特別支援学校教員

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特別支援学校教員(とくべつしえんがっこうきょういん)は、特別支援学校における教育職員である。特別支援学校に置かれる職員のうち、おおむね、副校長教頭主幹教諭指導教諭教諭助教諭講師養護教諭養護助教諭栄養教諭などの職員が該当する(教員の職階なども参照のこと)。

このうち、「副校長」「教頭」「養護をつかさどる主幹教諭」「栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭」「養護教諭」「養護助教諭」「栄養教諭」でない者は、原則として「特別支援学校の教員の免許状」を有していなければならない。

概要[編集]

特別支援学校において視覚障害者聴覚障害者知的障害者肢体不自由者又は病弱者身体虚弱者を含む)、その他障害のある者、特別支援学級において教育を行うことが適当な者の教育をつかさどる職員である。幼児・児童・生徒の健康面の管理、さらに保護のための対策なども重要な仕事となっている。

特別支援学校は、障害のある幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を「支援する」という視点に立ち、旧盲・聾・養護学校を統合し、2007年に改称された学校である。それに伴い教員免許状も再編成されている。

特別支援学校には、幼稚部、小学部、中学部、高等部を置くことができる。

全国の特別支援学校教員の数[編集]

特別支援学校教員(本務)の数[1]
年度
2001年度 23,582人 29,660人 53,242人
2004年度 24,161人 31,253人 55,414人
2007年度 24,981人 33,610人 58,591人

2001年度、2004年度は盲学校、聾学校、養護学校の計である。

特別支援学校教員の免許状[編集]

特別支援学校教員の普通免許状は、旧盲・聾・養護学校教諭、旧特殊教育(教科)教諭の免許状の再編成[2]により、現在、3つの「種類」と、それぞれ4~5つの「領域」、「教科」に分かれている(教科はさらに分かれる)。免許状を取得する際には、種類や領域等を混同しないように注意する必要がある(別記、「担任の範囲と免許状の種類」を参照)。

  • 特別支援学校教諭(5つの教育領域)
  • 特別支援学校自立教科教諭(5つの教科)
  • 特別支援学校自立活動教諭(4つの領域)

幼稚部、小学部、中学部、高等部を担任する教諭[編集]

特別支援学校教諭の免許状

  • 基礎資格
    • 専修免許状 = 修士学位を有し、かつ、教諭(幼稚園、小学校、中学校、または高等学校)の普通免許状を有する者
    • 一種免許状 = 学士の学位を有し、かつ、教諭(幼稚園、小学校、中学校、または高等学校)の普通免許状を有する者
    • 二種免許状 = 教諭(幼稚園、小学校、中学校、または高等学校)の普通免許状を有する者
免許法「別表第1」による場合。二種免許状には学位の定めは無く免許状が基礎資格となっている。
  • 特別支援教育領域
    • 視覚障害者
    • 聴覚障害者
    • 知的障害者
    • 肢体不自由者
    • 病弱者(身体虚弱者を含む。)

幼稚部、小学部、中学部、高等部における担任を行う教諭は、特別支援学校教諭免許状のほか各部に相当する学校の教員免許状を有する者でなければならないことが原則となっている(教育職員免許法第3条第3項)。

  • 幼稚部 - 幼稚園教諭免許状
  • 小学部 - 小学校教諭免許状
  • 中学部 - 中学校教諭免許状
  • 高等部 - 高等学校教諭免許状

例外規定として、特別支援学校の教諭の普通免許状のほか、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校の「いずれか」の学校の教諭の普通免許状を有する者は、自立教科等以外の教科を担任することもできる(教育職員免許法第17条の3)。

さらに附則の規定によって、「当分の間」は特別支援学校教諭の免許状が無くても特別支援学校の教員となることが出来ることとなっており(教育職員免許法附則16)、本則の規定は骨抜きにされていることに留意する必要がある。

自立教科等を担任する教諭の免許状[編集]

特別支援学校の教員の免許状には、自立教科等の教授を担任する専門の自立教科等教諭免許状が定められている。この免許状は、教育職員免許法第4条2項に規定する原則的な「教諭」免許状とは別に、「自立教科教諭」免許状と「自立活動教諭」免許状(単なる「教諭」免許状の名称とは異なり専門部の名称が冠されている)が文部科学省令によって個別的に定められている(教育職員免許法第4条の2第2項、同法施行規則第62条~65条の2)。

  • 特別支援学校自立教科教諭免許状(一種・二種)
    • 理療(あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう等)
    • 理学療法(上記の理療と異なる)
    • 音楽
    • 理容
    • 特殊技芸(美術、工芸、被服)
  • 特別支援学校自立活動教諭免許状(一種のみ)
    • 視覚障害教育
    • 聴覚障害教育
    • 肢体不自由教育
    • 言語障害教育

特別支援学校内において、自立活動を担任している部(組織)は自立活動部などと称している場合もある。

担任の範囲と免許状の種類[編集]

特別支援学校教員の普通免許状の種類(原則)
担任 免許状の種類 区分 領域・教科 備考
幼稚部
小学部
中学部
高等部
特別支援学校
教諭
専修
  • 視覚障害者
  • 聴覚障害者
  • 知的障害者
  • 肢体不自由者
  • 病弱者(身体虚弱者を含む。)
  • 各部における教科を担任する
  • 原則、各部相当教諭免許状も必要
    (幼稚園、小学校、中学校、または高等学校)
  • 旧盲・聾・養護学校教諭
一種
二種
自立教科 特別支援学校
自立教科教諭
一種
  • 理療
  • 理学療法
  • 音楽
  • 理容
  • 特殊技芸
  • 高等部で専ら自立教科を担任する
  • 教科により資格(はり師、きゅう師等)必要
  • 旧盲・聾・養護学校特殊教科教諭
二種
自立活動 特別支援学校
自立活動教諭
一種
  • 言語障害教育
  • 聴覚障害教育
  • 肢体不自由教育
  • 視覚障害教育
  • 全ての部において専ら自立活動を担任する
  • 旧盲・聾・養護学校自立活動教諭
養護 養護教諭 専修
  • 学校内の養護をつかさどる
一種
二種
栄養 栄養教諭 専修
  • 栄養の指導・管理をつかさどる
一種
二種

取得方法[編集]

特別支援学校教諭免許状の場合[編集]

別表第一のケース[編集]
  • 基本的には、特別支援学校教諭免許状の教職課程がある大学等で必要単位を修得する。大学通信教育での取得も可能だが、2012年現在、大学通信教育での「視覚障害者に関する教育領域」の課程認定を受けている大学はない。「聴覚障害者に関する教育領域」の課程認定を受けている大学は1校のみ存在する。ほかの大学(2013年現在、6校ある)での通信教育による取得可能な教育領域は、残る3領域(旧養護学校免許状相当[3])となる。
    • 因みに、2013年度時点で専修免許状に関する課程認定を受けている大学通信教育の課程は皆無であるため、専修免許状を別表第1にて通信教育で授与されることは不可能。
別表第七のケース[編集]
  • 幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教諭の普通免許状を有する教員の経験者は、教育職員検定により特別支援学校教諭普通二種免許状を取得することも出来る(別表第七)。なお、最初から一種を取得する場合は、特別支援学校で3年以上の勤務経験があり、その勤務校で扱っている教育領域が課程認定されている場合は、所属長による実務証明により、障害者教育実習及びその事前・事後指導の3単位分を免除される形(厳密には、職務経験を以って3単位を充当)で残りの単位(法定単位としては、23単位以上[4])を修得することで、「別表第一」での授与申請も可能。満たさない場合は、障害者教育実習が必要(大学によっては、事前・事後指導は、単位修得自体は必要だが、レポート提出のみで、対面受講や大学通信教育であればスクーリング受講が免除されるケースはある[5])。
    • 上進については、特別支援学校での勤務経験(一般の小中高での職務経験では不可)に「特別支援教育に関する科目」の単位修得ないしは講習会受講によりなされる(「別表第七」の規定による)。専修免許状については、「修士(ないしは専門職学位)」の学位を基礎資格として、課程認定大学院で単位を修得するケース(上述した、別表第一のケース)[6]が、現実的な選択となる(「別表第七」の規定でも、理論上は可能だが、講習会受講での専修免許状相当の単位修得は事実上不可能であるため)。


領域追加(施行規則第五条二の第3項)のケース[編集]
  • 勤務経験や他大学での単位修得により、「領域追加」を行うことができる(施行規則第五条二の第3項[7])。この場合、元の免許状に追記される形となるため、旧免許状原本と差替えでの発行となる(よって、免許状番号の変更もない)。このため、元の授与権者たる都道府県以外に「領域追加」の申請を行うことはできない。また、発行日(授与日)は元の免許状の日付のままとなるため、有効期限のある新免許状の有効期限が延長されることもない(当然、旧免許状の更新講習確認期限延長申請の要件も満たせない)。
    • 視覚障害の教育領域を取得するためには、専攻科を設置する大学での単位修得ないしは実務経験による要件を満たすのが現実的となる。


特別支援学校自立活動教諭免許状の場合[編集]

  • 教員資格認定試験に合格して取得する方法もある(特別支援学校自立活動教諭一種のみ(二種免許はない)、自立活動教員はこの方法でしか取得不可能)。

特別支援学校自立教科教諭免許状の場合[編集]

  • 特別支援学校自立教科教諭免許状の場合、教育職員検定による、すでに取得している他の資格等要件と都道府県教育庁から履修指導を受けた単位の修得により、取得可能となっている。

特別支援学校における「臨時的教員」の位置づけ[編集]

臨時的採用教員については、一般の小・中・高の同教員とは位置づけがやや異なる。

  • 常勤講師は、原則的には教諭に準じた業務を行う。
  • 非常勤講師は、授業のみの受持ちとなる高等学校非常勤講師とは異なり、基本的に児童生徒の学校での生活時間帯は勤務となるため、平日長期休暇を問わず勤務となるが、フルタイムではない。また、教壇に立つ主たる教師となることはなく、なおかつ、宿泊を伴う学習活動など、勤務制約を超えるものは、他の教諭ないしは常勤講師に依頼する形で、当該時間帯は代替勤務を行う。基本的に、厚生年金雇用保険健康保険の、いわゆる社会保障3点セットへの加入義務が発生する(常勤講師の4分の3程度[8]の勤務時間が発生するため)。
  • 病休ないしは産休代替講師は、常勤講師の職務に準ずるが、本来勤務すべき教諭の休職期間のみの勤務になるため、その期間によっては、厚生年金雇用保険健康保険の、いわゆる社会保障3点セットに加入できない場合もある(雇用保険のみ加入義務が発生する場合もある)。
  • 実習助手は、非常勤嘱託という扱いを受けるが、高等部に配置される一般の高等学校に配置すべきと規定されているものに準ずるものを除き、原則としては教育職員免許状を有する必要がある(特別支援学校教諭・同自立教科教諭・同自立活動教諭のいずれかの免許状ないしは、担当する学部に相当する校種の免許状のいずれか。ただし、本来的には免許状が不要な職階とされる点に注意)。なお、勤務時間帯が上述の「非常勤講師」に準ずるケースについては、同様にいわゆる社会保障3点セットの加入が義務付けられる。学校によっては、非常勤講師と勤務内容の区別がしづらいケースもある(本来は、教諭の指示が絶対なのが実習助手[9]で、ある程度の裁量が与えられるのが非常勤講師[10]と、表面上はなっている)。ただし、職務内容によっては、この限りではない。自治体によっては、非常勤講師を含め、市町村費での給与支払となるケースもある。

脚注[編集]

  1. ^ 学校教員統計調査(文部科学省)
  2. ^ 特殊教育免許の総合化について(中央教育審議会)
  3. ^ 「知的障害者に関する教育領域」、「肢体不自由者に関する教育領域」、「病弱者(身体虚弱者を含む.)に関する教育領域」の3教育領域が該当。
  4. ^ 取得する教育領域により、実際には法定単位数を大きく上回るケースが多い点に注意。このため、実習を含めた26単位以上で収まるケースは、まずない。
  5. ^ ただし、通学免除などには、特別支援学校での指導案細案の作成経験があるなど、勤務経験はクリアしていても職務内容がそこまで行っていないケースも存在するために、免除対象とならないケースも多く存在する。
  6. ^ ただし、大学通信教育での特別支援学校教諭専修免許状に関する課程認定大学は、2013年現在存在しない。
  7. ^ 勤務経験を利用する場合と大学で単位を修得した場合とでは、同じ施行規則第五条二の第3項の根拠に基づいたものでも、提出書類を含め、若干申請方法が異なる。前者については、教育職員検定を利用したものとなるため、放送大学や講習会受講の単位などの流用が都道府県教育庁が認めた範囲内であれば可能だが、後者にあたる教育職員検定を利用しない方法については、課程認定大学で追加する領域単位で一通りそろえる必要がある。
  8. ^ 厳密には、4分の3弱でなければならない。
  9. ^ 本来的な実習助手は、免許状がなくとも就くことが可能な職階(あるいは地位)であるため。
  10. ^ 非常勤講師は、特別支援学校教諭(同自立教科教諭・同自立活動教諭を含む)ないしは、所属学部に相当するいずれかの免許状が授与されていることが必須。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]