ラムダ・ドライバ

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ラムダ・ドライバは、賀東招二の小説『フルメタル・パニック!』に登場する架空の兵器である。虚弦斥力場生成システムきょげんせきりょくばせいせいシステム)とも言われ、使用する者の精神を物理世界に介入させるブラックテクノロジーである。 ラムダ・ドライバによる斥力場は見えないとされているが、アニメ版では視聴者に解かるように視覚化されている。

概要[編集]

アーム・スレイブのみに搭載された特殊な装置。表向きには搭乗者の意思によってTAROS(Transfer And Response ”Omni-Sphere")と呼ばれる装置を介して物理的な斥力(せきりょく)を発生させる仕組みのことを指す。斥力とは物質同士が遠ざけあう力のことであり、引力の反対の力である。 アインシュタインの重力場方程式の中に現れる斥力を表す宇宙定数をΛと表記するところから、作中では「斥力Λ発生装置」とも表現される。 ウィスパードによって齎されたブラックテクノロジーの産物であり、主に戦闘のみに使用される。

作中での運用方法[編集]

斥力を機体周囲に展開し、M9の40mm砲弾を跳ね返し、戦車の砲弾(APFSDS)を無力化した他、『ずっと、スタンド・バイ・ミー』では5.5メガトンの核爆発からレーバテインを守るなど、主に防壁として使用される事が多い。 ただし、強度及び範囲は操縦者の精神に左右され、不意打ちならば通常兵器でも突破されてしまう。

また防御のみならず、攻撃にも使用可能であり、手持ち火器から発射された砲弾や対戦車ダガーに斥力を乗せ、破壊力を上昇させることも可能。斥力の強度によるが、敵ASの装甲を軽々貫通するほどの威力を有する。また、斥力自体に指向性を持たせ、見えない弾丸のようにぶつける事も可能。

斥力を機動の補助に使用する場合もあり、ARX-7 アーバレストは道路標識を踏み台に跳躍して見せ、スペック以上の跳躍を見せている(追いかけていたコダールmはそれができずに道路標識を踏み潰している)。Plan1501 ベヘモスの場合は、自重による倒壊を回避するのに利用されており、Plan1055 ベリアルに至っては、重力はおろか、あらゆる物理法則を無視した動作が可能となっている(ただしこれは搭乗者による所が大きい)。

メインユニットと切り離した状態でも機体制御等に応用することは可能であり、操縦者のイメージ次第では「人体に存在しない器官」を動かすことも可能である。

なお、かなめの見立てによればラムダ・ドライバ搭載機と通常の第三世代ASの戦力比は1対8である。

ミスリル[編集]

ミスリルでは、ARX-7 アーバレストのみが、確認されている唯一のラムダ・ドライバ搭載ASである。アーバレスト自体の操縦はM9と同様だが、『戦うボーイ・ミーツ・ガール』で宗介の脳波パターンが登録されたため、ラムダ・ドライバを扱えるのは宗介のみとなっている。またM9D ファルケに搭載される計画もあったが、バニ・モラウタの死により中止されている。

ミスリル壊滅後には情報部の残党が破壊されたアーバレストのコアユニットを回収。これと凍結されたARX計画の資材を用いて、本来なら存在しないはずのARX8番目の機体ARX-8 レーバテインを建造した。アーバレストのコアユニットをそのまま流用している関係で、レーバテインもアーバレスト同様に宗介専用機となっている。

アマルガム[編集]

アマルガム側では、ラムダ・ドライバ搭載ASとしてPlan1056 コダールなどがあり、すでに量産段階に入っている。オペレーターが限られるという問題は『Ti971』と呼ばれる薬物を使用することで解決している。ただし、薬物によって再現される精神状態ではラムダ・ドライバの能力を十全に発揮することはできず、作中では宗介の駆るアーバレストには完敗している。もっとも、これはアマルガム製のLD搭載機が「通常型ASの駆逐」を目的に開発されたのに対し、アーバレストが「LD搭載型ASとの戦闘」を主眼に置いて建造されていることによる、相性の問題も大きいと思われ、質は低くともラムダ・ドライバ非搭載ASにとっては充分過ぎるほどの脅威と言える。事実、作中では『妖精の眼』が開発されるまでは、ラムダドライバ非搭載AS相手には一方的な戦果を挙げていた。

TAROS[編集]

TAROSは、オムニ・スフィア転移反応とも言い、全身の構造材の内部に微細な結晶状の電子素子を埋め込み3次元的に連結する事で、オペレータの脳内の電気パターンを読み取ってAIユニットに転写するシステムである。これにより、前述の「使用者の精神パターンをトレースした疑似頭脳および神経系」を実現し、超AIシステムと組み合わせる事でアーバレストAI アルのように「人間のような感情を持つAI」すら生み出す事ができる。

  • ミスリルの強襲揚陸潜水艦「トゥアハー・デ・ダナン」においては機密区画「聖母礼拝堂(レディ・チャペル)」に設置されており、「ウィスパード」と呼ばれる限られた人間のみ、超高性能AI"ダーナ"の上位制御装置として巨大な潜水艦を一人で操縦する事が可能となっている。
  • アーバレストの大破から13年後に開発された自衛隊の試作ASブレイズ・レイヴンは、アーバレストの残骸を解析・模倣して作り上げたTAROSを搭載することで、装備されたアークジェット推進機「アジャイル・スラスタ」を、視線誘導システムと組み合わせることでダイレクトに制御している。また、AIに転写された脳内電気パターンはデータ化して抜き取ることが可能であり、無人ASの思考パターンとしても使用できる。ジオトロン・エレクトロニクス社はブレイズ・レイブンを一時的に鹵獲した際、同機のAIに蓄積された思考データをコピーし、無人AS「ケントゥリア」を開発した。


ラムダドライバ本来の名称と機能[編集]

小説10巻『せまるニックオブタイム』にて虚弦斥力場生成システムというのは偽装だと判明。本来のTAROSは世界の根幹に関わる重要な装置であり、虚弦斥力場生成システム'という名称は偽装にすぎず、 本来の名称は「オムニ・スフィア高速連鎖干渉炉(Transfer And Response Omni-Sphere)」という事が明かされた。 作中における物理世界は一種の精神世界であるオムニ・スフィアと相互に干渉しあっており、人間は生身の状態でもオムニ・スフィアを通して分子が揺らぐ程度の干渉を物質に与えているとされ、この干渉反応は脳と全身の神経系によって生じており、 TAROSがオペレータの精神データを読み取ることで、オムニ・スフィアへの干渉を行い、それを「ラムダ・ドライバ」のメインユニットである「小型の冷蔵庫大の、虹色の光の束が納まったシリンダー」へ大電力を与え、高速連鎖反応を発生させて物理世界へ干渉させる装置が本来のラムダドライバの機能である。 前述の通りラムダドライバが斥力を発生させ、それを操るというのは偽装であり、ラムダドライバを機動すれば斥力を発生させるのと同等の現象を引き起こす事が可能となるが、実際にはラムダドライバを機動することによって、操縦者の意思で物理世界を書き換えているのである。 また作中でも不自然と評されるほどに、兵器としては非効率な人型をしたアーム・スレイブが急速に普及したのは、このTAROSを搭載し最も効率よく稼働させるのが前提であったためだという可能性すら示唆されている。

オムニ・スフィアでは時間や空間の制約を受けずに情報を伝播する事が可能であり、その性質とTAROSを用いれば究極的には未来予知や歴史の書き換えすら可能となる。その究極系が終盤で登場した「TALTAROS(オムニ・スフィア転移反応時空通信変容炉)」である。

派生技術[編集]

妖精の目[編集]

『踊るベリー・メリー・クリスマス』における、南沙諸島の海賊拠点での戦闘よりM9に実装されたラムダ・ドライバ観測機器。開発者はクダン・ミラ。使用すると、スクリーンに暗視スコープのような緑色のフィルターがかけられたようになり、色の濃淡でラムダ・ドライバの効果範囲や強弱を見分ける。これにより、M9でもラムダ・ドライバ搭載機と互角以上の戦闘が可能になった(もっとも操縦者の技量差や連携、援護攻撃を加味してだが)。

妖精の羽[編集]

『せまるニック・オブ・タイム』において、ARX-8 レーバテインに追加された装備。機体周辺の一定領域におけるラムダ・ドライバの影響を無効化する機能を持ち、ラムダ・ドライバ・キャンセラーとも呼ばれる。その使用に際しては、ラムダ・ドライバとは逆に「そうした超常現象が起きることは無い」というイメージを働かせる必要がある。

ただし、自らもラムダ・ドライバの使用が不可能になる上、消費する電力の余りの多さに機動性が阻害されるという欠点を抱えており、さらには使用時間にも限りがある。

アイザイアン・ボーン・ボウ[編集]

ベリアルに装備された大型の弓。実際に矢を射る武器ではなく、ラムダ・ドライバの力場を矢と化して超高速で射出する。発射された瞬間に被弾するほどの凄まじい速度で飛来するため、回避はほぼ不可能(宗介とアルの技量をもってしても、当たる場所をずらす程度で精一杯)であり、さらに『矢』自体が不可視であるため、ラムダ・ドライバでの防御に必要な『盾』のイメージも難しく、事実上防御も不可能な武器となっていた。

メリダ島での最終決戦で、レーバテインの左腕を犠牲にしての165mmデモリッション・ガンの発射によって破壊された。

ラムダ・ドライバ搭載機[編集]

脚注[編集]