風が強く吹いている

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風が強く吹いている
著者 三浦しをん
イラスト 山口晃
発行日 2006年9月21日
発行元 新潮社
ジャンル スポーツ小説
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 512
コード ISBN 4104541044
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風が強く吹いている』(かぜがつよくふいている)は、三浦しをんによる、箱根駅伝を舞台にした日本小説。2006年9月22日に新潮社より刊行。新潮文庫より文庫版も刊行されている。

2007年には漫画化およびラジオドラマ化されたのに続き、2009年1月には舞台化、同年10月31日には実写映画が公開されるなど、各メディアで取り上げられている。

2010年、第1回ブクログ大賞文庫本部門大賞を受賞。

ストーリー[編集]

ある春の日、蔵原走(寛政大学1年)は、高校時代にインターハイを制覇したスタミナと脚力を生かして、万引き犯として逃走中に、清瀬灰二(寛政大学4年)につかまる。成り行きで清瀬が住むボロアパート・竹青荘(通称:アオタケ)に住むことになり、そのまま箱根駅伝を目指すことになる。だが、アオタケに住んでいる住人は、運動音痴のマンガオタク25歳のヘビースモーカーなど、とても走れるとは思えないものばかり。練習を重ねるにつれ住人達はタイムを縮めていくが、走は「適当に話を合わせておけばいいや」ぐらいしか思っていなかった。

そんなある日、走と清瀬が衝突、その直後に清瀬は過労と貧血で倒れてしまう。清瀬は、「強くなれ」と走に言う。

合宿を経て、ついに予選会に出場し、走は甲府学院大のイワンキを抑え、3位でフィニッシュ。他の9人も力走を見せる。そして、結果発表。

たった10人、しかも寄せ集めの陸上部員達。果たして、彼らは本当に「箱根駅伝」に出場できるのか?

登場人物[編集]

寛政大学[編集]

架空の大学で、小田急線祖師ヶ谷大蔵駅成城学園前駅京王線千歳烏山駅が最寄り駅という設定。

ハイジ(清瀬灰二・キヨセハイジ)
ラジオ:野島健児 / 舞台:黄川田将也 / 映画:小出恵介
文学部4年生。第10区走者。駅伝チームの主将。陸上競技部の寮である「竹青荘(ちくせいそう、通称:アオタケ)」での食事や掃除、その他の雑用をはじめ、陸上部員の健康管理やトレーニングメニューなどを仕切っている。人の心を操るのが上手。高校1年生で5000mを14分10秒台で走るランナーだった。しかし練習中に脚に違和感を覚えるようになり、監督であった父に相談することもできず、結果右膝を剥離骨折し手術している。カケルの走りを偶然目にし、寛政大学の陸上部にスカウトする。出雲中央高校(漫画では出雲一高)出身。
映画版では寛容かつ時には厳しい人物として、カケルらを指導し箱根出場へと導く。自身もカケルとのダブルエースの一角として本戦でアンカーを担当し、途中で剥離骨折が再発するアクシデントに見舞われながらも必死の思いでゴール、シード権獲得を果たした。
カケル(蔵原走・クラハラカケル)
ラジオ:今井翼 / 舞台:和田正人 [1]/ 映画:林遣都
社会学部1年生。第9区走者。かっとなりやすい性格。高校2年生で5000mを13分50秒台という驚異的な速さで走る天才ランナーだったが、所属していた陸上部の勝利至上主義の監督とそりが合わず、問題を起こす。その結果、陸上部は出場停止処分、本人は退部。大学に進学してからも走る事は捨てられず、当初は陸上部に所属することなく一人で走り続けていたが、ハイジとの出会いで運命が大きく変わる事となる。仙台城西高校出身。
映画版ではハイジに勧誘され、なし崩しのような形で陸上部に入部し箱根を目指す。走ることについては文句なしのエースだが、人間的に未熟な点が多く部員と衝突を重ねた。しかし、ハイジらとの日々で大きく成長。本戦では先にタスキを繋いだ六道大・藤岡の区間新記録を塗り替えチームに大きく貢献した。
キング(坂口洋平・サカグチヨウヘイ)
ラジオ:西脇保 / 舞台:瀧川英次 / 映画:内野謙太
社会学部4年生。第8区走者。クイズ番組が大好きで、そこで得た知識は多才である。しかし、小心者のため、今まで一回もクイズ番組に出場したことはない。漫画版では関西出身の設定になっており、関西弁を喋る。高校時代はサッカー部に所属していた。
映画版では常にクイズの回答者のような帽子(付属のボタンを押すと頭頂部のランプが点滅する)をかぶっており、発言時には必ずボタンを押してから喋り始める。戦力として数えられるレベルにはあるものの、王子を除いた部員の中では最も遅い。また本当は暗い性格にも関わらず、周囲に馴染むために無理やり明るく振舞っていた。しかし、カケルが部内で大ゲンカを巻き起こした際にはこれらの悩みを吐露し本心で語り合ったことが彼を成長させた。
ニコチャン(平田彰宏・ヒラタアキヒロ)
ラジオ:田中一成 / 舞台:鍛治直人文学座) / 映画:川村陽介
理工学部3年生。第7区走者。ハイジよりも1学年下だが2年間浪人をして入学、その後も取得単位不足で2年留年しているため、年齢はハイジよりも3歳年上。しかし現在もレポートなどの作成をハイジに頼っている。高校時代は陸上部に所属していたが、大学入学を機に陸上から離れた。常に寮の自室を煙草の煙で充満させているようなヘビースモーカーだったが、駅伝参加へ向けて本格的な練習が始められたのを機に禁煙した。また、煙草を吸いたい気持ちを紛らわせるために作り始めた針金人形が、後に思わぬ恩恵をもたらすことになる。あだ名の「ニコチャン」はニコチンにちなんだもの。
映画版では急造チームの一員として、ハイジへの恩もありしっかりと役目を果たす。またキングの回答ボタンを制作してあげるなど、後輩の面倒見も良い。
ユキ(岩倉雪彦・イワクラユキヒコ)
ラジオ:三宅淳一 / 舞台:粕谷吉洋 / 映画:森廉
法学部4年生。第6区走者。3年の時、司法試験に合格した秀才だがそのせいでアルバイトが出来ず、お金の工面をハイジに頼っている。母親は再婚したため、10年以上離れた年下の妹がいる。高校時代は剣道部に所属していた。
映画版では当初、他の部員を「素人」と見下していたカケルと衝突。しかし翌日には高レベルなジョッグを披露した上で彼を優しく諭し、これを機にカケルは部員に理解を示すようになる。本戦ではペース配分に優れる点が評価され、高低差の激しい6区を担当。自分のペースを忘れ失速していく他大学のランナーを次々に抜き去り期待に応えた。
神童(杉山高志・スギヤマタカシ)
ラジオ:沼田祐介 / 舞台:渋江譲二 / 映画:橋本淳
商学部3年生。第5区走者。地方出身で山を2つ越えて学校に通っていた。人口の少ない田舎では何をやっても一番だったことから「神童」というあだ名がついた。映画版では秋田県出身の設定。
映画版では部内でも上位の実力を身につけ、前述の背景もあり"山登り"と呼ばれる急坂が続く5区(往路アンカー)に抜擢される。しかし当日に体調を崩し、完走はしたもののチームに大ブレーキをかけてしまう。自責の念に苛まれていたが、決して彼を見捨てないチームメイトや両親からの励ましの言葉を受け立ち直った。彼が最悪のコンディション下で必死にタスキを繋いだことが、シード権獲得に大きな意味を持つこととなる。
ジョージ(城次郎・ジョウジロウ)
ラジオ:菅沼久義 / 舞台:高木心平 / 映画:斉藤祥太
1年生。第4区走者。無邪気な性格である。純粋にカケルの走りに憧れているようだ。高校時代はサッカー部に所属していた。
映画版では、初対面のカケルにわざと自身とジョータを逆に紹介。馴れ馴れしさを嫌ったカケルにいきなり怒られるが、翌日からは何事もなかったかのように迎え入れるなど寛大な面を持つ。
ジョータ(城太郎・ジョウタロウ)
ラジオ:根本幸多 / 舞台:高木万平 / 映画:斉藤慶太
1年生。第3区走者。ジョージの双子の兄。ジョージのことを一番よく知っている。高校時代はサッカー部に所属していた。
映画版では、初対面のカケルにわざと自身とジョージを逆に紹介。馴れ馴れしさを嫌ったカケルにいきなり怒られるが、翌日からは何事もなかったかのように迎え入れるなど寛大な面を持つ。
ムサ(ムサ・カマラ)
ラジオ:山本圭一郎 / 舞台:デイビット矢野 / 映画:ダンテ・カーヴァー
理工学部2年生。第2区走者。流暢な日本語を操る黒人留学生。ただし普通の留学生(国費留学生)であり、陸上経験はない。
映画版ではハイジの計画に「黒人の足が速いというのは偏見です」と反論し、自分では戦力にならないと訴えた。しかしアオタケの居心地の良さと、ハイジの人望もありすぐに翻意し箱根を目指す。直前の記録会では14分台でフィニッシュするまでに成長し、本戦では各校のエースが集う2区で7人抜きの大活躍。シード権獲得の立役者となる。
王子(柏崎茜・カシワザキアカネ)
ラジオ:坂熊孝彦 / 舞台:松本慎也Studio Life) / 映画:中村優一
文学部2年生。第1区走者。漫画オタクで、部屋は漫画で埋め尽くされている。大学内では漫画研究会に入部している。メンバーの中では一番足が遅く、運動神経も鈍いため、練習でもその克服がチーム内での課題となっていた。端整な顔立ちをしていることから「王子」というあだ名がついた。
映画版でも部における劣等生として登場し、当初はウォームアップにさえついてこられなかった。物語中盤では実力不足をカケルから批判され、擁護した部員との間で発生した大ゲンカを見て「どうして(ランナーが)僕なんだ」「代わりを探してくれ」と涙ながらに訴える。しかし先輩らの助けもあり、本気で箱根を目指そうと改心してカケルとも和解し必死のトレーニングに励む。本戦ではプレッシャーから逃げなかった精神的な強さを評価され、最も注目の集まる1区に起用された。区間順位こそ最下位ではあったが、他大学のレギュラーと遜色のない走りでタスキを繋ぎ立派に役目を果たした。
勝田葉菜子(カツタハナコ)
ラジオ:吉田仁美 / 舞台:近野成美 / 映画:水沢エレナ
文学部1年生。駅伝チームのマネージャー。美人でチームのマドンナ的存在。竹青荘近所の八百屋「八百勝」の娘。双子(ジョータ・ジョージ)に想いを寄せている。漫画版の設定ではマネージャーになるまでは茶道部だったことになっている。カケルとは顔なじみ。
映画版では「勝田食堂」という定食屋の娘で、ハイジと知り合いだった。

その他の登場人物[編集]

藤岡一真(フジオカカズマ)
ラジオ:竹本英史 / 舞台:伊藤高史 / 映画:渡辺大
名門・六道大学陸上部4年生。同大学第9区走者。ハイジとは高校時代、陸上部のチームメイトだった。カケルのライバルにもなる。
榊浩介(サカキコウスケ)
ラジオ:松本考平 / 舞台:荒木宏文 / 映画:五十嵐隼士
東京体育大学1年生。同大学第8区走者。カケルとは高校時代の同級生で同じ陸上部だった。しかしカケルが部内で問題を起こし高校最後の試合に出場できなかったため、それ以来カケルに辛くあたる。
映画版では第10区走者に変更されている。
田崎源一郎(タザキゲンイチロウ)
ラジオ:矢田耕司 / 舞台:花王おさむ / 映画:津川雅彦
竹青荘の大家。寛政大学のOBで、駅伝チームの監督。ハイジ曰く過去は寛政大の名コーチとして知られていた。
勝田慎吾(カツタシンゴ)
ラジオ:龍田直樹 / 舞台:樋渡真司
八百屋「八百勝」の店主で葉菜子の父親。後援会代表。
映画版では「八百勝」が定食屋に変更されており登場しない。

映画[編集]

風が強く吹いている
監督 大森寿美男
脚本 大森寿美男
原作 三浦しをん
出演者 小出恵介
林遣都
中村優一
川村陽介
橋本淳
森廉
内野謙太
ダンテ・カーヴァー
斉藤慶太
斉藤祥太
音楽 千住明
撮影 佐光朗
編集 田中愼二
配給 松竹
公開 日本の旗 2009年10月31日
上映時間 133分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 4.5億円[2]
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2009年10月31日公開。配給は松竹。主演は小出恵介林遣都

出演[編集]

主要なキャストは、上記の登場人物の項を参照のこと。

スタッフ[編集]

  • 原作:三浦しをん
  • 企画:鈴木光
  • プロデューサー:坂本忠久
  • 脚本・監督:大森寿美男
  • 音楽:千住明
  • 音楽プロデューサー:長崎行男
  • 撮影:佐光朗
  • 照明:加瀬弘行
  • 美術:小澤秀高
  • 装飾:西渕浩祐
  • 録音:林大輔
  • 音響効果:伊藤進一
  • 編集:田中愼二
  • スクリプター:湯澤ゆき
  • 衣装:川崎健二
  • ヘアメイク:井川成子
  • ラインプロデューサー:森太郎
  • キャスティングプロデューサー:名須川伸吾
  • VFXプロデューサー:石井教雄
  • 監督補:中西健二
  • 助監督:猪腰弘之
  • 制作担当:関浩紀、松井聡子
  • 競技指導:日隈広至
  • 監督助手:清水勇気、渡邊祐示
  • 撮影補:原田幸治
  • 撮影助手:平林利徳、眞田慧子、田村ゆう子
  • 特機:小窪美佳
  • カースタント:野呂真治、永田崇明
  • 照明助手:高橋幸司、石井久友、鈴木祐介、児玉淳、三浦大輔
  • 録音助手:田中博信、三木雄次郎、清水雄一郎、鈴木綾磨、田辺正晴(夏期)、山田美穂(夏期)
  • 選曲:浅梨なおこ
  • 編集助手:山添典子
  • ネガ編集:渡辺顕一郎
  • 美術助手:渡邉由利、朝倉麻理子
  • 装飾助手:飯沼明広
  • 持道具:山下千尋
  • 衣裳:新井正人、松山さと子
  • ヘアメイク助手:秋山直子
  • コンテ:相馬宏充
  • スチール:松木修
  • 俳優担当:高屋隆太
  • 演技事務:渡辺理恵
  • エキストラ担当:村山和之、土屋圭
  • 車両:荻島正雄、藤井英二
  • 照明機材車オペレーター:鈴木英士
  • 制作主任:大田康一
  • 制作進行:池田南、後藤一郎、湯澤布由子
  • 制作経理:澤美知子、木村聖、渡辺正子
  • 制作デスク:川崎いづみ
  • 製作:「風が強く吹いている」製作委員会(松竹光和インターナショナルバンダイビジュアルキノシタ・マネージメント博報堂DYメディアパートナーズ読売新聞京王エージェンシー衛星劇場

ロケ地[編集]

テレビ放映[編集]

漫画[編集]

海野そら太の作画により、2007年から『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて連載された後、『月刊ヤングジャンプ』(集英社)に移行して2008年9月号から2009年12月号まで連載が続けられた。ストーリーは原作小説にほぼ沿っている形だが、高校時代のシーンや駅伝シーンは新たに設定をしなおされていたり、寛政大学とシード権を争う東京体育大学の面々の設定・登場人物の背景なども掘り下げられて描かれている。単行本は全6巻(集英社ヤングジャンプコミックス)。

ラジオドラマ[編集]

箱根駅伝応援スペシャルとして、2007年12月24日から28日まで5日連続で文化放送にて放送された。

舞台劇[編集]

アトリエ・ダンカンプロデュースで 2009年1月から 2月にかけて、東京、富山、名古屋、仙台、大阪、福岡で公演された。公演の模様はWOWOWで2009年7月27日に放送され、2009年10月28日にDVDとして発売された。

スタッフ[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 日本大学の選手として、実際に9区を走った経歴を持つ(第76回(2000年)、第78回(2002年))
  2. ^ 「2009年 日本映画・外国映画 業界総決算 経営/製作/配給/興行のすべて」、『キネマ旬報2010年平成22年)2月下旬号、キネマ旬報社2010年、 173頁。
  3. ^ 本番の駅伝の合間に放送
  4. ^ 同日日中にはライバル局の青森放送で「本番の駅伝」が放送されていた。また、協力にTBS系列外キー局が入ったことから、エンディングのスタッフロールは、「日テレ・読売グループ」を削除した最低限のものしか流さなかった。

外部リンク[編集]