ジフェンヒドラミン

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ジフェンヒドラミン
チモールの構造式
識別情報
CAS登録番号 58-73-1
KEGG D00300
特性
化学式 C17H21NO
モル質量 255.355
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジフェンヒドラミン: diphenhydramine、IUPAC名:2-benzhydryloxy-N,N-dimethyl-ethanamine)は、H1受容体拮抗薬の一種で古典的(第一世代)H1拮抗薬である。

末梢及び中枢のヒスタミンと競合的に拮抗することにより炎症気道分泌の抑制、鎮静作用がある。また、イヌやネコでは乗り物酔いの予防薬として使用される[1]。ジフェンヒドラミン塩酸塩(塩酸ジフェンヒドラミン、diphenhydramine HCl)は主に風邪薬鼻炎薬など、抗ヒスタミン剤として用いられるが、顕著な催眠の副作用が問題視されていた。

一方、その副作用を逆に利用したのがドリエルなどの睡眠改善薬睡眠薬ではない)である。ジフェンヒドラミンの鎮静作用に対する耐性は、非常に早く形成され、3日後にはもはや偽薬と同等の効果である[2]。不適切に用いられた場合、小さな精神依存につながることがある[3]。睡眠のステージ3や4あるいはREM睡眠を変化させることはない[4]

1960年代にジフェンヒドラミンが神経伝達物質セロトニンの再取り込みを阻害することが発見され、この発見をきっかけに類似の構造を持ちながら副作用が少ない抗うつ薬の探索が行われた結果、現在米国で広く用いられている選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるフルオキセチン(プロザック®)の発見につながった。

副作用[編集]

ジフェンヒドラミンは、強い抗コリン薬である。この作用は副作用につながり、口渇、心拍の増加、瞳孔拡大、尿閉、便秘、高用量では幻覚、せん妄を起こすことがある。他の副作用として、運動失調、肌の紅潮、かすみ目、鎮静、集中困難、短期的な記憶喪失、視覚障害、呼吸不正、めまい、易刺激性、かゆみ、混乱、体温の上昇(通常、手や足)、一時的な勃起障害、興奮性、また高用量では嘔吐である。[5]

急性毒性は致命的となることがあり、心血管虚脱や2~18時間で死につながり、一般的い対症的な手法で治療される[6]

強いコリン作用のため、高齢者に避けたほうがいい医薬品リストのBeers listに掲載されている[7]

薬物動態[編集]

医薬品の添付文書においては、中枢神経抑制作用のため他の抑制剤との併用注意などがある[8]

脚注[編集]

  1. ^ 伊藤勝昭ほか編集『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018
  2. ^ Richardson GS, Roehrs TA, Rosenthal L, Koshorek G, Roth T (October 2002). “Tolerance to daytime sedative effects of H1 antihistamines”. J. Clin. Psychopharmacol. 22 (5): 511–5. doi:10.1097/00004714-200210000-00012. PMID 12352276. 
  3. ^ Benadryl Addiction”. eMedTV (2013年9月8日). 2014年3月19日閲覧。
  4. ^ Morin CM, Koetter U, Bastien C, Ware JC, Wooten V (November 2005). “Valerian-hops combination and diphenhydramine for treating insomnia: a randomized placebo-controlled clinical trial”. Sleep 28 (11): 1465-71. PMID 16335333. 
  5. ^ Diphenhydramine Side Effects”. Drugs.com. 2009年4月6日閲覧。
  6. ^ Brunton L, Chabner B, Knollmann B (2011). “Chapter 32. Histamine, Bradykinin, and Their Antagonists”. In Brunton L. Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (12e ed.). McGraw Hill. pp. 242–245. ISBN 978-0-07-162442-8. 
  7. ^ High risk medications as specified by NCQA’s HEDIS Measure: Use of High Risk Medications in the Elderly (pdf)”. National Committee for Quality Assurance (NCQA). 2014年3月19日閲覧。
  8. ^ 興和創薬 (2011-10). レスタミンコーワ錠10mg 医薬品添付文書 (Report). 日本医薬情報センター. http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00056340.pdf 2014年3月17日閲覧。. 

関連項目[編集]