年次有給休暇
年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか)とは、労働者の休暇日のうち、使用者(雇用主)から賃金が支払われる有給の休暇日のことである。「年次」とある通り、1年ごとに毎年一定の日数が与えられる(国により与えられる最低日数は異なる)。
有給休暇、年休、有休などといわれることが多い。
目次 |
[編集] 概説
年次有給休暇は、就業規則などで定められた本来の休日以外に取得することができる有給の休日・休暇であり、労働者に与えられる当然の権利である。その休暇日においては労働者は労働が免除され、そして使用者は賃金を支払わなくてはならない。
年次有給休暇は1936年の国際労働機関(ILO)第52号条約[1]によって定められた。第54回総会で1970年6月24日に採択されたILO第132号条約[2]では、労働者の有給休暇は1年勤務につき3労働週(5日制なら15日、6日制なら18日)以上とされている。また、休暇は原則として継続したものでなければならず、事情により分割することができるが、その場合でも分割された一部は連続2労働週以上でなければならない。また、原則として放棄してはならないものとされている。
[編集] 日本の有給休暇
| この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
日本では労働者の権利として労働基準法(第39条)で定められている制度である。労働者の心身をリフレッシュすることを目的とする。
日本で年次有給休暇が導入されたのは戦後の1947年に定められた労働基準法による。なお、制定当初は当時のILO52号条約の定められた最低日数の6日を最低日数としていたが、同条約他、国際条約等での日数引き上げに対応して1988年に最低10日に引き上げられた。しかし日本は国際労働機関の第132号条約を批准していない。
世界各国の年次有給休暇の取得率と比較して日本の年次有給休暇の取得率は並外れて低いことが問題視されており、こうしたことが長時間労働や働きすぎを招いており、健康を害したり、精神疾患(うつ病など)や過労死、過労自殺に至る労働者が後を絶たない原因と考えられている。(#低い有給休暇取得率の原因と対策および#各国の有給休暇を参照)
[編集] 権利の性質
年次有給休暇は、下記の要件を満たした労働者に対し法律上当然に成立する権利である(労働基準法第39条第1項、第2項)。
- 雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務した、あるいは雇入れの日から6箇月経過日を起算日として1年間継続勤務した毎
- 上記の期間それぞれにおける全労働日のうち、8割以上出勤した
雇用形態は要件に求められていない。したがって、正社員だけではなく非正規社員(派遣社員、契約社員、所謂パートタイマー、アルバイトなど)も、この条件を満たせば例外なく年次有給休暇の権利は法律上当然に成立する[3]。
年次有給休暇は労働者の請求があって初めて生ずる権利ではなく、使用者の許可や承認は不要である[4]。労働者が年次有給休暇の取得を請求する際の「請求」とは、休暇の時季の指定であり、この請求があった際に使用者が判断する要素は時季変更権の行使の可否のみである[4]。
[編集] 日数
- 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない(労働基準法第39条第1項)。
- さらに1年間、8割以上継続出勤するごとに有給休暇は10労働日に加えて勤続2年6箇月目まで1労働日ずつ加算して付与され、勤続3年6箇月目からは2労働日ずつ加算して付与される。勤続6年6箇月経過時には20労働日に達し、以降は1年間の継続勤務ごとに20日を付与すればよい(労働基準法第39条第2項)。具体的には、以下の表の通りである。
| 継続勤務年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 法定最低付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
- 認定職業訓練を受ける未成年の労働者についても有給休暇が与えられるが、継続勤務年数が6箇月目で12労働日付与され、以降はこの12労働日を基準として、勤続2年6箇月目まで1労働日ずつ加算して付与され、勤続3年6箇月目からは2労働日ずつ加算して付与される。継続勤務6.5年以上では1年ごとに12労働日に加えて8労働日を加算する形となる(労働基準法第72条)。
- 発生日は雇用開始日から起算する。雇用開始日は本採用の日ではなく、試用期間があったならその試用期間の開始日が雇用開始日である。
- 社員数が多いなど事務の煩雑をさけるため年1回の基準日を設けて一斉に付与してもよい。しかし、入社日の違いによって一時的にでも法の定める休暇の基準を下回る労働者が発生してはならない。したがって、期間計算においては切捨て・四捨五入は認められず、常に切り上げで求める必要がある。
- この日数はあくまで法定の最低基準であり、上記を上回る日数の加算は法定外となるので使用者の自由裁量となる。
[編集] 年次有給休暇の比例付与
1週間の所定労働日数が4日以下かつ所定労働時間が30時間未満の労働者、または1年間の所定労働日数が48日以上216日以下かつ所定労働時間が30時間未満の労働者[5]については、その労働日数に比例した年次有給休暇が与えられる(労働基準法第39条第3項)。これを年次有給休暇の比例付与という。
年次有給休暇の比例付与に該当する労働者における年次有給休暇の付与日数は、以下の表の通りである。
| 週所定労働日数 | 年所定労働日数 | 継続勤務年数 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 | ||
| 4日 | 169日 - 216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121日 - 168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 73日 - 120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 48日 - 72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
比例付与の場合も、あくまで最低基準であるため、上記を上回る日数の加算は使用者の自由裁量となる。
[編集] 時間単位での取得
2010年4月より施行された改正労働基準法により、従来は日単位での取得しか認められていなかった年次有給休暇が、事前に労使協定を締結することにより1年に5日分を限度として時間単位でも取得が可能となった(労働基準法第39条第4項)。なお、日単位で取得するか時間単位で取得するかは労働者の自由であり、使用者が一方的に決めることはできない[6]。
[編集] 賃金算定
休暇日における賃金は次のいずれかに基づいて支払わねばならない(労働基準法第39条第7項)。
- 平均賃金
- その日の所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
- 健康保険法に定める標準報酬日額 - 労使協定による場合
[編集] 年次有給休暇を取得した労働日の取り扱い
労働者が年次有給休暇を取得した労働日につき、欠勤として扱い処理することは許されない[7][8]。なお、事前の伝達なくして労働日に出勤せず、後日その欠勤日につき振り替えで有給休暇扱いとして処理するよう労働者から申請されても、使用者は応じる義務はない(応じてもよい)[9]。
[編集] 労働者の年次有給休暇の請求・使用者の時季変更権
年次有給休暇は労働基準法により労働者の権利として認められているものであり、またその理由(利用目的)は労働基準法の関知するところではなく労働者の自由である(最判昭和48年3月2日[10])ことから、労働者は有給休暇を取得する旨を事前に使用者に伝える必要はあっても、その理由までを使用者に伝える義務はない[11]。所属する事業所に対するストライキが目的でない限り、有給休暇は「理由なし」も含めて理由の如何にかかわらず取得できるものであり、使用者は労働者に対しその理由をもとに有給休暇の取得を制限することはできない(最半昭和62年7月10日[12])。
使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季(法文上「時期」ではなく「時季」)に与えなければならないのが原則である(労働基準法第39条第5項)。例外的に事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季にこれを与えることができる(時季変更権、労働基準法第39条第5項)。また有給休暇の請求は2年間に渡り有効で、労働者が与えられた年にとらなかった場合、翌年にとることができる(労働基準法第115条)。このように、使用者側に事前時季変更権が存在するため、一旦有給休暇を許可した場合、後から取り消すことはできない。
時季変更権の行使要件は「事業の正常な運営を妨げる場合」であり、単に業務多忙という理由では行使はできない。代替勤務者の確保や勤務割を変更するなどの努力せずして時季変更権の行使は許されない(最判昭和62年9月22日[13])。
有給休暇の権利の性質は、形成権といわれるもので一方的な意思表示で当然に成立するものであり、本来は使用者が「許可」や「承認」して成立するようなものではないが、使用者が時季変更権を行使した場合は、労働者にとっては請求した時季の年次有給休暇が「許可」や「承認」されないこととあまりかわりはない。
[編集] 年次有給休暇の請求を拒否できる場合
労働者の年次有給休暇取得の請求目的が労働者の所属する事業所に対するストライキに参加するためであった場合は、使用者はこれを拒否できる(応じてもよい)[10][14]。ストライキ当日まで年次有給休暇取得の請求がなく、後日振り替えで申請があった場合も同様である[10][14]。
この例外は、あくまで労働者が勤務する事業所に対するストライキに参加する場合に限られる。労働者が他事業主体のストライキへの参加や関与のために年次有給休暇を請求した場合は除外される[4][10]。
[編集] 年次有給休暇の計画的付与
労使協定により年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分を労働者の請求する時季によらず、計画的に付与することができる(労働基準法第39条第6項)。これを年次有給休暇の計画的付与、計画年休などという。
[編集] 年次有給休暇の買取予約禁止
法律で付与されるべき年次有給休暇について、事前に買取の予約をすることによってその日数を減じないし与えないことは禁止されている[15]。なお、労働者が年次有給休暇権を行使せず、その後時効や退職等の理由でこれが消滅するような場合、残日数に応じて調整的に金銭の給付をすることは、事前の買取と異なるため、必ずしも禁止されていない。
[編集] 離職時との関係
年次有給休暇は、労働者と使用者間に労働関係が存在していることを前提としている制度であるため、労働者の退職日を越える時季変更は認められていない[16]。
未消化分の年次有給休暇については、退職日までに全て取得が可能である。退職する労働者につき年次有給休暇の未消化日数が存在し、未消化分の年次有給休暇の一部あるいは全ての消化を請求し退職日までの間に1日も出勤せず退職日を迎える状態になった場合、時季変更による代替日の指定が不可能となるため、使用者(それに相当する管理者)は行使要件を満たしていても時季変更権を行使できなくなる[17][18]。
休暇を消化するのが退職日以降になってしまう場合は、退職日まで有効とし、それ以降は無効となる。ただし、法律で付与されるべき分を超える休暇に相当する分の買取、あるいは残日数に応じた金銭の調整的給付を事後に行うことは可能である[17]。
解雇においても同様であるが、退職と違い、労働者の予期せぬところで行われる。そのため、最悪の場合、解雇予告が行われると、最短で30日後に解雇となるため、年次有給休暇の未消化分が30日を越える場合は、その分が無効になる。また、30日分の解雇予告手当てを支給した場合は、年次有給休暇はすべて無効となるため、退職の場合と同様、法律上の保護や改善の議論を呼んでいる。
[編集] 時効
年次有給休暇の消滅時効は、年次有給休暇が取得可能となった時点を起算日として2年である(労働基準法第115条、通達[14])。労働者が年次有給休暇の取得請求をせずにこの消滅時効にかかった年次有給休暇の未消化分については、全て無効となる。
[編集] 取り扱い上の争い
[編集] 消化する年次有給休暇の付与分
年次有給休暇は、年次有給休暇が取得可能となった時点を起算日として2年で消滅時効にかかる(労働基準法第115条、通達[14])が、前年度分の有給休暇取得権利を翌年に繰り越した場合の取り扱いに争いがある。労働基準法では、有給休暇を取得した際に、前年度分の残日数から消化するのか、今年度付与された分から消化するのかを規定していない。
学説では、2つの見解に分かれる。1つは一般的かつ常識的な解釈に基づき「前年よりの繰越分から消化する」とする説で、もう1つは民法489条2号を根拠に「当年付与分から消化する」とする説である[19]。
前者で推定すべきとする説では、後者については法で取り決めされている労働者の権利である年次有給休暇を付与することが使用者の債務に当たるかについて疑義があり、民法第489条第2号による必然性はないとされ[19]、労使間での合意により取り決めされていない限りは前年度よりの繰越分から年次有給休暇を消化するものと解釈されている[19][20]。
後者で推定すべきとする説では、「労働者が年休を請求してきた場合、使用者は当該年度のものから使用することを指定でき、使用者がその指定をしなければ、労働者は前年度のものから使用することを指定できる。ただし、労働者の指定に対し使用者が遅滞なく異議を述べた時は法定充当により当該年度のものから使用したことになる(民法第488条)。また、使用者も労働者も何らの指定もしない時は法定充当により使用者にとって弁済の利益の多い当該年度のものから使用したことになる(民法第489条)。」と解釈されている[21]。
[編集] 低い有給休暇取得率の原因と対策
日本は最低賃金の低さ、労働時間の長さ、有給休暇・休日の日数のどれをとっても先進国中、最低の部類であり労働水準に関しては未だ発展途上である。
厚生労働省の「平成16年就労条件総合調査の概況」によれば、1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除いたもの)は、労働者1人当たり平均18.0日であるが、そのうち実際に労働者が取得した数はその半分にも満たない8.5日であった。この要因としては、日本では休暇消化を容易にするための人員構成が「経営効率化や人材育成の面で無駄が多い」として導入に反対している経営者が多いうえ、労働者の側にも有給休暇の取得をためらわせる様々な事情が絡んでいるためではないか、と言われている[22]。
職場の雰囲気や事業主・経営者など使用者側の意向などの理由により、労働者の権利として法的に認められているはずの有給休暇の取得をためらわせたり取得しづらい労働環境などは労使交渉で解決するべきものであるが、労働者が有給休暇を申請したときに有給休暇を取得できる状況であるにもかかわらず使用者側が有給休暇の取得を認めない場合は使用者側の労働基準法違反として労働基準監督署へ相談、申告したり告訴する手段もある。
厚生労働省は日本の労働者における有給休暇の取得率の低さを問題視し、うつ病や過労死、過労自殺に繋がる大きな要因であると危惧しており、労働時間の短縮や有給休暇の取得を事業主に促進する取り組みを定めている「労働時間等の見直しガイドライン」の改正を公示し、2010年4月1日から適用された。ただしこれは努力義務のみ定めたもので強制力はない[23]。
[編集] 有給休暇取得に肯定的な企業
[編集] 有給休暇と皆勤手当
国や行政が労働者の長時間労働によるうつ病などの精神疾患や過労死、過労自殺を防ぐための時短政策の一環として有給休暇取得率の向上を進めているが、皆勤手当の存在は労働者にとって有給休暇の取得をためらわせる原因の1つでもあり、労働基準法附則第136条において有給休暇を取得した労働者に対し使用者は賃金の減額や不利益な取り扱い[25]をしないよう定められていることもあり、有給休暇の取得による皆勤手当の不支給または減額は不適切な行為として各県担当課や地方労働局などが警鐘を鳴らしている[26][27]。
皆勤手当を定めている事業所において、有給休暇を取得した労働者を欠勤として取り扱い皆勤手当てを支給しないことに対し、賃金の不当な不払いとして違法とする判決が下されている(横浜地判 昭和51年3月4日[7])。 なお、有給休暇の取得による皆勤手当の不支給または減額は有給休暇を定めている労働基準法第39条の精神に反するとしつつも、第136条は使用者の努力義務を定めたものであり、皆勤手当の趣旨や目的、労働者の経済的損失の度合いなどを総合的に考慮して、それが年次有給休暇を取得する権利の行使を抑制したり、その権利を保障した労働基準法第39条の趣旨を実質的に失わせるものと認められない限り、有給休暇の取得による皆勤手当の不支給または減額は公序に反するとして無効の主張はできないとする最高裁判例がある(最判平成5年6月25日[28])。
後者の判例では、皆勤手当の金額が支給される給与の月額に対し2%にも満たない小額(最大で1.85%)であったこと、事業内容から日々の業務において欠員が出ることによる収益の悪化が確実視されることから、皆勤手当の不支給または減額は有給休暇の取得を一般的に抑制する趣旨に出たものではないと判断された[29]。つまり、有給休暇取得による皆勤手当の不支給または減額が違法・無効と判断されるか否かはケースバイケースであり、個々の事案の状況から判断される[29]。
[編集] 各国の有給休暇
主な先進国中、法で定められている有給休暇の日数が最も多いのはフランスとフィンランドの30日である。最も少ないのはアメリカの0日である(連邦法に規定が存在しないということに過ぎず、14日 - 21日程度取得できるところが多い)。日本は10日で2番目に少ない。 また国によっては、有給休日という制度がある。日本では民間の労働者については法で制定されていない[30]が、事業場で特定した休日、例えば、国民の祝日、会社の創立記念日、メーデー、年末年始等があるが、これらの特定休日に休業した労働者に対しても通常支払われる賃金の全額または一定額(率)が支払われる場合を有給休日と呼んでいる。有給休日が最も多い国はオーストリア・ポルトガル・イタリアの13日である。フィンランドは有給休日が9日のため実に39日も有給休暇・休日がある。 イタリア共和国憲法第36条では、労働者は毎週の休息及び年次有給休暇に対する権利を有し、この権利は放棄することができないと定めている。
最低賃金の高額さと有給休暇・休日の多さから欧州は総じて労働先進国が多い。 欧州での労働者の権利は、フランス革命、ロシア革命から続く労働者と資本家の戦いの結果、労働者が勝ち取った権利であり、歴史に裏打ちされた権利には、決して「過大に認められている」と言う云われは無いものである。そもそも過大だという受け止め方自体未だ発展途上の日本から見た発想であり、当該諸国の国民の間ではそうした権利を享受することがむしろ当然であるという価値観が根付いている。
一方、次のような意見がある。 最低賃金の高額さと有給休暇・休日の多さから欧州は総じて労働者の権利の強い国が多く、結果的に中小零細企業や個人経営店の存続を困難にさせる一因となり、大企業の寡占化が急速に進んでいる。[要出典]また、日本は最低賃金や休暇が先進国中少なく、労働時間が長い部類であった為、前述のような小規模な会社等も数多く存続していたが、高度成長期の過程で労働者の権利を従来より多く認める風潮になり、あわせて90年代中頃から大企業優遇の各種法律が整備されたことにより、労働者の権利が強い欧州のように中小零細企業や個人経営店の経営を急速に圧迫している[要出典]という意見である。しかし、労働者の権利が強いことが中小企業等の存続を困難にさせることを示す客観的根拠は存在しないし、逆に労働者の権利が弱いことが中小企業等の活性化に繋がることを示す客観的根拠も存在しない。さらに、最低賃金や労働時間、有給休暇・休日のいずれにおいても労働者の権利が弱い日本では、長時間労働や過労による過労死や過労自殺、うつ病など身体面・精神面を問わず様々な病に陥る労働者が年々増加しており、労働条件を改善することが国民生活水準の向上に不可欠であることは明白である。
[編集] 各国との比較
[編集] 有給休暇を使い切る労働者の割合
2010年8月6日、ロイターが調査会社のイプソスと協力し、24か国において有給休暇を使い切る労働者の割合を調査しまとめた結果を公表した。日本は33%で、22位のオーストラリアと南アフリカ共和国の47%に大きく差を開けられたうえでの最下位であった[31]。
| 国名 | 順位(高率順) | 完全取得率 |
| フランス | 1 | 89% |
| アルゼンチン | 2 | 80% |
| ハンガリー | 3 | 78% |
| イギリス | 4 | 77% |
| スペイン | ||
| サウジアラビア | 6 | 76% |
| ドイツ | 7 | 75% |
| ベルギー | 8 | 74% |
| トルコ | ||
| インドネシア | 10 | 70% |
| メキシコ | 11 | 67% |
| ロシア | ||
| イタリア | 13 | 66% |
| ポーランド | ||
| 中国 | 15 | 65% |
| スウェーデン | 16 | 63% |
| ブラジル | 17 | 59% |
| インド | ||
| カナダ | 19 | 58% |
| アメリカ合衆国 | 20 | 57% |
| 韓国 | 21 | 53% |
| オーストラリア | 22 | 47% |
| 南アフリカ | ||
| 日本 | 24 | 33% |
[編集] 有給休暇の給付日数と取得日数
旅行会社のエクスペディアジャパンが、日本を含めた12カ国における有給休暇の取得状況の調査結果を公表している。2010年の調査において、日本は最下位(平均給付日数と平均取得日数ともに最低)という調査結果が得られている[32]。
| 国名 | 順位(平均取得日数順) | 平均給付日数 | 平均取得日数 |
| フランス | 1 | 37.4 | 34.7 |
| スペイン | 2 | 31.9 | 28.6 |
| デンマーク | 3 | 29.2 | 26.9 |
| イタリア | 4 | 32.3 | 26.5 |
| ノルウェー | 5 | 27.7 | 25.6 |
| イギリス | 6 | 27.9 | 25.5 |
| ドイツ | 7 | 27.6 | 25.5 |
| スウェーデン | 8 | 27.4 | 24.2 |
| カナダ | 9 | 19.7 | 17.5 |
| オーストラリア | 10 | 20 | 16.5 |
| アメリカ | 11 | 16.9 | 14 |
| 日本 | 12 | 16.6 | 9.3 |
[編集] 脚注
- ^ ILO第52号条約 - 国際労働機関
- ^ ILO第132号条約 - 国際労働機関
- ^ “年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。” (日本語). 厚生労働省. 2011年10月30日閲覧。
- ^ a b c 昭和48年3月6日 基発第110号
- ^ 労働基準法施行規則第24条の3 第1項 - 5項
- ^ 厚生労働省 労働基準法の一部改正法が成立 (PDF)
- ^ a b 横浜地方裁判所判決 昭和51年3月4日 大瀬工業事件
- ^ 昭和22年9月13日 基発第17号
- ^ 新潟地方裁判所判決 昭和37年3月30日 電気化学工業事件
- ^ a b c d 昭和48年3月2日 最高裁第二小法廷判決 白石営林署事件
- ^ ただし、使用者が労働者に対し有給休暇の理由を聞くことを禁止・制限する法律はない。
- ^ 昭和62年7月10日 最高裁第二小法廷判決 弘前電報電話局事件
- ^ 昭和62年9月22日 最高裁第三小法廷判決 横手統制電話中継所事件
- ^ a b c d 昭和27年7月25日 基収第3821号
- ^ 厚生労働省通達 昭和30年11月30日基収第4718号
- ^ 厚生労働省通達 昭和49年1月11日基収第5554号
- ^ a b “職場のトラブルQ&A 退職間際の有給休暇取得” (日本語). 福井県 (2009年6月17日). 2011年10月19日閲覧。
- ^ “労働相談事例 年休Q1 『退職予定者には年休を与えなくてもよいか』” (日本語). 沖縄労働局. 2011年10月19日閲覧。
- ^ a b c 弘文堂 菅野和夫著『労働法 第六版』326ページ - 327ページより ISBN 978-4335303104
- ^ 労働相談Q&A 年次有給休暇~労働基準法、解釈例規(Q2の項目参照)
- ^ 「年次有給休暇制度の解説とQ&A」(労働調査会出版局編)119ページより ISBN 978-4897829074
- ^ 厚生労働省・平成16年就労条件総合調査結果の概況
- ^ 厚労省:有休取得率に目標 時短ガイドライン改正、来月から適用 - 毎日新聞 2010年3月19日配信
- ^ 六花亭の全従業員 有給休暇、20年連続で完全取得 - 北海道新聞 2009年04月10日
- ^ 労働省労働基準局編著「労働基準法」上巻:「精皆勤手当や賞与の算定に際して、年休を取得した日を欠勤又は欠勤に準じて取扱うほか、年休の取得を抑制するような全ての不利益な取扱いが含まれる。」
- ^ “労働相談 こんなときどうする?Q&A 精皆勤手当や賞与の算定に際して、年次有給休暇の欠勤扱いは違法” (日本語). 茨城労働局. 2011年2月5日閲覧。
- ^ “おしごと三重 有給休暇と皆勤手当について” (日本語). 三重県生活・文化部 勤労・雇用支援室. 2011年2月5日閲覧。
- ^ 平成5年6月25日 最高裁第二小法廷判決 沼津交通事件
- ^ a b 独立行政法人 労働政策研究・研修機構 データベース 個別労働関係紛争判例集 4.労働条件(32)【年次有給休暇】年休の取得と不利益な取扱い
- ^ 公務員について、国民の祝日及び12月29日から1月3日については、有給休日扱いをしている(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律14条、一般職の職員の給与に関する法律9条の2第4項、15条)
- ^ “有給使い切る国の1位はフランス、日本は最下位” (日本語). ロイター (2010年8月10日). 2011年7月12日閲覧。
- ^ “有給休暇調査 2010” (日本語). エクスペディア. 2011年10月19日閲覧。
[編集] 関連項目
- 公休
- 指定公休
- 国際労働機関
- 世界の有給休暇 (minimum employment leave)
- 労働時間
- 世界の年間総労働時間
- 各国の比較 (working time)
- 日本の労働時間の短縮または延長
- 古代日本の有給休暇-私假
- ワーク・ライフ・バランス
- 仕事中毒(ワーカホリック)
- 病気休暇(シック・リーブ)
[編集] 外部リンク
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