初恋 (宇多田ヒカルのアルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
初恋
宇多田ヒカルスタジオ・アルバム
リリース
録音 2017年[注 1] - 2018年[注 2]
ジャンル J-POP
時間
レーベル エピックレコードジャパン
プロデュース 宇多田ヒカル
チャート最高順位
宇多田ヒカル 年表
Fantôme
2016年
初恋
2018年
『初恋』収録のシングル
  1. 大空で抱きしめて
    リリース: 2017年7月10日
  2. Forevermore
    リリース: 2017年7月28日
  3. あなた
    リリース: 2017年12月8日
  4. Play A Love Song
    リリース: 2018年4月25日
  5. 初恋
    リリース: 2018年5月30日
  6. 誓い
    リリース: 2019年1月18日
テンプレートを表示

初恋』(はつこい)は、日本のシンガーソングライター・宇多田ヒカルの7thアルバム。2018年6月27日エピックレコードジャパンより発売。

背景[編集]

デビュー20周年のアニバーサリー・イヤーにリリースされた本作は、前作『Fantôme』から約1年9ヶ月ぶり、レーベルを移籍してからは初となるオリジナル・アルバム[2]。またアルバムタイトルが日本語で綴られたのは初めて[3]。5曲の配信シングルを含む全12曲を収録し、アルバムのジャケット写真はニューヨークを拠点に活動する日本人フォトグラファー、Takayの撮り下ろしによるもの[2]オリコンはこのアルバムジャケット写真を「金字塔作品」である『First Love』のそれを彷彿とさせると指摘している[4]。また、「First Love」は和訳するとこれもまた「初恋」で、本アルバムと意味が全く同じになる。

レコーディングは、RAK STUDIOSやエアーといったロンドンの一流スタジオで行われた[5]。レコーディングの行程はスティーヴ・フィッツモーリスがバンドの演奏をレコーディングして、小森雅仁が担当する宇多田のボーカル録りの後、最後にフィッツモーリスがミックスするのが基本[5]。レコーディングのやり方は宇多田が持ち込むベーシックなデモ曲[注 3]を基にスタジオで曲を仕上げ、バンドと一気にライブ演奏で2、3回録るというもので、この潔い手法には明確なビジョン、良し悪しを瞬時にジャッジする決断が必要であり、ボーカル以外の録音にも必ず立ち会う宇多田のものづくりの姿勢とともに、参加したミュージシャンやスタッフたちから絶賛されている[5][6]

構成[編集]

前作『Fantôme』で客演した小袋成彬が、今作では作曲とアレンジで参加している[3]。またサム・スミスアリシア・キーズのストリングス・アレンジを手掛けるサイモン・ヘイルも前作に引き続き参加している[7]。収録曲の「Too Proud featuring Jevon」ではUKの若手シンガーラッパーのJevonと男女の思いのすれ違いを描くエモーショナルなデュエットを繰り広げている[3]

サウンド面ではストリングスアレンジを含めた生のバンド演奏とプログラミングされたサウンドが効果的に用いられ、様々な手法で宇多田の「当たり前ではない、個人の特別な経験」を音像化している[3][5]。演奏陣にはロバート・グラスパーディアンジェロなど、アメリカのみならず世界中から圧倒的な支持を集めるクリス・デイヴ英語版ドラム)、サム・スミスのツアーメンバーでもあるルーベン・ジェームス(ピアノ)、エミリー・サンデーメアリー・J・ブライジ、サム・スミスとの仕事で知られるジョディ・ミリナー(ベース)、ベン・パーカー(ギター)など世界中の名うてのセッション・ミュージシャンが並び、配信曲にも参加していたドラマー/プロデューサーのクリス・デイヴは12曲中8曲で演奏してアルバムの屋台骨を担う活躍を見せている[3][5][6]ストリングスにも『Fantôme』以降の宇多田作品でお馴染みの面々が起用されている[6]レコーディング・エンジニアは2人。1人目は前作から引き続きエンジニアを務め、ペット・ショップ・ボーイズスティングU2デペッシュ・モード、近年ではサム・スミスの大ヒット曲「Stay with me」などを手掛け、グラミー賞受賞経験もあるスティーヴ・フィッツモーリス英語版で、彼がサウンドを録音&ミックス・ダウンでまとめ上げた[5]。もう1人は全曲のボーカルレコーディングを担当している小森雅仁[5]

収録曲[編集]

作詞作曲編曲:宇多田ヒカル(※特記以外)

  1. Play A Love Song(4:12)
    9作目の配信限定シングル
    サントリー 南アルプススパークリング 「SWITCH & SPARKLING」CMソング
  2. あなた(4:37)
    ストリングス/ブラスアレンジ:宇多田ヒカル(ブラス&ストリングス)・Simon Hale(ストリングス)
    8作目の配信限定シングル
    映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」主題歌
    ソニー「ノイキャン・ワイヤレス」CMソング
  3. 初恋(4:40)
    ストリングスアレンジ:宇多田ヒカル・Simon Hale(ストリングス)
    10作目の配信限定シングルであり、本作の表題曲でもある
    TBS系ドラマ「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」イメージソング
  4. 誓い(4:33)
    ストリングスアレンジ:宇多田ヒカル・Simon Hale(ストリングス)
    スクウェア・エニックスキングダム ハーツIII」主題歌
  5. Forevermore(4:53)
    ストリングスアレンジ:宇多田ヒカル・Simon Hale(ストリングス)
    7作目の配信限定シングル
    TBS系ドラマ「ごめん、愛してる」主題歌
  6. Too Proud featuring Jevon(4:41)
    作詞:宇多田ヒカル・Jevon Ellis 作曲:宇多田ヒカル・Jevon Ellis 編曲:宇多田ヒカル・小袋成彬
  7. Good Night(4:22)
    ストリングスアレンジ:宇多田ヒカル・Simon Hale(ストリングス)
    アニメーション映画「ペンギン・ハイウェイ」主題歌
  8. パクチーの唄(3:42)
    ブラスアレンジ:宇多田ヒカル
    作曲:宇多田ヒカル・小袋成彬
  9. 残り香(3:36)
  10. 大空で抱きしめて(4:34)
    ストリングスアレンジ:宇多田ヒカル・Simon Hale(ストリングス)
    6作目の配信限定シングル
    サントリー食品インターナショナル「サントリー天然水」「水の山行ってきた 奥大山」編CMソング
  11. 夕凪(4:44)
    ストリングスアレンジ:宇多田ヒカル・Simon Hale(ストリングス)
  12. 嫉妬されるべき人生(4:48)
    ストリングスアレンジ:宇多田ヒカル・Simon Hale(ストリングス)

批評家の反応[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
rockin'on肯定的[8]
MANTANWEB肯定的[9]
週刊朝日肯定的[10]

ロッキング・オンの高橋智樹は、「生きることそのものの奇跡と畏怖を描ききった傑作。」と称賛した[8]MANTANWEBの水白京は、さまざまな瞬間、節目における心情を表現した曲、生活感のある楽曲など一くくりにできない人間の情緒を浮き彫りにしているとコメント。「率直で、時に生々しいまでの作り手の感情が見え隠れする……。」、それが聴き手にとってもリアルに響き、共鳴するであろう楽曲たちだと批評した[9]。音楽評論家の小倉エージは、「週刊朝日」の連載において、「ファルセットが醸す不安感。“孤独”な内面をうかがわせる“陰り”のあるたたずまい。一方で、明快でリズミック、ストリングスを配したドラマチックな展開」と批評。私小説的な側面を見せつつ、まだ「半分、青い。」、そのあたりが彼女の魅力であり、たっぷりと伸びしろもあると人気ドラマのタイトルを引用して、宇多田のさらなる飛躍に期待を込めた[10]

チャート成績[編集]

Billboard Japanのアルバム・セールス・チャートTop Albums Salesでは、初動3日間で130,557枚、その後約7万枚売り伸ばして初週累計で207,263枚で、2018年7月9日付けのチャートで初登場首位を獲得[11]。同総合アルバム・チャートHot Albumsでは、同日付けのチャートで初登場首位を獲得。フィジカル、ダウンロード、ルックアップでも1位を獲得し、総合アルバム・チャートを構成する全指標を完全制覇する形で総合首位を獲得した。これは、2017年11月13日付の米津玄師BOOTLEG』以来、2018年では初となる快挙だった[12]。発売から2週目でさらに50,468枚を売り上げてフィジカル・セールス1位、ダウンロード、ルックアップでも1位を獲得し、前週に引き続き2位以下に大きな差をつける形で2週連続総合首位を獲得した[13]。7月23日付でフィジカル・セールスは1つ順位を落としたものの、ダウンロードで1位、ルックアップで1位と、この2指標では初登場から首位を堅守し、総合3週連続首位を獲得した。Hot Albumsでの3週連続首位獲得は、2017年11月20日付に初登場した安室奈美恵Finally」(2016年Hot Albums年間首位アルバム)以来[14]

オリコンの2018年7月9月付けの週間アルバムランキングで初登場首位を獲得。これによりアルバム1位獲得作品は通算9作目。1stアルバムから続く「オリジナル盤による1stからの連続1位獲得作品数」を7作連続とし、これまで6作で並んでいたBoAを上回り、女性ソロアーティスト歴代単独2位となった(同歴代1位は浜崎あゆみの9作連続)。また、2018年度のソロアーティストのアルバム初週最高売上を記録した[15]。 同日付けの週間デジタルアルバムランキングでも初登場首位を獲得。この2つのランキングの同時首位獲得は、秦基博桑田佳祐、米津玄師に次いで史上4作目で、女性ソロアーティスト作品としては史上初であった[16]

日本国外ではiTunesで全米のリアルタイムランキングで総合アルバムチャート最高位4位を記録したほか、日本を含む32ヶ国・地域でランクインし、J-POP/Worldのジャンルで日本を含め21ヶ国で1位を獲得した[17]

チャート(2018年) 最高
順位
フランス デジタル・アルバム・チャート(SNEP[18] 49
Japan Top Albums SalesBillboard[19] 1
Japan Hot Albums(Billboard)[20] 1
Japan Download Albums(Billboard)[21] 1
日本 週間アルバム(オリコン[22] 1
日本 週間デジタルアルバム(オリコン)[16] 1
韓国 国際週間(ガオン[23] 4
アメリカ ワールド・アルバム(Billboard[24] 3
アメリカ トップ・アルバム・セールス(Billboard)[25] 77

プロモーション[編集]

アルバムのプロモーション企画として、収録曲「パクチーの唄」を海外アーティスト「Superorganism[注 4]がカヴァーし、YouTubeにて公開[26]。またBuzzFeed Japanが運営する料理動画メディア・Tasty Japanとのコラボレーションによる4種のレシピ動画を配信し[注 5]、全国5都市で展開されるアルバム発売記念の期間限定コラボカフェではTasty Japanオリジナルレシピによるドリンクやフードが提供された[27]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ #2, 5, 10[1]
  2. ^ #1, 3, 4, 6-9, 11, 12[1]
  3. ^ デモの完成度は曲ごとにまちまちで、宇多田にかなりはっきりとしたアイディアがある曲はデモのサウンドをそのまま残すことが多く、ザックリしたアイディアしかない曲はスタジオにいるバンド・メンバーと一緒に変化させていく。
  4. ^ インターネットを介してイギリスニュージーランドオーストラリア韓国日本人Oronoが集結したSuperorganism=超個体を意味する8人組多国籍バンド。
  5. ^ このうち「パクチーノ」は宇多田が考案、本人も動画の冒頭に顔を隠した状態で登場した。また、開発の裏側が「うたマガ Vol.7」に掲載されている。

出典[編集]

  1. ^ a b CD盤面及びバックカバーの記載より。
  2. ^ a b 宇多田ヒカル、7thアルバム『初恋』全容を発表+『ペンギン・ハイウェイ』主題歌決定”. BARKS (2018年5月16日). 2018年6月28日閲覧。
  3. ^ a b c d e 今週の一枚 宇多田ヒカル『初恋』”. rockinon.com (2018年6月28日). 2018年7月3日閲覧。
  4. ^ 宇多田ヒカル新作ジャケ写は金字塔作品ほうふつ 6年越し「パクチーの唄」収録も判明”. オリコン (2018年5月16日). 2018年7月5日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g 宇多田ヒカルのニューアルバム『初恋』を手掛けたグラミー受賞エンジニア、スティーヴ・フィッツモーリスが語る『初恋』の音作り”. mora (2018年6月27日). 2018年6月28日閲覧。
  6. ^ a b c 宇多田ヒカル デビュー20年目突入。レーベル移籍後の意欲的活動を徹底検証”. エンタメステーション. ソニー・ミュージックエンタテインメント (2017年12月10日). 2018年6月28日閲覧。
  7. ^ 圧倒的な女性支持を集めるアリシア・キーズから、日米の今を分析(2ページ目)”. CINRA.NET (2016年12月2日). 2018年7月3日閲覧。
  8. ^ a b 「生きること」の奇跡と畏怖”. rockinon.com (2018年6月30日). 2018年7月3日閲覧。
  9. ^ a b 注目の新譜:宇多田ヒカル「初恋」 20周年を飾る7枚目のアルバム ドラマ曲など話題曲満載”. MANTANWEB (2018年6月28日). 2018年7月3日閲覧。
  10. ^ a b 宇多田ヒカルは半分、青い。新作『初恋』はデビュー作『First Love』とどう違う?”. AERA dot. (2018年7月6日). 2018年7月7日閲覧。
  11. ^ 【ビルボード】宇多田ヒカル『初恋』が207,263枚を売り上げアルバム・セールス首位”. Billboard Japan (2018年7月2日). 2018年7月5日閲覧。
  12. ^ 【ビルボード】宇多田ヒカル『初恋』が総合アルバム完全制覇 2018年初の快挙”. Billboard Japan (2018年7月2日). 2018年7月5日閲覧。
  13. ^ 【ビルボード】宇多田ヒカル『初恋』が総合アルバム2連覇 過去作もチャート上昇”. Billboard Japan (2018年7月11日). 2018年7月14日閲覧。
  14. ^ 【ビルボード】宇多田ヒカル『初恋』が総合アルバム3週連続で首位 関ジャニ∞『GR8EST』が再浮上”. Billboard Japan (2018年7月18日). 2018年7月22日閲覧。
  15. ^ 【オリコン】宇多田ヒカル、1stから7作連続首位 今年度ソロアーティストのアルバム最高初週売上”. オリコン (2018年7月3日). 2018年7月5日閲覧。
  16. ^ a b 【オリコン】宇多田ヒカル、女性ソロアーティスト初のCD&デジタルアルバム同時2冠”. オリコン (2018年7月4日). 2018年7月5日閲覧。
  17. ^ 宇多田ヒカル、アルバム『初恋』が国内外の複数チャートで首位獲得”. rockinon.com (2018年6月28日). 2018年7月3日閲覧。
  18. ^ Le Top de la semaine Top Albums Téléchargés - SNEP (in French). Syndicat National de l'Édition Phonographique. Retrieved July 3, 2018.
  19. ^ Billboard Japan Top Albums Sales”. Billboard Japan (2017年7月2日). 2018年7月5日閲覧。
  20. ^ Billboard Japan Top single sales”. Billboard Japan (2018年7月2日). 2018年6月29日閲覧。
  21. ^ Billboard Japan Download Albums”. Billboard Japan (2018年7月2日). 2018年6月29日閲覧。
  22. ^ 7/9付週間アルバムランキング1位は宇多田ヒカルの『初恋』”. オリコン (2018年7月4日). 2018年7月5日閲覧。
  23. ^ 2018년 31주차 Album Chart ガオンチャート. 2018年8月11日閲覧。
  24. ^ Billboard World Albums July 7, 2018)” (English). Billboard. 2018年7月3日閲覧。
  25. ^ Utada Hikaru Chart History” (English). Billboard. 2018年7月6日閲覧。
  26. ^ “アルバム「初恋」収録楽曲「パクチーの唄」を“Superorganism”がカヴァー!”. ソニーミュージック オフィシャルサイト. (2018年6月27日). https://www.sonymusic.co.jp/artist/utadahikaru/info/496229 
  27. ^ “Tasty Japanと宇多田ヒカル 7th Album『初恋』がコラボ”. PR TIMES. (2018年6月27日). https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000019238.html 

外部リンク[編集]