような武器が欲しい」と要望したが、実現しなかった[14]
造形物は、ラジコンで武装展開ができるFRP製ミニチュアと、カポック製の操演用ミニチュアが作られた[6]。サイズはゴジラのスーツに合わせ、1/40スケール(約60センチメートル)となった[17][18]
出撃シーンでは、天井から吊るしたカメラをスーパーXと平行にして撮影された[19]。横移動の際には下部のローターを可動させており、中野はローターの見せ方に苦労した旨を語っている[17]
その他
東宝プロデューサーの田中文雄によれば、初期の脚本では発進シーンも存在したが、ストーリーに直接関係ないため、予算の都合などから決定稿になる際にバッサリ切られたと証言している[20]

スーパーX2[編集]

諸元
スーパーX2
形式番号 DAG-MBS-02 Super-XX
所属 陸上自衛隊
製造 三友重工
全高 11m[出典 9]
全長 34m[出典 9]
全幅 16m[出典 9]
重量 未発表[出典 10]
巡航速度 マッハ1[出典 9]
乗員 0名(遠隔操縦)[4]

『ゴジラvsビオランテ』に登場。スーパーXより一回り大きく、自衛隊特殊戦略作戦室が開発当初からゴジラ対策用の専用機として運用したリフティングボディ垂直離着陸機[注釈 8]。機尾に2基の推進ノズル。下面に6機のVTOLノズルを有する。形式番号は「DAG-MBS-02 Super-XX[注釈 9]。三友重工製[5][22]

回収されたスーパーXの分析データを基に、その反省を活かした機体である。装甲には、スーパーXに使用されたチタン合金の2倍の耐熱性を持つ超耐熱合金TA32が使用され[出典 11]、水深1,000メートルまでの潜航が可能[18][28]また、機体色もスーパーXが銀色(金属色のまま)に対し、濃緑色を主体にした色で構成されている。[独自研究?]

歴代のスーパーXの中で唯一、カドミウム弾やレーザー砲を装備していない。[独自研究?]ミサイル・バルカン砲・魚雷といった通常兵器のほか、ゴジラの熱線を正面から受け止めて撃ち返す特殊兵器ファイヤーミラーを搭載している。

有人で稼働していたスーパーXとは違い、スーパーX2は無人で稼働する[29]。最新鋭コンピューターを駆使しており、防衛庁地下のオペレーションルームから黒木翔特佐ら「ヤングエリート集団」と称される特殊戦略作戦室によるリモートコントロールで遠隔操作されるほか[27]自動操縦も可能となっている。遠隔操作を採用したのは、乗員の犠牲を回避しつつ戦闘などの各種データを保存するためである。それゆえ、コクピットやキャビンなどは搭載されておらず、センサー類は機体上面右側のテレビカメラのようなユニットに集約されている。

武装(スーパーX2)[編集]

ファイヤーミラー[出典 12][注釈 10]
機体前面が左右に展開して現れる、人工ダイヤモンドコーティングの鏡。ゴジラの放射熱線を1万倍にして跳ね返せるが[18]厳密にはゴジラの放射熱線が放つ放射線光を1万倍に増幅したうえでレーザービームに変換して撃ち返しているのであって、放射熱線自体の威力を1万倍にして跳ね返しているわけではない。[要出典]
スーパー魚雷[21]
機体前面下部にある計4門の発射口から撃ち出される魚雷。相模湾から小田原に上陸しようとするゴジラに対して使用した。
スーパーミサイル[21]
機体上部にせり上がる3基の発射台から撃ち出される大型ミサイル。連射も可能。青い塗装が施されている。大阪ビジネスパークを進撃していくゴジラに対し、ビルを盾にする形で使用した。
40ミリバルカン砲
機体前部側面の左右に各1門、計2門搭載されている補助的な兵装。連射音は、スーパーXの300ミリロケット弾砲やファルコン級大型ミサイルランチャーと同様である。
スーパーナパーム
スーパーミサイルと同様の発射台から撃ち出されるナパーム弾で、赤い塗装が施されているといわれている。劇中未使用。

劇中での活躍(スーパーX2)[編集]

大島・三原山から海上・陸上自衛隊の防衛網を撃破して東京へ向かうゴジラを、浦賀水道沖で迎撃する。ファイヤーミラーを用いてゴジラの東京侵攻阻止には成功するが、長く続く防衛戦でファイヤーミラーを何度も使用して放射熱線の増幅反射を繰り返したことから、TA32より耐熱性が低いミラー部分が溶け出して収束率が4割を切るまでに低下してしまう。やむなくミサイル攻撃に切り替えるも通常兵器ではゴジラに歯が立たず、放射熱線を浴びせられたうえ、尻尾による一撃を受けて操縦系統に損傷を負ったため、撤退に追い込まれる。なお、ミラー周辺の反射板は修理の際に交換できるが、本体は完全固定ゆえに交換できず、それが後の敗北につながる。

その後、小田原に上陸したゴジラは芦ノ湖でビオランテと対決し、勝利する。護衛艦隊やスーパーX2、ビオランテとの戦いで消耗したゴジラが日本海側の若狭湾周辺の原発へ向かうと想定した自衛隊は、中京地域一帯に多数の部隊を集結させ、ファイヤーミラーが修復されないまま投入されたスーパーX2も伊勢湾にて中京地域での決戦を待つこととなる。

しかし、ゴジラは紀伊半島を経て大阪を目指していることが判明する。ゴジラの大阪上陸が確実となる中、他の自衛隊部隊が形勢を整えるために若狭湾周辺へ移動する一方、スーパーX2は単独で大阪へ投入される。折しも、サラジアの工作員から抗核エネルギーバクテリア(以下、ANEB)を奪還した自衛隊は、作戦の目的を「ANEBをゴジラの体内へ撃ち込むこと」に変更する。

大阪市へ上陸したゴジラに対し、スーパーX2は大阪ビジネスパーク上空に展開して囮となり、ANEBを保有した地上部隊(作戦本隊)の潜むエリアまでゴジラをおびき寄せる。スーパーX2は残存するミサイルとバルカン砲で奮戦するものの、あと一歩まで引きつけたところで弾切れとなってしまう。作戦を果たそうと、黒木がスーパーX2を犠牲にする覚悟でファイヤーミラーを展開させた結果、ゴジラの放射熱線を受けたファイヤーミラーは融解・発火し、スーパーX2は撃墜されて爆発四散してしまう。

上記の被害のほか、地上部隊にも権藤吾郎一佐がTWIN21の崩落に巻き込まれて死亡する犠牲が出たが、ANEB3発分をゴジラの体内へ撃ち込むことには成功し、若狭で展開されるサンダービーム作戦につながっていく。

スーパーX2の成果は、後の対ゴジラ超兵器(メカゴジラなど)の開発の基礎として多大なる影響を与えた。

制作(スーパーX2)[編集]

脚本
検討用脚本第三稿では、浦賀水道での戦闘でゴジラが放射熱線を放たずに小田原沖まで移動したため、スーパーX2もそのまま追撃して芦ノ湖で対決するが、その後に現れたビオランテによって撃墜されるという展開であった[28][注釈 11]。『vsビオランテ』のポスターはこの脚本を元にしており、ゴジラの足元の湖面に描かれているメカは、デザイン決定前のスーパーX2である[32]
反射鏡を装備するというアイデアは、監督・脚本の大森一樹によるものである[33]
特技監督の川北紘一は、熱線一発で艦艇を破壊するゴジラの強さを先に見せることで、その熱線をファイヤーミラーで跳ね返すスーパーX2の戦闘力の高さを強調する演出としたと語っている[34]
再上陸したゴジラとの対決は、大阪ビジネスパークではなく鳴門海峡で行われる予定であった[28]
絵コンテでは、大阪ビジネスパーク戦にてスーパーX2のミサイルが命中してゴジラがビルに倒れ込むというシーンも存在した[35]
遠隔操作という設定は特撮スタッフ側によるもので、オペレーターのシーンは特撮班で描かれた初期コンテに基づいている[34]
デザイン
デザインはコンペ形式で選定が行われた[22]。造型は横山宏によるものを基にしている[22][36]。そのほか、河森正治スタジオぬえスタジオOX、長沼孝(東宝映像美術)らによるデザイン案が描かれている[22][36]。選定理由について川北は、横山の案がスーパーXの後継機として最も安心できるものであったと述べている[34]
造形
造型はビーグルが担当[29][37]。ミニチュアは、ロング用の小サイズ(1/50スケール)ものとアップ用の大サイズ(1/35スケール)のものが造られた[出典 13]。大サイズは発泡ウレタン製で、表面をFRPでコーティングしている[37]。ファイヤーミラーの展開は、展開ギミックを備えたものを差し替えている[22]。ミサイル上昇ギミックは、スーパーXのミサイルランチャーを流用している[37]。両モデルとも、2009年の時点で東宝の倉庫に保管されていることが確認されている[40]
このほか、墜落用の発泡スチロール製モデルも作られた[35]
撮影
浦賀水道のシーンは東宝大プールで撮影された[41]
発進シーンなどの撮影はB班によって行われた[42]
その他
ゴジラvsモスラ』でのモスラがゴジラの熱線を鱗粉で反射するという能力は、デザイナーの青井邦夫がファイヤーミラーの設定をもとに発想したものである[43]

その他の作品での登場(スーパーX2)[編集]

ゴジラアイランド』には名前のみ登場する。

漫画版
平野俊弘によるコミカライズ版では、デザインが映画とは大きく異なり、スーパーXに似た本体とその上部に位置する直方体形のブロックに分かれており、これが4つに展開することで十字状のファイヤーミラー形態に移行する。また、非展開時はミサイルランチャーを使用可能。劇中での活躍自体は映画と大差なく、大阪で放射熱線を浴びせられて撃墜される。
装甲の超耐熱合金の名称はNM32に変更されている。
小説版
有馬治郎による小説版では、形がアンコウに似ているとされ、「アングラー」という通称で登場する[44]。ファイヤーミラーは装備しておらず、代わりに粒子ビームを主力としている。浦賀水道での戦いは映画と大差ないが、大阪ビジネスパークでの戦いでは、ANEBをゴジラに撃ち込む作戦を単独で展開する。作戦は成功したものの、離脱時にゴジラに捕まり、装甲の薄い機体下部に放射熱線を浴びせられて撃破される。

スーパーXIII[編集]

諸元
スーパーXIII
形式番号 DAG-MBS-SX3
所属 陸上自衛隊
全高 7.4m[出典 14]
全長 38.5m[出典 14]
全幅 58.7m[出典 14]
重量 220t[出典 15]
装甲材質 超耐熱合金NT-1S[出典 16]
動力源 レーザー核融合炉[4][47]
速度 マッハ1.7[出典 14]
乗員 3名[50][45]

『ゴジラvsデストロイア』に登場。初代スーパーXと同様、有人機である。この当時、ゴジラ対策はGフォースが担当しているため、自衛隊所属の本機は対ゴジラ兵器としてではなく、原発事故や核攻撃を想定して作られた多目的大型戦闘機であり[出典 17]、運用は特殊戦略作戦室が担当している[13]。機体側面には形式番号「DAG-MBS-SX3」と共に、大きく「SX III」のマーキングが施されている。

装甲は超耐熱合金NT-1Sが使用され、装甲に施された人工ダイヤモンドコーティングにより[5]、過去の対G兵器と比較してさらに優れた防御力を持っている[注釈 12]。主翼と尾翼を有するV/STOL機であり、より常識的な航空機のフォルムに近くなっているものの、機首形状や上部にせり出す多連装ランチャーなどに初代スーパーXの面影がある[45]。一方、スーパーXシリーズで初めて着陸脚を有している[45]。推進器は主翼および尾翼基部に計4基が見てとれる。設定では翼端が後方に折りたたまれる可変翼機構を持っており、発進時は翼をたたんで回転台上にちょうど収まるサイズになっている。

対原子力災害用という目的上、瞬間で摂氏-200度に達する95式超低温レーザーや冷凍ミサイルなど、ほとんどの装備が冷凍武器に特化していることが大きな特徴である[出典 18]。例外はカドミウム弾であるが、これも攻撃用の火器ではなく、あくまでも核反応抑制のための装備である。また、コクピットには外界のα線β線γ線の計測モニターも備えている。

戦闘スタイルは過去の2機とは違い、高い機動力で敵の攻撃を回避しながら冷凍兵器を集中させるという、ガルーダ以来の戦法が取られている。パンフレットによれば、動力はレーザー核融合炉。格納庫は地下にあり、カタパルトまでは回転台に搭載されて上昇する[45]

機体の指揮を採るのは、『vsビオランテ』以来の登場となる黒木特佐。

武装(スーパーXIII)[編集]

収納式上部ミサイルポッド[4]
機体中央からせり上がる、各種弾頭弾を搭載可能なミサイルポッド。4連装×2基で、最大装弾数16発。豊後水道での出撃時にカドミウム弾を搭載し、発射した。
95式超低温レーザー砲[52][13](1000万ボルト95式超低温レーザー砲[4]
機種先端が展開して現れるレーザー砲。発射口は反射集束板と多層式発振レンズで構成されており、最大出力による超低温レーザー光線の連続照射は15秒以内。この後、次回発射まで4秒のインターバルを要する。ゴジラの攻撃で空に逃げたデストロイアの翼を粉砕して墜落させ、そのままデストロイアは爆発四散した。
4連装冷凍ミサイルランチャー[4]
両翼下部に1基ずつ装備されている冷凍ミサイルの発射口。豊後水道での出撃時には、連射することでゴジラを6時間凍りつかせることに成功した。
照明弾ランチャー[4]
上部ミサイルポッドの両脇に2基ずつ、計4基が装備されている照明弾の発射口。装弾数4発。劇中未使用。

劇中での活躍(スーパーXIII)[編集]

バース島の消滅を経て体内炉心が暴走して巨大な核爆弾と化す恐れを孕んだゴジラに対し、通常の火器による攻撃を封じられたGフォースに代わり、ゴジラの四国電力伊方原子力発電所襲撃とメルトダウンを阻止するために豊後水道へ出撃する。防衛庁特殊戦略作戦室長の黒木特佐が搭乗しての直接指揮のもと、周辺海面ごと氷付けにしたうえでカドミウム弾による核分裂反応抑制を行い、ゴジラを豊後水道で一度は沈黙させる戦果を挙げる[13]。ゴジラの体温が予想以上に高温だったために6時間程度しか効果が無かったものの、撃ち込んだカドミウムは制御剤として効果を発揮し、ゴジラの核爆発という最悪の事態は回避されることとなる。

その後も有効な作戦を立てられないGフォースに代わり、冷凍兵器を配備(冷凍レーザータンクのほか、メーサー戦車には冷凍弾を装填したミサイルポッドを装備)した陸上自衛隊が主戦力となったため、スーパーXIIIはその前線指揮を執ることになる。出撃の際には莫大なコストで防衛予算を圧迫していたらしく、二度目の出撃の際にはありったけの冷凍兵器を満載したことを部下に確認した黒木が、「これで我々の来年度の予算はゼロだな。来年度があれば、だが…。」と皮肉を込めて呟いている。

ゴジラに対してだけではなく、絶対零度以下の超低温に弱いデストロイアに対しても有効打を与えられるため、実質的には対デストロイア用兵器ともなった。ゴジラ最後の戦いの終盤には、その熱線に耐えきれずに空中へ逃げたデストロイアにとどめを刺した後、冷凍レーザー戦車たちと共にメルトダウンを始めたゴジラへ全冷凍兵器を浴びせ、その最期を見届けた。

  • スーパーXIIIによるデストロイアの撃退は、ゴジラシリーズでは数少ない自衛隊が怪獣にとどめを刺したシーンである[48]

備考(スーパーXIII)[編集]

デザイン
決定デザインは西川伸司[出典 19]。当初は脚本の「コウモリのような翼を持つ全翼機」という記述に基づいて翼の先端が可動する全翼機として描かれていたが、機首にスーパーXのイメージを入れることとなり、「翼のついたスーパーX」という形状に改められた[出典 20]。西川は、改定後も全翼機のイメージを残すために機首を短く描いていたが、実際の造形ではデザインよりも長くなっていたという[56][57]。デジタルによって様々なカラーリング案が作られ、ミリタリー色が強い深緑が選ばれた[56]。ビーム砲やミサイルランチャー、ミサイルポッドなど、機体上部に搭載される装備は様々なアイデアが提案された[56]
他に中野陽、岡本英郎スタジオOXなどによるデザイン案が存在する[58][59]
企画書段階ではGフォース最終兵器と位置づけているものもあり、この設定に基づいて轟天号を模したデザインのものも描かれている[55]
ゴジラvsメカゴジラ』でメカゴジラのトランスポーターとしてデザインされていたメカが、後のスーパーXIIIを思わせるデザインであった[60][61]
川北は、冷凍レーザータンクともどもゴジラのメルトダウンを食い止めるための手段として冷凍砲を装備したメカの登場が必然であったと述べている[34]
造型
造形はオガワモデリング[62]
小学館『ゴジラVSデストロイア超全集』には、機体が一部破損した状態で三面写真が掲載されており、作戦終了後に撮影された旨が記述されている[50]
ドック
ドックのデザインは大澤哲三による[63]。鉄骨風のディテールは大澤の好みによるもので、隙間を作ることでカメラの位置取りや照明で影を作るなどの効果を出している[63]。また、回転しながら上昇することによって様々なアングルから見せることができ、発進までの時間確保も意図している[63]。ホバリングできるという設定から、発進時は格好良さを優先して射出後すぐに上昇する演出となった[63]

その他の作品での登場(スーパーXIII)[編集]

コロコロコミック版
月刊コロコロコミック』に掲載された『vsデストロイア』のコミカライズ版では、前進翼を持つステルス性の高い戦闘機として、まったく異なるデザインで登場。現場で翼を前に折りたたむことによってスーパーX2に近い外見となった突入形態(アタックフォーメーション)で、ゴジラに核分析器(核アナライザー)を取り付けることに成功したが、故障して放棄されている。このコミカライズ版でのパイロットは、『ゴジラvsスペースゴジラ』で活躍した結城晃[注釈 13]
登場案
スーパーXIIIの登場案は『vsデストロイア』以前からたびたび挙がっていた[64]。川北は、この頃のプロットにはスーパーXIIIが登場するものが多かったと述べている[65]
ゴジラvsモスラ』では93式メーサー攻撃機をスーパーXIIIとして登場させる案も存在した[43][64]。このデザインを手掛けた青井邦夫は、スーパーXという要請はなかったが、デザイン過程のはずみで描いてしまったという[43]
『vsモスラ』の準備案の1つ『ゴジラ対メカニコング(マイクロユニバース イン ゴジラ)』では、メカニコングの正式名称を「対G兵器SX-3」としていた[65]
『vsメカゴジラ』でのメカゴジラが合体メカとして検討されていた際のデザイン案の一つに、分離状態のメカの名称をスーパーX3としたものが存在した[60]。また、『vsメカゴジラ』企画時に出渕裕から提出されたプロット『ゴジラVSベルサーク』では、『ゴジラvsキングギドラ』に登場した帝洋グループが開発したという設定でスーパーXIIIが登場している[61]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ ゴジラ対ヘドラ』で登場した巨大電極板など、昭和シリーズではゴジラの放射能火炎に耐えられる特殊装備が存在していたが、1984年版から『vsデストロイア』までのVSシリーズは『ゴジラの逆襲』から『メカゴジラの逆襲』までを含まないパラレルワールドに相当するので、VSシリーズでは初めてという設定になっている。
  2. ^ 資料によっては、「時速120km」と記述している[4]
  3. ^ 資料によっては「6名」と記述している[6][9]
  4. ^ 搭乗員の帽子や服装には「401 SQ」の文字が確認できる。
  5. ^ 劇中では「首都防衛戦闘機」と表記され、登場人物から「空飛ぶ要塞」と称されている。
  6. ^ 井上は幼少期にカブトガニを採って遊んでいたといい、過去に井上が手掛けたヘドラでもカブトガニのイメージを取り入れている[14]
  7. ^ 書籍『東宝特撮超兵器画報』では、田中をデザイン原案と紹介している[3]
  8. ^ 書籍『キャラクター大全ゴジラ』では無人艦艇[26]、書籍『「ゴジラ検定」公式テキスト』では戦闘機[27]と記述している。
  9. ^ 形式番号のDAG-MBSとは「Defence Against Godzilla - Main Battle Ship」の略であり、対ゴジラ用主力戦艦の意味となる。
  10. ^ 資料によっては、ファイアーミラーと記述している[21][29]
  11. ^ これに基づいたイメージボードがスタジオOXによって描かれている[31]
  12. ^ 実際、劇中では予想以上に威力を増していたゴジラの赤色熱線を真正面から2回浴びてもコクピットの計器が少々火花を噴いただけで、戦闘行動に支障は出なかった。
  13. ^ 『vsスペースゴジラ』の事件後に逮捕・収監されていたが、この作戦のために一時釈放されている。

出典[編集]

  1. ^ a b ゴジラ検定 2018, p. 85, 「ゴジラ 登場兵器」
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 超最新ゴジラ大図鑑 1992, pp. 150–151, 「ゴジラ対防衛隊」
  3. ^ a b c d e f g h i j 東宝特撮超兵器画報 1993, p. 46, 「スーパーX」
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q VSデストロイア超全集 1996, pp. 66–67, 「ゴジラVSデストロイア完全攻略 スーパーXIII大研究」
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 191, 「ゴジラを迎え撃つスーパーメカニクス」
  6. ^ a b c d e f g h i 東宝特撮メカニック大全 2003, pp. 180–185, 「1980s スーパーX」
  7. ^ a b c d e f g 大辞典 2014, p. 157, 「す スーパーX」
  8. ^ a b c d 超常識 2016, pp. 108–110, 「ゴジラ新シリーズの幕開け ゴジラ」
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出典(リンク)[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]