無政府状態

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無政府状態(むせいふじょうたい)は、国家などの社会集団において行政機関が存在しないか、形式的に存在しても実質的に行政機能が働いていないために社会秩序が保たれていない状態である。アナーキー(英語:Anarchyギリシア語ἀναρχία, anarchía, 「支配する者のない」より)ともいう。

概説[編集]

無政府状態は、革命内戦戦争などによって既存の行政機関が崩壊し、新たな行政機関が樹立されない場合に生じることが多い。旧行政機関の支配地域全体にわたって無政府状態が生じることもあれば、行政機関の支配が及ばない一部の地域のみが無政府状態となることもある。地震など大災害によって行政機関が一時的に壊滅状態に至った際に、局地的に無政府状態に陥る事もある(例:ハイチ大地震)。

歴史的に有名な無政府状態の例としては17世紀のイングランド内戦時のイングランドフランス革命時のフランス、1930年代のスペイン内戦時のスペイン、1991年頃以降のソマリアソマリア内戦)等があげられる。

17世紀-18世紀市民革命期には、政治体の発展過程を理論付けるために、人間の自然状態についての考察が盛んに行われた。トマス・ホッブズは『リヴァイアサン』において人間の自然状態を「万人の万人による闘争」であると説いた。これはあくまでも理論的な考察にすぎないが、政府がない状態においては社会秩序が保たれないという意味で人間の自然状態を無政府状態と位置づけるものであるといえる。

無政府主義[編集]

無政府状態(アナーキー)と似た言葉として無政府主義アナキズム)がある。あるいは同じく経済的立場から政府を否定する考え方として無政府資本主義がある。ただし、これらは秩序の存在を否定するものではない。アナキズムが反国家という場合の国家とは、権力機構、権力装置としての国家を指している。よって無政府状態とは全く異なるものである。これを無政府状態と混同して批判するような意見もあるが、まったくの誤解であるといってよい。

ただし、双方の違いを正しく認識した上で、アナキズムの主張通りに権力機構、権力装置がなくなれば弱肉強食の無秩序状態におちいるのは必然であるという批判は存在する。

関連項目[編集]