艦橋

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大和型戦艦「武蔵」の艦橋が置かれた檣楼
大和の艦橋内部 復元モデルセット、呉海事博物館2013年8月
第二次近代化改装後の戦艦山城、奥にいるのは扶桑榛名
掃海母艦ぶんごの前部甲板より艦橋を望む

艦橋(かんきょう)は、軍艦船橋(せんきょう、ふなばし)を指す。艦長の指揮所に当たる。英語のままブリッジ(bridge)ともいう。甲板上の高所に設けられる(檣楼内など)。檣楼、上構(マスト、セイル)などと混同されがちである。

概要[編集]

羅針盤操舵装置速力通信機(テレグラフ)などを備え、船の中枢部としての役目を持つ。原則として、航海中は艦長またはその代理の専任士官が常に艦橋で指揮を執る。初期では吹き曝しの状態に天幕を張る程度の露天艦橋が一般的であったが、第一次世界大戦以降は艦橋内の機器の精密化や居住性を考慮し、漸次的に建屋状の構造物という形態をとるようになった。


大型の軍艦(戦艦等)の場合は複数の艦橋をもつことがあり、特に旗艦設備を持つ艦には艦長が指揮する操艦用の艦橋と提督が指揮する艦隊用の艦橋を別途設けたものもある。電話等の艦内通信設備が発達したこともあって司令官が防御上不利な艦橋に詰めている必要も無くなり、弩級以後の戦艦では、前甲板の砲塔の後ろに装甲化された司令塔が置かれ(常用の艦橋はこの上部に設けられる)、その後ろに檣楼を高く立てて長距離砲撃時の測距・弾着観測などを司る射撃指揮所を設ける配置が一般的となった。

しかし日本海軍では重装備志向が強く、武装以外に割かれる甲板占有面積を節減するため司令塔の真上に檣楼を立て一体化し、艦橋も檣楼の途中に設けられた。第二次世界大戦までに種々の追加改修を繰り返したことで、高く重厚な檣楼は日本戦艦の艦容を特徴づけるデザインとしてパゴダマスト英語版と呼ばれる。

第二次世界大戦後の軍艦では、戦闘の指揮は指揮の一極集中を避けるため、また情報が集中し防御も容易な船体内奥に置かれた戦闘指揮所(CIC)に移り、艦橋の役目は航海、操艦、目視監視(双眼鏡なども用いる)などに限られている。

航空母艦は操艦用の艦橋と航空機の発着艦指揮用の艦橋(管制塔)を持つ。空母の艦橋を収めた建物をアイランドというが、2017年就役したイギリスクイーン・エリザベス級航空母艦では、それぞれの艦橋を別個に収めた2個のアイランドを備えている。フランスでもフランス次期空母において同様のデザインが採用される予定だったが、計画は中止された。

関連項目[編集]