髄膜炎

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Meningitis
分類及び外部参照情報
中枢神経の髄膜の構造。
ICD-10 G00.G03.
ICD-9 320322
DiseasesDB 22543
MedlinePlus 000680
eMedicine med/2613 emerg/309 emerg/390
MeSH D008581
プロジェクト:病気Portal:医学と医療
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髄膜炎

髄膜炎(ずいまくえん)とは、髄膜下腔のうち、主にくも膜 軟膜に炎症が生じた状態。脳膜炎、脳脊髄膜炎ともいう。

目次

原因 [編集]

各年齢層によって異なる。

シドニー大学の寄生虫学教授ジョン・ウォーカーの論文によると、ナメクジカタツムリなど、粘液性腹足類動物を食べることによって感染したというケースが、多数報告されているという。 さらに、ネズミに存在する寄生虫を、ナメクジカタツムリの幼虫が運び、それを食した人間が感染するという説もある。

臨床像 [編集]

症状 [編集]

発熱頭痛意識障害(特に細菌性髄膜炎に多い[1])、髄膜刺激症状が認められ、悪心嘔吐も生じ、時には麻痺も起こす[2]。neck flexion test、jolt accentuation が感度が高い。ケルニッヒ徴候羞明、眼球の圧痛などもみられることがある。

jolt accentuation test は髄膜炎で、感度90%、特異度60%ともいわれ、除外診断に極めて有用である。[3]

所見 [編集]

  • 一般細菌 - 細菌性髄膜炎または化膿性髄膜炎と呼ぶ。脳に細菌が入る事もあり、脳障害になる恐れもある。
    腰椎穿刺施行にて得られた脳脊髄液において、菌体を認め、好中球の増加、ブドウ糖の減少を認めることが多い。症状は最も激烈で、適切な治療が速やかに要求される。
    髄膜炎菌は欧米では重要な起炎菌だが、日本では少ない。
  • ウイルス - 年長小児(幼稚園児〜小中学生)に多い。
    脳脊髄液では単核球優位の細胞数増加が見られる一方、蛋白やブドウ糖の変化はほとんどない。
    原因ウイルスとしてはエコーウイルス、エンテロウイルスなどのエンテロウイルス族のほか、ムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に合併することも少なくない。
    根本原因を解決することはできないが、頭痛や嘔吐に対する対症療法を行っていれば、ほとんどの場合、自然軽快傾向を示す。死亡したり後遺症を残すことはまれ。
  • 結核菌
  • 真菌

頭部MRI [4] [編集]

頭部MRIでは髄膜の異常増強効果で髄膜炎の診断の手がかりになるとされている。異常増強効果は硬膜、硬膜下、くも膜が主体のDA型(dura-arachnoid pattern)とくも膜下、軟膜が主体のPS型(pia-subarachnoid space pattern)が知られ、それぞれびまん性と限局性が知られている。

DA型限局性

髄膜腫などのdual tail signや悪性腫瘍の硬膜転移、開頭術やシャント術後、サルコイドーシス、関節リウマチ、肥厚性硬膜炎、脳出血や脳梗塞や脳静脈瘻近傍の硬膜、頭蓋の腫瘍や炎症周囲の硬膜などで認められる。

DAびまん型

開頭術やシャント術後、くも膜下出血後、がん性髄膜炎を含む髄膜炎や特発性低髄液圧症候群などで認められる。

PS限局型

サルコイドーシス、sturge-weber症候群やリウマチ性髄膜炎(軟膜炎)などで認められる。

PSびまん型

くも膜下出血後、各種薬剤の髄注、がん性髄膜炎を含む髄膜炎、サルコイドーシスなどで認められる。

治療 [編集]

細菌、真菌、結核菌による髄膜炎では、速やかに強力な抗菌療法を開始しなければならない。小児の細菌性髄膜炎では、難聴を予防するためにステロイド薬のデキサメタゾンを併用することもある。 頭蓋内圧亢進症状が強い場合や、意識障害が見られる場合には、グリセリンマンニトールなど多糖類の投与で脳浮腫の改善を図る。 一方、ウイルス性の髄膜炎は自然軽快傾向を持つため、疾患自体に対する治療は不要である。嘔吐に対しては絶飲食と輸液、頭痛に対しては鎮痛薬の投与、発熱に対しては解熱剤の投与といった対症療法で苦痛の緩和を図る。

成人細菌性髄膜炎のempirical therapy [編集]

市中発生では数年前まではアンピシリン(ビクシリン)とセフトリアキソン(ロセフィン)であったが耐性菌の増加に伴いカルバペネム系が用いられる傾向がある。この場合はカルバペネム系の単剤療法となる。

  • パニペネム・ベタミプロン(カルベニン)1回1g、1日4回、合計4g/day(保険適用は2g/dayまで)
  • メロペネム(メロペン)1回2g、1日3回、合計6g/day(保険適応は2g/dayまで)

院内発生や免疫抑制下(50歳以上やアルコール依存者)ではMRSAやリステリアもカバーするため以下の3剤併用とすることがある。なおセフトリアキソン(ロセフィン)はセファチキシム(クラフォラン)1回2g、1日4回、合計8g/day(保険適応は4g/dayまで)に変更可能である。感受性結果で仮にバンコマイシン以外に感受性がなかったとしても、バンコマイシンの単独治療は避ける事が推奨されている。

  • セフトリアキソン(ロセフィン)1回2g、1日2回、合計4g/day(保険適応は4g/dayまで)
  • バンコマイシン(バンコマイシン)1回0.5g、1日4回、合計2g/day(保険適応は2g/dayまで)
  • アンピシリン(ビクシリン)1回2g、1日6回、合計12g/day(保険適応は4g/dayまで)

また抗生物質投与前10~20分または同時投与でデキサメタゾンを投与することがガイドラインでは推奨されている。

  • デキサメサゾン(デカドロン)0.15mg/Kgで1日6回(36mg/60Kg/day)を2~4日投与

抗菌薬による細菌の融解で細菌の壁産物が放出される。これにより惹起される炎症性メディエイターによるサイトカイン、ケモカイン、酸化窒素の放出を副腎ステロイド薬が抑制することで神経障害が軽減すると考えられている。

抗菌薬の治療中止はガイドライン上は髄液所見が正常化後さらに1週間の投与をしたら終了とされている。髄液細胞50/mm3以下で血清CRP正常化で投与を中止しても再燃しないという報告もある。再発予防としては原因となった疾患(中耳炎副鼻腔炎、脊椎硬膜下膿瘍、脳室シャント、カテーテル、手術創)などを可能なかぎり治療、除去するといったことである。

予防 [編集]

インフルエンザ桿菌b型 (Haemophilus influenzae type b, Hib) による髄膜炎は、Hibワクチンの登場により、諸外国では極めてまれな疾患となった。日本では依然として、Hibは小児細菌性髄膜炎の最も多い起炎菌である。日本ではHibワクチンが2008年12月より、医療機関で任意接種可能となった。

肺炎球菌による髄膜炎も、成人免疫不全患者、高齢者に対する肺炎球菌23価ワクチン(日本も承認済み)によって予防できる。乳幼児(2歳未満)にはこの23価ワクチンが無効であるため、乳幼児の肺炎球菌性髄膜炎の予防には多価(最も知られているのは7価)蛋白結合肺炎球菌ワクチンが必要である(国内未承認)。7価の肺炎球菌ワクチンも、輸入ワクチンを取り扱っている医療機関において接種可能である。

脚注 [編集]

  1. ^ 軽度のものから昏睡まで含めると、細菌性髄膜炎の約75%で意識レベルの低下がみられる。対してウイルス性のものでは、昏睡に至ることは稀である。Harrison's Principles of Internal Medicine, 17th edition. Fauci, AS, Braunwald E, Kasper DL, Hauser SL, Longo DL, Jameson JL, Loscalzo J. McGraw Hill. pp. 2623, 2627. ISBN 978-0-07-159991-7
  2. ^ 関根今生監修 『新編 図解 症状でわかる医学百科』 主婦と生活社、2002年、77頁、ISBN 4-391-12572-2
  3. ^ 岡田定 編, 「最速!聖路加診断術」, p45.
  4. ^ 所見からせまる脳MRI ISBN 9784879623737

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]