療育手帳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

療育手帳(りょういくてちょう)とは、知的障害者都道府県知事政令指定都市にあってはその長)が発行する障害者手帳である。

概要[編集]

この手帳の目的は知的障害児・者に対して、一貫した指導・相談等が行われ、各種の援助措置を受けやすくすることである[1]

身体障害者手帳については身体障害者福祉法に、精神障害者保健福祉手帳については精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に、それぞれ手帳発行に関する記述があるが、療育手帳に関しては知的障害者福祉法にその記述はなく、1973年9月27日に当時の厚生省が出した通知「療育手帳制度について」(厚生省発児第156号厚生事務次官通知。のち、1991年9月24日の厚生省発児第133号厚生事務次官通知として知的障害者に対する旅客運賃の割引制度の適用の関係で一部が改正されている)[2]、同年の通知「療育手帳制度の実施について」に基づき各都道府県知事(政令指定都市の長)が知的障害と判定した者に発行している。

18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所が判定を行なう[3]。なお、1999年地方自治法の改正(施行は2000年4月1日)により、機関委任事務が廃止され、通知、通達により国が地方自治体の事務に関与することはできなくなった。このため、この改正の施行日以降は、上記通知は法的効力を失っており、この制度は文字通り各自治体独自の施策となっている。

障害の程度の区分は、各自治体により異なる[4]

1991年に関係諸団体の運動によりJR運賃等の割引制度が設けられた[5]

手帳を呈示すると割引が受けられる施設や交通機関がある。JR等の運賃割引を受けようとする者は、ただ療育手帳を取得して提示するだけでは割引を受ける事は出来ない。あらかじめ住民票登録をしている自治体の福祉課等に出向き、その旨を証明する印章等を、所持する療育手帳に押印してもらう必要がある。手帳のコピーによる代用はできない。

問題点として都道府県や政令指定都市によって障害程度区分に違いがある、障害認定にあたって家族という言葉が目立ち、障害当事者が表面に出てこないなどが挙げられている[5]

手帳の名称[編集]

法で定められた制度ではなく、都道府県政令指定都市)の独自の発行である。手帳の名称も統一されておらずバラバラであり、次の地方公共団体は「療育手帳」以外の名称を使う。

発達障害者の手帳取得[編集]

都道府県または政令指定都市によっては手帳の取得ができる場合がある[12]。発達障害者が療育手帳による支援を希望しても知能指数の上限値よりも高い場合は交付を受けられない場合が生じている上に、同じような知的障害を持つ発達障害者が住んでいる地域によっては取得できる場合とできない場合があるといった事態が生じている。総務省行政評価局が14道府県及び2政令指定都市の状況を調査したところ、知能指数の上限値がおおむねIQ75と設定しているところとおおむねIQ70と設定しているところに分かれた。設定している知能指数の上限値を上回った場合でも、社会適応能力、専門医の診断結果などを総合的に判定し、交付する場合があるとするものもあるなど、その取組はまちまちであった。このことを踏まえ、総務省行政評価局が厚生労働省に対し、「療育手帳を交付する都道府県等の取組がまちまちとなっていることについて改善を図るべきである」と通知をした。なお、精神障害者保健福祉手帳の交付基準に該当する 場合は同手帳の取得ができる[13]

脚注[編集]

  1. ^ 発達障害情報センター「発達障害者を支える、さまざまな制度、施策>参考」 国立障害者リハビリテーションセンター 2010年10月2日閲覧
  2. ^ 療育手帳への「第一種」「第二種」区分記載の徹底について 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長 障企発第0201003号 平成20年(2008年)2月1日 別紙1 療育手帳の書換えについて 厚生省児童家庭局長 児発第810号 平成3年(1991年)9月24日 2010年10月5日閲覧
  3. ^ 児童相談所運営指針の改正について 第6章事業に係る留意事項 第7節特別児童扶養手当、療育手帳に係る判定事務等 2.療育手帳に係る判定事務 雇児発第0214003号 平成17年(2005年)2月14日 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長 2010年10月5日閲覧
  4. ^ 当事者からの意見-知的障害の立場から「知的障害」と認定されるまでの問題点 北沢清司 「ノーマライゼーション 障害者の福祉」2004年12月号 日本障害者リハビリテーション協会 2010年10月2日閲覧
  5. ^ a b 当事者からの意見-知的障害の立場から「知的障害」と認定されるまでの問題点 北沢清司 「ノーマライゼーション 障害者の福祉」2004年12月号 日本障害者リハビリテーション協会 2010年9月30日閲覧
  6. ^ 愛護手帳について 青森県 2010年9月30日閲覧
  7. ^ 愛の手帳 東京都福祉保健局東京都心身障害者福祉センター 2010年10月2日閲覧
  8. ^ みどりの手帳(療育手帳) 埼玉県福祉部総合リハビリテーションセンター 2010年10月2日閲覧
  9. ^ 療育手帳(みどりの手帳) さいたま市 2010年10月2日閲覧
  10. ^ 愛の手帳(療育手帳)の交付 横浜市健康福祉局 2010年10月2日閲覧
  11. ^ 愛護手帳 名古屋市・ウェルネットなごや 2010年10月2日閲覧
  12. ^ 北海道新聞 2009年6月25日記事 『道が2003年度に高機能広汎性発達障害を対象に加えたのを機に(札幌)市児童相談所も04年度、「IQが高くても知的障害と見なすことができる」として対象とした。』
  13. ^ 発達障がい者に対する療育手帳の交付について(概要) 平成22年9月13日 総務省行政評価局 2011年6月13日閲覧

関連項目[編集]