ブレイブ・ストーリー

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ブレイブ・ストーリー』(BRAVE STORY)は、宮部みゆき著のファンタジー冒険小説

本項では、これを原案としたアニメ映画2006年7月8日公開)、漫画ゲームがある。映画および映画から派生したゲームは「中黒」(・)に代わり半角スペースで区切って『ブレイブ ストーリー』と表記する。

小説[編集]

ストーリー[編集]

三谷亘(ミタニ ワタル)は小学5年生。成績はそこそこで、テレビゲームが好きな普通の少年だった。大きな団地に住み、ともに新設校に通う親友のカッちゃんがいる。街では、建設途中のビルに幽霊が出るという噂が広がっていた。ある日、亘は幽霊が出ると噂される"幽霊ビル"で、要御扉(かなめのみとびら)に出会う。そこを潜り抜けると、亘たちが住んでいる現世(うっしょ)とは違う不思議な世界・幻界(ヴィジョン)が広がっていた。

数日後、夜中に目が覚めた亘は、気分転換に散歩に出かけたが、たまたま幽霊ビルで隣のクラスの優秀な転校生・芦川美鶴(アシカワ ミツル)が上級生・石岡に痛めつけられている現場に居合わせてしまう。助けようとした亘もまた暴力を振るわれるが、亘によって解放された美鶴は魔術を使って漆黒のバルバローネを呼び出した。そして、上級生に反撃する。最後には、バルバローネは上級生たちを飲み込み、魂を奪ってしまった。夢としか思えないその光景が亘の心を掴む。そして美鶴は姿を消した。

そんな中、亘の父が突然「昔愛した女性と復縁する」、と離婚を宣言して家を出て行ってしまう。その愛していた女性、田中理香子のお腹にはもう子供がいた。ショックで亘もろとも親子でガス自殺をしようとする母。ガス漏れにも気付かず眠っていた亘を起こしてくれたのは、行方不明になっていた美鶴の声だった。

運命を変えたかったら、幻界へ行け」というミツルの呼びかけに応じ、家族を取り戻す為、母と自分の運命を変える為に幽霊ビルの階段の上に現れた要御扉を通って、亘は再び幻界へ……。

登場人物[編集]

現世[編集]

三谷亘(ワタル)
ロールプレイングゲームが好きな、ごく普通の城東第一小学校の5年生。理屈っぽいところは父親の明に似ている。幽霊ビルや大松香織、転校生の美鶴、時折聞こえる妖精にも似た不思議な少女の声のことを気にしながらも、ルウ伯父さんと過ごす夏休みを楽しみにしていた。だがそんなある日、父親である明は突然離婚を宣言し、かつての恋人と暮らすべく家を出ていってしまう。さまざまな事件を経て元恋人の愛人との直接対決といった厳しい現実と向かいあったは衝撃の余りガス栓を捻り、自殺未遂を起こす。このように離散してしまった家族幸せを取り戻すという願いを叶える為、幻界へ行き“見習い勇者・ワタル”になり、願いを叶えてくれる“運命の女神”がいるという運命の塔をめざす旅を始めることになる。最初は自分の運命を変える事を目的に幻界を訪れたワタルだが、ハルネラの事、女神と老神の事、南北2大陸の長きにわたる闘争の事などを見聞きするにつれ、次第に自身の運命と世界の行く末について深く考えるようになっていく。
最後は、ミツルが5つめの宝玉を手に入れるために解いてしまった封印から出てきた魔族から幻界を守るため、女神に"常闇の鏡を打ち砕く(幻界の未来)"と望み、現世へと帰っていく。
芦川美鶴(ミツル)
亘の隣のクラスに転校してきた、謎めいた美少年。容姿端麗・成績優秀なため女子に人気がある。小学生にして、どこか世の中を諦観しているような印象がある。本人は黙して語らないが、実母の不倫が原因で、実父が実母と幼かった妹を殺し、実父自らも海に飛び込み無理心中したという、亘よりも残酷な過去を持つ(同時に二人の経験には、『家族の崩壊』という共通する部分もある)。それが彼の人生観を捻じ曲げてしまった模様で、大学を出たばかりの若くて可愛らしい叔母の元で暮らし始めて間もなく、投身自殺を図ろうとした事もある。美鶴は自分の運命を変える為、そして妹の運命を変える為に幻界に行って“魔導士・ミツル”となり、一度助けてもらった亘に対し、借りを返そうと亘が旅人となるきっかけを与えた。目的の為なら手段を選ばず、自分の運命を変えることだけが目的なので、周りや幻界の被害を考えていない。ワタルと違い強力な魔法を操る優秀な魔導士。7月7日生まれ(映画)。
ワタルより先に運命の塔へたどり着いたミツルだったが、最後の試練として自分自身の憎しみから生み出された「分身(ダブル)」と戦って瀕死の重傷を負い、ワタルに見取られて妹の魂と思われると共にへと昇っていった。その後はロンメル隊長と共に、“大いなる光の境界線”を張りなおす人柱にされる。彼がいなくなった現世での人々の記憶は、都合よく書き換えられていた。ただし、映画版では、幻界へと行く前の世界に妹と二人で転校してくる(幻界の記憶があるかどうかは不明)。
三谷明
亘の父親。普段は余り話さないタイプだが、理性的で主張を通すときには非常に理屈っぽく、相手を捻じ伏せるような話し方をする。一方的な離婚宣言をして家を出たが、それは邦子の前に交際していた恋人・田中理香子と家庭を持つ為だった。しかし、離婚を宣言しても、理香子に「二度と暮らさない」と決別を言い渡す事になる。
三谷邦子
亘の母親。教育熱心で、「亘を守る」という意思の上ではある意味頑固な性格。亘がカッちゃんと付き合うことを快く思っていない。夫の離婚(およびその愛人からの中傷)によるショックで自殺未遂をしてしまう。しかし、命を取り留めた。過去に田中理香子と交際していた三谷明に妊娠をしたとをつき、三谷明と結婚した。
三谷悟(ルウ伯父さん)
三谷明の兄。体格や性格は明とまったく異なっている。豪快な大男ではあるが、小心者の一面も。千葉大浜で飲食店と海の家を経営している。亘の祖母と同居。亘は伯父さんと非常に仲がよく、伯父さんが開く海の家に遊びに行くのを楽しみにしていた。
小村克美(カッちゃん)
亘の親友。色黒でしゃがれ声。両親は居酒屋を経営している。亘とゲーム関係でも気が合うが、魔法が出てこないゲームには興味がない。陽気なお調子者で、下手をすると自分の名前が女性の名前っぽくなってしまうところなどは幻界のキ・キーマに通じるものがある。また、彼が生まれる前、女の子が生まれると先生に言われたため、「克美」と生まれる前から名前が決まっていた。4月9日生まれ。
サナエ
ワタルとカッちゃんのクラスメイト。お喋り好きの女の子で亘やカッちゃんと仲が良い。気が強いが優しい性格の持ち主というところは、幻界のミーナに通じるものがある。母は、小舟町きっての情報通。
大松香織
工事の途中で放置された“幽霊ビル”こと大松ビルのオーナー・大松三郎の娘。とある事件のせいで心を閉ざし、以来車椅子での生活を送る。中学生。初めて会った時から亘の心の中に強く残り、その姿は…。
宮原祐太郎
美鶴と同じクラスの生徒。美鶴が来るまで、成績トップをキープしていた秀才。賢明な為に彼も周囲に人気がある。運動神経が良く、手先も器用で人付き合いも良い。美鶴にトップを奪われようと気にもしなければ拘りもせず、年齢の割には落ち着いた性格の少年である。亘は彼と塾のクラスが同じ。美鶴は彼と親しくしていたようだが、亘と会った時に宮原の事を「幼稚」と小馬鹿にしたような物言いをしていた(にもかかわらず何故親交を持ったのかは不明)。両親が再婚しており、異父弟妹を持つ。観察眼に優れる。
石岡健児
6年生で学校全体の持て余し者。常に傍らには子分の6年生二人が従っており、「ケンちゃん」と呼ばれている。家は金持ちらしい。心霊写真を手に入れて、テレビに出演することを企んでいる。美鶴が持つ心霊写真を狙っているようだったが、幽霊ビルで彼を呼び付けてリンチを加えた際に、美鶴が召喚したバルバローネにを奪われ、抜け殻のようになる。
田中理香子
亘の父・明の元恋人。邦子の妊娠により一度は別れるものの、街中で再会してから焼け木杭に火が点いてしまい、自身も今の夫と離婚して女児を連れ、明と再び暮らそうと決心する。しかし、明に決別を言い渡されてしまう。最後通告の為に三谷家を訪れた時は、邦子に言いがかりをつけて舌戦となり、その結果半狂乱になった邦子に痛い目を遭わされて引き上げた。
美鶴の叔母
美鶴の保護者。23の若さで思わぬ重責を背負わされる羽目になった。美鶴や自分のコントロールがうまくいかないが、美鶴のことはちゃんと案じており、謎の失踪を遂げた甥に心を痛めている。

幻界[編集]

女神
「運命の塔」に住み、「運命女神」または「創世の女神」とも呼ばれる。旅人が旅を成し遂げたときに願いを叶えてくれる存在。水人族の古語では、女神を「ウパ・ダ・シャルバ」(光のように美しい人)と呼ぶ。 女神信者は、女神が混沌の中から幻界を創世し、冥王と契約して幻界を護っていると崇めている。一方、老神信者からは、老神が創った幻界をだまし取ったとして敵視されている。旅人の前にはそれぞれ異なる姿で現れる。
老神
老神は女神よりも古い存在と言い伝えられており、水人族語で「イル・ダ・ヤムヤムロ」(混沌を統べるもの)と呼ばれる。老神信者にとっての「老神」は、幻界を女神に奪われたが、女神による幻界統治が破綻したときに再来する神を指している。老神教においては「最も偉大な魔導師」でもある。
ラウ導師
旅人を導く老魔導士。原作では、感情を固定する5つの小屋に住む。旅人を“おためしのどうくつ”に導き、適性を判定する。幻界では小鳥の姿で移動することがある。また、要御扉や運命の塔にも出入りできる。彼の存在は幻界でも一般には知られていない。オンバさまとはお互いに知っている様だが…。
キ・キーマ
熱心な女神信者が多い水人族の男で、身長2m58cmの巨体を持つ。体の特徴はトカゲそのものであるようだ。人懐っこい性格でお調子者でお人好し。幻界の運送業・ダルババ屋をやっている。幻界に来たばかりのワタルと出会い旅を共にする。旅人を『幸運の印』として世話し、ワタルの仲間であり頼れる存在となり、3人組の中では最年長であるためかまとめ役である。最初のキは、次のキーマのキより半音高く発音しないと女の名前になるらしい。また、映画版ではたまに北海道の方言を喋る。
ミーナ
ネ族の少女。サーカスのエアロガ・エレオノラ・スペクタクルマシン団にいた。空中ブランコの達人。ガサラの町でワタルに助けられて以来、ワタルの旅に同行する。ワタルの物となる“真実の鏡”を所持していた。ワタルに好意を寄せる(ワタル自身もミーナにはその様な感情がある模様)。行動力は高いがやや自分勝手な面もあり、それで危険に巻き込まれたり、或いは亘を救うことも。
ジョゾ
ファイアドラゴンの末裔の若者。好奇心旺盛。嘆きの沼に墜落して死にそうになっていたところをワタルに助けられ、以降恩返しにとワタルに協力するようになる。映画版では喋ることができない等、大幅に設定が異なる。
カッツ
ガサラの町のハイランダーのブランチ長。アンカ族。“刺蘭のカッツ”の異名を持つ。任務のためなら命も惜しまない誇り高き女戦士。厳格な性格だが、時には優しさを見せることもある。ロンメルとは元恋人だったが、過去にロンメルとの間に確執があり、以来シュテンゲル騎士団を目の敵にしている。幻界に襲来した悪魔達との戦いでも勇敢に戦うが魔族の攻撃を受けてそれが致命傷となり、後に死亡する。映画版では終盤で原作同様負傷するものの、最後まで生き残っている。
トローン
ガサラの町のハイランダーのブランチ副長。カッツの部下。トラのような姿をした獣人族。映画ではロンメルが登場しないためか、原作に比べて若干出番が多い。
ロンメル隊長(本名ボリス・ロンメル)
シュテンゲル騎士団の第一遊撃隊の隊長。アンカ族。南の連合国家に対して忠誠を誓っている。正義などに関する判断基準が異なっているためにカッツと衝突した過去があるが、カッツの行う仕事に対し、敬意を抱いている。最後の最後で物語において、非常に重要な役割を持つ人物であったことが判明する(ハルネラの半身)。
バクサン博士
幻界でも非常に高名な星読み。遠い昔に絶滅したと思われたパン族の一人。幻界の人達が伝説的にしか知らない“旅人”についてもある程度の知識を持っている。人嫌い。語尾に『ぢゃ』を付ける。パン族独特の身長の低さゆえ、地団太を踏むと、ダンスのようなステップになる。
ロミ
バクサン博士の助手。代々星読みに就いている。ちょっぴりドジで、宝玉を持っていた。
シン・スンシ
バクサン博士の生徒。温厚で柔和な人柄。嘆きの沼で倒れていたワタルを助けた。嘆きの沼の近くでハルネラ開始前から終了まで北の凶星の観測をしている。ハルネラについて、旅人であるワタルに説明を行った。ちなみに名前は回文になっている。
ダイモン司教
リリスの街に位置するシスティーナ聖堂の主。熱心な老神教信者で高度な魔法も使える。しかし最後は、ワタルの攻撃で死亡する。
パム所長
リリスのブランチ長。妻を亡くしてからシスティーナ聖堂に通い、老神教信者になる。アンカ族以外の種族を嫌う。
トニ・ファンロン
リリスの工芸師。気が難しく、気に入った客なら品物をタダ同然の値段でも売るが、気に入らない客には、品物を見せようともしない。パム所長たちの非アンカ族差別の為に、ハイランダーを嫌っている。エルザの恋人。
エルザ
パム所長の一人娘で、トニの恋人。心臓が弱い。
ゾフィ
北の統一帝国の皇女。王族らしく高潔で品のある性格。ミツルの叔母に似た顔立ちをしている。映画ではミツルの妹・アヤに似ている。
アジュ・ルパ
クリスタル・パレスの執務官。皇帝の勅命でミツルの世話係をした。シグドラのリーダー格だろうと、ミツルは読んだ。
オンバさま
ワタルの前に大松香織の姿を模して現れた“負なる者”。甘い声だけをワタルに聞かせ、旅の途中何度も助けるが、本当の正体はイボガエルであり、幻界を欲していた。

用語[編集]

現世(うつしよ)
三谷亘や芦川美鶴がいた世界。現代日本語では、「うつしよ」は「現世」(げんせ)の古い呼び方であり、この世のこと。
ワタルやミツルは、現世と幻界を行き来することになる。
幻界(ヴィジョン)
ワタルとミツルが望みをかなえるために旅人として赴いた世界。現世の人々の心象風景、特に旅人自身の心象風景が強く反映される。陸地としては、南北2大陸とその間の島々がある。ラウ導師は、ミツルとワタルが旅する幻界が異なっていると言っているが、旅人ごとに複数の幻界が存在するかという質問は否定している。皇女ゾフィは、現世と幻界は「混沌の深き淵」に浮かぶ対になる世界であるが幻界は複数あると述べているため、ハッキリしていない。なお英語の"vision"には、視覚、視界、想像力、見方、幻影、未来像などの意味があり幻界の定義を考える上で興味深い。
魔界
敵意と害意にあふれた闇の世界であり、幻界になり損なった世界(ゾフィ談)。
帝国に安置されている“常闇の鏡”により幻界と繋がっているが、闇の宝玉の力で扉は閉ざされている(封印が解けると魔族があふれ出し、幻界が滅ぶとされている)。物語後半にはミツルの暴挙でその封印が解かれ、幻界は魔族の襲撃を受けることとなる。
混沌
幻界と現世の外部を取り巻く空間。作中の「久遠の谷」は「混沌」と同じ空間を示している可能性がある。なお、「混沌」という言葉は、日本神話記紀)に述べられている創世(天地開闢)前の状態や、ギリシア神話カオス(英語chaos)と同じ。
要御扉(かなめのみとびら)
現世と幻界をつなぐ扉。扉を開くためには、命を掛けても運命を変えたいと思う現世の人と、その人の近くにふさわしい場所が必要。現世で扉が開く間隔は作品によって異なる(原作10年ごと、漫画『ブレイブ・ストーリー~新説』50年ごと、ゲーム『ブレイブ ストーリー ワタルの冒険』1000年ごと)。開いている期間は90日間(原作)。
旅人
望みをかなえるために現世から幻界に入ってをするヒト。女神信者からは大いなる敬意を受けるが、老神信者からは「ザザ・アク」(偽の神・神を騙る者)として命を狙われる。1回の要御扉が開いている期間に幻界に入れる旅人数は作品によって異なる。原作では、通常1人でハルネラの時にだけ2人。原作以外は2人以上が同時に旅人となる設定。
おためしのどうくつ
旅人にとって幻界の最初の試練の場所。試練の結果により旅人を魔導士と勇者に振り分け、そのほかの属性も判定する。
四神将
おためしのどうくつにいる巨像。運命の女神を奉じている。訪れた旅人の願いを叶えてくれるが、その代償として命をかけた勝負をしなければならない。その名の通り4体おり、それぞれ「暁の神将」(東方守護・目は赤)、「夕闇の神将」(西方守護・目は青)、「風雪の神将」(北方守護・目は白)、「陽光の神将」(南方守護・目は金色)と呼ばれている。
宝玉
玉(ぎょく)とも呼ぶ。旅人が旅の途中で集める必要があるアイテム。全ての宝玉を集めたとき、旅人は運命の塔で女神に会うことができると言われている。
  • 原作でワタルが集めた宝玉に宿る精霊
    • 女神の力の一端を担うもの、癒しの精霊 白いローブを纏った女性
    • 勇気を司り、鋼の意思を尊ぶ精霊 右手に剣、左手に盾を持ち、背中に1対の羽がある金色の少年
    • 希望を護り育て、未来を司る精霊 真紅の衣と白銀の胸当てをつけた少女
    • 互恵と友愛を司る信義の精霊 袖が長い白金色のローブを纏い、同じ色のヴェールで髪を覆った長身の男性
    • 闇の宝玉。「魔界」から「幻界」に運び込まれたもの。
ヒト
幻界の社会を構成する人種(種属)の集合体、または個人。現世の人間と同じアンカ族、トカゲ型の水人族、猫型のネ族、鳥型のカルラ族、ウサギみたいな飛足族、アンカ族に似ているが異様に小柄なパン族、竜の一族、そのほかの動物に似た獣人族がいる。北の帝国政府および老神信者は、アンカ族至上主義を取り、他人種を差別し迫害している。
南大陸=連合国家または連邦
ナハト国(農畜産業主体)、ボグ国(商業主体)、ササヤ国(学術が盛ん)、アリキタ国(鉱工業主体)、デラ・ルベシ特別自治州(老神信者が住むと思われている)がある大陸。これらは緩やかな連合を組み、南大陸全体が一つの連合国家である。様々な人種が共存し、特別自治州以外の大多数のヒトは女神信者である。
北大陸=北の統一帝国
北の大陸は300年昔に、老神の一族と称する初代皇帝ガマ・アグリアスI世のもとで統合され、1つの帝国となった。映画ではイルダ帝国。皇都ソレブレアに水晶大宮殿(クリスタル・パレス)がある。現皇帝はガマ・アグリアスVII世。皇女はゾフィ。自然環境は南大陸に比べて厳しい。アンカ族が他人種を迫害したので、多くの非アンカ族が南大陸に難民として逃げた。近年、皇帝直属のシグドラという組織が、難民を強制的に帝国に連れ戻そうとしている。
デラ・ルベシ特別自治州
南大陸で唯一の老神信者が住まう氷に閉ざされた町。そこは運命を変える旅をやめた旅人たちが辿り着く場末の町でもあり、ワタルたちもそこで“教王”を名乗る元旅人の若者と出会う。教王曰くデラ・ルベシは「女神様が用意してくださった元旅人たちの仮初めの都」らしい。
ハイランダー(高地人)
南大陸で発生した自警団組織またはそのメンバー。現在は連合政府に従う。メンバーは赤い革でできたファイアドラゴンの腕輪を身に着ける。組織としては、連邦議会から指令を受ける4国それぞれのハイランダーの首長がおり、その下にブランチ長(おさ)、ブランチに属するハイランダーがいる。幻界創世期に女神を守ったファイアドラゴンがゴザ高地に騎士となって降り立ち、その子孫がハイランダーの源流となる自警団を組織したと言い伝えられている。そのため、連邦議会の指令よりも女神のお告げを優先する。
シュテンゲル騎士団
南大陸で比較的に近年組織された治安行動などを行う組織。連合政府の指揮下にあり、部隊は人種別に構成される。治安部隊である遊撃隊は、アンカ族で構成され、連邦内各国にそれぞれ2師団が配置されている。他には非アンカ族によって構成され、災害救助と復興、山林開拓を行う部隊もある。
星読み
幻界の天文学者。星読みという職業が必要になったのは、風船の航行に必要な風を星の動きから読みとるためとも、「北の凶星」を観測するためとも言われる。星読みの活動の中心はササヤの国営天文台。大きな町には、少なくとも1人の星読みがいて星読み台がある。
風船(かざぶね)
風を動力とする幻界の船。南北大陸間の移動や漁業に使われる。現世と違い機械的な動力を使っていないことが、原作中で意味を持っている。通常の日本語では風船=ふうせん(英語balloon)の意味。
光の境界・ヒト柱・半身・ハルネラ・北の凶星(きたのまがぼし)
女神が幻界を創る際に冥王と交わした盟約は、幻界が混沌に侵食されることを防ぐために現世でいう千年毎に「光の境界」を張り直し、力を強める事であった。境界を張りなおすエネルギー源および次の千年の幻界の監視役としてヒト(要は犠牲者)を選び出す。この選ばれるヒトを「ヒト柱」または「半身」と呼ぶが、多少意味に違いがある。作中ではラウ導師、ババ、ブブホ団長、ロンメル隊長、サーカワの長老、バクサン博士、オンバなどが半身についての知識を持っている。「ヒト柱」が選ばれる期間を「ハルネラ」(アンカ族古語)または「柱の時」(星読みの専門用語)という。「北の凶星」は、ハルネラ開始のときに白く輝き始め、期間中は血のように赤く輝く。なお、日本語の「人柱」は工事などの成功を祈って犠牲として奉げられる人のこと。

世界観[編集]

ブレイブ・ストーリーには、ミヒャエル・エンデの代表作「はてしない物語(ネバーエンディングストーリー)」と数多くの共通点がある。 例えば、運命の女神を幻界の殆どの人々が信仰していることは、はてしない物語の幼子の君への一種の信仰と似ている。 また、旅人の心が幻界へ強い影響を及ぼすというのは、ファンタージエンに来た人の子の、考えた通りになることに似ている。

既刊一覧(完結済)[編集]

いずれも角川書店より刊行。愛蔵版は1冊、定本ハードカバーは2分冊、角川文庫は3分冊、角川スニーカー文庫角川つばさ文庫は4分冊となっている。初出は学芸通信社の配信により、大分合同新聞(1999年11月11日~2001年2月13日)、名古屋タイムズ京都新聞中国新聞信濃毎日新聞徳島新聞高知新聞北日本新聞にて連載された。

単行本
角川文庫
3巻とも2006年5月25日発売。
角川スニーカー文庫
いずれも2006年6月1日発売。挿絵は千羽由利子菊池正典が担当。
角川つばさ文庫
挿絵は鶴田謙二が担当。

映画『ブレイブ ストーリー』[編集]

ブレイブ ストーリー
BRAVE STORY
監督 千明孝一
脚本 大河内一楼
製作総指揮 亀山千広
出演者 松たか子
大泉洋
常盤貴子
ウエンツ瑛士
今井美樹
田中好子
高橋克実
柴田理恵
石田太郎
堤下敦
板倉俊之
虻川美穂子
伊藤さおり
斎藤千和
川澄綾子
北村総一郎
斉藤暁
小野武彦
伊東四朗
樹木希林
音楽 ジュノ・リアクター
主題歌 決意の朝に」(Aqua Timez
撮影 吉岡宏夫
編集 瀬山武司
配給 ワーナー・ブラザース映画
公開 2006年7月8日
上映時間 112分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 20億円[1]
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作品説明[編集]

フジテレビとGONZO(GDH)が共同で製作した長編劇場用アニメ。2006年7月8日より、丸の内ルーブル他、全国東急系にて公開された。監督は『LAST EXILE』、『フルメタル・パニック!』、『ゲートキーパーズ』などを手がけた千明孝一。製作総指揮は『踊る大捜査線』など数々のフジテレビジョン製作の映画を手掛けた亀山千広。当初、配給はウォルト・ディズニー・スタジオが手掛ける予定だったが、事情によりワーナー・ブラザース映画が新たに配給権を獲得した。

当作品は、ジブリ作品を中心にアニメ制作で実績のある日本テレビに対し、フジテレビが新たにアニメ映画に乗り出したもの。声優だけでなく、ジブリ作品の様に俳優・コメディアンもキャラクターの声に起用されている。原作の割愛が見られるが、より見やすくする為に配慮したものと思われる。

公開当時、フジテレビではこの作品のCMが頻繁に放映された。関係者のインタビュー記事によると制作費は約10億円で、フジテレビ製作の映画としては過去最大であると言う。最終興業収入成績は約20億円。

原作との相違点[編集]

  • 映画版では第一部にあたる部分が大幅にカットされている。
  • 運命の女神が姿を模写した大松香織、ミツルのクラスメイトである宮原祐太郎、伯父の三谷悟が登場しない。
  • 宝玉が手に入る場所と、宝玉を集めることによって使える「技」が変更されている。宝玉を集めても一時的に現世へ戻れる。
  • 原作ではガス自殺未遂で母・邦子は病院に運ばれる。だが劇場版では父・明が家を出て行ったショックにより調理中に倒れ、点火していたガスコンロの火が何らかの原因で消えてしまった為に、そのままガスを吸って病院に運ばれる。(ガスを吸ってしまったといっても比較的軽いもので、突然の離婚によるノイローゼ状態に陥ってしまい倒れたものと思われる)。
  • 原作ではハルネラ、シュテンゲル騎士団、老神教、女神教があり「幻界は旅人の心を反映した世界」という設定だが、映画では存在しない。つまり幻界に関する設定の大部分が削除されている。
  • 強盗容疑で投獄されたワタルは、原作では暴行を受けた上に縛り首で処刑寸前だったが、映画では暴行や処刑もカットされている。
  • ファイアドラゴンのジョゾは赤ん坊ということになっている(そのためか、原作では、ワタルたちを背中に乗せるぐらいの大きさだったが、映画では、ワタルの肩乗りぐらいの大きさになっている)。また、原作とは違い、セリフが無い。
  • 原作ではワタルが正式に旅人になる前に一度、偶然幻界に行ってしまうが、映画ではその部分はカットされている。
  • 原作ではワタルが幻界の存在を知るきっかけはであるが、映画では虐められていたところを助けたお礼としてミツルの口から存在を知ることになっている。
  • ガサラ-デラルベシ間の大部分が削除されている。
  • 原作では、ラストの戦いでカッツが死ぬことになっている。しかし映画では、左腕を負傷しながらも生還している。
  • 映画では、ラストでミツルと妹のアヤが復活する。
  • バルバローネに飲み込まれた上級生三人のうち石岡は、原作では魂を抜き取られてしまい抜け殻になってしまったとあるが、映画では、三人がどうなったかという描写が無い(バルバローネに飲み込まれた後一瞬だけ、三人が気絶しているシーンがあるため、おそらく無事だと思われる)。

エピソード[編集]

  • 原作が1,000ページ以上の大作であるため、それを2時間程度の映画に纏めるにあたっては、8プロット、17脚本が作成された。
  • スタッフロールの最後にある謝辞の対象である別所孝治は、『マジンガーZ』『アルプスの少女ハイジ』をはじめ、数多くのアニメ・特撮番組のフジテレビ側プロデューサーであった人物である。
  • ゲーム好きで有名な原作者の宮部みゆきは、各種メディア上で自作がアニメになると聞いて狂喜乱舞した(ただ、映画になるとは思わなかったともコメントしている)と語り、アニメージュ誌上にて映画を大々的に肯定した。また、宮部みゆきはこの物語を通じて「人の運命と世の中の流れ」について深く描いているとインタビューで答えている。その事例として地下鉄サリン事件を例に挙げた。
  • 物語序盤部分の砂漠でワタルがねじおおかみに襲われ、剣を抜いて戦うがキ・キーマに救出されるシーンは、(同時期公開作である)『ゲド戦記』の冒頭、砂漠で狼に襲われたアレン王子がゲドに助けられるシーンの元になっている。

コラボレーション[編集]

  • 2006年6月15日7月6日の1ヶ月、『クイズ$ミリオネア』とのコラボレーションCMが放送された。主人公のワタルがスタジオのセンターシートに座りみのもんたの出す問題に答え、テレフォンブレーンとしてキ・キーマ、ミーナ、カッツ、ミツルが登場する。
  • 毎日コミュニケーションズ発行の『Mac Fan』誌2006年8月号の表紙に、MacBookを拡げたワタルとミーナが登場した[2]
  • 花王シャンプーリンスのメリットとのコラボレーションCMでワタルと母が登場。また、アニメ本編内にメリットの広告が登場している。
  • 2006年の『お台場冒険王』では、2つのアトラクションが設置された。1つは、フジテレビ社屋球体で上映された5面マルチ画面での『はねるのトびら Featuring ブレイブストーリー』で、はねるの出演者がブレイブストーリーの世界を冒険するというライド。もうひとつは、大きなテントで行われた『ブレイブ・ランド』でディズニーランドの『シンデレラ城ミステリーツアー』のようにハイランダーと一緒に幻界を旅するアトラクション。
  • 2006年7月第4週の『笑っていいとも!』の『曜日対抗いいとも選手権』に「真夏のブレイブストーリー」が登場。剣に引っ掛けた宝玉を飛ばし、的を倒すというもので、的は「地底湖の怪物(藻に覆われた姿)」、「地底湖の怪物(藻が取れた姿)」、「魔族」の三種類。
  • 2006年6月9日から7月9日にかけて2006 FIFAワールドカップが行われており、女神に「あなたの願いは?」と聞かれたワタルが「日本が勝つ事です」と答えている「日本ガンバレ」バージョンのテレビCMスポットがある。このスポットはDVD(特別版及びコレクターズBOX)、ブルーレイ版にも収録されている。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

主題歌[編集]

受賞[編集]

DVD / Blu-ray[編集]

発売元はワーナー・ホーム・ビデオ。セルDVD先着予約特典として、オリジナル・ステッカーを同梱。

  • ブレイブ ストーリー 期間限定出荷版(DVD1枚組、2006年11月23日発売)
    • 映像特典
      • 特報
      • 劇場予告編集
      • TVCM集
        • キャラクター編
        • TVスポット編
      • キャスト・スタッフプロフィール
  • ブレイブ ストーリー 特別版(DVD2枚組、2006年11月23日発売)
    • ディスク1:本編DVD(期間限定出荷版と同様)
    • ディスク2:特典DVD
      • メイキング
        • ブレイブ ストーリー 5つの宝玉
        • 俺たちはコンビじゃないっ!
      • プロモーション映像集
        • TVCM ミリオネア編
        • TVCM メリット編
        • 実写CM「勇気の人になる」
        • きっかけはフジテレビ
      • ゲームCM
        • PlayStation 2「ブレイブ ストーリー ワタルの冒険」
        • PlayStation Portable「ブレイブ ストーリー 新たなる旅人」
        • Nintendo DS「ブレイブ ストーリー ボクのキオクとネガイ」
      • ジャカジャカじゃんけん(5パターンランダム再生)
      • Aqua Timez「決意の朝に」ミュージックビデオ
      • Aqua Timez「決意の朝に」TVCM
    • 初回限定特典
      • クリアートールケース仕様
  • 【初回限定生産】ブレイブ ストーリー DVD コレクターズBOX(4枚組、2006年11月23日発売)
    • ディスク1:本編DVD(期間限定出荷版・特別版と同様)
    • ディスク2:特典DVD1(特別版と同様)
    • ディスク3:特典DVD2
      • ポッドキャスト「ブレイブ レポート」完全版14本
        • 製作発表記者会見
        • 東京国際アニメフェア2006
        • アフレコ Vol.1
        • アフレコ Vol.2
        • ブレイブ ストーリーとの出会い
        • メイキング・オブ・幻界
        • スロバキア・レコーディング
        • スカイウォーカーサウンド Vol.1
        • スカイウォーカーサウンド Vol.2
        • カンヌ映画祭 Vol.1
        • カンヌ映画祭 Vol.2
        • スレイブ ストーリー
        • 小説と映画
        • 公開初日ドキュメント
    • ディスク4:特典DVD3
      • メイキング 「アニメ制作の裏側」
      • 未公開資料集
        • パイロット映像
        • スペクタクルマシン団サーカス 完全版
        • ファイアドラゴン 3DCG版
        • 初期イメージボード
        • キャラクター設定画
        • 未公開カット絵コンテ
      • キャンペーン
        • プレミアムステージ オープニング映像
        • チャリティキャンペーンCM
        • IQサプリ まちがい7
        • ポスターデザインヒストリー
        • キャンペーン記録写真集
          • 東京国際アニメフェア2006
          • お台場冒険王 ブレイブランド
          • その他(ゴンゾフェスタ、お台場学園2006〜文化祭〜、F電 東京・渋谷駅)
      • イベントレポート
        • 完成披露試写会
        • 大阪サプライズ舞台挨拶
        • 初日舞台挨拶 第1回 / 第2回
        • 大ヒット御礼&ブレイブ基金贈呈式
        • お台場映画王2006
      • オリジナルアニメ キ・キーマ主演サイドストーリー「キ・キーマのそれさえも平穏な日々」
      • DVDスタッフクレジット
    • 封入特典
      • 24Pオールカラーブックレット
      • 本編プリント切り抜き<1/24秒×連続6コマ>
    • 特製アウターケース&デジパック仕様
  • ブレイブ ストーリー ブルーレイ(1枚組、2008年6月11日発売)
    • 映像特典:DVD特別版と同様
  • ブレイブ ストーリー UMD(2007年10月12日発売)
    • 映像特典:DVD期間限定出荷版と同様
当初はHD-DVDも同時発売されていたが、現在は生産中止。

漫画[編集]

『ブレイブ・ストーリー~新説~』[編集]

漫画:小野洋一郎、原案:宮部みゆき
諸設定が大幅に変えられており、冒険物ではなく戦闘を中心に描かれている。詳しくはブレイブ・ストーリー〜新説〜を参照。

『ブレイブストーリー』[編集]

漫画:姫川明、原作:宮部みゆき、映画:ブレイブ ストーリー
てんとう虫コミックススペシャル(小学館)。『小学五年生』(2006年4月号~8月号)で連載。映画を基盤にしている。一部内容に違いとして、デラ・ルベシの旅人の話を追加することにより、映画よりもわかりやすくしている。また、作風として女性作家特有の耽美主義要素が強い。

ゲーム[編集]

『ブレイブ ストーリー ボクのキオクとネガイ』[編集]

ニンテンドーDS用ソフト

バンダイナムコゲームスより、2006年7月6日発売

『ブレイブ ストーリー ワタルの冒険』[編集]

PlayStation 2用ソフト

SCEIより、2006年7月6日発売。3本の中ではもっとも映画の内容に近い。

『ブレイブ ストーリー 新たなる旅人』[編集]

PlayStation Portable用ソフト

SCEIより、2006年7月6日発売。岡本吉起里見直安田朗らが手がけ、3作の中で最も売れた。ファミ通ゴールド殿堂。

脚注[編集]

  1. ^ 一般社団法人日本映画製作者連盟・過去興行収入上位作品(2006年・10億円以上)より。
  2. ^ ブレイブ・ストーリー制作秘話、毎日コミュニケーションズ広報部ナルミのダイアリー、2006年7月10日。

外部リンク[編集]