性器ヘルペス

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性器ヘルペス (せいきヘルペス) は、単純ヘルペスウイルス(HSV: herpes simplex virus)によって発症する性行為感染症である。

病因[編集]

ヘルペスウイルス科アルファヘルペスウイルス亜科に属するDNAウイルスの単純ヘルペスウイルスが原因となる。単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、口唇ヘルペスは1型で性器ヘルペスは2型に分類されるがオーラルセックスの一般化により必ずしも分類はされない。単純ヘルペスウイルスの形状は電子顕微鏡で観察すると、まるで目玉焼きのような形態をしている。

症状[編集]

感染をすると、潜伏期 (2日〜10日間) を経て水泡形成する。水疱はほどなく潰れ、潰瘍状になり色素沈着をし治る。この病気の特徴は痛みである。潰瘍そのものの、痛みと神経痛を伴う。また、患部近くの神経麻痺を起こす可能性があり、排尿障害や排便障害などの機能障害を来たすことがある。

初感染者の相手 (セックスパートナー) の70%が無症状という報告があるので無症候性 (症状が出ない) 性器ヘルペス患者が多いことを念頭に置かなければならない。男女比の感染者割合は女性感染者の割合が多い傾向にある。

診断[編集]

性器周辺に特有の水泡と発疹や浅い潰瘍による痛みや痒みの違和感があり診断は容易である。水泡内のウイルス細胞検査がある。不顕性感染の場合は単純ヘルペス抗体血液検査で判断する。

治療[編集]

性器ヘルペスには保険適用で抗ヘルペス剤のバラシクロビル(商品名:バルトレックス)を原則一年間、毎日定期内服する再発抑制療法と、抗ヘルペス剤軟膏塗布の両方を行う。特にバルトレックス内服の再発抑制療法により感染者自身の再発予防やセックスパートナーへの感染リスクを有効に抑えられる事が研究で確認されている。海外では米国で、2002年より英国系製薬会社により女性を対象にした単純ヘルペスワクチン候補薬の治験が実施されており実用化へ向けて進みだしている。現在も米国及び英国で更に精度された単純ヘルペスワクチン及び分娩時に性器ヘルペス感染者の発症母体から新生児の感染を阻止する為の局所感染予防薬や完治薬が研究開発中である。日本国内での研究では東京大学や大阪大学で単純ヘルペス感染の仕組みが解明されており完治薬開発に向けての新しい治療法や感染予防法の研究開発に生かされている。最近の研究成果では東京大学で薬剤ML-7により単純ヘルペス感染予防のマウスによる動物実験に成功している。

予後[編集]

単純ヘルペスウイルスの特徴として、所属神経節に潜伏感染して風邪や疲労等の免疫力低下により発症を繰り返す。現時点の治療では単純ヘルペスウイルスの再発治療や再発予防治療が主体である。なお、単純ヘルペスウイルスが身体から排除される完治薬はまだ出来てはいないが、研究開発はおこなわれている。性器ヘルペスウイルスの場合は、骨盤内仙髄神経節に潜む。特に女性の場合には、月経が来る度に性器ヘルペスが発症し肉体的、精神的に追い込まれる者がいる。患者も医師も根気強い治療が必要である。

関連項目[編集]