精神障害者
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精神障害者(せいしんしょうがいしゃ)とは、精神疾患(精神障害)を有する個人のことである。
目次 |
[編集] 日本での法律上の各定義
「統合失調症、精神作用物質[1]による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者(第5条)」とされる(「日本における法律上の定義に関する議論」を参照)。
「精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者(第2条)」である。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の第5条に規定する精神障害者から知的障害者福祉法にいう知的障害者を除いた者のうち18歳以上である者(第4条)である。なお、精神障害者のうち18歳未満の者は児童福祉法第4条第2項に規定する障害児と一緒に障害児としている[2]
[編集] 能力の障害
厚生省保健医療局長通知の「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」の「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明」によると概ね下記のような能力の障害がある。
- 適切な食事摂取が難しい、または出来ない
- 洗面、入浴、更衣、清掃など身辺の清潔保持が難しい、または出来ない
- 金銭管理および適切な買い物が難しい、または出来ない
- 規則的な通院・服薬が難しい、または出来ない
- 適切な意思伝達や協調的な対人関係の構築が難しい、または出来ない
- 身辺の安全保持・危機対応が難しい、または出来ない
- 社会的手続や公共施設の利用が難しい、または出来ない
- 趣味・娯楽等への関心が低く、それらの活動への参加が難しい、または出来ない
[編集] 歴史
[編集] 世界での歴史
- 1656年、フランスのルイ14世の指導により精神障害者、犯罪者、浮浪者を収容する総合施療院、ビセートル病院(L'hôpital de Bicêtre、男性)、サルペトリエール病院(Hôpital de la Salpêtrière、女性)が建設される[3]。働かない権利の項も参照
- 1714年、イギリスにて浮浪者取締法が制定される。浮浪者の中の精神障害者の保護について規定[4]
- 1774年、イギリスにてマッドハウス(madhouse[5])を規制するマッドハウス法を制定する[6]
- 1793年、フランスのフィリップ・ピネル(Philippe Pinel)、ジャン=バチスト・ピュッサンがビセートル病院の閉鎖病棟の患者を鎖から解放する。ル・クルムラン=ビセートルも参照
- 1808年、イギリスにて州立アサイラム法が成立、精神障害者の入院環境を改善する多くの規定が盛り込まれる[7]
- 1852年、フランスの精神科医ベネディクト・モレル (Bénédict Morel) によって統合失調症は初めて公式に記述され、仏Démence précoce(「早発性痴呆」)と呼ばれた
- 1871年、ドイツのエヴァルト・ヘッカー (Ewald Hecker) が「破瓜病」(Hebephrenie) を著す
- 1874年、ドイツのカール・カールバウム (Karl Ludwig Kahlbaum) が「緊張病」(Katatonie) を著す
- 1880年、フランスの医師ジェリーノ(Jean-Baptiste-Édouard Gélineau)がナルコレプシー(narcolepsy)を名付ける
- 1899年、ドイツのエミール・クレペリン (Emil Kraepelin) が独Dementia Praecox(「早発性痴呆」)を著し、破瓜病、緊張病に妄想病を加えてまとめる
- 1900年、国際統計協会が疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)の初版を公表
- 1911年、スイスの精神科医オイゲン・ブロイラー(Eugen Bleuler) は、必ずしも若年時に発症するとは限らず、又、必ずしも痴呆に到るとは限らず、この病気の本性は観念連合の弛緩にあるとして、独Dementia Praecox(「早発性痴呆」)を独Schizophrenie(旧称「精神分裂病」)と改名し疾患概念をかえた
- 1921年、アメリカ精神医学会設立
- 1935年、ポルトガルの神経科医エガス・モニス、外科医のペドロ・アルメイダ・リマ(Pedro Almeida Lima)がロボトミーを創始する
- 1938年、イタリアのU.ツェルレッティ(Ugo Cerletti)とルシオ・ビニ(Lucio Bini)が電気けいれん療法を開発
- 1952年、フランスの精神科医ジャン・ドレー (Jean Delay) とピエール・ドニカー (Pierre Deniker) がクロルプロマジンの統合失調症に対する治療効果を初めて正しく評価し、精神病に対する精神科薬物療法の時代が幕を開けた
- 1952年、アメリカ精神医学会が精神疾患に関するガイドライン「精神障害の診断と統計の手引き(DSM)」初版(DSM-I)を出す
- 1957年、ベルギーの薬理学者パウル・ヤンセン (Paul Janssen) がクロルプロマジンより優れた抗精神病薬ハロペリドールを開発
- 1957年、スイスの精神科医ローラント・クーンによってイミプラミンが、精神賦活作用を有することが見いだされ、うつ病の薬物療法への道が開かれた[10]。
- 1959年、イギリス、精神保健法成立。拘留ではなく自由意志での入院が促進される。のちの1961年、当時の保健大臣イーノック・パウエル(Enoch Powell)が精神病院の終了とコミュニテイケア政策を予言する[11]
- 1963年、アメリカにて「精神病及び精神薄弱に関する大統領教書」(Special Message to the Congress on Mental Illness and Mental Retardation、ケネディ教書)精神医療における脱入院化が掲げられる[12]
- 1967年、イギリスの精神科医デヴィッド・クーパー (David Cooper) は反精神医学 (Anti-psychiatry) を唱え、精神分裂病は存在しないと主張。その理論は大方の承認を得るまでには至っていない[13]。
- 1978年、イタリア、通称「バザリア法」が成立[14]。世界初の精神病院廃絶法[15]
- 1984年、非定型抗精神病薬のリスペリドンが開発される
[編集] 日本での歴史
- 1807年(文化4年)、漢方医の香川修徳が医学全書「一本堂行余医言」を発刊する(第五巻が精神医学の項目)[17]。
- 1818年(文政元年)頃、漢方医の石丸周吾が私立の精神科診療所、石丸癲狂院(のちの石丸病院)を開院する(現・大阪府豊中市熊野町2丁目)[18]。精神医療#歴史も参照
- 1846年(弘化3年)、接骨医の奈良林一徳が私立の精神科診療所、小松川狂疾治療所(のちの加命堂脳病院)を開院する(現・東京都江戸川区西小松川町)[19]。精神医療#歴史も参照
- 1872年(明治5年)、ロシア皇太子が訪日するにあたり、明治政府は東京府東京市本郷の元加賀藩邸跡(現・東京大学構内)の空き長屋に営繕会議所附属養育院(現・地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター)[20]が設置され、巷の生活困窮者などを狩込み収容する(精神障害者部門は東京都立松沢病院となる)[21]
- 1873年(明治6年)、文部省の医務課が医務局になり、明治政府が本格的に衛生行政に着手した[22]
- 1874年(明治7年)、文部省が東京府、京都府、大阪府に対し医制を発布し、癲狂院(てんきょういん、当時の精神科病院はこのように呼ばれた)の設立を規定[23]
- 1875年(明治8年)、京都府の南禅寺境内に日本初の公立精神科病院「京都府療病院付属癲狂院」(現・川越病院)設立[24][25]
- 1875年(明治8年)、路上の狂癲人の取扱いに関する行政警察規則が制定される。[26]
- 1878年(明治11年)、東京府に日本初の私立精神科病院、加藤瘋癲病院が認可される[27]
- 1879年(明治12年)、相馬事件
- 1879年(明治12年)、帝国大学医科大学(現・東京大学医学部)に日本初の精神医学講座が設置される(初代教授は榊俶)[28]
- 1900年(明治33年)、精神病者監護法公布、私宅監置の制度化。座敷牢の項も参照
- 1902年(明治35年)、日本神経学会発足(後の日本精神神経学会となる)
- 1908年(明治41年)、(参考:知的障害)三宅鉱一と池田隆徳が「知能測定尺度(ビネー・シモン法)」を紹介。知能検査#開発の歴史を参照
- 1914年(大正3年)、精神病院法公布
- 戦後、軍備蓄のメタンフェタミンが市場流入。依存者が大量に発生し社会問題になる。覚醒剤#歴史も参照
- 1948年(昭和23年)、優生保護法施行。詳細は優生学・断種の項も参照
- 1949年(昭和24年)、日本精神科病院協会設立
- 1950年(昭和25年)、精神衛生法施行、同法施行に伴い精神病者監護法、精神病院法が廃止。私宅監置の禁止。精神科の項も参照
- 1951年(昭和26年)、覚せい剤取締法施行
- 1958年(昭和33年)、(参考:知的障害)学校保健法(現・学校保健安全法第11条)に基づき就学時健康診断が始まる。知能検査#利用の歴史、知能指数#活用の項も参照
- 1964年(昭和39年)、ライシャワー駐日大使刺傷事件が発生する
- 1965年(昭和40年)、精神衛生法が改正。通院医療費公費負担制度が創設される[29]。統合失調症や気分障害などの者の家族らでつくる精神障害者家族会の全国連合会組織、全国精神障害者家族会連合会(全家連)が設立
- 1968年(昭和43年)、世界保健機関がクラーク勧告を日本に宣告する。
- 1971年(昭和46年)、東京いのちの電話が開設される[30]
- 1974年(昭和49年)、第1回全国精神障害者交流集会が開催され、それをきっかけとして患者の個人全国組織、全国「精神病」者集団が結成される。精神科デイケアが医療保険の対象になる
- 1975年(昭和50年)、日本精神神経学会が『精神外科』を否定する決議を採択。ロボトミー手術の廃止を宣言。患者の通信・面会の自由に関する決議を採択。
- 1975年(昭和50年)、断酒ミーティングアルコホーリクス・アノニマスが東京で始められる[32]
- 1984年(昭和59年)、宇都宮病院事件が明るみになる。べてるの家が発足
- 1987年(昭和62年)、精神保健法施行。精神保健指定医が発足
- 1993年(平成5年)、全国精神障害者団体連合会(全精連)結成
- 1994年(平成6年)、北陽病院事件の民事訴訟判決が確定
- 1995年(平成7年)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行。精神障害者保健福祉手帳制度制定
- 1996年(平成8年)、優生保護法が母体保護法に変わり、強制断種等に係る条文が削除される。全家連、ホテル兼授産施設等の「ハートピアきつれ川」開設
- 2001年(平成13年)、附属池田小事件が発生
- 2002年(平成14年)、精神分裂病の診断名が統合失調症へ変更された。全国精神障害者家族会連合会(全家連)、補助金の目的外使用が発覚し返還命令を受ける
- 2002年(平成14年)、道路交通法改正で、自動車運転免許の欠格が「絶対的欠格事由に基づく方式」から「相対的欠格事由に基づく方式」に改められる。運転免許に関する欠格条項問題の項を参照
- 2004年(平成16年)、薬物依存症の家族らでつくる全国連合組織、全国薬物依存症者家族連合会(薬家連)が設立
- 2005年(平成17年)、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)施行
- 2006年(平成18年)、障害者自立支援法が施行。精神病院の用語の整理等のための関係法律の一部を改正する法律が成立
- 2006年(平成18年)、新しい精神障害者家族会の全国連合会組織、全国精神保健福祉会連合会が設立
- 2006年(平成18年)、精神障害者保健福祉手帳が写真が添付できる新様式に更新された
- 2007年(平成19年)、全国精神障害者家族会連合会(全家連)が負債10億円を抱え倒産、解散
- 2007年(平成19年)、リタリンの不適切処方問題が表面化。うつ病がリタリンの適応症から外される。翌年に流通規制制度を設ける
- 2009年(平成21年)、第45回衆議院議員総選挙により、民主党が第一党となる。民主党中心の民社国連立政権が発足(国民新党・社民党が当初の連立政権の相手方であった)。長妻昭厚生労働大臣が障害者自立支援法の廃止を宣言をするも、同法は現在廃止にはなっていない。
- 2009年(平成21年)、厚生労働省が障害者自立支援法等の一部を改正する法律案を提出[34]
- 2010年(平成22年)、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律(障害者自立支援法の改正案)が成立
[編集] 福祉制度
[編集] 精神障害者保健福祉手帳
詳細は「精神障害者保健福祉手帳」を参照
[編集] 障害年金
障害の程度など条件によっては障害年金の受給ができることもある。障害年金には国民年金法に基づく障害基礎年金と厚生年金保険法に基づく障害厚生年金がある。
認定基準上での精神障害は「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害(そううつ病)」、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害(精神遅滞)」に区分されている。人格障害は原則認定の対象外で、神経症については原則として認定の対象とならないが、臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症またはそううつ病に準じて取り扱うことになっている[35]。
[編集] 障害者自立支援
法律としては第163回国会にて成立。2006年4月より障害者自立支援法による診察料・薬代といった精神疾患の治療に対する通院医療費負担(自立支援医療(精神通院医療))[36]、社会復帰支援事業の施設利用料の一部公的負担が適用となる。医療費全体の原則10%負担で、患者の世帯収入に応じた応益負担である。
障害者自立支援法施行前の精神科通院医療費の負担は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)第32条の「通院医療費公費負担制度」で全体の5%負担であった。自治体によっては残りの自己負担分も負担し、無料であった。[37]
- 2009年9月19日に鳩山由紀夫内閣の長妻昭厚生労働大臣は障害者自立支援法の廃止を明言している。
- 2009年3月31日、厚生労働省が障害者自立支援法等の一部を改正する法律案を第171回国会に提出。
- 2010年12月3日、第176回国会にて障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律(通称、障害者自立支援法改正案)が成立。応益負担から応能負担への変更、グループホームを利用する個人への助成などが変更点[38]。2013年8月までの障害者自立支援法の廃止とそれに変わる新法制定の間のつなぎの法律[39]。
[編集] 関連項目
[編集] 障害者雇用
2006年4月より精神障害者保健福祉手帳の所持者に限り障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)による法定雇用率の算定に加えることができるようになった。
[編集] 公共交通機関での問題点
地下鉄[40]等の自治体運営交通機関や民間の鉄道やバスの一部[41]などでは交通費の減免措置があるが今もJR[42]や多くの民間交通機関[43]・航空会社[44]・高速道路や都市高速[45]等の有料道路のほとんどでは交通費の減免などの措置を実施してない。また行っているとしても割引率が低い等のサービスが低い例もある。収入・経済面で大きな足かせを負い、社会参加をすることや福祉施設・病院に通うことが難しい障害者にとって、負担を減少させる割引が身体・知的に比べ少ないのが現状である。この問題に関して、国土交通省では数度に渡り、各事業者に対し、精神障害者を割引対象に加えることへの協力要請を行っているが、強制力のあるものではなく、各社とも対応は消極的、もしくは冷淡である。その主な理由としては、公共交通を取り巻く経営環境の悪化で減収につながる割引の拡大をしたくない、精神障害は必ずしも生涯に渡るものではない、行政の仕事である福祉のコストを民間企業が負わされる筋合いはない、他社がやっていないからという横並び意識、などである。また航空会社に関しては、上記の理由に加え、現在は事前購入など障害者運賃よりも割引率が高い運賃を用意しているので、今更障害者の範疇を広げる要を認めない、といった理由もある。
[編集] 日本における法律上の定義に関する議論
精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)では精神障害を「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患」と定義する。しかし、典型的な精神疾患である気分障害(感情障害)やいわゆる神経症性障害を例示することなく「その他の精神疾患」に一括りする一方で、先天性または乳幼児期・青年期早期からの障害又は通常からの偏りから生じ、通常の精神疾患とは別個に取り扱われる[46]精神遅滞(知的障害)や精神病質[47]が、治療と社会復帰を目的とする精神保健福祉法に例示されていることについては、バランスを欠くとする批判もあるが、法改正の必要性の有無などについて議論が深まってはいない。
[編集] 社会における精神障害者への偏見・差別
昔から精神障害者は「きちがい」と呼ばれ偏見の対象になっていた(障害者差別の項も参照)。現在では身体障害者・知的障害者と同様の障害者として扱うべきとされている。しかし、今でも根強い偏見が存在するため、当事者の中には就職などでの不利益な扱いを嫌って障害を持つことを隠す例や、精神障害者手帳そのものを失効させる例も珍しくない。実際の差別の具体例は千葉県障害福祉課が公開している『寄せられた「障害者差別」と思われる事例』[48]に詳しい。中には精神という呼称が差別だという意見もある。働いていたとしても本当の診断名を隠すように医師から指導されることもある[49]。
ドイツでは1930年代、精神分裂病患者をユダヤ人と同等に見なし排除への乗り出した。1940年1月~1942年9月の間に70,723人の精神科患者がガス室送りになった[9]。T4作戦も参照
[編集] リハビリテーション
長期闘病や入院などで生活能力の低下を改善するために精神科病院などにはデイケア、ナイトケア、ショートケアといった精神科外来リハビリテーションを設けている所もある。デイケアセンターの項も参照のこと。
薬物依存症者向けにはDARC(ダルク、Drug Addiction Rehabilitation Center)という民間の手によるリハビリ施設が設けられている。
[編集] 社会復帰・地域生活援助
行政が中心となり、精神障害者の社会復帰・地域生活援助事業を行っている。運営は主に医療法人、社会福祉法人、精神障害者家族会等が行っている。
[編集] 関連団体等
精神障害に関係する団体としては障害者本人による患者会、障害者の家族らによる家族会、精神科病院に関する団体などが存在する。
[編集] 患者会
患者の相互扶助を目的として組織された障害者団体もある。中には自ら地域社会での居場所を確保する目的で地域活動支援センターⅢ型(旧・小規模作業所、共同作業所や作業所とも呼ぶ)を運営する団体もある(→精神障害者患者会を参照)。全国「精神病」者集団、全国精神障害者団体連合会(全精連)など。
[編集] 家族会
統合失調症、気分障害などを対象とした精神障害者家族会と薬物依存症を対象にした薬物依存症者家族会がある。
[編集] 精神障害者家族会
精神障害者のうち、統合失調症、気分障害などの者の家族らで作る相互扶助等を目的として組織された団体。地域活動支援センターⅢ型(旧・小規模作業所、共同作業所や作業所とも呼ぶ)の運営母体にもなっているところもある。かつては全国連合組織「全国精神障害者家族会連合会(全家連)」があった。現在は全国精神保健福祉会連合会(略称・全福連、愛称・みんなねっと)など。なお、日本国外にも同様の団体があり、アメリカのNational Alliance on Mental Illness(略称・NAMI)など。
[編集] 薬物依存症者家族会
精神障害者のうち、薬物依存症者の家族らで作る相互扶助等を目的として組織された団体。全国薬物依存症者家族連合会(薬家連)など。
[編集] その他
[編集] 天下り問題
全家連理事を勤めた荒井元傅らの資料では、1994年12月に全家連理事長が厚生省(現・厚生労働省)に呼び出され、天下りの受け入れを強要された。天下り先は全家連が運営していたホテルと精神障害者の授産施設等で構成される福祉施設「ハートピアきつれ川(栃木県さくら市、喜連川温泉)」である[50]。
[編集] 「障害者」呼称について
[編集] 心的障碍
[編集] 警察用語との関係
警察用語にマルセイ(マル精)があるが、この言葉は精神異常者を指しており、精神障害者を指していない。また精神異常者と精神障害者は全く同じものとは言えない[要出典]。
[編集] マスコミ
日本テレビでは精神障害者を「精神疾患のある人」と言い換えている[要出典]。
[編集] 若者言葉、現代文学等
- 1980年代以降、オカルトブームにより、病んで殺る人、狂気の神、精等の表現に変化している。
- 2000年代以降では、メンヘラ、ヤンデレ等の表現に変化し、近年では雑誌に置いてもこの表現を使用しているものもある。
[編集] 精神障害者と犯罪
精神障害者で犯罪を起こした者を触法精神障害者と呼ぶ。特に殺人など重大な犯罪を犯した者に対して使われることが多い[51]。日本でのこの節でいう『重大な犯罪(重大な他害行為)』とは、「殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害」である。そのうち傷害以外のものは未遂も含まれる。精神障害で善悪の区別がつかないなど、刑事責任を問えない状態で重大な他害行為をした触法精神障害者向けには「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)」に基づき、厚生労働大臣が指定した指定医療機関(入院の場合は指定入院医療機関、通院の場合は指定通院医療機関)にて適切な医療を提供し、社会復帰を促進されることがある[52]。この制度は欧米、特にイギリスの司法精神医療をモデルにした[53]。
日本の触法精神障害者に対する法の不備については日本精神科病院協会が指摘し、新法制定を訴えてきたいきさつがある。日精協誌上で何度か特集を組み注意の喚起を行ってきていた[54]。一方、日本弁護士連合会(日弁連)は閣議決定されたこの法律案に対し反対声明を出している[55]。
- 処遇の詳細については責任能力の頁を、保安処分導入の議論については保安処分#日本における保安処分導入の動きの項を、関連法令は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の項、医学については司法精神医学の頁を参照のこと。関連する項目には無罪#日本法に基づく概要の中の責任能力が欠落していると判断された場合の「無罪」の節がある。
[編集] 統計
精神障害者等の犯罪の数値を挙げると「精神障害者をどう裁くか」岩波明 光文社 2009年 ISBN 9784334035013の29頁「一般刑法犯検挙人数における精神障害者等の推移(平成9~18年)」によれば検挙人数総数に対する精神障害者等の割合は0.6~0.7%となっている。一方、同書30頁の「精神障害者等の一般刑法犯罪名別検挙人員(平成18年)」では殺人が全体の9.6%を占める。
平成10年版犯罪白書によると法務省刑事局のまとめによれば、平成5年~9年の累計で不起訴処分となった精神障害のある者は89.8%でうち殺人84.6%、強盗85.9%、傷害93.9%、傷害致死71.3%、強姦・強制わいせつ79.5%、放火87.9%。無罪となる精神障害者は0.5%であった[56]。
平成13年版犯罪白書によると法務省刑事局のまとめによれば、平成8年~12年の累計で検察庁で精神障害のために心神喪失と認められた者、心神耗弱と認められた者、第一審裁判所で心神喪失を理由に無罪となった者、心神耗弱により刑を減軽された者が起こした殺人事件の被害者は親族等が70.0%を占め、知人は16.9%、第三者は13.1%である[57]。
[編集] フィクション作品
この精神障害者と犯罪と処遇をテーマとして取り上げた作品として円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマ「怪奇大作戦」第24話狂鬼人間がある。しかし公式には欠番扱いになっており、欠番理由も不明である。
[編集] 欠格
精神障害者に対して下記の欠格がある。
[編集] 日本国
[編集] 自動車運転免許証
詳細は「運転免許に関する欠格条項問題」を参照
[編集] 朝鮮民主主義人民共和国
朝鮮民主主義人民共和国は「朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法」にて選挙権、被選挙権を与えていない[58]。
第66条 (省略)精神病者は選挙権及び被選挙権を有しない。
[編集] 参考文献
- 精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について 厚生省保健医療局長通知
- 村田忠良 『現代精神衛生学ノート』 サンパウロ、1977年。
- 岩波明 『精神障害者をどう裁くか』 光文社、2009年。ISBN 9784334035013。
- 本澤二郎 『霞ヶ関の犯罪「お上社会」腐蝕の構造』 リベルタ出版、2002年。ISBN 9784947637772。
- 安藤健二 『封印作品の謎』 太田出版、2004年。ISBN 9784872338874。
- 精神保健福祉研究会 『わが国の精神保健福祉平成14年度版』。
- 『こころの病―私たち100人の体験』 全国精神障害者団体連合会準備会、全国精神障害者家族会連合会、中央法規出版、1993年。ISBN 9784805810873。
- 坂田三允 『こころを病む人の看護』 中央法規出版、1995年。ISBN 9784805813638。
- 大熊一夫 『精神病院を捨てたイタリア捨てない日本』 岩波書店、2009年。ISBN 9784000236850。
- ロイ・ポーター 『1冊でわかる狂気』 田中裕介、 内藤あかね 、鈴木瑞実訳、岩波書店、2006年。ISBN 9784000268882。
- 小俣和一郎 『精神医学の歴史』 第三文明社、2005年。ISBN 9784476012521。
- 北朝鮮憲法を読む―知られざる隣国の法律 保田剛(翻訳)、遠西昭 (監修) リイド社 2003年 ISBN 9784845823758
- 精神障害のある人の人権 関東弁護士会連合会編 明石書店 2002年 ISBN 9784750316215
[編集] 脚注
- ^ 厚生省保健医療局長通知「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」の「精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準の説明」によると有機溶剤などの産業化合物、アルコールなどの嗜好品、麻薬、覚醒剤、コカイン、向精神薬などの医薬品など
- ^ 障害者自立支援法 厚生労働省 2010年10月26日閲覧
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 2009年 ISBN 9784334035013 p67
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 ISBN 9784334035013 p74
- ^ Overview of the Development of Alternatives to Community Care-200 Years Experience(コミュニティケアをめぐるイギリス精神保健の200年)John B. Jenkins 佐藤久夫訳 リハビリテーション研究 日本障害者リハビリテーション協会 1994年3月(第79号)11頁~15頁
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 ISBN 9784334035013 p74-75
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 ISBN 9784334035013 p75
- ^ 1冊でわかる狂気 ロイ・ポーター著 田中裕介、 内藤あかね 、鈴木瑞実訳 岩波書店 2006年 ISBN 9784000268882 p170
- ^ a b 1冊でわかる狂気 ロイ・ポーター著 田中裕介、 内藤あかね 、鈴木瑞実訳 岩波書店 2006年 ISBN 9784000268882 p154
- ^ 医薬品インタビューフォーム 「イミドール」 (PDF) 田辺三菱製薬 吉富薬品 2010年9月25日閲覧
- ^ Overview of the Development of Alternatives to Community Care-200 Years Experience(コミュニティケアをめぐるイギリス精神保健の200年)John B. Jenkins 佐藤久夫訳 リハビリテーション研究 日本障害者リハビリテーション協会 1994年3月(第79号)11頁~15頁
- ^ アメリカにおける脱入院化――ケネディ教書以前とその後 三野宏治 立命館大学大学院 2009年
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- ^ JR東日本:お身体の不自由なお客さまへ:障害者割引制度のご案内
- ^ 身体障がい者・知的障がい者割引 西鉄電車
- ^ JAL国内線 - 身体障がい者割引
- ^ 福岡北九州高速道路公社 障害者割引について
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- ^ 精神病質は人格障害とほぼ同義である。
- ^ 寄せられた「障害者差別と思われる事例」 2004年(平成16年)募集 千葉県障害福祉課 2010年3月30日閲覧。この事例集は「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の制定目的で千葉県民から募集したものである。
- ^ こころの病―私たち100人の体験 全国精神障害者団体連合会準備会、全国精神障害者家族会連合会編 中央法規出版 1993年 ISBN 9784805810873 p202~203
- ^ 霞ヶ関の犯罪「お上社会」腐蝕の構造 本澤二郎 リベルタ出版 2002年 ISBN 9784947637772 p168-169
- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 2009年 ISBN 9784334035013 p24
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- ^ 精神障害者をどう裁くか 岩波明 光文社 2009年 ISBN 9784334035013 p26-27
- ^ 触法精神障害者問題について 長尾卓夫 月刊ノーマライゼーション 2002年9月号 財団法人日本障害者リハビリテーション協会 2010年11月9日閲覧
- ^ 精神障害のある人の人権 関東弁護士会連合会編 明石書店 2002年 ISBN 9784750316215 p251
- ^ 平成10年版犯罪白書 第1編第2章第6節2精神障害のある犯罪者の概況 法務省 2010年11月9日閲覧
- ^ 平成13年版犯罪白書 第1編第2章第3節3精神障害のある犯罪者の特色 -殺人事件について- 法務省 2010年11月23日閲覧
- ^ 北朝鮮憲法を読む―知られざる隣国の法律 保田剛(翻訳)、遠西昭 (監修) リイド社 2003年 ISBN 9784845823758 p110
[編集] 関連項目
- 条約
- 国内法
- 行政(日本国)
- 学問・医療・福祉
- その他
[編集] 外部リンク
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