失敗国家
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失敗国家 (しっぱいこっか、failed state)、破綻国家(はたんこっか)もしくは崩壊国家 (collapsed state) とは、国家機能を喪失し、内戦や政治の腐敗などによって国民に適切な行政サービスを提供できない国家である。主に1970年代からアフリカなどの後発開発途上国で発生し、犯罪者やテロリストなどの温床となるため、国際問題となっている。代表的な例としてはスーダン、ソマリア、ジンバブエなどが挙げられる。
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[編集] 定義
失敗国家の定義については統一されたものはないが、ここではザートマンの定義を引用する。ザートマンによれば失敗国家には以下の三点の喪失が現れるとしている。
- 主権に基づく権威(正統性) (sovereign authority)
- 意思決定を行うための目にみえる組織 (tangible organization of decision-making)
- 統合の象徴となるべきもの (intangible symbol of identity)
この三点の喪失により国家の機能が停止し、国家性 (statehood) が喪失している状況にある国家が失敗国家となる。
[編集] 特徴
失敗国家の国民生活は例外なく悪化する。これは政府の無力、腐敗によって行政が機能しなくなり、警察、医療、電気、水道、交通、通信などの社会インフラが低下するためである。中でも治安は急速に悪化し、給料の遅配などにより軍隊や警察では職場放棄やサボタージュが発生する。軍や警察が自ら犯罪行為をすることも起こる。この治安の悪化により、生産力と国民のモラルが低下する。農民が土地を捨てて難民化し飢餓が蔓延したり、略奪などが日常化したりする。
名目的に存在する政府は腐敗しており、統治能力はほぼ無い。例えばソマリアのバーレ政権末期では、大統領官邸を中心にした数百メートルの範囲にしか支配力が及ばなかった。
その他の地域で支配力を行使しているのは軍閥 (warlord) など地域の有力者であり、彼らの持つ私兵集団である。これらの中には元は正規軍であったが兵士の給料の不払いなどが続いた結果、私兵化した者も多い。地方ごとに有力者が勝手に独自の軍事組織を持ち、その他にも大小さまざまの自警団や盗賊が出没する。失敗国家の政府は一般に、国際的に国家主体と認められ徴税権や ODAなどの利権を持っているだけであり、実態は私兵組織と変わらない事が多い。
[編集] 失敗国家とテロリストとの関係
失敗国家は国際的なテロリストの隠れ場所となる。テロリストを逮捕できるような出入国管理や警察力が無いからである。アル=カーイダは失敗国家の一つであるアフガニスタンに潜伏していた。また、最近ではソマリアがアルカーイダの拠点となっているともされ、実際にアメリカ軍やエチオピア軍による軍事行動も行われている。
[編集] その他
- 日本赤十字九州国際看護大学教授の喜多悦子は失敗国家を見分ける2つの簡単な基準として、「警察官や兵士の給料をきちんと払えていない国」と「教師の給料をきちんと払っていない国」を挙げている。
- 2005年から毎年、アメリカのシンクタンクの一つである平和基金会が失敗国家ランキングを発表している(下記外部リンクも参照)。
なお、2009年度のランキングにおける最下位、即ち最も安定した国とされているのはノルウェー(177位)である。ちなみに、アフガニスタンは7位、北朝鮮は17位、中国は57位、2008年度で中国と順位が同じだったエクアドルは69位、ロシアは71位、2008年度でロシアと同じ順位だったスワジランドは65位、韓国は153位、アメリカは159位。イタリア(150位)・ドイツ(157位)・フランス(158位)・イギリス(161位)らヨーロッパの先進諸国も特に安定した国としてランキングされている。そして日本(164位)はG8先進国では166位のカナダに次いで安定した国とされている。
また、日本は2008年まで安定した国に属していたが、2009年はランキングの総合得点が30点を超えたため、安定した国の1ランク下の普通の国家に属すこととなった。そして、2008年度と2009年度で最も悪化した指標はI-6の経済状況の悪化(Sharp and/or Severe Economic Decline )であり、+0.8ポイント上がっていた。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 松本仁一 『カラシニコフ』 朝日新聞社 2004年 ISBN 4-02-257929-3
- 伊勢崎賢治『武装解除』 講談社現代新書 2004年 ISBN 4-06-149767-7


