精神疾患

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精神疾患(せいしんしっかん、mental disorder精神障害)とは、外因性あるいは内因性のストレス等による(脳細胞あるいは「」)の機能的・器質的な障害をいう。統合失調症躁うつ病といった重度のものから、神経症(この用語は正式な障害名としては用いられなくなりつつある)、パニック障害適応障害といった中、軽度のものまでの様々な障害を含む。また、精神の変調が髄膜炎内分泌疾患などの身体疾患によって引き起こされる場合もある。いわゆる広義の精神疾患については「概要」を参照のこと。

精神疾患の治療を担当するのは主に精神科・神経科であるが、患者の症状や状況によっては内科心療内科が多い)など、他の科で診察治療が行われている場合もある。

精神疾患のデータ
ICD-10 F00-F99
統計 出典:[1][2]
世界の患者数 約450,000,000
日本の患者数 約3,230,000
学会
日本 日本精神神経学会
世界 世界精神医学会
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概要

精神疾患は、世界保健機構 (WHO) による国際疾患分類 (ICD-10) や、アメリカ精神医学会による統計的診断マニュアル (DSM-IV) において、網羅的に分類されている。このうち、本項では医療の領域で治療の対象となる主な障害について記述している。知的障害パーソナリティ障害は、いわゆる広義の精神疾患(DSM-IVのII軸)に含まれるが、知的障害は、療育・教育福祉などの領域で対象とされる場合が多く、パーソナリティ障害は犯罪を行った際に犯罪精神医学司法精神医学の領域で問題となる場合が多い。

妄想執着して生活に支障をきたし、他者を巻き込むことも多く、心的・内向的には自閉症パニック障害など、物的・外向的には自傷他害行為あるいは自殺にまで及ぶこともある。第二次世界大戦以前は先進国を含む多くの国家で迫害の対象であったが、現在そのような政策を取っている国は稀である。

日本では、精神疾患のために1か月以上休業している国民が約47万人おり、それによる逸失利益だけでも9500億円にのぼるという報告もある。[1][2]

定義

一般的には「Mental Illness(心の病、精神病)」と呼ばれるが、専門的には「Mental Disorder(精神障害)」が使われ、アメリカ精神医学会が定めたガイドライン「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」、通称DSMで定義されている。DSMでは、「Mental Disease(精神疾患)」ではなく、「Mental Disorder(精神障害)」という用語を採用している。

原因の分類

心因・外因・内因の3つに分ける。複数の原因によることも多い。

心因

過度のストレスなどの精神的原因。反応性うつ病不安神経症などを起こす。

外因

脳や他の身体部位に、器質的に加えられた原因。感染(例えば、単純ヘルペス麻疹ウイルスなどによる脳炎など)・脳卒中・代謝異常(尿毒症肝性脳症や先天性代謝疾患など)・薬物乱用(特にアルコール[3]覚醒剤[4])などが外因に相当する。他に、事故による脳外傷(外傷性脳損傷)も含まれる。

内因

脳の器質的要因と思われるが、明確には不明の原因。従来、統合失調症や躁うつ病は内因性精神疾患と言われてきた(マウスレベルの研究であるが、統合失調症は海馬の奇形が原因ではないかと言われている)。

精神症状

ヒトの精神機能には、意識、知能、記憶、感情、思考、行動など幾種類かの側面がある。精神疾患ではこれらのうち1つまたは多種類が障害されることで多彩な症状を呈する。以下、いくつかの分類に従って精神症状を記述するが、他にもたくさんの症状があり、また同じ症状でも個人差が大きく、○×式の症状記録では精神障害を正しく判断することはできない。

意識障害

「意識」と言う場合、2つの使われ方がある。1つ目は「自己を意識する」「考えていることを意識する」などと言う場合の、自己の主体としての意識であり、2つ目は「意識がはっきりしない」「意識レベル」などと言う場合の意識である。医療の臨床で「意識障害」と言う場合は後者をさす(「意識障害」参照)。

意識には「清明度」、「広がり」、「質的なもの」の三要素があるとされている。

「清明度」が障害されている場合、意識混濁といい、その程度により傾眠、昏睡という。「広がり」が障害されている場合、意識狭窄という。催眠状態、解離状態などで起こりうる。意識の質が変化している場合、意識変容という。朦朧(もうろう)状態、アメンチア等とも言う。せん妄酩酊などで起こりうる状態である。

知的機能の障害

知的機能とは、脳で様々な情報を適切に処理する能力のことである(知能参照)。知能が障害される疾患の代表は精神遅滞痴呆であるが、その他の精神疾患においても様々な程度に知的機能が低下することがある。例えばうつ病でも、うつ状態の時は計算や記憶意などの機能が一時的に低下する。ごく限局的な脳梗塞によく見られる病態に、失認失行・感覚性失語・運動性失語がある。

記憶障害

記憶とは、様々な情報を長期間または短期間、脳内に保存し再生する機能である。記銘、保持、追想、再認を記憶の四要素という。記憶は、上に述べたような知的機能や、後述の思考などのベースになる機能であるため、相互に重複する部分がある。痴呆性疾患、コルサコフ症候群などの変性疾患のみならず、うつ病、統合失調症などでも一時的、あるいは長期間の記憶障害が起こることがある。解離性障害でも健忘がみられることがある。

知覚障害

知覚とは、外界の情報を認識する機能のことである。

知覚系神経が過剰な活動を示したり、知覚情報の発生源を誤認したりすると錯覚幻覚などの症状を生じる。錯覚と幻覚は似ているようだが錯覚はある物を間違って捉えることであるのに対して、幻覚は無い物をあると捉えるという点で違いがある。錯覚は健常者でも日常的に起こる一時的現象であるが、幻覚は精神疾患の診断基準のひとつとなる。幻覚には幻視、幻聴、幻嗅、幻味、体感幻覚などがある。特殊なものに、四肢を切断した患者において、喪失したはずの四肢を感じたりする幻肢がある。これが痛覚である場合は幽霊痛(phantom pain) と称する。

また、眼球や眼神経は正常であるにも関わらず心因性に物が見えなくなる心因性盲、痛みの原因となる身体的疾患がないのに痛みを感じる疼痛性障害などの症状も存在する。

思考障害

思考の障害には、思考過程の異常と思考内容の異常、思考の表現の異常がある。

思考過程の異常は、考える道筋や脈絡そのものが障害されている場合を指し、思考途絶(考えている途中に、突然内容を忘れたり考えが止まってしまう)、思考制止(考える力がなく、思考が進まない)、思考散乱、滅裂思考(思考がまとまらない)、観念奔逸(考えが次々湧き出して脱線してしまう)、思考保続(一旦考えたことが、その後の思考にも繰り返し現れる)、思考迂遠(結論を導き出すまでに脱線し時間がかかる)などがある。

思考内容の異常は妄想がある。妄想の内容によって被害妄想、誇大妄想、貧困妄想などに分類される。

思考の表現の異常には、強迫思考(〜をしなくてはならない)、支配観念がある。

感情・気分の障害

感情の異常は、様々な精神疾患でみられる。代表的なものはうつ状態においてみられる抑うつ気分や、躁状態における爽快気分であろう。他に感情鈍麻、興奮、不安怒り恍惚、両価性などがあげられる。

感情失禁
喜びなどが溢れ出して止まらなくなる障害。脳血管性痴呆で認められる。

行動にあらわれる症状

ヒト以外の動物においては、精神症状は行動を介して発現する。ヒトの場合、精神症状を評価する場合には言語を重視しがちであるが、ヒトにおいても精神と行動は密接に関連している。例えば、典型的なうつ病では、摂食、排泄、睡眠、性行為などの基本的機能が障害される。また別の疾患では暴力、多量飲酒などの衝動性として現れることもある。他にも以下のようなものがある。

摂食行動の障害として、うつ状態における食欲低下がまず挙げられるが、摂食障害では拒食や過食などの食行動の異常がみられる。

睡眠の障害としては不眠(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒など)、過眠、睡眠リズムの障害などがある。

の障害として、性欲低下、性交疼痛症、陰萎などのほか、性対象の異常(自己性愛、小児性愛フェチなど)、性目標の異常(露出症窃視症サディズムマゾヒズム)などがある。

精神疾患の分類

以下の分類 (Fxx) はWHO国際疾病分類第10版 (ICD-10) に基づく。

症状性を含む器質性精神障害 F0 (F00-F09)

痴呆性疾患 (F00-F03)、コルサコフ症候群、頭部外傷後遺症など、脳の大きな(=肉眼で分かるほど)病変による精神疾患のことをさす。

精神作用物質使用による精神および行動の障害 F1 (F10-F19)

アルコール (F10)、アヘン (F11)、大麻 (F12)、鎮静薬または催眠薬 (F13)、コカイン (F14)、覚醒剤・カフェイン (F15)、幻覚薬 (F16)、タバコ (F17)、揮発性溶剤 (F18)、砂糖などの精神作用物質に関連した精神疾患をさす。依存症、乱用、中毒などに分けられる。アルコール依存症薬物依存症などがある。

統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害 F2 (F20-F29)

気分(感情)障害 F3 (F30-F39)

気分障害感情障害とも言う)とは主として気分が障害されるもので、

が挙げられる。

神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害 F4 (F40-F48)

生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群 F5 (F50-F59)

成人のパーソナリティおよび行動の障害 F6 (F60-F69)

精神遅滞 F7 (F70-F79)

心理的発達の障害 F8 (F80-F89)

小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害 F9 (F90-F98)

その他

診断

アメリカ精神医学会は精神疾患の病像を統計的に分類し、「精神障害の診断と統計の手引き」 (DSM、Diagnostic and Statistical Manual) として纏めた。現在これは第4版の用語修正版 (DSM-IV Text Revision) に版を重ねており、世界でも広く使われている(2013年に改訂され、DSM-5となった)。精神医学的診断の有効性を調査した実験には、ローゼンハン実験などがある。

これまでは問診でしか診断することができなかったが、光トポグラフィーを用いた脳血流検査法やエタノールアミンリン酸の濃度を測定する血液検査法が開発されてきた、と研究中の話が報じられることがある。診断法に関する主張は従来より諸外国でも散見され、試験的、補助的に導入されることはあるが、確立された診断法は存在しないのが現状である。脳スキャン技術による診断の目処も立っていない[5]

ニューヨーク州立大学トーマス・サズ英語版博士は「言うまでもなく、ほとんどの身体疾患に存在するような、心の病の有無を確かめる血液検査や他の生物学的検査は存在しません。もしそのような検査法が開発されたら、その後、前述したように、症状は心の病とは見なされなくなり、身体疾患の症状として代わりに分類されるでしょう[注 1]」と述べている[6]。実例として、「てんかん」「パーキンソン病」「アルツハイマー病」などは脳疾患brain disease)である[7][8][9]。「てんかん」は、DSM-III(1980年)で精神障害の一覧から除外され、ICD-10(1992年)では「精神及び行動の障害」から「神経系の疾患」に分類が変更された[10]。「パーキンソン病」「アルツハイマー病」は、DSM-IV-TRでは「一般身体疾患による認知症」に、ICD-10では「精神及び行動の障害」「神経系の疾患」の両方に分類されている。

ただし、日本の厚生労働省の統計では、「アルツハイマー病」は認知症の一部として、精神疾患として分類されている。

DSM-IVアレン・フランセス英語版編纂委員長は、過剰診断、過剰治療に対し、「『ある診断が広く行われるようになったら、疑うべし』ということです。人間はすぐには変わりませんが、物の名前はすぐに変わります。もし突然多くの患者さんが同じ診断名を付けられるようになったら、それは患者さんが変わったからではなく考え方が変わったからであり、考え方が変わるのは、多くの場合、製薬会社が自社製品を売るためにその病気のマーケティングを動かしているからなのです」と述べている[11]うつ病抗うつ薬のない時代、当時メランコリアと呼ばれていた頃の罹患は100万人中50 - 100人に過ぎなかったが、現在の推算では100万人中10万人であり、1000倍に増加している[12]

治療法

精神疾患は、ストレスや不安から睡眠不足や防衛機制が上手く働かなかったり、脳内麻薬の異常分泌などによって発症する可能性がある。また、精神疾患に偏見や差別的な見方を持っている人もいるため、それがさらに患者のストレスとなり、引きこもり内向的になって悪化させることもあるため、家族など周囲の人間が理解を示すことも必要である。

1994年、世界精神医学会英語版ノーマン・サルトリウス英語版会長は「精神科医が精神病者を治療(cure)できると考えられた時代は終わりました。今後、精神病者は病気と共に生きる術を学ばねばならないでしょう[注 2]」と述べている[13][14]。1995年、アメリカ国立精神衛生研究所英語版レックス・コウドリー英語版代行所長は「私たちは(精神障害の)原因を知りません。私たちは未だにこれらの病気を『治療する(curing)』手段を持っていません[注 3]」と述べている[13][15][16]。2009年、アメリカ国立精神衛生研究所のトーマス・インセル所長は、30年前に精神科でレジデントとして学んだ多くのものが、科学的研究によって完全に間違っていると証明され、捨て去られているため、「おそらく、30年後の私たちの後任は、今日私たちが信じている多くのものを痛ましい認識だと顧みることになるでしょう[注 4]」と述べている[17]

治療(healing)は大きく分けて、身体的な治療(向精神薬による薬物療法、脳に直接働きかける電気けいれん療法など)、言語や行動を介した治療(認知行動療法などの精神療法作業療法など)、社会的な環境調整の3つに分けられる。精神疾患の種類や重症度により治療法は異なるため、臨床医心理士などに意見を仰ぎ、かといって決して丸投げをせず、患者本人や家族などの周囲の人間がいかに協働するかが大切である。

ストレスの緩和は症状の緩和に繋がる。妄想に囚われないよう五感を刺激したり現実生活に適用させたり (SST)、音楽療法運動療法、ユーモア療法などが活用されることもある。精神障害者自身による音楽活動、病院でのユーモア活動なども生きる喜びを取り戻したり他者との連帯感を生み出すなどの効果があり、高く評価されている[要出典]。また、精神疾患を予防したり、精神疾患が寛解した後の再発防止のストレス管理も重要である。

診療科の周辺事情

プライマリ・ケア科
国立国語研究所によれば、プライマリ・ケアに最も適合する定義は、1996年の米国国立科学アカデミー医学部門による「プライマリ・ケアとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである」であり、プライマリ・ケア医とは何でも診療する総合医(ジェネラリスト)と言える[18][19][20]
アメリカ合衆国では、精神疾患を持つ人々の約70%をプライマリ・ケア医が診療している。また、世界精神保健連盟によれば、うつ病不安障害だけで、プライマリ・ヘルス・ケア施設の全来訪者の1/4~1/3を占めている[21]
日本では、一般の内科医などによってプライマリ・ケアが提供されており、向精神薬が処方されることがある。また、うつ状態になった人々の最初の受診先は内科が約60%で、精神科は10%未満という報告もある[22]厚生労働省は、医療法上の「総合科」の創設と一定以上の能力を備えた「総合医」を国の個別審査によって認定することを検討している[23][24]
精神科
精神科は精神的な病気を扱う科である。神経科精神神経科などは精神科の別称と考えて差し支えない。
読売新聞によれば、各精神科病院、各精神科医の間には大きな力量差が存在する[25][26][27]
一因は、医師の勉強不足、経験不足である。日本の医学生は主に統合失調症うつ病を教わり、他の精神症状はほとんど教わらない(医師国家試験にも稀にしか出ない)。多くは大学病院や関連病院で研修医として採用され、入院患者で研修する。修了後は病棟医として数年出向し、経験を積んで指導医となる。その後、出向元に戻って外来患者を担当することになるが、内科や外科などと異なり、精神科の入院患者はほとんどが統合失調症なので、病棟医の経験を外来患者に応用するのは難しい。その為、知識不足が原因で意味不明な診断がつくことがある。また、精神科では杜撰な診断や治療で患者が亡くなっても医師の責任を追及されることがないため、いい加減な診断や治療が蔓延している[28]
日本では精神科の治療責任を問うことは容易ではない。裁判においても「精神科は特別」だとしばしば言われる。精神医療被害連絡会の中川聡代表は「通常の医療過誤裁判は、外科手術時のミス(過失)や管理上のミスを問う場合が多い。あくまで、過失は過失である。しかし、精神科の被害は、全く事情が異なる。それは、過失ではなく、そもそもの常識が間違っているだ。本人達は、当たり前のことをやっていると思っている」と述べている。被告側に立つ医師の意見書には、日本の精神科では多剤大量処方も常識だと記載されている。被害者側に立つ医師はほとんどいない。ごく稀に意見書を引き受ける医師もいるが、極端に逸脱した例の場合だけである[29][30]
日本の精神科の診療報酬は、特に外来患者では保険診療上の「通院精神療法」が重要な報酬源となる。30分未満が330点、30分以上が400点であり、5分でも330点、60分でも400点である(1点=10円)。現行の診療報酬体系は「沢山の患者を診た方が儲かる」「丁寧にじっくり診ると儲からない」構造になっており、薬物療法に偏る一因になっている。時間の掛かる心理療法は儲からない[31]
心理療法科
心理職が国家資格化されている国々では、 精神科精神科医、薬物療法中心)、心理療法科(サイコロジスト、心理療法中心)に分かれることがある。サイコロジストは、精神医学ではなく、臨床心理学の知識や技術を使う。アメリカ合衆国では、医師ではないサイコロジストにも法的に診療が認められており、保険対象になっている。また、精神科医は主に薬物治療を行い、心理療法のトレーニングはほとんど受けていない[32][33][34]
日本の心理職には民間資格しかなく、国家資格(医療心理師)の創設が検討されているが、利害の対立によって実現には至っていない。また、医師法第17条が「医師でなければ、医業をなしてはならない」と規定しており、保険適用で心理療法を受けるには精神科医など、医師の判断が必要になる。
心療内科
心療内科心身医学を実践する科である。精神科医が心療内科を標榜することがあるが、日本の心身医学は内科から派生しており、本来、心療内科医とは内科医のことである[35][36]。本項では内科系の心療内科を扱うものとする。
日本心身医学会は「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症うつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」と定義している[37]
精神障害に伴う身体症状が除外されているが、実際の心療内科では、強制的な入院(医療保護入院緊急措置入院措置入院応急入院)が必要になる可能性がある症状以外は大体扱っている。強制的な入院には、精神保健指定医という精神科医の資格が必要である[38]
神経内科
神経内科は物質的な神経を扱う科であり、精神的な病気は扱わない。逆に、神経内科で扱う「パーキンソン病」「アルツハイマー病」など、身体疾患に伴う精神症状は、精神科でも診ることがある。この二つは、DSM-IV-TRでは「一般身体疾患による認知症」に、ICD-10では「精神及び行動の障害」「神経系の疾患」の両方に分類されている。
その他
日本精神神経学会は、生活上の問題が精神的な不調の背景にある場合、精神医療以外の選択肢も勧めている。法律的な問題は法テラス、借金問題は市区町村の多重債務の相談窓口、家庭内暴力問題などは女性支援センターや男女共同参画事業(市区町村が主体)の相談窓口がある[39][40]

社会的支援

精神疾患の治療などへの社会的支援がある(精神障害者保健福祉手帳療育手帳障害年金障害者自立支援法など)。詳細は精神障害者の項を参照のこと。

脚注

  1. ^ 原文: “Of course, there is no blood or other biological test to ascertain the presence or absence of a mental illness, as there is for most bodily diseases. If such a test were developed (for what, theretofore, had been considered a psychiatric illness), then, as I noted earlier, the condition would cease to be a mental illness and would be classified, instead, as a symptom of a bodily disease.” [6]
  2. ^ 原文: “The time when psychiatrists considered that they could cure the mentally ill is gone. In the future, the mentally ill will have to learn to live with their illness.” [13]
  3. ^ 原文: “We do not know the causes (of psychiatric disorders). We don’t have methods of ‘curing’ these illnesses yet.” [13]
  4. ^ 原文: “Perhaps our successors 30 years from now will look back on much of what we believe today with the same rueful perspective.” [17]

出典

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  1. ^ 日本生物学的精神医学会誌「うつ病対策の総合的提言」158頁(21巻3号)、2009年7月11日(2010年11月1日改訂)。
  2. ^ 島悟、厚生労働科学研究費補助金(労働安全衛生総合研究事業)「うつ病を中心としたこころの健康障害をもつ労働者の職場復帰および職場適応支援方策に関する研究」平成14年度~16年度総合研究報告書休業者の実態調査および事業場の意識調査」16-17頁。
  3. ^ 精神科病院入院患者の状況 (PDF) NCNP 国立精神・神経センター
  4. ^ 全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査 (PDF)
  5. ^ BENEDICT CAREY「Can Brain Scans See Depression?」The New York Times 2005年10月18日。(邦訳は『脳スキャンで鬱が見えるか』)
  6. ^ a b Szasz, Thomas (January 1, 1993). A Lexicon of Lunacy: Metaphoric Malady, Moral Responsibility, and Psychiatry: Transaction Publishers. p.33. ISBN 978-1560000655.
  7. ^ てんかんの定義(WHO(世界保健機関)編:てんかん辞典より)」公益社団法人日本てんかん協会、2013年6月13閲覧
  8. ^ てんかんの診断ガイドライン」日本てんかん学会、2頁、2013年6月13閲覧
  9. ^ 認知症疾患治療ガイドライン2010「第1章 認知症の定義,概要,経過,疫学」一般社団法人日本神経学会、1頁、5頁。(書籍は『認知症疾患治療ガイドライン2010』医学書院2010年10月。ISBN 978-4260010948。)
  10. ^ 精神医学「成人てんかんの精神科診療の現状と問題─ICD-10診断分類の改訂に向けて」医学書院2011年5月(53巻5号)
  11. ^ 精神医学「DSM-5をめぐって─Dr. Allen Francesに聞く」医学書院2012年8月(54巻8号)
  12. ^ David Healy 2004, p. 2 (翻訳書は デイヴィッド・ヒーリー 2005, p. 10)
  13. ^ a b c d Steven Ferry「TeenScreen as Junk Scienceイギリス医師会雑誌、2005年10月12日。
  14. ^ Lars Boegeskov「Mentally Ill have to have Help—Not to be Cured」Politiken、1994年9月19日。
  15. ^ Testimony given by Dr. Rex William Cowdry, Acting Director of the National Institute of Mental Health before a Subcommittee of the Committee on Appropriations, House of Representatives, 104th Congress, First Session, “Part 4, National Institutes of Health,” section on the National Institute of Mental Health, Washington, D.C., 22 Mar. 1995, p. 1205.
  16. ^ Congressional Record 104th Congress (1995-1996) "Daily Digest - Wednesday, March 22, 1995"
  17. ^ a b Thomas R. Insel (2009). “Disruptive insights in psychiatry: transforming a clinical discipline”. Journal of Clinical Investigation 119 (4): 700–705. doi:10.1172/JCI38832. PMC 2662575. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=2662575. 
  18. ^ 55.プライマリーケア 〔総合的に診る医療〕 primary care大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所、2013年10月7日閲覧。
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  20. ^ 宮下淳『病院総合医の臨床能力を鍛える本』カイ書林、2012年6月4日、2-4頁。ISBN 978-4904865101
  21. ^ Elliot Valenstein 1998, p. 183 (翻訳書は エリオット・ヴァレンスタイン 2008, p. 240)
  22. ^ 中河原通夫『内科医が知っておきたい向精神薬の選び方・使い方』及び書評、医学書院、2004年4月。ISBN 978-4260106528
  23. ^ 「総合科」「認定医」案に医師会反発熊本日日新聞、2007年6月6日朝刊。
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  26. ^ 佐藤光展、精神医療ルネサンス「おかしな医師たち(1) 夫の顔でPTSD!」読売新聞の医療サイトyomiDr.(ヨミドクター)、2012年3月21日。
  27. ^ 佐藤光展、精神医療ルネサンス「抗不安・睡眠薬依存(1) 患者依存させ金もうけ!」読売新聞の医療サイトyomiDr.(ヨミドクター)、2012年6月13日。
  28. ^ 竹川敦「現代の日本の精神医療のいいかげんな理由仁和医院、2013年9月19日閲覧。
  29. ^ 中川聡「被害者の救済」「精神科との裁判精神医療被害連絡会、順に2010年9月18日、2011年9月26日。
  30. ^ 内海聡緊急執筆 証人尋問を終えて」「証人尋問を終えて2」「証人尋問を終えて3」「北見裁判の行方Tokyo DD Clinic、順に2011年9月30日、10月1日、10月3日、2013年1月11日。
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参考文献

関連項目

外部リンク