早漏

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早漏(そうろう)とは、性交の際にパートナーの女性が性的に満足しないうちに男性射精してしまうことである。英語でPE[1]という。対義語は遅漏である。より具体的には「膣内に挿入後30秒間射精を我慢できない状態」とも、「1分または2分」とも言われる。ただし女性側に立てば往々にして「自分が満足する前に射精してしまう」である[2]

概要[編集]

元々は、パートナーとなる女性の満足の有無や性器の刺激時間の長短にかかわらず、男性がオーガズムに達する前に射精してしまうこと、すなわちオーガズムと射精の順番が入れ替わることを示す言葉だったが、現在その意味で使われることはほとんどない[3]

三行半(みくだりはん)をもじった「三こすり半」(みこすりはん)という早漏を表す俗語があり、これは三回半こすっただけで射精してしまうという意味であるが、実際は三回半とは限らず早漏を例えたものである。好意的な意味では使われない[要出典]

また、性機能障害の内、30%は早漏を訴えているとも言われる[4]。また、アルフレッド・キンゼイの報告によれば、女性の75%は2分以内に射精された事がある[5]。ただし膣内への射精が行えるケースが多いこと、そうでなくとも患者の自慰によって射精された精液を用いての人工授精も可能であることから、男性不妊症として捉えた場合には深刻な問題とはならない。しかしながら時として患者のクオリティ・オブ・ライフが低下するため、医師による治療が求められるケースも見られる。

原因[編集]

ほとんどの場合、男性の身体機能には問題がなく、心因性のものである。性行為の際に女性のほうが性的満足を得るのが遅いため、男性側が自然に任せて射精した場合は早漏となる。また、性行為に不慣れな場合は、男性側が自分の性欲をうまくコントロールできないため、早漏になりやすい。また、若い男性は、射精が早い傾向が強い[6]

これらが原因であれば、特に心身には問題がないが、女性との関係に亀裂を生じる場合があるため、男性の性的悩みの一つとされている。

ただし、包茎による刺激への過敏、慢性尿道炎、前立腺の慢性的な炎症など器質的な疾患が見られる場合もある。

対処法[編集]

器質的な問題がなければ基本的に慣れの問題であるので女性の様子を見ながら性交渉をこなす事で解消する。ただし、以下のようなことを心がけることで解消が早くなったり、精神的ダメージなどの2次的な問題を回避しやすくなったりする可能性がある。

なお、ほとんどの場合において膣内射精が可能であるが、陰茎の挿入前に射精に至ってしまうケースもみられる[7]

  • 1970年にジョンソン[8]らによって発表された「スクイーズ法」[9]が多く用いられる。陰茎が受ける刺激は膣に挿入する直前、直後が最大であり、これをこらえきる事は、早漏罹患者にとって非常に困難であるため、挿入直後速やかに膣から陰茎を抜き、パートナーの手指により亀頭を数秒間圧迫し、快楽の波が過ぎ去るのを待つ。その後性行為を再開し、射精が迫るたびに上記の事を繰り返す。射精のコントロールは側仰位が最も容易とされている[10][11]
  • 射精しそうになったら運動をやめ、収まったら再開するのを繰り返すというセマンズ法[12](スタート・ストップ法[13])は古くから用いられてきたが、効果には疑問が呈されている[14]
  • 麻酔効果のあるゼリーもしくは軟膏を用いることで効果が見られる場合がある[15]
  • 早漏対策が施されたコンドームを使用する。たとえば一般的なコンドームの厚さは0.03mmであるが、メーカーにより更に厚みのある商品が生産されている。また、コンドームに、感度を鈍らせるために潤滑油やゼリーが施されているものもある[要出典]
  • コンドームを重ねて利用する方法[16]。ただこの方法は、コンドームを破損してしまう可能性があるので、コンドームを避妊目的で使用する場合には不適である[要出典]
  • 早漏を気にして無理に我慢すると射精が正常に行われなくなる可能性があるので注意しなければならない[要出典]
  • あらかじめオナニーで射精しておくという対処は、いざ性交となったときに勃起しない一時的な勃起不全に見舞われることもある。また、すでに射精しているため、実際の性行時に射精できない、あるいは射精量が少ないことがある。
  • 多くの場合、精神的要素に影響される為、自分の気持ちをコントロールすることで改善が見込まれる。
  • SSRI(抗うつ薬)は射精を遅らせることが示されている。SSRI(フルオキセチンセルトラリンなど)は現在早漏に対する最も有効な治療薬とされている。しかしこれらの薬剤は神経精神的な副作用から使用は制限される。早漏に対する特異的なSSRI(ダポキセチンなど)が最近効果があることがわかり、大規模臨床試験も行われている[7][17]
  • このダポキセチンが、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、ドイツ、イタリアとポルトガルといったヨーロッパの多くの国で早漏治療薬として認可され、世界初の錠剤型早漏治療薬として欧州ヤンセン社からプリリジーPriligy)という商品名で処方薬として発売されている。イギリスなど他のヨーロッパの国認可されている。日本でも2012年6月から厚生労働省の許可を得て輸入されている。[18]アメリカで中等症から重症の早漏症男性を対象に12週間に渡って行われた臨床試験ではダポキセチン30mgを服用したグループは性交の際、平均2分47秒、60mgを服用したグループは平均3分19秒射精を遅らせることに成功したと報告している。また、ダポキセチンは短時間(約1時間)で最高血清中濃度に達した後、速やかに排泄される(初期血中半減期1.2時間)ため、安全性が高いとされている。
  • 他に射精を遅らせる効果のある薬剤としてはオピオイドコカインジフェンヒドラミンがある。
  • 西洋弟切草から抽出されたハイパーフォリンの効果は、膣内射精潜伏期間と性的満足度を用いた射精反射時間で検討されている(Cannon-Smith, Kaufman, 2007)。この試験で、性交時間の延長を望みかつ勃起不全のない16人の男性被験者に性交の直前にハイパーフォリンを服用させたところ平均射精時間が246±29秒から331±34秒に延長した(P<0.002)。この効果は早漏で悩んでいる人もそうでない人も同様であった。西洋弟切草の効果はダポキセチンのそれと似通っている。

脚注[編集]

  1. ^ : premature ejaculation
  2. ^ 吉田、内藤(2000)p.165、『女性がよむ男性不妊の本』p.63
  3. ^ この意味での使用例は、筒井康隆の小説「郵性省」に見られる。
  4. ^ 『新泌尿器科学』p.328
  5. ^ 『悩み多きペニス』p.60 - 62 ただしキンゼイは1956年没である。
  6. ^ 『悩み多きペニス』p.63
  7. ^ a b 丸茂健、畠憲一、松本真由子 「射精障害と不妊治療」 日本医師会雑誌 137巻1号 2008年4月
  8. ^ : Johnson
  9. ^ : squeeze method
  10. ^ 『悩み多きペニス』p.65、吉田、内藤(2000) p.168、『女性がよむ男性不妊の本』p.65 2週間以内に90%のカップルにおいてある程度の効果が見られると紹介されている。
  11. ^ 永田尚夫、齋藤宗吾、山崎高明 『性器脳障害と未完成婚』(フリープレス 1997年11月 ISBN 4-4952-3038-2)では、3回これを繰り返し、4回目に射精する、と紹介されている。
  12. ^ : Semans method
  13. ^ : start/stop method
  14. ^ 『新泌尿器科学』p.329
  15. ^ 『新泌尿器科学』 p.329
  16. ^ 吉田、内藤(2000) p.167
  17. ^ 『悩み多きペニス』p.67
  18. ^ 朝日新聞出版『AERA』2012年11月12日号

参考文献[編集]

  • 郡健二郎、菅沼信彦 『EDと不妊治療の最前線』 昭和堂、2004年7月 ISBN 4-8122-0412-7
  • 内藤誠二 編 『新泌尿器科学』南山堂 1986年4月。出典として用いた物は2001年10月の第4版。
  • 原利夫 『女性が読む男性不妊の本』1996年3月、日本医療企画 ISBN 978-4890412754
  • ボー・コールサート 『悩み多きペニスの生涯と仕事』 2000年10月、草思社 ISBN 978-4794210128
  • 吉田修監修、内藤誠二編 『Frectile Dysfunction 外来』メジカルビュー 2000年3月

引用文献[編集]

  • Cannon-Smith, T. W., Kaufman, J.H.: Improved Ejacultory Control And Sexual Satisfaction In Pilot Study Of Men Taking Hypericum Perforatum Extract . The Internet Journal of Nutrition and Wellness. 2007. Volume 3 Number 2.