社会的責任投資

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社会的責任投資(しゃかいてきせきにんとうし)とは、株主としての立場・権利を行使して、経営陣に対し、CSRに配慮した経営を求めていく投資のことを言う。

目次

[編集] 概要

一般には、社会的責任投資(SRI:Socially responsible investment)とは企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)の状況を考慮して行う投資のことである[1]

広義には企業の経済状況以外の社会的価値観に基づいて投資先を選択して投資する手法もSRIと呼ぶ。このようなSRIの代表的な例としては、キリスト教やイスラム教などの宗教団体が投資を行う際に、各宗教の教義にそぐわない企業を投資先から排除したものが挙げられる。

研究者等の間では、企業・組織・人々等に社会的な存在としての責任を果たさせようとするために行う投資全般をさし、健全なお金の流れを造ることによって持続可能な社会を構築することを目的としたものと考えられている。

社会的責任の評価基準の例としては、法令順守、労働等組織内の問題だけでなく、環境、雇用、健康・安全、教育、福祉、人権、地域等さまざまな社会的問題への対応や積極的活動が挙げられている。

[編集] 世界のSRI

日本国内のSRI資産残高は約2740億円(2007年6月)で推移しており、世界全体では300兆円以上のSRI資産が運用されている。

[編集] 日本のSRIの状況

2007年6月12日時点で運用されている日本のSRIとその資産残高は2740億円、確認できたSRIは40種類存在している。(モーニングスター、Yahoo Financeデータより)

設定日 運用会社 ファンド名称 愛称 純資産(百万円)2006/7/14 純資産(百万円)2007/6/12 調査機関
1990/6/25 野村アセットマネジメント (レインボーF) 地球環境ファンド - - 3,964 ?
1999/8/20 日興アセットマネジメント 日興エコファンド 日興エコファンド 40,239 36,163 グッドバンカー
1999/9/30 損保ジャパン・アセットマネジメント 損保ジャパン・グリーン・オープン ぶなの森 16,575 23,555 損保ジャパン・リスクマネジメント
1999/10/29 興銀第一ライフ・アセットマネジメント エコ・ファンド エコ・ファンド 5,403 5,599 グッドバンカー
1999/10/29 UBSグローバル・アセット・マネジメント UBS日本株式エコ・ファンド エコ博士 3,527 3,109 日本総合研究所
2000/1/28 三菱UFJ投信 エコ・パートナーズ みどりの翼 2,561 2,726 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
2000/9/28 朝日ライフ アセットマネジメント 朝日ライフSRI社会貢献ファンド あすのはね 4,664 5,071 stock at stake
2000/10/31 三井住友アセットマネジメント エコ・バランス 海と空 1,246 1,276 インターリスク総研
2000/11/17 日興アセットマネジメント 日興グローバル・サステナビリティ・ファンド globe A 965 1,006 SAM
2000/11/17 日興アセットマネジメント 日興グローバル・サステナビリティ・ファンド globe B 529 487 SAM
2001/6/15 大和住銀投信投資顧問 グローバル・エコ・グロース・ファンド MrsグリーンA 1,253 1,329 Inovest Strategic Value Adviser
2001/6/15 大和住銀投信投資顧問 グローバル・エコ・グロース・ファンド MrsグリーンB 2,113 2,607 Inovest Strategic Value Adviser
2003/4/25 東京都教職員互助会 - 年金基金向け - - グッドバンカー
2003/7/31 住友信託 - 年金基金向け - - 日本総合研究所
2003/11/7 UBSグローバル・アセット・マネジメント UBSグローバル株式40 UBSグローバル株式40 3,553 3,946 UBS AG
2003/12/26 住信アセットマネジメント 住信SRI・ジャパン・オープン グッドカンパニー 54,714 52,851 日本総合研究所
2004/2/27 住信アセットマネジメント すみしん DCグッドカンパニー グッドカンパニー - 1,743 日本総合研究所
2004/4/1 しんきんアセットマネジメント投信 フコクSRI(社会的責任投資)ファンド 確定拠出年金 4,119 4,328 富国生命投資顧問、パブリック リソース センター
2004/5/20 大和証券投資信託委託 ダイワSRIファンド ダイワSRIファンド 9,916 9,391 インテグレックス
2004/5/28 野村アセットマネジメント 野村グローバルSRI 100 野村世界社会的責任投資 3,561 4,879 FTSE
2004/5/28 野村アセットマネジメント 野村世界SRIインデックスF(確定拠出年金) 確定拠出年金 - 72 FTSE
2004/7/20 大和住銀投信投資顧問 DC・ダイワ SRIファンド - - 44 インテグレックス
2004/7/30 野村アセットマネジメント モーニングスターSRIインデックス・オープン つながり 3,150 3,104 パブリック リソースセンター
2004/7/30 野村アセットマネジメント 野村日本SRIインデックスF(確定拠出年金) 確定拠出年金 - 16 パブリックリソースセンター
2004/8/1 中央三井アセットマネジメントメント 中央三井SRIファンド(適格機関投資家専用) 確定拠出年金 - - インテグレックス
2004/12/3 三菱UFJ投信 三菱UFJ SRIファンド ファミリー・フレンドリー 2,456 4,542 グッドバンカー
2005/3/18 AIG投信投資顧問 AIG-SAIKYO 日本株式CSRファンド すいれん 5,903 3,364 IRRC
2005/3/18 AIG投信投資顧問 AIG/ りそな ジャパンCSRファンド 誠実の杜 13,729 14,001 IRRC
2005/3/25 損保ジャパン・アセットマネジメント 損保ジャパン・SRIオープン 未来のちから 1,538 1,783 パブリック リソースセンター、損保ジャパン・リスクマネジメント
2005/4/28 AIG投信投資顧問 AIG/ひろぎん 日本株式CSRファンド クラスG 619 678 IRRC
2005/8/12 日本投信 SRIオープン - 2,532 ?
2005/11/11 コメルツ投信投資顧問 アジアSRIファンド - - 105 ?
2005/12/22 興銀第一ライフ・アセットマネジメント DIAM 高格付けインカム・オープンSRI ハッピークローバーSRI - 1,550 インテグレックス
2006/3/9 大和証券投資信託委託 ダイワ・エコ・ファンド ダイワ・エコ・ファンド 53,310 64,669 日本総合研究所
2006/5/26 興銀第一ライフ・アセットマネジメント 自然環境保護ファンド 尾瀬紀行 - 4,157 インテグレックス
2006/6/12 住信アセットマネジメント 日本株式SRIファンド - - 5,704 日本総合研究所
2006/9/27 大和証券投資信託委託 『しがぎん』SRI三資産バランス OHみらい - 1,008 インテグレックス
2006/11/30 中央三井アセットマネジメント 三井トラスト社会的責任ファンド SRI計画 - 1,525 インテグレックス
2006/12/8 しんきんアセットマネジメント投信 しんきん SRIファンド - - 729 ?
2007/2/16 住信アセットマネジメント STAM SRI・ジャパン・オープン(SMA専用) - - 424 日本総合研究所

[編集] 米国のSRIの状況

1995年から2003年までの米国SRI資産の資産残高推移

[編集] 欧州のSRIの状況

[編集] SRI評価手法

[編集] ネガティブスクリーニング

SRI投資先の選択に際して、投資基準に見合わない企業を投資先リストから排除し、排除後のリストを用いて投資先の選定を行う手法。 欧米のSRIファンドの多くで採用されており、一般的な排除業種は、(1)軍需産業、(2)たばこ産業、(3)原子力産業(含む原子力発電設備)、(4)アルコール産業、(5)アダルト産業、である。欧米では、これらの排除基準が広く受け入れられているが、日本においては(3)原子力産業を排除してしまうと、電力会社のうち、沖縄電力と電源開発(J-POWER)以外のすべての電力会社が排除されてしまうなどの問題がある。また、アルコールについては、社会悪であるとの認識に比較的合意が得られているが、日本においては文化的にアルコールは悪であるという認識は少ないなど、欧米のネガティブスクリーニングをそのままの形で日本に適用することは困難である。

[編集] ポジティブスクリーニング

ネガティブスクリーニングでは、一定基準に満たない企業を投資先から排除してしまうのに対して、ポジティブスクリーニングは企業が行っているCSR経営を評価し、その評価の点数に基づいて投資を行うことである。 一般には、アンケート調査票を企業に送付し、調査機関がアンケート結果に基づいて企業の点数をつける。近年、欧米の調査機関から、日本の多くの企業にもこれらの調査票が送付され、内容を確認せずにアンケートに回答しなかったことから適正な評価が受けられず投資先から排除されてしまうなどの問題が起こった。

[編集] SRIの歴史

(出典:河口真理子,2002)

[編集] 1920年代

米国のキリスト教教会が資産運用を行う際、たばこ・アルコール・ギャンブルなど教義に反する内容の業種を投資対象から排除したのがSRIの発端とされている。

[編集] 1960年代-1970年代

大学の基金や労働組合、公務員年金基金などが、ベトナム戦争に反対するため軍需産業を、アパルトヘイトに反対するため、南アフリカ関連の企業の株を売却した。

  • 1971年

社会的スクリーニング行ったミューチャルファンド、PAX World Fundが発売された。これによって、小口投資家にもSRIを行うことが可能となった。

[編集] 1980年代

PAX World Fundのような、ミューチャルファンドは数を増やし、環境問題、女性、マイノリティー、人権、雇用といった項目を考慮するようになっていった。また、米国で始まったこれらのファンドは、欧州にも拡大していった時期でもある。

  • 1984年

英国において、倫理ファンド(ethical fund)が発売された。

[編集] 1990年代

1980年代後半から、1990年代の後半にかけて、地球規模の環境問題が顕在化し、オゾン層破壊防止条約が結ばれるなど地球環境への関心が高まった。そのため、地球環境問題に特化したSRIが拡大していった。

1990年代の後半になると、SustainAbility社のジョン・エルキントン(John Elkington)が1997年に著書の“Cannibals With Forks”の中で提案したトリプルボトムライン(Triple Bottom Line)の概念を提唱し、企業は環境・経済・社会の三つの側面を考慮した経営を行う必要があると述べた。このトリプルボトムラインの概念に基づいて、企業を評価し、その評価結果に基づいてすぐれたCSR経営を行っている企業に投資する形のSRIが始まった。

  • 1994年

スイスのプライベートバンクであるサラシン銀行(Sarasin)が企業の環境効率性を元に評価した、エコ・エフィシェンシー(Eco-Efficiency)ファンドを設定した。

  • 1996年

ノルウェー最大の保険会社である、ストアブランド(Storebrand )が資源生産性を評価軸に加えたStorebrand Environmental Value Fundを発売。

  • 1997年

スイスのUBSが株式投資エコパフォーマンスを発売。

  • 1999年

日本ではじめて、環境側面の評価を考慮したファンド、エコファンドが日興證券から発売された。

[編集] 2000年代

[編集] 受託者責任とSRI

年金運用をSRIによって行うことに関しては、受託者責任法、米国におけるエリサ法の観点から問題が呈せられることがある。米国におけるエリサ法では、年金基金の資産運用に際して、他の年金基金に比して明らかに運用利益が減少するような運用行うことを禁止している。SRIでは、企業の経済状況以外の社会性を根拠に、投資対象を狭めているとして、資産運用のリスクを高めているとの批判を受け、エリサ法に抵触するとの議論が行われている。しかし、このような状況は、2006年4月に世界最大の年金基金であるカルフォルニア州公務員退職年金基金(カルパースCalPERS:California Public Employees' Retirement System,運用資産約20兆円)が年金運用に環境及び持続可能性を考慮することを求めているUNEP Financial Initiative(UNEP・FI)責任投資原則に署名したことから、SRIは受託者責任、エリサ法には抵触しないという考え方が一般化しつつある。

[編集] SRIの種類

リターンを多様な形で捉えた広義のSRIを含めた具体的な例として、これまでに次の行動が挙げられている。

  • コミュニティー投資

限定された地域(コミュニティー)の抱える問題を改善、状況を向上させるための組織やプロジェクト等への投融資行動。

  • 環境配慮型投資

環境問題に特化したSRIであり、二酸化炭素の排出量や植林事業の状況など様々な企業の環境行動を評価し、行う投資。

  • CSR経営評価による投資

トリプルボトムラインに基づいた経営評価を行い、その結果に基づいて行う投資。

社会性や環境に配慮した企業や商品を選別して購入する行動。一般には、環境配慮型行動に分類され、投資には分類されないが、企業からものを購入することを投資であるとみなし、グリーン購入をSRIの一形態とすることがある。

土地を利用して収益をあげていたが、土壌汚染対策を行い健全な土壌・地下水環境を将来社会に引き継ぐ投資。企業が環境債務と計上することが多くなっている。

[編集] 関連項目

[編集]

  1. ^ 社会的責任投資(SRI)や企業の社会的責任(CSR)で使われる「社会的責任」は、「社会的な責任を果たすこと」の意味で使われ、この定義についても国内外で様々な議論がある。企業・組織・団体・人々等が、社会・環境に与える影響を改善・向上させること、またそれによって社会からの信頼を得ることとも考えられる[要出典]

[編集] 外部リンク

[編集] 日本国内で運用されているファンドの主なSRI調査機関

[編集] その他

[編集] 参考文献

  • 河口真理子「企業の社会的責任 ~環境から持続可能性へ~」『大和レビュー』2002年秋季号 No.8(2002)