オランザピン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

オランザピン(Olanzapine、商品名:ジプレキサ)はアメリカFDAで承認された2番目の非定型抗精神病薬で、アメリカ国内で最も多く使用されている非定型抗精神病薬のひとつ。1996年に発売された。CAS登録番号は132539-06-1。オランザピンは日本国内では統合失調症治療薬として承認、アメリカでは統合失調症に加え、急性躁病双極性うつにおいてもFDAから承認を受けている。

オランザピンはイーライリリー社によって製造販売されている。商品名はジプレキサである。

  • 化学名:2-methyl-4-(4-methyl-1-piperazinyl)-10H-thieno[2,3-b][1,5]benzodiazepine
  • 分子式:C17H20N4S
  • 分子量:312.44
  • CAS登録番号:132539-06-1

目次

[編集] 種類

  • 錠剤:2.5mg,5mg,10mgの錠剤
  • 細粒1%
  • ザイディス錠(口腔内崩壊錠)5mg,10mg
  • 筋注製剤:2004年に米国などで発売されたが日本では未承認

[編集] 薬理

オランザピンの構造はクロザピンに似ており、チエノベンゾジアゼピン系に分類される。オランザピンはドパミン受容体、セロトニン受容体に対し高い親和性を有している。他の非定型抗精神病薬と同様、オランザピンは、ヒスタミンコリン作用、ムスカリン性、αアドレナリン受容体に対しては低い親和性を有している。

オランザピンの作用機序は明らかにはなっていないが、オランザピンの抗精神作用はドパミン受容体、特にドパミンD2受容体への拮抗作用に因るものと考えられている。セロトニン拮抗作用もまたオランザピンの有効性に影響している可能性があるが、研究者の間でも5-HT2A拮抗作用については議論が続いている。ムスカリン、ヒスタミン及びαアドレナリン受容体への拮抗性がオランザピンの副作用(抗コリン性副作用、体重増加、過鎮静、起立性低血圧等)の一部を説明できると考えられる。

[編集] 日本での経緯

2000年12月にジプレキサ錠が承認され、2001年6月4日に発売された。その後、2001年11月29日に細粒が承認され、2004年5月に発売された。カーディナルヘルス社のフリーズドライ技術「ザイディス」を採用した、ジプレキサザイディス錠は、2005年3月に承認され、同年の7月1日に発売となった。

[編集] 副作用

主な副作用は不眠、眠気、体重増加、アカシジア振戦、倦怠感不安・焦燥、興奮・易刺激性。また、主な臨床検査値異常はALT(GPT)上昇、プロラクチン上昇、AST(GOT)上昇、トリグリセリド上昇である。

他の非定型精神病薬と比べ、特に注意が必要とされている副作用が体重増加耐糖異常糖尿病)である。

もともと社会的に肥満が問題になっているアメリカでは、オランザピンによる体重増加はすぐに心筋梗塞など致死的な疾患に結びつきかねないので、特に注意が必要とされている。

また、日本においては、オランザピンと因果関係が否定できない重篤な高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡が9例(死亡例2例)報告されており、厚生省より注意喚起がなされた[1](2002/4)。これに対し、発売元の日本イーライリリーでは、糖尿病患者やその既往歴のある患者に対する患者への投与を禁忌に入れ、ドラッグ・インフォメーション上で目立つように警告を発するなどの対応をとった。

[編集] 参考文献

  • 上島国利 編『オランザピン100の報告 ひとりひとりの治療ゴールへ』 星和書店 2003年。
  • 上島国利 編『オランザピン急性期の報告 ――ひとりひとりの治療ゴールへ』 星和書店 2004年。

[編集] 外部リンク