チョコレート・アンダーグラウンド
『チョコレート・アンダーグラウンド』は、イギリスの人気作家アレックス・シアラー著の少年、少女向けのファンタジー小説、冒険小説。それを原作としたアニメ、コミック。
元々は、イギリスのBBCの子供向け連続テレビドラマとして創作されたが、評判となり小説化された。原題は、「Bootleg」(密造、密売という意味)で、日本で出版される際に、作家の許諾を得て出版元の求龍堂編集部が題名を変えてだしたところヒット作品となった。その後、ミューズ・インター社が博報堂の支援を受けてアニメ映画化を進め、この過程で集英社からコミック化も実現した。
あらすじ[編集]
舞台は、ヨーロッパのどこかの国。国民が、義務であるべき投票に行かなかったせいで、選挙で勝利をおさめた健全健康党がチョコレート禁止法を発令。チョコレートをはじめとするお菓子や飲み物を健康に悪いという理由だけで禁止した。こんなおかしな法律に従えるか!と、子供たちが立ち上がってレジスタンスを起こし、チョコレートの密造・密売を始める。
書誌情報[編集]
小説[編集]
2004年5月に、求龍堂から金原瑞人により翻訳され出版された。
- チョコレート・アンダーグラウンド - ISBN 4-76-300420-4
コミック[編集]
- 山川あいじ 『チョコレート・アンダーグラウンド』[注 1](集英社 マーガレットコミックス / 2008年10月24日発売)ISBN 978-4-08-846349-0
- 『別冊マーガレット』(2008年2月号 - 2008年7月号)全国書誌番号:00021631。
DVD[編集]
- 『チョコレート・アンダーグラウンド ぼくらのチョコレート戦争』(パラマウント ジャパン 2009年9月25日 / 品番:PPA-200001)全国書誌番号:21660863
アニメ[編集]
『チョコレート・アンダーグラウンド~ぼくらのチョコレート戦争~』としてアニメ化された。小説を原作としているが、シアラーの許諾を得たうえで、主人公に少女を加え、ストーリーも脚色されたオリジナルアニメになっている。2009年1月31日に、バレンタインキャンペーン用のガーナチョコ版が劇場公開された。これに先立ち、ソフトバンクモバイルとYahoo!動画で2008年6月より無料配信を行った。オリジナルアニメを劇場公開前に、携帯とネットでフルストーリーを配信するのは、世界初の試みであった。
スタッフ[編集]
- 監督:浜名孝行
- 特殊効果:長谷川敏生
- CG監督:磯部兼士
- 脚本:吉村清子
- 撮影監督:だいけんいち
- メインキャラクター原案:山川あいじ
- 編集:植松淳一
- キャラクターデザイン・作画監督:後藤隆幸
- 音響監督:平光琢也
- メカニックデザイン:岩永悦宜
- 音楽:SUPA LOVE
- 美術監督:明石聖子
- アニメーション制作:プロダクションI.G・トランス・アーツ
- 色彩設計:赤間三佐子
- 美術:スタジオ・ユニ
- オープニングテーマ「健全健康党 党歌」
- 主題歌「MAKE UP」(西野カナ)
- 挿入歌「Kirari」(西野カナ)、「I give you one more chocolate」(岡嶋かな多)
- プロデューサー:木森一隆、白川洋次郎、八木昭二、尾崎健史、山田英久、森下勝司、森田俊昭
キャラクター[編集]
- ハントリー・ハンター
- 声:豊永利行
- 主人公の一人。冷静で頭のよいチョコレートが大好きな中学三年生。スマッジャーとは親友。ルイーズからチョコレートの密売人達が開催している「アンダーグラウンドチョコレートパーティ」の噂を聞かされ、スマッジャーと共に真偽を確かめるべくその場所へ赴く。暗号を解き、チョコレートバーに辿り着くも、直後にチョコレート警察の襲撃を受けてしまう。しかし脱出の際に偶然にもカカオや砂糖などと言ったチョコレートの原材料を手に入れ、新たなチョコレートバー「チョコレート・アンダーグラウンド」を設立することを決意する。
- スマッジャーが逮捕された後、密告者であるフランキーと対決して改心させる。ブレイズらと共に健全健康党に戦いを挑み、一時は対策本部長に追い詰められて窮地に陥るも、スマッジャーとの連携で勝利。最後はテレビを通じてチョコレートの思い出を国中に語り、自由とチョコレートを勝ち取った。
- スマッジャー・ムーア
- 声:水沢史絵
- 主人公の一人。元気活発で正義感の強い中学三年生。パン屋の息子で、チョコレートも大好き。ハントリーとは親友。健全健康党党歌の替え歌を堂々と歌うなど、体制への不満を隠そうとしない。ハントリーと共にチョコレートの原材料を手に入れ、チョコレートバーの設立を実行する。パン屋の息子だけあって、菓子作りは得意。
- バーの経営に慎重なハントリーを諭して営業を続けようとするも、フランキーの密告によってバーはチョコレート警察に襲撃され、敵を食い止めていた為に逃げ遅れたスマッジャーは逮捕されてしまう。その後、収容所でデイブと再会。ハントリー達の決起に便乗して囚人達と共に収容所を脱獄し、ハントリーらと合流。撲滅モードに入ったネオ・カカオに追われるも、チョコレートを感知する機能を逆手に取って破壊に成功し、戦いに終止符を打った。
- ルイーズ・バビ
- 声:高橋美佳子
- 主人公の一人であり、アニメオリジナルのヒロイン。チョコレート屋の看板娘で、チョコレートをとても愛する元気活発な16歳の高校生(初登場時のみ学校の制服を着ている)。スマッジャーとハントリーとは友人であり、よきお姉さん的存在でもある。二人に好意を持たれているが、彼女自身はジョン・ブレイズにあこがれている。当初は手作りバレンタインチョコの為のチョコレートを欲しがっていたが、スマッジャーとハントリーが渡す相手が誰なのか問い詰めてきた為、誤魔化す為にチョコレート密売人の噂を話す。それが全ての始まりとなった。
- 原材料を手に入れたスマッジャーとハントリーからチョコレート作りを持ち掛けられ、その作り方を調べる為にブレイズの古本屋を紹介。彼等と共にチョコレートを作り上げ、チョコレートバー開設に協力する。その途中に17歳の誕生日を迎え、バーを上げてのパーティーが開かれた。
- 最終局面にてブレイズ、ハントリーと共に決起し、健全健康党の真実を明かす為にスタジオに向かうが、立ちはだかったネオ・カカオに捕われてしまう。暴れた彼女の足がコントローラーのコードに引っ掛かり、その拍子でネオ・カカオの撲滅モードが起動。ルイーズも危機に晒されるがハントリーに助けられる。人々の声援の中、自由とチョコレートを取り戻したスマッジャーとハントリーにキスをし、後日、ブレイズとスマッジャーとハントリーの三人にそれぞれバレンタインチョコを渡した。
- ジョン・ブレイズ
- 声:鈴木達央
- 古本屋の店主。クールなチョコレート好き。アンダーグラウンドチョコレートパーティのメンバーの一人で、バーの場所を記した暗号を考案した人物である。バー壊滅後はハントリー、スマッジャー、ルイーズに協力し、新たなチョコレートバーとして自身の店の地下室を提供する(本を守る為の防湿材がチョコレートの探知レーダーを防ぐ為)。格闘にも精通しており、数人のチョコレート警察に一斉に襲い掛かられても返り討ちにしている。
- バー襲撃後は収容所を襲い、健全健康党に戦いを挑む。テレビ局をジャックして健全健康党の真実を暴露しようとしたが、その途中でネオ・カカオに襲われ、トラックの残骸によって負傷して身動きが取れなくなる。戦いが終わった後はルイーズからバレンタインチョコを貰った。
- バビおばさん
- 声:森ひろ子
- チョコレート屋の店主。今の世の中を作ったのは選挙に無関心な自分たち大人の責任であると考えており、最後の戦いでは大人達を鼓舞し、チョコレート警察に果敢に立ち向かう。
- カイリー・ムーア
- 声:中川里江
- スマッジャーの妹。兄とチョコレートが大好き。スマッジャー達のチョコレートバー設立に際してチョコレートの製造に参加する。兄が逮捕されると体制に従うしか出来ない両親を叱咤し、その後はパン作りを再開した父を手伝った。
- デイヴ・チェン
- 声:知桐京子
- ハントリーとスマッジャーの同級生。アンダーグラウンドチョコレートバーの参加者だったが、襲撃時にスマッジャーがデイブの名を叫んでしまった為に身元がばれ、対策本部長に逮捕される。後に収容所にて同じく逮捕されたスマッジャーと再会。共に脱出を目指す。
- フランキー・クローリー
- 声:金田アキ
- スマッジャー達のクラスのクラス委員長。冷徹な性格で、健全健康党に忠実。しかしそれはチョコレート警察に捕われた兄の為に健全健康党に従わざるを得なかった為である。スマッジャー達のバーの存在に気付き、兄の為を思って健全健康党に密告する。その結果、スマッジャーは逮捕され、やがて良心の呵責に苦しむことになる。密告に気付いたハントリーに決闘の末、敗れて改心。ヘルシー党首に直接立ち向かうと言う困難な役割を引き受け、レジスタンスとしての「チョコレート・アンダーグラウンド」を率いてヘルシー党首に辞職要求を突き付けた。彼の持っていた花束に仕込まれていた隠しカメラによって、健全健康党の正体はネットを通じて知れ渡った。その後、救出された兄と再会する。
- マートル・パーキンス
- 声:秋谷智子
- スマッジャー達のクラスの副委員長。口うるさく、健全健康党に忠実だが、どちらかというと大人の決めたことに黙って従う性格らしく、物事の善悪については深く考えない。フランキーが改心した後は共にチョコレート・アンダーグラウンドに参加し、健全健康党に立ち向かった。
- ジョー・クローリー
- 声:津田健次郎
- フランキーの兄。健全健康党の悪事を暴く為に行動していたが、チョコレート警察に逮捕され、収容所に送られた。現体制に異を唱えた事から囚人達の中でも特に重い刑罰を受けていたが、スマッジャー達に救出され、最後は聴衆の前でヘルシー党首を糾弾した。その後、弟と再会を果たす。
- ロン・ムーア
- 声:藤原啓治
- スマッジャーの父でパン屋を営む。元々は人々を笑顔にするパンを作っていたが、現在では健全健康党の定めた法律により不味い健康パンしか作れず、そのもどかしさから子供達にもつい辛く当ってしまっている。しかし実はパンの材料を隠し持っており、スマッジャー達が戦っている様子に応えるようにパン作りを再開し、町の人に配った。
- トリーシャ・ムーア
- 声:藤葉愛香
- スマッジャーの母。健全健康党の政策によって変わってしまった家族を心配している。
- キャロル・ハンター
- 声:坂本真綾
- ハントリーの母。未亡人で、夫(ハントリーの父)は味にうるさい人物だったらしい。まずい健康食品でも息子においしい料理を食べさせたい一心で工夫を重ねている。
- ヘルシー党首
- 声:西凜太朗
- 健全健康党党首。チョコレートを含むあらゆるお菓子、その他関連食品を禁止し、更に国民の健康のためと嘯いて不味い健康食品の飲食を強制した元凶。自身の出演する健全健康党のCMを強制的に国民に見せており、このCMの間はチャンネル変更は勿論、電源を切ることも音量を下げることすらも出来ない。
- 国民が選挙に無関心なのを良い事に票を伸ばし、当選するや否や現在のような体制を作り上げた。健全健康という建前の裏では健康食品メーカーとの癒着によって暴利を貪っており、逆らう者は容赦なく収容所送りにしている悪党である。
- 最後の戦いで自身の悪行の全てを暴かれるも、自分を選んだのは国民であり自分は宣言した通りの政策を推し進めただけだと開き直り、聴衆を全て収容所送りにしようと目論んだが、フランキーによってそれまでの様子が全てネットに流されていた為、失脚。悪あがきにフランキーに襲い掛かるのも虚しく、子供達にカーペットから滑り落とされて気絶し、逮捕された。
- 対策本部長
- 声:小西克幸
- チョコレート警察を率いる男。秩序こそ全てと考えており、それに少しでも逆らう者は全て不健全として排除しようとする。健全健康党に忠誠を誓っていると言うよりは、民衆が選んだ以上は健全健康党こそが絶対的な秩序であると言う考え方であり、それに反抗する者を「法を犯すクズ」と見做している。
- 戦闘兵器ネオ・カカオを操り、スマッジャー達に襲い掛かるも、ルイーズが暴れたことで偶然にもネオ・カカオの制御を失う。そのネオ・カカオもスマッジャーの機転で破壊されるが、それでも諦めずハントリーとスマッジャーに銃を向ける。しかし国民達の自由とチョコレートを求めるシュプレヒコールによって戦意を喪失し、降参する。その後は改心したのか交通整理と言う形で秩序を守っている。
チョコレート・アンダーグラウンド製作委員会[編集]
ヘキサゴン、SMEレコーズ、博報堂、ミューズインター、ウォーターマーク、OCC[要曖昧さ回避]、セルシス、映画専門大学院大学、C.U.G.投資組合(ジェイビック・ベンチャーキャピタル)
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ アニメを原作として作られている。
出典[編集]
外部リンク[編集]
- チョコレート・アンダーグラウンド ぼくらのチョコレート戦争 - NBCユニバーサル ANIME 公式サイト(DVD・レンタル商品(2009年9月25日発売))(日本語)
- チョコレート・アンダーグラウンド ぼくらのチョコレート戦争 スペシャル・エディション - NBCユニバーサル ANIME 公式サイト(DVD・セル商品(2009年9月25日発売))(日本語)