鎮静薬

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ベンゾジアゼピン系鎮静薬(左からユーロジンメイラックスデパスソラナックス

鎮静薬(ちんせいやく,Sedative)、マイナートランキライザー(minor tranquilizer)は、興奮性を減らすことによって鎮静をもたらす薬物である。

概要[編集]

鎮静薬には、神経に作用し、不安(恐怖)・緊張といった症状を緩和させる作用がある。睡眠時の緊張を緩和させる事から睡眠薬として利用される場合もある。パニック障害不安障害など不安をともなう疾患に多く利用されている。また、症状によっては内科などでも処方され、手術の麻酔前に投与されることがある。

ベンゾジアゼピン[編集]

現在、日本国内において一般的に利用される鎮静薬は、ベンゾジアゼピン系チエノジアゼピン系に分類されるものがほとんどである[1]

ベンゾジアゼピン系は以前によく使われていたバルビツレート系に比べて毒性が低く、死に至る事は稀である。しかし乱用・長期服用により依存性が生じるため専門医による処方が必要である。

ベンゾジアゼピンは依存の危険性があるため、1ヶ月以上の長期処方を行わないことが推奨される。(ベンゾジアゼピン依存症参照)。各国の保健省では、不安治療にベンゾジアゼピンを用いることを推奨していない所も多い(ベンゾジアゼピン薬物乱用#各国の状況]を参照)。

副作用[編集]

大半の鎮静薬はベンゾジアゼピン系であるために、ベンゾジアゼピン系特有の副作用がある。比較的安全と言われているが、アルコールとの併用は奨められておらず、ベンゾジアゼピン受容体の作用でベンゾジアゼピン健忘を引き起こす副作用がある薬剤もある。眠気を誘発するため、自動車の運転などと言った危険を及ぼす作業などは避けるべきである。また長期の服用で依存や急な断薬による離脱症状を起こす場合があるため注意が必要である。ベンゾジアゼピン系の鎮静薬でうつ病を悪化させることがある。

乱用[編集]

各国の人口1000人あたりベンゾジアゼピン系催眠鎮静剤消費量 (国際麻薬統制委員会)[2]

すべての鎮静薬は乱用の可能性があるが、しかしながらバルビツール酸とベンゾジアゼピンは最も乱用が問題視されており、広くレクレーション用途・非医療的使用で乱用されている。 ストレス・不安・不眠に置かれている人は、オーバードーズ薬物依存になりやすい。 ヘロイン常用者はサプリとして、覚醒剤常用者はイライラを鎮めるため、その他の人々はリラックスし不安を忘れるためにレクレーションとして、よく鎮静薬を摂取する。

バルビツールの過剰摂取は、薬物関連の死亡の三分の一を占めており、これには自殺目的や薬物事故死が含まれる。事故死は、眠いとき、薬物使用で混乱しているとき、アルコールと併用されたときに起こっている。

米国においては1998年の毒物コントロールセンターへの報告によれば、70,982例の鎮静薬使用者のうち2310例(3.2%)が中毒を起こし、89例(0.1%)が死亡した。米国での緊急治療室に入院した人の約半数は、合法的な処方箋による鎮静薬の非医学的使用の結果であった。彼らは過剰量を摂取したりアルコールやその他の薬物とので組み合わせていた。[3]

アルコールとの組み合わせの危険性[編集]

ときどき鎮静薬とアルコールとは、気晴らし、もしくは不注意にて併用される。アルコールは強力に脳の機能、呼吸機能を低下させる。この組み合わせは互いに悪化を招くため致命的であるとのエビデンスが存在する。

依存性[編集]

すべての精神鎮静剤は、通常の治療服用であっても定期的に摂取すると身体的・精神的依存が発生する。[4][5][6][7] 依存者は、不安・不眠・死亡といった離脱症状を起こす。服用者が精神的依存になると、関数的に薬を必要とするようになる。しかし身体的依存については必ずしも発生せず、とりわけ短期間の使用では少ない。両方の依存となると、薬を探し使うことが人生の目標となる。身体的・精神的依存は治療を受けることにより対応できる。

主な鎮静薬[編集]

短時間作用型[編集]

中時間作用型[編集]

  • ロラゼパム(商品名:ワイパックスなど)ベンゾジアゼピン系。
  • アルプラゾラム(商品名:ソラナックス、コンスタンなど)ベンゾジアゼピン系。
  • ブロマゼパム(商品名:レキソタン、セニランなど)ベンゾジアゼピン系。

長時間作用型[編集]

超長時間作用型[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ チエノジアゼピン系はベンゾジアゼピン系とは異なるが作用はほぼ同じである。
  2. ^ Psychotropic substances Statistics for 2011 (Report). 国際麻薬統制委員会. (2012). Part3 Table IV.2. ISBN 978-92-1-048153-3. http://www.incb.org/incb/en/psychotropic-substances/technical_reports/technical_reports_2012.html. 
  3. ^ Professor Jeffrey S Cooper (2007年12月10日). “Toxicity, Sedatives”. USA: eemedicine. 2008年12月18日閲覧。
  4. ^ Yi PL; Tsai CH, Chen YC, Chang FC (March 2007). "Gamma-aminobutyric acid (GABA) receptor mediates suanzaorentang, a traditional Chinese herb remedy, -induced sleep alteration". J Biomed Sci 14 (2): 285?97. doi:10.1007/s11373-006-9137-z. PMID 17151826. 
  5. ^ Ebert B; Wafford KA, Deacon S (December 2006). "Treating insomnia: Current and investigational pharmacological approaches". Pharmacol Ther 112 (3): 612?29. doi:10.1016/j.pharmthera.2005.04.014. PMID 16876255. 
  6. ^ Sarrecchia C; Sordillo P, Conte G, Rocchi G (Oct-December 1998). "[Barbiturate withdrawal syndrome: a case associated with the abuse of a headache medication]". Ann Ital Med Int 13 (4): 237?9. PMID 10349206. 
  7. ^ Proudfoot H; Teesson M; Australian National Survey of Mental Health and Wellbeing (October 2002). "Who seeks treatment for alcohol dependence? Findings from the Australian National Survey of Mental Health and Wellbeing". Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol 37 (10): 451?6. doi:10.1007/s00127-002-0576-1. PMID 12242622. 

関連文献[編集]

関連項目[編集]